JP2005055316A - 生体関連物質反応検査における溶液除去方法と溶液吸収具 - Google Patents
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Abstract
【課題】固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において不要な溶液を安全に効率良く除去する道具を提供する。
【解決手段】溶液吸収具10は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部14と、操作者によって把持されるための把持部12とを備えている。把持部12は吸収部挿入溝13を有し、吸収部14は、吸収部挿入溝13に挿入され、把持部12に保持されている。
【選択図】 図1
【解決手段】溶液吸収具10は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部14と、操作者によって把持されるための把持部12とを備えている。把持部12は吸収部挿入溝13を有し、吸収部14は、吸収部挿入溝13に挿入され、把持部12に保持されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、マイクロアレイ等の固相坦体を利用した生体関連物質反応検査に関しており、特に不要となった溶液を除去する方法と道具に関している。
固相坦体を利用した生体関連物質反応検査には、不要となった溶液(サンプルや洗浄液)を除去する場合がある。
溶液を透過し得ない固相担体に対しては、溶液を除去する手法としては、空気の減圧を利用した手動ピペッタや電動ポンプに流通したノズル等の溶液吸引手段を用いて、固相担体上に残存する溶液を除去する方法が一般的である。
溶液を透過し得る固相担体に対しては、溶液を除去する手法としては、特表平9−504864号公報に開示されているように、固相担体上に溶液が存在している状態で、固相担体の下側の下部チャンバーに減圧を発生させ、溶液に固相担体を通過させて、溶液を下部チャンバーに移動させる方法が示されている。
特表平9−504864号公報
上述の溶液を透過し得ない固相担体に対する溶液の除去方法においては、残存する溶液をより多く除去するためには、溶液吸引手段の吸引部は固相担体により近づけて配置されるとよい。しかし、溶液吸引手段の吸引部を固相担体により近づけて配置した際に、溶液吸引手段と固相担体とが干渉して(つまり接触して)、その結果、固相担体や反応結合したスポットが破損することがある。
また、上述の溶液を透過し得る固相担体に対する溶液の除去方法においては、残存する溶液をより多く除去するためには、下部チャンバーに発生させる減圧を高めるとよい。しかし、溶液を透過し得る固相担体は、壊れ易いため、減圧を高めた際に破損することがある。
固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において、固相坦体や反応結合したスポットを破損させる心配が少なく、不要な溶液を効率良く除去する技術の提供が望まれている。
本発明は、この様な実状を考慮して成されたものであり、その目的は、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において不要な溶液を安全に効率良く除去する方法と道具を提供することである。
本発明は、ひとつには、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査における溶液除去方法に向けられており、以下の各項に列記する溶液除去方法を含んでいる。
1. 本発明の溶液除去方法は、固相担体から溶液を溶液吸収具で吸収することを特徴とする。
この溶液除去方法においては、遺伝子等の生体関連物質の反応検査装置が一般的な空気減圧を利用した溶液吸引手段(ピペッタ、ピペッタ装置)を必要としないため、装置のより小型化に繋がる。
溶液吸収具で溶液を吸収することにより、一般的な空気減圧を利用した溶液吸引手段に比べて、吸収工程中や吸収工程後の溶液吸収具の移送工程中における溶液の飛散が防止される。これにより、飛散により起こり得るコンタミネーションによる反応検査への悪影響が防止される。その結果、より高精度な検査結果が得られる。
溶液吸収具を用いることにより、一般的な空気減圧を利用した溶液吸引手段よりも、溶液吸収速度コントロールを操作者に行なわせない分、溶液除去方法が簡易になる。
溶液吸収具を用いることにより、一般的な空気減圧を利用した溶液吸引手段よりも、溶液除去にかかる時間が短縮されるため、溶液除去方法が早くなる。
2. 本発明の別の溶液除去方法は、第1項の溶液除去方法において、光学的に観察され得る固相担体上に貯留した溶液を溶液吸収具で吸収することを特徴とする。
この溶液除去方法においては、固相担体の光学的に観察され得る範囲から溶液を吸収することにより、吸収する直前まで固相担体上に残存した「検査結果に好ましくない異物」が、溶液と共に溶液吸収具に吸収あるいは吸着されることにより、より高精度な検査結果が得られる。
固相担体の光学的に観察され得る範囲から溶液を吸収することにより、光学的観察手段に固相担体以外の残存溶液が観察されるのを防止でき、更には光学的観察手段に対して固相担体表面を溶液で覆われた範囲より露出させることができることにより、より高精度な検査結果が得られる。
3. 本発明の別の溶液除去方法は、第1項または第2項の溶液除去方法において、溶液吸収具の少なくとも一部を固相担体に接触させることによって固相担体上に貯留した溶液を吸収することを特徴とする
この溶液除去方法においては、固相担体に溶液吸収具を接触させて溶液を吸収させることにより、接触させない場合に比べて固相担体表面を溶液で覆われた範囲より露出させることができ、より高精度な検査結果が得られる。
この溶液除去方法においては、固相担体に溶液吸収具を接触させて溶液を吸収させることにより、接触させない場合に比べて固相担体表面を溶液で覆われた範囲より露出させることができ、より高精度な検査結果が得られる。
固相担体に溶液吸収具を接触させて溶液を吸収させることにより、接触させない場合に比べて、人が従来の溶液吸引手段を用いる際に生じる、固相担体から見た吸引開口部との間の高さのばらつき、固相担体から見た開口部の角度のばらつき、によって起こる固相担体上の残留溶液量のばらつきが防止でき、より高精度な検査結果が得られる。
本発明は、ひとつには、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において固相担体から溶液を除去するための溶液吸収具に向けられており、以下の各項に列記する溶液吸収具を含んでいる。
4. 本発明の別の溶液吸収具は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部を有していることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、空気の減圧による吸引手段に比べて、除去手段自身の小型化に繋がり、空気の減圧による吸引手段に比べて、吸引した廃溶液を溜める溶液廃液ボトル等から溶液吸引工程後に廃溶液をボトル等から廃棄する面倒な手続きも無くなるため、より簡易な検査方法が得られる。
5. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、吸収材料は、少なくともその一部がスポンジであることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、固相担体からの溶液吸収速度および吸収材料内の誘導速度(あるいは搬送速度)が比較的大きいので、除去時間をより短縮できる。より吸収速度が速いことから、水分を含んだ溶液吸収材料自身が固相担体よりもより軟らかくなる時間が短くなり、溶液吸収具と固相担体との干渉によって固相担体を破損することがより防止できる。
6. 本発明の別の溶液吸収具は、第5項の溶液吸収具において、スポンジは、セルロース、ポリアミド系合成樹脂、ポリビニルアルコール、親水性ポリウレタン、親水化ポリオレフィン、軟質塩化ビニルのいずれか、または、これらの複合体によって形成されることを特徴とする。
7. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、吸収材料は、少なくともその一部が繊維であることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、固相担体からの溶液吸収速度および吸収材料内の誘導速度(あるいは搬送速度)が比較的大きいので、除去時間をより短縮できる。より吸収速度が速いことから、水分を含んだ溶液吸収材料自身が固相担体よりもより軟らかくなる時間が短くなり、溶液吸収具と固相担体との干渉によって固相担体を破損することがより防止できる。
8. 本発明の別の溶液吸収具は、第7項の溶液吸収具において、繊維は、セルロース、ポリアミド系合成樹脂、レーヨン、ガラス繊維、キトサン、親水性ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレンのいずれか、または、これらの複合体によって形成されることを特徴とする。
9. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、吸収材料は、少なくともその一部が高分子吸収剤であることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、固相担体からの溶液吸収速度および吸収材料内の誘導速度(あるいは搬送速度)が比較的大きいので、除去時間をより短縮できる。より吸収速度が速いことから、水分を含んだ溶液吸収材料自身が固相担体よりもより軟らかくなる時間が短くなり、溶液吸収具と固相担体との干渉によって固相担体を破損することがより防止できる。
10. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、吸収材料は、少なくともその一部が吸水紙であることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、固相担体からの溶液吸収速度および吸収材料内の誘導速度(あるいは搬送速度)が比較的大きいので、除去時間をより短縮できる。より吸収速度が速いことから、水分を含んだ溶液吸収材料自身が固相担体よりもより軟らかくなる時間が短くなり、溶液吸収具と固相担体との干渉によって固相担体を破損することがより防止できる。
11. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、吸収材料は、少なくともその一部がプラスチック焼結多孔質体であることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、固相担体からの溶液吸収速度および吸収材料内の誘導速度(あるいは搬送速度)が比較的大きいので、除去時間をより短縮できる。
12. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、吸収材料は、少なくともその一部が多孔質セラミックであることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、固相担体からの溶液吸収速度および吸収材料内の誘導速度(あるいは搬送速度)が比較的大きいので、除去時間をより短縮できる。
13. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、吸収材料は、液体を吸収した部分の少なくとも一部が変色することを特徴とする。
この溶液吸収具においては、吸収材料に含まれた化学物質と、サンプルや洗浄液に含まれた化学物質が反応し、変色することにより、溶液吸収具操作者は溶液を吸ったかどうか目視で確認でき、より簡易な検査を行なうことができる。
14. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、吸収材料は、一端から他端に向かうに連れて徐々に細くなる形状を有していることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、吸収部中において溶液が飽和するとサイフォン効果により溶液の吸収作用が進む。特に、一端から他端に向かうに連れて徐々に細くなる形状の吸収部に対して幅の狭い部位から溶液を吸収させる様にすると、幅の同じ吸収具よりも上回る吸収速度が達成でき、結果としてより大量の溶液を継続的にかつ速やかに吸収することができる。これにより、より短時間な溶液除去方法が得られることから、より短時間な反応検査方法が得られる。
また、より吸収速度が速いことから、水分を含んだ溶液吸収材料自身が固相担体よりもより軟らかくなる時間が短くなり、溶液吸収材料と固相担体との干渉によって固相担体を破損することがより防止でき、より簡便な溶液除去方法ならびに反応検査方法が得られる。
また、大量の溶液を継続的に吸収できることから、特に洗浄工程において、固相担体上の残留サンプルから新鮮な洗浄液、汚れた洗浄液から新鮮な洗浄液へと固相担体に貯留する溶液置換作業をより効率的に行なえることにより、より高精度な検査結果を得られる。
15. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、溶液吸収具は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部と、把持されるための把持部とを備えており、吸収部は把持部に保持されていることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、把持部を備えているため、溶液が吸収部を媒介して操作者と接触することがなく、操作者へのコンタミネーションを防止できる。
溶液吸収具に把持部を設けることにより、把持部を設けない場合よりも、固相担体に貯留する溶液を吸収する際の位置決め動作を簡便に行なえることにより、溶液除去方法の簡便性を提供する。
16. 本発明の別の溶液吸収具は、第15項の溶液吸収具において、固相担体は容器に収容されており、容器は開口可能であり、把持部は吸収部が容器に入れられた際に、容器の開口部の周囲の面と接触するフランジを備えていることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、フランジを容器の開口部の周囲の面に接触支持した状態で静かに置くことにより、フランジを設けない場合よりも、固相担体から見た溶液吸収部の高さのばらつき、角度のばらつきによって起こる固相担体上の残留溶液量のばらつきがより防止でき、より高精度な反応結果を得ることができる。
17. 本発明の別の溶液吸収具は、第16項の溶液吸収具において、フランジは、容器の上面に接触した状態において、吸収部の一部が固相担体に過度に接触し過ぎない位置に設けられていることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、固相担体に過度に接触し過ぎないように吸収部が位置されていることにより、固相担体を破損させることをより防止できる。
反応プローブにより傷を付けないことから、より高精度な反応結果を得る。特に、固相担体が多孔質よりも、ガラス担体の様に反応プローブがより担体表面のみに存在している担体に対して、溶液吸収具が固相担体表面の反応プローブを削り取ってしまうことが防止できることによって効果がある。
18. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、溶液吸収具は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部と、溶液吸収具の移動手段に嵌合可能な嵌合部とを備えており、吸収部は嵌合部に保持されていることを特徴とする。
この溶液吸収具は、溶液吸収具の移動手段に取り付け可能である。また、分注工程で用いたピペッタやピペッタ装置に、ノズルチップに代えて、この溶液吸収具を付け替えるだけで、異なる二つの機能「溶液分注」「溶液除去」を実現できることにより、簡易な検査を行なうことができる。
19. 本発明の別の溶液吸収具は、第4項の溶液吸収具において、溶液吸収具は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部と、吸収部の少なくとも一部を取り囲む保護カバー部材とを備えていることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、ゴミを事前に吸収材料により付着させないことにより、より高精度な検査結果を得られる。吸収材料に吸引済みの溶液が操作者に触れさせないようにすることにより、より安全な検査を行なうことができる。より容易に手で吸収具を扱うことができることにより、より簡易な検査を行なうことができる。固相担体に吸収材料を直接触れさせないようにすることにより、プローブの破壊をより効果的に防ぐことができる。
