JP2005047847A - 殺ダニ剤 - Google Patents

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宣好 高橋
Naoki Ishii
直樹 石井
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Abstract

【課題】 本発明は、ダニに対して格段に優れた防除効果を有する殺ダニ剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、下記一般式(1)で表されるアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを含有する殺ダニ剤を提供する。
【化1】
Figure 2005047847

[式中、R1はC1-6アルキル基、R2は水素原子又は基−C(=O)−R3を示す。ここで、R3はC1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基又はC1-4アルキルチオ基を示す。Qは
【化2】
Figure 2005047847

を示す。ここで、R4はC1-4ハロアルキル基、R5はC1-4アルキル基、R6はC1-4ハロアルキル基、R7はハロゲン原子を示す。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、殺ダニ剤に関する。
殺ダニ剤の長年の使用により、ダニが抵抗性を獲得し、そのために従来の殺ダニ剤によるダニの防除が困難になってきている。そこで、新規な殺ダニ剤の開発が急務となっている。
近年、殺ダニ活性を有するアクリロニトリル系化合物が提案されている。
例えば、特許文献1には、一般式(A)
Figure 2005047847
[式中、Qaは、
Figure 2005047847
を示す。Yaは、=C(Ra 4)−又は=N−を示す。Ra 1は、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、−C(=O)Ra 5、−C(=S)Ra 5、−S(O)Waa 5又は−CH2a 9を示す。Ra 2及びRa 3は、それぞれハロゲン、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルケニル、置換されてもよいアルキニル、置換されてもよいアルコキシ、置換されてもよいアルケニルオキシ、置換されてもよいアルキニルオキシ、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルキルスルフィニル、置換されてもよいアルキルスルホニル、置換されてもよいアルケニルチオ、置換されてもよいアルケニルスルフィニル、置換されてもよいアルケニルスルホニル、置換されてもよいアルキニルチオ、置換されてもよいアルキニルスルフィニル、置換されてもよいアルキニルスルホニル、ニトロ、シアノ、置換されてもよいフェニル、置換されてもよいフェノキシ、置換されてもよいフェニルチオ、置換されてもよいフェニルスルフィニル、置換されてもよいフェニルスルホニル、置換されてもよいベンジル、置換されてもよいベンジルオキシ、置換されてもよいベンジルチオ又は置換されてもよいベンゾイルを示す。Ra 4は、水素、ハロゲン、アルキル又はハロアルキルを示す。Ra 5は、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルケニル、置換されてもよいアルキニル、置換されてもよいアルコキシ、置換されてもよいアルケニルオキシ、置換されてもよいアルキニルオキシ、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルケニルチオ、置換されてもよいアルキニルチオ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、−N(Ra 7)Ra 8、置換されてもよいフェニル、置換されてもよいフェノキシ、置換されてもよいフェニルチオ、置換されてもよいベンジル、置換されてもよいベンジルオキシ、置換されてもよいベンジルチオ、−Ja、−O−Ja又は−S−Jaを示す。Ra 7及びRa 8は、それぞれ水素、アルキル又はアルコキシを示す。Ra 9は、シアノ、置換されてもよいフェニル、置換されてもよいフェノキシ、置換されてもよいフェニルチオ、置換されてもよいフェニルスルフィニル、置換されてもよいフェニルスルホニル、置換されてもよいベンジル、置換されてもよいベンジルオキシ、置換されてもよいベンジルチオ、置換されてもよいベンゾイル、−Ja、−C(=O)Ra 10、−C(=S)Ra 10、−S(O)Waa 10又はトリメチルシリルを示す。Ra 10は、アルキル又はアルコキシを示す。Jaは、O、S及びNからなる群より選ばれた少なくとも1種のヘテロ原子を1〜4含有する5もしくは6員複素環基(複素環基は置換されていてもよい)を示す。lは、1〜4の整数を示す。maは、0〜5の整数を示す。naは、0〜3の整数を示す。qaは、0〜4の整数を示す。waは、0〜2の整数を示す。laが2以上の場合のRa 2は、同一でも相異なってもよく、ma、na及びqaの各々が2以上の場合のRa 3は、同一でも相異なってもよい。