JP2005053952A - アルキレンオキサイド重合体の製造方法、その製造用触媒及び開環重合体 - Google Patents
アルキレンオキサイド重合体の製造方法、その製造用触媒及び開環重合体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを付加し、高分子量で狭い分子量分布をもつ開環重合体、また炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイドを付加した後、触媒を除去せずにさらにエチレンオキサイドを付加して末端高1級化とするブロック共重合体を得る製造法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される配位子と金属原子とからなる多核金属触媒(a)の存在下で、アルキレンオキサイド(b)を活性水素含有化合物に開環付加重合させてなる開環重合体(c1)の製造方法である。
[(Q)n−M−(L)m]p (1)
[式(1)中、Mは周期律表の第2周期13族原子、第3周期2及び13族原子、第4周期2〜13族原子、第5周期3、4、6、10、12及び14族原子等の金属;Qは特定の有機基;Lはハロゲン原子、アシルオキシ基等の配位子;nは1〜4の整数、mは0〜4の整数、pは1〜4の整数である。]
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式(1)で表される配位子と金属原子とからなる多核金属触媒(a)の存在下で、アルキレンオキサイド(b)を活性水素含有化合物に開環付加重合させてなる開環重合体(c1)の製造方法である。
[(Q)n−M−(L)m]p (1)
[式(1)中、Mは周期律表の第2周期13族原子、第3周期2及び13族原子、第4周期2〜13族原子、第5周期3、4、6、10、12及び14族原子等の金属;Qは特定の有機基;Lはハロゲン原子、アシルオキシ基等の配位子;nは1〜4の整数、mは0〜4の整数、pは1〜4の整数である。]
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子ポリオール等の活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを開環付加重合反応させて高分子量かつ狭い分子量分布をもつポリエーテルを製造する方法、その製造用触媒及び開環重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルキレンオキサイドを開環重合させて得られる重合体の分子量を上げ、分子量分布を狭くする触媒として、亜鉛ヘキサシアノコバルテート等の2種類の金属を分子内に含有する複合金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)が知られている。(特許文献1〜3)
【0003】
【特許文献1】
特開平9−59373号公報
【特許文献2】
特開平10−36500号公報
【特許文献3】
米国特許第5,527,880号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、DMC触媒を用いた場合、例えば、出発物質の活性水素含有化合物にプロピレンオキサイド(以下、POと略す)を開環付加重合反応させて得られるポリエーテル類に、触媒を除去せず引き続きエチレンオキサイド(以下、EOと略す)をブロック共重合させようとしても、PO付加物へのEOの付加は起きにくいため、EOの単独重合体であるポリエチレングリコールが生成しやすい。さらに、EOのブロック共重合の触媒の活性が低いため、反応が遅く、且つEO付加後の分子量が高くならない。また、残存触媒が除去困難等の問題がある。
【0005】
また、EOを重合させることにより、PO等のポリオール末端の水酸基を1級化することができるため、ウレタン化反応の反応性を高めたり、イソシアネート化合物とのプレポリマー設計を容易にすることができるため、高EO付加の価値は大きい。上記のDMC触媒で製造されるポリオールにEO付加する場合は、一旦DMC触媒を除去した後、水酸化カリウム(KOH)等の一般的にEO付加反応に用いられる触媒を添加しなければならないため、工程が複雑になったり、またその末端の水酸基へのEOの付加が十分満足いくものでなく、その用途が限定される等の問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを付加する際に、特定の化学構造の金属化合物を触媒として用いることにより、高分子量で狭い分子量分布をもつ開環重合体を得ることができ、また炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイドを付加した後、触媒を除去せずにさらにエチレンオキサイドを高反応率で付加して末端高1級化とするブロック共重合体が得られることを見いだし本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(1)で表される配位子と金属原子とからなる多核金属触媒(a)の存在下で、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド(b)を活性水素含有化合物に開環付加重合させてなる開環重合体(c1)の製造方法;
一般式
[(Q)n−M−(L)m]p (1)
[式(1)中、Mは周期律表の第2周期13族原子、第3周期2及び13族原子、第4周期2〜13族原子、第5周期3、4、6、10、12及び14族原子、及び第6周期3、4及び6族原子から選ばれる1種以上の金属であり、2個以上の場合は同種でも異種でもよい;Qは下記一般式(2)で表される有機基を表し、nが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上が連結して環を形成してもよい。Lはハロゲン原子、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、エーテル化合物から選ばれる1種以上の配位子であり、mが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよい;nは1〜4の整数、mは0〜4の整数、pは1〜4の整数である。]
一般式
−Z−Rk (2)
[式(2)中、Zは酸素、窒素、硫黄、リンから選ばれるヘテロ原子;Rは芳香族炭化水素基、又は有機シリル基;kは1又は2の整数であり、kが2のときは、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。]
及び、上記と同様の触媒の存在下で、炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイド(b1)を開環付加重合させた後、触媒を除去せずにさらにエチレンオキサイド(b2)を開環付加重合させてなるブロック共重合体の製造方法;
(2)上記の製造方法で用いられる金属触媒
(3)上記の製造方法で得られた開環重合体;
である。
【0008】
【発明の実施の形態】
一般式(1)において、金属(M)は、周期律表の第2周期13族原子、第3周期2及び13族原子、第4周期2〜13族原子、第5周期3、4、6、10、12及び14族原子、及び第6周期3、4及び6族原子から選ばれる1種以上金属原子である。具体的には、Ca,Sr,Mg,B,Al,Ga,Sn,Cu,Zn,Cd,Ti,Zr,Hf,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Ni,Pd及びランタノイドに属する金属原子が挙げられ、これらの金属原子から選ばれる1種以上の金属が使用できる。2個以上の場合は同種でも異種でもよい。
これら金属のうち、好ましくはZn、Al、B、Ca、Mg、Cd、Cr、Sn、Fe、Co、Ni、Pd、Ti及びZrであり、より好ましくはZn、B、Ca、Mg、Cd、及びCrであり、特に好ましくはZn、Cr及びCdであり、最も好ましくはZn、Cdである。
【0009】
Qは金属原子の配位子の一つであり、上記一般式(2)で表される有機基である。Zは酸素、窒素、硫黄及びリン原子から選ばれるヘテロ原子であり、kが2のときはZは同一でも異なっていてもよい。好ましくは窒素原子、リン原子であり、より好ましくは酸素原子である。これらの原子は(2)式では1価で表現されているが、その電子配置により金属原子に対して2〜4価で配位する可能性があることを含んでいる。
【0010】
Rは芳香族炭化水素基、又は有機シリル基を表し、芳香族炭化水素基としては単環式芳香族炭化水素基、多環式芳香族炭化水素基及び複素環式芳香族炭化水素基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基の炭素数(置換基を除く)は好ましくは6〜30、より好ましくは6〜25、特に好ましくは6〜18である。
芳香族炭化水素基は一部が炭素数1〜5のアルキル基若しくはアルコキシ基、フェニル基若しくはフェノキシ基、ハロゲン原子から選ばれる1種以上で置換されていてもよい。好ましくは炭素数1〜5のアルキル基若しくはフェニル基、ハロゲン原子から選ばれる1種以上で置換されていてもよい芳香族炭化水素基である。
具体的には下記のものが挙げられる。
【0011】
(1)単環式芳香族炭化水素基;
(i)無置換のアリール基;、フェニル基;
(ii)アルキル基置換のアリール基;
トリル基、メシチル基、クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、メチルベンジル基、キシリル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,4, 6−トリエチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジ−n−ブチルフェニル基、2,4,6−トリ−n−ブチルフェニル基等;
(iii) フェニル基置換のアリール基;
4−ビフェニル基、2,6−ジフェニルフェニル基、2,4,6−トリフェニルフェニル基等;
(iv)ハロゲン置換のアリール基;
2−クロロフェニル基、2−ジブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基等
(v)その他の置換アリール基;
フェノキシ基置換のアリール基;2,6−ジメチル−4−フルオロフェニル基、2,4−ジエチル−6−フルオロフェニル基等の2種以上の置換基で置換されたアリール基等;
【0012】
(2)多環式芳香族炭化水素基;
(i)無置換のアリール基;
ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ペンタリル基、ナフチル基、アントラシル基、ヘプタリル基、フェナリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ベンゾピレニル基等;
(ii)アルキル基置換のアリール基;
2−メチルナフチル基、2−エチルフェナントリル基等;
(iii)フェニル基置換のアリール基;
2−フェニルナフチル基、2−フェニルアントリル基等;
(iv)ハロゲン置換のアリール基;
2−クロロナフチル基、2−フルオロナフチル基;
(v)その他の置換アリール基;
2−トリクロロメチルナフチル基、パークロロエチルピレニル基等のハロゲン化アルキル基置換アリール基;2,4−ジメチル−6−フルオロナフチル基、・2,4−ジエチル−6−フルオロナフチル基等の2種以上の置換基で置換されたアリール基等;
【0013】
(3)複素環式芳香族炭化水素基;
(i)酸素含有複素環式芳香族炭化水素基
2−フリル基、フルフリル基等の無置換のアリール基等のアリーロキシ基置換アリール基等;
(ii)窒素含有複素環式芳香族炭化水素基;
2−ピロイル基、2−ピリジル基等のアリーロキシ基置換アリール基等;
(iii)硫黄含有複素環式芳香族炭化水素基;
2−チエニル基、2−テニル基等のアリーロキシ基置換アリール基等;
【0014】
これらの内、好ましくは単環式芳香族炭化水素基であり、より好ましくはフェニル基、2,6−ジフェニルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基である。
【0015】
有機シリル基としては炭素数1〜30の炭化水素基を有するシリル基が好ましい。具体的にはモノメチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、モノエチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基等のアルキルシリル基;トリフェニルシリル基等のアリールシリル基が挙げられる。この炭化水素基にはハロゲン、炭素数1〜5のアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。有機シリル基の内、好ましくはトリ置換アルキル又はアリール基であり、より好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基であり、特に好ましくはトリメチルシリル基である。