20. 本発明の別の溶液吸収具は、第19項の溶液吸収具において、吸収部の一部を保護カバー部材から突出させるためのレバーを更に備えていることを特徴とする。
この溶液吸収具においては、吸収部の一部を保護カバー部材から突出させることにより、より多くの溶液を吸収部に吸収させることができる。
21. 本発明の別の溶液吸収具は、第19項の溶液吸収具において、保護カバー部材が、溶液吸収具の移動手段に嵌合可能であることを特徴とする。
この溶液吸収具は、溶液吸収具の移動手段に取り付け可能である。
本発明によれば、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において不要な溶液を安全に効率良く除去する方法と道具が提供される。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
第一実施形態
本実施形態は、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において固相担体から溶液を除去するための溶液吸収具とそれを用いた溶液除去方法に向けられている。図1は、本発明の第一実施形態における溶液吸収具を示している。図中、(A)は溶液吸収具の正面図、(B)は溶液吸収具の側面図である。
本実施形態は、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において固相担体から溶液を除去するための溶液吸収具とそれを用いた溶液除去方法に向けられている。図1は、本発明の第一実施形態における溶液吸収具を示している。図中、(A)は溶液吸収具の正面図、(B)は溶液吸収具の側面図である。
図1に示されるように、本実施形態の溶液吸収具10は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部14と、操作者によって把持されるための把持部12とを備えている。把持部12は吸収部挿入溝13を有し、吸収部14は、吸収部挿入溝13に挿入され、把持部12に保持されている。吸収部挿入溝13は、図示されていない爪を有しており、爪が吸収部14に食い込むことにより、吸収部14は把持部12から容易には外れないように固定されている。
吸収部14の把持部12への固定の仕方は、これに限定されるものではない。例えば、把持部12と吸収部14を接着剤等で固定する仕方や、把持部12の吸収部挿入溝13にネジ穴を設けてネジで固定する仕方や、把持部12に生じる弾性変形の復元力による摩擦力で固定する仕方などであってもよい。溶液吸収具10は小型で軽い方が操作者にとって微小な領域での作業の簡易化に繋がるため、把持部12に設けた爪を吸収部14に食い込ませて固定する仕方や接着剤等で固定する仕方が適している。更には、溶液吸収具10はあらゆる溶液に漬けられても溶出しないことが望ましいことから、接着剤等で固定する仕方よりも、把持部12に設けた爪を吸収部14に食い込ませて固定する仕方の方が適している。
把持部12の形状は、例えば、長さ約95mm、外形約4mmの棒形状である。寸法はこれに限定されるものではないが、操作者にとって微小な領域での作業の簡易化を考えると、この寸法から大きく外れることはない。棒形状の断面は、円や楕円、中空、多角形等であってよい。
把持部12の材料は、樹脂や金属など、溶液を吸収浸透させない材料であるとよい。溶液吸収具10は、必ずしもそうとは限らないが、溶液を吸収した後に廃棄される。このような事情を考慮すると、把持部12の材料は樹脂材料が好適である。
吸収部14は三角形の板状の形状を有している。吸収部14の形状は、これに限定されるものではない。しかし、吸収部14は、一端から他端に向かうに連れて徐々に細くなる形状を有しているとよい。
図2は、他の形状の吸収部を有する他の溶液吸収具を示している。溶液吸収具10Aは円錐形状の吸収部14Aを有している。溶液吸収具10Bは円錐台形状の吸収部14Bを有している。溶液吸収具10Cは台形の板状の形状の吸収部14Cを有している。
このように吸収部14の形状は、様々な形状が適用可能であるが、三角形の板状の形状は特に好適である。このような形状の吸収部14は、固相担体に小さい面積で部分接触できるため、固相担体の破損を引き起こし難いという利点を有している。また、反応プローブ箇所を回避し易く、固相担体の隅まで簡易に溶液を吸収可能であるという利点も有している。
吸収部14の寸法は、例えば底辺が約6mm、2等辺が約19mm、厚さが約1mmである。寸法はこれに限定されるものではないが、操作者にとって微小な領域での作業の簡易化を考えると、この寸法から大きく外れることはない。
吸収部14の吸収材料は、少なくともその一部が、例えば、スポンジ、繊維、高分子吸収剤、吸水紙、プラスチック焼結多孔質体、多孔質セラミックのいずれか、または、これらの複合体であってよい。また、人工、天然に限らず、種々の樹脂を用いることができる。特に、セルローススポンジは、液体吸収速度が早く、吸収部14の吸収材料に好適である。
吸収部14の吸収材料であるスポンジは、セルロース、ポリアミド系合成樹脂、ポリビニルアルコール、親水性ポリウレタン、親水化ポリオレフィン、軟質塩化ビニルのいずれか、または、これらの複合体であってよい。
吸収部14の吸収材料である繊維は、セルロース、ポリアミド系合成樹脂、レーヨン、ガラス繊維、キトサン、親水性ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレンのいずれか、または、これらの複合体であってよい。
吸収部14の吸収材料である高分子吸収剤は、アクリル系高分子吸収剤、ポリマー、デンプン系高分子吸収剤のいずれか、または、これらの複合体であってよい。
吸収部14の吸収材料である吸水紙は、パルプ、クレープ紙のいずれか、または、これらの複合体であってよい。
吸収部14の吸収材料であるプラスチック焼結多孔質体は、高密度ポリエチレン等であってよい。
吸収部14の吸収材料は、液体を吸収した部分の少なくとも一部が変色するとよい。この場合、例えば、吸収材料に含まれた化学物質とサンプルや洗浄液に含まれた化学物質とが反応して変色することにより、溶液吸収具操作者は溶液を吸ったかどうか目視で確認でき、より簡易な検査を行なうことができる。
図3は、固相坦体を利用した生体関連物質の検査のための反応容器を示している。
反応容器100は、上側容器半体110と、下側容器半体130と、検査チップ150とから構成されている。上側容器半体110と下側容器半体130は、検査チップ150を収容し保持する容器本体を構成している。上側容器半体110と下側容器半体130は、検査チップ150を間に挟んでネジや接着剤などによって互いに固定されることにより、検査チップ150を保持する。
上側容器半体110は、検査チップ150の上側に位置する四つの上側ウェル112を有している。上側ウェル112は、容器本体の上面に開口している。下側容器半体130は、検査チップ150の下側に位置する四つの下側ウェル132と、検査液を収容し得る四つの貯液孔134とを有している。貯液孔134は、下側ウェル132と外部空間を連絡している。
上側ウェル112と下側ウェル132と貯液孔134は、互いに連絡しており、生体関連物質を含む検査液を収容するための生体関連物質収容部を構成している。反応容器100は、四つの生体関連物質収容部を有しているが、その個数はそれに何ら限定されるものではない。生体関連物質収容部は検査チップ150を横切って延びている。
検査チップ150は、固相坦体152と、固相坦体152を補強する支持板154とで構成されている。支持板154は、固相坦体152を間に挟んで支持する一対の支持板すなわち上側支持板154aと下側支持板154bとで構成されている。上側支持板154aと下側支持板154bは、互いに対応する位置に、固相坦体152を露出させるための四つの開口を有している。固相坦体152の露出している部分158は、生体関連物質と反応するプローブを有している。つまり、固相坦体152の露出している部分158は、生体関連物質と反応するプローブを有する反応部である。
本発明で使用される「プローブ」とは、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク、核酸、cDNA、DNA、RNA、PNAなどであって、「生体関連物質」と特異的に結合可能な物質を意味する。
