JP2005053005A - 射出成形方法及びその射出成形方法を用いた金型装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】特殊な装置等の追加を必要とせずに、ウェルド部の強度を向上するようにした射出成形方法を提供する。
【解決手段】スプル21とキャビティ20との間に、第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとを設け、第1ランナ23Aのみの選択により、第1ランナ23Aを通過する溶融材料の第1流れをキャビティ20内に流し込み、次いで、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの選択により、第1流れの合流部近傍に、第2ランナ23Bを通過する溶融材料の第2流れを、第1流れに対して時間的に遅れて流し込む、射出成形方法である。第1ランナ23Aのみの選択と、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの選択の切替えを、スプル用エジェクタピン26の前進・後退により行う。
【選択図】 図2
【解決手段】スプル21とキャビティ20との間に、第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとを設け、第1ランナ23Aのみの選択により、第1ランナ23Aを通過する溶融材料の第1流れをキャビティ20内に流し込み、次いで、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの選択により、第1流れの合流部近傍に、第2ランナ23Bを通過する溶融材料の第2流れを、第1流れに対して時間的に遅れて流し込む、射出成形方法である。第1ランナ23Aのみの選択と、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの選択の切替えを、スプル用エジェクタピン26の前進・後退により行う。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形体のウェルド部における強度の向上を図ることのできる射出成形方法及びその射出成形方法を用いた金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形において、複数のゲートから流入した溶融材料の合流部にウェルド部が生じるということは、従来から広く知られている。ところが、かかるウェルド部では、溶融材料の流れが合流面に沿った方向になってしまうため、強度等の機械的特性が低下してしまうという問題があった。特に、ガラス繊維強化樹脂の成形体においては、ウェルド部の強度低下が顕著になる。
【0003】
そこで、このような問題を解決するため、従来から種々の発明が提案されている。例えば、特開2001−287242号公報(特許文献1)には、溶融材料をシリンダから金型内の複数のゲートを通じてキャビティに流入充填させる射出成形体を製造するにあたり、複数のゲートから流入した溶融材料がキャビティ内で合流する前に、一部のゲートからの溶融材料の流入量を減少させるか又は流入を停止させ、残りのゲートから流入した溶融材料と合流させる構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−287242号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1記載の発明では、複数のゲートの開閉を制御する特別の機構が必要である。
【0006】
本発明の目的は、ランナ切替用ピンの前進・後退という簡単の操作によって、第2流れを第1流れに対して時間的に遅れて流し込み、合流部において流量の異なる流れによる合流を生じさせて、ウェルド部の強度を向上するようにした射出成形方法及びその射出成形方法を用いた金型装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、スプルとキャビティとの間に、スプルから分岐した第1ランナと第2ランナとを設け、第1ランナのみの選択により、第1ランナを通過する溶融材料の第1流れをキャビティ内に流し込み、次いで、第1ランナ及び第2ランナの選択により、第1流れの合流部近傍に、第2ランナを通過する溶融材料の第2流れを、第1流れに対して時間的に遅れて流し込む射出成形方法であって、前記第1ランナのみの選択と、第1ランナ及び第2ランナの選択のランナ切替えを、ランナ切替用ピンの前進・後退により行うようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記の如く、ランナ切替用ピンの前進・後退という簡単な操作によって、第2流れを第1流れに対して時間的に遅れて流し込み、合流部において流量の異なる流れによる合流を生じさせることができる。この結果、ウェルド部の強度を向上することができる。
【0009】
本発明は、スクリュの位置を検出する検出手段を設け、この検出手段によってスクリュの位置が予め定めた保圧切換位置に達したときに、ランナ切替用ピンを駆動してランナ切替えを行う場合もある。また、ランナ切替えタイミングを計測するタイマを設け、このタイマからの信号によって、ランナ切替用ピンを駆動してランナ切替えを行う場合もある。
【0010】
また、ランナ切替用ピンはスプル用エジェクタピンであり、このスプル用エジェクタピンは、スプルが第1ランナとは連通状態で第2ランナとは遮断状態となっている第1位置と、前記スプルが第1ランナ及び第2ランナのいずれにも連通状態となっている第2位置とに切替え可能に構成されている場合もある。
【0011】
また、前記スプル用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはエジェクタロッドの前進・後退によって前進・後退されるように構成され、エジェクタロッドの前進・後退によってスプル用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる場合もある。
【0012】
また、スプル用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはランナ切替用シリンダによって前進・後退されるように構成され、ランナ切替用シリンダによってスプル用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる場合もある。
【0013】
また、第1ランナと第2ランナとの組が複数組設けられるとともに、ランナ切替用ピンが複数の成形品用エジェクタピンである場合もある。また、前記複数の成形品用エジェクタピンは、個別に前進・後退可能に構成されている場合もある。なお、成形品用エジェクタピンを駆動する方法としては、エジェクタロッド又はランナ切替用シリンダが用いられる。
【0014】
また、前記第2ランナは、第2ランナのキャビティに臨むゲートが、前記第1ランナのみで充填した場合に生じる合流部に対してずれるように配置されてもよい。また、第1ランナと第2ランナとはスプルに関して上下対象に配置してもよい。但し、ウェルド部の強度向上の観点からは、前者の方が好ましい。また、溶融材料がガラス繊維または炭素繊維からなる強化用繊維を含有している場合には、ウェルド部の繊維の配向により成形品の強度やそり変形が大きく影響されるので、本発明に係る成形法の効果が最も大きい。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の射出成形が使用される金型装置を備えた射出成形機の全体構成を示す図であり、図2は金型装置の断面図であり、図3はキャビティの平面図であり、図4は図3の矢視X1−X1断面図である。なお、図4(1)はスプル用エジェクタピンの前進時の断面図であり、図4(2)はスプル用エジェクタピンの後退時の断面図である。本実施の形態1に係る射出成形機1は、インラインスリクュ式射出装置2と、電動トグル式型締装置3と、制御装置4とから構成されている。
【0016】
射出装置2は電動式射出装置であって、射出用モータ100及びスクリュ回転駆動用モータ101が備えられている。射出用モータ100の出力軸はボールネジ102で構成され、このボールネジ102の回転によって射出アクチュエータ103が前進・後進するようになっている。この射出アクチュエータ103には連結部材104が回転可能に連結されており、この連結部材104の端部にはスクリュ5が固着されている。このような構成により、射出用モータ100の回転により、射出アクチュエータ103及び連結部材104を介して、スクリュ5が加熱筒6の内周面に沿って前後進自在となっている。
【0017】
また、スクリュ回転駆動用モータ101の出力軸には、プーリ105が装着されている。このプーリ105と、連結部材104の外周に装着されているプーリ106間には、ベルト107が巻き掛けられている。このような構成により、スクリュ回転駆動用モータ101の回転駆動力はベルト107を介して連結部材104に伝達される。この連結部材104の回転によって、スクリュ5が加熱筒6の内周面に沿って回転自在となっている。
【0018】
スクリュ5の回転に伴なって、ホッパ8内に供給された樹脂ペレットはスクリュ5の前方へ送られ、この間に加熱筒6の外周面に取付けられているヒータ(図示せず)による加熱を受けると共に、スクリュ5の回転による混練作用を受けることにより樹脂ペレットが溶融する構成となっている。
【0019】
スクリュ5の前方へ送られた溶融材料の量が、予め設定された量に達した時点でスクリュ回転駆動用モータ101の回転駆動を停止すると共に、射出用モータ100を駆動してスクリュ5を前進させることにより、スクリュ5前方に貯えられた溶融樹脂は、ノズル9を経由して金型装置の金型キャビティ内へ射出される。
【0020】
なお、射出アクチュエータ103には、ラック108が固着されている。このラック108に噛合うピニオン109の回転軸には、ロータリーエンコーダ110が装着されている。このような構成により、スクリュ5の位置がロータリーエンコーダ110によって検出され、スクリュ5の位置データは制御装置4に与えられるようになっている。
【0021】
一方、型締装置3は、固定金型10を支持する固定盤11に対し、タイバー12を介して可動金型13を支持する可動盤14を移動自在に設けると共に、金型の開閉および型締めを行う型締め手段としてトグル式型締機構15をエンドプレート16を介して可動盤14に対して取付け、前記トグル式型締機構15を駆動するための型締用サーボモータ17が設けられている。この型締用サーボモータ17の出力軸はボールネジ51として構成されており、このボールネジ51に螺合するボールナット52がトグル式型締機構15の中央リンクプレート15aに連結されている。そして、サーボモータ17の回転力が、ボールネジ51の回転力として伝達され、次いで、ボールナット52を介して直線運動に変換されて、トグル式型締機構15を駆動するように構成されている。
【0022】
