JP2005049007A - フィン部材を内装した伝熱管 - Google Patents

フィン部材を内装した伝熱管 Download PDF

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Abstract

【課題】 伝熱管内に配設するフィン部材と素管との接触面積を広くするとともに、フィン部材と素管との熱伝導性を高める事を可能とし、伝熱管の熱交換性能を向上させる。
【解決手段】 軸中心部から少なくとも2方向にアーム部4を突出した金属製のプレート本体5を、アーム部4の突出方向が管軸に対して直角となるよう少なくとも2個、一定の間隔を介して管軸方向に配設する。この複数のプレート本体5のアーム部4間に、板状フィン6を接続する事によりプレート本体5を連結してフィン部材3を形成する。このフィン部材3を少なくとも一個、金属製の素管2内に挿入配設し、アーム部4及び板状フィン6を素管2の内周面に当接させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、EGRガス冷却装置等の多管式熱交換器等にて、冷却水、冷却風、カーエアコン用冷媒、その他の冷媒液等の冷却媒体と、EGRガス、煤を含有する燃焼排気ガス等の被冷却高温熱媒体流体との熱交換を行うために用いるもの等、種々の用途の伝熱管に係るものである。
特開平11−108578号公報 特開2000−179410号公報 特開2001−227413号公報
従来、自動車のエンジン等では、排気ガスの一部を排気ガス系から取り出して、再びエンジンの吸気系に戻し、混合気や吸入空気に加えるEGRシステムが、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンに用いられていた。EGRシステム、特にディーゼルエンジンの高EGR率のクールドEGRシステムでは、排気ガス中のNOxを低減し、燃費の悪化を防止するとともに、過剰な温度上昇によるEGRバルブの機能低下や耐久性の低下を防止するため、高温化したEGRガスを冷却水、冷却風、カーエアコン用冷媒、その他の冷媒液等の冷却媒体で冷却するEGRガス冷却装置を設けている。
そして、このEGRガス冷却装置として、上記特許文献1〜特許文献3の従来発明等に示す如く、内部をEGRガスが流通可能な複数の細径の伝熱管を配置し、この伝熱管の外側に冷却水や冷却風、冷媒液等の冷却媒体を流通させる事により、伝熱管を介してEGRガスと冷却媒体との熱交換を行うものが存在した。
上記EGRガス冷却装置で使用する伝熱管は、内周面が平滑な金属管が多く用いられているが、このような伝熱管ではEGRガスの殆どが伝熱管の中心付近を高速に流動し、伝熱管の内周面側を通過するEGRガスから熱が伝導されるのみで、冷却媒体との熱交換が行われにくかった。この熱交換性能の向上のため、前記特許文献1、2の従来発明では、内周面に突起を突設した金属製の素管内に、平板を螺旋状に捻って形成したフィン部材を挿入配設して伝熱管を形成している。また、特許文献3では、素管内に平板状のフィン部材を一体に突出して伝熱管を形成している。
このように、素管内に螺旋状に捻ったフィン部材を配設したり平板状のフィン部材を一体に突設する事で、伝熱管の伝熱面積を増大させ、EGRガスと伝熱管との熱伝導性を高め、伝熱管内のEGRガスの流れを乱流化して、EGRガスの伝熱管内の流動距離を長くし、伝熱管とEGRガスとの接触時間を長くする事で、伝熱管を介したEGRガスと冷却媒体との熱交換効率を高めようとしていた。
しかしながら、上記特許文献1、2の従来技術では、フィン部材と素管との接触は、フィン部材の両側縁と、素管の内周面の突起部分との断続した点接触である。また、特許文献3の従来技術では、フィン部材の外周縁と素管の内周面との線接触である。そのため、何れもフィン部材と素管との接触面積が狭く、フィン部材がEGRガスの熱を受熱しても、フィン部材から素管への熱伝達が十分に行われず、EGRガスと伝熱管の外周を流動する冷却媒体との熱交換効率を高めるには限界があった。また、素管との接触が線接触や断続した点接触では、フィン部材の固定性が悪く、伝熱管の振動や流体の流動力により、フィン部材のブレや変形を生じ易く、伝熱管の熱交換機能や耐久性を損なう問題点もあった。
