JP2005050603A - 端子固定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】端子取付部に端子を容易かつ確実に接続固定することができ、しかも複数の端子の接続を高能率に行うことができる端子固定方法を提供する。
【解決手段】挿通孔25を有する端子取付部20に、挿通孔25の両側で板厚方向に突出した係合部22a,22bを設け、挿通孔37を有する端子30には、挿通孔37の両側で係合部22a,22bと係合する係止部38a,38bを設け、端子取付部20に端子30を半嵌合状態で嵌合させることで、双方の挿通孔25,37を連ねる連通孔48を形成させ、この連通孔48に端子固定用の治具棒を押し入れることにより、係合部22a,22bに係止部38a,38bを係合させ、端子取付部20に端子30を接続固定させる。複数の端子取付部20を、導電性基板に対向状態で並列に起立させ、治具棒を連通孔48に串刺し状に押し入れる。
【選択図】 図2
【解決手段】挿通孔25を有する端子取付部20に、挿通孔25の両側で板厚方向に突出した係合部22a,22bを設け、挿通孔37を有する端子30には、挿通孔37の両側で係合部22a,22bと係合する係止部38a,38bを設け、端子取付部20に端子30を半嵌合状態で嵌合させることで、双方の挿通孔25,37を連ねる連通孔48を形成させ、この連通孔48に端子固定用の治具棒を押し入れることにより、係合部22a,22bに係止部38a,38bを係合させ、端子取付部20に端子30を接続固定させる。複数の端子取付部20を、導電性基板に対向状態で並列に起立させ、治具棒を連通孔48に串刺し状に押し入れる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周辺機器や機能部品等から引き出された電線の端末部に接続された端子を、車体の接地部に固定される端子用アダプタ等の端子取付部に接続固定するための端子固定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8及び図9は、この種の端子固定方法に関連する技術の一例を示したものである(特許文献1)。
【0003】
図8に示された端子51は、二枚を組み合わせて用いる、いわゆる組合せ端子である。この端子51は、分岐回路やアース回路を構成するためのものである。各端子52,53は、中央部に図示しない雄ねじ端子や取付ねじを挿通させるための挿通孔54,55を有する板状の電気接触部56,57と、電線70,71を圧着するための電線接続部58,59を有し、互いが略対称に形成されている。
【0004】
一方の端子52は、挿通孔54の両側に下向きに突出した係止段部60a,60bを有している。係止段部60a,60bは、その両側に一対のスリット61を有しており、両スリット61の間に位置する部分が突出片62a,62bを成している。係止段部60a,60bの片側に位置する基板部63には、弾性の係止片64が下向きに傾斜して設けられている。
【0005】
他方の端子53は、挿通孔55の両側に上向きに突出した係合段部65a,65bを有している。係止段部60a,60bと係合段部65a,65bは、それぞれ反対方向に突出しており、互い違いになっている。係合段部65a,65bの両側には、一対のスリット66が形成されており、両スリット66の間に位置する部分が突出片67a,67bを成している。一方の端子52と他方の端子53の突出片62a,62b,67a,67bは、面接触状態で重合する。係合段部65a,65bの片側に位置する基板部68には、係止片64に対する係止孔69が形成されている。
【0006】
図9に示すように、双方の端子52,53を組み合わせて接続するには、他方の端子53の係合段部65a,65bの内側に、一方の端子52の係止段部60a,60bをスライドさせながら入り込ませて接続する(嵌合させる)。すなわち、双方の端子52,53は、互いに噛み合う形状に形成されているため、ボルトやナットを用いることなく接続固定される。また、一方の端子52の係止片64が、他方の端子53の係止孔59の縁部に引っかかることで、双方の端子52,53の抜け外れが防止されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−23707(第2頁、図5,図6)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の端子固定方法では、解決すべき以下の問題点がある。
【0009】
双方の端子52,53の接続を、ボルトとナットを用いることなく、係止段部60a,60bと係合段部65a,65bとを相互に噛み合わせることで行うことができるが、この方法は、噛み合わせが緩いと双方の端子52,53が抜け外れる心配があるゆえ、隙間無く緊密に噛み合うように設計されている。このため、双方の端子52,53を噛み合わせる際には、大きなスライド挿入力が必要になり、双方の端子52,53を容易に接続することができないという問題がある。
【0010】
また、車体パネルのアースポイントに固定されて、複数の端子を共通接続する端子用アダプタ(図示せず)にあっては、複数の端子を一括し接続することができないため、複数の端子を一つずつ接続しなければならず、端子の接続作業に時間を要し、作業能率が良くないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記した点に鑑み、端子取付部に端子を容易かつ確実に接続固定することができ、しかも複数の端子の接続を高能率に行うことができる端子固定方法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、挿通孔を有する端子取付部には、該挿通孔の両側で板厚方向に突出した係合部が設けられ、挿通孔を有する端子には、該挿通孔の両側で該係合部と係合する係止部が設けられ、該端子取付部に該端子を半嵌合状態で嵌合させることで、双方の該挿通孔を連ねた連通孔を形成させ、該連通孔に端子固定用の治具棒を押し入れることにより、該係合部に該係止部を係合させ、該端子取付部に該端子を完全嵌合で接続固定させることを特徴とする。
上記構成によれば、端子取付部と端子の双方の挿通孔を連ねる連通孔に、端子固定用の治具棒を連通孔を押し拡げるようにして押入することで、端子がスライドして、端子取付部の係止部の内側に端子の係合部が入り込み、係止部と係合部とが噛み合って、端子取付部に端子が接続固定される。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の端子固定方法において、複数の前記端子取付部を、導電性基板に対向状態で並列に起立させたことを特徴とする。
上記構成によれば、複数の端子取付部が対向した状態で起立しているから、端子固定用の治具棒を連通孔に串刺し状に押し入れることで、複数の端子が端子取付部に同時に接続固定される。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の端子固定方法において、前記治具棒の先細部で前記連通孔を押し拡げつつ、該先細部に続く差込部を該連通孔に挿入することを特徴とする。