【0016】
Qの具体例としては、フェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、2,4,6−トリフェニルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4, 6−トリエチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジ−n−ブチルフェノキシ基、2,4,6−トリ−n−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジフルオロフェノキシ基、2,4,6−トリフルオロフェノキシ基等のZが酸素の場合;メチルシリルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、トリメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、ビス(トリフェニルシリル)アミノ基等のZが窒素の場合;2,6−ジフェニルフェニルチオ基、2,6−ジメチルフェニルチオ基、2,4,6−トリメチルフェニルチオ基、2,6−ジ−t−ブチルフェニルチオ基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルチオ基、2,6−ジフルオロフェニルチオ基等のZが硫黄の場合;ビス(2,6−ジフェニルフェニル)ホスフィノ基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノ基、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィノ基、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ホスフィノ基、ビス(2,6−ジフルオロ化フェニル)ホスフィノ基等のZがリンの場合等が挙げられる
【0017】
これらの内、好ましくは2,4,6−トリフェニルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4, 6−トリエチルフェノキシ基、ビス(トリフェニルシリル)アミノ基;ビス(2,6−ジフェニルフェニル)ホスフィノ基、より好ましくは2,6−ジ−n−ブチルフェノキシ基、2,4,6−トリ−n−ブチルフェノキシ基;ビス(トリメチルシリル)アミノ基、トリフェニルシリルアミノ基;ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィノ基、ビス(2,6−ジフルオロ化フェニル)ホスフィノ基、特に好ましくはフェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジフルオロフェノキシ基、2,4,6−トリフルオロフェノキシ基である。
【0018】
Lは金属触媒の配位子の一つであり、ハロゲン原子、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、及びエーテル化合物からなる群より選ばれる1種以上の配位子が挙げられる。互いに同一でも異なっていてもよく。これらLのうち、好ましくはハロゲン原子、アシルオキシ基、及びエーテル化合物である。より好ましくはハロゲン原子、エーテル化合物である。
【0019】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子の内、好ましくは塩素原子である。
アシルオキシとしては、式−O−C(=O)−R1で表される置換アシルオキシ基が挙げられ、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基等から選ばれる有機基である。
R1のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、オクチル基、デシル基、ステアリル基等が挙げられ、より好ましくは炭素数2〜10のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数2〜6のアルキル基である。R1がアルキル基である場合は、Lは例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸等の炭素数1〜20の有機カルボン酸から誘導することが出来る。
【0020】
シクロアルキルとしては、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、より好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、特に好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキル基である。R1がシクロアルキル基である場合は、Lは例えば、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルホン酸等の炭素数3〜20の有機シクロカルボン酸から誘導することができる。
【0021】
アリールアルキル基としては、炭素数7〜20のアリールアルキル基が好ましく、具体的にはベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ベンジリデン基等が挙げられる。より好ましくは炭素数7〜15のアリールアルキル基であり、特に好ましくは炭素数7〜10のアリールアルキル基である。R1がアリールアルキル基である場合は、Lは例えば、ベンジルオキシカルボン酸、ベンジルプロピオンカルボン酸の炭素数7〜20のアリールアルキルカルボン酸から誘導することができる。
【0022】
アシルオキシ基としては、R1が炭素数1〜6のアルキル基である場合が好ましく、メチル基、プロピル基がより好ましい。
【0023】
エーテル化合物としては、炭素数2〜30のエーテル化合物が挙げられる。具体的には例えば、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、メチル−n−アミルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、ジイソアミルエーテル等の飽和脂肪族系エーテル化合物;メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテル等の不飽和脂肪族エーテル化合物;アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェニルベンジルエーテル、α−ナフチルメチルエーテル、β−ナフチルメチルエーテル、ドデシルフェニルエーテル等の芳香族系エーテル化合物;ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂環式エーテル化合物等が挙げられる。
これらのうち、好ましくはジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、ジオキサン、及びドデシルフェニルエーテル、より好ましくはジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、特に好ましくはジエチルエーテル、テトラヒドロフランである。
【0024】
nは金属Mに配位する配位子Qの個数を表し、通常1〜4の整数である。好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2である。nが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上が連結して環を形成してもよい。nが1未満であると金属化合物としての安定性に欠け、4を超えると反応触媒としての活性が低下する。
mは金属Mに配位する配位子Lの個数の個数を表し、通常0〜4の整数である。好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2である。mが4を超えると、反応触媒としての活性が低下する。
pは、一般式(1)[(Q)n−M−(L)m]で表される化合物中の、金属Mどうしが、配位子Qを介して会合している会合数を表し、通常1〜4、好ましくは、1〜3、より好ましくは1〜2整数である。pが2以上の場合はQは金属Mを仲介する場合があり、二つ以上のQは異なっていてもよい。
【0025】
本発明の金属触媒は公知の合成法により得ることができ、例えば、(i)J.Am.Chem.Soc.,第121巻107頁(1999年発行);(ii)J.Am.Chem.Soc.,第122巻12487頁(2000年発行)等に詳細に記載されている方法で合成できる。
次に合成法の一例を記載するが、これに限定されるものではない。
窒素の雰囲気でジエチルエーテル 50〜80mLに、無水塩化亜鉛(好ましくは30〜40mmol)及びビス(トリメチルシリル)アミノナトリウム(好ましくは50〜80mmol)を加え、好ましくは20〜30℃で1〜3時間攪拌した後,生成した無色油状物を減圧蒸留(好ましくは2〜30mmHg、90〜110℃)によってビス(トリメチルシリル)アミノ亜鉛を収率40〜90%の収率で得る。さらにこのビス(トリメチルシリル)アミノ亜鉛1mmolを別の容器にとりTHF2〜5mLに溶解する。この溶液に窒素雰囲気下2,6−ジ−t−ブチルフェノール(好ましくは1.8〜2.2mmol)のTHF2〜5mLの溶液を加え、好ましくは20〜30℃で1〜3時間攪拌した後,ヘキサン4mLを加えて同温度でさらに攪拌する。好ましくは−10〜−30℃で24〜72時間冷却すると、無色結晶が析出する。これを50〜80℃で減圧乾燥すると収率40〜80%でビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフランの無色結晶体を得る。
同様に、ビス(トリメチルシリル)アミノ亜鉛1mmolのTHF(10mL)溶液に、2,6−ジフルオロフェノール(好ましくは1.8〜2.2mmol)のTHF10mL溶液を加えることにより、好ましくは20〜30℃で1〜3時間攪拌した後,得られた溶液を5mL程度にまで減圧蒸留(好ましくは2〜30mmHg、90〜110℃)で濃縮させ、−10〜−30℃に冷却し、上記と同様に減圧乾燥すると、ビス(2,6−ジフルオロフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフランの無色結晶体が収率40〜80%で得られる。
上記の方法により得られた金属触媒の具体例を表1に記載するが、これらに限定されるものではない。
【0026】
【表1】
【0027】
これらのうち、好ましいのは上記表のNo.6、10〜14,18〜20、27、より好ましいのは、No.2、3、16、24、特に好ましいのは、No. 7、8、9、15,17、21のものである。
【0028】
本発明は、上記の金属触媒(a)の存在下で、炭素数2〜8のアルキレンオキサイド(b)を活性水素含有化合物に開環付加重合させてなる開環重合体(c1)の製造方法である。
炭素数2〜8のアルキレンオキサイド(b)としては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド等が挙げられ、この内隣接アルキレンオキサイドが好ましく、より好ましくは炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイド、特に好ましくは1,2−ブチレンオキサイド、最も好ましくはEO、POである。
【0029】
活性水素含有化合物は、アルキレンオキサイドとの反応によって環状エーテル開環付加体を生成するものであれば制限はないが、r個の活性水素を有する化合物が挙げられ、例えば、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸化合物;分子内に2種以上の活性水素含有官能基を有する化合物;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。rは好ましくは1又は2〜100の数であり、より好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜6である。また、これら活性水素含有化合物に上記の環状エーテルを付加したものも活性水素が存在する限りイニシエーターとして使用することができる。
