JP2005054115A - 脂肪族ポリエステル複合材料及びその成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐衝撃性のみならず耐熱性が同時に改善され、耐衝撃性と耐熱性との双方がバランス良く十分に高い脂肪族ポリエステル複合材料、並びにそれを溶融成形せしめた成形体を提供すること。
【解決手段】 脂肪族ポリエステルと炭酸カルシウムとを含有する脂肪族ポリエステル複合材料であって、該複合材料中の前記炭酸カルシウムの含有量が0.1〜5重量%であり、かつ、該複合材料中の脂肪族ポリエステルが100μm以下の結晶平均粒径を有するものであることを特徴とする脂肪族ポリエステル複合材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステル複合材料、並びにそれを溶融成形せしめた成形体に関する。
脂肪族ポリエステル、中でもポリ乳酸などいくつかは、とうもろこし、サトウキビ、サツマイモなど植物由来の原料から得られる。これらの材料は燃焼(熱分解)又は生分解により容易に水とCO2になるが、本来光合成により貯えられたCO2であり、大気中のCO2濃度を増やさない。しかし、高い強度、弾性率を持ついくつかの脂肪族ポリエステルは脆く、十分な耐衝撃性を得ることが困難であった。
このような問題点を改善するために、特開2002−105298号公報(特許文献1)には、脂肪族ポリエステル樹脂とアスペクト比5以上を有する無機充填剤とを含有する乳酸系樹脂組成物が記載されており、このような無機充填剤としてケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリ等のフィラーが挙げられている。しかしながら、特開2002−105298号公報記載の乳酸系樹脂組成物であっても、耐衝撃性はある程度改善されるものの耐熱性は改善されておらず、未だ十分なものではなかった。
特開2002−105298号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、耐衝撃性のみならず耐熱性が同時に改善され、耐衝撃性と耐熱性との双方がバランス良く十分に高い脂肪族ポリエステル複合材料、並びにそれを溶融成形せしめた成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来は脂肪族ポリエステルを結晶化させると耐衝撃性は低下するということが当業者にとって技術常識であるのに対して、比較的少量の炭酸カルシウムを含有せしめると共に結晶サイズが100μm以下と小さくなるように結晶化せしめることにより、驚くべきことに耐衝撃性と耐熱性との双方が顕著に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料は、脂肪族ポリエステルと炭酸カルシウムとを含有する脂肪族ポリエステル複合材料であって、該複合材料中の前記炭酸カルシウムの含有量が0.1〜5重量%であり、かつ、前記脂肪族ポリエステルが100μm以下の結晶平均粒径を有するものであることを特徴とするものである。
また、本発明の成形体は、脂肪族ポリエステルと0.1〜5重量%の炭酸カルシウムとを含有する脂肪族ポリエステル複合材料を溶融成形せしめたものであり、前記脂肪族ポリエステルが100μm以下の結晶平均粒径を有するものであることを特徴とするものである。
上記本発明にかかる脂肪族ポリエステル複合材料においては、前記脂肪族ポリエステル複合材料の相対結晶化度が80%以上であることが好ましい。
本発明によれば、脂肪族ポリエステル複合材料における耐衝撃性及び耐熱性を同時に顕著に向上せしめることが可能となり、耐衝撃性と耐熱性との双方がバランス良く十分に高い脂肪族ポリエステル複合材料からなる成形体を得ることが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の脂肪族ポリエステル複合材料は、脂肪族ポリエステルと炭酸カルシウムとを含有するものであり、複合材料中の炭酸カルシウムの含有量が0.1〜5重量%であり、かつ、複合材料中の脂肪族ポリエステルが100μm以下の結晶平均粒径を有するものであることを特徴とするものである。
先ず、本発明にかかる脂肪族ポリエステルについて説明する。本発明において用いられる脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ吉草酸)、ポリカプロラクトン等の開環重付加系脂肪族ポリエステル、並びに、ポリエステルカーボネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート等の重縮合反応系脂肪族ポリエステルが挙げられ、中でもポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリ(α−ヒドロキシ酸)が好ましく、ポリ乳酸が特に好ましい。
本発明において用いられる脂肪族ポリエステルの分子量(重量平均分子量)は、10,000〜400,000程度であることが好ましい。分子量が前記下限未満では得られる成形体の強度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると得られる成形体の加工性が低下する傾向にある。