上記構成によれば、連通孔に対して治具棒の位置合わせを行い、そして、治具棒の先細部を連通孔に押し入れることで、連通孔が押し拡がり、治具棒の差込部が端子をスライドさせて、端子取付部に端子が接続固定される。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の端子固定方法において、前記差込部の長さを、複数の前記端子取付部を横断貫通する長さと略同等の長さに形成したことを特徴とする。
上記構成によれば、治具棒の差込部の長さが、複数の端子取付部を横断貫通する長さと略同等の長さに形成されているから、同軸上に位置する複数の端子取付部を治具棒が串刺し状に貫通し、端子取付部に複数の端子を同時に接続固定することができる。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の端子固定方法において、前記冶具棒が操作部を備えていて、該操作部に前記端子取付部に係止される係止腕を設けたことを特徴とする。
上記構成によれば、端子取付部に端子が接続固定された際に、冶具棒が係止腕により端子取付部に係止され、冶具棒が不用意に抜け出すことが防止される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明に係る端子固定方法の一実施形態において、アース端子(端子)30を端子用アダプタ10に接続固定した状態を示すものである。
【0018】
電線付きのアース端子30は、端子用アダプタ10の基板12から対向して起立する4つの端子取付部20(第1の取付部20a、第2の取付部20b、第3の取付部20c、第4の取付部20d)にそれぞれ接続固定されている。端子取付部20は、端子用アダプタ10の幅方向に並列に配設されている。隣り合う端子取付部20の間隔は、隣り合うアース端子30が相互干渉せず、余分な空きスペースが生じない程度の間隔に設定されている(図1)。
【0019】
端子取付部20とアース端子30との接続は、従来技術の欄で示したボルト60及びナット61を用いることなく、端子取付部20の係合段部(係合部)22a,22bの内側にアース端子30の係止段部(係止部)38a,38bを入り込ませることで、係合段部22a,22bと係止段部38a,38bとが相互に噛み合って接続固定されるようになっている(図2)。
【0020】
係合段部22a,22bと係止段部38a,38bとを噛み合わせる際には、端子固定用の押入治具44(治具棒44)を用いて行う。図6に示すように、押入治具44は、全体として見れば略T字状を成しており、作業者が把持する板状の操作部44aと、操作部44aの中間部に交差して連なる円柱状の差込部45bと、差込部45bの先端側に続く円錐テーパ状の先細部45aとを備えている。先細部45aと差込部45bとにより挿入部45が構成されている。
【0021】
差込部45bの長さbは、基板12から起立連設された4つの端子取付部20を横断貫通する長さa(図1)と略同等の長さに設定されている。これにより、4つのアース端子30が同時に端子取付部20に接続固定されるようになっている。
【0022】
押入治具44を用いて、アース端子30と端子取付部20とを接続固定するには、図5に示すように、アース端子30を端子取付部20に半嵌合状態に仮固定して行う。半嵌合状態においては、端子取付部20の挿通孔25とアース端子30の挿通孔37とが一部重なり合って長円状の連通孔48が形成されるゆえ、この連通孔48に押入治具44の挿入部45を先端側の先細部45aから徐々に押し込み、連通孔48をアース端子30のスライド方向に拡げることで、アース端子30が下向きにスライドして、端子取付部20の係合段部22a,22bの内側にアース端子30の係止段部38a,38bが入り込み、端子取付部20にアース端子30が接続固定されるようになっている。
【0023】
図7には、図6の押入冶具44の変形例が示されている。押入冶具44と共通する構成部分については、同一符号を付して説明する。図6の押入冶具44と図7の押入冶具44′との相違する点は、操作部44aの両側に一対の係止腕80,80が設けられた点である。係止腕80は、押入冶具44′を端子取付部20に係止させるためのものであり、腕部81と、腕部81の先端側に形成された爪部82からなっている。
【0024】
腕部81は、挿入部45の突出方向と同方向に突出している。爪部82は、傾斜面82aと係止面82bとからなっている。押入冶具44′は、傾斜面82aによりガイドされて、係止面82bにより端子取付部20の縁部に係止されるようになっている。一対の可撓係止腕80,80の間隔は、端子取付部20の幅寸法又は高さ寸法と同程度の寸法に形成されており、一対の可撓係止腕80,80の間に端子取付部20が挟まれる格好になっている。
【0025】
押入治具44′を用いたアース端子30の固定は、図6の場合と略同様の方法で行われる。図6の場合と相違する点は、上述したように、一対の可撓係止腕80,80で端子取付部20を挟み、押入冶具44′を端子取付部20に係止させる点である。押入冶具44′を係止させることで、アース端子30が端子取付部20に二重係止され、アース端子30の抜けが防止される。また、基板12に重ねられた重合部27の締結前に、重合部27が基板12から浮き上がることも防止され、後に行われる締付ボルト46の締結作業性が向上する。
【0026】
なお、アースポイントに固定される端子用アダプタ10に端子取付部20を起立する代わりに、従来技術の欄で説明した相手方(他方)の端子を端子取付部とし、2枚の端子を組み合わせて電源の分岐等を行うようにしてもよい。この場合も、押入治具棒を2枚の端子の連通孔に押入することにより、大きな力を必要とすることなく、2枚の端子の接続を簡単に行うことができる。
【0027】
次に、従来技術の欄の端子51の説明と一部重複するが、図3に基づいて、端子用アダプタ10の端子取付部20に接続固定されるアース端子30について詳細に説明することとする。
【0028】
アース端子30は、端子用アダプタ10を介して図示しない車体パネルのアースポイントに接続される電線端子(JIS D5403)であり、自動車用丸形板端子(LA)として広く知られている。アース端子30の形状には、丸形以外に横丸形(LB)やくわ形(LE)等もある。
【0029】
このようなアース端子30は、2枚重ねでアースポイントに接続される組合せ端子の一方の端子に相当する。他方の端子は、後述する端子用アダプタ10の端子取付部20(図4)に相当し、アース端子30と相互に噛み合う形状に形成されている。
【0030】
アース端子30は、中央部に略矩形状の挿通孔37を有する電気接触部35と、電気接触部35の長手方向に直交する方向に続く電線接続部43とを備えている。電気接触部35は、一対の基板部31と、一対の基板部31の間でその板厚方向に突出し、挿通孔37の両側に位置する一対の係止段部(係止部)38a,38bと、片側の基板部31に設けられた係止片39とを備えている。
【0031】
挿通孔37は、略矩形状に形成されている。この挿通孔37は、アース端子30を端子取付部20に本締めするために、図示しない締付ねじを挿通させる孔である。これにより、自動車の振動などによるアース端子30の抜けが防止され、端子取付部20にアース端子30が確実に固定される。