本発明で使用される「生体関連物質」とは、坦体上の所定の位置に配置された既知のプローブと特的に結合する物質であって、生体から抽出、単離等された物質を意味するが、生体から直接抽出されたものだけでなく、これらを化学処理、化学修飾等したものも含まれる。例えば、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク、核酸、cDNA、DNA、mRNAなどの物質である。
「生体関連物質」と「プローブ」が特異的に結合するとは、例えば、DNAやRNAなどで見られる相補的なヌクレオチド配列の間に安定な二重鎖が形成されるような場合(ハイブリダイゼーション)や、抗原と抗体、ビオチンとアビジンなどのように、特定の物質とのみ選択的に反応する極めて特異性の高い結合を意味する。
例えば、検査チップ150は、これに限定されないが、DNAチップであり、生体関連物質と反応するプローブは核酸プローブであり、固相坦体152の露出している部分158は、アレイ状に形成された核酸プローブの多数のスポットを有するDNAマイクロアレイである。
固相坦体152の露出している部分158は、生体関連物質収容部内に位置している。固相坦体152は、流体の通過を許す微細な孔を有しており、流体を透過し得る。前述の生体関連物質と反応するプローブは、固相坦体152の微細な孔内に固定されている。ここで、流体は、生体関連物質を含む検査液と、反応後に固相坦体152を洗浄するための洗浄液とを含んでいる。固相坦体152は、これに限定されないが、例えば陽極酸化膜基板である。
下側ウェル132は傾斜した底面を有している。貯液孔134は、下側ウェル132の傾斜した底面の最下部から、一旦下方に延びた後に側方に曲がり、下側容器半体130の側面まで延びている。
図4と図5は、図3に示される反応容器100に対応した、反応容器100内の生体関連物質とプローブの反応を促進するための反応ステージ200を示している。
図4に示されるように、反応ステージ200は、反応容器100が載置されるベース部210と、ベース部210に対して開閉し得るカバー部220と、反応容器100の側面を受ける容器受け部230と、反応容器100内の流体を駆動する流体駆動部240を有している。
反応容器100を加温するために、ベース部210は板状ヒーター212を有し、カバー部220は板状ヒーター222を有している。ベース部210の板状ヒーター212とカバー部220の板状ヒーター222は、反応容器100を加温し、反応容器100内の検査液と検査チップ150のプローブとの反応を促進する。
カバー部220は、反応容器100の反応部158を光学的に観察するための光学窓224を有している。光学窓224は、図5に示されるように、光学顕微鏡270により、ガラスベース部210に載置された反応容器100の反応部158を上方から光学的に観察することを可能にする。
図4に示されるように、容器受け部230は、反応容器100の貯液孔134と流体的に連絡される四つの移送用流路232を有している。流体駆動部240は、反応容器100の流体を移動させるための四つのシリンジピストンポンプ242を有している。シリンジピストンポンプ242は、容器受け部230の移送用流路232を介して、反応容器100の貯液孔134と連絡される。シリンジピストンポンプ242は、反応容器100の貯液孔134内を加圧または減圧することにより、上側ウェル112と下側ウェル132と貯液孔134とから成る生体関連物質収容部内の流体を移動させる。
図6〜図12は、図3に示される検査容器を用いた生体関連物質の検査の各工程を示している。この生体関連物質の検査は、サンプル分注工程とハイブリダイゼーション工程、洗浄工程、検出工程とを含んでいる。
図6は、図3に示される検査容器を用いた生体関連物質の検査におけるサンプル分注工程を示している。サンプル分注工程では、図6に示されるように、サンプルを分注するピペッタのノズル312にはノズルチップ314が嵌合により取り付けられており、ノズルチップ314の先端から、反応容器100の上側ウェル112にサンプル322が定量分注される。
図7は、図6に示されるサンプル分注工程に続くハイブリダイゼーション反応工程を示している。図中、(A)はシリンジピストンポンプによる減圧時の様子を示し、(B)はシリンジピストンポンプによる加圧時の様子を示している。
ハイブリダイゼーション反応工程では、反応容器を介して温度制御された固相坦体である多孔質部にサンプルが通過させられる。図7(A)に示されるように、シリンジピストンポンプ242のピストンをある一定量引くことにより、サンプル322は上側ウェル112から固相坦体152の多孔質部を通って下側ウェル132に移動される。図7(B)に示されるように、シリンジピストンポンプ242のピストンをある一定量押すことにより、サンプル322は下側ウェル132から固相坦体152の多孔質部を通って上側ウェル112に移動される。図7(A)の操作と図7(B)の操作は、所定の回数、繰り返し行なわれる。これにより、比較的短時間でハイブリダイゼーション反応が終了する。
図8は、図7に示されるハイブリダイゼーション反応工程に続くサンプル除去工程を示している。図8に示されるように、操作者は溶液吸収具10の把持部12を掴んで操作して、溶液吸収具10の吸収部14をサンプル322が貯留した上側ウェル112に挿入する。固相坦体(多孔質部)152に吸収部14の一部を接触させ、所定時間のあいだ、溶液吸収具10をその状態に維持する。その結果、サンプル322は吸収部14に吸収される。所定時間経過後すなわちサンプル吸収後、溶液吸収具10の吸収部14を上側ウェル112から取り出す。サンプルを吸収した溶液吸収具10は、コンタミネーション防止のため、廃棄される。
図8では、吸収部14の先端は、固相坦体152と支持板154との境目に接触されているが、固相坦体152のどこに接触されてもよい。しかし、吸収部14が接触される固相坦体152の部分は、ハイブリダイゼーション反応プローブの存在しない箇所がよい。ハイブリダイゼーション反応プローブの存在しない好適な箇所は、例えば、固相坦体152と吸収部14の一部であり、更に好適な箇所は、固相坦体152の中央部である。
また、吸収部14の先端が固相坦体152に接触されているが、固相坦体152に接触される部分はこれに限定されるものではなく、他の部分が接触されてもよい。しかし、固相坦体152に接触される部分は吸収部14のどこでもよいが、比較的柔らかく固相坦体152を破損させる心配の少ない吸収部14の先端が特に好適である。
図9は、図8に示されるサンプル除去工程に続く洗浄液分注工程を示している。洗浄液分注工程では、図9に示されるように、ピペッタのノズル312に取り付けられたノズルチップ314の先端から、反応容器100の上側ウェル112に洗浄液324が定量分注される。
洗浄液324は、点眼容器の様なドロッパーによって供給されてもよい。しかし、好ましくは、洗浄液324はピペッタによる分注により供給されるとよい。ピペッタによる分注では、洗浄液の量が高い精度で制御されるため、検出結果のばらつきが抑えられる。
図10は、図9に示される洗浄液分注工程に続く洗浄液置換工程を示している。図中、(A)はシリンジピストンポンプによる減圧時の様子を示し、(B)はシリンジピストンポンプによる加圧時の様子を示している。
洗浄液置換工程では、固相坦体(多孔質部)に洗浄液が通過させられる。図10(A)に示されるように、シリンジピストンポンプ242のピストンをある一定量引くことにより、洗浄液324は上側ウェル112から固相坦体152の多孔質部を通って下側ウェル132に移動される。図10(B)に示されるように、シリンジピストンポンプ242のピストンをある一定量押すことにより、洗浄液324は下側ウェル132から固相坦体152の多孔質部を通って上側ウェル112に移動される。図10(A)の操作と図10(B)の操作は、一回に限らず、好ましくは、所定の回数、繰り返し行なわれる。また、この洗浄液置換工程は、反応容器を介して洗浄液324を温度制御しながら行なうと、より好適である。