金型装置は、固定金型10と可動金型13とからなり、固定金型10は固定側型板10aと固定側取付板10bとから構成され、可動金型13は可動側型板13aと可動側取付板13bとから構成されている。固定側型板10aと可動側型板13aの間にはキャビティ20が設けられており、キャビティ20は環状に形成されている((図2、図3参照)。また、このキャビティ20に関連して、スプル21の端部から図3の上方に延びてキャビティ20に連通する第1ランナ23Aと、スプル21の端部から図3の斜め下方に延びてキャビティ20に連通する第2ランナ23Bとが形成されている。従って、成形材料(溶融材料)をキャビティ20に導く流路としては、スプル21→第1ランナ23A→キャビティ20を辿る第1流路25Aと、スプル21→第2ランナ23B→キャビティ20を辿る第2流路25Bとが存在する。そして、本発明では、後述するように、スプル用エジェクタピン26の移動によって、第1ランナ23Aのみが選択される状態(第1流路25Aのみが選択される状態)と、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの両者が選択される状態(第1流路25A及び第2流路25Bの両者が選択される状態)とに切換え可能となっている。
【0023】
なお、上記のように第1ランナ23Aに対して第2ランナ23Bを斜めに配置する実質的な理由は、第2ランナ23Bのキャビティ20に臨むゲートA(図3参照)を、第1ランナ23Aのみで充填した場合の合流部120(図3参照)からずらすことにある。従って、通常はキャビティ20内の左右の流れは同一流量であるため、第1ランナ23Aの延長線上に合流部120が形成されるので、第1ランナ23Aに対して第2ランナ23Bを斜めに配置することになる。但し、キャビティ20の左右流路断面積が微妙に異なり、そのため合流部120が第1ランナ23Aの延長線上からずれる場合がある。このような場合には、第2ランナ23BのゲートAが合流部120からずれて配置されている限り、第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとが一直線上に配置された構成となってもよい。
【0024】
また、可動側型板13aは一対のスペーサブロック30を介して可動側取付板13bに固定されている。スペーサブロック30は、段差面30aを有する段差状に形成されている。この一対のスペーサブロック30の内方側でかつ、可動側型板13aと可動側取付板13bとの間には、第1エジェクタプレート31及び第2エジェクタプレート32が配設されている。第1エジェクタプレート31は、プレート部31Aと、プレート部31Aに固着されたプレート部31Bとからなる。この第1エジェクタプレート31には、ランナ切替用ピンとして機能するスプル用エジェクタピン26が固着されている。スプル用エジェクタピン26は第2エジェクタプレート32及び可動側型板13aを挿通し、その先端がスプル21に臨んでいる。そして、スプル用エジェクタピン26の先端部は、先端に向かうに連れて第2ランナ23Bに近づく方向に傾斜した傾斜面26aを有する。
スプル用エジェクタピン26が先進して傾斜面26aが図4(1)に示す位置になったとき、第1ランナ23Aが選択され、また、スプル用エジェクタピン26が後退して傾斜面26aが図4(2)に示す位置になったとき、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの両者が選択される。
【0025】
第1エジェクタプレート31と第2エジェクタプレート32間には、一対のコイルバネ33が介装されており、このコイルバネ33によって第1エジェクタプレート31は第2エジェクタプレート32から離間する方向に付勢されている。
【0026】
第2エジェクタプレート32は、プレート部32Aと、プレート部32Aに固着されたプレート部32Bとからなる。この第2エジェクタプレート32には、一対の成形品用エジェクタピン34と、一対のリターンピン35とが固着されている。リターンピン35の外周には、コイルバネ35aが装着されており、このコイルバネ35aによって、第2エジェクタプレート32は、その後端面(図2の左端面)がスペーサブロック30の段差面30aに当接するように付勢されている。
【0027】
可動側取付板13bの中央部には挿通孔35が形成されており、この挿通孔35をエジェクタロッド37が挿通している。そして、エジェクタロッド37の先端(図2の右端)は、第1エジェクタプレート31の後端面31c(図2の左端面)に接触可能となっている。このエジェクタロッド37は電動式駆動機構38によって前後進方向(図1の左右方向)に移動自在となっている。
【0028】
電動式駆動機構38はサーボモータ40を有している。このサーボモータ40の出力軸はボールネジ41として構成されており、このボールネジ41に螺合するボールナット42が連結部材43を介して可動盤44に連結されている。そして、可動盤44には前記エジェクタロッド37が固着されている。なお、サーボモータ40はサーボモータ用コントローラ45によって正転・逆転が制御されている。そして、サーボモータ40の回転力が、ボールネジ41の回転力として伝達され、次いで、ボールナット42を介して直線運動に変換されて、可動盤44を駆動し、エジェクタロッド37が前後進できるように構成されている。
【0029】
また、この射出成形法で使用されるプラスチック材料としては、従来から使用されている射出成形可能な全ての種類の材料が使用できる。これらには、低密度ポリエチレン、ポリエチレン−酢酸ビニルコポリマーなど各種エチレンコポリマー、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、一般用ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、各種ポリアミド例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6T、ナイロンMXD6など、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、変形ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケント、ポリアミドイミド、ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)などがある。また、これらをベースにしたポリマーアロイ、例えばポリカーボネート/ABS、ナイロン6/ABS、ポリブチレンテレフタレート/ABS、ナイロン6/変形ポリエチレン、ポリアセタール/熱可塑性ポリウレタン、ナイロン66/ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートなどが使用できる。これらプラスチックには、各種フィラーを配合したものも含まれる。これらのフィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、ワラストナイト、マイカ、シリカ、硫酸バリウム、鉄粉、フェライトなどがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0030】
さらにこれらのプラスチックやポリマーアロイに強化用繊維例えばガラス繊維、炭素繊維などを配合した材料は、ウェルド部の繊維の配向により成形品の強度やそり変形が大きく影響されるので、この成形法の効果が最も大きい材料である。これらには、ガラス繊維強化ポリプロピレン、ガラス繊維強化ABS、ガラス繊維強化ポリアミド、ガラス繊維強化ポリカーボネート、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート、ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート、ガラス繊維強化ポリカーボネート/ABSなどがある。さらに、この成形法は各種熱可塑性エラストマー、例えばポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリスチレンエラストマーなどが使用できる。また、射出成形可能な熱硬化性プラスチック例えばフェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂(BMC)なども使用できる。
【0031】
図5は実施の形態1の成形サイクルを示すフローチャートである。図5を参照して、成形サイクルの動作について説明する。なお、ランナの切替えはエジェクタロッド37の前進・後進駆動により行うものである。
先ず、型閉工程が行われる(ステップS1)。そして、型閉が完了すると、エジェクタロッド37が前進駆動を開始する(ステップS2)。これにより、第1エジェクタプレート31が押圧され、第1エジェクタプレート31と同伴して、スプル用エジェクタピン26も前進する。そして、第1エジェクタプレート31が第2エジェクタプレート32に当接すると、エジェクタロッド37は前進駆動を停止する(ステップS3)。これにより、スプル用エジェクタピン26は、図4(1)の状態で停止し、第1ランナ23Aのみが選択された状態となる。このような状態で、射出工程が開始される(ステップS4)。これにより、溶融樹脂がスプル21→第1ランナ23A→キャビティ20を辿り、キャビティ20に充填されていく。また、射出開始ともに、スクリュ5の位置がロータリーエンコーダ102によって計測される。そして、スクリュ5が保圧切換位置(或いは予め設定された指定位置)に達すると、エジェクタロッド37を後退させる。なお、このスクリュ5が保圧切換位置(或いは予め設定された指定位置)に達した時点においては、第1ランナ23Aを経てキャビティ20内に充填された溶融樹脂は、90〜95%充填されている。従って、キャビティ20内の溶融樹脂の両端部は、それぞれ図3に示すように合流位置120の近傍に達している。
【0032】
このような状態で、エジェクタロッド37を後退させると(ステップS5)、第1エジェクタプレート31はコイルバネ33の付勢力によって後退し、これに同伴してスプル用エジェクタピン26も後退する。そして、第1エジェクタプレート31の後端面31cが可動側取付板13bの前面に当接し、第1エジェクタプレート31の後退が停止する。この第1エジェクタプレート31の停止によって、スプル用エジェクタピン26は図4(2)の状態で停止し、これにより、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの両者が選択された状態となる。この結果、図3に示すように、第1の流れに加えて、新たな第2の流れがウェルド部に流れ込み、射出工程(充填+保圧)がタイマ管理され終了する。この結果、ウェルド部の強度が向上する。なお、この点における原理については、後述することにする。
【0033】
