JP2005053104A - 超撥水性部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、各種基材の表面を超撥水性に改良することができ、しかも廃棄時にフッ酸発生による環境問題がない超撥水性部材の製造方法、及び該方法による超撥水性部材の提供を目的とする。
【解決手段】 三次元連続の網状骨格構造を有する高分子有機材料で構成された多孔質材料の膜を基材表面に形成することを特徴とする超撥水性部材の製造方法、及び該方法により得られた超撥水性部材である。
【選択図】なし
【解決手段】 三次元連続の網状骨格構造を有する高分子有機材料で構成された多孔質材料の膜を基材表面に形成することを特徴とする超撥水性部材の製造方法、及び該方法により得られた超撥水性部材である。
【選択図】なし
Description
本発明は、超撥水性部材の製造方法に関し、詳しくは基材表面に、高分子有機材料の三次元連続骨格構造からなる微細網状構造を有する超撥水性部材及びその製造方法に関する。
従来、部材表面の撥水性を高めるための手段としては、基材表面に、シリコーンやフッ素系化学物質などの撥水剤を含む皮膜を、積層又塗布などにより形成することが一般的であり(例えば、特許文献1,2参照)、最近では、特殊フッ素樹脂粒子とフッ素系ワニスを主成分としたもので、水との撥水角が150度以上の超撥水性特殊塗料が報告されている。また、プラスチック表面を超撥水性に改質する手段として、その表面を100nm〜1000nm程度の微細凹凸に加工する技術も提案されている(特許文献3)。
しかし、高撥水成の発現手段の多くは、表面材に、撥水剤を配合したり、或いは撥水性化学層を設けることによるものである。この場合、特定の撥水性化学物質に依存するものであり、特に撥水作用が大きいフッ素系化合物が用いられることが多い。しかし、フッ素系化合物は反応性が強いフッ素原子を有しているため、廃材が焼却される際には、腐食性の強いフッ酸を発生するおそれがある。
一方、環境問題の観点からは、フッ素を含まない炭化水素系化合物を用いることが望まれるが、この場合、超撥水性の部材表面を得ることは一般には困難である。
また、特許文献4には、シンジオタクティック1,2−ポリブタジエンを用いた高分子網状構造からなるミクロ多孔体が記載されているが、超撥水性への用途についての記載は全くない。
一方、環境問題の観点からは、フッ素を含まない炭化水素系化合物を用いることが望まれるが、この場合、超撥水性の部材表面を得ることは一般には困難である。
また、特許文献4には、シンジオタクティック1,2−ポリブタジエンを用いた高分子網状構造からなるミクロ多孔体が記載されているが、超撥水性への用途についての記載は全くない。
こうした状況下で、本発明は、高分子のミクロな凹凸構造に由来する高撥水性に着目し、基材の表面を超撥水性に容易に改良することができ、しかも廃棄時にフッ酸発生による環境問題がない超撥水性部材の製造方法、及び該方法による超撥水性部材の提供を目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために検討した結果、材料表面に高分子有機材料の網状骨格構造を有する多孔質材料を適用することが有効なことを見出し、本願発明を達成するに至った。すなわち、本発明は、
1.三次元連続の網状骨格構造を有する高分子有機材料で構成された多孔質材料の膜を基材表面に形成することを特徴とする超撥水性部材の製造方法、
2.高分子有機材料と低分子有機材料をその合計に対する高分子有機材料の割合を40質量%以下となるようにして混合し、高分子有機材料で構成された三次元連続網状骨格間に該低分子有機材料が保持された高分子網状構造体を得、次いでこの高分子網状構造体を基体表面に適用した後、高分子網状構造体から低分子有機材料を除去することにより、多孔質材料膜を形成する前記1記載の超撥水性部材の製造方法、
3.低分子有機材料の除去が、溶剤抽出法によるものである前記2記載の超撥水性部材の製造方法、
4.前記網状骨格構造の網目の開口の平均径が500μm以下である前記1ないし3のいずれかに記載の超撥水性部材の製造方法、
5.高分子有機材料が、熱可塑性エラストマー及び/又はその変性物である前記1又は2に記載の超撥水性部材の製造方法、
6.部材表面における水との接触角が150度以上である前記1ないし5のいずれかに記載の超撥水性部材の製造方法、
7.前記1ないし6のいずれかに記載の方法により得られた超撥水性部材、