図11は、図10に示される洗浄液置換工程に続く洗浄液除去工程を示している。図11に示されるように、操作者は溶液吸収具10の把持部12を掴んで操作して、溶液吸収具10の吸収部14を洗浄液324が貯留した上側ウェル112に挿入する。固相坦体152に吸収部14の一部が接触させ、所定時間のあいだ、溶液吸収具10をその状態に維持する。その結果、洗浄液324は吸収部14に吸収される。所定時間経過後すなわち洗浄液吸収後、溶液吸収具10を上側ウェル112から出す。洗浄液を吸収した溶液吸収具10は、コンタミネーション防止のため、廃棄される。
図11では、吸収部14の先端は、固相坦体152と支持板154との境目に接触されているが、固相坦体152のどこに接触されてもよい。しかし、吸収部14が接触される固相坦体152の部分は、ハイブリダイゼーション反応プローブの存在しない箇所がよい。ハイブリダイゼーション反応プローブの存在しない好適な箇所は、例えば、固相坦体152と吸収部14の一部であるが、更に好適な箇所は、後に光学的に観察される部位の液残りを無くすため、固相坦体152の中央部である。
更に、固相坦体の中央部に吸収部を接触させると、ウェルの外周部に対しての距離が均等になり、溶液を吸収するのに必要な時間が短くなる。また、溶液はウェルの外周部に残りやすいため、固相坦体の中央部に吸収部を接触させた後に、ウェルの外周部に接触させる等、接触位置を変更すると溶液を十分に吸収できるので好ましい。
また、吸収部14の先端が固相坦体152に接触されているが、固相坦体152に接触される部分はこれに限定されるものではなく、他の部分が接触されてもよい。しかし、固相坦体152に接触される部分は吸収部14のどこでもよいが、比較的柔らかく固相坦体152を破損させる心配の少ない吸収部14の先端が特に好適である。
洗浄液除去工程では、溶液吸収具10は再使用されても構わない。つまり、同一の上側ウェル112に対して、サンプル溶液除去あるいは洗浄液除去を行なった溶液吸収具10が次回以降の洗浄液除去に使用されてもよい。ひとつの溶液吸収具10が同一の上側ウェル112に対して使用される限りコンタミネーションの心配はなく、溶液吸収具10は洗浄液を上側ウェル112に残さずに吸収可能でありさえすればよい。
また、複数個の上側ウェル112に同一のサンプル322が使用されている場合は、同じ溶液吸収具10が、その複数個の上側ウェル112に使用されてもよく、溶液吸収具10はサンプル322および洗浄液324を上側ウェル112に残さずに吸収可能であればよい。より望ましくは、一つの溶液吸収具10が同一の上側ウェル112に対して使用されるとよい。
図12は、図11に示される洗浄液除去工程に続く撮影工程を示している。撮影工程では、図12示しているように、固相坦体152は、光学顕微鏡270(例えば蛍光顕微鏡)の下方に、より詳しくは、その対物レンズの下方に配置され、光学顕微鏡270内のCCDカメラ等により撮影される。
図6〜図12に示される生体関連物質の検査は、サンプル分注工程とハイブリダイゼーション工程、洗浄工程、検出工程とを含んでいるが、これらの工程を必ずしも含んでいる必要はない。例えば、図8のサンプル除去工程後に図12の撮影工程を行ない、実験者にとって十分に満足できる結果が得られる場合には、図9〜図11の洗浄工程は省略されてもよい。
図8に示されるサンプル除去工程と図11に示される洗浄液除去工程では、操作者が把持部12を直接掴んで操作し、溶液が吸収部14に吸収されるあいだ溶液吸収具10をそのままに保つことを想定しているが、その手法は必ずしもこれに限定されるものではない。
図13は、溶液吸収具と溶液除去の手法の変形例を示している。この変形例では、図13に示されるように、溶液吸収具10Dは短い把持部12Dを有している。操作者は、把持部12Dを手またはピンセット332で掴んで操作して、溶液吸収具10Dの吸収部14をサンプル322が貯留した上側ウェル112に挿入する。固相坦体152に吸収部14の一部が接触させ状態で、溶液吸収具10Dを放し、所定時間のあいだ、溶液吸収具10Dをそのまま放置する。その結果、溶液326(サンプルまたは洗浄液)は吸収部14に吸収される。所定時間経過後すなわち溶液吸収後、操作者は、把持部12Dを手またはピンセット332で掴んで、溶液吸収具10Dを上側ウェル112から出す。
ここでは、把持部を有した溶液吸収具について説明したが、必ずしも把持部は必要なく、把持部を有さない溶液吸収具を、例えば、ピンセット等でつまんだまま、溶液を吸収し、溶液を吸収した溶液吸収具を取り除くことも可能である。
図8に示されるサンプル除去工程と図11に示される洗浄液除去工程において、固相坦体152に対する吸収部14の接触圧力は適当に加減されるとよい。表1は、多孔質部に対する溶液吸収部の接触圧力と、多孔質部が破損しない歩留まりを示している。
表1で用いた多孔質部は厚さ60μmのアルミニウムの陽極酸化膜基板に固相化処理をしたものである。反応容器に備えた支持部からの多孔質部の露出部は直径約6.0mmであり、多孔質部が破損するまで露出部の中央部分に対して圧力を加えた。測定は全部で113回行なった。
表1より、接触圧力が15N/mm2以下だと多孔質部は全て破損しない。また、接触圧力が150N/mm2以下だと60%の多孔質部が破損せず、40%の多孔質部が破損する。望ましくは、全ての多孔質部が破損しないことであるため、吸収部の接触圧力は15N/mm2以下がより望ましい。
ここで用いた多孔質部のアルミニウムの陽極酸化膜基板の気孔率は40〜60%である。多孔質部の気孔率によって強度は異なり、多孔質部の厚みによっても強度は異なる。基本的には、多孔質部の厚みが同じで気孔率が1/2になった場合、気孔率が同じで厚みが倍になった場合に、強度は二倍になる。従って、多孔質部の破損が起こる接触圧力は二倍になる。このように、基板の厚み、気孔率などを鑑みて、適切な接触圧力を設定することが好ましい。
他の材質、例えば、多孔質ガラスやシリコンウェハーをエッチングした多孔質体を基板に用いた場合にも、基板の厚み、気孔率等が同等であれば、破損強度は大きく異なることはない。そこで、基板の厚み、気孔率などを鑑みて、適切な接触圧力を設定することが好ましい。
多孔質部が、例えば紙や繊維である場合は、溶液吸収部による接触圧力が接触圧力が15N/mm2を越えても破損はしない。しかし、溶液吸収部を中心として屈曲するために撮影工程時に多孔質部の焦点位置がずれる可能性があるため、正しい検出結果を得ることができない。よって、15N/mm2以下であることがより望ましい。
第二実施形態
本実施形態は、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において固相担体から溶液を除去するための別の溶液吸収具とそれを用いた溶液除去方法に向けられている。図14は、本発明の第二実施形態における溶液吸収具を示している。図中、(A)は溶液吸収具の正面図、(B)は溶液吸収具の側面図である。
本実施形態は、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において固相担体から溶液を除去するための別の溶液吸収具とそれを用いた溶液除去方法に向けられている。図14は、本発明の第二実施形態における溶液吸収具を示している。図中、(A)は溶液吸収具の正面図、(B)は溶液吸収具の側面図である。
図14に示されるように、本実施形態の溶液吸収具20は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部24と、操作者によって把持されるための把持部22とを備えている。把持部22は、吸収部14を保持するための吸収部挿入溝23を有している。
把持部22と吸収部24と吸収部挿入溝23の詳細は、それぞれ、第一実施形態の溶液吸収具10における把持部12と吸収部14と吸収部挿入溝13と同様である。また、吸収部24を保持する手法は第一実施形態と同様である。
把持部22は、吸収部24が図3に示される反応容器100の上側ウェル112の中に入れられた際に、上側ウェル112の開口部の周りの反応容器100の上面と接触するフランジ26を備えている。フランジ26は、好ましくは、上側ウェル112の開口部の周りの反応容器の上面に接触した状態において、吸収部の一部が固相担体に過度に接触し過ぎない位置に設けられている。
フランジ26は、例えば、直径8mmの円形の板であってよい。寸法はこれに限定されるものではないが、操作者にとって微小な領域での作業の簡易化を考えると、この寸法から大きく外れることはない。フランジ26の最大寸法は9mm未満であると、より好適である。これは、理化学機器で広く一般的に使用されている96穴マイクロタイタープレートのウェル間のピッチが9mmであり、周辺の器具等に設けられたウェルもそれに合わせて9mmピッチで配列されることが多いことに依っている。フランジ26の最大寸法を9mm未満とすることにより、ウェルに合わせる形で溶液吸収具20を並列して使用することが可能となる。