但し、以下の化合物を除く(1)QaがQbであり、Yが=C(Ra 4)−であり、且つRa 1がアルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、−S(O)Waa 5又は−CH2a 9である化合物、(2)QaがQa bであり、Yaが=C(Ra 4)−であり、Ra 1が−C(=O)Ra 5であり、且つRa 5が置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルケニル、置換されてもよいアルキニル、置換されてもよいアルコキシ、置換されてもよいアルケニルオキシ、置換されてもよいアルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、−N(Ra 7)Ra 8、置換されてもよいフェニル、置換されてもよいフェノキシ、置換されてもよいフェニルチオ、置換されてもよいベンジル、置換されてもよいベンジルオキシ、置換されてもよいベンジルチオ、−Ja、−O−Ja又は−S−Jaである化合物、(3)QaがQa bであり、Yaが=C(Ra 4)−であり、Ra 1が−C(=S)R5であり、且つRa 5が−N(R7)R8である化合物、(4)QがQb又はQcであり、Yが=N−であり、Ra 1がアルキル又は−C(=O)Ra 5であり、且つRa 5がアルキルである化合物、(5)3−(4−クロロフェニル)−2−フェニル−3−エトキシアクリロニトリル、(6)2−(3,5−ジメトキシフェニル)−3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−3−アセトキシアクリロニトリル及び(7)2−(3,5−ジメトキシフェニル)−3−(2,6−ジメトキシ−4−メチルフェニル)−3−アセトキシアクリロニトリル。〕で表されるアクリロニトリル系化合物及びその塩が開示されている。
特許文献2には、一般式(B)
Figure 2005047847
〔式中、Qbは、置換されてもよいフェニル、置換されてもよいベンジル、置換されてもよいナフチル又は−Jbを示す。Xは、置換されてもよいナフチル又は−Jbを示す。Ybは、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、−C(=O)Rb 1又は−C(=S)Rb 2を示す。Rb 1は、置換されてもよいアルキニル又は−SRb 3を示す。Rb 2は、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルケニル、置換されてもよいアルキニル、置換されてもよいアルコキシ、置換されてもよいアルケニルオキシ、置換されてもよいアルキニルオキシ、置換されてもよいアルキルチオ、置換されてもよいアルケニルチオ、置換されてもよいアルキニルチオ、置換されてもよいシクロアルキル、置換されてもよいシクロアルキルオキシ、置換されてもよいシクロアルキルチオ、置換されてもよいフェニル、置換されてもよいフェノキシ、置換されてもよいフェニルチオ、置換されてもよいベンジル、置換されてもよいベンジルオキシ、置換されてもよいベンジルチオ、−Jb、−O−Jb又は−S−Jbを示す。Rb 3は、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアルケニル、置換されてもよいアルキニル、置換されてもよいシクロアルキル、置換されてもよいベンジル又は−Jbを示す。Jbは、O、S及びNからなる群より選ばれた少なくとも1種の原子を1〜4含有する5もしくは6員複素環基(複素環基は置換されていてもよい)又はO、S及びNからなる群より選ばれた少なくとも1種の原子を1〜10含有する6〜11員縮合複素環基(縮合複素環基は置換されていてもよい)を示す。但し、Xbはピリジル基を含まない。〕
で表されるアクリロニトリル系化合物及びその塩が開示されている。
更に、これらの特許文献には、これらアクリロニトリル系化合物は、他の農薬、肥料、薬害軽減剤等と混用又は併用できることが開示されている。
しかしながら、これら特許文献には、アクリロニトリル系化合物と混用又は併用してよい具体的化合物が、150以上(殺害虫剤として18系統及びその他の化合物群、具体的化合物例として66化合物、殺菌剤として31系統及びその他系統の化合物、具体的化合物例として81化合物)という膨大な数の化合物として並記されているに過ぎない。また、特許文献1及び特許文献2は、これらの具体的化合物とアクリロニトリル系化合物とを併用及び混用したときに、どのような効果が得られるかにつき具体的な教示をしていない。
特開平11−158137号公報(特許請求の範囲、0020〜0022段落) WO99/44993(特許請求の範囲)
本発明は、ダニに対して格段に優れた防除効果を有する殺ダニ剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、アクリロニトリル系化合物と混用又は併用できる数多くの化合物の中からクロルフェナピルを選択し、更にこのクロルフェナピルを特許文献1及び特許文献2に記載されているアクリロニトリル系化合物のうちの特定化合物(下記一般式(1)で表されるアクリロニトリル系化合物)と併用した場合に、ダニに対する防除効果が顕著に向上することを見い出した。本発明は、斯かる知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明は、以下の殺ダニ剤及びダニ防除方法に係る。
1.下記一般式(1)で表されるアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを含有する殺ダニ剤。
Figure 2005047847
[式中、R1はC1-6アルキル基、R2は水素原子又は基−C(=O)−R3を示す。ここで、R3はC1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基又はC1-4アルキルチオ基を示す。Qは
Figure 2005047847