8.三次元連続の網状骨格構造を有する高分子有機材料で構成される多孔質材料からなる膜であって、該網状骨格構造の網目の開口の平均径が500μm以下であることを特徴とする超撥水性膜、及び
9.前記8記載の超撥水性膜を表面に有する物品
を提供するものである。
1.三次元連続の網状骨格構造を有する高分子有機材料で構成された多孔質材料の膜を基材表面に形成することを特徴とする超撥水性部材の製造方法、
2.高分子有機材料と低分子有機材料をその合計に対する高分子有機材料の割合を40質量%以下となるようにして混合し、高分子有機材料で構成された三次元連続網状骨格間に該低分子有機材料が保持された高分子網状構造体を得、次いでこの高分子網状構造体を基体表面に適用した後、高分子網状構造体から低分子有機材料を除去することにより、多孔質材料膜を形成する前記1記載の超撥水性部材の製造方法、
3.低分子有機材料の除去が、溶剤抽出法によるものである前記2記載の超撥水性部材の製造方法、
4.前記網状骨格構造の網目の開口の平均径が500μm以下である前記1ないし3のいずれかに記載の超撥水性部材の製造方法、
5.高分子有機材料が、熱可塑性エラストマー及び/又はその変性物である前記1又は2に記載の超撥水性部材の製造方法、
6.部材表面における水との接触角が150度以上である前記1ないし5のいずれかに記載の超撥水性部材の製造方法、
7.前記1ないし6のいずれかに記載の方法により得られた超撥水性部材、
8.三次元連続の網状骨格構造を有する高分子有機材料で構成される多孔質材料からなる膜であって、該網状骨格構造の網目の開口の平均径が500μm以下であることを特徴とする超撥水性膜、及び
9.前記8記載の超撥水性膜を表面に有する物品
を提供するものである。
本発明によれば、従来、一般に用いられていた高撥水性の特殊化合物を用いることなく、基材表面に、高分子有機材料で構成される三次元連続の網状骨格構造を形成させることにより、超撥水性表面を有する部材を容易に得ることができる。
また、本発明における超撥水性部材は、該部材の廃棄時における前記環境問題の発生もない。
また、本発明における超撥水性部材は、該部材の廃棄時における前記環境問題の発生もない。
本発明において、基材表面に形成される超撥水性膜は、三次元連続の網状骨格構造を有する高分子有機材料で構成さており、このことにより、部材表面にはミクロな凹凸構造が形成され超撥水性が発現される。
このような高分子有機材料からなる多孔質材材料の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば特許第3298127号公報に記載されている方法を適用することができる。
本発明における多孔質材材料の製法としては、例えば、少量の高分子有機材料と多量の低分子有機材料とを混合して、少量成分である高分子有機材料が系全体に均一に分散する三次元連続の網状骨格構造を形成し多量の低分子有機材料が分散する構造体を得、これを目的とする基体表面に塗布などの手段で成膜させた後、冷却して、溶剤抽出などにより、低分子有機材料を除去することより、基材表面に、高分子有機材料で構成されており、かつ三次元連続の網状骨格構造を有する多孔質材膜を得ることができる。
このような高分子有機材料からなる多孔質材材料の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば特許第3298127号公報に記載されている方法を適用することができる。
本発明における多孔質材材料の製法としては、例えば、少量の高分子有機材料と多量の低分子有機材料とを混合して、少量成分である高分子有機材料が系全体に均一に分散する三次元連続の網状骨格構造を形成し多量の低分子有機材料が分散する構造体を得、これを目的とする基体表面に塗布などの手段で成膜させた後、冷却して、溶剤抽出などにより、低分子有機材料を除去することより、基材表面に、高分子有機材料で構成されており、かつ三次元連続の網状骨格構造を有する多孔質材膜を得ることができる。
このような多孔質材料膜が超撥水性の性質を発現するためには、前記網状骨格構造の網目(セル)の開口の平均径が500μm以下であることが好ましく、さらに300μm以下、特に200μm以下であることが好ましい。
また、網状骨格構造の骨格の平均径は50μm以下であることが好ましく、さらに30μm以下、特に20μm以下であることが好ましい。