フランジ26の形状は円形の板状に限定されるものではない。例えば、フランジ26の形状は多角形の板状であってもよい。また、フランジ26の形状は板状に限定されるものでもない。例えば、フランジ26の形状は、球体や多面体、または、それらの一部であってもよい。
フランジ26の材料は、把持部と同様に、樹脂や金属など、溶液を吸収浸透させない材料であるとよい。溶液吸収具20が、使用後に廃棄される、つまり使い捨てであることを考慮すると、フランジ26の材料は樹脂材料が好適である。
フランジ26と把持部22は一体的に形成されるとよい。あるいは、フランジ26と把持部22は、元々は二つの独立した部品として形成され、後に接着等の手法によって接合されてもよい。
フランジ26は、どのような色をしていてもよいが、好ましくは、操作時に操作者が上側ウェル112内の様子を観察できるように透明であると、より好適である。フランジが不透明な場合は、切り欠きや穴等を有し、上側ウェル内の様子を観察することができるのが好ましい。
図15は、本実施形態における別の溶液吸収具を示している。溶液吸収具20Aは、円柱形状の把持部22Aを有しており、把持部22Aは例えば直径8mmであり、その端面が実質的にフランジとして働く。把持部22Aは、前述した理由から、最大直径が9mm未満であるとよい。
図16は、本実施形態における溶液(サンプルまたは洗浄液)の除去工程を示している。図16に示されるように、操作者は溶液吸収具20の把持部22を掴んで操作して、溶液吸収具20の吸収部24を溶液(サンプルまたは洗浄液)が貯留した上側ウェル112に挿入して、フランジ26を上側ウェル112の開口部の周りの反応容器100の上面に接触させる。この状態において、吸収部24は上側ウェル112内の溶液と接触する。所定時間のあいだ、溶液吸収具20をその状態に維持する。その結果、溶液は吸収部24に吸収される。所定時間経過後すなわち溶液吸収後、溶液吸収具20を上側ウェル112から出す。溶液を吸収した溶液吸収具20は、必要に応じて、廃棄される。
吸収部24は、フランジ26が上側ウェル112の開口部の周りの反応容器100の上面に接触された際に、必ずしも固相坦体152に接触する必要はない。その場合、上側ウェル112に貯留した溶液を吸収部24の先端近くの高さまで除去することが可能である。つまり、固相坦体152から吸収部24の先端近くの高さまで溶液が残留する。
このため、より好ましくは、吸収部24は、フランジ26が上側ウェル112の開口部の周りの反応容器100の上面に接触された際に、固相坦体152に接触するとよい。この場合、上側ウェル112に貯留した溶液のほとんど全部を除去することが可能である。これは、サンプルと新鮮な洗浄液をより多く置換することを可能とし、これにより、洗浄効率を高め、実験時間の短縮化、実験結果の高精度化に繋がる。
吸収部24が接触される固相坦体152の部分は、ハイブリダイゼーション反応プローブの存在しない箇所がよい。ハイブリダイゼーション反応プローブの存在しない好適な箇所は、例えば、固相坦体152の中央部である。
更に、固相坦体の中央部に吸収部を接触させると、ウェルの外周部に対しての距離が均等になり、溶液を吸収するのに必要な時間が短くなる。また、溶液はウェルの外周部に残りやすいため、固相坦体の中央部に吸収部を接触させた後に、ウェルの外周部に接触させる等、接触位置を変更すると溶液を十分に吸収できるので好ましい。
第三実施形態
本実施形態は、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において固相担体から溶液を除去するための別の溶液吸収具とそれを用いた溶液除去方法に向けられている。
本実施形態は、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において固相担体から溶液を除去するための別の溶液吸収具とそれを用いた溶液除去方法に向けられている。
図17は、本発明の第三実施形態における溶液吸収具を示している。図17に示されるように、溶液吸収具30は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部34と、ピペッタまたはピペッタ装置のノズル312に嵌合可能な嵌合部32とを備えている。吸収部34は嵌合部32に保持されている。
吸収部34は円錐台形状を有している。吸収部34の形状はこれに限定されるものではない。しかし、吸収部34は、一端から他端に向かうに連れて徐々に細くなる形状を有しているとよい。図18は、他の形状の吸収部を有する別の溶液吸収具を示している。溶液吸収具30Aは台形の板状の形状の吸収部34Aを有している。
嵌合部32は、貫通穴を有しており、この貫通穴には、ピペッタまたはピペッタ装置のノズル312(図20と図21を参照)が押し込まれる。嵌合部32は、ノズル312の押し込みに対して弾性変形を起こし、その復元力によりノズル312に保持される。その結果、溶液吸収具30はピペッタまたはピペッタ装置のノズル312に取り付けられる。
嵌合部32の材料は、樹脂や金属などであってよい。より好適には、溶液を吸収浸透せず、溶液吸収具30の廃棄に優位な樹脂材料であるとよい。
図19は、本実施形態におけるサンプル分注工程を示している。サンプル分注工程では、ピペッタまたはピペッタ装置は、溶液の量を高い精度で制御できるため、好適に使用される。ピペッタまたはピペッタ装置は、図19に示されるように、下端部がテーパー状(先端部に行くほど適度な角度をもって細くなる)のノズル312を有している。このノズル312には、試料間の汚染を避けるために一回の操作毎に破棄される使い捨てのノズルチップ314が嵌合により取り付けられる。サンプル322は、ノズルチップ314の先端から反応容器100の上側ウェル112に定量分注される。以下では、サンプル322の分注はピペッタを用いて行なわれるものとする。
図20は、図17に示される溶液吸収具のピペッタのノズルへの取り付け工程を示している。図20に示されるように、分注後、ピペッタのノズル312からノズルチップ314が取り外され、代わりに、本実施形態の溶液吸収具30がピペッタのノズル312に嵌合により取り付けられる。
ノズルチップ314と溶液吸収具30は、ピペッタのノズル312が挿入可能な開口部を有しており、その開口部にピペッタのノズル312が押し込まれることにより僅かに弾性変形を起こし、その復元力に基づく摩擦力によりピペッタのノズル312に保持される。また、ピペッタのノズル312に保持されているノズルチップ314と溶液吸収具30は、ノズル312の先端方向に力を加えることにより、簡単に取り外され得る。
ノズルチップ314が取り付けられるピペッタと溶液吸収具30が取り付けられるピペッタは必ずしも同一である必要はない。しかし、同一である方が、ピペッタを複数本用意する必要がなく、検査を簡易に行なえるために、より好適である。
吸収具30は必ずしもピペッタに嵌合させる必要はなく、溶液吸収具を、溶液吸収具を保持している所から、反応容器まで移動するための移動手段に嵌合させることもできる。ただし、ピペッタに嵌合させて、吸引動作を行ないながら溶液を吸収させると、吸収速度が速くなるのでより好ましい。
図21は、図17に示される溶液吸収具を用いたハイブリダイゼーション後のサンプル除去工程を示している。図21に示されるように、操作者は、ノズル312に溶液吸収具30が取り付けられたピペッタを掴んで操作して、溶液吸収具30の吸収部34をサンプル溶液が貯留した上側ウェル112に挿入する。固相坦体152に吸収部の一部を接触させ、所定時間のあいだ、溶液吸収具30をその状態に維持する。その結果、サンプル322は吸収部34に吸収される。所定時間経過後すなわちサンプル吸収後、溶液吸収具30の吸収部34を上側ウェル112から取り出す。サンプルを吸収した溶液吸収具は、コンタミネーション防止のため、ピペッタのノズル312から取り外され廃棄される。
図21では、吸収部34の先端は、固相坦体152の中央に接触されているが、固相坦体152のどこに接触されてもよい。また、吸収部34の先端が接触されているが、吸収部は、どこが接触されてもよいが、より望ましくは、先端が接触されるとよい。固相坦体152と吸収部34の接触個所は、好ましくは、ハイブリダイゼーション反応プローブが存在しない箇所がよく、より好ましくは、固相坦体152の中央部がよい。
