JP2005054156A - 潤滑油、潤滑グリース及びそれを用いたトルクリミッタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 金属製の内輪とコイルばねで構成されるトルクリミッタ用に適し、高温・高湿環境下においても良好なトルク安定性を得ることができ、樹脂劣化防止性に優れる潤滑油又は潤滑グリースを提供する。
【解決手段】 ばね自身の緊縛力によりトルクを発生させる機構又は摩擦板をばねで押し付けることによりトルクを発生させる機構を有するトルクリミッタに使用する潤滑油又は潤滑グリースであって、基油が飽和合成炭化水素化合物であり、且つ、基油100重量部に対し、高湿トルク安定剤となるスルホン酸塩を0.01〜5重量部含有し、更に、脂肪族系のリン酸エステル及び亜リン酸エステルから選択される少なくとも1種のリン酸系エステルを1〜8重量%含有してなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、事務機等に使用されるトルクリミッタにおいて、潤滑に厳しい高温高湿の環境にも影響されず、発生トルクの安定化と軸受寿命の延長を図るために用いられる潤滑油組成物(潤滑油及び潤滑グリースを含む意味である)とそれを使用したトルクリミッタに関する。
トルクリミッタには、ばねの内輪に対するラジアル方向の緊縛力を利用したもの、摩擦板をばねで摩擦板にスラスト方向に押し当ててすりあわせてトルクを発生させるものがあるが、いずれも摩擦力によりトルクを発生させている。トルクリミッタに関する先行技術としては、下記特許文献1〜4等がある。
特開平8-270675号公報 特開平7-301248号公報 特開平6-235447号公報 実開平5-8062号公報 特開2002−249794号公報 特公平6-8272号公報 特許第2573635号公報
例えば、図1に示すトルクリミッタは金属製内輪1の外側に、大径部、小径部のあるコイルばね2が設けられ、ばねのフック2a、2bで蓋3、外套4に係り止めされている。外套4に圧入されている蓋3を回転させることにより、ばね2の内輪に対する緊迫力が連続的に変化してトルク調整は自由自在である。ばねの巻き方向により内輪の回転方向は制限される。
図2に示すトルクリミッタは金属製内輪1の外側に円筒状のコイルばね2が設けられており、ばねのフック2bにて外套4に係り止めされている。また、円筒状バネであるため、トルク調整は出来ないが、内輪に対する締め代を変化させたものを組み合せることによりばねの緊迫力は変化し、トルク値は決まり、トルク調整は可能となる。本形状もばねの巻き方向により内輪の回転方向は制限される。
図3に示すトルクリミッタはセパレート型の金属製内輪1の外側に図2と同様に円筒状のコイルばね2が設けられている。また、ばねは円筒状のため、トルク調整は出来ないが内輪に対するばねの締め代によりトルク値は決定される。本形状もばねの巻き方向により内輪の回転方向は制限される。
図4に示すトルクリミッタは金属製内輪1に摩擦板5がばね2により押し当てられており、内輪−摩擦板間に働く摩擦力にてトルクを発生させるものである。ばね2の押し当て力により摩擦力を変化させることが出来るため、トルク調整は可能である。本形状は内輪の回転方向はばねの巻き方向に依存しない。
これらトルクリミッタの内輪とばね又は摩擦板、摩擦板と摩擦板間の摩耗、異常発熱、焼付き異音等を防止するために潤滑油、グリースが用いられている。通常、トルクリミッタの内輪は金属の焼結材となっており、潤滑油やグリースを含浸させて使用する潤滑機構となっている。
トルクリミッタ用潤滑油及び潤滑グリースには、鉱物油、アルキルナフタレン、エステルなどを基油に使用し、耐摩耗剤等の各種添加剤を用途に応じて添加したものが多く使用されている。トルクリミッタに必要とされる性能は、長期間に渡っての油膜確保・維持であり、いかに金属接触を抑制し、摩擦係数を安定化できるかにより軸受の性能が左右される。特に、複写機、プリンタ等の紙送り装置やリボン・シート等のテンション機構に使用されるトルクリミッタには、トルクの変動が極めて少なく、且つ金属接触音を発生しない潤滑剤が要望されている。