【0030】
水酸基含有化合物としては、水、1価のアルコール、2〜8価の多価アルコール、フェノール類、2〜8価の多価フェノール類等が挙げられる。
具体的にはメタノール、エタノール、ブタノール、オクタノールなどの1価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリト―ル、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビト―ル、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリト−ル、グルコ−ス、フルクト−ス、ショ糖等の4〜8価のアルコ―ル;フェノール、クレゾール等のフェノール類;ピロガロ―ル、カテコール、ヒドロキノンなどの多価フェノ―ル;ビスフェノ―ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノ―ル類;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体、ポリビニルアルコール類などの多官能(2〜100)ポリオール等が挙げられる。
なお、ポリブタジエンポリオールとしては、1,2−ビニル構造を有するもの、1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造とを有するもの、及び1,4−トランス構造を有するものが挙げられる。1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造の割合は種々にかえることができ、例えばモル比で100:0〜0:100である。またポリブタジエングリコ―ル(4)にはホモポリマ―およびコポリマ―(スチレンブタジエンコポリマ―、アクリロニトリルブタジエンコポリマ―等)、並びにこれらの水素添加物(水素添加率:例えば20〜100%)が含まれる。
また、ひまし油系ポリオールとしては、ひまし油及び変性ひまし油(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールで変性されたひまし油など)が挙げられる。
【0031】
アミノ基含有化合物としては、アミン類、ポリアミン類及びアミノアルコール類があげられる。具体的には、アンモニア、炭素数1〜20のアルキルアミン類(ブチルアミン等)、アニリン等のモノアミン類;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン及びその他特公昭55−21044号公報記載の複素環式ポリアミン類;ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエ−テルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミンなどの芳香族ポリアミン;およびモノエタノ―ルアミン、ジエタノ―ルアミン、トリエタノ―ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミン等のアルカノ―ルアミン類;ポリアミドポリアミン[例えばジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン];ポリエーテルポリアミン[ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物];シアノエチル化ポリアミン[例えばアクリロニトリルとポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンなど)との付加反応により得られるシアノエチル化ポリアミン、例えばビスシアノエチルジエチレントリアミン等];ヒドラジン類(ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド類(コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジッド、イソフタル酸ジヒドラジッド、テレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン類(ブチルグアニジン、1−シアノグアニジンなど);及びジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。アミノアルコール類としては、アルカノールアミン類、例えばモノ−、ジ−及びトリ−のアルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなど);これらのアルキル(C1〜C4)置換体〔N,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンなど)、N−アルキルジアルカノールアミン(N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミンなど)〕;およびこれらのジメチル硫酸あるいはベンジルクロリドなどの4級化剤による窒素原子4級化物があげられる。
【0032】
カルボキシル基含有化合物としては、酢酸、プロピオン酸などの脂肪族モノカルボン酸;安息香酸などの芳香族モノカルボン酸;コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸;アクリル酸の(共)重合物などのポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。
チオール基含有化合物のポリチオール化合物としては、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール、プロピレンジチオール、1,3−ブチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1、6−ヘキサンジチオール、3−メチルペンタンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸、ホスホン酸などが挙げられる。
【0033】
活性水素含有有機化合物のうち、水、アルコール、アミンが好ましい。
本発明の金属触媒の使用量は、活性水素含有有機化合物の活性水素1モルに対して、0.0001〜1モルが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5モル、特に好ましくは0.001〜0.05モルである。
活性水素含有有機化合物へのアルキレンオキサイド(b)の付加モル数は
、活性水素1モルに対して好ましくは1〜300モル、より好ましくは10〜250モル、特に好ましくは20〜160モルである。
(b)を付加する方法は、単独付加、二種以上の(b)を用いる場合のランダム付加、ブロック付加等が挙げられるが限定はない。好ましくは単独付加である。
【0034】
本発明の触媒を用いて活性水素含有有機化合物に(b)を開環付加重合する方法としては、通常の開環付加重合と同様の方法で行うことができ、例えば、(i)(b)を、活性水素含有有機化合物、本発明の金属触媒(a)、及び必要により使用する溶媒の混合物に滴下して開環付加重合する方法;(ii) (b)、(a)、及び必要により使用する溶媒を一度に混合して、開環付加重合する方法等が挙げられる。好ましくは(i)である。
ここで使用される溶媒としては、通常の開環付加反応に使用されるものでよく、例えばヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。好ましくはシクロヘキサン、トルエンである。
溶媒の使用量は、(b)の重量に基づいて、10〜80重量%が好ましく、より好ましくは30〜60重量%、特に好ましくは40〜50重量%である。
反応温度は、0〜200℃が好ましく、より好ましくは20〜180℃、特に好ましくは40〜160℃である。
反応圧力は、0.8MPaG以下が好ましく、より好ましくは0.6MPaG以下である。
また、開環付加重合の後、触媒を公知の吸着剤(例えば、活性白土、ゼオライト、合成ゼオライト及びイオン交換樹脂等)によって、吸着除去、濾過による除去を行ってもよく、鉱酸、有機酸、アミン又は水酸化アルカリ金属等で中和処理してもよい。
【0035】
上記の様にして得られる活性水素含有化合物に(b)が付加した重合体は、分子量分布が狭く、高分子量にした場合でも狭い分子量分布を有する。製造される開環付加重合体の数平均分子量は好ましくは200〜50,000、より好ましくは1,200〜30,000であり、特に好ましくは2,000〜20,000である。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)か、水酸基価によって測定できる。好ましくはGPC法である。
水酸基価(OHV、単位:mgKOH/g)はJISK−1557に準拠する方法によって行う。数平均分子量(Mn)は(F×56,100/OH価)によって計算できる。Fはポリエーテルポリオールの官能価を表す。
分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1〜1.3であり、より好ましくは1〜1.2である。分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)によって測定できる。
【0036】
本発明の開環重合体の内、好ましくは炭素数3〜6のアルキレンオキサイドの単独開環重合体、炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイドを開環付加重合後に、EOを開環付加重合させたブロック付加重合体である。より好ましくはPOの単独開環重合体、特に好ましくはPOを開環付加重合後に、EOを開環付加重合させた重合体である。
前者の炭素数3〜6のアルキレンオキサイドの単独開環重合体の(b)の付加モル数は活性水素含有化合物の活性水素1モルに対して好ましくは1〜300モル、より好ましくは10〜250モルである。Mw/Mnは好ましくは1〜1.3であり、より好ましくは1〜1.2である。
後者の炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイドを開環付加重合後に、EOを開環付加重合させたブロック付加重合体におけるEOの付加モル数は活性水素含有化合物(ここでは3〜6の隣接アルキレンオキサイド付加物を含む)の活性水素1モルに対して好ましくは1〜250モルであり、より好ましくは1〜150モルである。Mw/Mnは好ましくは1〜1.3であり、より好ましくは1〜1.2である。
【0037】
後者の場合、分子中のエチレンオキサイド(EO)付加部分が占める割合は好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上である。好ましくは40重量%以下である。
末端1級水酸基率は3〜6の隣接アルキレンオキシドを付加しても数%の末端は1級水酸基である。従来のDMC触媒はこの3〜6の隣接アルキレンオキシドを付加したものに触媒を除去せずにさらにEOを付加してもポリエチレングリコールが生成して末端の1級化率は殆ど上がらなかったが、本発明の触媒を使用した製造法によると触媒を除去せずにさらにEOを付加すると3〜6の隣接アルキレンオキシド付加末端の水酸基の1級化率を高めることができる。本発明のEO付加による末端1級水酸基率は好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
【0038】
EOの付加モル数、分子中のEO付加部分の占める割合、末端1級水酸基率は下記1H−NMRによって測定できる。
(試料調整)
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解し、試料を調製する。ここで重水素化溶媒とは、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択した。
(分子中のEO付加部分の占める割合の算出方法)
分子中のEO付加部分の占める割合(wt%)=[〔(a−b)/4〕×44]/[〔(a−b)/4〕×44]+(b×58)/3]×100
[但し、式中aは3.5ppm付近のメチレン基由来の信号の積分値;bは1.1ppm付近のメチル基由来の信号の積分値である。]
(EOの付加モル数の測定)
EOの付加モル数=[Mn×上記分子中のEO付加部分の占める割合/(44×100)]/h
[但し、式中Mnはアルキレンオキサイド付加物の数平均分子量、hは平均官能基数を表す。]
【0039】
(末端1級水酸基率の測定)