次いで、保圧終了後、冷却工程(ステップS6)、型開工程(ステップS7)を経て、成形品の突き出し工程(ステップS8)となる。この突き出し工程においては、エジェクタロッド37が前進し、第1エジェクタプレート31の前面が第2エジェクタプレート32に当接し、この状態でさらに前進する。これにより、第2エジェクタプレート32が前進する。この結果、成形品用エジェクタピン34及びスプル用エジェクタピン26が前進して、成形品が突き出される。その後、成形品用エジェクタピン34及びスプル用エジェクタピン26は後退して元の状態に復帰する。そして、ステップS1に戻り、次の成形サイクルに移る。
【0034】
上記の例では、ランナ切替えタイミングをロータリーエンコーダ110によるスクリュの位置を計測することにより行ったけれども、タイマを用いて射出開始からタイマで計測してタイムアウトでエジェクタピンを後退させるようにしてもよい。
【0035】
また、上記の例では、キャビティ20の左右流路断面積が同一で左右の流れの流量が同一の理想的な場合を想定して、第1ランナ23Aに対して第2ランナ23Bを斜めに配置したけれども、そのようなキャビティ20の左右の流れの流量が同一である理想的な場合であっても、図6に示すように第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとをスプル21に関して上下対象に配置してもよい。
【0036】
次いで、図7を参照して、第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れが流れ込むことにより、ウェルド部の機械的強度が向上する原理について説明する。図7(1)は第2ランナ23Bが存在せず、第1ランナ23Aのみで溶融材料をキャビティ内に流し込む従来例の構成を示すものである。ここで、スプル21を通過する流れの流量をQとすると、従来例の場合は、キャビティ20の両側に分岐した各第1流れの流量はそれぞれ0.5Qとなる。この場合、キャビティ20の左右流路断面積が同一で左右の流れの流量が同一と想定すると、合流部では同一流量の流れが合流することになり、ガラス繊維は矢印Aで示すように合流面120に沿って配向する。この結果、成形品のウェルド部の強度が低下する。
【0037】
一方、図7(2)に示すように、第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れを流し込むと、合流部において流量の異なる流れによる合流が生じる。即ち、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bが選択される場合は、キャビティ20の両側に分岐した各第1流れの流量はそれぞれ0.25Qとなり、第2ランナ23Bを通過する第2流れの流量は0.5Qとなる。従って、合流部においては、流量が0.25Qの流れと、流量が(0.25Q+0.5Q)の流れとが合流する。これにより、両方の流れの圧力差に加えて、流量差に起因して、合流面120では、図7(3)に示すように、流量の大きい方の流れが流量の小さい方の流れに突入した状態となる。この結果、両者の流れに含まれるガラス繊維は、図7(3)の矢印Aで示すように、湾曲した合流面120に沿って配向することになる。
この結果、合流部でガラス繊維の配向が乱され、合流部での機械的強度が増加する。さらに、歪等の変形のない成形品が得られる。
【0038】
なお、第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとをスプル21に関して上下対象に配置する場合は、キャビティ20の左右流路断面積が同一で左右の流れの流量が同一と想定すると、図7(4)に示すように、流量が0.25Qの流れ(分岐した一方の第1流れ)と、流量が0.25Qの流れ(分岐した他方の第1流れ)と、流量が0.5Qの流れ(第2ランナを通過する第2流れ)とが、合流部で合流することになる。従って、合流部での流量差が図7(2)に示す場合に比べて小さく、そのため、合流面120の湾曲が図7(2)に示す場合に比べて小さいものとなる。この結果、図7(1)に示す場合に比べれば、合流部での機械的強度は増加するが、図7(2)に示す場合よりも強度の増加は劣ることになる。従って、第1ランナ23Aに対して第2ランナ23Bを斜めに配置させる構成の方が、第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとを一直線上に配置する構成よりも望ましい。
【0039】
なお、本発明者の実験結果により、ウェルド部がない場合の強度を100%とすると、ウェルド部がある場合は強度が20〜30%であったものが、本発明の方法によると強度が70〜80%に改善されたことが確かめられている。
【0040】
(実施の形態2)
図8は実施の形態2の金型装置の断面図であり、図9はキャビティ付近の平面図であり、図10は図9の矢視X2−X2断面図であり、図11は図9の矢視X3−X3断面図である。上記実施の形態1では、第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとは、それぞれ1個ずつ設けられたけれども、本実施の形態2では第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとはそれぞれ2個ずつ設けられている。これにより、第1流路としては、スプル21→共通ランナ50→第1ランナ23A1→キャビティ20を辿る第1流路25A1と、スプル21→共通ランナ50→第1ランナ23A2→キャビティ20を辿る第1流路25A2とが存在する。また、後述する成形品用エジェクタピン34a,34bの後退により生じる第2流路としては、スプル21→共通ランナ50→第2ランナ23B1→キャビティ20を辿る第2流路25B1と、スプル21→共通ランナ50→第2ランナ23B2→キャビティ20を辿る第2流路25B2とが存在する。
【0041】
また、本実施の形態2では、一対の成形品用(突出専用)エジェクタピン34(以下、成形品用エジェクタピン34と略称する。)に加えて左右一対の成形品用(ランナ切替用)エジェクタピン34a,34b(以下、成形品用エジェクタピン34a,34bと略称する。)とが設けられている。これら成形品用エジェクタピン34a,34bは、第1エジェクタプレート31に固着され、第2エジェクタプレート32を挿通している。そして、本実施の形態では、実施の形態1におけるスプル用エジェクタピン26に代えて、成形品用エジェクタピン34a,34bの前進・後退によって、第1ランナ23A1,23A2のみが選択される状態(第1流路25A1,25A2のみが選択される状態)と、第1ランナ23A1,23A2及び第2ランナ23B1,23B2の両者が選択される状態(第1流路25A1,25A2及び第2流路25B1,25B2の両者が選択される状態)とを切換えることが可能になっている(図9参照)。
【0042】
即ち、本実施の形態では、成形品用エジェクタピン34a,34bがランナ切替用ピンとして機能する。従って、成形品用エジェクタピン34a,34bの先端部は、実施の形態1におけるスプル用エジェクタピン26の先端部と同様に、傾斜面34Sを有している。即ち、成形品用エジェクタピン34aの先端部は、図9及び図10に示すように、先端に向かうに連れて第2ランナ23B1に近づく方向に傾斜した傾斜面34Sを有する。そして、この傾斜面34Sは、図10に示す状態では、第1ランナ23A1及び共通ランナ50に臨んでおり、そのため、共通ランナ50と第1ランナ23A1とは連通し、共通ランナ50と第2ランナ23B1とは遮断された状態となっている。また、同様に、成形品用エジェクタピン34bの先端部は、図9及び図11に示すように、先端に向かうに連れて第2ランナ23B2に近づく方向に傾斜した傾斜面34Sを有する。そして、この傾斜面34Sは、図11に示す状態では、第1ランナ23A2及び共通ランナ50に臨んでおり、そのため、共通ランナ50と第1ランナ23A2とは連通し、共通ランナ50と第2ランナ23B2とは遮断された状態となっている。
なお、本実施の形態におけるスプル用エジェクタピン26は、ランナ切替用ピンとして機能しないため、実施の形態1のスプル用エジェクタピン26とは異なり、その先端部に傾斜面26aを有していない。
【0043】
このような構成によっても、第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れが流れ込むことにより、ウェルド部の機械的強度を向上させることができる。なお、上記の例では、第1ランナと第2ランナの組みが2組設けられたが、成形品が大きい形状の場合、3組以上設けるようにしてもよい。
【0044】
(実施の形態3)
図12は実施の形態3に係る金型装置の断面図であり、図13は実施の形態3の成形サイクルを示すフローチャートである。上記実施の形態1では、ランナの切替えはエジェクタロッド37を駆動することにより行ったけれども、本実施の形態3では、金型装置に設けた一対のランナ切替用シリンダ60により行うようにしたことを特徴とするものである。即ち、可動側取付板13bと第1のエジェクタプレート31との間に、一対のランナ切替用シリンダ60が配置されており、このランナ切替用シリンダ60は可動側取付板13bに固定されている。そして、ランナ切替用シリンダ60のロッド61は第1エジェクタプレート31を押圧できるようになっている。このランナ切替用シリンダ60は、油圧シリンダ駆動の例で示しているが、油圧駆動ユニット(図示せず)を設けて実施してもよく、また、油圧式成形機では油圧源を利用して配管分岐することによっても可能である。また、図中62は可動側取付板13bに固着された規制部材であって、この規制部材62の前面と第1エジェクタプレート31の後面との距離は、スプル用エジェクタピン26の移動量と同一に設定されている。
【0045】
次いで、本実施の形態3における成形サイクルの動作を、図13を参照して説明する。なお、ランナの切替えは一対のランナ切替用シリンダ60により行うものである。先ず、型閉工程が行われる(ステップP1)。そして、型閉が完了すると、一対のランナ切替用シリンダ60は前進駆動を開始する(ステップP2)。これにより、ランナ切替用シリンダ60の各ロッド61が第1エジェクタプレート31を押圧し、このため、第1エジェクタプレート31に同伴して、スプル用エジェクタピン26も前進する。そして、第1エジェクタプレート31が第2エジェクタプレート32に当接すると、ランナ切替用シリンダ60はその前進駆動を停止する(ステップP3)。これにより、スプル用エジェクタピン26は、実施の形態1における図4(1)で示すのと同様の状態で停止し、第1ランナ23Aのみが選択された状態となる。このような状態で、射出工程が開始される(ステップP4)。これにより、溶融樹脂がスプル21→第1ランナ23A→キャビティ20を辿り、キャビティ20に充填されていく。
【0046】