本発明において用いられる脂肪族ポリエステルは、前記脂肪族ポリエステルを単独で用いてもよいが、それらの2種以上のブレンド物若しくは共重合物であってもよい。このような脂肪族ポリエステルの共重合物としては、乳酸と乳酸以外のヒドロキシ酸とのコポリマーや、ポリブチレンサクシネートアジペート等が挙げられる。また、共重合体の配列様式は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
また、脂肪族ポリエステルのブレンド物としては、例えばポリ乳酸をベースとするポリ乳酸系樹脂が好ましく、ポリ乳酸にブレンドされる他の樹脂としては、ポリ乳酸以外の前記脂肪族ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド等が挙げられる。
本発明にかかる脂肪族ポリエステルとして特に好ましいポリ乳酸は、一般的に式: -[O-CH(CH3)-C(O)]n- により表わされる。このようなポリ乳酸は本発明により特に耐衝撃性及び耐久性が向上することから本発明において用いる脂肪族ポリエステルとして好適である。
このようなポリ乳酸の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは10,000以上であり、より好ましくは50,000以上であり、さらに好ましくは100,000以上である。ポリ乳酸の数平均分子量が前記下限値未満であると、強度、弾性率等の機械物性が不十分となる傾向にある。また、ポリ乳酸の数平均分子量は、成形時の流動性の点から400,000以下であることが好ましい。
ポリ乳酸の合成方法は特に制限されず、D−乳酸、L−乳酸の直接重合でもよく、乳酸の環状2量体であるD−ラクチド、L−ラクチド、meso−ラクチドの開環重合であってもよい。
このようにして得られるポリ乳酸はL−乳酸由来のモノマー単位と、D−乳酸由来のモノマー単位のいずれか一方のみで構成されていてもよいし、また双方の共重合体であってもよい。また、L−乳酸由来のモノマー単位と、D−乳酸由来のモノマー単位の比率が異なる複数のポリ乳酸が任意の割合でブレンドされたものを用いてもよい。
また、ポリ乳酸がL−乳酸由来のモノマー単位と、D−乳酸由来のモノマー単位との共重合体である場合、L−乳酸由来のモノマー単位及びD−乳酸由来のモノマー単位のうちの一方の含有割合が85mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、95mol%であることが更に好ましく、98mol%以上であることが特に好ましい。上述のD体及びL体のうちの一方が85mol%未満であると立体規則性の低下により結晶化が阻害され、本発明により得られる効果が十分に発現しない傾向にある。
さらに、本発明にかかるポリ乳酸においては、乳酸又はラクチドに加えて、グリコリド、カプロラクトン等の他の重合性単量体を更に重合させて共重合体としてもよい。また、他の重合性単量体の単独重合により得られるポリマーをポリ乳酸とブレンドしてもよい。なお、他の重合性単量体に由来する重合鎖がポリマー全量に占める割合は、モノマー換算で50mol%以下であることが好ましい。
次に、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料に配合される炭酸カルシウムについて説明する。本発明において用いられる炭酸カルシウムは特に限定されず、CaCO3からなる粉末であればよく、重質炭酸カルシウム(石灰石を粉砕して造った天然品)でも軽質炭酸カルシウム(合成品)でもよい。また、脂肪族ポリエステルとの密着性をより高めるために、シランカップリング剤等によって炭酸カルシウムに表面処理を施しておいてもよい。
このような炭酸カルシウムの一次粒子の形状も特に限定されず、ウィスカー状、針状、球状、角状、板状、円筒状等のものが挙げられるが、耐衝撃性がより向上する傾向にあることからウィスカー状のものが好ましく、中でもアスペクト比が10以上であるウィスカー状のものが特に好ましい。また、炭酸カルシウムは細かい方が複合材料中に均一に分散し易い傾向にあり、ウィスカー状、針状、円筒状の場合はその平均直径が5μm以下であることが好ましく、球状、角状、板状の場合はその平均粒径が1μm以下であることが好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル複合材料においては、その複合材料中における炭酸カルシウムの含有量が0.1〜5重量%であることが必要であり、より好ましくは0.1〜3重量%である。炭酸カルシウムの含有量が0.1重量%未満では耐衝撃性向上効果が十分に得られず、他方、5重量%を超えると成形時の流動性が低下して成形が困難となると共に、得られる複合材料の結晶平均粒径を100μm以下とした場合に意外にも耐衝撃性が却って低下することとなる。
更に、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料においては、上記の脂肪族ポリエステルが結晶化しており、その結晶平均粒径が100μm以下であることが必要である。結晶平均粒径が100μmを超えていると、上記少量の炭酸カルシウムとの相乗効果による耐衝撃性の向上が得られなくなり、得られる脂肪族ポリエステル複合材料の耐衝撃性が不十分となる。