を示す。ここで、R4はC1-4ハロアルキル基、R5はC1-4アルキル基、R6はC1-4ハロアルキル基、R7はハロゲン原子を示す。]
2.一般式(1)のアクリロニトリル系化合物1重量部に対して、クロルフェナピルを0.02〜40重量部程度含有する上記1に記載の殺ダニ剤。
3.一般式(1)のアクリロニトリル系化合物1重量部に対して、クロルフェナピルを0.02〜10重量部程度含有する上記2に記載の殺ダニ剤。
4.一般式(1)のアクリロニトリル系化合物1重量部に対して、クロルフェナピルを0.1〜2重量部程度含有する上記3に記載の殺ダニ剤。
5.下記一般式(1)で表されるアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを用いてダニを防除する方法。
Figure 2005047847
[式中、R1はC1-6アルキル基、R2は水素原子又は基−C(=O)−R3を示す。ここで、R3はC1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基又はC1-4アルキルチオ基を示す。Qは
Figure 2005047847
を示す。ここで、R4はC1-4ハロアルキル基、R5はC1-4アルキル基、R6はC1-4ハロアルキル基、R7はハロゲン原子を示す。]
6.下記一般式(2)で表されるアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを含有する殺ダニ剤。
Figure 2005047847
[式中、R11はtert−ブチル基、R12は水素原子、Q10
Figure 2005047847
を示す。ここで、R14はトリフルオロメチル基、R15はC1-4アルキル基、R16はC1-4ハロアルキル基、R17はハロゲン原子を示す。]
7.下記一般式(3)で表されるアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを含有する殺ダニ剤。
Figure 2005047847
[式中、R21はtert−ブチル基、R22は基−C(=O)−R23を示す。ここで、R23はC1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルチオ基を示す。Q20
Figure 2005047847
を示す。ここで、R24はトリフルオロメチル基、R25はC1-4アルキル基、R26はC1-4ハロアルキル基、R27はハロゲン原子を示す。]
8.下記一般式(4)で表されるアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを含有する殺ダニ剤。
Figure 2005047847
[式中、R31はtert−ブチル基、R32は基−C(=O)−R33を示す。ここで、R33はC1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基又はC1-4アルキルチオ基を示す。Q30
Figure 2005047847
を示す。ここで、R34はトリフルオロメチル基を示す。]
9.下記一般式(5)で表されるアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを含有する殺ダニ剤。
Figure 2005047847
[式中、R41はtert−ブチル基、R42は基−C(=O)−R43を示す。ここで、R43はC1-6アルキル基又はC1-4アルキルチオ基を示す。Q40
Figure 2005047847
を示す。ここで、R45はC1-4アルキル基、R46はC1-4ハロアルキル基、R47はハロゲン原子を示す。]
10.一般式(2)で表されるアクリロニトリル系化合物、一般式(3)で表されるアクリロニトリル系化合物、一般式(4)で表されるアクリロニトリル系化合物及び一般式(5)で表されるアクリロニトリル系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを用いてダニを防除する方法。
アクリロニトリル系化合物
本明細書において、R1で示されるC1-6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。これらのアルキル基の中でも、tert−ブチル基が好ましい。
3で示される各基は、以下の通りである。
1-6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。これらの中でもtert−ブチル基が好ましい。
1-4アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基を挙げることができる。これらの中でもメトキシ基及びエトキシ基が好ましい。
1-4アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキルチオ基を挙げることができる。これらの中でもメチルチオ基又はエチルチオ基が好ましい。
4で示されるC1-4ハロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、1−フルオロブチル基、1−クロロブチル基、4−フルオロブチル基等の1〜9個、好ましくは1〜5個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。これらの中でもトリフルオロメチル基が好ましい。
5で示されるC1-4アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。これらの中でもメチル基が好ましい。