また、網状骨格構造の骨格の平均径は50μm以下であることが好ましく、さらに30μm以下、特に20μm以下であることが好ましい。
前記高分子有機材料としては、結晶構造、凝集構造などの硬質ブロックを形成しやすい部分と、アモルファス構造などの軟質ブロックとを一緒にもち合わせている、熱可塑性エラストマー及び/又はその変性物が好ましい。例えば、スチレン系,塩化ビニル系,オレフィン系,ポリエステル系,ポリアミド系,ウレタン系などの各種熱可塑性エラストマー、並びに、それらの水添その他による変性物であり、具体的には、シンジオタクティック1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などが好ましく挙げられる。
このような高分子有機材料の数平均分子量は20,000以上、特に30,000以上、とりわけ40,000以上が好ましい。
これらの各種材料は主に単独で用いられるが、2種以上をブレンドして用いてもよい。
このような高分子有機材料の数平均分子量は20,000以上、特に30,000以上、とりわけ40,000以上が好ましい。
これらの各種材料は主に単独で用いられるが、2種以上をブレンドして用いてもよい。
一方、多量成分として混合される低分子有機材料の数平均分子量は20,000以下が好ましく、さらに10,000以下、特に5,000以下が好ましい。低分子有機材料としては特に制限はないが、例えば軟化剤,可塑剤,粘着付与剤,オリゴマー,滑剤などが含まれる。
ここで、軟化剤としては、アロマティック系,ナフテン系,パラフィン系等の各種ゴム用或いは樹脂用軟化剤が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸エステル,脂肪族二塩基酸エステル,グリコールエステル,脂肪酸エステル,リン酸エステル,ステアリン酸エステル等の各種エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、その他プラスチック用可塑剤、及びフタレート系,アジペート系,セバケート系,フォスフェート系,ポリエーテル系,ポリエステル系等のアクリルニトリルゴム用可塑剤などが挙げられる。
ここで、軟化剤としては、アロマティック系,ナフテン系,パラフィン系等の各種ゴム用或いは樹脂用軟化剤が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸エステル,脂肪族二塩基酸エステル,グリコールエステル,脂肪酸エステル,リン酸エステル,ステアリン酸エステル等の各種エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、その他プラスチック用可塑剤、及びフタレート系,アジペート系,セバケート系,フォスフェート系,ポリエーテル系,ポリエステル系等のアクリルニトリルゴム用可塑剤などが挙げられる。
粘着付与剤としては、クマロン樹脂,クマロン−インデン樹脂,フェノールテルペン樹脂,石油系炭化水素,ロジン誘導体等の各種粘着付与剤(タッキファイヤー)が挙げられる。
オリゴマーとしては、クラウンエーテル,含フッ素オリゴマー,ポリブテン,キシレン樹脂,塩化ゴム,ポリエチレンワックス,石油樹脂,ロジンエステルゴム,ポリアルキレングリコールジアクリレート,液状ゴム(ポリブタジエン,スチレン−ブタジエンゴム,ブタジエン−アクリロニトリルゴム,ポリクロロプレン等),シリコーン系オリゴマー,ポリ−α−オレフィン等の各種オリゴマーが挙げられる。
また、滑剤としては、パラフィン,ワックス等の炭化水素系滑剤、高級脂肪酸,オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド,アルキレンビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸低級アルコールエステル,脂肪酸多価アルコールエステル,脂肪酸ポリグリコールエステル等のエステル系滑剤、脂肪アルコール,多価アルコール,ポリグリコール,ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、金属石鹸、混合系滑剤等の各種滑剤が挙げられる。
その他、ラテックス、エマルジョン、液晶、歴青組成物、粘土、天然のデンプン、糖、更に無機系のシリコーンオイルなども適している。これらの成分は1種で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
