JP2005048848A - 樹脂チューブ付クイックコネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料輸送用として用いられる細径の樹脂チューブをワンタッチで簡単に相手パイプに接続することのできる樹脂チューブ付クイックコネクタを提供する。
【解決手段】燃料輸送用の樹脂チューブ10を相手パイプ12に接続するための樹脂チューブ付クイックコネクタ16を、コネクタ本体18と、リテーナ20と、シール部材(Oリング22,ブッシュ24)とを含んで構成する。そのコネクタ本体18には軸方向の一方の側にソケット状のリテーナ保持部26を、他方の側にチューブ接続部28を設けておき、そしてチューブ接続部28の内部に樹脂チューブ10を挿入した状態にそれらチューブ接続部28と樹脂チューブ10とを樹脂同士の溶着により接合一体化する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は樹脂チューブ付クイックコネクタに関し、詳しくは燃料輸送用の樹脂チューブを相手パイプに接続するための樹脂チューブ付クイックコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、自動車の燃料輸送用として、例えば燃料タンク内の燃料をエンジン側に輸送するためのものとして樹脂チューブが広く用いられている。
この樹脂チューブは、車体側の相手パイプに接続されて燃料輸送用の配管系を構成する。
【0003】
従来、この樹脂チューブと相手パイプとの接続用としてワンタッチで接続が行えるクイックコネクタが用いられている。
例えば下記特許文献1にこの種のクイックコネクタが開示されている。図9,図10はこのクイックコネクタの具体的な構成例を示している。
【0004】
これらの図において、200は樹脂チューブであり、202はその樹脂チューブ200を接続すべき相手パイプである。
相手パイプ202には、その外周面に環状に突出する係合凸部(パイプ側係合部)204が形成されている。
【0005】
206はクイックコネクタで、コネクタ本体(ここでは全体が樹脂製)208と、リテーナ210及びシール部材としてのOリング212,ブッシュ214とを有している。
コネクタ本体208は、軸方向の一方の側にリテーナ保持部216を有しており、また他方の側にチューブ接続部としてのニップル部218を有している。
【0006】
ニップル部218は、樹脂チューブ200の内部に軸方向に挿入される部分であって、その外周面に且つ軸方向の異なった複数箇所に、断面が鋸歯状の先端が鋭角をなす環状突起220が形成されている。
コネクタ本体208は、このニップル部218を樹脂チューブ200内部に圧入することによって、かかる樹脂チューブ200と接続される。
【0007】
このとき、ニップル部218の外周面に形成された環状突起220が、圧入により膨出変形した樹脂チューブ200の端部内面に食い込んで樹脂チューブ200を抜止めする。
尚、ニップル部218には環状溝が形成されていて、そこにOリング222が保持されており、このOリング222によってニップル部218と樹脂チューブ200との間が気密にシールされる。
【0008】
上記リテーナ保持部216は、リテーナ210を内部に収容状態で保持する部分で、コネクタ本体208はこのリテーナ210を介して相手パイプ202と接続される。
このリテーナ保持部216には、その前端にリテーナ210との掛止用の掛止部(本体側掛止部)224が設けられている。
一方リテーナ210は、全体として略環状をなす樹脂製の部材であって径方向に弾性変形可能となしてある。
【0009】
このリテーナ210には、相手パイプ202の係合凸部204を径方向内方から係合させる係合凹部(リテーナ側係合部)225と、コネクタ本体208側の上記掛止部224に対し、同じく径方向内方から嵌り合って軸方向に掛止する掛止溝(リテーナ側掛止部)226とが設けられている。
リテーナ210は、この掛止溝226をリテーナ保持部216の掛止部224に掛止させることで、かかるリテーナ保持部216により軸方向に固定状態に保持される。
【0010】
このリテーナ210にはまた、内周面と外周面とにテーパ形状の内周カム面228と外周カム面230とが形成されている。
内周カム面228は、相手パイプ202をリテーナ210内部に軸方向に挿入したとき、係合凸部204と当接してその移動案内をなすとともに、係合凸部204の移動に伴ってリテーナ210をカム作用で全体的に且つ弾性的に拡開運動させ、係合凸部204の通過を許容する。