ポリオールの末端の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される。末端水酸基の1級化率は次の計算式により算出できる。
末端水酸基の1級化率=[c/(c+2×d)]×100
[但し、式中cは4.3ppm付近の1級化水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積 分値;dは5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値で ある。]
【0040】
本発明の触媒を用いて製造した炭素数3〜6のアルキレンオキサイドの開環重合体及びこの開環重合体に触媒を除去せずに続いてEOを付加したブロック共重合体は、高分子量且つ狭い分子量分布を有し、これを原料としたポリマー分散ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマー、ポリウレタン樹脂、ポリオキシアルキレンポリアミン及び該ポリオキシアルキレンポリアミンを原料とするポリウレタンウレア樹脂等は高強度、高反発弾性、高耐久性を有する。また、本発明により、得られたポリオキシアルキレンモノオール、ポリオールは、繊維処理用の油剤や洗浄剤、消泡剤等の界面活性剤組成物の原料として有用である。
【0041】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0042】
実施例1(触媒の合成)
50ml三つ口フラスコに窒素雰囲気中でビス(トリメチルシリル)アミノ亜鉛0.40g(1.04mmol)とテトラヒドロフラン(以下THFという)2mLを仕込み25℃で攪拌混合して溶液を作成した。これとは別に2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.43g(2.08mmol)をTHF2mLに溶解した溶液を作成し、この溶液を全量前者の溶液に加え、1時間攪拌し、さらにヘキサン 4mLを加え、―20℃で48時間冷却すると無色結晶体が得られた。この無色結晶体を50〜80℃で減圧乾燥して乾燥させて、本発明の触媒であるビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン 0.30gを得た。
【0043】
実施例2(触媒の合成)
ビス(トリメチルシリル)アミノ亜鉛 0.40g(1.04mmol)のTHF溶液10mL中に、2,6−ジフルオロフェノール0.27g(2.08mmol)のTHF溶液10mLを加え、25℃で2時間攪拌した後、溶液を50〜80℃で減圧乾燥して5mLにまで濃縮させ、―20℃で48時間冷却すると無色結晶体が得られた。これを実施例1と同様に減圧乾燥させて、本発明の触媒であるビス(2,6−ジフルオロフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン0.28gを得た。
【0044】
比較製造例1(DMC触媒の合成)
200mlの容器に塩化亜鉛6.3g(45.8mmol)、蒸留水20mLを入れ溶解し、この中にヘキサシアノコバルト2g(6mmol)を蒸留水35mLに溶解した水溶液を、10,000rpmで激しく攪拌しながら添加した。その直後に、tert−ブタノール25gと水25gの混合物を投入し、10,000rpmで10分間、激しく攪拌した。次いで、ポリエチレングリコール(数平均分子量:2,000)0.5g、t−ブタノール0.5g及び水50gの混合物を添加し、1,000rpmで3分間攪拌した。生成した固体を、濾紙(No.6)で濾過により単離し、t−ブタノール35g、水15g、ポリプロピレングリコール(数平均分子量:2,000)0.5gの混合物を加えて、5,000rpmで10分間 攪拌して、再度同様に濾過した。最後に、生成した固体を、t−ブタノール50gと上記のポリプロピレングリコール0.5gの混合物を加えて10000rpmでさらに10分間、攪拌した。この懸濁液を濾紙(No.6)で濾過し、濾過残を 20mmHgの減圧下、50℃で24時間乾燥して、比較の触媒DMCを得た。収量:3.1g。
【0045】
実施例3(開環重合体の合成)
ステンレス製オートクレーブに、「サンニックスPP−3000」(分子量3000のポリオキシプロピレングリコール;三洋化成工業社製)60部、実施例1で得られたビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン 0.50 部(「サンニックスPP−3000」の水酸基1モルに対して0.02モル)を投入し、混合系内を窒素で置換した後、100℃、約20mmHgの減圧下2時間脱水を行った。次いで、プロピレンオキサイド(PO)240部を100℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように維持しながら1時間で導入した後、さらに、120℃で4時間熟成反応させた。未反応のPOを減圧下(15〜30mmHg)で除去した後、「キョーワード1000」(吸着処理剤:協和化学工業社製)を5部投入し、90℃で1時間混合して触媒を吸着処理した後、濾紙(No.6)で濾過して本発明の開環重合体A(ポリオキシプロピレングリコールのPO付加物)286部を得た。
このもののMnは14,500、Mw/Mn=1.12、末端1級水酸基率=5%であった。
【0046】
実施例4(開環重合体の合成)
実施例1と同様にして、「サンニックスPP−3000」30g(0.01モル)、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン 0.25g(「サンニックスPP−3000」の水酸基1モルに対して0.02モル)を投入し、混合系内を窒素で置換した後、100℃、約20mmHgの減圧下2時間脱水を行った。次いで、PO90g(1.55モル)を100℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように維持しながら導入した後、続けて120℃で4時間熟成反応させた。POの導入終了後、未反応のPOを(15〜30mmHg)で減圧で除去し、次いでエチレンオキサイド(EO)25g(0.568モル)を滴下し、120℃で3時間反応を行った。反応後、未反応のEOを減圧下で除去し、実施例1と同様に吸着処理、濾過して本発明の開環重合体B(「サンニックスPP−3000」のPO150モル・EO 55モル付加物)135gを得た。
このもののMnは14,120、Mw/Mn=1.10、分子中のEO付加部分の占める割合17.1重量%、末端1級水酸基率=85%であった。
【0047】
実施例5(開環重合体の合成)
実施例4においてビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン(触媒)に代えてビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフランを用い、PO90gに代えてPO120gを用いた以外は、実施例4と同様にして、液体の開環重合体Cを167部得た。このもののMnは17,400、Mw/Mn=1.09、分子中のEO付加部分の占める割合14.9重量%、末端1級水酸基率=90%であった。
【0048】
実施例6(開環重合体の合成)
実施例4において「サンニックスPP−3000」に代えて「サンニックスGP−3000」(分子量3000のグリセリンプロピレンオキサイド付加物:三洋化成工業社製)を用いた以外は、実施例4と同様にして開環重合体D 124部を得た。このもののMnは14,800、Mw/Mn=1.22、分子中のEO付加部分の占める割合15.9重量%、末端1級水酸基率=88%であった。
【0049】
実施例7(開環重合体の合成)
「サンニックスPP−3000」に代えて「サンニックスGP−3000」30gを用い、ビス(2,6−ジフルオロフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン0.50g、PO120g、EO10gを使用した他は実施例4と同様にして、液体の開環重合体E 148gを得た。このもののMnは16,100、Mw/Mn=1.23、分子中のEO付加部分の占める割合7.2重量%、末端1級水酸基率=80%であった。
【0050】
比較例1(開環重合体の合成)
実施例4において本発明のビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフランに代えて比較製造例1で得たDMC触媒0.25gを用いた以外は、実施例4と同様にして開環重合体F 134gを得た。このもののMnは12,800、Mw/Mn=1.22、分子中のEO付加部分の占める割合3.5重量%、末端1級水酸基化率=13%であった。
【0051】
比較例2(開環重合体の合成)
実施例3において本発明のビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフランに代えて比較製造例1で得たDMC触媒0.50gを用いた以外は、実施例3と同様にして開環重合体F 280gを得た。このもののMnは14,000、Mw/Mn=1.17、末端1級水酸基率=3%であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明の触媒を使用して得られる本発明の開環重合体は下記の効果を奏する。
(1)高分子量で且つ分子量分布の狭いアルキレンオキサイド開環重合体となる。
(2)従来の3〜6の隣接アルキレンオキシドを付加したものは触媒を除去せずにさらにEOを付加してもポリエチレングリコールが生成して末端の1級化率が低かったが、本発明のものは活性水素含有化合物にPOを付加した後、触媒を除去せずにEOを付加させることにより、PO等のポリオール末端の水酸基の1級化率を高めることもできる。この場合にも分子量分布は狭いものとなる。従って、ウレタン化反応の反応性を高めたり、イソシアネート化合物とのプレポリマー設計を容易にすることができる。EO付加した重合体の水酸基と他の原料と反応させると、反応速度が大きく、得られる樹脂は高強度、高反発弾性、高耐久性等を有する。
(3)(2)の場合に、一旦触媒を除去した後、水酸化カリウム(KOH)等の一般的にEO付加反応に用いられる触媒を添加する等のやっかいな工程をとる必要がなく、効率的である。
また、本発明の製造法により得られるポリオキシアルキレンモノオール、ポリオールは、繊維処理用の油剤や洗浄剤、消泡剤などの界面活性剤組成物の原料としても有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子ポリオール等の活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを開環付加重合反応させて高分子量かつ狭い分子量分布をもつポリエーテルを製造する方法、その製造用触媒及び開環重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルキレンオキサイドを開環重合させて得られる重合体の分子量を上げ、分子量分布を狭くする触媒として、亜鉛ヘキサシアノコバルテート等の2種類の金属を分子内に含有する複合金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)が知られている。(特許文献1〜3)
【0003】
【特許文献1】
特開平9−59373号公報
【特許文献2】
特開平10−36500号公報
【特許文献3】
米国特許第5,527,880号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、DMC触媒を用いた場合、例えば、出発物質の活性水素含有化合物にプロピレンオキサイド(以下、POと略す)を開環付加重合反応させて得られるポリエーテル類に、触媒を除去せず引き続きエチレンオキサイド(以下、EOと略す)をブロック共重合させようとしても、PO付加物へのEOの付加は起きにくいため、EOの単独重合体であるポリエチレングリコールが生成しやすい。さらに、EOのブロック共重合の触媒の活性が低いため、反応が遅く、且つEO付加後の分子量が高くならない。また、残存触媒が除去困難等の問題がある。
【0005】