オリゴマーとしては、クラウンエーテル,含フッ素オリゴマー,ポリブテン,キシレン樹脂,塩化ゴム,ポリエチレンワックス,石油樹脂,ロジンエステルゴム,ポリアルキレングリコールジアクリレート,液状ゴム(ポリブタジエン,スチレン−ブタジエンゴム,ブタジエン−アクリロニトリルゴム,ポリクロロプレン等),シリコーン系オリゴマー,ポリ−α−オレフィン等の各種オリゴマーが挙げられる。
また、滑剤としては、パラフィン,ワックス等の炭化水素系滑剤、高級脂肪酸,オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド,アルキレンビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸低級アルコールエステル,脂肪酸多価アルコールエステル,脂肪酸ポリグリコールエステル等のエステル系滑剤、脂肪アルコール,多価アルコール,ポリグリコール,ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、金属石鹸、混合系滑剤等の各種滑剤が挙げられる。
その他、ラテックス、エマルジョン、液晶、歴青組成物、粘土、天然のデンプン、糖、更に無機系のシリコーンオイルなども適している。これらの成分は1種で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の方法において、まず、前記高分子有機材料と低分子有機材料の合計に対する高分子有機材料の割合を40質量%以下として混合することが好ましく、さらに30質量%以下が好ましく、特に20質量%以下であることが好ましい。
また、このような少量成分の高分子有機材料と多量成分の低分子有機材料との混合条件としては、好ましくは高分子有機材料の融点以上の温度で混合することが好ましい。また、撹拌速度は300rpm以上の高速撹拌であることが好ましく、さらに500rpm以上以上、特に1000rpm以上が好ましい。また、混合機としては高剪断型混合機が最適である。
このようにして、高分子有機材料の三次元連続網状骨格間(内部連通空間内)に前記低分子有機材料が保持された高分子網状構造体が得られる。
また、このような少量成分の高分子有機材料と多量成分の低分子有機材料との混合条件としては、好ましくは高分子有機材料の融点以上の温度で混合することが好ましい。また、撹拌速度は300rpm以上の高速撹拌であることが好ましく、さらに500rpm以上以上、特に1000rpm以上が好ましい。また、混合機としては高剪断型混合機が最適である。
このようにして、高分子有機材料の三次元連続網状骨格間(内部連通空間内)に前記低分子有機材料が保持された高分子網状構造体が得られる。
次に、この高分子網状構造体は、溶融加温下で、基体表面に塗布などの手段により成膜した後、冷却することにより、高分子/低分子系が相分離して、基材表面に高分子有機材料からなる微細な凸凹構造が形成される。
さらに、多量成分の低分子有機材料を高分子網状構造体から除去することにより、本発明における多孔質材料からなる膜超撥水性の膜が得られる。低分子有機材料の除去方法としては特に制限はないが、例えば適当な溶媒を用いて低分子材料を溶解抽出させた後、残留する溶媒を揮発乾燥する方法が適当である。
ここで、使用できる溶媒としては、前記高分子有機材料及び基材が不溶又は難溶性で、低分子材料その他の成分が易溶性のものであればいずれのものも使用可能であり、特に制限はないが、例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキセン、ペンテン等の不飽和脂肪族炭化水素類、ヘキサン、ペンタン等の飽和脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化脂肪族炭化水素類、シクロヘキサノン等の脂環式炭化水素類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられ、またこれらを2種以上混合して用いてもよい。
さらに、多量成分の低分子有機材料を高分子網状構造体から除去することにより、本発明における多孔質材料からなる膜超撥水性の膜が得られる。低分子有機材料の除去方法としては特に制限はないが、例えば適当な溶媒を用いて低分子材料を溶解抽出させた後、残留する溶媒を揮発乾燥する方法が適当である。