そして係合凸部204が係合凹部225の位置に到ったところでリテーナ210が全体的に元の形状に復形し、これと同時に係合凸部204が係合凹部225に嵌り合って、それらが軸方向に互いに固定状態となる。
【0011】
他方外周カム面230は、リテーナ210をコネクタ本体208のリテーナ保持部216に軸方向に挿入する際、掛止部224との当接によってリテーナ210を全体的に且つ弾性的に縮径運動させ、その縮径運動を伴って掛止溝226を掛止部224に対し掛止させる。
尚リテーナ210の先端部には操作つまみ231が設けられており、この操作つまみ231に力を加えることによって、リテーナ210を縮径運動させることもできる。
【0012】
このクイックコネクタ206では、リテーナ210をコネクタ本体208のリテーナ保持部216に保持させておき、その状態で相手パイプ202をリテーナ210内部に軸方向に挿入する。
このとき、リテーナ210は相手パイプ202の係合凸部204によって拡開方向に弾性的に押し拡げられ、そして係合凸部204が係合凹部225に到ったところで縮径運動するとともに、係合凸部204が係合凹部225に掛止した状態となる。
【0013】
尚、リテーナ210を予め相手パイプ202に装着しておいて、その状態で相手パイプ202をリテーナ210ごとコネクタ本体208に挿入するようにしても良い。
このとき、リテーナ210は一旦縮径運動した後、掛止溝226が掛止部224の位置に到ったところで拡開運動し、掛止溝226が掛止部224に係合した状態となる。
【0014】
上記シール部材としてのOリング212及びブッシュ214は、リテーナ保持部216よりも奥側においてコネクタ本体208内部に装着保持されており、コネクタ本体208内に相手パイプ202が挿入された時点で、これらOリング212及びブッシュ214が相手パイプ202の挿入端部232、即ち係合凸部204よりも先端側の挿入端部232の外周面に気密に接触して、かかる相手パイプ202とコネクタ本体208との間を気密にシールする。
尚、図9(A)ではOリング212を2つ用いているが、(B)に示しているようにコンパクト化のためにOリング212を1つだけ用いる場合もある。
【0015】
以上から分るように、このようなクイックコネクタ206を用いた接続では、樹脂チューブ200をワンタッチで簡単に相手パイプ202に接続することができる。
【0016】
ところで樹脂チューブを用いた燃料輸送システムでは、従来、図11に示しているようにフューエルリターンシステムが多く用いられている。
このフューエルリターンシステムでは、燃料タンク234内の燃料を燃料ポンプ236により一定圧力の下で供給路238を通じて供給し、これをインジェクタ240からエンジンのシリンダ242内に噴射し、そして余剰の燃料を返送路244を通じて燃料タンク234へと返送する。
【0017】
これに対し、近年、燃料タンク234から余剰の燃料を供給せずに必要な量だけ即ち消費分だけをエンジン側に供給し、図11のフューエルリターンシステムのように余剰の燃料を燃料タンク234に戻すといったことを行わないフューエルリターンレスシステムが用いられるようになって来ている。
【0018】
前者のフューエルリターンシステムの場合、配管系統内で燃料が絶えず循環しており、その配管内で、特にエンジン近傍で燃料の温度が特に高くなるといったことはないが、後者のフューエルリターンレスシステムの場合、樹脂チューブを含む配管の内径が前者のフューエルリターンシステムと同様の太いものとしておくと、樹脂チューブを含む配管の内部で燃料が滞留してしまい、特にエンジン近傍においてその滞留状態の燃料が温度上昇してしまうといった問題を生ずる。
【0019】
従って後者のフューエルリターンレスシステムの場合には、樹脂チューブを含む配管の内径を小さくしておく必要がある。
従来の樹脂チューブの場合には例えば内径が6mm、外径が8mm程度の太さの樹脂チューブが用いられていたが、後者のフューエルリターンレスシステムの場合には、かかる樹脂チューブとして、例えば内径が2.5mm、外径が4mm程度の細い樹脂チューブを用いることが必要となる。
【0020】
この場合、上記のようなクイックコネクタ206を用いてこの細径の樹脂チューブを相手パイプ202に接続しようとすると、樹脂チューブの内径が小さ過ぎて、クイックコネクタ206のニップル部218を樹脂チューブ内部に圧入し接続するといったことが実際上できなくなる。
