JP2005052020A - エタノールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】木質系バイオマスから発酵によりエタノールを製造する製造方法において、木質系バイオマスの木質の組成の変動によらず、高収率のエタノールを安定して製造する方法を提供する。
【解決手段】木質系バイオマスから発酵によってエタノールを製造する製造方法において、発酵工程でKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用する。また、発酵工程で使用する糖液を用いた1つのシード培地に、Kluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合してシード培養し、そのシード培養液を用いて発酵工程を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】木質系バイオマスから発酵によってエタノールを製造する製造方法において、発酵工程でKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用する。また、発酵工程で使用する糖液を用いた1つのシード培地に、Kluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合してシード培養し、そのシード培養液を用いて発酵工程を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃建材等の木質系バイオマスを用いて、発酵によりエタノールを製造する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、木材チップ、廃建材のような木質系バイオマスからエタノールを製造し、エネルギーや化学原料として利用する試みが内外で進められている。この方法は、木質系バイオマスを酸あるいはアルカリで加水分解して、グルコース等のヘミセルロース由来の糖を含む加水分解液とし、この糖を酵母等の微生物を用いる発酵法によりエタノールに変換するものである。こうして得られたエタノールは、燃料や化学原料として利用される。
木質系バイオマスから、酵母を用いて発酵によりエタノールを製造する方法として、特開平11−169188号公報に挙げられる技術がある(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、木質系バイオマスとして廃建材を用いることは、バイオマス資源利用の課題である原料の収集という点において非常に有利である。しかし、廃建材の中には、酵母による糖質の発酵を阻害する接着剤や塗料等の化学物質が含まれている。例えば、合板では6〜8%、パーティクルボードでは8〜10%の接着剤が使用されている。接着剤や塗料等の化学物質が分解すると、プロピオン酸やアンモニアといった発酵阻害物質を生成するので、こうした化学物質は加水分解前に除去するか、あるいは、当初から廃建材の原料を分別することが望ましいが、いずれの作業も容易には行うことができない。
【0004】
また、酵母による糖質の発酵阻害物質としては、化学物質由来のものの他に、木材由来のギ酸、酢酸やフルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール、レブリン酸等の糖質の過分解物質もある。
【0005】
廃建材の中には、酵母による糖質の発酵阻害物質は天然の原料より多く含まれている。例えば、合板やパーティクルボードを加水分解すると、加水分解液1L(リットル)当たり発酵阻害物質が10g程度生成することもある。発酵阻害物質の濃度が数g/Lを超えるとエタノールの生成に影響する。
【0006】
加水分解液からこうした発酵阻害物質を除去する方法としては、イオン交換、吸着、活性炭等で発酵前の加水分解液を処理する方法があるが、いずれも設備費、運転費がかかり、エタノール製造コストを引き上げる。そこで、発酵阻害物質の除去処理を不要とするため、発酵阻害物質に対する浸透圧耐性の高い酵母の使用が要求される。
【0007】
また、発酵が進行すると、発酵液中のエタノール濃度は徐々に高くなるので、酵母のエタノール耐性も要求される。すなわち、高濃度のエタノールの存在下でも酵母が生存、増殖し、発酵力を維持できることが要求される。
【0008】
また、木質系バイオマスとして廃建材を用いた場合は、収集日や収集場所による木質の組成の変動が大きい。即ち、廃建材には、無垢材が多く含まれるものもあれば、合板等の加工材が多く含まれるものもある。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−169188号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、上記の技術は、木質系バイオマスを用いた場合に、特に廃建材を用いた場合に、安定して高収率のエタノールを得ることには対応できていない。
その理由は、発酵阻害物質に対する浸透圧耐性、エタノールの濃度上昇に対する耐性、それにエタノール生成能力といった性質が、酵母の種類によって大きく異なっていることによる。そのため、エタノールの収率が、木質系バイオマスの木質の組成の変動により変動してしまうことによる。
【0011】
例えば、Saccharomyces属に属する酵母はエタノールの生成能力が高いものの、有機酸等の発酵阻害物質への耐性の点ではKluveromyces属に属する酵母の方が優れている場合もある。また、Shizosaccharomyces属に属する酵母には塩類等に対する浸透圧耐性の高いものもある。
また、酵母の種類によっては、合板に含まれる発酵阻害物質により生育やエタノール生成を阻害されるものもあるが、その中には無垢材の加水分解液に対しては高いエタノール生成能力を示すものもある。
木質系バイオマスから酵母を用いて発酵によりエタノールを製造する技術において、高収率のエタノールを安定的に製造するには、特に木質系バイオマスとして廃建材を用いた場合には、木質の組成が変動してもエタノールの収率が高度で維持できることが必要になる。
上記の技術においては、酵母を1種類しか使用していないので、木質の組成の変動によりエタノールの収率が変動してしまうのである。
【0012】
そこで、本発明の課題は、木質系バイオマスから発酵によりエタノールを製造する製造方法において、木質系バイオマスの木質の組成の変動によらず、高収率のエタノールを安定して製造する方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討の結果、木質系バイオマスから発酵によってエタノールを製造する製造方法において、発酵工程でKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用することにより、木質系バイオマスの木質の組成が変動しても、高収率のエタノールを安定して製造することができることを見出した。