【0032】
アース端子30の電気接触部35と電線接続部43は、略L字状を成して交差している。これは、二枚一組で用いられる組合せ端子を重ね合わせた際に、電線接続部43同士が相互干渉しないようにするためである。本実施の形態では、電線接続部43を有するのは一方のアース端子30だけであるから、必ずしも電線接続部43と電気接触部35とを略L字状に交差させる必要はなく、たとえば電気接触部35の中央部に電線接続部43を連ねるようにし、アース端子30を略T字状に形成してもよい。
【0033】
アース端子30の一対の基板部31の表面32aは、略平坦面に形成されている。このため、基板部31は相手側の端子取付部20の裏面21bと面接触状態で重なり合い、接触部において接触抵抗が高くなり発熱することが防止されている。なお、表面32aを電線接続部43の突出する側の面と定めることとし、裏面32bをその反対側の面と定めることとする。
【0034】
係止段部38a,38bは、基板部31に対して裏面32b向きに突出している。係止段部38a,38bの突出方向は、端子取付部20(図4)の係合段部22a,22bの突出方向に応じて定まっている。すなわち、係止段部38a,38bと係合段部22a,22bの突出方向は、それぞれが互い違いに突出している。このように、係止段部38a,38bの突出方向と係合段部22a,22bの突出方向とを互い違いにすることで、係合段部22a,22bの内側に係止段部38a,38bが入り込み、相互に噛み合って接続するようになっている。
【0035】
前述したように、係止段部38a,38bは、アース端子30のスライド方向の前後に位置し、挿通孔37の両側に一対設けられている。そして、各係止段部38a,38bの先端側には、係合段部22a,22bのスリット26に対応するスリット40が形成されている。
【0036】
一対の基板部31の内、片側の基板部31に形成された係止片39は、片持ち梁状の弾性片である。係止片39は、付け根部から先端部にかけて基板部31の裏面32bに向かって漸次傾斜し、先端部が裏面32bから突出している。この係止片39が、相手側である端子取付部20の係止孔23(図4)に係合することにより、アース端子30が端子取付部20に係止され、後抜けすることが防止されている。なお、一対の係止段部38a,38bに凸部を設け、端子取付部20の係合段部22a,22bに凹部を設けて、凸部と凹部とを噛み合わせて係止する構成としてもよい。
【0037】
電気接触部35に傾斜壁41を介して続く電線接続部43は、一側寄りに形成されているが、アース端子30の接続に支障のない場合には、向きを変えて他方の側に電線接続部43を設けてもよく、また、前述したように略T字状になるように設けてもよい。
【0038】
電線接続部43は、前後に各一対の圧着片43a,43bを備えて構成されている。前側の圧着片43aには電線47の芯線部47aが圧着され、後側の圧着片43bには電線47の被覆部47bが圧着されるようになっている。
【0039】
圧着片43a,43bと電線47との圧着方式には種々の方式があるが、本実施の形態ではいわゆるB型圧着方式を採用している。B型圧着方式によれば、圧着片43a,43bと電線47とが緊密に圧着されて、接続不良を防止することができる利益がある。また、電線47に引張力が作用した場合であっても、電線47の後抜けを防止でき、接続信頼性を維持することができる利益もある。
【0040】
次に、図4に示す端子用アダプタ10について詳細に説明する。端子用アダプタ10は、図示しない車体パネルのアースポイントに固定される本体固定部11と、本体固定部11に続くアダプタ本体15とを備え、導電性金属板を打ち抜き、折り曲げ加工することにより一体的に形成されている。本体固定部11とアースポイントは、本体固定部11の固定孔12aに挿通された締付ボルト46をアースポイントの図示しない孔部に螺合することにより固定される。
【0041】
本体固定部11は、平板状の基板12と、締付ボルト46を挿通させるための固定孔12aとを備えており、端子用アダプタ10の一側端部に形成されている。本体固定部11の表裏両面は、平坦面に形成され、先端側は半円弧状をなし(図1)、自動車用丸形板端子(LA)と略同一形状に形成されている。固定孔12aは、締付ボルト46の外径より一回り大きい孔径に形成されている。
【0042】
アダプタ本体15は、本体固定部11と同一面で連続する基板16と、基板16から垂直に起立する複数の端子取付部20とを備えており、端子用アダプタ10の他側端部に形成されている。
【0043】
本実施形態のアダプタ本体15には、4つのアース端子30に対する4つの端子取付部20が設けられており、各端子取付部20が対向状態で基板16の幅方向に一列に配設されている。すなわち、端子取付部20は、基板16の幅方向両側の端部に形成された第1、第2の取付部20a,20bと、基板16の幅方向両側の端部の間に形成された第3、第4の取付部20c,20dとからなっている(図1)。
【0044】
前述したように、端子取付部20は、アース端子30の電気接触部35と噛み合う形状に形成されている。また、端子取付部20の中央部には、本締め用の図示しない締付ねじを挿通させるための挿通孔25(図4)が形成されている。複数の端子取付部20は一列に配設されているから、複数の端子取付部20の挿通孔25は、同軸上に位置している。
【0045】
端子取付部20は、挿通孔25の両側に対向して位置する一対の取付基板部21と、一対の取付基板部21の間に位置し、かつ、挿通孔25の両側に位置する一対の係合段部22a,22bと、片側の取付基板部21に形成された係止孔23と、取付基板部21の側部に設けられたストッパー28とからなっている。
【0046】
取付基板部21の表面21aは、平坦面に形成されており、アース端子30の裏面32bと面接触状態で重なり合うようになっている。このため、接触部において接触抵抗が高くなり発熱等を生じることが防止され、電気的接続の信頼性が維持されている。
【0047】
係合段部22a,22bは、取付基板部21の板厚方向に段状に突出している。このため、係合段部22a,22bの内側には凹部が形成されている。また、係合段部22a,22bの先端部の両側には、一対のスリット26が形成されている。このため、アース端子30は、係合段部22a,22bのスリット26に挟まれ、そしてアース端子30の係止段部38a,38bと係合段部22a,22bとが重なり合った状態で係合するようになっている。
【0048】
係止孔23は、アース端子30の係止片39(図3)と対応する位置に形成されている。アース端子30の係止片39は裏面32bに向かって漸次傾斜しており、その先端は裏面32bから突出しているゆえ、アース端子30を端子取付部20に接続させると、係止片39が係止孔23の縁部に引っかかり、アース端子30の抜け出しが防止されるようになっている。
【0049】
ストッパー28の構成については、別出願で詳細に説明しているため、本出願では説明を省略することとする。なお、このようなストッパー28を設けることで、アース端子30の振れが防止されて、端子取付部20に対するアース端子30の接続作業性が向上する。