ここで、使用できる溶媒としては、前記高分子有機材料及び基材が不溶又は難溶性で、低分子材料その他の成分が易溶性のものであればいずれのものも使用可能であり、特に制限はないが、例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキセン、ペンテン等の不飽和脂肪族炭化水素類、ヘキサン、ペンタン等の飽和脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化脂肪族炭化水素類、シクロヘキサノン等の脂環式炭化水素類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられ、またこれらを2種以上混合して用いてもよい。
なお、前記高分子有機材料及び低分子有機材料以外に、本発明の目的を達成できる限度において、所望により、さらに各種の充填剤や顔料を配合してもよい。例えばクレー,珪藻土,カーボンブラック,シリカ,タルク,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,金属酸化物,マイカ,グラファイト,水酸化アルミニウム等の鱗片状無機充填剤,各種の金属粉,木片,ガラス粉,セラミックス粉,粒状ないし粉末ポリマー等の粒状ないし粉末状固体材料などが挙げられる。
以上の方法により、表面で、水との接触角150度以上、好ましくは160度以上の超撥水性を有する部材を容易に製造することができる。
また、本願発明における多孔質材料からなる超撥水性膜は、各種基材の表面に適用することができるので、高い撥水性が求められ物品に極めて有効に適用することができる。
本発明において、前記超撥水性材料は、基材又は製品の表面に適用されるが、被処理材の種類には特に限定はなく、例えば金属,ガラス,ブラスチックス,ゴム及び熱可塑性エラストマーのいずれでもよい。
以上の方法により、表面で、水との接触角150度以上、好ましくは160度以上の超撥水性を有する部材を容易に製造することができる。
また、本願発明における多孔質材料からなる超撥水性膜は、各種基材の表面に適用することができるので、高い撥水性が求められ物品に極めて有効に適用することができる。
本発明において、前記超撥水性材料は、基材又は製品の表面に適用されるが、被処理材の種類には特に限定はなく、例えば金属,ガラス,ブラスチックス,ゴム及び熱可塑性エラストマーのいずれでもよい。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
高分子有機材料としての結晶性エチレン−プロピレン共重合体〔ジェイエスアール(株)製EP01(商標)、数平均分子量10万〕12質量部と、低分子有機材料としてのジイソデシルアジペート〔DIDA(商品名)、大八化学(株)製、分子量426〕88質量部とを、高剪断型混合機で200℃、3000rpmの条件で1時間攪拌して、ミクロ的に高分子成分が三次元連続の網状骨格構造を形成している溶融状構造体を得た。この構造体を、200℃のガラスプレート上にキャストし、バーコーターにて約50μm厚さの薄膜とした。次いで、室温まで冷却後、この薄膜をキシレン中に浸漬させ、可溶成分を抽出する操作を繰り返した。これにより低分子のDIDAがほぼ完全に除去され、エチレン−プロピレン共重合体のみで構成された三次元連続の網状骨格構造から成る薄膜を得た。その後、得られた薄膜からキシレンを完全に揮発させた。
このようにして得られたガラス表面は、電子顕微鏡の観察によれば微細な凹凸を有するものであり、水との接触角を測定した結果、165度であり表面は超撥水性であることが認められた。
実施例1
高分子有機材料としての結晶性エチレン−プロピレン共重合体〔ジェイエスアール(株)製EP01(商標)、数平均分子量10万〕12質量部と、低分子有機材料としてのジイソデシルアジペート〔DIDA(商品名)、大八化学(株)製、分子量426〕88質量部とを、高剪断型混合機で200℃、3000rpmの条件で1時間攪拌して、ミクロ的に高分子成分が三次元連続の網状骨格構造を形成している溶融状構造体を得た。この構造体を、200℃のガラスプレート上にキャストし、バーコーターにて約50μm厚さの薄膜とした。次いで、室温まで冷却後、この薄膜をキシレン中に浸漬させ、可溶成分を抽出する操作を繰り返した。これにより低分子のDIDAがほぼ完全に除去され、エチレン−プロピレン共重合体のみで構成された三次元連続の網状骨格構造から成る薄膜を得た。その後、得られた薄膜からキシレンを完全に揮発させた。