つまり、木質系バイオマスの木質の組成の変動に対しては、発酵工程でKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を使用して、その木質系バイオマスの木質の組成に適応した酵母を優先して用いることにより、酵母による糖質の発酵を効果的に行い、酵母のエタノール生成能力を高度で維持し、結果として、高収率のエタノールを安定して製造することが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、発酵工程の前のシード培養の工程で、発酵工程で使用する糖液(木質系バイオマスを加水分解して中和した液)を用いた1つのシード培地に、Kluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合してシード培養することにより、発酵工程で用いる糖液に適した酵母を優先させることができることを見出した。そうして、木質系バイオマスの木質の組成に適応した酵母を優先させることにより、さらに高収率でエタノールを製造することができ、かつ、シード培養漕を複数用意する必要がなくなり、エタノールの製造コストが低減できることを見出した。
【0015】
即ち、本発明の第1の発明は、木質系バイオマスから発酵によってエタノールを製造する製造方法において、発酵工程でKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用することを特徴とするエタノールの製造方法である。
【0016】
本発明の第2の発明は、Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用する請求項1記載のエタノールの製造方法である。
【0017】
本発明の第3の発明は、Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Shizosaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む3種以上の酵母を混合して使用する請求項1又は2記載のエタノールの製造方法である。
【0018】
本発明の第4の発明は、木質系バイオマスが廃建材であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のエタノールの製造方法である。
【0019】
本発明の第5の発明は、発酵工程で使用する糖液を用いた1つのシード培地に2種以上の酵母を混合してシード培養し、そのシード培養液を用いて発酵工程を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のエタノールの製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本実施形態の製造方法は、図1に示すように加水分解、中和、シード培養、発酵、エタノール分離・精製の各工程から構成される。
【0021】
(木質系バイオマス)
木質系バイオマスとしては、木材チップや廃建材などが挙げられる。廃建材としては、廃棄木質建材、廃パレット、廃梱包材等が挙げられる。廃建材は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、廃建材には、酢酸、フルフラール、レブリン酸、ギ酸等の木材由来の発酵阻害物質や接着剤、塗料等の化学物質が含まれていても差し支えない。
【0022】
(加水分解工程)
加水分解工程では、従来から公知の酸加水分解法やアルカリ加水分解法を用いることができる。そのなかでも、酸加水分解法が好ましい。酸加水分解法に用いる酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などが挙げられるが、硫酸を用いるのが好ましく、特に希硫酸を用いるのが好ましい。
【0023】
(中和工程)
加水分解工程後、酸加水分解法、アルカリ加水分解法を用いた場合には、中和工程が必要である。例えば、酸加水分解法で加水分解した後に中和工程で用いるアルカリとしては、Ca(OH)2、NaOHなどが挙げられるが、比較的安価なCa(OH)2を用いるのが好ましい。
【0024】
(シード培養工程)
本発明に用いられる酵母は、発酵工程の前にシード培地にて培養される。シード培地としては、通常の培地を用いてもよいが、中和工程で中和された加水分解液にコーンスティープリカー(CSL)、尿素、リン酸水素カリウム(KH2PO4)を添加して、pHを5.0に調整したものを用いるとよい。それぞれの添加量は、加水分解液1Lに対し、CSLは1〜10g、尿素は0.1〜1.0g、リン酸水素カリウムは0.05〜0.5gとするとよい。
シード培養は、この培地に酵母の菌株を接種して、好気条件下で行う。エタノール生産酵母としては、公知の酵母を用いることができるが、Kluyveromyces属に属するKluyveromyces marxianus、Saccharomyces属に属するSaccharomyces cerevisiae、Shizosaccharomyces属に属するShizosaccharomyces pombe、Pichia属に属するPichia stipitis、Candida属に属するCandida shehatae等が好適に用いられ、そのなかでも、Kluyveromyces属に属するKluyveromyces marxianus、Saccharomyces属に属するSaccharomyces cerevisiae、Shizosaccharomyces属に属するShizosaccharomyces pombeが特に好適に用いられる。Kluyveromyces marxianusとSaccharomyces cerevisiaeの2者は、比較的高いエタノール生産能力を有する。また、Pichia stipitis、Candida shehataeの2者の酵母は、いずれもグルコースの他にキシロースもエタノールに変換することが知られているが、アルデヒド等の発酵阻害物質に対する耐性は、Kluyveromyces marxianus、Saccharomyces cerevisiae、Shizosaccharomyces pombeに比べると低い。
【0025】
本発明に用いる酵母は、独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NBRC)や財団法人発酵研究所(IFO)、American Type Culture Collection(ATCC)等の微生物寄託機関から分譲により得ることができる。下記に具体的な酵母の菌株の番号をあげる。
Saccharomyces cerevisiae (NBRC−2376)
Shizosaccharomyces pombe (NBRC−0345)
Kluyveromyces marxianus (NBRC−1777)
Candida shehatae (IFO 1983、ATCC 34887)
Pichia stipitis (IFO 1687、ATCC 58376)
【0026】
(発酵工程)