なお、脂肪族ポリエステルの結晶平均粒径は以下のようにして求められる。すなわち、ミクロトームにより脂肪族ポリエステル複合材料の試験片(成形体)から薄片を切り取り、偏光顕微鏡(例えば、オリンパス光学社製のBHS-751-P)で結晶を観察し、必要に応じて写真を撮影して各結晶の粒径(直径)を測定し、それらの平均値を算出することにより結晶平均粒径が求められる。
また、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料の相対結晶化度は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましく、98%以上であることが特に好ましい。脂肪族ポリエステル複合材料の相対結晶化度が前記上限未満では耐熱性が十分に向上しない傾向にあり、更に上記少量の炭酸カルシウムとの相乗効果による耐衝撃性の向上も不十分となる傾向にある。
なお、脂肪族ポリエステル複合材料の相対結晶化度は以下のようにして求められる。すなわち、脂肪族ポリエステル複合材料の試験片(成形体)から切り出した少量の試料を以下の条件下で示差熱分析装置(DSC)にかけて測定し、以下の計算式にしたがって相対結晶化度を決定する。
(測定条件)
1)予備測定として30℃→250℃、昇温速度5℃/minで結晶融解のピーク温度(Tm℃)を求める。得られた(Tm+30)℃を(A)℃とする。
2)30℃→(A)℃、昇温速度5℃/min:途中で現れる結晶化による発熱量(ΔHc1)と結晶融解による吸熱量(ΔHm1)を測定、
3)(A)℃で5分保持、
4)(A)℃→30℃、降温速度5℃/min、
5)30℃で5分保持、
6)30℃→(A)℃、昇温速度5℃/min:途中で現れる結晶融解による吸熱量(ΔHm2)を測定。
(計算式)
相対結晶化度(%)={(ΔHm1−ΔHc1)/ΔHm2}×100。
なお、上記の0.1〜5重量%という少量の炭酸カルシウムを添加し、同時に結晶平均粒径を100μm以下と小さくすることにより、それらの相乗効果により耐衝撃性と耐熱性との双方が顕著に向上する理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、衝撃が加わると球晶界面(非晶部)をクラックが伝播するので、球晶サイズが小さいことにより耐衝撃性が向上する。そして、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料においては非晶部に存在する炭酸カルシウムがクラックの伝播を阻害し、衝撃強度が顕著に向上すると考えられる。更に、脂肪族ポリエステルが結晶化することでガラス転移温度領域での弾性率低下が抑制されて耐熱性が向上すると共に、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料においては炭酸カルシウムの添加量が少量であるがゆえに炭酸カルシウムによる弾性率低下や結晶成長阻害が発生しないため、耐衝撃性と耐熱性との双方が顕著に向上すると本発明者らは推察する。また、用いる炭酸カルシウムのアスペクト比が高いほど上記のクラックの伝播阻害効果が大きくなり、衝撃強度がより向上する傾向にある。更に、用いる炭酸カルシウムがウィスカー状であると、その補強効果により曲げ剛性が向上し、耐熱性がより向上する傾向にある。なお、脂肪族ポリエステルの耐衝撃性を向上させる方法として従来から軟質成分を添加する方法があるが、そのようにして得られた複合材料を結晶化させても軟質成分による弾性率低下や結晶成長阻害により耐熱性は十分に向上しない。
上記の脂肪族ポリエステルと炭酸カルシウムとを混合して脂肪族ポリエステル複合材料を得る方法は特に制限されず、例えば、ロールや2軸押出機を用いて混練する方法や、クロロホルム等の溶媒を用いて諸成分を混合した後に溶媒を除去する方法であってもよい。そして、本発明においては、このような脂肪族ポリエステル複合材料中の脂肪族ポリエステルの結晶サイズが小さく(結晶平均粒径を100μm以下)なるように結晶化させる必要があり、そのような方法としては、
i)溶融状態から急冷してクエンチした後、ガラス転移温度と融点との間の温度に所定時間保持して熱処理し、結晶化させる方法(いわゆる後結晶化法)と、
ii)予め結晶核剤を混合しておき、溶融状態からガラス転移温度と融点との間の温度に移行させた状態で所定時間保持し、結晶化させる方法(いわゆる型内結晶化法)と、
が挙げられる。これらの方法については後で詳述する。
また、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料においては、前記の諸成分に加えて更に、アミド基を有する低分子化合物、有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物、タルクからなる群から選択される少なくとも一つの結晶核剤が含有されていることが好ましい。このような結晶核剤を添加することにより結晶化速度が向上し、射出成形等の成形方法によって結晶化が可能となり、得られる成形体の耐熱性及び耐衝撃性が更に向上する傾向にある。なお、このような結晶核剤の添加効果は金型内における結晶化の場合に限ったものではなく、後工程で加熱結晶化させる場合にも有効なものである。