即ちこのような細径の樹脂チューブを相手パイプ202に接続するに際して、上記のようなクイックコネクタ206を用いた接続ができなくなってしまう。
【0021】
【特許文献1】
特開平11−201355号公報
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂チューブ付クイックコネクタはこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、燃料輸送用の樹脂チューブを相手パイプに接続するための樹脂チューブ付クイックコネクタであって、(A)コネクタ本体と、(B)リテーナと、(C)シール部材とを含んでおり、前記(A)コネクタ本体は全体として筒状をなし、軸方向の一方の側にソケット状のリテーナ保持部を、他方の側にチューブ接続部を有するとともに、少なくとも該チューブ接続部が樹脂製とされており、前記(B)リテーナは前記リテーナ保持部に保持される部材であって、前記相手パイプの外周面且つ挿入側の軸方向端から離隔した位置の凸状又は凹状のパイプ側係合部に係合して、挿入された該相手パイプを軸方向に固定するものとなしてあり、前記(C)シール部材は前記リテーナ保持部よりも前記チューブ接続部側の奥部において前記コネクタ本体内部に装着されていて、前記挿入された相手パイプの前記パイプ側係合部よりも先端側の挿入端部の外周面に接触して、それら挿入端部と該コネクタ本体の内面との間を気密にシールするものとなしてあり、且つ前記コネクタ本体の前記チューブ接続部には、その内部に前記樹脂チューブが挿入された状態で一体に接合され、抜止状態に固定されていることを特徴とする。
【0023】
請求項2のものは、燃料輸送用の樹脂チューブを相手パイプに接続するための樹脂チューブ付クイックコネクタであって、(A)コネクタ本体と、(B)リテーナと、(C)シール部材とを含んでおり、前記(A)コネクタ本体は全体として筒状をなし、軸方向の一方の側にソケット状のリテーナ保持部を、他方の側にチューブ接続部を有するとともに、少なくとも該チューブ接続部が樹脂製とされており、前記(B)リテーナは前記リテーナ保持部に保持される部材であって、前記相手パイプの外周面且つ挿入側の軸方向端から離隔した位置の凸状又は凹状のパイプ側係合部に係合して、挿入された該相手パイプを軸方向に固定するものとなしてあり、前記(C)シール部材は前記リテーナ保持部よりも前記チューブ接続部側の奥部において前記コネクタ本体内部に装着されていて、前記挿入された相手パイプの前記パイプ側係合部よりも先端側の挿入端部の外周面に接触して、それら挿入端部と該コネクタ本体の内面との間を気密にシールするものとなしてあり、且つ前記コネクタ本体の前記チューブ接続部には、その内部に該チューブ接続部及び前記樹脂チューブとは別体をなす筒状の中間部材が挿入されるとともに、該中間部材の内部に該樹脂チューブが挿入され、該中間部材が該チューブ接続部に対して一体に接合されるとももに、該樹脂チューブが該中間部材から抜止手段にて抜止めされ、該中間部材を介して該樹脂チューブが該チューブ接続部に抜止状態に固定されていることを特徴とする。
【0024】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記リテーナが径方向に弾性変形可能な部材であって、(イ)前記コネクタ本体の前記リテーナ保持部の側に形成された本体側掛止部に対して、径方向内方から嵌り合って軸方向に掛止し固定されるリテーナ側掛止部と、(ロ)該リテーナへの前記相手パイプの挿入時に該リテーナを弾性的に拡開させるための内周カム面又は該リテーナの前記リテーナ保持部への挿入時に該リテーナを弾性的に縮径させるための外周カム面の少なくとも何れかと、を有していることを特徴とする。
【0025】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記樹脂チューブは内径が4mm以下の細径のものであることを特徴とする。
【0026】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記樹脂チューブがフューエルリターンレスシステムに用いられる樹脂チューブであることを特徴とする。
【0027】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記接合が樹脂同士の溶着による接合であることを特徴とする。
【0028】