中和工程後、得られた加水分解液は発酵工程に供される。発酵工程では、シード培養工程で培養したKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を加水分解液に混合することにより、これら2種以上の酵母による発酵によってエタノールが生成される。本発明に用いるこの種の酵母は発酵阻害物質に対する浸透圧耐性が細菌より高いので、この種の酵母を用いれば、発酵阻害物質となる接着剤、塗料等の不純物を除去処理することなく、発酵を安定的に進行させることができるという利点がある。また、この種の酵母はエタノールの濃度上昇に対する耐性が細菌より高いので、この種の酵母を用いれば、発酵液中のエタノール濃度を下げるために、加水分解液を予め希釈して糖質濃度を調整することなく、発酵を行うことができるという利点がある。
【0027】
また、本発明においては、Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用すれば、発酵がより効果的に行われる。さらに、Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Shizosaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む3種以上の酵母を混合して使用すれば、発酵がさらに効果的に行われる。
【0028】
木質系バイオマスとして、廃建材を用いた場合、その中に含まれる発酵阻害物質として、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、レブリン酸等の有機酸、フルフラール、5−HMF等のアルデヒド、SO42−、Ca2+、Na+、Cl−等の無機イオン類があり、これらの濃度は廃建材の種類によって変化する。本発明においては、酵母の種類としては、2〜5種類程度混合して使用すれば、こうした発酵阻害物質の濃度の変動に対して、十分な効果が得られ、酵母の種類をそれ以上増やしても、さらなる効果を得られる可能性は低い。同時に使用する酵母の種類を多くしすぎると、むしろ、酵母の管理費用が大きくなり、発酵に関与しない酵母が、他の酵母による発酵を阻害するおそれがあるといったデメリットが生じてくる。
【0029】
(エタノール分離・精製工程)
発酵工程を経て得られた発酵液は、発酵により生成したエタノールを分離・精製する工程に供される。エタノールを分離する方法としては、蒸留、浸透気化膜等の公知の方法が用いられるが、なかでも蒸留が好ましい。また、エタノールを精製する方法としては、蒸留等の公知の方法が用いられる。
【0030】
このように、第1実施形態によれば、発酵工程でKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を使用して、原料の木質の組成に適応した酵母を優先して用いることにより、酵母による糖質の発酵を効果的に行い、酵母のエタノール生成能力を高度で維持し、結果として、高収率のエタノールを安定して製造することが可能となる。また、Saccharomyces属に属する酵母はエタノールの生成能力が高いものの、有機酸等の発酵阻害物質への耐性の点ではKluveromyces属に属する酵母の方が優れていることから、発酵工程でKluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用すると、より高収率のエタノールを安定して製造することが可能となる。さらに、Shizosaccharomyces属に属する酵母には塩類等に対する浸透圧耐性の高いことから、Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Shizosaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む3種以上の酵母を混合して使用すると、さらに高収率のエタノールを安定して製造することが可能となる。
【0031】
[第2の実施形態]
本実施形態の製造方法は、図2に示すように加水分解、中和、シード培養、発酵、エタノール分離・精製の各工程から構成されるが、発酵工程で使用する糖液を用いた1つのシード培地に、Kluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して培養したシード培養液を用いて、加水分解液を発酵させる点において第1の実施形態と異なっている。
【0032】
本実施形態によれば、第1実施形態で得られる効果に加えて、以下のような効果が得られる。即ち、発酵工程で用いる糖液に適した2種以上の酵母を優先してシード培養するので、1つのシード培地に1種の酵母を培養して、発酵工程においてKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合する場合に比べて、より高収率でエタノールを製造することができ、かつ、シード培養漕を複数用意する必要がなくなり、エタノールの製造コストが低減できる。
【0033】
【実施例】
[実験条件]
(原料となる廃建材の加水分解液)
まず、本実施例に用いる下記の7種の廃建材を用意した。
模擬建材(1):杉40%、米松30%、米栂20%、ラワン合板10%の比率で混合した混合材
模擬建材(2):杉22%、米松17%、米栂11%、ラワン合板50%の比率で混合した混合材
実廃建材(1)〜(5):中間処理業者から譲り受けた廃建材サンプル(燃料用)5種類
これら7種の廃建材を1.5質量%の希硫酸を使って150℃、10分間で2段階に分けて加水分解した後、ろ過によって残渣を除去した。そして、これら7種の加水分解液を水酸化カルシウムで中和した液を、各実施例、比較例に用いた。実施例1及び2、比較例1及び2においては、模擬建材(1)及び(2)、並びに、実廃建材(1)〜(3)の5種の建材を用いた。また、実施例3及び4、比較例3〜5においては、模擬建材(1)及び(2)、並びに、実廃建材(1)〜(5)の7種の建材を用いた。
【0034】
得られた加水分解液については、発酵阻害物質の除去や糖質濃度の調節、糖質の分離等の処理は行わず、そのまま各実施例、各比較例の発酵工程に供した。
加水分解液中の糖質濃度は、下記の条件の液体クロマトグラフィーにて測定した。
糖質濃度分析:液体クロマトグラフィー(HPLC)
使用機種:D−7000型(日立製作所製)
カラム:HPX−87P(BIO−RAD製)
7種の廃建材の加水分解液(中和後)の組成を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
(発酵培地の調製)
発酵培地には、上記7種の廃建材の各々の加水分解液(中和後)1Lに対し、栄養源として、CSL(SIGMA社製)5g、尿素(純正化学社製)0.8g、リン酸水素カリウム(純正化学社製)0.2g添加した後に、pHを5.0に調整したものを用いた。
【0037】
(菌株)
本実施例に用いる酵母は、独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NBRC)から分譲された下記の菌株を使用した。(カッコ内は菌株No.)