また、射出開始ともに、スクリュ5の位置がロータリーエンコーダ102によって計測される。そして、スクリュ5が保圧切換位置(或いは予め設定された指定位置)に達すると、一対のランナ切替用シリンダ60は後退駆動を開始する(ステップP5)。ランナ切替用シリンダ60の各ロッド61が共に後退すると、第1エジェクタプレート31はコイルバネ33の付勢力によって後退し、これに同伴してスプル用エジェクタピン26も後退する。そして、第1エジェクタプレート31の後端面31cが規制部材62の前面に当接し、第1エジェクタプレート31の後退が停止する。この第1エジェクタプレート31の停止によって、スプル用エジェクタピン26は、実施の形態1における図4(2)で示すのと同様の状態で停止し、これにより、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの両者が選択された状態となる。こうして、一対のランナ切替用シリンダ60の駆動により、スプル用エジェクタピン26を前進・後退させてランナの切替えが行われる。そして、このようなランナの切替えにより、本実施の形態においても、実施の形態1の図3に示すのと同様に、第1の流れに加えて、新たな第2の流れがウェルド部に流れ込み、この結果、ウェルド部の強度が向上する。
【0047】
次いで、保圧終了後、冷却工程(ステップP6)、型開工程(ステップP7)を経て、成形品の突き出し工程(ステップP8)となる。この突き出し工程においては、エジェクタロッド37が前進し、第1エジェクタプレート31に当接する。そして、この状態でさらにエジェクタロッド37が前進することにより、第1エジェクタプレート31が第2エジェクタプレート32に当接する。この状態で、さらにエジェクタロッド37が前進することにより、第2エジェクタプレート32が前進し、この結果、一対の成形品用エジェクタピン34及びスプル用エジェクタピン26が前進して、成形品が突き出される。その後、一対の成形品用エジェクタピン34及びスプル用エジェクタピン26は後退して元の状態に復帰する。
【0048】
このように上記構成によっても、第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れが流れ込むことにより、ウェルド部の機械的強度を向上させることができる。なお、上記の例では、ランナ切替えタイミングをロータリーエンコーダ102によるスクリュの位置を計測することにより行ったけれども、タイマを用いて射出開始からタイマで計測してタイムアウトでエジェクタピンを後退させるようにしてもよい。
【0049】
(実施の形態4)
図14は実施の形態4に係る金型装置の断面図であり、図15は実施の形態4におけるキャビティ付近の平面図であり、図16は図15の矢視X4−X4断面図であり、図17は図15の矢視X5−X5断面図である。本実施の形態では、一対のランナ切替用シリンダを個別に駆動できるように構成したものである。以下、具体的な構成について説明する。本実施の形態における第1エジェクタプレート31には、成形品用エジェクタピン34aが固着された部分31aと、成形品用エジェクタピン34bが固着された部分31bとが、前進・後退可能に装着されている。そして、部分31aに関連してランナ切替用シリンダ65aが配設され、部分31bに関連してランナ切替用シリンダ65bが配設されている。
【0050】
そして、ランナ切替用シリンダ65a,65bを個別に駆動することにより、成形品用エジェクタピン34a,34bを個別に前進・後退することができる。
この結果、第1ランナ23A1と第2ランナ23B1の組と、第1ランナ23A2と第2ランナ23B2の組の、各組それぞれのランナ切替えを時間差をもって選択することが可能となる。勿論、同時に行うことも可能である。なお、ランナ切替用シリンダ65a,65bは、油圧シリンダまたは空圧シリンダのいずれであってもよい。
(その他の事項)
【0051】
(1)上記実施の形態1〜4では、射出装置2としては電動式射出成形装置を用いたけれども、油圧式射出成形装置を用いてもよい。また、型締装置3としては電動トグル式型締装置を用いたけれども、電動直圧式型締装置、油圧トグル式型締装置、及び、油圧直圧式型締装置のいずれを用いてもよい。
【0052】
(2)上記実施の形態1,3では、スプル用エジェクタピン26はその先端部に傾斜面26aを有したけれども、スプル用エジェクタピン26の形状は、この形状に限定されるものではなく、例えば、図18(1)、(2)のような形状であってもよい。即ち、スプル用エジェクタピン26の先端部形状は、スプル用エジェクタピン26の移動により、スプル21と第1ランナ23Aとが連通し且つスプル21と第2ランナ23Bとが遮断している状態(図18(1)、(2)に示す状態)と、スプル21が第1ランナ23A及び第2ランナ23Bのいずれにも連通している状態(図示せず)の、2つの状態を確保し得るような形状であればよい。また、上記実施の形態2,4において用いられる成形品用エジェクタピン34a,34bについても、スプル用エジェクタピン26と同様に、その先端部に傾斜面34Sを有する形状に限定されず、例えば、図18(1)、(2)のような形状であってもよい。
【0053】
(3)上記実施の形態1〜4では、ランナ切替用ピン(スプル用エジェクタピン26、成形品用エジェクタピン34a,34b)の前進・後退駆動は、エジェクタロッド又はランナ切替用シリンダ(油圧・空圧・電動シリンダ)を用いたけれども、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の駆動機構を使用してもよい。
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、エジェクタピンの移動という簡単な方法で、第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れを流し込むことができ、ウェルド部の機械的強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の金型装置を備えた射出成形機の全体構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る金型装置の断面図である。
【図3】実施の形態1のキャビティの平面図である。
【図4】図3の矢視X1−X1断面図である。
【図5】実施の形態1の成形サイクルを示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1における第1ランナと第2ランナの配置の変形例である。
【図7】第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れが流れ込むことにより、ウェルド部の機械的強度が向上する原理を説明するための図である。
【図8】実施の形態2に係る金型装置の断面図である。
【図9】実施の形態2におけるキャビティ付近の平面図である。
【図10】図9の矢視X2−X2断面図である。
【図11】図9の矢視X3−X3断面図である。
【図12】実施の形態3に係る金型装置の断面面である。
【図13】実施の形態3の成形サイクルを示すフローチャートである。
【図14】実施の形態4に係る金型装置の断面面である。
【図15】実施の形態4におけるキャビティ付近の平面図である。
【図16】図15の矢視X4−X4断面図である。
【図17】図15の矢視X5−X5断面図である。
【図18】スプル用エジェクタピン26の先端部形状の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
20:キャビティ
21:スプル
23A,23A1,23A2:第1ランナ
23B,23B1,23B2:第2ランナ
26:スプル用エジェクタピン(ランナ切替用ピン)
26a:スプル用エジェクタピン26の傾斜面
31:第1エジェクタプレート
32:第2エジェクタプレート
34a,34b:成形品用エジェクタピン(ランナ切替用ピン)
34S:成形品用エジェクタピン34a,34bの傾斜面
37:エジェクタロッド37
60,65a,65b:ランナ切替用シリンダ
102:ロータリーエンコーダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形体のウェルド部における強度の向上を図ることのできる射出成形方法及びその射出成形方法を用いた金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形において、複数のゲートから流入した溶融材料の合流部にウェルド部が生じるということは、従来から広く知られている。ところが、かかるウェルド部では、溶融材料の流れが合流面に沿った方向になってしまうため、強度等の機械的特性が低下してしまうという問題があった。特に、ガラス繊維強化樹脂の成形体においては、ウェルド部の強度低下が顕著になる。
【0003】
そこで、このような問題を解決するため、従来から種々の発明が提案されている。例えば、特開2001−287242号公報(特許文献1)には、溶融材料をシリンダから金型内の複数のゲートを通じてキャビティに流入充填させる射出成形体を製造するにあたり、複数のゲートから流入した溶融材料がキャビティ内で合流する前に、一部のゲートからの溶融材料の流入量を減少させるか又は流入を停止させ、残りのゲートから流入した溶融材料と合流させる構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−287242号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1記載の発明では、複数のゲートの開閉を制御する特別の機構が必要である。
【0006】
本発明の目的は、ランナ切替用ピンの前進・後退という簡単の操作によって、第2流れを第1流れに対して時間的に遅れて流し込み、合流部において流量の異なる流れによる合流を生じさせて、ウェルド部の強度を向上するようにした射出成形方法及びその射出成形方法を用いた金型装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、スプルとキャビティとの間に、スプルから分岐した第1ランナと第2ランナとを設け、第1ランナのみの選択により、第1ランナを通過する溶融材料の第1流れをキャビティ内に流し込み、次いで、第1ランナ及び第2ランナの選択により、第1流れの合流部近傍に、第2ランナを通過する溶融材料の第2流れを、第1流れに対して時間的に遅れて流し込む射出成形方法であって、前記第1ランナのみの選択と、第1ランナ及び第2ランナの選択のランナ切替えを、ランナ切替用ピンの前進・後退により行うようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記の如く、ランナ切替用ピンの前進・後退という簡単な操作によって、第2流れを第1流れに対して時間的に遅れて流し込み、合流部において流量の異なる流れによる合流を生じさせることができる。この結果、ウェルド部の強度を向上することができる。
【0009】
本発明は、スクリュの位置を検出する検出手段を設け、この検出手段によってスクリュの位置が予め定めた保圧切換位置に達したときに、ランナ切替用ピンを駆動してランナ切替えを行う場合もある。また、ランナ切替えタイミングを計測するタイマを設け、このタイマからの信号によって、ランナ切替用ピンを駆動してランナ切替えを行う場合もある。