また、EOを重合させることにより、PO等のポリオール末端の水酸基を1級化することができるため、ウレタン化反応の反応性を高めたり、イソシアネート化合物とのプレポリマー設計を容易にすることができるため、高EO付加の価値は大きい。上記のDMC触媒で製造されるポリオールにEO付加する場合は、一旦DMC触媒を除去した後、水酸化カリウム(KOH)等の一般的にEO付加反応に用いられる触媒を添加しなければならないため、工程が複雑になったり、またその末端の水酸基へのEOの付加が十分満足いくものでなく、その用途が限定される等の問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを付加する際に、特定の化学構造の金属化合物を触媒として用いることにより、高分子量で狭い分子量分布をもつ開環重合体を得ることができ、また炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイドを付加した後、触媒を除去せずにさらにエチレンオキサイドを高反応率で付加して末端高1級化とするブロック共重合体が得られることを見いだし本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(1)で表される配位子と金属原子とからなる多核金属触媒(a)の存在下で、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド(b)を活性水素含有化合物に開環付加重合させてなる開環重合体(c1)の製造方法;
一般式
[(Q)n−M−(L)m]p (1)
[式(1)中、Mは周期律表の第2周期13族原子、第3周期2及び13族原子、第4周期2〜13族原子、第5周期3、4、6、10、12及び14族原子、及び第6周期3、4及び6族原子から選ばれる1種以上の金属であり、2個以上の場合は同種でも異種でもよい;Qは下記一般式(2)で表される有機基を表し、nが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上が連結して環を形成してもよい。Lはハロゲン原子、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、エーテル化合物から選ばれる1種以上の配位子であり、mが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよい;nは1〜4の整数、mは0〜4の整数、pは1〜4の整数である。]
一般式
−Z−Rk (2)
[式(2)中、Zは酸素、窒素、硫黄、リンから選ばれるヘテロ原子;Rは芳香族炭化水素基、又は有機シリル基;kは1又は2の整数であり、kが2のときは、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。]
及び、上記と同様の触媒の存在下で、炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイド(b1)を開環付加重合させた後、触媒を除去せずにさらにエチレンオキサイド(b2)を開環付加重合させてなるブロック共重合体の製造方法;
(2)上記の製造方法で用いられる金属触媒
(3)上記の製造方法で得られた開環重合体;
である。
【0008】
【発明の実施の形態】
一般式(1)において、金属(M)は、周期律表の第2周期13族原子、第3周期2及び13族原子、第4周期2〜13族原子、第5周期3、4、6、10、12及び14族原子、及び第6周期3、4及び6族原子から選ばれる1種以上金属原子である。具体的には、Ca,Sr,Mg,B,Al,Ga,Sn,Cu,Zn,Cd,Ti,Zr,Hf,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Ni,Pd及びランタノイドに属する金属原子が挙げられ、これらの金属原子から選ばれる1種以上の金属が使用できる。2個以上の場合は同種でも異種でもよい。
これら金属のうち、好ましくはZn、Al、B、Ca、Mg、Cd、Cr、Sn、Fe、Co、Ni、Pd、Ti及びZrであり、より好ましくはZn、B、Ca、Mg、Cd、及びCrであり、特に好ましくはZn、Cr及びCdであり、最も好ましくはZn、Cdである。
【0009】
Qは金属原子の配位子の一つであり、上記一般式(2)で表される有機基である。Zは酸素、窒素、硫黄及びリン原子から選ばれるヘテロ原子であり、kが2のときはZは同一でも異なっていてもよい。好ましくは窒素原子、リン原子であり、より好ましくは酸素原子である。これらの原子は(2)式では1価で表現されているが、その電子配置により金属原子に対して2〜4価で配位する可能性があることを含んでいる。
【0010】
Rは芳香族炭化水素基、又は有機シリル基を表し、芳香族炭化水素基としては単環式芳香族炭化水素基、多環式芳香族炭化水素基及び複素環式芳香族炭化水素基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基の炭素数(置換基を除く)は好ましくは6〜30、より好ましくは6〜25、特に好ましくは6〜18である。
芳香族炭化水素基は一部が炭素数1〜5のアルキル基若しくはアルコキシ基、フェニル基若しくはフェノキシ基、ハロゲン原子から選ばれる1種以上で置換されていてもよい。好ましくは炭素数1〜5のアルキル基若しくはフェニル基、ハロゲン原子から選ばれる1種以上で置換されていてもよい芳香族炭化水素基である。
具体的には下記のものが挙げられる。
【0011】
(1)単環式芳香族炭化水素基;
(i)無置換のアリール基;、フェニル基;
(ii)アルキル基置換のアリール基;
トリル基、メシチル基、クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、メチルベンジル基、キシリル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,4, 6−トリエチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジ−n−ブチルフェニル基、2,4,6−トリ−n−ブチルフェニル基等;
(iii) フェニル基置換のアリール基;
4−ビフェニル基、2,6−ジフェニルフェニル基、2,4,6−トリフェニルフェニル基等;
(iv)ハロゲン置換のアリール基;
2−クロロフェニル基、2−ジブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基等
(v)その他の置換アリール基;
フェノキシ基置換のアリール基;2,6−ジメチル−4−フルオロフェニル基、2,4−ジエチル−6−フルオロフェニル基等の2種以上の置換基で置換されたアリール基等;
【0012】
(2)多環式芳香族炭化水素基;
(i)無置換のアリール基;
ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ペンタリル基、ナフチル基、アントラシル基、ヘプタリル基、フェナリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ベンゾピレニル基等;
(ii)アルキル基置換のアリール基;
2−メチルナフチル基、2−エチルフェナントリル基等;
(iii)フェニル基置換のアリール基;
2−フェニルナフチル基、2−フェニルアントリル基等;
(iv)ハロゲン置換のアリール基;
2−クロロナフチル基、2−フルオロナフチル基;
(v)その他の置換アリール基;
2−トリクロロメチルナフチル基、パークロロエチルピレニル基等のハロゲン化アルキル基置換アリール基;2,4−ジメチル−6−フルオロナフチル基、・2,4−ジエチル−6−フルオロナフチル基等の2種以上の置換基で置換されたアリール基等;
【0013】
(3)複素環式芳香族炭化水素基;
(i)酸素含有複素環式芳香族炭化水素基
2−フリル基、フルフリル基等の無置換のアリール基等のアリーロキシ基置換アリール基等;
(ii)窒素含有複素環式芳香族炭化水素基;
2−ピロイル基、2−ピリジル基等のアリーロキシ基置換アリール基等;
(iii)硫黄含有複素環式芳香族炭化水素基;
2−チエニル基、2−テニル基等のアリーロキシ基置換アリール基等;
【0014】
これらの内、好ましくは単環式芳香族炭化水素基であり、より好ましくはフェニル基、2,6−ジフェニルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチルフェニル基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基である。
【0015】
有機シリル基としては炭素数1〜30の炭化水素基を有するシリル基が好ましい。具体的にはモノメチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、モノエチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基等のアルキルシリル基;トリフェニルシリル基等のアリールシリル基が挙げられる。この炭化水素基にはハロゲン、炭素数1〜5のアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。有機シリル基の内、好ましくはトリ置換アルキル又はアリール基であり、より好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基であり、特に好ましくはトリメチルシリル基である。
【0016】
Qの具体例としては、フェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、2,4,6−トリフェニルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4, 6−トリエチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジ−n−ブチルフェノキシ基、2,4,6−トリ−n−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジフルオロフェノキシ基、2,4,6−トリフルオロフェノキシ基等のZが酸素の場合;メチルシリルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、トリメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、ビス(トリフェニルシリル)アミノ基等のZが窒素の場合;2,6−ジフェニルフェニルチオ基、2,6−ジメチルフェニルチオ基、2,4,6−トリメチルフェニルチオ基、2,6−ジ−t−ブチルフェニルチオ基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルチオ基、2,6−ジフルオロフェニルチオ基等のZが硫黄の場合;ビス(2,6−ジフェニルフェニル)ホスフィノ基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノ基、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィノ基、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ホスフィノ基、ビス(2,6−ジフルオロ化フェニル)ホスフィノ基等のZがリンの場合等が挙げられる
【0017】
これらの内、好ましくは2,4,6−トリフェニルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4, 6−トリエチルフェノキシ基、ビス(トリフェニルシリル)アミノ基;ビス(2,6−ジフェニルフェニル)ホスフィノ基、より好ましくは2,6−ジ−n−ブチルフェノキシ基、2,4,6−トリ−n−ブチルフェノキシ基;ビス(トリメチルシリル)アミノ基、トリフェニルシリルアミノ基;ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィノ基、ビス(2,6−ジフルオロ化フェニル)ホスフィノ基、特に好ましくはフェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジフルオロフェノキシ基、2,4,6−トリフルオロフェノキシ基である。
【0018】
Lは金属触媒の配位子の一つであり、ハロゲン原子、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、及びエーテル化合物からなる群より選ばれる1種以上の配位子が挙げられる。互いに同一でも異なっていてもよく。これらLのうち、好ましくはハロゲン原子、アシルオキシ基、及びエーテル化合物である。より好ましくはハロゲン原子、エーテル化合物である。
【0019】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子の内、好ましくは塩素原子である。
アシルオキシとしては、式−O−C(=O)−R1で表される置換アシルオキシ基が挙げられ、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基等から選ばれる有機基である。