Saccharomyces cerevisiae (NBRC−2376)
Shizosaccharomyces pombe (NBRC−0345)
Kluyveromyces marxianus (NBRC−1777)
【0038】
(シード培養工程)
シード培地には、上記7種の廃建材の各々の加水分解液(中和後)1Lに対し、栄養源として、CSL(SIGMA社製)5g、尿素(純正化学社製)0.8g、リン酸水素カリウム(純正化学社製)0.2g添加した後に、pHを5.0に調整したものを用いた。
シード培養は、前記シード培地50mLを200mLフラスコに入れ、その培地にスラントから取り出した菌株を1白金耳接種し、好気条件下、30℃、100rpmで20時間行った。
【0039】
(発酵工程)
前記方法で得た発酵培地50mLを200mLフラスコに入れ、シード培地で酵母を培養したシード培養液を5質量%接種し、好気条件下、30℃、100rpmで20時間発酵を行った。
【0040】
発酵終了後、溶液中のエタノール収量(g)を下記の条件のガスクロマトグラフィーにより、また、糖質濃度(g/L)を上記と同様に液体クロマトグラフィーにより測定した。
エタノール収量の分析:ガスクロマトグラフィー(GC)
使用機種:GC353B(ジーエルサイエンス製)
カラム:CP−WAX52CB(VARIAN製)
また、測定したエタノール収量(g)を液量(L)で割り算してエタノール濃度(g/L)を求めた。
【0041】
また、以下の式(I)により、発酵後のエタノール発酵率(%)を求めた。
発酵後のエタノール発酵率(%)=(発酵後のエタノール濃度(g/L))/(シード培地中のグルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクト−ス濃度の合計値(g/L))/0.51×100 (I)
なお、式(I)において、0.51は係数で、糖質が発酵反応により完全にエタノールと二酸化炭素に変化する際における生成するエタノールの糖質に対する質量比である。
【0042】
[実施例1]
上記のように、原料となる5種の廃建材の加水分解液を調整して、発酵培地とシード培地を用意した。この例では、1つのシード培地に2種の酵母:Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)を接種してシード培養し、得られたシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表2及び図3に示す。
【0043】
[実施例2]
この例では、2種の酵母:Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)のそれぞれ1種ずつを1つのシード培地に接種して培養し、2種のシード培養液を発酵培地に2.5質量%ずつ接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表2及び図3に示す。
【0044】
[比較例1]
この例では、Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)をシード培養し、このシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表2及び図3に示す。
【0045】
[比較例2]
この例では、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)をシード培養し、このシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表2及び図3に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
実施例1と比較例1〜2を比べることにより、2種の酵母を混合することにより、原料の木質の変動によらず、安定した発酵率を得ることができたことが分かる。また、実施例2と比較例1〜2を比べることにより、2種の酵母を混合することにより、原料の木質の変動によらず、安定した発酵率を得ることができたことが分かった。
【0048】
比較例1、2の2者を比べることにより、Kluyveromyces marxianusは比較的発酵率が安定しているが、阻害物質の濃度が低い場合には、Saccharomyces cerevisiaeの方がKluyveromyces marxianusよりも発酵率が高いことが分かった。
【0049】
実施例1と実施例2とを比べることにより、シード培養工程において2種の酵母を混合するほうが、発酵工程において初めて2種の酵母を混合するよりも、より高い発酵率を得られることが分かった。
【0050】
[実施例3]
上記のように、原料となる7種の廃建材の加水分解液を調整して、発酵培地とシード培地を用意した。この例では、1つのシード培地に3種の酵母:Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)、Shizosaccharomyces pombe(NBRC−0345)を接種してシード培養し、得られたシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表3及び図4に示す。
【0051】
[実施例4]
この例では、3種の酵母:Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)、Shizosaccharomyces pombe(NBRC−0345)のそれぞれ1種ずつを1つのシード培地に接種して培養し、3種のシード培養液を発酵培地に1.7質量%ずつ接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表3及び図4に示す。
【0052】
[比較例3]
この例では、Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)をシード培養し、このシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表3及び図4に示す。
【0053】
[比較例4]
この例では、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)をシード培養し、このシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表3及び図4に示す。
【0054】
[比較例5]
この例では、Shizosaccharomyces pombe(NBRC−0345)をシード培養し、このシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表3及び図4に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
実施例3と比較例3〜5を比べることにより、3種の酵母を混合することにより、原料の木質の変動によらず、安定した発酵率を得ることができたことが分かる。また、実施例4と比較例3〜5を比べることにより、3種の酵母を混合することにより、原料の木質の変動によらず、安定した発酵率を得ることができたことが分かった。
【0057】
比較例3、4、5の3者を比べることにより、Kluyveromyces marxianusは比較的発酵率が安定しているが、阻害物質の濃度が低い場合には、Saccharomyces cerevisiae、Shizosaccharomyces pombeの方がKluyveromyces marxianusよりも発酵率が高いことが分かった。
【0058】
実施例3と実施例4とを比べることにより、シード培養工程において3種の酵母を混合するほうが、発酵工程において初めて3種の酵母を混合するよりも、より高い発酵率を得られることが分かった。