このようにして得られたガラス表面は、電子顕微鏡の観察によれば微細な凹凸を有するものであり、水との接触角を測定した結果、165度であり表面は超撥水性であることが認められた。
実施例2
高分子有機材料としてのシンジオタクティック1,2−ポリブタジエン〔RB810(商標)、ジェイエスアール(株)製、数平均分子量10万〕12質量部と、低分子有機材料としてのジオクチルフタレート〔DOP(商品名)、大八化学(株)製、分子量391〕88質量部とを、高剪断型混合機で200℃、3000rpmの条件で1時間攪拌して、ミクロ的に高分子成分が三次元連続の網状骨格構造を形成した溶融状構造体を得た。この構造体を、200℃のガラスプレート上にキャストし、バーコーターにて約50μm厚さの薄膜とした。次いで、室温まで冷却後、この薄膜をキシレン中に浸漬させ、可溶成分を抽出する操作を繰り返した。これにより低分子のDOPがほぼ完全に除去され、シンジオタクティック1,2−ポリブタジエンのみで構成された三次元連続の網状骨格構造から成る薄膜を得た。その後、得られた薄膜からキシレンを完全に揮発させた。
このようにして得られたガラス表面は、電子顕微鏡の観察によれば微細な網状構造を有するものであり、水との接触角を測定した結果、168度であり表面は超撥水性であることが認められた。
高分子有機材料としてのシンジオタクティック1,2−ポリブタジエン〔RB810(商標)、ジェイエスアール(株)製、数平均分子量10万〕12質量部と、低分子有機材料としてのジオクチルフタレート〔DOP(商品名)、大八化学(株)製、分子量391〕88質量部とを、高剪断型混合機で200℃、3000rpmの条件で1時間攪拌して、ミクロ的に高分子成分が三次元連続の網状骨格構造を形成した溶融状構造体を得た。この構造体を、200℃のガラスプレート上にキャストし、バーコーターにて約50μm厚さの薄膜とした。次いで、室温まで冷却後、この薄膜をキシレン中に浸漬させ、可溶成分を抽出する操作を繰り返した。これにより低分子のDOPがほぼ完全に除去され、シンジオタクティック1,2−ポリブタジエンのみで構成された三次元連続の網状骨格構造から成る薄膜を得た。その後、得られた薄膜からキシレンを完全に揮発させた。
このようにして得られたガラス表面は、電子顕微鏡の観察によれば微細な網状構造を有するものであり、水との接触角を測定した結果、168度であり表面は超撥水性であることが認められた。
基材表面に、三次元連続の網状骨格構造を有する高分子有機材料で構成された多孔質材料からなる被膜を適用することにより、その表面に超撥水性を付与することができる。従って、防水性、防曇性、防湿性、防着氷雪性などが要求される各種部材や製品への応用が可能である。
Claims (9)
- 三次元連続の網状骨格構造を有する高分子有機材料で構成された多孔質材料の膜を基材表面に形成することを特徴とする超撥水性部材の製造方法。
- 高分子有機材料と低分子有機材料をその合計に対する高分子有機材料の割合を40質量%以下となるようにして混合し、高分子有機材料で構成された三次元連続網状骨格間に該低分子有機材料が保持された高分子網状構造体を得、次いでこの高分子網状構造体を基体表面に適用した後、高分子網状構造体から低分子有機材料を除去することにより、多孔質材料膜を形成する請求項1記載の超撥水性部材の製造方法。
- 低分子有機材料の除去が、溶剤抽出法によるものである請求項2記載の超撥水性部材の製造方法。
- 前記網状骨格構造の網目の開口の平均径が500μm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の超撥水性部材の製造方法。
- 高分子有機材料が、熱可塑性エラストマー及び/又はその変性物である請求項1又は2に記載の超撥水性部材の製造方法。
- 部材表面における水との接触角が150度以上である請求項1ないし5のいずれかに記載の超撥水性部材の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の方法により得られた超撥水性部材。
- 三次元連続の網状骨格構造を有する高分子有機材料で構成される多孔質材料からなる膜であって、該網状骨格構造の網目の開口の平均径が500μm以下であることを特徴とする超撥水性膜。
- 請求項8記載の超撥水性膜を表面に有する物品。
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