【0050】
基板16の両端部の間に位置する第3の取付部20c及び第4の取付部20d(図3)は、アダプタ本体15の長手方向に延長した折り返し部18を折り返して基板16に重ねることにより、第1の取付部20a及び第2の取付部20bと一列に配列されるようになっている。すなわち、基板16よりも幅狭に打ち抜き形成された折り返し部18には、その両端部に端子取付部20c,20dが下向きに折り曲げて形成されているが、折り返し部18を180°折り曲げることで、各端子取付部20a,20b,20c,20dが一列に配列されるようになっている。
【0051】
各取付部20a,20b,20c,20dは、同一方向に並べることで、各端子取付部20a,20b,20c,20dに接続されるアース端子30の電線接続部43の相互干渉が回避されて、空きスペースを作ることなくアース端子30を密集した状態で並べることができるようになっている。
【0052】
なお、折り返し部18の構成についても、別出願で詳細に説明しているため、本出願では説明を省略することとする。なお、このような折り返し部18を設けることで、基板12,16の板厚(図5)が2倍になり、端子用アダプタ10の変形等を防止することができ、端子用アダプタ10の強度を向上することができる。
【0053】
次に、上記構成の作用について説明する。
アース端子30を、端子用アダプタ10の端子取付部20の真上に配置し、アース端子30の係止段部38a,38bが並ぶ方向にスライドさせ、端子取付部20に半嵌合状態で仮固定する。この際、端子取付部20とアース端子30の双方の挿通孔25,37が一部重なり合って、長円状の連通孔48が形成される。
【0054】
次に、この連通孔48に端子固定用の治具棒45を先端部から徐々に押し込み、連通孔48を押し拡げる。治具棒45をさらに深く押し込み、治具棒45の差込部45bを連通孔48に挿入する。そうすると、治具棒45を押し込むと同時にアース端子30が下方にスライドして、アース端子30の係止段部38a,38bが係合段部22a,22bの凹部の内側に入り込み、係合段部22a,22bのスリット26にアース端子30が挟まれ、面接触した状態で接続が行われる。
【0055】
なお、端子用アダプタ10に対する4つのアース端子30の接続は、端子用アダプタ10をアースポイントに固定した後に行うのが好ましく、このようにすることでアース端子30の接続作業性が向上する。端子用アダプタ10とアースポイントの固定は、締付ボルト46をアースポイントに螺合することにより行われ、端子用アダプタ10の本体固定部11がアースポイントと締付ボルト46の双方の間に挟まれて挟着固定される。
【0056】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、端子取付部と端子の双方の挿通孔を連ねる連通孔に、端子固定用の治具棒を押入することで、連通孔が押し拡げられて、端子がスライドし、端子取付部の係合部の内側に端子の係止部が入り込み、係合部と係止部とが噛み合って、端子取付部に端子が接続固定される。
従って、端子取付部に複数の端子を容易かつ確実に接続固定することができ、端子の接続作業性が向上する。
【0057】
また、請求項2記載の発明によれば、複数の端子取付部を対向した状態で並列に起立することで、複数の端子取付部と複数の端子とを連ねる連通孔に端子固定用の治具棒が押入する。従って、複数の端子が端子取付部に同時に接続固定され、高能率に端子の接続作業を行うことができる。
【0058】
また、請求項3記載の発明によれば、連通孔の孔入口から治具棒の先細部を入れ、さらに深く押し入れることで、治具棒の差込部が連通孔を押し拡げ、そして端子がスライドし、端子取付部に端子が接続固定される。従って、連通孔に治具棒を押し入れるだけで、端子を端子取付部に容易に接続固定することができ、請求項1記載の発明と同等の効果を奏する。
【0059】
また、請求項4記載の発明によれば、治具棒の差込部の長さを、複数の端子取付部を横断貫通する長さと略同等の長さに形成することで、同軸上に位置する複数の端子が同時に端子取付部に接続固定される。従って、端子の接続作業性が向上し、請求項2記載の発明と同等の効果を奏する。
【0060】
また、請求項5記載の発明によれば、冶具棒の操作部に係止腕が設けられているから、端子取付部に端子が接続固定された際に、冶具棒が係止腕により端子取付部に係止され、冶具棒が不用意に抜け出すことが防止される。従って、係止手段と冶具棒とにより、端子を二重係止することができ、端子の抜けを確実に防止することができる。また、基板から重合部が浮き上がることも防止されて、締付ボルトの締結作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る端子固定方法の一実施形態において、端子用アダプタの端子取付部に端子を接続固定した状態の平面図である。
【図2】図1に示す端子用アダプタの端子取付部に端子を接続固定した状態の側面図である。
【図3】同じく端子用アダプタの端子取付部を示す側面図である。
【図4】同じく端子用アダプタの端子取付部に接続固定されるアース端子を示す斜視図である。
【図5】同じく端子用アダプタの端子取付部とアース端子の半嵌合状態を示す側面図である。
【図6】同じく端子用アダプタの端子取付部にアース端子を接続固定する端子固定用の押入治具棒を示す斜視図である。
【図7】押入冶具の変形例を示す斜視図である。
【図8】従来の端子固定方法の一例において、双方の端子の接続前の状態を示す平面図である。
【図9】図7に示す双方の端子を接続した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
10 端子用アダプタ
11 本体固定部
12 基板
15 アダプタ本体
18 折り返し部
20 端子取付部
22a,22b 係合段部(係合部)
25,37 挿通孔
28 ストッパー
30 アース端子(端子)
35 電気接触部
38a,38b 係止段部(係止部)
43 電線接続部
44,44′ 押入治具(冶具棒)
47 電線
48 連通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、周辺機器や機能部品等から引き出された電線の端末部に接続された端子を、車体の接地部に固定される端子用アダプタ等の端子取付部に接続固定するための端子固定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8及び図9は、この種の端子固定方法に関連する技術の一例を示したものである(特許文献1)。
【0003】
図8に示された端子51は、二枚を組み合わせて用いる、いわゆる組合せ端子である。この端子51は、分岐回路やアース回路を構成するためのものである。各端子52,53は、中央部に図示しない雄ねじ端子や取付ねじを挿通させるための挿通孔54,55を有する板状の電気接触部56,57と、電線70,71を圧着するための電線接続部58,59を有し、互いが略対称に形成されている。
【0004】