【0059】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明のエタノールの製造方法を用いれば、木質系バイオマスの木質の組成の変動によらず、高収率のエタノールを安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るエタノール製造方法の工程図である。
【図2】第2実施形態に係るエタノール製造方法の工程図である。
【図3】原料の廃建材の変動に対する本発明のエタノール製造方法によるエタノール発酵率を表すグラフの一例である。
【図4】原料の廃建材の変動に対する本発明のエタノール製造方法によるエタノール発酵率を表すグラフのもう一つの例である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃建材等の木質系バイオマスを用いて、発酵によりエタノールを製造する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、木材チップ、廃建材のような木質系バイオマスからエタノールを製造し、エネルギーや化学原料として利用する試みが内外で進められている。この方法は、木質系バイオマスを酸あるいはアルカリで加水分解して、グルコース等のヘミセルロース由来の糖を含む加水分解液とし、この糖を酵母等の微生物を用いる発酵法によりエタノールに変換するものである。こうして得られたエタノールは、燃料や化学原料として利用される。
木質系バイオマスから、酵母を用いて発酵によりエタノールを製造する方法として、特開平11−169188号公報に挙げられる技術がある(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、木質系バイオマスとして廃建材を用いることは、バイオマス資源利用の課題である原料の収集という点において非常に有利である。しかし、廃建材の中には、酵母による糖質の発酵を阻害する接着剤や塗料等の化学物質が含まれている。例えば、合板では6〜8%、パーティクルボードでは8〜10%の接着剤が使用されている。接着剤や塗料等の化学物質が分解すると、プロピオン酸やアンモニアといった発酵阻害物質を生成するので、こうした化学物質は加水分解前に除去するか、あるいは、当初から廃建材の原料を分別することが望ましいが、いずれの作業も容易には行うことができない。
【0004】
また、酵母による糖質の発酵阻害物質としては、化学物質由来のものの他に、木材由来のギ酸、酢酸やフルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール、レブリン酸等の糖質の過分解物質もある。
【0005】
廃建材の中には、酵母による糖質の発酵阻害物質は天然の原料より多く含まれている。例えば、合板やパーティクルボードを加水分解すると、加水分解液1L(リットル)当たり発酵阻害物質が10g程度生成することもある。発酵阻害物質の濃度が数g/Lを超えるとエタノールの生成に影響する。
【0006】
加水分解液からこうした発酵阻害物質を除去する方法としては、イオン交換、吸着、活性炭等で発酵前の加水分解液を処理する方法があるが、いずれも設備費、運転費がかかり、エタノール製造コストを引き上げる。そこで、発酵阻害物質の除去処理を不要とするため、発酵阻害物質に対する浸透圧耐性の高い酵母の使用が要求される。
【0007】
また、発酵が進行すると、発酵液中のエタノール濃度は徐々に高くなるので、酵母のエタノール耐性も要求される。すなわち、高濃度のエタノールの存在下でも酵母が生存、増殖し、発酵力を維持できることが要求される。
【0008】
また、木質系バイオマスとして廃建材を用いた場合は、収集日や収集場所による木質の組成の変動が大きい。即ち、廃建材には、無垢材が多く含まれるものもあれば、合板等の加工材が多く含まれるものもある。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−169188号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、上記の技術は、木質系バイオマスを用いた場合に、特に廃建材を用いた場合に、安定して高収率のエタノールを得ることには対応できていない。
その理由は、発酵阻害物質に対する浸透圧耐性、エタノールの濃度上昇に対する耐性、それにエタノール生成能力といった性質が、酵母の種類によって大きく異なっていることによる。そのため、エタノールの収率が、木質系バイオマスの木質の組成の変動により変動してしまうことによる。
【0011】
例えば、Saccharomyces属に属する酵母はエタノールの生成能力が高いものの、有機酸等の発酵阻害物質への耐性の点ではKluveromyces属に属する酵母の方が優れている場合もある。また、Shizosaccharomyces属に属する酵母には塩類等に対する浸透圧耐性の高いものもある。
また、酵母の種類によっては、合板に含まれる発酵阻害物質により生育やエタノール生成を阻害されるものもあるが、その中には無垢材の加水分解液に対しては高いエタノール生成能力を示すものもある。
木質系バイオマスから酵母を用いて発酵によりエタノールを製造する技術において、高収率のエタノールを安定的に製造するには、特に木質系バイオマスとして廃建材を用いた場合には、木質の組成が変動してもエタノールの収率が高度で維持できることが必要になる。
上記の技術においては、酵母を1種類しか使用していないので、木質の組成の変動によりエタノールの収率が変動してしまうのである。
【0012】
そこで、本発明の課題は、木質系バイオマスから発酵によりエタノールを製造する製造方法において、木質系バイオマスの木質の組成の変動によらず、高収率のエタノールを安定して製造する方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討の結果、木質系バイオマスから発酵によってエタノールを製造する製造方法において、発酵工程でKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用することにより、木質系バイオマスの木質の組成が変動しても、高収率のエタノールを安定して製造することができることを見出した。
つまり、木質系バイオマスの木質の組成の変動に対しては、発酵工程でKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を使用して、その木質系バイオマスの木質の組成に適応した酵母を優先して用いることにより、酵母による糖質の発酵を効果的に行い、酵母のエタノール生成能力を高度で維持し、結果として、高収率のエタノールを安定して製造することが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、発酵工程の前のシード培養の工程で、発酵工程で使用する糖液(木質系バイオマスを加水分解して中和した液)を用いた1つのシード培地に、Kluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合してシード培養することにより、発酵工程で用いる糖液に適した酵母を優先させることができることを見出した。そうして、木質系バイオマスの木質の組成に適応した酵母を優先させることにより、さらに高収率でエタノールを製造することができ、かつ、シード培養漕を複数用意する必要がなくなり、エタノールの製造コストが低減できることを見出した。
【0015】
即ち、本発明の第1の発明は、木質系バイオマスから発酵によってエタノールを製造する製造方法において、発酵工程でKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用することを特徴とするエタノールの製造方法である。
【0016】
本発明の第2の発明は、Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用する請求項1記載のエタノールの製造方法である。
【0017】
本発明の第3の発明は、Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Shizosaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む3種以上の酵母を混合して使用する請求項1又は2記載のエタノールの製造方法である。