また、トルクリミッタ使用の複写機等の事務機は、全世界いたるところで使用されるため、様々な環境下で問題なく使用できることが求められている。特に油膜形成が困難な高温・高湿(60℃以下、RH80%以下を想定)環境下において、トルクの変動が極めて少なく、且つ金属接触音を発生しない潤滑剤が要望されている。
更に、トルクリミッタの周辺部品には加工性の良いポリカーボネートやABS樹脂などの非結晶性の樹脂が使用され、トルクリミッタに使用される潤滑剤の漏洩等による油やその蒸気等の接触によって樹脂材にヒビ、ワレや面粗れが発生する場合がある。
複写機、プリンタの給紙部にはトルクリミッタが持つ発生トルクを利用して、紙さばき機構部品として使用される。高温・高湿環境下では、潤滑油の粘度が低下すると共に、空気中の水分が潤滑剤に浸入し、乳化を生じることによって潤滑面に水が介入する。そのため、油膜切れが早期に発生して異音やビビリ(トルク異常)を引き起こす。更に、トルクリミッタに使用されている潤滑剤が何らかの原因によりトルクリミッタ外部に漏洩や蒸発した場合、周辺部品、特にポリカーボネートやABS樹脂等の非結晶樹脂材への影響が懸念されるため、そのような樹脂材との相溶性の小さい潤滑剤基油が要求される。例えば、ナフテン系の鉱油やアルキルナフタレン又はアルキルジフェニルエーテルを基油に用いた潤滑剤は、油膜形成能力が高くトルクリミッタに必要とされるトルク性能等を満足させる潤滑剤として知られているが、そのような分子内に芳香環や極性基を持つ基油を主体とする潤滑剤では非結晶性樹脂材を溶解してしまう。
また、特許文献5に記載される飽和合成炭化水素油と脂肪族のリン酸エステルあるいは亜リン酸エステルの耐樹脂性を考慮した潤滑剤の組み合わせのみでは、高温・高湿環境下においてリン酸系エステルの加水分解による潤滑性の低下や水による潤滑性能の低下が生じるため、トルクリミッタに必要とされる潤滑性能(トルク性能)を十分満足できない。
特許文献6〜7には、高塩基性のスルホン酸カルシウム塩を製造する方法が記載され、これが潤滑油に配合されて、形成される酸を中和し、腐食を減少させることが記載されている。この高塩基性のスルホン酸カルシウム塩は、例えば、炭酸カルシウムを分散させることができ、これは水酸化カルシウム及びスルホン酸塩の存在下に炭酸ガスを吹き込むことにより得られる。
従って、本発明の目的は、摩擦式トルクリミッタ等において、高温・高湿環境下においても、トルクの変動が少なく、非含水時、含水時の油膜切れによる金属接触を抑制することにより軸受の長寿命化を可能とし、かつ耐樹脂性に優れた潤滑油及び潤滑グリースを提供することにある。他の目的は、この潤滑油及び潤滑グリースを封入したトルクリミッタを提供することにある。
すなわち、本発明は、基油が、ポリ−α−オレフィン、エチレン−α−オレフィン共重合体の水素化物及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の飽和合成炭化水素油である潤滑油又は潤滑グリースであって、基油100重量部に対し、脂肪族系のリン酸エステル及び脂肪族系の亜リン酸エステルから選択される少なくとも1種のリン酸系エステルを1〜8重量部配合し、且つ、高湿トルク安定剤としてスルホン酸金属塩を0.03〜3.0重量部配合してなる潤滑油又は潤滑グリースである。
また、本発明は、外部部材の内部に内輪を相対回転可能に嵌合し、上記内輪と外部部材との間にトルク伝達部材を介在し、上記内輪と外部部材の相対回転時に該内輪と上記トルク伝達部材との間の摩擦により所用のトルクを生じさせるようにしたトルクリミッタに、前記の潤滑油又は潤滑グリースを封入してなるトルクリミッタである。
本発明の潤滑油又は潤滑グリースは、ばね自身の緊縛力によりトルクを発生させる機構又は摩擦板をばねで押し付けることによりトルクを発生させる機構を有するようなトルクリミッタに好適に使用される。