一方の端子52は、挿通孔54の両側に下向きに突出した係止段部60a,60bを有している。係止段部60a,60bは、その両側に一対のスリット61を有しており、両スリット61の間に位置する部分が突出片62a,62bを成している。係止段部60a,60bの片側に位置する基板部63には、弾性の係止片64が下向きに傾斜して設けられている。
【0005】
他方の端子53は、挿通孔55の両側に上向きに突出した係合段部65a,65bを有している。係止段部60a,60bと係合段部65a,65bは、それぞれ反対方向に突出しており、互い違いになっている。係合段部65a,65bの両側には、一対のスリット66が形成されており、両スリット66の間に位置する部分が突出片67a,67bを成している。一方の端子52と他方の端子53の突出片62a,62b,67a,67bは、面接触状態で重合する。係合段部65a,65bの片側に位置する基板部68には、係止片64に対する係止孔69が形成されている。
【0006】
図9に示すように、双方の端子52,53を組み合わせて接続するには、他方の端子53の係合段部65a,65bの内側に、一方の端子52の係止段部60a,60bをスライドさせながら入り込ませて接続する(嵌合させる)。すなわち、双方の端子52,53は、互いに噛み合う形状に形成されているため、ボルトやナットを用いることなく接続固定される。また、一方の端子52の係止片64が、他方の端子53の係止孔59の縁部に引っかかることで、双方の端子52,53の抜け外れが防止されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−23707(第2頁、図5,図6)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の端子固定方法では、解決すべき以下の問題点がある。
【0009】
双方の端子52,53の接続を、ボルトとナットを用いることなく、係止段部60a,60bと係合段部65a,65bとを相互に噛み合わせることで行うことができるが、この方法は、噛み合わせが緩いと双方の端子52,53が抜け外れる心配があるゆえ、隙間無く緊密に噛み合うように設計されている。このため、双方の端子52,53を噛み合わせる際には、大きなスライド挿入力が必要になり、双方の端子52,53を容易に接続することができないという問題がある。
【0010】
また、車体パネルのアースポイントに固定されて、複数の端子を共通接続する端子用アダプタ(図示せず)にあっては、複数の端子を一括し接続することができないため、複数の端子を一つずつ接続しなければならず、端子の接続作業に時間を要し、作業能率が良くないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記した点に鑑み、端子取付部に端子を容易かつ確実に接続固定することができ、しかも複数の端子の接続を高能率に行うことができる端子固定方法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、挿通孔を有する端子取付部には、該挿通孔の両側で板厚方向に突出した係合部が設けられ、挿通孔を有する端子には、該挿通孔の両側で該係合部と係合する係止部が設けられ、該端子取付部に該端子を半嵌合状態で嵌合させることで、双方の該挿通孔を連ねた連通孔を形成させ、該連通孔に端子固定用の治具棒を押し入れることにより、該係合部に該係止部を係合させ、該端子取付部に該端子を完全嵌合で接続固定させることを特徴とする。
上記構成によれば、端子取付部と端子の双方の挿通孔を連ねる連通孔に、端子固定用の治具棒を連通孔を押し拡げるようにして押入することで、端子がスライドして、端子取付部の係止部の内側に端子の係合部が入り込み、係止部と係合部とが噛み合って、端子取付部に端子が接続固定される。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の端子固定方法において、複数の前記端子取付部を、導電性基板に対向状態で並列に起立させたことを特徴とする。
上記構成によれば、複数の端子取付部が対向した状態で起立しているから、端子固定用の治具棒を連通孔に串刺し状に押し入れることで、複数の端子が端子取付部に同時に接続固定される。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の端子固定方法において、前記治具棒の先細部で前記連通孔を押し拡げつつ、該先細部に続く差込部を該連通孔に挿入することを特徴とする。
上記構成によれば、連通孔に対して治具棒の位置合わせを行い、そして、治具棒の先細部を連通孔に押し入れることで、連通孔が押し拡がり、治具棒の差込部が端子をスライドさせて、端子取付部に端子が接続固定される。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の端子固定方法において、前記差込部の長さを、複数の前記端子取付部を横断貫通する長さと略同等の長さに形成したことを特徴とする。
上記構成によれば、治具棒の差込部の長さが、複数の端子取付部を横断貫通する長さと略同等の長さに形成されているから、同軸上に位置する複数の端子取付部を治具棒が串刺し状に貫通し、端子取付部に複数の端子を同時に接続固定することができる。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の端子固定方法において、前記冶具棒が操作部を備えていて、該操作部に前記端子取付部に係止される係止腕を設けたことを特徴とする。
上記構成によれば、端子取付部に端子が接続固定された際に、冶具棒が係止腕により端子取付部に係止され、冶具棒が不用意に抜け出すことが防止される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明に係る端子固定方法の一実施形態において、アース端子(端子)30を端子用アダプタ10に接続固定した状態を示すものである。
【0018】
電線付きのアース端子30は、端子用アダプタ10の基板12から対向して起立する4つの端子取付部20(第1の取付部20a、第2の取付部20b、第3の取付部20c、第4の取付部20d)にそれぞれ接続固定されている。端子取付部20は、端子用アダプタ10の幅方向に並列に配設されている。隣り合う端子取付部20の間隔は、隣り合うアース端子30が相互干渉せず、余分な空きスペースが生じない程度の間隔に設定されている(図1)。
【0019】
端子取付部20とアース端子30との接続は、従来技術の欄で示したボルト60及びナット61を用いることなく、端子取付部20の係合段部(係合部)22a,22bの内側にアース端子30の係止段部(係止部)38a,38bを入り込ませることで、係合段部22a,22bと係止段部38a,38bとが相互に噛み合って接続固定されるようになっている(図2)。
【0020】
係合段部22a,22bと係止段部38a,38bとを噛み合わせる際には、端子固定用の押入治具44(治具棒44)を用いて行う。図6に示すように、押入治具44は、全体として見れば略T字状を成しており、作業者が把持する板状の操作部44aと、操作部44aの中間部に交差して連なる円柱状の差込部45bと、差込部45bの先端側に続く円錐テーパ状の先細部45aとを備えている。先細部45aと差込部45bとにより挿入部45が構成されている。