本発明は上述の如き課題を解決するため、軸中心部から少なくとも2方向にアーム部を突出した金属製のプレート本体を、そのプレート面が管軸に対して直角となるよう少なくとも2個、一定の間隔を介して管軸方向に配設し、この複数のプレート本体のアーム部間に、板状フィンを接続する事によりプレート本体を連結してフィン部材を形成し、このフィン部材を少なくとも一個、金属製の素管内に挿入配設するとともに、アーム部及び板状フィンを素管の内周面に当接させて成るものである。
また、アーム部は、外方向の先端側を管軸方向と平行に捻る事により捻り片を形成し、この捻り片の表面に板状フィンを面接触により接続しても良い。
また、プレート本体は、折曲部を介してV字形に折曲し一対のアーム部を設けたV字形板部材を複数個、軸中心部で折曲部を互いに当接配置する事により形成し、管軸方向に平行に配置されるアーム部の表面に、板状フィンを面接触により接続しても良い。
また、プレート本体は、両端に一対のアーム部を設けたI字形長尺板部材の両面に、折曲部を介してV字形に折曲し一対のアーム部を設けたV字形板部材の折曲部を、軸中心部で当接させ、更にV字形板部材の折曲部内面に、アーム部を設けたI字形短尺板部材の一端面を当接させて形成し、管軸方向に平行に配置されるアーム部の表面に、板状フィンを面接触により接続しても良い。
本発明は上述の如く構成したもので、フィン部材を内装する事により伝熱管の伝熱面積を増大させる事ができるとともに、金属製の複数のアーム部と板状フィンとを素管の内周面に接触させる事により、フィン部材と素管との接触面積を広くして互いの熱伝導性を高める事ができる。従って、伝熱管の内外を流動する流体相互の熱交換を効率的に行う事が可能となり、熱交換性能に優れる伝熱管を得る事ができる。また、素管内でのフィン部材の固定性が向上し、流体の流動や伝熱管の振動等によるフィンのブレや変形を防ぐとともに、各フィンやフィンが接触している素管の壁面のフレッティング等を防いで、熱交換を円滑に行う事ができ、伝熱管の耐久性も向上する。そして、この熱交換性能に優れる伝熱管を、多管式熱交換器等に使用する事により、伝熱特性の高い製品を得る事ができる。
素管内に挿入配設するフィン部材は、軸中心部から少なくとも2方向にアーム部を突出して金属製のプレート本体を、そのプレート面が管軸に対して直角となるよう少なくとも2個、一定の間隔を介して管軸方向に配設する。この複数のプレート本体のアーム部間に、板状フィンを接続する事によりプレート本体を連結してフィン部材を形成する。そして、このようなフィン部材を少なくとも一個、金属製の素管内に挿入配設するとともに、アーム部及び板状フィンを素管の内周面に当接させて伝熱管を作成する。
上記構成とする事により、伝熱管の伝熱面積を増大させる事ができるとともに、フィン部材と素管との熱伝導性も高める事ができる。そして、伝熱管内部を流動する流体が素管の内周面だけでなく、フィン部材のプレート本体や板状フィンと接触して流動するとともに、アーム部により流体の流れが分断されて、流体の乱流化や撹拌効果が得られる。従って、境界層の剥離により、伝熱管内部を流動する流体と外部を流動する流体との熱交換効率が促進され、伝熱管の吸熱特性や放熱特性を向上させる事ができる。
このような伝熱管を、自動車のエンジン、その他内燃機関、冷暖房等、熱交換を行う何れの装置にも用いる事ができる。更に、この伝熱管を、エンジンのEGRガス冷却装置、その他の多管式熱交換器に組付ければ、EGRガスの冷却を効率的に行う事ができる。従って、EGRシステム、特にディーゼルエンジンの高EGR率のクールドEGRシステムに於いて、排気ガス中のNOxを低減できるとともに、燃費の悪化も防止する事ができる。また、過剰な温度上昇を防止して、EGRバルブの劣化や機能低下も確実に防止する事ができる。