本発明に用いる基油としては、飽和合成炭化水素油であるが、好ましくはα-オレフィンのオリゴマーであり、例えばブテン-1、イソブチレン-1、α−オクテン、デセン-1等の炭素数3〜20程度α-オレフィンの重合体又は共重合体の水素化物があり、これらは通常、常温液状のオリゴマーである。共重合体としては、エチレンと上記α-オレフィンの共重合体がある。本発明においては、基油として上記のものを2種以上組み合わせて使用することができる。
上記基油としては、ポリ−α−オレフィンあるいはエチレン−α−オレフィン共重合体の水素化物が好ましく用いられ、特にポリ−α−オレフィンとしては炭素数6〜18のα−オレフィンのオリゴマー水素化物が好ましく使用され、エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンの共重合体水素化物が好ましく使用される。
上記の基油は低温流動性に優れ、かつ高温領域での粘度変化が小さいため油膜形成能力が高い。従って、トルクリミッタの異音ならびに軸受の摩耗を抑制する効果が大きく、軸受の長寿命化が図れる。また、粘度−温度特性に優れるためトルクリミッタ回転数の変化に対するトルクの変動を小さく抑えることができる。更に、これらの基油は耐樹脂性に優れるため、何らかの原因によりトルクリミッタ外部に潤滑油組成物が漏洩した場合、周辺部品の樹脂材に接触した場合にも、樹脂材を溶解する問題も生じない。
本発明の潤滑油又はグリースには耐摩耗剤として、脂肪族系のリン酸エステル及び亜リン酸エステルから選択されるリン酸系エステルが配合される。これらは、比較的樹脂材との相溶性が小さい点で優れるが、好ましくは脂肪族系の亜リン酸エステルである。
リン酸エステルとしては、下記一般式(1)で表されるものが使用される。
(RO)3P=O (1)
上記一般式(1)において、Rとしては炭素数10〜25のアルキル基又はアルケニル基が好ましいものとして挙げられる。炭素数が10未満のものは、安定性あるいは低摩擦性に劣り、スラッジが発生し易く、異音を抑制する効果が小さい。また、炭素数が25を越えるものは配合量に対するトルク変動抑制等の潤滑性の効果が小さい。好ましいリン酸エステルとしては、具体的には、トリラウリルフォスフェート、トリオレイルフォスフェート、トリステアリルフォスフェート等が挙げられる。
亜リン酸エステルとしては、下記一般式(2)で表されるものが使用される。
(RO)3P (2)
上記一般式(2)において、Rとしては、上記リン酸エステルと同様な理由により、炭素数が10〜25のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。好ましくは、トリオレイルフォスファイト、トリステアリルフォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト等が挙げられる。
上記耐摩耗剤としてのリン酸系エステルの配合量としては、基油100重量部に対し、1〜8重量部配合する。配合量が1重量%未満であると、摩耗低減効果やトルク安定性の改善に効果がなく、配合量が8重量%を越えると耐樹脂性に悪影響を及ぼす。このようなトルクリミッタの性能と耐樹脂性を考慮すると、より好ましい配合量は3〜5重量部である。
本発明に用いる高湿トルク安定剤としては、下記一般式(3)又は(4)で表されるスルホン酸金属塩が挙げられる。
(RSO3nM (3)
(RSO3nM(OH)m (4)
一般式(3)、(4)において、Rとしては炭素数8〜30のアルキル基、アルケニル基、アルキルフェニル基が好ましく、Mとしてはカルシウムやマグネシウム、バリウム、亜鉛、ナトリウム、カリウムが好ましく挙げられる。Rの炭素数が8未満の基は、飽和合成炭化水素油との相溶性が低く、濁りを生じやすい。また、炭素数が30を越えるものはトルクリミッタの摩擦を低減する効果が大きくなり、リミッタとしての機能を損なってしまう。一般式(3)においては、nは金属Mの価数に対応するが、一般式(4)においては、n+mは金属Mの価数に対応する。しかし、通常、nとmが異なる化合物の混合物として得られる。