【0010】
また、ランナ切替用ピンはスプル用エジェクタピンであり、このスプル用エジェクタピンは、スプルが第1ランナとは連通状態で第2ランナとは遮断状態となっている第1位置と、前記スプルが第1ランナ及び第2ランナのいずれにも連通状態となっている第2位置とに切替え可能に構成されている場合もある。
【0011】
また、前記スプル用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはエジェクタロッドの前進・後退によって前進・後退されるように構成され、エジェクタロッドの前進・後退によってスプル用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる場合もある。
【0012】
また、スプル用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはランナ切替用シリンダによって前進・後退されるように構成され、ランナ切替用シリンダによってスプル用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる場合もある。
【0013】
また、第1ランナと第2ランナとの組が複数組設けられるとともに、ランナ切替用ピンが複数の成形品用エジェクタピンである場合もある。また、前記複数の成形品用エジェクタピンは、個別に前進・後退可能に構成されている場合もある。なお、成形品用エジェクタピンを駆動する方法としては、エジェクタロッド又はランナ切替用シリンダが用いられる。
【0014】
また、前記第2ランナは、第2ランナのキャビティに臨むゲートが、前記第1ランナのみで充填した場合に生じる合流部に対してずれるように配置されてもよい。また、第1ランナと第2ランナとはスプルに関して上下対象に配置してもよい。但し、ウェルド部の強度向上の観点からは、前者の方が好ましい。また、溶融材料がガラス繊維または炭素繊維からなる強化用繊維を含有している場合には、ウェルド部の繊維の配向により成形品の強度やそり変形が大きく影響されるので、本発明に係る成形法の効果が最も大きい。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の射出成形が使用される金型装置を備えた射出成形機の全体構成を示す図であり、図2は金型装置の断面図であり、図3はキャビティの平面図であり、図4は図3の矢視X1−X1断面図である。なお、図4(1)はスプル用エジェクタピンの前進時の断面図であり、図4(2)はスプル用エジェクタピンの後退時の断面図である。本実施の形態1に係る射出成形機1は、インラインスリクュ式射出装置2と、電動トグル式型締装置3と、制御装置4とから構成されている。
【0016】
射出装置2は電動式射出装置であって、射出用モータ100及びスクリュ回転駆動用モータ101が備えられている。射出用モータ100の出力軸はボールネジ102で構成され、このボールネジ102の回転によって射出アクチュエータ103が前進・後進するようになっている。この射出アクチュエータ103には連結部材104が回転可能に連結されており、この連結部材104の端部にはスクリュ5が固着されている。このような構成により、射出用モータ100の回転により、射出アクチュエータ103及び連結部材104を介して、スクリュ5が加熱筒6の内周面に沿って前後進自在となっている。
【0017】
また、スクリュ回転駆動用モータ101の出力軸には、プーリ105が装着されている。このプーリ105と、連結部材104の外周に装着されているプーリ106間には、ベルト107が巻き掛けられている。このような構成により、スクリュ回転駆動用モータ101の回転駆動力はベルト107を介して連結部材104に伝達される。この連結部材104の回転によって、スクリュ5が加熱筒6の内周面に沿って回転自在となっている。
【0018】
スクリュ5の回転に伴なって、ホッパ8内に供給された樹脂ペレットはスクリュ5の前方へ送られ、この間に加熱筒6の外周面に取付けられているヒータ(図示せず)による加熱を受けると共に、スクリュ5の回転による混練作用を受けることにより樹脂ペレットが溶融する構成となっている。
【0019】
スクリュ5の前方へ送られた溶融材料の量が、予め設定された量に達した時点でスクリュ回転駆動用モータ101の回転駆動を停止すると共に、射出用モータ100を駆動してスクリュ5を前進させることにより、スクリュ5前方に貯えられた溶融樹脂は、ノズル9を経由して金型装置の金型キャビティ内へ射出される。
【0020】
なお、射出アクチュエータ103には、ラック108が固着されている。このラック108に噛合うピニオン109の回転軸には、ロータリーエンコーダ110が装着されている。このような構成により、スクリュ5の位置がロータリーエンコーダ110によって検出され、スクリュ5の位置データは制御装置4に与えられるようになっている。
【0021】
一方、型締装置3は、固定金型10を支持する固定盤11に対し、タイバー12を介して可動金型13を支持する可動盤14を移動自在に設けると共に、金型の開閉および型締めを行う型締め手段としてトグル式型締機構15をエンドプレート16を介して可動盤14に対して取付け、前記トグル式型締機構15を駆動するための型締用サーボモータ17が設けられている。この型締用サーボモータ17の出力軸はボールネジ51として構成されており、このボールネジ51に螺合するボールナット52がトグル式型締機構15の中央リンクプレート15aに連結されている。そして、サーボモータ17の回転力が、ボールネジ51の回転力として伝達され、次いで、ボールナット52を介して直線運動に変換されて、トグル式型締機構15を駆動するように構成されている。
【0022】
金型装置は、固定金型10と可動金型13とからなり、固定金型10は固定側型板10aと固定側取付板10bとから構成され、可動金型13は可動側型板13aと可動側取付板13bとから構成されている。固定側型板10aと可動側型板13aの間にはキャビティ20が設けられており、キャビティ20は環状に形成されている((図2、図3参照)。また、このキャビティ20に関連して、スプル21の端部から図3の上方に延びてキャビティ20に連通する第1ランナ23Aと、スプル21の端部から図3の斜め下方に延びてキャビティ20に連通する第2ランナ23Bとが形成されている。従って、成形材料(溶融材料)をキャビティ20に導く流路としては、スプル21→第1ランナ23A→キャビティ20を辿る第1流路25Aと、スプル21→第2ランナ23B→キャビティ20を辿る第2流路25Bとが存在する。そして、本発明では、後述するように、スプル用エジェクタピン26の移動によって、第1ランナ23Aのみが選択される状態(第1流路25Aのみが選択される状態)と、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの両者が選択される状態(第1流路25A及び第2流路25Bの両者が選択される状態)とに切換え可能となっている。
【0023】
なお、上記のように第1ランナ23Aに対して第2ランナ23Bを斜めに配置する実質的な理由は、第2ランナ23Bのキャビティ20に臨むゲートA(図3参照)を、第1ランナ23Aのみで充填した場合の合流部120(図3参照)からずらすことにある。従って、通常はキャビティ20内の左右の流れは同一流量であるため、第1ランナ23Aの延長線上に合流部120が形成されるので、第1ランナ23Aに対して第2ランナ23Bを斜めに配置することになる。但し、キャビティ20の左右流路断面積が微妙に異なり、そのため合流部120が第1ランナ23Aの延長線上からずれる場合がある。このような場合には、第2ランナ23BのゲートAが合流部120からずれて配置されている限り、第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとが一直線上に配置された構成となってもよい。
【0024】
また、可動側型板13aは一対のスペーサブロック30を介して可動側取付板13bに固定されている。スペーサブロック30は、段差面30aを有する段差状に形成されている。この一対のスペーサブロック30の内方側でかつ、可動側型板13aと可動側取付板13bとの間には、第1エジェクタプレート31及び第2エジェクタプレート32が配設されている。第1エジェクタプレート31は、プレート部31Aと、プレート部31Aに固着されたプレート部31Bとからなる。この第1エジェクタプレート31には、ランナ切替用ピンとして機能するスプル用エジェクタピン26が固着されている。スプル用エジェクタピン26は第2エジェクタプレート32及び可動側型板13aを挿通し、その先端がスプル21に臨んでいる。そして、スプル用エジェクタピン26の先端部は、先端に向かうに連れて第2ランナ23Bに近づく方向に傾斜した傾斜面26aを有する。
スプル用エジェクタピン26が先進して傾斜面26aが図4(1)に示す位置になったとき、第1ランナ23Aが選択され、また、スプル用エジェクタピン26が後退して傾斜面26aが図4(2)に示す位置になったとき、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの両者が選択される。
【0025】
第1エジェクタプレート31と第2エジェクタプレート32間には、一対のコイルバネ33が介装されており、このコイルバネ33によって第1エジェクタプレート31は第2エジェクタプレート32から離間する方向に付勢されている。
【0026】
第2エジェクタプレート32は、プレート部32Aと、プレート部32Aに固着されたプレート部32Bとからなる。この第2エジェクタプレート32には、一対の成形品用エジェクタピン34と、一対のリターンピン35とが固着されている。リターンピン35の外周には、コイルバネ35aが装着されており、このコイルバネ35aによって、第2エジェクタプレート32は、その後端面(図2の左端面)がスペーサブロック30の段差面30aに当接するように付勢されている。
【0027】
可動側取付板13bの中央部には挿通孔35が形成されており、この挿通孔35をエジェクタロッド37が挿通している。そして、エジェクタロッド37の先端(図2の右端)は、第1エジェクタプレート31の後端面31c(図2の左端面)に接触可能となっている。このエジェクタロッド37は電動式駆動機構38によって前後進方向(図1の左右方向)に移動自在となっている。
【0028】
電動式駆動機構38はサーボモータ40を有している。このサーボモータ40の出力軸はボールネジ41として構成されており、このボールネジ41に螺合するボールナット42が連結部材43を介して可動盤44に連結されている。そして、可動盤44には前記エジェクタロッド37が固着されている。なお、サーボモータ40はサーボモータ用コントローラ45によって正転・逆転が制御されている。そして、サーボモータ40の回転力が、ボールネジ41の回転力として伝達され、次いで、ボールナット42を介して直線運動に変換されて、可動盤44を駆動し、エジェクタロッド37が前後進できるように構成されている。