以下、本発明の伝熱管を、自動車のクールドEGRシステムに於けるEGRガス冷却装置に使用した実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は実施例1の伝熱管の斜視図で、金属板を打ち抜き、軸中心部から8方向にアーム部を突設して平板状のプレート本体を一対形成し、この一対のプレート本体のアーム部を、形成幅が同一の板状フィンにて連結し、フィン部材を形成している。図2は図1のフィン部材のみの斜視図である。図3は実施例2のフィン部材の斜視図で、4枚のV字形板部材を接続してプレート本体を形成している。図4は実施例3のフィン部材の斜視図で、一枚のI字形長尺板部材と、2枚のV字形板部材、及び2枚のI字形短尺板部材とでプレート本体を形成している。
また、図5は実施例4のフィン部材の斜視図で、平板状の3枚のプレート本体の互いのアーム部を、形成幅の異なる板状フィンで連結してフィン部材を形成している。図6は実施例5のフィン部材の一部拡大断面図で、側面形状を波形とする板状フィンでアーム部を連結している。図7は実施例6のフィン部材の一部拡大断面図で、アーム部を連結する板状フィンに、円形の貫通孔を複数開口している。図8は実施例7のフィン部材の一部拡大断面図で、アーム部の外方向の先端側を管軸方向と平行に捻って形成した捻り片に、板状フィンを接続している。また、図9は本発明の伝熱管を用いたEGRガス冷却装置の概略図である。
本発明の実施例1を図1、図2、図9を用いて詳細に説明すれば、(1)は伝熱管で、内部をEGRガスが流通可能な細径の金属製の素管(2)内に、該素管(2)よりも短尺なフィン部材(3)を複数個、図1に示す如く、管軸方向に間隔を介して挿入配設している。また、素管(2)及びフィン部材(3)は、銅、アルミニウム、黄銅、又はステンレス等の熱伝導性に優れた金属材を用いて形成する事ができる。尚、素管(2)とフィン部材(3)とは、同一の金属材で形成しても良いし、後述のろう付けや溶接を行う事が可能であれば、使用目的やコスト等に応じて、双方を異なる金属材で形成しても良い。
また、伝熱管(1)の耐食性を高めるため、前述の如き金属材に、亜鉛、銅、錫、錫−亜鉛合金、ニッケル、亜鉛−ニッケル合金等から成る1層の犠牲腐食性のメッキ処理を行い、必要に応じクロメート被膜等を施しても良いし、金属材の外表面にニッケルをメッキし、このニッケルの外周面に更に亜鉛−ニッケル合金をメッキする等、2層以上のメッキ処理を行っても良い。また、これらのメッキ処理等が予め施された量産品の金属管や金属材を使用して素管(2)やフィン部材(3)を形成する事もでき、メッキ処理等の製作の手間を省いて、伝熱管の生産性を向上させる事ができる。
また、フィン部材(3)は、金属板を打ち抜いて中心部から放射方向に8本のアーム部(4)を突出したプレート本体(5)を形成している。このプレート本体(5)を一対、そのプレート面が管軸に対して直角となるよう配置し、互いに対応するアーム部(4)を、側面形状が直線的で平滑面を有する板状フィン(6)にて各々連結して形成している。各板状フィン(6)は、アーム部(4)の形成長さよりも幅狭に形成し、アーム部(4)の先端の一側端面にろう付けにより接続固定している。また、板状フィン(6)は、一対のプレート本体(5)の配置間隔の長さに各プレート本体(5)の板厚を加えた長さと同一長さとして、一対のプレート本体(5)の表面と板状フィン(6)の両端面を面一としても良いし、一対のプレート本体(5)の配置間隔の長さに板厚を加えた長さよりも長尺として、板状フィン(6)の両端を一対のプレート本体(5)の表面から突出させても良い。