本発明にかかるアミド基を有する低分子化合物としては、脂肪族モノカルボン酸アミド、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド、脂肪族ビスカルボン酸アミド、N−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド、N−置換尿素類などの脂肪族カルボン酸アミドや、芳香族カルボン酸アミド、あるいは水酸基をさらに有するヒドロキシアミドなどが挙げられ、これらの化合物が有するアミド基は1個でも2個以上でもよい。これらの中でも、ビスアミド、芳香族カルボン酸アミドは結晶化速度をより向上させることができる点で好ましく、また、ヒドロキシアミドは脂肪族ポリエステル中での安定性に優れ、耐熱性をさらに高めることができる点で好ましい。さらに、ビスヒドロキシアミドは、ビスアミド及びヒドロキシアミドを用いた場合に得られるそれぞれの効果を同時に得ることができる点で特に好ましい。
アミド基を有する低分子化合物の具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、乳酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、メチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N'−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N'−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N'−ジステアリルテレフタル酸アミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、トリメシン酸トリス(n−ブチルアミド)、トリメシン酸トリス(sec−ブチルアミド)、トリメシン酸トリス(iso−ブチルアミド)、トリメシン酸トリス(tert−ブチルアミド)、トリメシン酸トリス(n−オクチルアミド)、トリメシン酸トリス(tert−オクチルアミド)、トリメシン酸トリス(n−ステアリルアミド)、イソフタル酸ビス(tert−ブチルアミド)、テレフタル酸ビス(tert−ブチルアミド)、トリメシン酸ビス(tert−ブチルアミド)、トリメシン酸ビス(n−ブチルアミド)、トリメシン酸モノ(tert−ブチルアミド)、トリメシン酸モノメチルエステルビス(tert−ブチルアミド)、トリメシン酸ジメチルエステルモノ(tert−ブチルアミド)、トリメシン酸モノエチルエステルビス(tert−ブチルアミド)、トリメシン酸ジエチルエステルモノ(tert−ブチルアミド)、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジn−ブチルアミド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジsec−ブチルアミド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジiso−ブチルアミド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジtert−ブチルアミド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、N−ブチル−N'−ステアリル尿素、N−プロピル−N'−ステアリル尿素、N−ステアリル−N'−ステアリル尿素、N−フェニル−N'−ステアリル尿素、キシレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素などを例示することができる。これらの中でも、乳酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、トリメシン酸トリス(n−ブチルアミド)、トリメシン酸トリス(sec−ブチルアミド)、トリメシン酸トリス(iso−ブチルアミド)、トリメシン酸トリス(tert−ブチルアミド)、が特に好ましい。
また、アミド基を有する低分子化合物の分子量は、好ましくは1,000以下であり、より好ましくは100〜900である。当該低分子化合物の分子量が1,000を超えると、脂肪族ポリエステルとの相溶性が低下して、分散性が低下したり成形体からブリードアウトしたりする傾向にある。
また、アミド基を有する低分子化合物の融点は、好ましくは20〜230℃である。当該低分子化合物の融点が20℃未満であると成形体からブリードアウトして成形体の外観が損なわれる傾向にあり、他方、230℃を超えると一般的な成形加工条件では溶融させにくいため、成形加工性が低下する傾向にある。
本発明にかかる有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物としては、一般的な層状粘土鉱物を有機化して用いることができる。また、このような有機化された層状粘土鉱物は市販されており、このような市販品としては、Nanocor社Southern Clay Products、コープケミカル株式会社等から販売されているものがある。