【0029】
また、この射出成形法で使用されるプラスチック材料としては、従来から使用されている射出成形可能な全ての種類の材料が使用できる。これらには、低密度ポリエチレン、ポリエチレン−酢酸ビニルコポリマーなど各種エチレンコポリマー、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、一般用ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、各種ポリアミド例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6T、ナイロンMXD6など、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、変形ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケント、ポリアミドイミド、ポリイミド、液晶ポリマー(LCP)などがある。また、これらをベースにしたポリマーアロイ、例えばポリカーボネート/ABS、ナイロン6/ABS、ポリブチレンテレフタレート/ABS、ナイロン6/変形ポリエチレン、ポリアセタール/熱可塑性ポリウレタン、ナイロン66/ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートなどが使用できる。これらプラスチックには、各種フィラーを配合したものも含まれる。これらのフィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、ワラストナイト、マイカ、シリカ、硫酸バリウム、鉄粉、フェライトなどがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0030】
さらにこれらのプラスチックやポリマーアロイに強化用繊維例えばガラス繊維、炭素繊維などを配合した材料は、ウェルド部の繊維の配向により成形品の強度やそり変形が大きく影響されるので、この成形法の効果が最も大きい材料である。これらには、ガラス繊維強化ポリプロピレン、ガラス繊維強化ABS、ガラス繊維強化ポリアミド、ガラス繊維強化ポリカーボネート、ガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート、ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート、ガラス繊維強化ポリカーボネート/ABSなどがある。さらに、この成形法は各種熱可塑性エラストマー、例えばポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリスチレンエラストマーなどが使用できる。また、射出成形可能な熱硬化性プラスチック例えばフェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂(BMC)なども使用できる。
【0031】
図5は実施の形態1の成形サイクルを示すフローチャートである。図5を参照して、成形サイクルの動作について説明する。なお、ランナの切替えはエジェクタロッド37の前進・後進駆動により行うものである。
先ず、型閉工程が行われる(ステップS1)。そして、型閉が完了すると、エジェクタロッド37が前進駆動を開始する(ステップS2)。これにより、第1エジェクタプレート31が押圧され、第1エジェクタプレート31と同伴して、スプル用エジェクタピン26も前進する。そして、第1エジェクタプレート31が第2エジェクタプレート32に当接すると、エジェクタロッド37は前進駆動を停止する(ステップS3)。これにより、スプル用エジェクタピン26は、図4(1)の状態で停止し、第1ランナ23Aのみが選択された状態となる。このような状態で、射出工程が開始される(ステップS4)。これにより、溶融樹脂がスプル21→第1ランナ23A→キャビティ20を辿り、キャビティ20に充填されていく。また、射出開始ともに、スクリュ5の位置がロータリーエンコーダ102によって計測される。そして、スクリュ5が保圧切換位置(或いは予め設定された指定位置)に達すると、エジェクタロッド37を後退させる。なお、このスクリュ5が保圧切換位置(或いは予め設定された指定位置)に達した時点においては、第1ランナ23Aを経てキャビティ20内に充填された溶融樹脂は、90〜95%充填されている。従って、キャビティ20内の溶融樹脂の両端部は、それぞれ図3に示すように合流位置120の近傍に達している。
【0032】
このような状態で、エジェクタロッド37を後退させると(ステップS5)、第1エジェクタプレート31はコイルバネ33の付勢力によって後退し、これに同伴してスプル用エジェクタピン26も後退する。そして、第1エジェクタプレート31の後端面31cが可動側取付板13bの前面に当接し、第1エジェクタプレート31の後退が停止する。この第1エジェクタプレート31の停止によって、スプル用エジェクタピン26は図4(2)の状態で停止し、これにより、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの両者が選択された状態となる。この結果、図3に示すように、第1の流れに加えて、新たな第2の流れがウェルド部に流れ込み、射出工程(充填+保圧)がタイマ管理され終了する。この結果、ウェルド部の強度が向上する。なお、この点における原理については、後述することにする。
【0033】
次いで、保圧終了後、冷却工程(ステップS6)、型開工程(ステップS7)を経て、成形品の突き出し工程(ステップS8)となる。この突き出し工程においては、エジェクタロッド37が前進し、第1エジェクタプレート31の前面が第2エジェクタプレート32に当接し、この状態でさらに前進する。これにより、第2エジェクタプレート32が前進する。この結果、成形品用エジェクタピン34及びスプル用エジェクタピン26が前進して、成形品が突き出される。その後、成形品用エジェクタピン34及びスプル用エジェクタピン26は後退して元の状態に復帰する。そして、ステップS1に戻り、次の成形サイクルに移る。
【0034】
上記の例では、ランナ切替えタイミングをロータリーエンコーダ110によるスクリュの位置を計測することにより行ったけれども、タイマを用いて射出開始からタイマで計測してタイムアウトでエジェクタピンを後退させるようにしてもよい。
【0035】
また、上記の例では、キャビティ20の左右流路断面積が同一で左右の流れの流量が同一の理想的な場合を想定して、第1ランナ23Aに対して第2ランナ23Bを斜めに配置したけれども、そのようなキャビティ20の左右の流れの流量が同一である理想的な場合であっても、図6に示すように第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとをスプル21に関して上下対象に配置してもよい。
【0036】
次いで、図7を参照して、第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れが流れ込むことにより、ウェルド部の機械的強度が向上する原理について説明する。図7(1)は第2ランナ23Bが存在せず、第1ランナ23Aのみで溶融材料をキャビティ内に流し込む従来例の構成を示すものである。ここで、スプル21を通過する流れの流量をQとすると、従来例の場合は、キャビティ20の両側に分岐した各第1流れの流量はそれぞれ0.5Qとなる。この場合、キャビティ20の左右流路断面積が同一で左右の流れの流量が同一と想定すると、合流部では同一流量の流れが合流することになり、ガラス繊維は矢印Aで示すように合流面120に沿って配向する。この結果、成形品のウェルド部の強度が低下する。
【0037】
一方、図7(2)に示すように、第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れを流し込むと、合流部において流量の異なる流れによる合流が生じる。即ち、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bが選択される場合は、キャビティ20の両側に分岐した各第1流れの流量はそれぞれ0.25Qとなり、第2ランナ23Bを通過する第2流れの流量は0.5Qとなる。従って、合流部においては、流量が0.25Qの流れと、流量が(0.25Q+0.5Q)の流れとが合流する。これにより、両方の流れの圧力差に加えて、流量差に起因して、合流面120では、図7(3)に示すように、流量の大きい方の流れが流量の小さい方の流れに突入した状態となる。この結果、両者の流れに含まれるガラス繊維は、図7(3)の矢印Aで示すように、湾曲した合流面120に沿って配向することになる。
この結果、合流部でガラス繊維の配向が乱され、合流部での機械的強度が増加する。さらに、歪等の変形のない成形品が得られる。
【0038】
なお、第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとをスプル21に関して上下対象に配置する場合は、キャビティ20の左右流路断面積が同一で左右の流れの流量が同一と想定すると、図7(4)に示すように、流量が0.25Qの流れ(分岐した一方の第1流れ)と、流量が0.25Qの流れ(分岐した他方の第1流れ)と、流量が0.5Qの流れ(第2ランナを通過する第2流れ)とが、合流部で合流することになる。従って、合流部での流量差が図7(2)に示す場合に比べて小さく、そのため、合流面120の湾曲が図7(2)に示す場合に比べて小さいものとなる。この結果、図7(1)に示す場合に比べれば、合流部での機械的強度は増加するが、図7(2)に示す場合よりも強度の増加は劣ることになる。従って、第1ランナ23Aに対して第2ランナ23Bを斜めに配置させる構成の方が、第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとを一直線上に配置する構成よりも望ましい。
【0039】
なお、本発明者の実験結果により、ウェルド部がない場合の強度を100%とすると、ウェルド部がある場合は強度が20〜30%であったものが、本発明の方法によると強度が70〜80%に改善されたことが確かめられている。
【0040】
(実施の形態2)
図8は実施の形態2の金型装置の断面図であり、図9はキャビティ付近の平面図であり、図10は図9の矢視X2−X2断面図であり、図11は図9の矢視X3−X3断面図である。上記実施の形態1では、第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとは、それぞれ1個ずつ設けられたけれども、本実施の形態2では第1ランナ23Aと第2ランナ23Bとはそれぞれ2個ずつ設けられている。これにより、第1流路としては、スプル21→共通ランナ50→第1ランナ23A1→キャビティ20を辿る第1流路25A1と、スプル21→共通ランナ50→第1ランナ23A2→キャビティ20を辿る第1流路25A2とが存在する。また、後述する成形品用エジェクタピン34a,34bの後退により生じる第2流路としては、スプル21→共通ランナ50→第2ランナ23B1→キャビティ20を辿る第2流路25B1と、スプル21→共通ランナ50→第2ランナ23B2→キャビティ20を辿る第2流路25B2とが存在する。