請求項7のものは、請求項6において、前記接合が前記樹脂チューブを成形型にセットした状態で該樹脂チューブの一部を覆うように樹脂モールドされたオーバーモールドによる接合であることを特徴とする。
【0029】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、リテーナ保持部においてリテーナを保持し、そのリテーナを介してコネクタ本体と相手パイプとを接続する形態のクイックコネクタにおいて、そのリテーナ保持部とは反対側に形成されたチューブ接続部に対し、その内部に樹脂チューブを挿入した状態にそれらチューブ接続部と樹脂チューブとを一体に接合したもので、本発明の樹脂チューブ付クイックコネクタを用いれば、細径の樹脂チューブであってもワンタッチで簡単に相手パイプに接続することができる。
【0030】
これに対し請求項2は、筒状の中間部材を介してコネクタ本体のチューブ接続部に樹脂チューブを挿入し、そして中間部材とチューブ接続部とを一体に接合する一方、その中間部材に対し樹脂チューブを抜止状態に固定したもので、この請求項2においても細径の樹脂チューブをワンタッチで簡単に相手パイプに接続することができる。
【0031】
ここで上記リテーナは、径方向に弾性変形可能な部材で、且つコネクタ本体側である本体側掛止部に掛止するリテーナ側掛止部と、内周カム面又は外周カム面の少なくとも何れかとを備えたものとして構成しておくことができる(請求項3)。
【0032】
ここで上記樹脂チューブは内径が4mm以下の細径のものとなしておくことができる(請求項4)。
またその樹脂チューブは、フューエルリターンレスシステムに用いられる樹脂チューブとしておくことができる(請求項5)。
【0033】
上記チューブ接続部と樹脂チューブ又は中間部材との接合は、樹脂同士の溶着による接合となすことができる(請求項6)。
このようにすれば、簡単にチューブ接続部と樹脂チューブ又は中間部材とを接合することができる。
【0034】
この請求項6において、前記チューブ接続部に対する前記樹脂チューブの溶着箇所よりも前記リテーナ保持部側において、それらチューブ接続部と樹脂チューブとの間をシール部材にて気密にシールしておくことができる。
このようにすれば、シール部材によってチューブ接続部と樹脂チューブとの間のシールを確保することができるため、必ずしも溶着部においてチューブ接続部と樹脂チューブとの間のシールを確保する必要がなく、溶着部はチューブ接続部からの樹脂チューブの抜止めの働きだけを行えば良いため、溶着のための加工をより容易に行うことが可能となる。
【0035】
この請求項6ではまた、前記チューブ接続部と樹脂チューブ又は前記筒状の中間部材とを溶着により接合するに際し、軸直角方向に突出する突出部において溶着を行うことができる。
このように突出部を設けて、その突出部で溶着を行うようにすれば、樹脂同士を接触部全長且つ全周に亘って溶着するよりも、より容易に完全溶着させることができる。
尚この突出部は周方向に延びる環状の突出部となしておくことができる。
【0036】
ここで中間部材に突出部を設けて溶着を行うようにした場合、突出部をコネクタ本体のチューブ接続部や樹脂チューブに設ける場合に比べて、突出部を設けるための加工を行い易く有利である。
【0037】
請求項6においては、更に、前記中間部材の外周側に前記突出部を設けておき、該チューブ接続部と中間部材とを該突出部で溶着により接合する一方、該樹脂チューブの挿入側端部にフランジ部を設けておいて、該フランジ部の該中間部材への当接により、該樹脂チューブを該中間部材を介してチューブ接続部から抜止めするようになすことができる。
【0038】
上記中間部材の外周側と内周側とのそれぞれに上記突出部を設けておき、そして外周側の突出部において中間部材とチューブ接続部とを、また内周側の突出部において中間部材と樹脂チューブとをそれぞれ溶着により接合するといったことも可能であるが、この場合、内周側の突出部が樹脂チューブを傷付けたり、ピンホール等を発生させたりしてしまう恐れがある。
【0039】
これに対して突出部を中間部材の外周側にのみ設けて、中間部材とチューブ接続部とを溶着により接合するようにし、樹脂チューブの中間部材からの抜止めは、その樹脂チューブの先端部(挿入側端部)に設けたフランジ部と中間部材との当接により行うようになしておけば、上記のような不都合を生じることなく、樹脂チューブをチューブ接続部から確実に抜止めすることができる。
【0040】