前記一般的な層状粘土鉱物としては特に制限されないが、具体的には、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト族;カオリナイト、ハロサイト等のカオリナイト族;ジオクタヘドラルバーミキュライト、トリオクタヘドラルバーミキュライト等のバーミキュライト族;テニオライト、テトラシリシックマイカ、マスコバイト、イライト、セリサイト、フロゴバイト、バイオタイト等の雲母等が挙げられる。これらの層状粘土鉱物は、天然鉱物であってもよく、水熱合成、溶融法、固相法等による合成鉱物であってもよい。また、本発明では、上記の層状粘土鉱物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、層状粘土鉱物の陽イオン交換容量は30〜300meq/100gであることが好ましい。
このような有機化とは、有機物を層状粘土鉱物の層間及び/又は表面に物理的、化学的方法(好ましくは化学的方法)により吸着及び/又は結合させることを意味する。このような有機化には、有機オニウム塩が用いられる。前記有機オニウム塩は、層状粘土鉱物を有機化してその層間距離を広げるものであり、これにより脂肪族ポリエステルと層状粘土鉱物との分散均一性を高めることができる。
このような有機オニウム塩としては、具体的には、有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機ピリジニウム塩、有機スルホニウム塩等が挙げられる。このような有機アンモニウム塩としては、例えば、NR4 +-[4個のRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルキル基、アルキルエーテル基又はアリール基を表し、X-はカウンターイオンを表す]で表されるものである。ここで、有機オニウム塩の炭素数(4個のRの炭素数の総和)は6以上であることが好ましい。当該有機オニウム塩の炭素数が6未満であると、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広げられず、層状粘土鉱物をポリ乳酸中に均一に分散することが困難となる傾向にある。また、Rがアルキル基又はアルキルエーテル基の場合、当該アルキル基又はアルキルエーテル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては水酸基が好ましい。さらに、X-で表されるカウンターイオンとしては、例えばCl-、Br-などのハロゲンイオンが挙げられる。
上記NR4 +で表される有機アンモニウムイオンの特に好ましい例として、下記一般式(1)、(2)又は(3)で表されるものを挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
Figure 2005054115
[式中、R1、R2及びR3は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、lは6〜22の整数を表す。]
Figure 2005054115
[式中、R4及びR5は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はアルキル基又はアリール基を表し、R4とR5との合計の炭素数は6以上であり、m及びnは同一でも異なっていてもよく、1〜20の整数を表す。]
Figure 2005054115
[式中、R6、R7、R8及びR9は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R6、R7、R8及びR9の合計の炭素数は6以上である。]
上記一般式(1)中、R1、R2又はR3は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。かかるアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分岐鎖状のペンチル基、直鎖又は分岐鎖状のヘキシル基、直鎖又は分岐鎖状のヘプチル基、直鎖又は分岐鎖状のオクチル基、直鎖又は分岐鎖状のノニル基、直鎖又は分岐鎖状のデシル基、直鎖又は分岐鎖状のウンデシル基、直鎖又は分岐鎖状のドデシル基、直鎖又は分岐鎖状のトリデシル基、直鎖又は分岐鎖状のテトラデシル基、直鎖又は分岐鎖状のペンタデシル基、直鎖又は分岐鎖状のオクタデシル基等が挙げられるが、当該アルキル基の炭素数は1〜4であることが好ましい。アルキル基の炭素数が前記上限値を超えると有機オニウム塩の合成が困難となる傾向にある。またかかるアリール基として具体的には、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
また、上記一般式(1)中、lはメチレン基(−CH2−)の重合度を表し、6〜22、好ましくは8〜18の整数である。lが6未満であると、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広がらず、ポリ乳酸中での層状粘土鉱物の分散均一性が低下する傾向にある。他方、lが22を越えると、有機オニウム塩の合成が困難となる傾向にある。
また、上記一般式(2)中、R4及びR5は水素原子又はアルキル基を表す。かかるアルキル基としては、一般式(1)中のR1、R2及びR3の説明において例示されたアルキル基が挙げられる。一般式(2)中のR4及びR5は同一でも異なっていてもよいが、それらの合計の炭素数は、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。R4とR5との合計の炭素数が6未満であると、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広がらず、脂肪族ポリエステルと層状粘土鉱物との分散均一性が低下する傾向にある。例えばR4が水素原子でR5がドデシル基である化合物、R4がメチル基でR5がオクタデシル基である化合物、R4及びR5がオクタデシル基である化合物は、上記の条件を満たす化合物として好ましく用いられる。