【0041】
また、本実施の形態2では、一対の成形品用(突出専用)エジェクタピン34(以下、成形品用エジェクタピン34と略称する。)に加えて左右一対の成形品用(ランナ切替用)エジェクタピン34a,34b(以下、成形品用エジェクタピン34a,34bと略称する。)とが設けられている。これら成形品用エジェクタピン34a,34bは、第1エジェクタプレート31に固着され、第2エジェクタプレート32を挿通している。そして、本実施の形態では、実施の形態1におけるスプル用エジェクタピン26に代えて、成形品用エジェクタピン34a,34bの前進・後退によって、第1ランナ23A1,23A2のみが選択される状態(第1流路25A1,25A2のみが選択される状態)と、第1ランナ23A1,23A2及び第2ランナ23B1,23B2の両者が選択される状態(第1流路25A1,25A2及び第2流路25B1,25B2の両者が選択される状態)とを切換えることが可能になっている(図9参照)。
【0042】
即ち、本実施の形態では、成形品用エジェクタピン34a,34bがランナ切替用ピンとして機能する。従って、成形品用エジェクタピン34a,34bの先端部は、実施の形態1におけるスプル用エジェクタピン26の先端部と同様に、傾斜面34Sを有している。即ち、成形品用エジェクタピン34aの先端部は、図9及び図10に示すように、先端に向かうに連れて第2ランナ23B1に近づく方向に傾斜した傾斜面34Sを有する。そして、この傾斜面34Sは、図10に示す状態では、第1ランナ23A1及び共通ランナ50に臨んでおり、そのため、共通ランナ50と第1ランナ23A1とは連通し、共通ランナ50と第2ランナ23B1とは遮断された状態となっている。また、同様に、成形品用エジェクタピン34bの先端部は、図9及び図11に示すように、先端に向かうに連れて第2ランナ23B2に近づく方向に傾斜した傾斜面34Sを有する。そして、この傾斜面34Sは、図11に示す状態では、第1ランナ23A2及び共通ランナ50に臨んでおり、そのため、共通ランナ50と第1ランナ23A2とは連通し、共通ランナ50と第2ランナ23B2とは遮断された状態となっている。
なお、本実施の形態におけるスプル用エジェクタピン26は、ランナ切替用ピンとして機能しないため、実施の形態1のスプル用エジェクタピン26とは異なり、その先端部に傾斜面26aを有していない。
【0043】
このような構成によっても、第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れが流れ込むことにより、ウェルド部の機械的強度を向上させることができる。なお、上記の例では、第1ランナと第2ランナの組みが2組設けられたが、成形品が大きい形状の場合、3組以上設けるようにしてもよい。
【0044】
(実施の形態3)
図12は実施の形態3に係る金型装置の断面図であり、図13は実施の形態3の成形サイクルを示すフローチャートである。上記実施の形態1では、ランナの切替えはエジェクタロッド37を駆動することにより行ったけれども、本実施の形態3では、金型装置に設けた一対のランナ切替用シリンダ60により行うようにしたことを特徴とするものである。即ち、可動側取付板13bと第1のエジェクタプレート31との間に、一対のランナ切替用シリンダ60が配置されており、このランナ切替用シリンダ60は可動側取付板13bに固定されている。そして、ランナ切替用シリンダ60のロッド61は第1エジェクタプレート31を押圧できるようになっている。このランナ切替用シリンダ60は、油圧シリンダ駆動の例で示しているが、油圧駆動ユニット(図示せず)を設けて実施してもよく、また、油圧式成形機では油圧源を利用して配管分岐することによっても可能である。また、図中62は可動側取付板13bに固着された規制部材であって、この規制部材62の前面と第1エジェクタプレート31の後面との距離は、スプル用エジェクタピン26の移動量と同一に設定されている。
【0045】
次いで、本実施の形態3における成形サイクルの動作を、図13を参照して説明する。なお、ランナの切替えは一対のランナ切替用シリンダ60により行うものである。先ず、型閉工程が行われる(ステップP1)。そして、型閉が完了すると、一対のランナ切替用シリンダ60は前進駆動を開始する(ステップP2)。これにより、ランナ切替用シリンダ60の各ロッド61が第1エジェクタプレート31を押圧し、このため、第1エジェクタプレート31に同伴して、スプル用エジェクタピン26も前進する。そして、第1エジェクタプレート31が第2エジェクタプレート32に当接すると、ランナ切替用シリンダ60はその前進駆動を停止する(ステップP3)。これにより、スプル用エジェクタピン26は、実施の形態1における図4(1)で示すのと同様の状態で停止し、第1ランナ23Aのみが選択された状態となる。このような状態で、射出工程が開始される(ステップP4)。これにより、溶融樹脂がスプル21→第1ランナ23A→キャビティ20を辿り、キャビティ20に充填されていく。
【0046】
また、射出開始ともに、スクリュ5の位置がロータリーエンコーダ102によって計測される。そして、スクリュ5が保圧切換位置(或いは予め設定された指定位置)に達すると、一対のランナ切替用シリンダ60は後退駆動を開始する(ステップP5)。ランナ切替用シリンダ60の各ロッド61が共に後退すると、第1エジェクタプレート31はコイルバネ33の付勢力によって後退し、これに同伴してスプル用エジェクタピン26も後退する。そして、第1エジェクタプレート31の後端面31cが規制部材62の前面に当接し、第1エジェクタプレート31の後退が停止する。この第1エジェクタプレート31の停止によって、スプル用エジェクタピン26は、実施の形態1における図4(2)で示すのと同様の状態で停止し、これにより、第1ランナ23A及び第2ランナ23Bの両者が選択された状態となる。こうして、一対のランナ切替用シリンダ60の駆動により、スプル用エジェクタピン26を前進・後退させてランナの切替えが行われる。そして、このようなランナの切替えにより、本実施の形態においても、実施の形態1の図3に示すのと同様に、第1の流れに加えて、新たな第2の流れがウェルド部に流れ込み、この結果、ウェルド部の強度が向上する。
【0047】
次いで、保圧終了後、冷却工程(ステップP6)、型開工程(ステップP7)を経て、成形品の突き出し工程(ステップP8)となる。この突き出し工程においては、エジェクタロッド37が前進し、第1エジェクタプレート31に当接する。そして、この状態でさらにエジェクタロッド37が前進することにより、第1エジェクタプレート31が第2エジェクタプレート32に当接する。この状態で、さらにエジェクタロッド37が前進することにより、第2エジェクタプレート32が前進し、この結果、一対の成形品用エジェクタピン34及びスプル用エジェクタピン26が前進して、成形品が突き出される。その後、一対の成形品用エジェクタピン34及びスプル用エジェクタピン26は後退して元の状態に復帰する。
【0048】
このように上記構成によっても、第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れが流れ込むことにより、ウェルド部の機械的強度を向上させることができる。なお、上記の例では、ランナ切替えタイミングをロータリーエンコーダ102によるスクリュの位置を計測することにより行ったけれども、タイマを用いて射出開始からタイマで計測してタイムアウトでエジェクタピンを後退させるようにしてもよい。
【0049】
(実施の形態4)
図14は実施の形態4に係る金型装置の断面図であり、図15は実施の形態4におけるキャビティ付近の平面図であり、図16は図15の矢視X4−X4断面図であり、図17は図15の矢視X5−X5断面図である。本実施の形態では、一対のランナ切替用シリンダを個別に駆動できるように構成したものである。以下、具体的な構成について説明する。本実施の形態における第1エジェクタプレート31には、成形品用エジェクタピン34aが固着された部分31aと、成形品用エジェクタピン34bが固着された部分31bとが、前進・後退可能に装着されている。そして、部分31aに関連してランナ切替用シリンダ65aが配設され、部分31bに関連してランナ切替用シリンダ65bが配設されている。
【0050】
そして、ランナ切替用シリンダ65a,65bを個別に駆動することにより、成形品用エジェクタピン34a,34bを個別に前進・後退することができる。
この結果、第1ランナ23A1と第2ランナ23B1の組と、第1ランナ23A2と第2ランナ23B2の組の、各組それぞれのランナ切替えを時間差をもって選択することが可能となる。勿論、同時に行うことも可能である。なお、ランナ切替用シリンダ65a,65bは、油圧シリンダまたは空圧シリンダのいずれであってもよい。
(その他の事項)
【0051】
(1)上記実施の形態1〜4では、射出装置2としては電動式射出成形装置を用いたけれども、油圧式射出成形装置を用いてもよい。また、型締装置3としては電動トグル式型締装置を用いたけれども、電動直圧式型締装置、油圧トグル式型締装置、及び、油圧直圧式型締装置のいずれを用いてもよい。
【0052】
(2)上記実施の形態1,3では、スプル用エジェクタピン26はその先端部に傾斜面26aを有したけれども、スプル用エジェクタピン26の形状は、この形状に限定されるものではなく、例えば、図18(1)、(2)のような形状であってもよい。即ち、スプル用エジェクタピン26の先端部形状は、スプル用エジェクタピン26の移動により、スプル21と第1ランナ23Aとが連通し且つスプル21と第2ランナ23Bとが遮断している状態(図18(1)、(2)に示す状態)と、スプル21が第1ランナ23A及び第2ランナ23Bのいずれにも連通している状態(図示せず)の、2つの状態を確保し得るような形状であればよい。また、上記実施の形態2,4において用いられる成形品用エジェクタピン34a,34bについても、スプル用エジェクタピン26と同様に、その先端部に傾斜面34Sを有する形状に限定されず、例えば、図18(1)、(2)のような形状であってもよい。
【0053】
(3)上記実施の形態1〜4では、ランナ切替用ピン(スプル用エジェクタピン26、成形品用エジェクタピン34a,34b)の前進・後退駆動は、エジェクタロッド又はランナ切替用シリンダ(油圧・空圧・電動シリンダ)を用いたけれども、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の駆動機構を使用してもよい。