R1のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、オクチル基、デシル基、ステアリル基等が挙げられ、より好ましくは炭素数2〜10のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数2〜6のアルキル基である。R1がアルキル基である場合は、Lは例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸等の炭素数1〜20の有機カルボン酸から誘導することが出来る。
【0020】
シクロアルキルとしては、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、より好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、特に好ましくは炭素数3〜8のシクロアルキル基である。R1がシクロアルキル基である場合は、Lは例えば、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルホン酸等の炭素数3〜20の有機シクロカルボン酸から誘導することができる。
【0021】
アリールアルキル基としては、炭素数7〜20のアリールアルキル基が好ましく、具体的にはベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ベンジリデン基等が挙げられる。より好ましくは炭素数7〜15のアリールアルキル基であり、特に好ましくは炭素数7〜10のアリールアルキル基である。R1がアリールアルキル基である場合は、Lは例えば、ベンジルオキシカルボン酸、ベンジルプロピオンカルボン酸の炭素数7〜20のアリールアルキルカルボン酸から誘導することができる。
【0022】
アシルオキシ基としては、R1が炭素数1〜6のアルキル基である場合が好ましく、メチル基、プロピル基がより好ましい。
【0023】
エーテル化合物としては、炭素数2〜30のエーテル化合物が挙げられる。具体的には例えば、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、メチル−n−アミルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、ジイソアミルエーテル等の飽和脂肪族系エーテル化合物;メチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテル等の不飽和脂肪族エーテル化合物;アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェニルベンジルエーテル、α−ナフチルメチルエーテル、β−ナフチルメチルエーテル、ドデシルフェニルエーテル等の芳香族系エーテル化合物;ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂環式エーテル化合物等が挙げられる。
これらのうち、好ましくはジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、ジオキサン、及びドデシルフェニルエーテル、より好ましくはジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、特に好ましくはジエチルエーテル、テトラヒドロフランである。
【0024】
nは金属Mに配位する配位子Qの個数を表し、通常1〜4の整数である。好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2である。nが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上が連結して環を形成してもよい。nが1未満であると金属化合物としての安定性に欠け、4を超えると反応触媒としての活性が低下する。
mは金属Mに配位する配位子Lの個数の個数を表し、通常0〜4の整数である。好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2である。mが4を超えると、反応触媒としての活性が低下する。
pは、一般式(1)[(Q)n−M−(L)m]で表される化合物中の、金属Mどうしが、配位子Qを介して会合している会合数を表し、通常1〜4、好ましくは、1〜3、より好ましくは1〜2整数である。pが2以上の場合はQは金属Mを仲介する場合があり、二つ以上のQは異なっていてもよい。
【0025】
本発明の金属触媒は公知の合成法により得ることができ、例えば、(i)J.Am.Chem.Soc.,第121巻107頁(1999年発行);(ii)J.Am.Chem.Soc.,第122巻12487頁(2000年発行)等に詳細に記載されている方法で合成できる。
次に合成法の一例を記載するが、これに限定されるものではない。
窒素の雰囲気でジエチルエーテル 50〜80mLに、無水塩化亜鉛(好ましくは30〜40mmol)及びビス(トリメチルシリル)アミノナトリウム(好ましくは50〜80mmol)を加え、好ましくは20〜30℃で1〜3時間攪拌した後,生成した無色油状物を減圧蒸留(好ましくは2〜30mmHg、90〜110℃)によってビス(トリメチルシリル)アミノ亜鉛を収率40〜90%の収率で得る。さらにこのビス(トリメチルシリル)アミノ亜鉛1mmolを別の容器にとりTHF2〜5mLに溶解する。この溶液に窒素雰囲気下2,6−ジ−t−ブチルフェノール(好ましくは1.8〜2.2mmol)のTHF2〜5mLの溶液を加え、好ましくは20〜30℃で1〜3時間攪拌した後,ヘキサン4mLを加えて同温度でさらに攪拌する。好ましくは−10〜−30℃で24〜72時間冷却すると、無色結晶が析出する。これを50〜80℃で減圧乾燥すると収率40〜80%でビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフランの無色結晶体を得る。
同様に、ビス(トリメチルシリル)アミノ亜鉛1mmolのTHF(10mL)溶液に、2,6−ジフルオロフェノール(好ましくは1.8〜2.2mmol)のTHF10mL溶液を加えることにより、好ましくは20〜30℃で1〜3時間攪拌した後,得られた溶液を5mL程度にまで減圧蒸留(好ましくは2〜30mmHg、90〜110℃)で濃縮させ、−10〜−30℃に冷却し、上記と同様に減圧乾燥すると、ビス(2,6−ジフルオロフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフランの無色結晶体が収率40〜80%で得られる。
上記の方法により得られた金属触媒の具体例を表1に記載するが、これらに限定されるものではない。
【0026】
【表1】
【0027】
これらのうち、好ましいのは上記表のNo.6、10〜14,18〜20、27、より好ましいのは、No.2、3、16、24、特に好ましいのは、No. 7、8、9、15,17、21のものである。
【0028】
本発明は、上記の金属触媒(a)の存在下で、炭素数2〜8のアルキレンオキサイド(b)を活性水素含有化合物に開環付加重合させてなる開環重合体(c1)の製造方法である。
炭素数2〜8のアルキレンオキサイド(b)としては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド等が挙げられ、この内隣接アルキレンオキサイドが好ましく、より好ましくは炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイド、特に好ましくは1,2−ブチレンオキサイド、最も好ましくはEO、POである。
【0029】
活性水素含有化合物は、アルキレンオキサイドとの反応によって環状エーテル開環付加体を生成するものであれば制限はないが、r個の活性水素を有する化合物が挙げられ、例えば、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸化合物;分子内に2種以上の活性水素含有官能基を有する化合物;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。rは好ましくは1又は2〜100の数であり、より好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜6である。また、これら活性水素含有化合物に上記の環状エーテルを付加したものも活性水素が存在する限りイニシエーターとして使用することができる。
【0030】
水酸基含有化合物としては、水、1価のアルコール、2〜8価の多価アルコール、フェノール類、2〜8価の多価フェノール類等が挙げられる。
具体的にはメタノール、エタノール、ブタノール、オクタノールなどの1価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリト―ル、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビト―ル、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリト−ル、グルコ−ス、フルクト−ス、ショ糖等の4〜8価のアルコ―ル;フェノール、クレゾール等のフェノール類;ピロガロ―ル、カテコール、ヒドロキノンなどの多価フェノ―ル;ビスフェノ―ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノ―ル類;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体、ポリビニルアルコール類などの多官能(2〜100)ポリオール等が挙げられる。
なお、ポリブタジエンポリオールとしては、1,2−ビニル構造を有するもの、1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造とを有するもの、及び1,4−トランス構造を有するものが挙げられる。1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造の割合は種々にかえることができ、例えばモル比で100:0〜0:100である。またポリブタジエングリコ―ル(4)にはホモポリマ―およびコポリマ―(スチレンブタジエンコポリマ―、アクリロニトリルブタジエンコポリマ―等)、並びにこれらの水素添加物(水素添加率:例えば20〜100%)が含まれる。
また、ひまし油系ポリオールとしては、ひまし油及び変性ひまし油(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールで変性されたひまし油など)が挙げられる。
【0031】
アミノ基含有化合物としては、アミン類、ポリアミン類及びアミノアルコール類があげられる。具体的には、アンモニア、炭素数1〜20のアルキルアミン類(ブチルアミン等)、アニリン等のモノアミン類;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン及びその他特公昭55−21044号公報記載の複素環式ポリアミン類;ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエ−テルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミンなどの芳香族ポリアミン;およびモノエタノ―ルアミン、ジエタノ―ルアミン、トリエタノ―ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミン等のアルカノ―ルアミン類;ポリアミドポリアミン[例えばジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン];ポリエーテルポリアミン[ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物];シアノエチル化ポリアミン[例えばアクリロニトリルとポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンなど)との付加反応により得られるシアノエチル化ポリアミン、例えばビスシアノエチルジエチレントリアミン等];ヒドラジン類(ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド類(コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジッド、イソフタル酸ジヒドラジッド、テレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン類(ブチルグアニジン、1−シアノグアニジンなど);及びジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。アミノアルコール類としては、アルカノールアミン類、例えばモノ−、ジ−及びトリ−のアルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンなど);これらのアルキル(C1〜C4)置換体〔N,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンなど)、N−アルキルジアルカノールアミン(N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミンなど)〕;およびこれらのジメチル硫酸あるいはベンジルクロリドなどの4級化剤による窒素原子4級化物があげられる。