また、上記一般式(2)中、m及びnはオキシエチレン基(−CH2CH2O−)の重合度を表し、1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の整数であり、特に好ましくは1である。m又はnが20を越えると、層状粘土鉱物の親水性が過剰に高くなり、調整が困難となる傾向にある。なお、m及びnは同一でも異なっていてもよい。更に、式(3)中、R6、R7、R8及びR9は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R6、R7、R8及びR9の合計の炭素数は6以上である。
また、有機オニウム塩の含有量は、層状粘土鉱物100重量部に対して10〜150重量部であることが好ましく、20〜100重量部であることがより好ましい。当該有機オニウム塩の含有量が前記下限値未満であると、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広げられず、脂肪族ポリエステルと層状粘土鉱物との分散均一性が低下する傾向にあり、他方、前記上限値を超える場合には物理吸着によって導入される有機オニウム塩の量が増加して脂肪族ポリエステル組成物の物性が損なわれる(例えば脆化)傾向にある。
前記有機化された層状粘土鉱物の含有量は、本発明の脂肪族ポリエステル組成物中において0.01〜10重量%であることが好ましく、0.01〜5重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましく、0.3〜3重量%であることが最も好ましい。前記層状粘土鉱物の含有量が前記下限値未満であると、剛性及び結晶化速度の向上の程度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限値を超える場合には、脂肪族ポリエステルが脆化し、衝撃強度が著しく低下する傾向にある。
本発明にかかるタルクは、耐熱性に優れ化学的に安定な鉱物であり、その組成は特に限定されないが、本発明の脂肪族ポリエステル組成物中にできるだけ分散させるために、その平均粒径は小さいほど好ましく具体的には、30μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、7.0μm以下であることが特に好ましい。また、このようなタルクは、樹脂との接着性を向上させるために表面処理を施していてもよい。このようなタルクは市販されており、日本タルク、富士タルク工業から販売されているものがある。
本発明にかかるタルクは、耐熱性に優れ化学的に安定な鉱物であり、その組成は特に限定されないが、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料中にできるだけ分散させるために、その平均粒径は小さいほど好ましく具体的には、30μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、7.0μm以下であることが特に好ましい。また、このようなタルクは、樹脂との接着性を向上させるために表面処理を施していてもよい。このようなタルクは市販されており、日本タルク、富士タルク工業等から販売されているものがある。
前記タルクの含有量は、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料中において、0.1〜40重量%であることが好ましく、0.1〜30重量%であることがより好ましく、0.5〜20重量%であることがさらに好ましく、1〜20重量%であることが最も好ましい。前記タルクの含有量が前記下限値未満であると、結晶化速度の向上の程度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限値を超える場合には、脂肪族ポリエステルが脆化し、衝撃強度が著しく低下する傾向にある。
さらに、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料においては、その特性を損なわない限りにおいて、充填剤、可塑剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、滑剤、染料、抗菌剤、末端封止剤等の添加剤を更に添加してもよい。このような添加剤の含有量は、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料中において、20重量%以下であることが好ましい。
次に、本発明の成形体について説明する。すなわち、本発明の成形体は、前述の脂肪族ポリエステルと0.1〜5重量%の炭酸カルシウムとを含有する脂肪族ポリエステル複合材料を溶融成形せしめたものであり、その結晶平均粒径が100μm以下となるように結晶化せしめたものである。このような方法としては、前述の通りいわゆる後結晶化法と型内結晶化法とが挙げられ、以下にそれぞれについて説明する。
(後結晶化法)