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、エジェクタピンの移動という簡単な方法で、第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れを流し込むことができ、ウェルド部の機械的強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の金型装置を備えた射出成形機の全体構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る金型装置の断面図である。
【図3】実施の形態1のキャビティの平面図である。
【図4】図3の矢視X1−X1断面図である。
【図5】実施の形態1の成形サイクルを示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1における第1ランナと第2ランナの配置の変形例である。
【図7】第1流れの合流部に時間的に遅れて第2流れが流れ込むことにより、ウェルド部の機械的強度が向上する原理を説明するための図である。
【図8】実施の形態2に係る金型装置の断面図である。
【図9】実施の形態2におけるキャビティ付近の平面図である。
【図10】図9の矢視X2−X2断面図である。
【図11】図9の矢視X3−X3断面図である。
【図12】実施の形態3に係る金型装置の断面面である。
【図13】実施の形態3の成形サイクルを示すフローチャートである。
【図14】実施の形態4に係る金型装置の断面面である。
【図15】実施の形態4におけるキャビティ付近の平面図である。
【図16】図15の矢視X4−X4断面図である。
【図17】図15の矢視X5−X5断面図である。
【図18】スプル用エジェクタピン26の先端部形状の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
20:キャビティ
21:スプル
23A,23A1,23A2:第1ランナ
23B,23B1,23B2:第2ランナ
26:スプル用エジェクタピン(ランナ切替用ピン)
26a:スプル用エジェクタピン26の傾斜面
31:第1エジェクタプレート
32:第2エジェクタプレート
34a,34b:成形品用エジェクタピン(ランナ切替用ピン)
34S:成形品用エジェクタピン34a,34bの傾斜面
37:エジェクタロッド37
60,65a,65b:ランナ切替用シリンダ
102:ロータリーエンコーダ
Claims (20)
- スプルとキャビティとの間に、スプルから分岐した第1ランナと第2ランナとを設け、第1ランナのみの選択により、第1ランナを通過する溶融材料の第1流れをキャビティ内に流し込み、次いで、第1ランナ及び第2ランナの選択により、第1流れの合流部近傍に、第2ランナを通過する溶融材料の第2流れを、第1流れに対して時間的に遅れて流し込む射出成形方法であって、
前記第1ランナのみの選択と、第1ランナ及び第2ランナの選択の切替えを、ランナ切替用ピンの前進・後退により行うようにしたことを特徴とする射出成形方法。 - スクリュの位置を検出する検出手段を設け、この検出手段によってスクリュの位置が予め定めた保圧切換位置に達したときに、前記ランナ切替用ピンを駆動してランナ切替えを行う、請求項1記載の射出成形方法。
- ランナ切替えタイミングを計測するタイマを設け、このタイマからの信号によって、前記ランナ切替用ピンを駆動してランナ切替えを行う、請求項1記載の射出成形方法。
- 前記ランナ切替用ピンはスプル用エジェクタピンであり、このスプル用エジェクタピンは、スプルと第1ランナとが連通状態で且つスプルと第2ランナとが遮断状態となっている第1位置と、前記スプルが第1ランナ及び第2ランナのいずれにも連通状態となっている第2位置とに切替え可能に構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の射出成形方法。
- 前記スプル用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはエジェクタロッドの前進・後退によって前進・後退されるように構成され、エジェクタロッドの前進・後退によってスプル用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる、請求項4記載の射出成形方法。
- 前記スプル用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはランナ切替用シリンダによって前進・後退されるように構成され、ランナ切替用シリンダによってスプル用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる、請求項4記載の射出成形方法。
- 前記ランナ切替用ピンは成形品用エジェクタピンであり、この成形品用エジェクタピンは、スプルと第1ランナとが連通状態で且つスプルと第2ランナとが遮断状態となっている第1位置と、前記スプルが第1ランナ及び第2ランナのいずれにも連通状態となっている第2位置とに切替え可能に構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の射出成形方法。
- 第1ランナと第2ランナとの組が複数組設けられるとともに、この第1及び第2ランナの組の数に応じた数だけ、前記成形品用エジェクタピンが配置され、これらの成形品用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはエジェクタロッドの前進・後退によって前進・後退されるように構成され、エジェクタロッドの前進・後退によって成形品用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる、請求項7記載の射出成形方法。
- 第1ランナと第2ランナとの組が複数組設けられるとともに、この第1及び第2ランナの組の数に応じた数だけ、前記成形品用エジェクタピンが配置され、これらの成形品用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはランナ切替用シリンダによって前進・後退されるように構成され、ランナ切替用シリンダによって成形品用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる、請求項7記載の射出成形方法。
- 前記複数の成形品用エジェクタピンは、個別に前進・後退可能に構成されている、請求項9記載の射出成形方法。
- 前記第2ランナは、第2ランナのキャビティに臨むゲートが、前記第1ランナのみで充填した場合に発生する合流部に対してずれるように配置されている、請求項1乃至10の何れかに記載の射出成形方法。
- 前記溶融材料はガラス繊維または炭素繊維からなる強化用繊維を含有している、請求項1乃至11の何れかに記載の射出成形方法。
- スプルとキャビティとの間に、スプルから分岐した第1ランナと第2ランナとを設け、第1ランナのみの選択により、第1ランナを通過する溶融材料の第1流れをキャビティ内に流し込み、次いで、第1ランナ及び第2ランナの選択により、第1流れの合流部近傍に、第2ランナを通過する溶融材料の第2流れを、第1流れに対して時間的に遅れて流し込む金型装置であって、
前記第1ランナのみの選択と、第1ランナ及び第2ランナの選択の切替えを行うランナ切替用ピンと、
前記ランナ切替用ピンを前進・後退駆動する駆動手段と、
所定のタイミングで前記駆動手段を駆動させ、ランナ切替用ピンの前進・後退により、前記第1ランナのみの選択と、第1ランナ及び第2ランナの選択のランナ切替えを制御する制御手段と、を有することを特徴とする金型装置。 - 前記ランナ切替用ピンはスプル用エジェクタピンであり、このスプル用エジェクタピンは、スプルと第1ランナとが連通状態で且つスプルと第2ランナとが遮断状態となっている第1位置と、前記スプルが第1ランナ及び第2ランナのいずれにも連通状態となっている第2位置とに切替え可能に構成されている、請求項13記載の金型装置。
- 前記スプル用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはエジェクタロッドの前進・後退によって前進・後退されるように構成され、エジェクタロッドの前進・後退によってスプル用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる、請求項14記載の金型装置。
- 前記スプル用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはランナ切替用シリンダによって前進・後退されるように構成され、ランナ切替用シリンダによってスプル用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる、請求項14記載の金型装置。
- 前記ランナ切替用ピンは成形品用エジェクタピンであり、この成形品用エジェクタピンは、スプルと第1ランナとが連通状態で且つスプルと第2ランナとが遮断状態となっている第1位置と、前記スプルが第1ランナ及び第2ランナのいずれにも連通状態となっている第2位置とに切替え可能に構成されている、請求項13記載の金型装置。
- 第1ランナと第2ランナとの組が複数組設けられるとともに、この第1及び第2ランナの組の数に応じた数だけ、前記成形品用エジェクタピンが配置され、これらの成形品用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはエジェクタロッドの前進・後退によって前進・後退されるように構成され、エジェクタロッドの前進・後退によって成形品用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる、請求項17記載の金型装置。
- 第1ランナと第2ランナとの組が複数組設けられるとともに、この第1及び第2ランナの組の数に応じた数だけ、前記成形品用エジェクタピンが配置され、これらの成形品用エジェクタピンは第1エジェクタプレートに固着されており、この第1エジェクタプレートはランナ切替用シリンダによって前進・後退されるように構成され、ランナ切替用シリンダによって成形品用エジェクタピンによるランナ切替えが行われる、請求項17記載の金型装置。
- 前記複数の成形品用エジェクタピンは、個別に前進・後退可能に構成されている、請求項19記載の金型装置。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2010110907A (ja) * | 2008-11-04 | 2010-05-20 | Toyo Mach & Metal Co Ltd | 射出成形金型 |
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-
2003
- 2003-08-06 JP JP2003206326A patent/JP2005053005A/ja active Pending
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