請求項6において、チューブ接続部と樹脂チューブとの接合はオーバーモールドによる接合となしておくことができる(請求項7)。
更にこの場合において、樹脂チューブの一部を覆うようにコネクタ本体を成形し、このとき同時に上記コネクタ本体のオーバーモールド部分にて樹脂チューブと接合するようになすこともできる。或いはまた樹脂チューブと予め成形したコネクタ本体とを併せて成形型にセットした状態で、それらを繋ぐようにオーバーモールドを行うようになすこともできる。
【0041】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1〜図3において、10は自動車のフューエルリターンレスシステムの燃料輸送用として用いられる細径の樹脂チューブであって、ここでは内径dがφ2.5mm、外径dがφ4mmとされている。
12は樹脂チューブ10を接続すべき相手パイプ(ここでは金属製)で、外周面に環状に突出する係合凸部(パイプ側係合部)14が形成されている。
【0042】
16はクイックコネクタで、全体として筒状をなすコネクタ本体(ここでは全体が樹脂製)18と、リテーナ20及びシール部材としてのOリング22,ブッシュ24とを有している。
【0043】
ここでクイックコネクタ16(シール部材を除く),樹脂チューブ10の材質は、耐熱性,耐燃料透過性,耐ガソリン性(ガソリンに接しても膨潤し難い)やコストの点から適宜選択される。
具体的には、ポリアミド系(PA11,PA12,P6,PA66,PPA等)やPPS等は耐熱性が優れ、ポリエステル系(PBT,PET,PEN等)は耐燃料透過性,耐ガソリン性が優れる。
またPOMは耐熱性と耐燃料透過性,耐ガソリン性を確保しながら、比較的安価である。
【0044】
また上記材料はそのまま用いる外、強度向上のためガラス繊維を配合したり、耐燃料透過性向上のためクレー等のナノコンポジット材を配合して用いることも望ましい。
またクイックコネクタ16,樹脂チューブ10の材質は同材質のものとするのが溶着性の観点から望ましく、樹脂チューブ10の材料としては上述のポリアミド系,ポリエステル系,POM等の任意の樹脂材料にエラストマーをアロイ化したものを用いることにより、樹脂そのものが有する耐熱性,耐燃料透過性に加え、樹脂チューブ10に可撓性を付加することができる。
【0045】
上記コネクタ本体18は、軸方向の一方の側にソケット状のリテーナ保持部26を有しており、また他方の側にチューブ接続部28を有している。
【0046】
リテーナ保持部26は、リテーナ20を内部に収容状態で保持する部分で、コネクタ本体18はこのリテーナ20を介して相手パイプ12と接続される。
このリテーナ保持部26には、開口窓30とリテーナ20との掛止用の前端の掛止部(本体側掛止部)32とが設けられている。
一方リテーナ20は、全体として略環状(ここでは断面C字状)をなす樹脂製の部材であって、径方向に弾性変形可能となしてある。
【0047】
このリテーナ20には、相手パイプ12の係合凸部14を径方向内方から係合させてこれを軸方向に固定する係合凹部(リテーナ側係合部)34と、コネクタ本体18側の上記掛止部32に対し、同じく径方向内方から嵌り合って軸方向に掛止する掛止溝(リテーナ側掛止部)36とが設けられている。
リテーナ20は、この掛止溝36をリテーナ保持部26の掛止部32に掛止させることで、かかるリテーナ保持部26により軸方向に固定状態に保持される。
【0048】
このリテーナ20にはまた、内周面と外周面とにテーパ形状の内周カム面38と外周カム面40とが形成されている。
内周カム面38は、相手パイプ12をリテーナ20内部に軸方向に挿入したとき、係合凸部24と当接してその移動案内をなすとともに、係合凸部14の移動に伴ってリテーナ20をカム作用で全体的に且つ弾性的に拡開運動させ、係合凸部14の通過を許容する。
そして係合凸部14が係合凹部34の位置に到ったところでリテーナ20が全体的に元の形状に復形し、これと同時に係合凸部14が係合凹部34に嵌り合って、それらが軸方向に互いに固定状態となる。
【0049】
他方外周カム面40は、リテーナ20をコネクタ本体18のリテーナ保持部26に軸方向に挿入する際、掛止部32との当接によってリテーナ20を全体的に且つ弾性的に縮径運動させ、その縮径運動を伴って掛止溝36を掛止部32に対し掛止させる。
尚リテーナ20の先端部には操作つまみ42が設けられており、この操作つまみ42に力を加えることによってリテーナ20を縮径運動させることもできる。
【0050】
