JP2005055331A

JP2005055331A - コンクリート構造物の酸による劣化モニタリング方法

Info

Publication number: JP2005055331A
Application number: JP2003287277A
Authority: JP
Inventors: Atsuro Moriwake; 敦郎守分; Takahiko Amino; 貴彦網野
Original assignee: Toa Corp
Current assignee: Toa Corp
Priority date: 2003-08-06
Filing date: 2003-08-06
Publication date: 2005-03-03

Abstract

【課題】酸性の塩類に曝されるコンクリート構造物に対して、その化学的腐食の劣化状況をリアルタイムに把握し、調査及び補修対策を行う上で重要な情報が得られるコンクリート構造物の酸による劣化モニタリング方法を提供する。
【解決手段】酸性の塩類で化学的腐食を受けるコンクリート構造物２の中に、酸の濃度の変化によって電気抵抗特性が変化する材料を事前に配置し、その電気抵抗値を常時モニタリングしてコンクリート構造物の化学的腐食の劣化状況をリアルタイムに把握する。
【選択図】図１

Description

本発明は、主として酸による化学的腐食をうけるコンクリートに対して、酸による腐食状況をリアルタイムに把握し、調査及び補修対策を行う上で重要な情報を提供するコンクリート構造物の酸による劣化モニタリング方法に関する。

従来、コンクリートは多くの化学物質に侵食されるが、一般に、化学的腐食を受けるコンクリート構造物は主に以下の施設で用いられる。

１）酸、アルカリ、各種塩類を使用する工業施設
２）動植物油、有機酸、糖類などを使用する工業施設。
３）温泉地帯にある施設。
４）酸性河川流域にある施設。
５）下水道、下水処理施設。

これらの環境に曝されるコンクリート構造物は、通常何らかの被覆材料を施して化学的腐食を防止しているが、被覆材に何らかの原因により欠陥部が発生した場合、その部分から急激に化学的腐食が進行するため、早期に欠陥部を発見し、補修対策を講じることが求められており、これらの欠陥部をリアルタイムに、かつ容易に把握できる方法が求められている。

本発明は、上記の化学的腐食のうち、酸性の塩類に曝されるコンクリート構造物に対して、その化学的腐食の劣化状況をリアルタイムに把握し、調査及び補修対策を行う上で重要な情報が得られるコンクリート構造物の酸による劣化モニタリング方法を提供する。

本発明は、酸性の塩類で化学的腐食を受けるコンクリート構造物の中に、酸の濃度の変化によって電気抵抗特性が変化する材料を事前に配置し、その電気抵抗値を常時モニタリングして、コンクリート構造物の化学的腐食の劣化状況をリアルタイムに把握するコンクリート構造物の酸による劣化モニタリング方法からなる。

本発明の劣化モニタリング方法によれば、コンクリート構造物の化学的腐食の劣化状況をリアルタイムに把握でき、調査及び補修の対策を行なう上で重要な情報が得られる。

従って、コンクリート構造物の化学的腐食による欠陥部が発生した場合、それを早期に発見し、その補修対策を迅速に講ずることができ、コンクリート構造物の良好な保守、管理を行なうことができる。

以下図面を参照して本発明の実施例を説明する。

図１は、その劣化モニタリング方法を適用するモニタリングシステムの概念図を示している。

本発明では、酸性の塩類に曝されるコンクリート構造物２の中に酸の濃度によって電気抵抗特性が変化する材料、例えばニッケル等で表面メッキした不織布、即ち、図１の導電性を有する不織布４、不織布５、不織布６等を間隔をあけて埋め込むなどにより配置し、それらの各電気抵抗値を各メーター７，８，９で常時モニタリングしている。

このモニタリングの原理は、コンクリート構造物２の表面に塗布された被覆材３等の保護層に、何らかの原因で図１の矢印Ａに示すごとく欠陥部が発生すると、その欠陥部Ａから水素イオン（Ｈ⁺）がコンクリート構造物２の中へと浸透し、その内部組織を破壊し、化学的侵食を起こす。

この時、上記のごとく予めコンクリート構造物２の内部の所定深さ位置に夫々間隔をあけて配置しておいた導電性を有する不織布４、不織布５、不織布６の電気抵抗値を常時モニタリングする。

化学的侵食が、ある程度の深さまで進行すると、図１に示すコンクリートの侵食範囲において、各導電性材料自体が変質（または腐食）する。

導電性材料が変質することにより、電気抵抗値は、図２の電気抵抗値と時間との関係図のように異常値を示し始め、コンクリート構造物２の侵食の深さを概略把握することができる。

これにより、補修調査・対策の時期を的確に把握でき、早期にコンクリート構造物２の危険度を感知することができる。

次に、確認実験として、幅２５ｍｍ、長さ２５０ｍｍの難燃性布に銅・ニッケルメッキされた材料Ｘを各種設定した濃度の硫酸溶液Ｙ（５０ｃｃ）に図３のように浸漬して、電気抵抗値の経時変化を測定した結果を、図４の抵抗値と経過時間との関係で示し、確認実験結果として示している。

上記の図４の確認実験結果において示すＣａｓｅ０〜４は次のとおりである。
Ｃａｓｅ０：浸漬なしで、大気中放置を示し、
Ｃａｓｅ１：18 mol/l H₂SO₄溶液を、
Ｃａｓｅ２：1.8 mol/l H₂SO₄溶液を、
Ｃａｓｅ３：0.18 mol/l H₂SO₄溶液を、
Ｃａｓｅ４：0.018 mol/l H₂SO₄溶液を、夫々示している。

この確認実験結果から、銅・ニッケルメッキされた難燃性布材料Ｘの電気抵抗値を測定することによって酸の濃度に応じた腐食状況をモニタリングできることが確認された。

また、モルタル供試体中（アルカリ環境中）に同様の布を配置した場合においても、上記と同様の電気抵抗特性が見られることが確認された。

以上の結果から、上記モニタリング材料をコンクリート構造物２中に埋設し、電気抵抗を連続的にモニタリングすることによって、酸によるコンクリートの劣化進行を把握できることが確認された。

本発明は、酸性の塩類に曝されるコンクリート構造物に対して広い分野において利用することが可能である。

本発明の劣化モニタリング方法を適用するモニタリングシステムの概念図である。図１の各不織布の電気抵抗値の異常感知概念を示す関係図である。本発明の確認実験として難燃性布に銅・ニッケルメッキされたものを各種設定した濃度の硫酸溶液に浸漬した状況を示す説明図である。図３の確認実験の結果を示す図表である。

符号の説明

２コンクリート構造物

Claims

コンクリート構造物の中に、酸の濃度の変化によって電気抵抗特性が変化する材料を事前に配置し、その電気抵抗値を常時モニタリングして、コンクリート構造物の化学的腐食の劣化状況をリアルタイムに把握するコンクリート構造物の酸による劣化モニタリング方法。