【0018】
本発明の第4の発明は、木質系バイオマスが廃建材であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のエタノールの製造方法である。
【0019】
本発明の第5の発明は、発酵工程で使用する糖液を用いた1つのシード培地に2種以上の酵母を混合してシード培養し、そのシード培養液を用いて発酵工程を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のエタノールの製造方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本実施形態の製造方法は、図1に示すように加水分解、中和、シード培養、発酵、エタノール分離・精製の各工程から構成される。
【0021】
(木質系バイオマス)
木質系バイオマスとしては、木材チップや廃建材などが挙げられる。廃建材としては、廃棄木質建材、廃パレット、廃梱包材等が挙げられる。廃建材は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、廃建材には、酢酸、フルフラール、レブリン酸、ギ酸等の木材由来の発酵阻害物質や接着剤、塗料等の化学物質が含まれていても差し支えない。
【0022】
(加水分解工程)
加水分解工程では、従来から公知の酸加水分解法やアルカリ加水分解法を用いることができる。そのなかでも、酸加水分解法が好ましい。酸加水分解法に用いる酸としては、硫酸、塩酸、硝酸などが挙げられるが、硫酸を用いるのが好ましく、特に希硫酸を用いるのが好ましい。
【0023】
(中和工程)
加水分解工程後、酸加水分解法、アルカリ加水分解法を用いた場合には、中和工程が必要である。例えば、酸加水分解法で加水分解した後に中和工程で用いるアルカリとしては、Ca(OH)2、NaOHなどが挙げられるが、比較的安価なCa(OH)2を用いるのが好ましい。
【0024】
(シード培養工程)
本発明に用いられる酵母は、発酵工程の前にシード培地にて培養される。シード培地としては、通常の培地を用いてもよいが、中和工程で中和された加水分解液にコーンスティープリカー(CSL)、尿素、リン酸水素カリウム(KH2PO4)を添加して、pHを5.0に調整したものを用いるとよい。それぞれの添加量は、加水分解液1Lに対し、CSLは1〜10g、尿素は0.1〜1.0g、リン酸水素カリウムは0.05〜0.5gとするとよい。
シード培養は、この培地に酵母の菌株を接種して、好気条件下で行う。エタノール生産酵母としては、公知の酵母を用いることができるが、Kluyveromyces属に属するKluyveromyces marxianus、Saccharomyces属に属するSaccharomyces cerevisiae、Shizosaccharomyces属に属するShizosaccharomyces pombe、Pichia属に属するPichia stipitis、Candida属に属するCandida shehatae等が好適に用いられ、そのなかでも、Kluyveromyces属に属するKluyveromyces marxianus、Saccharomyces属に属するSaccharomyces cerevisiae、Shizosaccharomyces属に属するShizosaccharomyces pombeが特に好適に用いられる。Kluyveromyces marxianusとSaccharomyces cerevisiaeの2者は、比較的高いエタノール生産能力を有する。また、Pichia stipitis、Candida shehataeの2者の酵母は、いずれもグルコースの他にキシロースもエタノールに変換することが知られているが、アルデヒド等の発酵阻害物質に対する耐性は、Kluyveromyces marxianus、Saccharomyces cerevisiae、Shizosaccharomyces pombeに比べると低い。
【0025】
本発明に用いる酵母は、独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NBRC)や財団法人発酵研究所(IFO)、American Type Culture Collection(ATCC)等の微生物寄託機関から分譲により得ることができる。下記に具体的な酵母の菌株の番号をあげる。
Saccharomyces cerevisiae (NBRC−2376)
Shizosaccharomyces pombe (NBRC−0345)
Kluyveromyces marxianus (NBRC−1777)
Candida shehatae (IFO 1983、ATCC 34887)
Pichia stipitis (IFO 1687、ATCC 58376)
【0026】
(発酵工程)
中和工程後、得られた加水分解液は発酵工程に供される。発酵工程では、シード培養工程で培養したKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を加水分解液に混合することにより、これら2種以上の酵母による発酵によってエタノールが生成される。本発明に用いるこの種の酵母は発酵阻害物質に対する浸透圧耐性が細菌より高いので、この種の酵母を用いれば、発酵阻害物質となる接着剤、塗料等の不純物を除去処理することなく、発酵を安定的に進行させることができるという利点がある。また、この種の酵母はエタノールの濃度上昇に対する耐性が細菌より高いので、この種の酵母を用いれば、発酵液中のエタノール濃度を下げるために、加水分解液を予め希釈して糖質濃度を調整することなく、発酵を行うことができるという利点がある。
【0027】
また、本発明においては、Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用すれば、発酵がより効果的に行われる。さらに、Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Shizosaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む3種以上の酵母を混合して使用すれば、発酵がさらに効果的に行われる。
【0028】
木質系バイオマスとして、廃建材を用いた場合、その中に含まれる発酵阻害物質として、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、レブリン酸等の有機酸、フルフラール、5−HMF等のアルデヒド、SO42−、Ca2+、Na+、Cl−等の無機イオン類があり、これらの濃度は廃建材の種類によって変化する。本発明においては、酵母の種類としては、2〜5種類程度混合して使用すれば、こうした発酵阻害物質の濃度の変動に対して、十分な効果が得られ、酵母の種類をそれ以上増やしても、さらなる効果を得られる可能性は低い。同時に使用する酵母の種類を多くしすぎると、むしろ、酵母の管理費用が大きくなり、発酵に関与しない酵母が、他の酵母による発酵を阻害するおそれがあるといったデメリットが生じてくる。
【0029】
(エタノール分離・精製工程)
発酵工程を経て得られた発酵液は、発酵により生成したエタノールを分離・精製する工程に供される。エタノールを分離する方法としては、蒸留、浸透気化膜等の公知の方法が用いられるが、なかでも蒸留が好ましい。また、エタノールを精製する方法としては、蒸留等の公知の方法が用いられる。
【0030】