このクイックコネクタ16では、リテーナ20をコネクタ本体18のリテーナ保持部26に保持させておき、その状態で相手パイプ12をリテーナ20内部に軸方向に挿入する。
このとき、リテーナ20は相手パイプ12の係合凸部14によって拡開方向に弾性的に押し拡げられ、そして係合凸部14が係合凹部34に到ったところで縮径運動するとともに、係合凸部14が係合凹部34に係合した状態となる。
【0051】
尚、リテーナ20を予め相手パイプ12に装着しておいて、その状態で相手パイプ12をリテーナ20ごとコネクタ本体18に挿入するようにしても良い。
このとき、リテーナ20は一旦縮径運動した後、掛止溝36が掛止部32の位置に到ったところで拡開運動し、掛止溝36が掛止部32に掛止した状態となる。
【0052】
上記シール部材としてのOリング22及びブッシュ24は、リテーナ保持部26よりも奥側においてコネクタ本体18内部に装着保持されており、コネクタ本体18内に相手パイプ12が挿入された時点で、これらOリング22及びブッシュ24が、相手パイプ12の挿入端部44、即ち係合凸部14よりも先端側の挿入端部44の外周面に気密に接触して、かかる相手パイプ12とコネクタ本体18との間を気密にシールする。
【0053】
上記チューブ接続部28は小径の筒状をなしていて、内面側に軸方向の段付部46を有する嵌入凹部48が形成されている。
そしてそこに樹脂チューブ10の先端部が嵌入された状態にそれらチューブ接続部28と樹脂チューブ10、詳しくはチューブ接続部28の内面と樹脂チューブ10の外面とが樹脂同士の溶着により接合一体化されている。
【0054】
即ちこの例のクイックコネクタ16は、予め樹脂チューブ10が樹脂同士の溶着により接合一体化された樹脂チューブ10付きのもので、かかる樹脂チューブ10を相手パイプ12に接続するに際しては、樹脂チューブ10が本例のように細径のものであっても、相手パイプ12をクイックコネクタ16内部に挿入するだけで、ワンタッチで簡単に樹脂チューブ10を相手パイプ12に接続することができる。
【0055】
上記チューブ接続部28と樹脂チューブ10との接合は様々な手段にて行うことができる。
図4はその一例を示したもので、ここでは樹脂チューブ10の先端部とチューブ接続部28とを加熱により軟化させ、そして樹脂チューブ10の先端部をチューブ接続部28の嵌入凹部48に嵌入させた状態で外方から内方に向って力Fを加え、チューブ接続部28と樹脂チューブ10とをかしめ固定して、樹脂同士の溶着によりそれらを接合一体化するようになした例である。
【0056】
図5の例は、同じく樹脂チューブ10の先端部をチューブ接続部28の嵌入凹部48に嵌入させた状態で、チューブ接続部28に超音波振動を加え、チューブ接続部28の内面と樹脂チューブ10の外面とを超音波振動による発熱で軟化させて、樹脂同士の溶着によりチューブ接続部28と樹脂チューブ10とを接合一体化するようになした例である。
【0057】
図6は更に他の例を示したもので、この例はチューブ接続部28の嵌入凹部48に樹脂チューブ10の先端部を嵌入させておき、その状態でそれらチューブ接続部28及び樹脂チューブ10を部分的に外面から覆うように連結部50をオーバーモールドし、かかる連結部50にてそれらチューブ接続部28と樹脂チューブ10とを接合一体化するようになした例である。
【0058】
ここでオーバーモールドによる連結部50によってチューブ接続部28と樹脂チューブ10とを接合するには、チューブ接続部28の嵌入凹部48に樹脂チューブ10の先端部を嵌入した状態でこれを成形金型にセットし、その成形金型の凹所内に樹脂材をモールドすることによって連結部50を成形し、かかる連結部50によってチューブ接続部28と樹脂チューブ10とを接合状態となすことができる。
【0059】
但し場合によって樹脂チューブ10をコネクタ本体18の成形用の金型にセットしておき、そのコネクタ本体18を成形すると同時に、そのコネクタ本体18の一部が樹脂チューブ10の外面を覆うようにオーバーモールドさせ、同部分によってコネクタ本体18と、具体的にはチューブ接続部28と樹脂チューブ10とを接合一体化するようになしても良い。
【0060】
その他に、チューブ接続部28と樹脂チューブ10との樹脂同士の溶着による接合は、それらチューブ接続部28或いは樹脂チューブ10を図5に示す矢印S方向にスピン(回転)させて、それらの接触面で発熱及び軟化させることによって行うこともできる。
【0061】
図7は樹脂同士の溶着による他の接合例を示している。