上述の如く形成したフィン部材(3)を複数個、管軸方向に間隔を介して素管(2)内に挿入配設している。そして、各アーム部(4)の外方向の先端面及び板状フィン(6)の一側端面を素管(2)の内周面に当接させ、ろう付けにより接続固定している。この接続固定によって、素管(2)の内周面とフィン部材(3)とは、各8個のアーム部(4)の先端面と板状フィン(6)の一側端面との肉厚分、面接触する。また、この接触部分がろう材のフィレット(図示せず)により確実に密着し、且つろう材のフィレットの幅分、フィン部材(3)と素管(2)の内周面とが広幅に面接触するものとなり、フィン部材(3)と素管(2)との熱伝導性を高める事ができる。また、ろう付けにより、素管(2)へのフィン部材(3)の固定性が向上し、伝熱管(1)の振動やEGRガスの流動によるフィン部材(3)のブレや変形が抑制され、伝熱管(1)の耐久性が向上する。
また、フィン部材(3)と素管(2)とのろう付けの際は、素管(2)へのフィン部材(3)の挿入前に、予めアーム部(4)の先端面及び板状フィン(6)の一側端面にろう材をメッキしておく。このろう材のメッキは、好ましくは作業が容易な事からフィン部材(3)の全表面に施しても良いし、素管(2)の内周面にろう材をメッキしても良い。また、フィン部材(4)のプレート本体(5)や板状フィン(6)の形成素材にろう材をクラッドし、このクラッド材を加工しても良い。
また、アーム部(4)の先端面及び板状フィン(6)の一側端面にろう材付着用のバインダーを塗布したフィン部材(3)を素管(2)に挿入後、該素管(2)内にパウダー状のろう材を供給しても良い。他の方法として、アーム部(4)の先端面及び板状フィン(6)の一側端面にろう材ペーストを供給したフィン部材(3)を素管(2)へ挿入しても良いし、素管(2)内にフィン部材(3)を挿入後、該素管(2)内にろう材ペーストを供給しても良い。そして、伝熱管(1)の製作時にろう付けを行っても良いし、或いは伝熱管(1)を後述のEGRガス冷却装置(10)に組付け後に、ろう付けを行っても良い。
そして、上述の如き伝熱管(1)を組付けたEGRガス冷却装置(10)は、図9に示す如く、円筒状の胴管(11)の両端にチューブシート(12)を一対接続し、内部を密閉可能としている。そして、一対のチューブシート(12)間に、本実施例の伝熱管(1)を複数本、チューブシート(12)を貫通して接続配置している。また、胴管(11)の両端には、被冷却高温熱媒体流体であるEGRガスの導入口(14)と導出口(15)とを設けたボンネット(16)を接続している。
更に、胴管(11)の外周には、エンジン冷却水や冷却風等の冷却媒体の流入口(17)と流出口(18)を設ける事により、一対のチューブシート(12)で仕切られた気密空間内を、冷却媒体が流通可能な冷却部(13)としている。また、この冷却部(13)内に、複数の支持板(20)を接合配置し、この支持板(20)に設けた挿通孔(21)に、伝熱管(1)を挿通する事により、バッフルプレートとして伝熱管(1)を安定的に支持するとともに、冷却部(13)内を流動する冷却媒体の流れを蛇行化している。
上記EGRガス冷却装置(10)に於いて、導入口(14)から胴管(11)内に高温化したEGRガスを導入すると、このEGRガスは胴管(11)内に複数配置した伝熱管(1)内に流入する。この伝熱管(1)を配置した冷却部(13)では、予め伝熱管(1)の外部にエンジン冷却水等の冷却媒体を流通しているので、伝熱管(1)の外表面を介してEGRガスと冷却媒体とで熱交換が行われる。
この伝熱管(1)は、前述の如く素管(2)内に複数のフィン部材(3)の配設する事により伝熱面積を増大させるとともに、フィン部材(3)と素管(2)とを面接触させて熱伝導性を高めている。そして、素管(2)の内周面側のEGRガスの熱が直に素管(2)の内周面に伝熱されるとともに、8枚の板状フィン(6)にも伝熱される。この板状フィン(6)が受熱した熱は素管(2)の内周面と接触する一側端面を介して素管(2)の内周面に伝熱される。更に、素管(2)の内周面側のEGRガスだけでなく、中央付近を流動するEGRガスが、フィン部材(3)のプレート本体(5)と接触して、この中央付近のEGRガスの熱がプレート本体(5)に伝熱された後、各アーム部(4)の先端面を介して素管(2)に伝熱されるとともに、プレート本体(5)と接触する板状フィン(6)を介しても素管(2)に伝熱される。このように、素管(2)の内周面に効率的に伝熱された熱は、該素管(2)の外周面を介して冷却媒体に放熱され、効率的な熱交換が可能となる。