このように、第1実施形態によれば、発酵工程でKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を使用して、原料の木質の組成に適応した酵母を優先して用いることにより、酵母による糖質の発酵を効果的に行い、酵母のエタノール生成能力を高度で維持し、結果として、高収率のエタノールを安定して製造することが可能となる。また、Saccharomyces属に属する酵母はエタノールの生成能力が高いものの、有機酸等の発酵阻害物質への耐性の点ではKluveromyces属に属する酵母の方が優れていることから、発酵工程でKluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用すると、より高収率のエタノールを安定して製造することが可能となる。さらに、Shizosaccharomyces属に属する酵母には塩類等に対する浸透圧耐性の高いことから、Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Shizosaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む3種以上の酵母を混合して使用すると、さらに高収率のエタノールを安定して製造することが可能となる。
【0031】
[第2の実施形態]
本実施形態の製造方法は、図2に示すように加水分解、中和、シード培養、発酵、エタノール分離・精製の各工程から構成されるが、発酵工程で使用する糖液を用いた1つのシード培地に、Kluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して培養したシード培養液を用いて、加水分解液を発酵させる点において第1の実施形態と異なっている。
【0032】
本実施形態によれば、第1実施形態で得られる効果に加えて、以下のような効果が得られる。即ち、発酵工程で用いる糖液に適した2種以上の酵母を優先してシード培養するので、1つのシード培地に1種の酵母を培養して、発酵工程においてKluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合する場合に比べて、より高収率でエタノールを製造することができ、かつ、シード培養漕を複数用意する必要がなくなり、エタノールの製造コストが低減できる。
【0033】
【実施例】
[実験条件]
(原料となる廃建材の加水分解液)
まず、本実施例に用いる下記の7種の廃建材を用意した。
模擬建材(1):杉40%、米松30%、米栂20%、ラワン合板10%の比率で混合した混合材
模擬建材(2):杉22%、米松17%、米栂11%、ラワン合板50%の比率で混合した混合材
実廃建材(1)〜(5):中間処理業者から譲り受けた廃建材サンプル(燃料用)5種類
これら7種の廃建材を1.5質量%の希硫酸を使って150℃、10分間で2段階に分けて加水分解した後、ろ過によって残渣を除去した。そして、これら7種の加水分解液を水酸化カルシウムで中和した液を、各実施例、比較例に用いた。実施例1及び2、比較例1及び2においては、模擬建材(1)及び(2)、並びに、実廃建材(1)〜(3)の5種の建材を用いた。また、実施例3及び4、比較例3〜5においては、模擬建材(1)及び(2)、並びに、実廃建材(1)〜(5)の7種の建材を用いた。
【0034】
得られた加水分解液については、発酵阻害物質の除去や糖質濃度の調節、糖質の分離等の処理は行わず、そのまま各実施例、各比較例の発酵工程に供した。
加水分解液中の糖質濃度は、下記の条件の液体クロマトグラフィーにて測定した。
糖質濃度分析:液体クロマトグラフィー(HPLC)
使用機種:D−7000型(日立製作所製)
カラム:HPX−87P(BIO−RAD製)
7種の廃建材の加水分解液(中和後)の組成を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
(発酵培地の調製)
発酵培地には、上記7種の廃建材の各々の加水分解液(中和後)1Lに対し、栄養源として、CSL(SIGMA社製)5g、尿素(純正化学社製)0.8g、リン酸水素カリウム(純正化学社製)0.2g添加した後に、pHを5.0に調整したものを用いた。
【0037】
(菌株)
本実施例に用いる酵母は、独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NBRC)から分譲された下記の菌株を使用した。(カッコ内は菌株No.)
Saccharomyces cerevisiae (NBRC−2376)
Shizosaccharomyces pombe (NBRC−0345)
Kluyveromyces marxianus (NBRC−1777)
【0038】
(シード培養工程)
シード培地には、上記7種の廃建材の各々の加水分解液(中和後)1Lに対し、栄養源として、CSL(SIGMA社製)5g、尿素(純正化学社製)0.8g、リン酸水素カリウム(純正化学社製)0.2g添加した後に、pHを5.0に調整したものを用いた。
シード培養は、前記シード培地50mLを200mLフラスコに入れ、その培地にスラントから取り出した菌株を1白金耳接種し、好気条件下、30℃、100rpmで20時間行った。
【0039】
(発酵工程)
前記方法で得た発酵培地50mLを200mLフラスコに入れ、シード培地で酵母を培養したシード培養液を5質量%接種し、好気条件下、30℃、100rpmで20時間発酵を行った。
【0040】
発酵終了後、溶液中のエタノール収量(g)を下記の条件のガスクロマトグラフィーにより、また、糖質濃度(g/L)を上記と同様に液体クロマトグラフィーにより測定した。
エタノール収量の分析:ガスクロマトグラフィー(GC)
使用機種:GC353B(ジーエルサイエンス製)
カラム:CP−WAX52CB(VARIAN製)
また、測定したエタノール収量(g)を液量(L)で割り算してエタノール濃度(g/L)を求めた。
【0041】
また、以下の式(I)により、発酵後のエタノール発酵率(%)を求めた。
発酵後のエタノール発酵率(%)=(発酵後のエタノール濃度(g/L))/(シード培地中のグルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクト−ス濃度の合計値(g/L))/0.51×100 (I)
なお、式(I)において、0.51は係数で、糖質が発酵反応により完全にエタノールと二酸化炭素に変化する際における生成するエタノールの糖質に対する質量比である。
【0042】
[実施例1]
上記のように、原料となる5種の廃建材の加水分解液を調整して、発酵培地とシード培地を用意した。この例では、1つのシード培地に2種の酵母:Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)を接種してシード培養し、得られたシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表2及び図3に示す。
【0043】
[実施例2]
この例では、2種の酵母:Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)のそれぞれ1種ずつを1つのシード培地に接種して培養し、2種のシード培養液を発酵培地に2.5質量%ずつ接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表2及び図3に示す。
【0044】
[比較例1]
この例では、Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)をシード培養し、このシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表2及び図3に示す。
【0045】
[比較例2]
この例では、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)をシード培養し、このシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表2及び図3に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
実施例1と比較例1〜2を比べることにより、2種の酵母を混合することにより、原料の木質の変動によらず、安定した発酵率を得ることができたことが分かる。また、実施例2と比較例1〜2を比べることにより、2種の酵母を混合することにより、原料の木質の変動によらず、安定した発酵率を得ることができたことが分かった。