この例は、短い筒状且つ樹脂製の中間部材60を介してチューブ接続部28と樹脂チューブ10とを樹脂同士の溶着により互いに接合するようになした例である。
【0062】
この例では、中間部材60の外周側と内周側とに軸直角方向の突出部62,64が設けてあり、外周側の突出部62において中間部材60がチューブ接続部28に、また内周側の突出部64において中間部材60が、そこに挿入された樹脂チューブ10にそれぞれ溶着により接合されている。
【0063】
即ちこの例では、樹脂チューブ10とチューブ接続部28とが同じく樹脂製の中間部材60を介して溶着により互いに接合されている。
尚突出部62,64は環状の突出部となしておくことができる。
中間部材60には、軸端にフランジ部66が設けてあり、このフランジ部66によって、チューブ接続部28に対する中間部材60の挿入量が規定されている。
【0064】
この例ではまた、中間部材60とチューブ接続部28及び樹脂チューブ10との溶着部よりも図中左側、即ちリテーナ保持部26側において樹脂チューブ10とチューブ接続部28との間に、シール部材としてのOリング68が介装されており、かかるOリング68によって、樹脂チューブ10とチューブ接続部28との間が気密にシールされている。
【0065】
本例では、Oリング68によってチューブ接続部28と樹脂チューブ10との間のシールが行われることから、中間部材60とチューブ接続部28及び樹脂チューブ10との溶着部は、単に樹脂チューブ10の抜止部としての働きを行えば良く、溶着のための加工を容易に行うことができる。
【0066】
図8は溶着による接合の更に他の例を示したもので、ここでは中間部材60の外周側にのみ突出部62が設けられ、内周側には図7に示す突出部64は設けられていない。
これに代えて樹脂チューブ10の先端部(挿入側端部)には軸直角方向外向きのフランジ部70が設けてあり、このフランジ部70がOリング68を介して中間部材60に当接することによって、かかる樹脂チューブ10の中間部材60からの抜止め、即ちチューブ接続部28からの抜止めがなされている。
【0067】
図7に示す例では、中間部材60に設けた内周側の突出部64が樹脂チューブ10を傷付けたりピンホール等を発生させたりする恐れがあるが、図8の例ではそのような恐れがない利点がある。
【0068】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記リテーナ,リテーナ保持部を含むクイックコネクタの形態については他の様々な形態が可能であるし、またコネクタ本体におけるチューブ接続部と樹脂チューブとの接合手段として接着その他の手段を用いることも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である樹脂チューブ付クイックコネクタを相手パイプとの接続状態で示す図である。
【図2】同実施例のクイックコネクタをコネクタ本体とリテーナとに分解した状態且つ相手パイプ接続前の状態で示す図である。
【図3】同実施例のクイックコネクタをコネクタ本体とリテーナとに分解した状態且つ相手パイプ及び樹脂チューブ接続前の状態で示す図である。
【図4】同実施例のチューブ接続部と樹脂チューブとの接合手段の一例を示す説明図である。
【図5】同実施例のチューブ接続部と樹脂チューブとの接合手段の他の例を示す説明図である。
【図6】同実施例のチューブ接続部と樹脂チューブとの接合手段の更に他の例を示す説明図である。
【図7】同実施例のチューブ接続部と樹脂チューブとの接合手段の更に他の例を示す説明図である。
【図8】同実施例のチューブ接続部と樹脂チューブとの接合手段の更に他の例を示す説明図である。
【図9】従来のクイックコネクタの一例を樹脂チューブとの接続状態且つ相手パイプとの接続前の状態で示す図である。
【図10】図9におけるクイックコネクタの要部を示す図である。
【図11】フューエルリターンシステムの概念図である。
【符号の説明】
10 樹脂チューブ
12 相手パイプ
14 係合凸部(パイプ側係合部)
16 樹脂チューブ付クイックコネクタ
18 コネクタ本体
20 リテーナ
22 Oリング(シール部材)
24 ブッシュ(シール部材)
26 リテーナ保持部
28 チューブ接続部
32 掛止部(本体側掛止部)
34 係合凹部(リテーナ側係合部)
36 掛止溝(リテーナ側掛止部)
38 内周カム面
40 外周カム面
44 挿入端部
樹脂チューブの内径

Claims (7)