【0032】
カルボキシル基含有化合物としては、酢酸、プロピオン酸などの脂肪族モノカルボン酸;安息香酸などの芳香族モノカルボン酸;コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸;アクリル酸の(共)重合物などのポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。
チオール基含有化合物のポリチオール化合物としては、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール、プロピレンジチオール、1,3−ブチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1、6−ヘキサンジチオール、3−メチルペンタンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸、ホスホン酸などが挙げられる。
【0033】
活性水素含有有機化合物のうち、水、アルコール、アミンが好ましい。
本発明の金属触媒の使用量は、活性水素含有有機化合物の活性水素1モルに対して、0.0001〜1モルが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5モル、特に好ましくは0.001〜0.05モルである。
活性水素含有有機化合物へのアルキレンオキサイド(b)の付加モル数は
、活性水素1モルに対して好ましくは1〜300モル、より好ましくは10〜250モル、特に好ましくは20〜160モルである。
(b)を付加する方法は、単独付加、二種以上の(b)を用いる場合のランダム付加、ブロック付加等が挙げられるが限定はない。好ましくは単独付加である。
【0034】
本発明の触媒を用いて活性水素含有有機化合物に(b)を開環付加重合する方法としては、通常の開環付加重合と同様の方法で行うことができ、例えば、(i)(b)を、活性水素含有有機化合物、本発明の金属触媒(a)、及び必要により使用する溶媒の混合物に滴下して開環付加重合する方法;(ii) (b)、(a)、及び必要により使用する溶媒を一度に混合して、開環付加重合する方法等が挙げられる。好ましくは(i)である。
ここで使用される溶媒としては、通常の開環付加反応に使用されるものでよく、例えばヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。好ましくはシクロヘキサン、トルエンである。
溶媒の使用量は、(b)の重量に基づいて、10〜80重量%が好ましく、より好ましくは30〜60重量%、特に好ましくは40〜50重量%である。
反応温度は、0〜200℃が好ましく、より好ましくは20〜180℃、特に好ましくは40〜160℃である。
反応圧力は、0.8MPaG以下が好ましく、より好ましくは0.6MPaG以下である。
また、開環付加重合の後、触媒を公知の吸着剤(例えば、活性白土、ゼオライト、合成ゼオライト及びイオン交換樹脂等)によって、吸着除去、濾過による除去を行ってもよく、鉱酸、有機酸、アミン又は水酸化アルカリ金属等で中和処理してもよい。
【0035】
上記の様にして得られる活性水素含有化合物に(b)が付加した重合体は、分子量分布が狭く、高分子量にした場合でも狭い分子量分布を有する。製造される開環付加重合体の数平均分子量は好ましくは200〜50,000、より好ましくは1,200〜30,000であり、特に好ましくは2,000〜20,000である。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)か、水酸基価によって測定できる。好ましくはGPC法である。
水酸基価(OHV、単位:mgKOH/g)はJISK−1557に準拠する方法によって行う。数平均分子量(Mn)は(F×56,100/OH価)によって計算できる。Fはポリエーテルポリオールの官能価を表す。
分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1〜1.3であり、より好ましくは1〜1.2である。分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)によって測定できる。
【0036】
本発明の開環重合体の内、好ましくは炭素数3〜6のアルキレンオキサイドの単独開環重合体、炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイドを開環付加重合後に、EOを開環付加重合させたブロック付加重合体である。より好ましくはPOの単独開環重合体、特に好ましくはPOを開環付加重合後に、EOを開環付加重合させた重合体である。
前者の炭素数3〜6のアルキレンオキサイドの単独開環重合体の(b)の付加モル数は活性水素含有化合物の活性水素1モルに対して好ましくは1〜300モル、より好ましくは10〜250モルである。Mw/Mnは好ましくは1〜1.3であり、より好ましくは1〜1.2である。
後者の炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイドを開環付加重合後に、EOを開環付加重合させたブロック付加重合体におけるEOの付加モル数は活性水素含有化合物(ここでは3〜6の隣接アルキレンオキサイド付加物を含む)の活性水素1モルに対して好ましくは1〜250モルであり、より好ましくは1〜150モルである。Mw/Mnは好ましくは1〜1.3であり、より好ましくは1〜1.2である。
【0037】
後者の場合、分子中のエチレンオキサイド(EO)付加部分が占める割合は好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上である。好ましくは40重量%以下である。
末端1級水酸基率は3〜6の隣接アルキレンオキシドを付加しても数%の末端は1級水酸基である。従来のDMC触媒はこの3〜6の隣接アルキレンオキシドを付加したものに触媒を除去せずにさらにEOを付加してもポリエチレングリコールが生成して末端の1級化率は殆ど上がらなかったが、本発明の触媒を使用した製造法によると触媒を除去せずにさらにEOを付加すると3〜6の隣接アルキレンオキシド付加末端の水酸基の1級化率を高めることができる。本発明のEO付加による末端1級水酸基率は好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
【0038】
EOの付加モル数、分子中のEO付加部分の占める割合、末端1級水酸基率は下記1H−NMRによって測定できる。
(試料調整)
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解し、試料を調製する。ここで重水素化溶媒とは、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択した。
(分子中のEO付加部分の占める割合の算出方法)
分子中のEO付加部分の占める割合(wt%)=[〔(a−b)/4〕×44]/[〔(a−b)/4〕×44]+(b×58)/3]×100
[但し、式中aは3.5ppm付近のメチレン基由来の信号の積分値;bは1.1ppm付近のメチル基由来の信号の積分値である。]
(EOの付加モル数の測定)
EOの付加モル数=[Mn×上記分子中のEO付加部分の占める割合/(44×100)]/h
[但し、式中Mnはアルキレンオキサイド付加物の数平均分子量、hは平均官能基数を表す。]
【0039】
(末端1級水酸基率の測定)
ポリオールの末端の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される。末端水酸基の1級化率は次の計算式により算出できる。
末端水酸基の1級化率=[c/(c+2×d)]×100
[但し、式中cは4.3ppm付近の1級化水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積 分値;dは5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値で ある。]
【0040】
本発明の触媒を用いて製造した炭素数3〜6のアルキレンオキサイドの開環重合体及びこの開環重合体に触媒を除去せずに続いてEOを付加したブロック共重合体は、高分子量且つ狭い分子量分布を有し、これを原料としたポリマー分散ポリオール、イソシアネート基末端プレポリマー、ポリウレタン樹脂、ポリオキシアルキレンポリアミン及び該ポリオキシアルキレンポリアミンを原料とするポリウレタンウレア樹脂等は高強度、高反発弾性、高耐久性を有する。また、本発明により、得られたポリオキシアルキレンモノオール、ポリオールは、繊維処理用の油剤や洗浄剤、消泡剤等の界面活性剤組成物の原料として有用である。
【0041】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0042】
実施例1(触媒の合成)
50ml三つ口フラスコに窒素雰囲気中でビス(トリメチルシリル)アミノ亜鉛0.40g(1.04mmol)とテトラヒドロフラン(以下THFという)2mLを仕込み25℃で攪拌混合して溶液を作成した。これとは別に2,6−ジ−t−ブチルフェノール0.43g(2.08mmol)をTHF2mLに溶解した溶液を作成し、この溶液を全量前者の溶液に加え、1時間攪拌し、さらにヘキサン 4mLを加え、―20℃で48時間冷却すると無色結晶体が得られた。この無色結晶体を50〜80℃で減圧乾燥して乾燥させて、本発明の触媒であるビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン 0.30gを得た。
【0043】
実施例2(触媒の合成)
ビス(トリメチルシリル)アミノ亜鉛 0.40g(1.04mmol)のTHF溶液10mL中に、2,6−ジフルオロフェノール0.27g(2.08mmol)のTHF溶液10mLを加え、25℃で2時間攪拌した後、溶液を50〜80℃で減圧乾燥して5mLにまで濃縮させ、―20℃で48時間冷却すると無色結晶体が得られた。これを実施例1と同様に減圧乾燥させて、本発明の触媒であるビス(2,6−ジフルオロフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン0.28gを得た。
【0044】
比較製造例1(DMC触媒の合成)
200mlの容器に塩化亜鉛6.3g(45.8mmol)、蒸留水20mLを入れ溶解し、この中にヘキサシアノコバルト2g(6mmol)を蒸留水35mLに溶解した水溶液を、10,000rpmで激しく攪拌しながら添加した。その直後に、tert−ブタノール25gと水25gの混合物を投入し、10,000rpmで10分間、激しく攪拌した。次いで、ポリエチレングリコール(数平均分子量:2,000)0.5g、t−ブタノール0.5g及び水50gの混合物を添加し、1,000rpmで3分間攪拌した。生成した固体を、濾紙(No.6)で濾過により単離し、t−ブタノール35g、水15g、ポリプロピレングリコール(数平均分子量:2,000)0.5gの混合物を加えて、5,000rpmで10分間 攪拌して、再度同様に濾過した。最後に、生成した固体を、t−ブタノール50gと上記のポリプロピレングリコール0.5gの混合物を加えて10000rpmでさらに10分間、攪拌した。この懸濁液を濾紙(No.6)で濾過し、濾過残を 20mmHgの減圧下、50℃で24時間乾燥して、比較の触媒DMCを得た。収量:3.1g。
【0045】
実施例3(開環重合体の合成)