更に、固相坦体の中央部に吸収部を接触させると、ウェルの外周部に対しての距離が均等になり、溶液を吸収するのに必要な時間が短くなる。また、溶液はウェルの外周部に残りやすいため、固相坦体の中央部に吸収部を接触させた後に、ウェルの外周部に接触させる等、接触位置を変更すると溶液を十分に吸収できるので好ましい。
ここでは、本実施形態の溶液吸収具30がピペッタに適用された例について述べたが、溶液吸収具30はピペッタ装置にも同様に適用可能であり、ピペッタ装置に対しても図19〜図21の工程は全く同様に行なわれる。
また、本実施形態の溶液吸収具30がサンプル除去に適用された例について述べたが、溶液吸収具30は洗浄液除去にも同様に適用可能であり、洗浄液除去に対しても図19〜図21の工程は全く同様に行なわれる。
サンプルに対する(分注と除去)工程と洗浄液に対する(分注と除去)工程とにおいて、ピペッタは必ずしも同一である必要はない。しかし、同一である方が、ピペッタを複数本用意する必要がなく、検査を簡易に行なえるために、より好適である。
本実施形態の溶液吸収具は、ピペッタまたはピペッタ装置に取り付け可能であるため、異なる目的の機能を少ない機構で実現することができる。つまり、分注工程と溶液除去工程とにおいて、それぞれの工程で使用されるノズルチップ314と溶液吸収具30をハンドリングする装置としてピペッタまたはピペッタ装置を兼用できる。このため、分注工程と溶液除去工程を含む検査工程の自動化を図った場合に、ノズルチップ314と溶液吸収具30のハンドリング装置が兼用できるため、その自動化装置を比較的簡単な構成で実現することが可能となる。
本実施形態は、様々な変形が施されてもよい。例えば、吸収部自体に嵌合部が設けられてもよい。つまり、吸収部が嵌合部を兼ね備えていてもよい。また、嵌合部が第二実施形態と同様のフランジを備えていてもよい。これにより、溶液吸収具と固相坦体152との接触圧を制御することが可能となる。
第四実施形態
本実施形態は、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において固相担体から溶液を除去するための別の溶液吸収具とそれを用いた溶液除去方法に向けられている。
本実施形態は、固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において固相担体から溶液を除去するための別の溶液吸収具とそれを用いた溶液除去方法に向けられている。
図22は、本発明の第四実施形態における溶液吸収具を示している。図中、図中、(A)は溶液吸収具の正面図、(B)は溶液吸収具の縦断面図、(C)は溶液吸収具の横断面図である。図22に示されるように、溶液吸収具40は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部44と、吸収部44の少なくとも一部を取り囲む保護カバー部材42とを備えている。吸収部44は保護カバー部材42に保持されている。保護カバー部材42は、操作者によって把持される把持部を兼ねている。
吸収部44は少なくともその一部が保護カバー部材42の内部に挿入され、これにより側面方向が位置決めされ、図示されていない固定手段によって上下方向が位置決めされている。固定手段は、例えば、接着剤等により化学的に固定する手法や、ネジ等により機械的に固定する手法であってよい。
吸収部44は、例えば円柱形状を有しているが、吸収部44の形状はこれに限定されるものでない。吸収部44は、円錐形状や円錐台形状や多角形柱形状を有していてもよい。保護カバー部材42は円筒形状を有しているが、保護カバー部材42の形状はこれに限定されるものでない。保護カバー部材42は、円錐中空形状や多角形柱中空形状を有していてもよい。
図22に示される溶液吸収具40においては、吸収部44は完全に保護カバー部材42の内部に位置しており、吸収部44の下端は保護カバー部材42の下端よりも上方に位置している。しかし、吸収部44の下端と保護カバー部材42の下端の位置関係はこれに限定されるものでない。
図23は、本実施形態における別の溶液吸収具を示している。図23に示される溶液吸収具40Aでは、吸収部44の下端が保護カバー部材42の下端と一致している。このように、吸収部44の下端は、保護カバー部材42の下端と一致していてもよい。
しかし、このような構成においては、ゴミ等の異物が吸収部44に付着し易いため、溶液除去工程前にゴミ等の異物が吸収部44に付着し、吸収部44に付着した異物が溶液除去工程時に固相坦体152に落下して、測定結果に悪影響を与えることが懸念される。このため、吸収部44へのゴミ等の異物の付着を避けるという目的においては、吸収部44の下端は保護カバー部材42の下端よりも上方に位置している方が好適である。
図24は、図22に示される溶液吸収具を用いたハイブリダイゼーション後のサンプル除去工程を示している。図24に示されるように、操作者は溶液吸収具40の保護カバー部材42を掴んで操作して、溶液吸収具40をサンプル322が貯留した上側ウェル112に挿入する。保護カバー部材42の外径は、上側ウェル112の下端の径よりも小さく、固相坦体152を露出させる上側支持板154aの開口よりも大きい。その結果、保護カバー部材42の下端は上側支持板154aと接触するが、吸収部44は固相坦体152と一切接触しない。所定時間のあいだ、溶液吸収具40をこの状態のままに維持する。その結果、サンプル322は吸収部44に吸収される。所定時間経過後すなわちサンプル吸収後、溶液吸収具40を上側ウェル112から取り出す。サンプルを吸収した溶液吸収具40は、コンタミネーション防止のため、廃棄される。
本実施形態の溶液吸収具40においては、吸収部44が固相坦体152と一切接触しないので、操作者は接触箇所を気にしなくてよい。また、固相坦体152に過度の力が掛かる心配がない。従って、第一実施形態〜第三実施形態におけるサンプル除去工程と比べて容易に作業を行なうことができる。
図25は、図22に示される溶液吸収具を用いた洗浄液除去工程を示している。図25に示されるように、サンプル除去工程と同様に、洗浄液324が貯留した上側ウェル112に溶液吸収具40が挿入され、保護カバー部材42の下端が上側支持板154aと接触した状態に、所定時間のあいだ維持される。その結果、洗浄液324は吸収部44に吸収される。所定時間経過後すなわち洗浄液吸収後、溶液吸収具40は上側ウェル112から取り除かれる。
図26は、図25に示される洗浄液除去工程後の固相坦体の周辺部を拡大して示している。図22に示される溶液吸収具40は吸収部44の下端が保護カバー部材42の下端よりも上方に位置しているため、図26に示されるように、図25に示される洗浄液除去工程後、固相坦体152の上に洗浄液324が残る。
図27は、図26に続く残留する洗浄液の吸引工程を示している。固相坦体152の上に残った洗浄液324は、図27に示されるように、シリンジピストンポンプ242(図24参照)により吸引されて固相坦体152の下方に移動される。
本実施形態の溶液吸収具40は吸収部44の下端が保護カバー部材42の下端よりも上方に位置しているため、吸収部44が固相坦体152に接触しないため、洗浄液324が残留し易くなるものの、シリンジピストンポンプにより洗浄液324を下側ウェル132に吸引して固相坦体152を通過させることにより、撮影時に上側ウェル112に液残りが無いようにすることができる。
図27に示される吸引工程は、必ずしも洗浄液を置換する度に行なう必要はなく、最低限撮影前に行なえばよい。
図28は、本実施形態における別の溶液吸収具を示している。図28に示される溶液吸収具40Bでは、吸収部44の下端が保護カバー部材42の下端より下方に位置している。つまり、吸収部44は、その下端部が保護カバー部材42から突出しており、保護カバー部材42が上側支持板154aと接触した状態で固相坦体152に接触する。このような溶液吸収具40Bは、より多くの溶液を吸収し得るため、上側ウェル112に溶液が残り難い。このため、図27に示されるシリンジピストンポンプによる溶液の吸引工程が不要となり、検査時間の短縮に有用である。