溶融状態から室温付近まで急冷してクエンチした後、得られたアモルファス状の成形体をガラス転移温度と融点との間の温度に所定時間保持して熱処理し、結晶化させる。なお、脂肪族ポリエステル複合材料を溶融する際の温度は170〜250℃であることが好ましい。この温度が上記下限未満であると、脂肪族ポリエステル複合材料の溶融が不十分となり、諸成分が均一に分散しにくくなる傾向がある。他方、この温度が上記上限を超えると、脂肪族ポリエステルの分子量が低下して得られる成形体の物性が損なわれる傾向がある。
また、脂肪族ポリエステルとしてポリ乳酸を用いた場合、熱処理する際の温度は60〜170℃の範囲であることが必要であり、80〜150℃が好ましい。保持温度が上記下限未満では十分に結晶化しない傾向にあり、他方、上記上限を超えると溶融により結晶化が不十分となる傾向にある。更に、熱処理する際の保持時間は、3分以上であることが好ましく、15分以上であることがより好ましく、30分以上であることが更に好ましく、60分以上であることが特に好ましい。保持時間が上記下限未満では熱処理による結晶化が十分に進行せず、結晶サイズが十分に減少しない傾向にある。また、熱処理する際の雰囲気としては、真空状態、或いは窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気が望ましい。例えば空気中で熱処理すると、空気中の水分と熱により加水分解が進行し、脂肪族ポリエステルの分子量が低下して耐衝撃性が低下する傾向にある。
(型内結晶化法)
予め前述の結晶核剤を混合しておき、溶融状態から融点以下の温度に移行させた状態で所定時間保持し、結晶化させる。その際の溶融温度は前記後結晶化法における溶融温度と同様である。また、保持温度も前記後結晶化法における熱処理温度と同様である。この方法における保持時間は、10〜300秒が好ましく、10〜180秒がより好ましい。保持時間が上記下限未満では結晶化が十分に進行せず、結晶サイズが十分に減少しない傾向にあり、他方、上記上限を超えると成形に時間がかかり現実的な製造時間内での製造が困難になる傾向にある。
このように本発明の成形体を製造するに際し、その具体的な成形方法は特に制限されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー成形、真空圧空成形、紡糸等のいずれの方法であってもよく、中でも射出成形法が好適である。また、本発明の成形体の形状、厚み等は特に制限されず、射出成形品、押出成形品、圧縮成形品、ブロー成形品、シート、フィルム、糸、ファブリック等のいずれでもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
スクリューを備える二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30α)を用い、ポリ乳酸(トヨタ自動車製、#5400、重量平均分子量140,000、光学純度99%)にウィスカー状の炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、ウィスカル、平均直径0.5〜1μm、アスペクト比20〜60)を0.5重量%添加した混合物をスクリュー回転数300rpm、樹脂温度200℃、樹脂供給速度5kg/hの条件下で溶融混練し、ポリ乳酸複合体を得た。次いで、射出成形機(日精樹脂工業社製、PS40E2ASE)を用い、得られたポリ乳酸複合体を金型温度40℃、冷却時間60秒の条件下で射出成形し、アモルファス状の成形体を得た。更に、この成形体を120℃の恒温槽中で2時間保持して熱処理を施すことにより、結晶性のポリ乳酸複合材料からなる成形体を得た。
得られた成形体の耐熱性、耐衝撃性、結晶平均粒径、相対結晶化度を測定し、結果を表1に示す。なお、結晶平均粒径及び相対結晶化度は前述の方法により測定し、耐熱性はJIS K7191に規定される方法(フラットワイズ法)にしたがって荷重0.45MPaの条件下で荷重たわみ温度として評価した。また、耐衝撃性はASTM D256に規定される方法にしたがってIzod衝撃値(ノッチつき)として評価した。
ウィスカー状の炭酸カルシウムの含有量を1.0重量%とした以外は実施例1と同様にして結晶性のポリ乳酸複合材料からなる成形体を得た。得られた成形体の耐熱性、耐衝撃性、結晶平均粒径、相対結晶化度を測定し、結果を表1に示す。
ウィスカー状の炭酸カルシウムの含有量を3.0重量%とした以外は実施例1と同様にして結晶性のポリ乳酸複合材料からなる成形体を得た。得られた成形体の耐熱性、耐衝撃性、結晶平均粒径、相対結晶化度を測定し、結果を表1に示す。
ウィスカー状の炭酸カルシウムに代えて軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、軽質炭酸カルシウム、平均粒径0.4〜2μm、アスペクト比約1)0.5重量%を用いた以外は実施例1と同様にして結晶性のポリ乳酸複合材料からなる成形体を得た。得られた成形体の耐熱性、耐衝撃性、結晶平均粒径、相対結晶化度を測定し、結果を表1に示す。