ステンレス製オートクレーブに、「サンニックスPP−3000」(分子量3000のポリオキシプロピレングリコール;三洋化成工業社製)60部、実施例1で得られたビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン 0.50 部(「サンニックスPP−3000」の水酸基1モルに対して0.02モル)を投入し、混合系内を窒素で置換した後、100℃、約20mmHgの減圧下2時間脱水を行った。次いで、プロピレンオキサイド(PO)240部を100℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように維持しながら1時間で導入した後、さらに、120℃で4時間熟成反応させた。未反応のPOを減圧下(15〜30mmHg)で除去した後、「キョーワード1000」(吸着処理剤:協和化学工業社製)を5部投入し、90℃で1時間混合して触媒を吸着処理した後、濾紙(No.6)で濾過して本発明の開環重合体A(ポリオキシプロピレングリコールのPO付加物)286部を得た。
このもののMnは14,500、Mw/Mn=1.12、末端1級水酸基率=5%であった。
【0046】
実施例4(開環重合体の合成)
実施例1と同様にして、「サンニックスPP−3000」30g(0.01モル)、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン 0.25g(「サンニックスPP−3000」の水酸基1モルに対して0.02モル)を投入し、混合系内を窒素で置換した後、100℃、約20mmHgの減圧下2時間脱水を行った。次いで、PO90g(1.55モル)を100℃にて、ゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように維持しながら導入した後、続けて120℃で4時間熟成反応させた。POの導入終了後、未反応のPOを(15〜30mmHg)で減圧で除去し、次いでエチレンオキサイド(EO)25g(0.568モル)を滴下し、120℃で3時間反応を行った。反応後、未反応のEOを減圧下で除去し、実施例1と同様に吸着処理、濾過して本発明の開環重合体B(「サンニックスPP−3000」のPO150モル・EO 55モル付加物)135gを得た。
このもののMnは14,120、Mw/Mn=1.10、分子中のEO付加部分の占める割合17.1重量%、末端1級水酸基率=85%であった。
【0047】
実施例5(開環重合体の合成)
実施例4においてビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン(触媒)に代えてビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフランを用い、PO90gに代えてPO120gを用いた以外は、実施例4と同様にして、液体の開環重合体Cを167部得た。このもののMnは17,400、Mw/Mn=1.09、分子中のEO付加部分の占める割合14.9重量%、末端1級水酸基率=90%であった。
【0048】
実施例6(開環重合体の合成)
実施例4において「サンニックスPP−3000」に代えて「サンニックスGP−3000」(分子量3000のグリセリンプロピレンオキサイド付加物:三洋化成工業社製)を用いた以外は、実施例4と同様にして開環重合体D 124部を得た。このもののMnは14,800、Mw/Mn=1.22、分子中のEO付加部分の占める割合15.9重量%、末端1級水酸基率=88%であった。
【0049】
実施例7(開環重合体の合成)
「サンニックスPP−3000」に代えて「サンニックスGP−3000」30gを用い、ビス(2,6−ジフルオロフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフラン0.50g、PO120g、EO10gを使用した他は実施例4と同様にして、液体の開環重合体E 148gを得た。このもののMnは16,100、Mw/Mn=1.23、分子中のEO付加部分の占める割合7.2重量%、末端1級水酸基率=80%であった。
【0050】
比較例1(開環重合体の合成)
実施例4において本発明のビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフランに代えて比較製造例1で得たDMC触媒0.25gを用いた以外は、実施例4と同様にして開環重合体F 134gを得た。このもののMnは12,800、Mw/Mn=1.22、分子中のEO付加部分の占める割合3.5重量%、末端1級水酸基化率=13%であった。
【0051】
比較例2(開環重合体の合成)
実施例3において本発明のビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)亜鉛ジテトラヒドロフランに代えて比較製造例1で得たDMC触媒0.50gを用いた以外は、実施例3と同様にして開環重合体F 280gを得た。このもののMnは14,000、Mw/Mn=1.17、末端1級水酸基率=3%であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明の触媒を使用して得られる本発明の開環重合体は下記の効果を奏する。
(1)高分子量で且つ分子量分布の狭いアルキレンオキサイド開環重合体となる。
(2)従来の3〜6の隣接アルキレンオキシドを付加したものは触媒を除去せずにさらにEOを付加してもポリエチレングリコールが生成して末端の1級化率が低かったが、本発明のものは活性水素含有化合物にPOを付加した後、触媒を除去せずにEOを付加させることにより、PO等のポリオール末端の水酸基の1級化率を高めることもできる。この場合にも分子量分布は狭いものとなる。従って、ウレタン化反応の反応性を高めたり、イソシアネート化合物とのプレポリマー設計を容易にすることができる。EO付加した重合体の水酸基と他の原料と反応させると、反応速度が大きく、得られる樹脂は高強度、高反発弾性、高耐久性等を有する。
(3)(2)の場合に、一旦触媒を除去した後、水酸化カリウム(KOH)等の一般的にEO付加反応に用いられる触媒を添加する等のやっかいな工程をとる必要がなく、効率的である。
また、本発明の製造法により得られるポリオキシアルキレンモノオール、ポリオールは、繊維処理用の油剤や洗浄剤、消泡剤などの界面活性剤組成物の原料としても有用である。
Claims (15)
- 下記一般式(1)で表される配位子と金属原子とからなる多核金属触媒(a)の存在下で、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド(b)を活性水素含有化合物に開環付加重合させてなる開環重合体(c1)の製造方法。
一般式
[(Q)n−M−(L)m]p (1)
[式(1)中、Mは周期律表の第2周期13族原子、第3周期2及び13族原子、第4周期2〜13族原子、第5周期3、4、6、10、12及び14族原子、及び第6周期3、4及び6族原子から選ばれる1種以上の金属であり、2個以上の場合は同種でも異種でもよい;Qは下記一般式(2)で表される有機基を表し、nが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上が連結して環を形成してもよい。Lはハロゲン原子、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、エーテル化合物から選ばれる1種以上の配位子であり、mが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよい;nは1〜4の整数、mは0〜4の整数、pは1〜4の整数である。]
一般式
−Z−Rk (2)
[式(2)中、Zは酸素、窒素、硫黄、リンから選ばれるヘテロ原子;Rは芳香族炭化水素基、又は有機シリル基;kは1又は2の整数であり、kが2のときは、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。] 、 - 前記MがCa,Sr,Mg,B,Al,Ga,Sn,Cu,Zn,Cd,Ti,Zr,Hf,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Ni,Pd及びランタノイドから選ばれる1種以上の金属である請求項1記載の製造方法。
- 前記(b)が、隣接アルキレンオキサイドである請求項1又は2記載の製造方法。
- 前記(c1)が、炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイド(b1)を開環付加重合させた後、触媒を除去せずにさらにエチレンオキサイド(b2)を開環付加重合させてなるブロック共重合体である請求項1又は2記載の製造方法。
- 前記(b)又は(b1)がプロピレンオキサイドである請求項1〜4の何れか記載の製造方法。
- 前記Lがハロゲン原子、アシルオキシ基、及びエーテル化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の配位子である請求項1〜5の何れか記載の製造方法。
- 前記Qが、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又はフッ素原子で置換されていてもよいフェノキシ基である請求項1〜6の何れか記載の製造方法。
- 前記pが2〜4、、m,nが1又は2の整数である請求項項1〜7の何れか記載の製造方法。
- 請求項1〜8の何れか記載の製造方法で得られ、数平均分子量が200〜50,000であることを特徴とする開環重合体(c1)。
- 前記(c1)が、炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイド(b1)を開環付加重合させた後、さらにエチレンオキサイド(b2)を開環付加重合させてなるブロック共重合体である請求項9記載の開環重合体。
- 前記炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイド(b1)を開環付加重合させた後の、分子中のエチレンオキサイド付加部分の占める割合が4重量%以上である請求項10記載の開環重合体。
- 下記一般式(1)で表される配位子と金属原子とからなる、活性水素含有化合物のアルキレンオキサイド付加重合用金属触媒。
一般式
[(Q)n−M−(L)m]p (1)
[式(1)中、Mは周期律表の第2周期13族原子、第3周期2及び13族原子、第4周期2〜13族原子、第5周期3、4、6、10、12及び14族原子、及び第6周期3、4及び6族原子から選ばれる1種以上の金属であり、2個以上の場合は同種でも異種でもよい;Qは下記一般式(2)で表される有機基を表し、nが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよく、2個以上が連結して環を形成してもよい。Lはハロゲン原子、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、エーテル化合物から選ばれる1種以上の配位子であり、mが2以上のときは互いに同一でも異なっていてもよい;nはnは1〜4の整数、mは0〜4の整数、pは1〜4の整数である。]
一般式
−Z−Rk (2)
[式(2)中、Zは酸素、窒素、硫黄、リンから選ばれるヘテロ原子;Rは芳香族炭化水素基、又は有機シリル基;kは1又は2の整数であり、kが2のときは、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。] - 前記MがCa,Sr,Mg,B,Al,Ga,Sn,Cu,Zn,Cd,Ti,Zr,Hf,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Ni,Pd及びランタノイドから選ばれる1種以上の金属である請求項12記載の金属触媒。
- 活性水素含有化合物に炭素数3〜6の隣接アルキレンオキサイド(b1)を開環付加重合させた後、さらにエチレンオキサイド(b2)を開環付加重合させる請求項12又は13記載の金属触媒。
- 前記p,が2〜4、m,nが1又は2の整数である請求項項12〜14の何れか記載の金属触媒。
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JP2008133469A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-06-12 | Sanyo Chem Ind Ltd | 帯電防止性樹脂組成物 |
-
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- 2003-08-04 JP JP2003205803A patent/JP2005053952A/ja active Pending
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