図29は、第四実施形態における別の溶液吸収具を示している。図中、(A)は溶液吸収具の縦断面図、(B)は溶液吸収具の斜視図である。図29に示される溶液吸収具40Cは、吸収部44を移動させて吸収部44の一部を保護カバー部材42から突出させるためのレバー48を更に備えている。保護カバー部材42は縦に延びるガイド溝46を有しており、レバー48はガイド溝46に沿って移動可能であり、吸収部44はレバー48の移動に従って保護カバー部材42から突出される。
溶液吸収具40Cは、溶液除去工程前では、図29に実線で示されるように、吸収部44は保護カバー部材42の内部に配置されている。これにより、吸収部44にゴミ等の異物の付着が効果的に防止される。
溶液吸収具40Cは、溶液除去工程の際、保護カバー部材42の下端が上側支持板154aに接触された後、図29に想像線で示されるように、レバー48がガイド溝46に沿って下げられ、吸収部44が、図28に示されるように固相坦体152に接触するまで、保護カバー部材42から突出される。これにより、より多くの溶液が吸収部44に吸収され得る。
吸収部44の突出は保護カバー部材42の下端が上側支持板154aに接触される前に行なわれてもよい。
吸収部44の一部を保護カバー部材42から突出させる機構は、ここに示したものに限定されるものではない。例えば、バネとピストンの組み合わせ等により、吸収部44を露出させ収納する機構であってもよい。また、吸収部材に上部に、緩衝部材を設けると、固相坦体へ過度な接触圧がかからないようにすることができ好ましい。緩衝部材としては、種々のばねやスポンジ等を使用することができる。
図30は、第四実施形態における別の溶液吸収具を示している。図中、(A)は溶液吸収具の斜視図、(B)は溶液吸収具の縦断面図である。図30に示される溶液吸収具40Dは、保護カバー部材42が円錐台の筒状の形状を有しており、ピペッタまたはピペッタ装置のノズル312に嵌合可能である。吸収部44は、円錐台形状を有しており、保護カバー部材42の内部に収容されている。更に、吸収部44は、その下端が保護カバー部材42の下端よりも上方に位置しているため、ゴミ等の異物が付着し難い。
溶液吸収具40Dは、溶液除去工程の際、吸収部44による溶液の自然な吸収に加えて、ピペッタまたはピペッタ装置により溶液を吸引することにより、より多くの溶液を吸収部44に吸収させることが可能である。その結果、上側ウェル112に溶液が残り難いため、図27に示されるシリンジピストンポンプによる溶液の吸引工程が不要となり、検査時間の短縮に有用である。
これまで、図面を参照しながら本発明の実施の形態を述べたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
上述した実施形態はいずれも、溶液を透過し得る固相坦体に対して本発明を適用した例であるが、本発明は、溶液を透過し得ない固相坦体に対しても全く同様に適用可能である。
例えば、シリコンウェハやガラスのような二次元基板、種々のビーズ、種々の多孔質基板、種々のゲルを適用することが可能である。基板に空隙を有している多孔質体やビーズ等を容器に入れたものを用いた場合に、本発明の溶液吸収具を適用すると、基板の空隙内に残留した溶液も吸引することができるので、溶液の除去を十分に行なうことができるので、特に好ましい。
10…溶液吸収具、10A…溶液吸収具、10B…溶液吸収具、10C…溶液吸収具、10D…溶液吸収具、12…把持部、12D…把持部、14…吸収部、14A…吸収部、14B…吸収部、14C…吸収部、20…溶液吸収具、20A…溶液吸収具、22…把持部、22A…把持部、24…吸収部、26…フランジ、30…溶液吸収具、30A…溶液吸収具、32…嵌合部、34…吸収部、34A…吸収部、40…溶液吸収具、40A…溶液吸収具、40B…溶液吸収具、40C…溶液吸収具、40D…溶液吸収具、42…保護カバー部材、44…吸収部、48…レバー。
Claims (21)
- 固相坦体を利用した生体関連物質反応検査の溶液除去方法において、固相担体から溶液を溶液吸収具で吸収することを特徴とする溶液除去方法。
- 光学的に観察され得る固相担体上に貯留した溶液を溶液吸収具で吸収することを特徴とする請求項1に記載の溶液除去方法。
- 溶液吸収具の少なくとも一部を固相担体に接触させることによって固相担体上に貯留した溶液を吸収することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶液除去方法。
- 固相坦体を利用した生体関連物質反応検査において固相担体から溶液を除去するための溶液吸収具であり、少なくともその一部が吸収材料である吸収部を有していることを特徴とする溶液吸収具。
- 吸収材料は、少なくともその一部がスポンジであることを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- スポンジは、セルロース、ポリアミド系合成樹脂、ポリビニルアルコール、親水性ポリウレタン、親水化ポリオレフィン、軟質塩化ビニルのいずれか、または、これらの複合体によって形成されることを特徴とする請求項5に記載の溶液吸収具。
- 吸収材料は、少なくともその一部が繊維であることを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- 繊維は、セルロース、ポリアミド系合成樹脂、レーヨン、ガラス繊維、キトサン、親水性ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレンのいずれか、または、これらの複合体によって形成されることを特徴とする請求項7に記載の溶液吸収具。
- 吸収材料は、少なくともその一部が高分子吸収剤であることを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- 吸収材料は、少なくともその一部が吸水紙であることを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- 吸収材料は、少なくともその一部がプラスチック焼結多孔質体であることを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- 吸収材料は、少なくともその一部が多孔質セラミックであることを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- 吸収材料は、液体を吸収した部分の少なくとも一部が変色することを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- 吸収部は、一端から他端に向かうに連れて徐々に細くなる形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- 溶液吸収具は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部と、把持されるための把持部とを備えており、吸収部は把持部に保持されていることを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- 固相担体は容器に収容されており、容器は開口可能であり、把持部は吸収部が容器に入れられた際に、容器の開口部の周囲の面と接触するフランジを備えていることを特徴とする請求項15に記載の溶液吸収具。
- フランジは、容器の上面に接触した状態において、吸収部の一部が固相担体に過度に接触し過ぎない位置に設けられていることを特徴とする請求項16に記載の溶液吸収具。
- 溶液吸収具は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部と、溶液吸収具の移動手段に嵌合可能な嵌合部とを備えており、吸収部は嵌合部に保持されていることを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- 溶液吸収具は、少なくともその一部が吸収材料である吸収部と、吸収部の少なくとも一部を取り囲む保護カバー部材とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の溶液吸収具。
- 吸収部を移動させて吸収部の一部を保護カバー部材から突出させるためのレバーを更に備えていることを特徴とする請求項19に記載の溶液吸収具。
- 保護カバー部材が、溶液吸収具の移動手段に嵌合可能であることを特徴とする請求項19に記載の溶液吸収具。
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