また、本発明の伝熱管(1)では、アーム部(4)によりEGRガスの流れが分断され、EGRガスの流れの乱流化が生じるとともに、EGRガスの撹拌効果も得られ、境界層の剥離により、EGRガスと伝熱管(1)との熱熱伝導性を更に向上させる事ができる。従って、EGRガス冷却装置(10)では、EGRガスの全体がムラ無く均一に冷却されるものとなり、EGRガスへの優れた冷却効果が得られる。尚、プレート本体(5)の中央に、貫通孔(図示せず)を設けて形成しても良く、この貫通孔により伝熱管(1)内を流動するEGRガスの流動抵抗が減少するので、EGRガスの圧力損失等を防止して、より好ましいものとなる。
このように良好に冷却されたEGRガスは、導出口(15)を介してEGRガス冷却装置(10)から流出し、インテークマニホールド側に戻される。従って、EGRバルブの高温化を防止して、EGRバルブの優れた機能性と耐久性を得る事ができるとともに、吸入空気の温度を低下するのでNOxの低減と良好な燃費が可能となる。また、伝熱管(1)内でのEGRガスの乱流化や撹拌作用により、EGRガスに混入する煤の剥離が促進されて、大きな塊となるのを防ぐ事ができ、目詰まり等に起因する冷却性能の劣化やエンジントラブルを防ぐ事も可能となる。
次に、図3に示す実施例2を詳細に説明する。上記実施例1では、金属板を打ち抜いてアーム部(4)を突設しているので、アーム部(4)の表面が管軸方向と直角に配設され、このアーム部(4)と平滑面を有する板状フィン(6)とはアーム部(4)の肉厚分の面接触となっている。実施例2では、このアーム部(4)と板状フィン(6)との接触面積を更に増大させたもので、矩形状の金属板を折曲部(7)を介してV字形に折曲し、一対のアーム部(4)を設けてV字形板部材(8)を形成する。このV字形板部材(8)を4個、軸中心部で折曲部(7)を互いに当接配置する事により、8本のアーム部(4)を有するプレート本体(5)を形成している。そして、このプレート本体(5)を一対平行に配置し、各アーム部(4)間を平滑な板状フィン(6)で連結している。
実施例2のようなプレート本体(5)では、図3に示す如く、アーム部(4)の表面が管軸方向に平行に配置されるので、アーム部(4)と板状フィン(6)とが、板状フィン(6)とアーム部(4)との形成幅分の広い面積で面接触するものとなり、アーム部(4)で受熱した中央付近のEGRガスの熱を、板状フィン(6)に効率的に伝熱させる事ができる。そして、この板状フィン(6)の一側端面を介して熱が素管(2)が伝達され、素管(2)の外表面を流動する冷却媒体に効率的に放熱されるものである。また、アーム部(4)と板状フィン(6)との接続固定性も向上する。また、実施例2では、アーム部(4)の表面が管軸方向と平行、即ちEGRガスの流動方向と平行に配置されるので、伝熱管(1)を流動するEGRガへの流動抵抗を少なくする事ができ、EGRガスの導入口(14)から伝熱管(1)内へのEGRガスの円滑な供給が可能となるし、EGRガスの圧力損失を抑制する事もできる。
また、図4に示す実施例3では、両端に一対のアーム部(4)を設け素管(2)の内径と同一形成長さとした金属製のI字形長尺板部材(22)と、折曲部(7)を介してV字形に折曲し一対のアーム部(4)を形成した2枚のV字形板部材(8)と、素管(2)の内径の半分よりもV字形板部材(8)の肉厚分だけ短尺な一つのアーム部(4)を形成した2枚のI字形短尺板部材(23)とでプレート本体(5)を形成している。そして、I字形長尺板部材(22)の両面に、一対のV字形板部材(8)の折曲部(7)を軸中心部で当接させ、更にこのV字形板部材(8)の折曲部(7)内面に、各々I字形短尺板部材(23)の一端面を当接させ、これらを互いにろう付けしている。これにより得たプレート本体(5)を一対、プレート面が管軸に対して直角となるよう互いに平行に配置し、各アーム部(4)間を平滑な板状フィン(6)で連結している。