本発明で高湿トルク安定剤として使用するスルホン酸金属塩は、一般式(4)で表される塩基性スルホン酸金属塩又はこれと一般式(3)で表されるスルホン酸金属塩の混合物が好ましく使用される。
スルホン酸金属塩としては、10nmレベルの炭酸塩粒子をミセル構造により安定的に取り込んでいるアルカリ価が200mgKOH/g以上の高塩基性のカルシウムやマグネシウム塩のものが好ましい。なお、かかる塩基性スルホン酸金属塩の製造方法又は入手方法やアルカリ価の測定条件等は特許文献6〜7に記載されている他、JIS K 2501が参照される。本発明においては、上記のものを2種以上組み合わせて使用することができる。
上記の高湿トルク安定剤の作用としては、潤滑剤中に浸入した水を速やかに分離させる効果及び潤滑剤中に使用される基油や耐摩耗剤等の酸化劣化物、加水分解生成物等の酸性劣化物を中和させる効果が求められる。そのため、高湿トルク安定剤には分子内に適当な分子量の疎水基と極性の高い親水基を併せ持ち、且つ、酸を中和する効果が大きい高塩基性の無機塩粒子を保有する構造が必要になる。また、高湿トルク安定剤自体にも耐加水分解性が要求されるため、一般的な抗乳化剤として知られている硫酸エステル塩等のエステル系界面活性剤では要求を満足することはできない。そのため、耐加水分解性があり酸中和能が大きい高塩基性スルホン酸カルシウム塩や高塩基性スルホン酸マグネシウム塩が好適である。
上記高湿トルク安定剤としてのスルホン酸金属塩の配合量としては、基油100重量部に対し、0.03〜3重量部配合する。配合量が0.03重量%未満であると、水分離性に効果がなく、配合量が3重量%を越えるとトルク安定性や耐樹脂性、低スラッジ性に悪影響を及ぼす。高湿環境でのトルクリミッタの性能と耐樹脂性を考慮すると、より好ましい配合量は0.05〜1重量部である。
また、本発明では上記基油及び耐摩耗剤としてのリン酸系エステルを必須成分として含む潤滑油組成物は、流動性を有する油状物、グリース化した潤滑グリースとして使用することができる。
潤滑グリースとする場合の増ちょう剤は、基油中に分散し、ミセル構造をとって半固体状を呈する役割を担うものであり、ナトリウム石けん、リチウム石けん、カルシウム石けん、バリウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウムコンプレックス石けん、リチウムコンプレックス石けん、バリウムコンプレックス石けん等の金属石けん等やベントン、シリカエアロゲル、ナトリウムテレフタレート、ウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ヒドロキシアパタイト、ポリエチレンパウダー等の無機物、ウレア化合物、ワックス類等の非石けん系を用いることができる。好ましくは、機械的安定性や耐熱性、耐水性などトータル的にバランスのとれた性能を有するリチウム系の石けんやウレア化合物等の増ちょう剤が好適である。
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて酸化防止剤、防錆剤、粘度指数向上剤、金属不活性剤、無灰系分散剤、金属系清浄剤、油性剤、界面活性剤、消泡剤などを用途に応じて配合することができる。
本発明のトルクリミッタは、上記のような機構を有するトルクリミッタに前記潤滑油組成物を封入したものである。
本発明の潤滑油及び潤滑グリースは、金属製の内輪とコイルばねで構成されるトルクリミッタ等に好適に使用され、耐樹脂性に優れ、これを封入したトルクリミッタは、高温・高湿環境下においても、トルクの変動が少なく、良好なトルク安定性を得ることができる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた各成分の略号は次のとおりである。また、配合割合は重量%で示されている。
PAO:ホ゜リ-α-オレフィン水素化物(モーヒ゛ル社製SHF401:40℃動粘度:377mm2/s)