【0021】
差込部45bの長さbは、基板12から起立連設された4つの端子取付部20を横断貫通する長さa(図1)と略同等の長さに設定されている。これにより、4つのアース端子30が同時に端子取付部20に接続固定されるようになっている。
【0022】
押入治具44を用いて、アース端子30と端子取付部20とを接続固定するには、図5に示すように、アース端子30を端子取付部20に半嵌合状態に仮固定して行う。半嵌合状態においては、端子取付部20の挿通孔25とアース端子30の挿通孔37とが一部重なり合って長円状の連通孔48が形成されるゆえ、この連通孔48に押入治具44の挿入部45を先端側の先細部45aから徐々に押し込み、連通孔48をアース端子30のスライド方向に拡げることで、アース端子30が下向きにスライドして、端子取付部20の係合段部22a,22bの内側にアース端子30の係止段部38a,38bが入り込み、端子取付部20にアース端子30が接続固定されるようになっている。
【0023】
図7には、図6の押入冶具44の変形例が示されている。押入冶具44と共通する構成部分については、同一符号を付して説明する。図6の押入冶具44と図7の押入冶具44′との相違する点は、操作部44aの両側に一対の係止腕80,80が設けられた点である。係止腕80は、押入冶具44′を端子取付部20に係止させるためのものであり、腕部81と、腕部81の先端側に形成された爪部82からなっている。
【0024】
腕部81は、挿入部45の突出方向と同方向に突出している。爪部82は、傾斜面82aと係止面82bとからなっている。押入冶具44′は、傾斜面82aによりガイドされて、係止面82bにより端子取付部20の縁部に係止されるようになっている。一対の可撓係止腕80,80の間隔は、端子取付部20の幅寸法又は高さ寸法と同程度の寸法に形成されており、一対の可撓係止腕80,80の間に端子取付部20が挟まれる格好になっている。
【0025】
押入治具44′を用いたアース端子30の固定は、図6の場合と略同様の方法で行われる。図6の場合と相違する点は、上述したように、一対の可撓係止腕80,80で端子取付部20を挟み、押入冶具44′を端子取付部20に係止させる点である。押入冶具44′を係止させることで、アース端子30が端子取付部20に二重係止され、アース端子30の抜けが防止される。また、基板12に重ねられた重合部27の締結前に、重合部27が基板12から浮き上がることも防止され、後に行われる締付ボルト46の締結作業性が向上する。
【0026】
なお、アースポイントに固定される端子用アダプタ10に端子取付部20を起立する代わりに、従来技術の欄で説明した相手方(他方)の端子を端子取付部とし、2枚の端子を組み合わせて電源の分岐等を行うようにしてもよい。この場合も、押入治具棒を2枚の端子の連通孔に押入することにより、大きな力を必要とすることなく、2枚の端子の接続を簡単に行うことができる。
【0027】
次に、従来技術の欄の端子51の説明と一部重複するが、図3に基づいて、端子用アダプタ10の端子取付部20に接続固定されるアース端子30について詳細に説明することとする。
【0028】
アース端子30は、端子用アダプタ10を介して図示しない車体パネルのアースポイントに接続される電線端子(JIS D5403)であり、自動車用丸形板端子(LA)として広く知られている。アース端子30の形状には、丸形以外に横丸形(LB)やくわ形(LE)等もある。
【0029】
このようなアース端子30は、2枚重ねでアースポイントに接続される組合せ端子の一方の端子に相当する。他方の端子は、後述する端子用アダプタ10の端子取付部20(図4)に相当し、アース端子30と相互に噛み合う形状に形成されている。
【0030】
アース端子30は、中央部に略矩形状の挿通孔37を有する電気接触部35と、電気接触部35の長手方向に直交する方向に続く電線接続部43とを備えている。電気接触部35は、一対の基板部31と、一対の基板部31の間でその板厚方向に突出し、挿通孔37の両側に位置する一対の係止段部(係止部)38a,38bと、片側の基板部31に設けられた係止片39とを備えている。
【0031】
挿通孔37は、略矩形状に形成されている。この挿通孔37は、アース端子30を端子取付部20に本締めするために、図示しない締付ねじを挿通させる孔である。これにより、自動車の振動などによるアース端子30の抜けが防止され、端子取付部20にアース端子30が確実に固定される。
【0032】
アース端子30の電気接触部35と電線接続部43は、略L字状を成して交差している。これは、二枚一組で用いられる組合せ端子を重ね合わせた際に、電線接続部43同士が相互干渉しないようにするためである。本実施の形態では、電線接続部43を有するのは一方のアース端子30だけであるから、必ずしも電線接続部43と電気接触部35とを略L字状に交差させる必要はなく、たとえば電気接触部35の中央部に電線接続部43を連ねるようにし、アース端子30を略T字状に形成してもよい。
【0033】
アース端子30の一対の基板部31の表面32aは、略平坦面に形成されている。このため、基板部31は相手側の端子取付部20の裏面21bと面接触状態で重なり合い、接触部において接触抵抗が高くなり発熱することが防止されている。なお、表面32aを電線接続部43の突出する側の面と定めることとし、裏面32bをその反対側の面と定めることとする。
【0034】
係止段部38a,38bは、基板部31に対して裏面32b向きに突出している。係止段部38a,38bの突出方向は、端子取付部20(図4)の係合段部22a,22bの突出方向に応じて定まっている。すなわち、係止段部38a,38bと係合段部22a,22bの突出方向は、それぞれが互い違いに突出している。このように、係止段部38a,38bの突出方向と係合段部22a,22bの突出方向とを互い違いにすることで、係合段部22a,22bの内側に係止段部38a,38bが入り込み、相互に噛み合って接続するようになっている。
【0035】
前述したように、係止段部38a,38bは、アース端子30のスライド方向の前後に位置し、挿通孔37の両側に一対設けられている。そして、各係止段部38a,38bの先端側には、係合段部22a,22bのスリット26に対応するスリット40が形成されている。
【0036】
一対の基板部31の内、片側の基板部31に形成された係止片39は、片持ち梁状の弾性片である。係止片39は、付け根部から先端部にかけて基板部31の裏面32bに向かって漸次傾斜し、先端部が裏面32bから突出している。この係止片39が、相手側である端子取付部20の係止孔23(図4)に係合することにより、アース端子30が端子取付部20に係止され、後抜けすることが防止されている。なお、一対の係止段部38a,38bに凸部を設け、端子取付部20の係合段部22a,22bに凹部を設けて、凸部と凹部とを噛み合わせて係止する構成としてもよい。
【0037】