  1. 燃料輸送用の樹脂チューブを相手パイプに接続するための樹脂チューブ付クイックコネクタであって、(A)コネクタ本体と、(B)リテーナと、(C)シール部材とを含んでおり、
    前記(A)コネクタ本体は全体として筒状をなし、軸方向の一方の側にソケット状のリテーナ保持部を、他方の側にチューブ接続部を有するとともに、少なくとも該チューブ接続部が樹脂製とされており、
    前記(B)リテーナは前記リテーナ保持部に保持される部材であって、前記相手パイプの外周面且つ挿入側の軸方向端から離隔した位置の凸状又は凹状のパイプ側係合部に係合して、挿入された該相手パイプを軸方向に固定するものとなしてあり、
    前記(C)シール部材は前記リテーナ保持部よりも前記チューブ接続部側の奥部において前記コネクタ本体内部に装着されていて、前記挿入された相手パイプの前記パイプ側係合部よりも先端側の挿入端部の外周面に接触して、それら挿入端部と該コネクタ本体の内面との間を気密にシールするものとなしてあり、
    且つ前記コネクタ本体の前記チューブ接続部には、その内部に前記樹脂チューブが挿入された状態で一体に接合され、抜止状態に固定されていることを特徴とする樹脂チューブ付クイックコネクタ。
  2. 燃料輸送用の樹脂チューブを相手パイプに接続するための樹脂チューブ付クイックコネクタであって、(A)コネクタ本体と、(B)リテーナと、(C)シール部材とを含んでおり、
    前記(A)コネクタ本体は全体として筒状をなし、軸方向の一方の側にソケット状のリテーナ保持部を、他方の側にチューブ接続部を有するとともに、少なくとも該チューブ接続部が樹脂製とされており、
    前記(B)リテーナは前記リテーナ保持部に保持される部材であって、前記相手パイプの外周面且つ挿入側の軸方向端から離隔した位置の凸状又は凹状のパイプ側係合部に係合して、挿入された該相手パイプを軸方向に固定するものとなしてあり、
    前記(C)シール部材は前記リテーナ保持部よりも前記チューブ接続部側の奥部において前記コネクタ本体内部に装着されていて、前記挿入された相手パイプの前記パイプ側係合部よりも先端側の挿入端部の外周面に接触して、それら挿入端部と該コネクタ本体の内面との間を気密にシールするものとなしてあり、
    且つ前記コネクタ本体の前記チューブ接続部には、その内部に該チューブ接続部及び前記樹脂チューブとは別体をなす筒状の中間部材が挿入されるとともに、該中間部材の内部に該樹脂チューブが挿入され、該中間部材が該チューブ接続部に対して一体に接合されるとももに、該樹脂チューブが該中間部材から抜止手段にて抜止めされ、該中間部材を介して該樹脂チューブが該チューブ接続部に抜止状態に固定されていることを特徴とする樹脂チューブ付クイックコネクタ。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、前記リテーナが径方向に弾性変形可能な部材であって、(イ)前記コネクタ本体の前記リテーナ保持部の側に形成された本体側掛止部に対して、径方向内方から嵌り合って軸方向に掛止し固定されるリテーナ側掛止部と、(ロ)該リテーナへの前記相手パイプの挿入時に該リテーナを弾性的に拡開させるための内周カム面又は該リテーナの前記リテーナ保持部への挿入時に該リテーナを弾性的に縮径させるための外周カム面の少なくとも何れかと、を有していることを特徴とする樹脂チューブ付クイックコネクタ。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記樹脂チューブは内径が4mm以下の細径のものであることを特徴とする樹脂チューブ付クイックコネクタ。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記樹脂チューブがフューエルリターンレスシステムに用いられる樹脂チューブであることを特徴とする樹脂チューブ付クイックコネクタ。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、前記接合が樹脂同士の溶着による接合であることを特徴とする樹脂チューブ付クイックコネクタ。
  7. 請求項6において、前記接合が前記樹脂チューブを成形型にセットした状態で該樹脂チューブの一部を覆うように樹脂モールドされたオーバーモールドによる接合であることを特徴とする樹脂チューブ付クイックコネクタ。
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