JP2005055153A - 熱交換器 - Google Patents

Abstract

【課題】 安価で短時間に製造することができ、材質の劣化を抑制することのできる熱交換器を提供する。
【解決手段】 パイプ２内又は複数のパイプ３間にフィン１、６を挿入して高熱流体通路を形成し、この高熱流体通路に隣接して低熱流体通路を形成した熱交換器において、前記フィン１、６をオーステナイト系ステンレスで構成し、前記パイプ２、３をフェライト系ステンレスで構成する。この熱交換器において、前記パイプ壁面に溝１１、５を形成し、その溝１１、５に前記フィン１、６がはめ込まれる構造とすることが望ましく、前記パイプ２、３と前記フィン１、６とを、ロウ付けなしで固定することが望ましい。
【選択図】 図１

Description

本発明は熱交換器に関し、特にパイプとフィンの固定を容易にし、劣化も起こりにくい熱交換器に関する。

細長パイプに波型フィンを挿入して流路を形成し、高温流路と低温流路を交差又は平行させて重ねることで熱交換を実現した熱交換器が知られている。

例えば特開２０００−１６１８８８号公報には、細長パイプと波型フィンとをロウ付けで固定した熱交換器において、パイプ内面にフィンとの係合部を設けることが記載されている。

また、実願平２−１０２７２６号（実開平４−６３９８８号）のマイクロフィルムには、オーステナイト系ステンレス製の熱交換器において、低温側流体通路内のフィンのみをフェライト系ステンレスで構成することが記載されている。
特開２０００−１６１８８８号公報 実願平２−１０２７２６号（実開平４−６３９８８号）のマイクロフィルム

しかしながら、細長パイプに波型フィンをロウ付けで固定するためには、昇温、ロウ付け、冷却の工程を経る必要があり、１〜３時間もの時間がかかる。また、ロウ材はニッケル、銀、銅など高価な材料を用いるので、より安価に製造できる方法が望まれる。

更に、ロウ付け接合は、細長パイプと波型フィンの間にロウ材を添加するので、ロウ材と細長パイプ及び波型フィンとの間で元素が拡散し、材質が劣化するという問題がある。

本発明は、上記従来技術の問題を解決し、安価で短時間に製造することができ、材質の劣化を抑制することのできる熱交換器を提供することを課題とする。

上記課題を解決するため、本発明の熱交換器は、パイプ内又は複数のパイプの間にフィンを挿入して高熱流体通路を形成し、この高熱流体通路に隣接して低熱流体通路を形成した熱交換器において、前記フィンをオーステナイト系ステンレスで構成し、前記パイプをフェライト系ステンレスで構成したものである。

上記熱交換器において、前記パイプ壁面に溝を形成し、その溝に前記フィンがはめ込まれる構造とすることが望ましく、前記パイプと前記フィンとを、ロウ付けなしで固定することが望ましい。

本発明の他の熱交換器は、パイプ内又は複数のパイプの間にフィンを挿入して流路を形成した熱交換器において、パイプ壁面に溝を形成し、その溝に前記フィンがはめ込まれる構造とし、ロウ付けなしで固定したものである。

本発明によれば、安価で短時間に製造することができ、材質の劣化を抑制することのできる熱交換器を提供することができる。

次に、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。

＜１．第１実施形態＞
図１は、本発明の第１実施形態に係る直交式の熱交換器の一部分の構造を説明する斜視図である。この熱交換器は、円筒をつぶした楕円状の細長パイプ２を複数ならべて構成され、このパイプ２内を矢印α方向に高熱流体が、複数のパイプ２の間を矢印β方向に冷媒が、それぞれ流れるようになっている。

図２は、図１のＢ−Ｂ線による切断面を示した図である。高熱流体が流れるパイプ２の内壁面には、高熱流体の流路方向αに延びる溝１１が複数形成されている。そして、パイプ２内には、波型のフィン１が挿入固定されている。フィン１は、パイプ２の壁面に形成された溝１１にはめ込まれている。

図１に上部のみ示すように、パイプ２の両端には、矢印α方向の流通口８を形成した仕切り板７が当接しており、仕切り板７は、矢印β方向の流路範囲を仕切っている。

フィン１の材質としては、熱膨張係数の大きなオーステナイト系ステンレス鋼、例えばＳＵＳ３０４（熱膨張係数１７．６×１０^−６／℃）を使用する。その他の部分の材質としては、熱膨張係数の小さなフェライト系ステンレス鋼、例えばＳＵＳ４３０（熱膨張係数１０．１×１０^−６／℃）を使用する。