電気接触部35に傾斜壁41を介して続く電線接続部43は、一側寄りに形成されているが、アース端子30の接続に支障のない場合には、向きを変えて他方の側に電線接続部43を設けてもよく、また、前述したように略T字状になるように設けてもよい。
【0038】
電線接続部43は、前後に各一対の圧着片43a,43bを備えて構成されている。前側の圧着片43aには電線47の芯線部47aが圧着され、後側の圧着片43bには電線47の被覆部47bが圧着されるようになっている。
【0039】
圧着片43a,43bと電線47との圧着方式には種々の方式があるが、本実施の形態ではいわゆるB型圧着方式を採用している。B型圧着方式によれば、圧着片43a,43bと電線47とが緊密に圧着されて、接続不良を防止することができる利益がある。また、電線47に引張力が作用した場合であっても、電線47の後抜けを防止でき、接続信頼性を維持することができる利益もある。
【0040】
次に、図4に示す端子用アダプタ10について詳細に説明する。端子用アダプタ10は、図示しない車体パネルのアースポイントに固定される本体固定部11と、本体固定部11に続くアダプタ本体15とを備え、導電性金属板を打ち抜き、折り曲げ加工することにより一体的に形成されている。本体固定部11とアースポイントは、本体固定部11の固定孔12aに挿通された締付ボルト46をアースポイントの図示しない孔部に螺合することにより固定される。
【0041】
本体固定部11は、平板状の基板12と、締付ボルト46を挿通させるための固定孔12aとを備えており、端子用アダプタ10の一側端部に形成されている。本体固定部11の表裏両面は、平坦面に形成され、先端側は半円弧状をなし(図1)、自動車用丸形板端子(LA)と略同一形状に形成されている。固定孔12aは、締付ボルト46の外径より一回り大きい孔径に形成されている。
【0042】
アダプタ本体15は、本体固定部11と同一面で連続する基板16と、基板16から垂直に起立する複数の端子取付部20とを備えており、端子用アダプタ10の他側端部に形成されている。
【0043】
本実施形態のアダプタ本体15には、4つのアース端子30に対する4つの端子取付部20が設けられており、各端子取付部20が対向状態で基板16の幅方向に一列に配設されている。すなわち、端子取付部20は、基板16の幅方向両側の端部に形成された第1、第2の取付部20a,20bと、基板16の幅方向両側の端部の間に形成された第3、第4の取付部20c,20dとからなっている(図1)。
【0044】
前述したように、端子取付部20は、アース端子30の電気接触部35と噛み合う形状に形成されている。また、端子取付部20の中央部には、本締め用の図示しない締付ねじを挿通させるための挿通孔25(図4)が形成されている。複数の端子取付部20は一列に配設されているから、複数の端子取付部20の挿通孔25は、同軸上に位置している。
【0045】
端子取付部20は、挿通孔25の両側に対向して位置する一対の取付基板部21と、一対の取付基板部21の間に位置し、かつ、挿通孔25の両側に位置する一対の係合段部22a,22bと、片側の取付基板部21に形成された係止孔23と、取付基板部21の側部に設けられたストッパー28とからなっている。
【0046】
取付基板部21の表面21aは、平坦面に形成されており、アース端子30の裏面32bと面接触状態で重なり合うようになっている。このため、接触部において接触抵抗が高くなり発熱等を生じることが防止され、電気的接続の信頼性が維持されている。
【0047】
係合段部22a,22bは、取付基板部21の板厚方向に段状に突出している。このため、係合段部22a,22bの内側には凹部が形成されている。また、係合段部22a,22bの先端部の両側には、一対のスリット26が形成されている。このため、アース端子30は、係合段部22a,22bのスリット26に挟まれ、そしてアース端子30の係止段部38a,38bと係合段部22a,22bとが重なり合った状態で係合するようになっている。
【0048】
係止孔23は、アース端子30の係止片39(図3)と対応する位置に形成されている。アース端子30の係止片39は裏面32bに向かって漸次傾斜しており、その先端は裏面32bから突出しているゆえ、アース端子30を端子取付部20に接続させると、係止片39が係止孔23の縁部に引っかかり、アース端子30の抜け出しが防止されるようになっている。
【0049】
ストッパー28の構成については、別出願で詳細に説明しているため、本出願では説明を省略することとする。なお、このようなストッパー28を設けることで、アース端子30の振れが防止されて、端子取付部20に対するアース端子30の接続作業性が向上する。
【0050】
基板16の両端部の間に位置する第3の取付部20c及び第4の取付部20d(図3)は、アダプタ本体15の長手方向に延長した折り返し部18を折り返して基板16に重ねることにより、第1の取付部20a及び第2の取付部20bと一列に配列されるようになっている。すなわち、基板16よりも幅狭に打ち抜き形成された折り返し部18には、その両端部に端子取付部20c,20dが下向きに折り曲げて形成されているが、折り返し部18を180°折り曲げることで、各端子取付部20a,20b,20c,20dが一列に配列されるようになっている。
【0051】
各取付部20a,20b,20c,20dは、同一方向に並べることで、各端子取付部20a,20b,20c,20dに接続されるアース端子30の電線接続部43の相互干渉が回避されて、空きスペースを作ることなくアース端子30を密集した状態で並べることができるようになっている。
【0052】
なお、折り返し部18の構成についても、別出願で詳細に説明しているため、本出願では説明を省略することとする。なお、このような折り返し部18を設けることで、基板12,16の板厚(図5)が2倍になり、端子用アダプタ10の変形等を防止することができ、端子用アダプタ10の強度を向上することができる。
【0053】
次に、上記構成の作用について説明する。
アース端子30を、端子用アダプタ10の端子取付部20の真上に配置し、アース端子30の係止段部38a,38bが並ぶ方向にスライドさせ、端子取付部20に半嵌合状態で仮固定する。この際、端子取付部20とアース端子30の双方の挿通孔25,37が一部重なり合って、長円状の連通孔48が形成される。
【0054】
次に、この連通孔48に端子固定用の治具棒45を先端部から徐々に押し込み、連通孔48を押し拡げる。治具棒45をさらに深く押し込み、治具棒45の差込部45bを連通孔48に挿入する。そうすると、治具棒45を押し込むと同時にアース端子30が下方にスライドして、アース端子30の係止段部38a,38bが係合段部22a,22bの凹部の内側に入り込み、係合段部22a,22bのスリット26にアース端子30が挟まれ、面接触した状態で接続が行われる。
【0055】
なお、端子用アダプタ10に対する4つのアース端子30の接続は、端子用アダプタ10をアースポイントに固定した後に行うのが好ましく、このようにすることでアース端子30の接続作業性が向上する。端子用アダプタ10とアースポイントの固定は、締付ボルト46をアースポイントに螺合することにより行われ、端子用アダプタ10の本体固定部11がアースポイントと締付ボルト46の双方の間に挟まれて挟着固定される。