【0048】
比較例1、2の2者を比べることにより、Kluyveromyces marxianusは比較的発酵率が安定しているが、阻害物質の濃度が低い場合には、Saccharomyces cerevisiaeの方がKluyveromyces marxianusよりも発酵率が高いことが分かった。
【0049】
実施例1と実施例2とを比べることにより、シード培養工程において2種の酵母を混合するほうが、発酵工程において初めて2種の酵母を混合するよりも、より高い発酵率を得られることが分かった。
【0050】
[実施例3]
上記のように、原料となる7種の廃建材の加水分解液を調整して、発酵培地とシード培地を用意した。この例では、1つのシード培地に3種の酵母:Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)、Shizosaccharomyces pombe(NBRC−0345)を接種してシード培養し、得られたシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表3及び図4に示す。
【0051】
[実施例4]
この例では、3種の酵母:Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)、Shizosaccharomyces pombe(NBRC−0345)のそれぞれ1種ずつを1つのシード培地に接種して培養し、3種のシード培養液を発酵培地に1.7質量%ずつ接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表3及び図4に示す。
【0052】
[比較例3]
この例では、Kluyveromyces marxianus(NBRC−1777)をシード培養し、このシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表3及び図4に示す。
【0053】
[比較例4]
この例では、Saccharomyces cerevisiae(NBRC−2376)をシード培養し、このシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表3及び図4に示す。
【0054】
[比較例5]
この例では、Shizosaccharomyces pombe(NBRC−0345)をシード培養し、このシード培養液を発酵培地に5質量%接種し、加水分解液を発酵させた。この例による発酵後のエタノール発酵率を表3及び図4に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
実施例3と比較例3〜5を比べることにより、3種の酵母を混合することにより、原料の木質の変動によらず、安定した発酵率を得ることができたことが分かる。また、実施例4と比較例3〜5を比べることにより、3種の酵母を混合することにより、原料の木質の変動によらず、安定した発酵率を得ることができたことが分かった。
【0057】
比較例3、4、5の3者を比べることにより、Kluyveromyces marxianusは比較的発酵率が安定しているが、阻害物質の濃度が低い場合には、Saccharomyces cerevisiae、Shizosaccharomyces pombeの方がKluyveromyces marxianusよりも発酵率が高いことが分かった。
【0058】
実施例3と実施例4とを比べることにより、シード培養工程において3種の酵母を混合するほうが、発酵工程において初めて3種の酵母を混合するよりも、より高い発酵率を得られることが分かった。
【0059】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明のエタノールの製造方法を用いれば、木質系バイオマスの木質の組成の変動によらず、高収率のエタノールを安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るエタノール製造方法の工程図である。
【図2】第2実施形態に係るエタノール製造方法の工程図である。
【図3】原料の廃建材の変動に対する本発明のエタノール製造方法によるエタノール発酵率を表すグラフの一例である。
【図4】原料の廃建材の変動に対する本発明のエタノール製造方法によるエタノール発酵率を表すグラフのもう一つの例である。
Claims (5)
- 木質系バイオマスから発酵によってエタノールを製造する製造方法において、
発酵工程で、Kluyveromyces属又はSaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用することを特徴とするエタノールの製造方法。 - Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む2種以上の酵母を混合して使用する請求項1記載のエタノールの製造方法。
- Kluyveromyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Saccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母と、Shizosaccharomyces属に属する少なくとも1種の酵母を含む3種以上の酵母を混合して使用する請求項1又は2記載のエタノールの製造方法。
- 木質系バイオマスが廃建材であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のエタノールの製造方法。
- 発酵工程で使用する糖液を用いた1つのシード培地に2種以上の酵母を混合してシード培養し、そのシード培養液を用いて発酵工程を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のエタノールの製造方法。
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JP2003206601A Withdrawn JP2005052020A (ja) | 2003-08-07 | 2003-08-07 | エタノールの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005052020A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009178064A (ja) * | 2008-01-29 | 2009-08-13 | National Research Inst Of Brewing | エタノールの製造方法 |
JP2011037719A (ja) * | 2009-08-06 | 2011-02-24 | Nippon Rensui Co Ltd | バイオエタノールの精製方法及びバイオエタノールの精製装置 |
JP2011167096A (ja) * | 2010-02-17 | 2011-09-01 | Kobe Univ | バイオマスからのエタノールの生産方法 |
-
2003
- 2003-08-07 JP JP2003206601A patent/JP2005052020A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009178064A (ja) * | 2008-01-29 | 2009-08-13 | National Research Inst Of Brewing | エタノールの製造方法 |
JP2011037719A (ja) * | 2009-08-06 | 2011-02-24 | Nippon Rensui Co Ltd | バイオエタノールの精製方法及びバイオエタノールの精製装置 |
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