上記の構成により、高熱流体をフィン１のある側に通す熱交換器において、フィン１の熱膨張量が細長パイプ２より大きいため、フィン１とパイプ２の密着度が組付け時より増す。これにより、ロウ付けで一体化した熱交換器と同様な熱伝達を可能にする。すなわち、高温ガスがパイプ２内へα方向に進入する場合、熱膨張係数が大きなオーステナイト系ステンレス製のフィン１が膨張し、熱膨張係数の小さなフェライト系ステンレス製のパイプ２の側壁に対して押し付けられる。これによりフィン１とパイプ２に形成された溝１１のはめ込み時の隙間４をなくし、フィン１からパイプ２への熱伝達を良好にする。これによりロウ付けを不要にすることができる。

＜２．第２実施形態＞
図４は、本発明の第２実施形態に係る直交式の熱交換器の一部分の構造を説明する斜視図である。第１実施形態と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。

この熱交換器は、円筒をつぶした楕円状の細長パイプ３を複数ならべて構成され、これら複数のパイプ３の間を矢印β方向に高熱流体が、パイプ３内を矢印α方向に冷媒が、それぞれ流れるようになっている。

パイプ３の外壁面には、高熱流体の流路方向βに延びる溝５が複数形成されている。そして、高熱流体が流れる複数のパイプ３の間には、波型のフィン６が挿入固定されている。フィン６は、パイプ３の壁面に形成された溝５にはめ込まれている。

なお、図４の右半分には既にフィン６がはめ込まれた後の状態が示され、左半分にはフィン６がはめ込まれる前の状態が示されている。図４のＡ−Ａ線での切断面をとると、第１実施形態の図２と同様に、細長パイプ３の壁面に形成された溝５に、フィン６がはめ込まれた構造が現れる（図示省略）。

上記の構成により、高温ガスをフィン６のある側に通す熱交換器において、フィン６の熱膨張量が細長パイプ３より大きいため、フィン６とパイプ３の密着度が組付け時より増す。これにより、ロウ付けで一体化した熱交換器と同様な熱伝達を可能にする。

＜３．製造方法＞
図３は、上記第１実施形態に係る熱交換器におけるパイプ２の製造工程を示す図であり、図５は、上記第２実施形態に係る熱交換器におけるパイプ３の製造工程を示す図である。これらの図に示すように、オーステナイト系ステンレス製鋼板９、１０を適切な大きさに裁断し、溝１１、５を複数形成したものを、筒状に丸めることによってパイプ２、３を製造する。パイプ２内にフィン１を挿入する第１実施形態においては、予めフィン１を鋼板９に挟んでから筒状のパイプ２に加工する。筒状に丸めた後は鋼板９、１０の両端の接合部分を溶接する。以上のような作業はせいぜい３〜５分程度で済み、ロウ付けの場合と比べて製造時間の大幅な短縮を図ることができる。

＜４．適用例＞
本発明は種々の熱交換器に適用することが可能であるが、特にフェライト系ステンレス鋼を使用するので、熱交換器の冷却水の流速が遅くキャビテーション腐食が起こりにくい条件で使用できるＥＧＲ（Exhaust Gas Recirculation）クーラーなどに、好適に用いることができる。このＥＧＲクーラーは、内燃機関の排気ガス中の窒素酸化物を低減するために、排気ガスの一部を排気系から取り出し、吸気系へ再循環させる排気ガス再循環装置（ＥＧＲ装置）において、高温の排気ガスを吸気系に再導入する前に冷却するための熱交換器である。

本発明の第１実施形態に係る直交式の熱交換器の一部分の構造を説明する斜視図である。 図１のＢ−Ｂ線による切断面を示した図である。 上記第１実施形態に係る熱交換器におけるパイプ２の製造工程を示す図である。 本発明の第２実施形態に係る直交式の熱交換器の一部分の構造を説明する斜視図である。 上記第２実施形態に係る熱交換器におけるパイプ３の製造工程を示す図である。

符号の説明

２、３ パイプ
１、６ フィン
１１、５ 溝
４ 隙間
α、β 流路方向

Claims (4)

1. パイプ内又は複数のパイプの間にフィンを挿入して高熱流体通路を形成し、この高熱流体通路に隣接して低熱流体通路を形成した熱交換器において、前記フィンをオーステナイト系ステンレスで構成し、前記パイプをフェライト系ステンレスで構成した、熱交換器。
2. 請求項１において、
   前記パイプ壁面に溝を形成し、その溝に前記フィンがはめ込まれる構造とした、熱交換器。
3. 請求項２において、
   前記パイプと前記フィンとを、ロウ付けなしで固定した、熱交換器。
4. パイプ内又は複数のパイプの間にフィンを挿入して流路を形成した熱交換器において、パイプ壁面に溝を形成し、その溝に前記フィンがはめ込まれる構造とし、ロウ付けなしで固定した、熱交換器。