EAO:エチレン-α-オレフィン共重合体(三井化学社製ルーカントHC20:40℃動粘度:155mm2/s)
AN: アルキルナフタレン(40℃動粘度:27mm2/s)
RH1:スルホン酸カルシウム塩(エチルシ゛ャハ゜ン社製Hitec611:アルカリ価:305mgKOH/g)
RH2:スルホン酸マグネシウム塩(Hitec654:アルカリ価:395mgKOH/g)
RH3:デカノール硫酸エステル塩
TCP:リン酸トリクレジル
PE1:トリオレイルホスフェート
PE2:トリオレイルホスファイト
FR:スチレン-α−メチルスチレン-脂肪族共重合樹脂(比重:1.03,軟化点:125℃)
DTBP:酸化防止剤(ジ−t−ブチルフェノール)
BTA:金属不活性剤(ベンゾトリアゾール誘導体)
TL:防錆剤(アミンフォスフェート)
表1及び表2に示す割合で各成分を配合した潤滑油組成物を製造した。表1は油状の潤滑油の例であり、表2は増ちょう剤としてリチウム石けんを使用したグリースの例である。なお、表1及び表2中の「Bal」は、全体を100重量%として、数値(重量部)表示したもの以外の残量を表している。
なお、表1においては全ての実験において、DTBPの配合量は0.5重量%、BTAの配合量は0.03重量%、TLの配合量は0.03重量%の一定としたので、その記載を省略している。
同様に、表2においては全ての実験において、DTBPの配合量は1.0重量%、BTAの配合量は0.1重量%、TLの配合量は0.1重量%の一定としたので、その記載を省略している。
Figure 2005054156
Figure 2005054156
<トルク安定性試験>
試験機は内製化したものを用い、評価に使用したトルクリミッタは、NTN社製NTS18を用いた。図5はそのトルク安定性試験機の構造を説明するための図であり、軸回転用のモータ11とトルク検出用のロードセル12、カップリング13、歪計14及び記録計15からなる。回転軸にサンプル油を含浸させた焼結内輪を用いたトルクリミッタ16をセットし、リミッタのトルク発生方向に回転させることにより、発生トルクはロードセルに伝わり、記録される。なお、低速モータ17は高速モータ11と切替えて使用するものである。また、図5の左側の図は、上部から見た図である。
試験条件は、設定トルク3.5×10-3kgf-m、回転数220rpm、運転サイクル1.5秒間運転−0.5秒間停止の間欠運転、雰囲気温度:60℃、湿度:80%、試験時間500時間とし、測定項目は試験後の手感、0時間、200時間、500時間毎のトルクの変化(経時変化、一分間のトルク変動)、運転中の異音有無、試験後軸受の腐食(さび)の有無の確認を実施した。図5に示すトルク測定試験機により時間毎のトルク測定を行った。
試験結果を示す表3中の経過時間の欄における○、×はトルクの安定性試験における結果を表す記号であり、各規定時間の耐久試験後にトルク測定を実施した結果、測定時間1分間の間にトルク低下が2.0×10-4 kgf-m以下を「○」、2.0×10-4 kgf-m以上を「×」とした。手感の欄における○、×は、試験後の手感が良好だったものを「○」、不良だったものを「×」とした。異音の欄における○、×は、試験中に異音が発生したものを「×」、しなかったものを「○」とした。腐食の欄における○、×は、試験後の軸受に腐食が発生していたものを「×」、なかったものを「○」とした。含水の欄における○、×は、試験後の軸受表面のFT−IR分析を行い、水の赤外吸収スペクトルの特徴的な3200〜3550cm-1付近のブロードなピークから、潤滑剤の含水有無を確認した結果を示し、軸受表面に水の存在が確認されなかったものを「○」、確認されたものを「×」とした。
<耐樹脂性能試験>
トルクリミッタの周辺部品には加工性の良いPC(ポリカーボネート)やABS樹脂などが用いられ、トルクリミッタに用いられる潤滑剤の漏洩などによる、潤滑剤との接触により、樹脂材にヒビやワレが発生する可能性がある。そこで、本発明の潤滑油の耐樹脂性を確認するために、PC(ポリカーボネート)、ABSにて耐樹脂性のテストを行った。