このように、実施例3に於いても、アーム部(4)の表面が、管軸方向に平行に配置されるので、アーム部(4)と板状フィン(6)の接触面積を増大させて熱伝導性を高める事ができるとともに、EGRガスへの流動抵抗を小さくしたり、EGRガスの圧力損失を少なくする事ができる。また、アーム部(4)と板状フィン(6)との接触面積が増大する事により、アーム部(4)と板状フィン(6)とのの固定安定性が向上するだけでなく、実施例3では更に、I字形長尺板部材(22)を基盤としてにV字形板部材(8)を接続しているので、プレート本体(5)の強度も高まるものとなる。従って、フィン部材(3)の耐久性や固定性が向上して、伝熱管(1)の振動やEGRガスの流動によるフィン部材(3)のブレや変形の抑制効果を高める事ができる。
また、図5に示す実施例4では、実施例1と同様に金属板を打ち抜いてアーム部(4)の表面を管軸方向に直角に配設したプレート本体(5)と、アーム部(4)を連結する平滑な板状フィン(6)とで構成している。また、実施例1では、プレート本体(5)を一対、即ち2枚使用しているが、実施例4では、図5に示す如く、プレート本体(5)を3枚、管軸方向に配置し、互いのアーム部(4)を平滑な板状フィン(6)で連結する事によりフィン部材(3)を形成している。このように、プレート本体(5)を3枚とする事により、フィン部材(3)の伝熱面積を更に増大させ、フィン部材(3)の強度も高める事ができる。また、実施例4では形成幅の異なる2種類の板状フィン(6)を用い、隣接するアーム部(4)間で、幅広と幅狭の板状フィン(6)を、交互に配設している。このように形成幅の異なる板状フィン(6)を使用する事により、伝熱管(1)内を流動するEGRガスの乱流化が促進され、伝熱管(1)の熱交換効率を高める事ができる。
上記第1〜第4実施例のフィン部材(3)は、各アーム部(4)を連結のする板状フィン(6)は、側面形状が直線的で表面に何等凹凸のない平滑なものを使用しているが、図6に示す実施例5では、側面形状を正弦波形とする板状フィン(6)により、アーム部(4)を連結している。このように、板状フィン(6)を波形とする事により、フィン部材(3)の表面積が増大し、吸熱特性を高める事ができるとともに、素管(2)と板状フィン(6)との接触面積も増大し、これらの熱伝導性を向上させる事ができる。尚、側面形状が波形の板状フィン(6)と、円弧状の素管(2)の内周面とを面接触をさせると、多少の隙間を生じる可能性があるが、この隙間にろう材を充填する事により隙間が閉塞されるとともに、ろう材のフィレットにより、板状フィン(6)と素管(2)との優れた熱伝導性を得る事ができる。
次に、図7に示す実施例6では、平滑な板状フィン(6)に複数の円形の貫通孔(24)を複数開口している。この貫通孔(24)の開口により、板状フィン(6)との伝熱面積が増大し、熱伝導性を向上させる事ができる。更に、EGRガスが貫通孔(24)を通過しながら流動するとともにエッヂ部が多くなるので、EGRガスの乱流化や撹拌効果が促進され、境界層の剥離により、伝熱管(1)を介したEGRガスと冷却媒体との熱交換効率を向上させる事ができる。