【0056】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、端子取付部と端子の双方の挿通孔を連ねる連通孔に、端子固定用の治具棒を押入することで、連通孔が押し拡げられて、端子がスライドし、端子取付部の係合部の内側に端子の係止部が入り込み、係合部と係止部とが噛み合って、端子取付部に端子が接続固定される。
従って、端子取付部に複数の端子を容易かつ確実に接続固定することができ、端子の接続作業性が向上する。
【0057】
また、請求項2記載の発明によれば、複数の端子取付部を対向した状態で並列に起立することで、複数の端子取付部と複数の端子とを連ねる連通孔に端子固定用の治具棒が押入する。従って、複数の端子が端子取付部に同時に接続固定され、高能率に端子の接続作業を行うことができる。
【0058】
また、請求項3記載の発明によれば、連通孔の孔入口から治具棒の先細部を入れ、さらに深く押し入れることで、治具棒の差込部が連通孔を押し拡げ、そして端子がスライドし、端子取付部に端子が接続固定される。従って、連通孔に治具棒を押し入れるだけで、端子を端子取付部に容易に接続固定することができ、請求項1記載の発明と同等の効果を奏する。
【0059】
また、請求項4記載の発明によれば、治具棒の差込部の長さを、複数の端子取付部を横断貫通する長さと略同等の長さに形成することで、同軸上に位置する複数の端子が同時に端子取付部に接続固定される。従って、端子の接続作業性が向上し、請求項2記載の発明と同等の効果を奏する。
【0060】
また、請求項5記載の発明によれば、冶具棒の操作部に係止腕が設けられているから、端子取付部に端子が接続固定された際に、冶具棒が係止腕により端子取付部に係止され、冶具棒が不用意に抜け出すことが防止される。従って、係止手段と冶具棒とにより、端子を二重係止することができ、端子の抜けを確実に防止することができる。また、基板から重合部が浮き上がることも防止されて、締付ボルトの締結作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る端子固定方法の一実施形態において、端子用アダプタの端子取付部に端子を接続固定した状態の平面図である。
【図2】図1に示す端子用アダプタの端子取付部に端子を接続固定した状態の側面図である。
【図3】同じく端子用アダプタの端子取付部を示す側面図である。
【図4】同じく端子用アダプタの端子取付部に接続固定されるアース端子を示す斜視図である。
【図5】同じく端子用アダプタの端子取付部とアース端子の半嵌合状態を示す側面図である。
【図6】同じく端子用アダプタの端子取付部にアース端子を接続固定する端子固定用の押入治具棒を示す斜視図である。
【図7】押入冶具の変形例を示す斜視図である。
【図8】従来の端子固定方法の一例において、双方の端子の接続前の状態を示す平面図である。
【図9】図7に示す双方の端子を接続した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
10 端子用アダプタ
11 本体固定部
12 基板
15 アダプタ本体
18 折り返し部
20 端子取付部
22a,22b 係合段部(係合部)
25,37 挿通孔
28 ストッパー
30 アース端子(端子)
35 電気接触部
38a,38b 係止段部(係止部)
43 電線接続部
44,44′ 押入治具(冶具棒)
47 電線
48 連通孔
Claims (5)
- 挿通孔を有する端子取付部には、該挿通孔の両側で板厚方向に突出した係合部が設けられ、挿通孔を有する端子には、該挿通孔の両側で該係合部と係合する係止部が設けられ、該端子取付部に該端子を半嵌合状態で嵌合させることで、双方の該挿通孔を連ねた連通孔を形成させ、該連通孔に端子固定用の治具棒を押し入れることにより、該係合部に該係止部を係合させ、該端子取付部に該端子を完全嵌合で接続固定させることを特徴とする端子固定方法。
- 複数の前記端子取付部を、導電性基板に対向状態で並列に起立させたことを特徴とする請求項1記載の端子固定方法。
- 前記治具棒の先細部で前記連通孔を押し拡げつつ、該先細部に続く差込部を該連通孔に挿入することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の端子固定方法。
- 前記差込部の長さを、複数の前記端子取付部を横断貫通する長さと略同等の長さに形成したことを特徴とする請求項3記載の端子固定方法。
- 前記冶具棒が操作部を備えていて、該操作部に前記端子取付部に係止される係止腕を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の端子固定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003204375A JP2005050603A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 端子固定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003204375A JP2005050603A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 端子固定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005050603A true JP2005050603A (ja) | 2005-02-24 |
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ID=34263400
Family Applications (1)
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JP2003204375A Withdrawn JP2005050603A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 端子固定方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005050603A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011222317A (ja) * | 2010-04-09 | 2011-11-04 | Yazaki Corp | 組合せ端子一組を用いた1本の電線のネジ締め方法および1本の電線の端子接続構造 |
KR200475266Y1 (ko) | 2010-05-31 | 2014-11-18 | 한국단자공업 주식회사 | 부품단자 고정장치 |
-
2003
- 2003-07-31 JP JP2003204375A patent/JP2005050603A/ja not_active Withdrawn
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