表3中のPC及びABSの欄における○、×は、テストの結果、テストピースに割れ、ヒビが発生しなかった場合を「○」、テストピースに割れ、ヒビが発生した場合を「×」とした。
上記試験結果を表3及び表4に示す。なお、表4は表3の続きであり、表題は共通である。また、実験番号1〜8及び26〜31が、本発明の実施例である。
Figure 2005054156
Figure 2005054156
本試験の実施例にみられるように、高温・高湿環境下でトルクリミッタとして良好なトルク性能を維持することと耐樹脂性を有するという二つの要求を満たすためには、適切量の高湿トルク安定剤の使用と、耐樹脂性に優れた飽和合成炭化水素化合物の基油ならびに脂肪族系のリン酸及び亜リン酸エステルの使用が必要である。本試験のトルク安定性と含水状態の調査から、特に高湿環境においてトルクリミッタのトルク安定性を図るためには、軸受表面から水を排除することが必要であり、本発明で見出された高湿トルク安定剤がその作用に大きく関係することが示唆された。
高湿トルク安定剤が0.03重量%未満であると、水分離効果が小さいため、油膜切れが発生しトルク性能が不良となる(実験番号12〜15及び33、35)。また、高湿トルク安定剤が3重量%以上であると、スラッジの発生により、長期のトルク安定性に問題が生じ、耐樹脂性にも悪影響を及ぼす(実験番号16〜19及び34、36)。本試験の含水調査により、スラッジの発生は潤滑剤中に水を取り込む要因となることがわかった。一方、高湿トルク安定剤として、加水分解性に劣る硫酸エステル塩を使用した場合、添加剤自身の分解により効果を発揮することはできない(実験番号21及び37)。更に、耐摩耗剤として使用する脂肪族系のリン酸及び亜リン酸エステルにも最適量が存在し、その使用量が1重量%未満であるとトルク安定効果が乏しく、8重量%を越えると、その性能以外の耐樹脂性に悪影響を及ぼしてくる(実験番号22、23及び39、40)。また、TCPに代表される芳香族系のリン酸エステルを使用した場合は、耐樹脂性に悪影響を及ぼす(実験番号20及び38)。当然、トルク安定性能に優れるアルキルナフタレンなどの芳香族系油もTCPと同様に耐樹脂性に劣る(実験番号25及び41)。
従って、高温・高湿環境下においてもトルク安定性能に優れかつ耐樹脂性にも優れるトルクリミッタ用潤滑油としては、基油が合成炭化水素化合物であり、基油100重量%に対し、脂肪族系のリン酸エステル及び亜リン酸エステルを1〜8重量%配合し、且つ、高湿トルク安定剤としてスルホン酸塩を基油100重量%に対し、0.03〜5重量%配合しなるものが好適と考えられる。
トルクリミッターの一例を示す断面図 トルクリミッターの他の一例を示す断面図 トルクリミッターの他の一例を示す断面図 トルクリミッターの他の一例を示す断面図 トルク安定性試験機の模式図
符号の説明
1:金属製内輪、2:コイルばね、3:蓋、4:外套、5:摩擦板

Claims (2)

  1. 基油が、ポリ−α−オレフィン、エチレン−α−オレフィン共重合体の水素化物及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の飽和合成炭化水素油である潤滑油又は潤滑グリースであって、基油100重量部に対し、脂肪族系のリン酸エステル及び脂肪族系の亜リン酸エステルから選択される少なくとも1種のリン酸系エステルを1〜8重量部配合し、且つ、高湿トルク安定剤としてスルホン酸金属塩を0.03〜3.0重量部配合してなる潤滑油又は潤滑グリース。
  2. 外部部材の内部に内輪を相対回転可能に嵌合し、上記内輪と外部部材との間にトルク伝達部材を介在し、上記内輪と外部部材の相対回転時に該内輪と上記トルク伝達部材との間の摩擦により所用のトルクを生じさせるようにしたトルクリミッタに、請求項1に記載の潤滑油又は潤滑グリースを封入してなるトルクリミッタ。
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