また、図8に示す実施例7では、実施例1、実施例4と同様に、プレス加工により金属板からプレート本体(5)を形成している。そして、実施例1、実施例4では、アーム部(4)を管軸方向に直角に配置しているので、アーム部(4)と板状フィン(6)とがアーム部(4)の肉厚分の面積のみの面接触である。これに対して実施例7では、プレート本体(5)を打ち抜いた後、各アーム部の外方向の先端側を、管軸方向と平行に捻る事により捻り片(25)を形成している。そして、この管軸方向と平行な捻り片(25)の表面に、板状フィン(6)を面接触により接続する事により、アーム部(4)と板状フィン(6)との接触面積を増大させる事ができ、双方の熱伝導性及び接続固定性を向上させる事ができる。また、捻り片(25)に沿ってEGRガスが流動する事により、EGRガスの乱流化や撹拌効果が高まるとともに、EGRガスへの流動抵抗も少なくする事ができ、伝熱管(1)の熱交換性能や耐久性を向上させる事ができる。
また、前記実施例1〜実施例4の如きフィン部材(3)に於いても、実施例5の如き側面形状が波形の板状フィン(6)を使用しても良いし、実施例6の如く、貫通孔(24)を開口しても良い。また、側面形状が波形の板状フィン(6)に、貫通孔(24)を開口しても良い。また、このように側面形状が波形であったり、貫通孔(24)を設けた板状フィン(6)を、形成幅を変えて複数種形成し、隣接するアーム部(4)間で、異なる形成幅の板状フィン(6)を接続しても良い。また、実施例5では、板状フィン(6)の使側面形状を正弦波形としているが、鋸歯状、その他の波形としても良い。また、実施例6では、板状フィン(6)に開口する貫通孔(24)を円形としているが、楕円形、星形、ギア形等の貫通孔(24)としても良いし、三角形、四角形、五角形等の多角形状の貫通孔(24)としても良い。
また、上記各実施例では、EGRガス冷却装置(10)に本発明の伝熱管(1)を組付けたものとして説明しているが、他の異なる多管式熱交換器に本発明の伝熱管(1)を用いても良く、優れた熱交換性能を得る事ができる。
本発明の実施例1の伝熱管を示す斜視図。 図1のフィン部材のみの斜視図。 実施例2のフィン部材の一部拡大斜視図。 実施例3のフィン部材の一部拡大斜視図。 実施例4のフィン部材の斜視図。 実施例5のフィン部材の一部拡大斜視図。 実施例6のフィン部材の一部拡大斜視図。 実施例7のフィン部材の一部拡大斜視図。 本発明の伝熱管を組付けたEGRガス冷却装置の一部切り欠き平面図。
符号の説明
2 素管
3 フィン部材
4 アーム部
5 プレート本体
6 板状フィン
7 折曲部
8 V字形板部材
22 I字形長尺板部材
23 I字形短尺板部材
24 貫通孔
25 捻り片

Claims (4)

  1. 軸中心部から少なくとも2方向にアーム部を突出した金属製のプレート本体を、そのプレート面が管軸に対して直角となるよう少なくとも2個、一定の間隔を介して管軸方向に配設し、この複数のプレート本体のアーム部間に、板状フィンを接続する事によりプレート本体を連結してフィン部材を形成し、このフィン部材を少なくとも一個、金属製の素管内に挿入配設するとともに、アーム部及び板状フィンを素管の内周面に当接させる事を特徴とするフィン部材を内装した伝熱管。
  2. アーム部は、外方向の先端側を管軸方向と平行に捻る事により捻り片を形成し、この捻り片の表面に板状フィンを面接触により接続した事を特徴とする請求項1のフィン部材を内装した伝熱管。
  3. プレート本体は、折曲部を介してV字形に折曲し一対のアーム部を設けたV字形板部材を複数個、軸中心部で折曲部を互いに当接配置する事により形成し、管軸方向に平行に配置されるアーム部の表面に、板状フィンを面接触により接続した事を特徴とする請求項1のフィン部材を内装した伝熱管。
  4. プレート本体は、両端に一対のアーム部を設けたI字形長尺板部材の両面に、折曲部を介してV字形に折曲し一対のアーム部を設けたV字形板部材の折曲部を、軸中心部で当接させ、更にV字形板部材の折曲部内面に、アーム部を設けたI字形短尺板部材の一端面を当接させて形成し、管軸方向に平行に配置されるアーム部の表面に、板状フィンを面接触により接続した事を特徴とする請求項1のフィン部材を内装した伝熱管。
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