スクリューを備える二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30α)を用い、ポリ乳酸(トヨタ自動車製、#5400、重量平均分子量140,000、光学純度99%)にウィスカー状の炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、ウィスカル、平均直径0.5〜1μm、アスペクト比20〜60)を0.5重量%、タルク(日本タルク社製、Micro Ace P-6、粒径4.0μm)を1.0重量%、エチレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド(日本化成社製、スリパックスH)を1.0重量%添加した混合物をスクリュー回転数300rpm、樹脂温度200℃、樹脂供給速度5kg/hの条件下で溶融混練し、ポリ乳酸複合体を得た。次いで、射出成形機(日精樹脂工業社製、PS40E2ASE)を用い、得られたポリ乳酸複合体を金型温度110℃、冷却時間60秒の条件下で射出成形し、結晶性のポリ乳酸複合材料からなる成形体を得た。得られた成形体の耐熱性、耐衝撃性、結晶平均粒径、相対結晶化度を測定し、結果を表1に示す。
比較例1
炭酸カルシウムと溶融混練することなくポリ乳酸をそのまま用いた以外は実施例1と同様にして射出成形し、成形体を得た。得られた成形体の耐熱性、耐衝撃性、結晶平均粒径、相対結晶化度を測定し、結果を表1に示す。
比較例2
射出成形後の熱処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして成形体を得た。得られた成形体の耐熱性、耐衝撃性、結晶平均粒径、相対結晶化度を測定し、結果を表1に示す。なお、偏光顕微鏡で結晶は観察されなかった。
比較例3
射出成形における金型温度を140℃、冷却時間を20分とし、射出成形後の熱処理を行わなかった以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸複合体を射出成形し、結晶性のポリ乳酸複合材料からなる成形体を得た。得られた成形体の耐熱性、耐衝撃性、結晶平均粒径、相対結晶化度を測定し、結果を表1に示す。
比較例4
ウィスカー状の炭酸カルシウムの含有量を10重量%とした以外は実施例1と同様にして結晶性のポリ乳酸複合材料からなる成形体を得た。得られた成形体の耐熱性、耐衝撃性、結晶平均粒径、相対結晶化度を測定し、結果を表1に示す。
比較例5
ポリ乳酸に炭酸カルシウムを添加しなかった以外は実施例5と同様にして結晶性のポリ乳酸複合材料からなる成形体を得た。得られた成形体の耐熱性、耐衝撃性、結晶平均粒径、相対結晶化度を測定し、結果を表1に示す。
Figure 2005054115
表1に示した結果から明らかなように、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料からなる成形体はいずれも耐衝撃性と耐熱性との双方がバランス良く十分に高いものであった。それに対して、脂肪族ポリエステル複合材料の結晶化が不十分で結晶が観察されなかったもの(比較例2)は、耐衝撃性及び耐熱性のいずれも劣ったものであった。また、炭酸カルシウムが含まれない場合(比較例1及び比較例5)、脂肪族ポリエステル複合材料の結晶平均粒径が本発明の範囲より大きい場合(比較例3)、炭酸カルシウムの含有量が本発明の範囲より多い場合(比較例4)はいずれも、得られる成形体は耐衝撃性が劣るものであった。
以上説明した通り、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料においては耐衝撃性のみならず耐熱性が同時に改善されるため、それからなる成形体は耐衝撃性と耐熱性との双方がバランス良く十分に高い。そのため、本発明の脂肪族ポリエステル複合材料からなる成形体は、バンパー、ラジエーターグリル、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールカバー、エアロパーツ、インストルメントパネル、ドアトリム、シートファブリック、ドアハンドル、フロアマット等の自動車部品、家電製品のハウジング、製品包装用フィルム、防水シート、各種容器、ボトル等として有用である。また、本発明の成形体をシートとして使用する場合には、紙又は他のポリマーシートと積層し、多層構造の積層体として使用してもよい。

Claims (4)

  1. 脂肪族ポリエステルと炭酸カルシウムとを含有する脂肪族ポリエステル複合材料であって、該複合材料中の前記炭酸カルシウムの含有量が0.1〜5重量%であり、かつ、前記脂肪族ポリエステルが100μm以下の結晶平均粒径を有するものであることを特徴とする脂肪族ポリエステル複合材料。
  2. 相対結晶化度が80%以上であることを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステル複合材料。
  3. 脂肪族ポリエステルと0.1〜5重量%の炭酸カルシウムとを含有する脂肪族ポリエステル複合材料を溶融成形せしめたものであり、前記脂肪族ポリエステルが100μm以下の結晶平均粒径を有するものであることを特徴とする成形体。
  4. 前記脂肪族ポリエステル複合材料の相対結晶化度が80%以上であることを特徴とする請求項3記載の成形体。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104130487A (zh) * 2014-08-11 2014-11-05 安徽徽一通讯科技有限公司 一种耐光老化耐热光纤护套料专用填料及其制备方法

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