6で示されるC1-4ハロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、1−フルオロブチル基、1−クロロブチル基、4−フルオロブチル基等の1〜9個、好ましくは1〜5個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。これらの中でもトリフルオロメチル基が好ましい。
7で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。これらの中でも塩素原子が好ましい。
一般式(1)のアクリロニトリル系化合物は、例えば、反応式−1又は反応式−2に示すに従って製造される。また、一般式(1)のアクリロニトリル系化合物の塩は、上記で製造された一般式(1)のアクリロニトリル系化合物に酸又は塩基を反応させることにより製造される。
反応式−1
Figure 2005047847
[式中、R1、R3及びQは前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。]
反応式−1に示すように、一般式(1b)で表されるアクリロニトリル系化合物は、一般式(1a)で表されるアクリロニトリル系化合物に、一般式(6)で表されるカルボニルハライド化合物を塩基の存在下、溶媒中で反応させることにより製造される。
一般式(1a)の化合物と一般式(6)の化合物との使用割合としては、通常前者1モルに対して後者1〜10モル程度、好ましくは1〜3モル程度とするのがよい。
塩基としては、公知の塩基を広く使用でき、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カリウム第3級ブチレート等のアルカリ金属のアルコレート;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;水素化カリウム、水素化ナトリウム等の金属水素化物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の第3級アミン類等が挙げられる。これらの塩基は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
塩基の使用量は、一般式(1a)の化合物1モルに対して、通常1〜10モル程度、好ましくは1〜3モル程度である。
溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば公知のものを広く使用できる。このような溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;四塩化炭素、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン等の環状又は非環状脂肪族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の極性非プロトン性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;トリメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン類;水等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
一般式(1a)の化合物と一般式(6)の化合物との反応を、4−ジメチルアミノピリジン等の触媒の存在下に行ってもよい。
この反応の反応温度は、通常−80〜150℃程度、好ましくは−50〜120℃程度であり、該反応は、通常0.1〜48時間程度、好ましくは0.5〜24時間程度で終了する。
上記反応における原料化合物(1a)及び目的化合物(1b)は、いずれも一般式(1)のアクリロニトリル系化合物に包含される。
反応式−2
Figure 2005047847
[式中、R1及びQは前記に同じ。Yはハロゲン原子を示す。]
反応式−2に示すように、一般式(1a)のアクリロニトリル系化合物は、一般式(7)で表されるフェニルアセトニトリル化合物と一般式(8)で表されるカルボニルハライド化合物とを、塩基の存在下、溶媒中で反応させることにより製造される。
一般式(7)の化合物と一般式(8)の化合物との使用割合としては、通常前者1モルに対して後者1〜10モル程度、好ましくは1〜3モル程度とするのがよい。
一般式(7)の化合物と一般式(8)の化合物との反応で使用される塩基の種類及びその使用量並びに溶媒の種類は、前記一般式(1a)の化合物と一般式(6)の化合物との反応におけるそれらと同じでよい。
この反応の反応温度は、通常−80〜150℃程度、好ましくは−50〜120℃程度であり、該反応は、通常0.1〜48時間程度、好ましくは0.5〜24時間程度で終了する。
この反応においては、予め一般式(7)のフェニルアセトニトリル化合物に塩基を作用させて活性化させた後、一般式(8)のカルボニルハライド化合物を作用させてもよい。
上記反応式−1及び反応式−2に示す方法で製造される目的化合物は、慣用手段に従い、反応混合物から単離され、更に精製される。
一般式(1a)の化合物の塩としては、農業上許容されるものであればあらゆる種類の塩が含まれる。このような塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
一般式(1)のアクリロニトリル系化合物は、幾何異性体(E体及びZ体)及びこれらの混合物である場合を包含する。
クロルフェナピル
クロルフェナピルは、公知の化合物である。クロルフェナピルは、式
Figure 2005047847
で表され、IUPACで4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−1−エトキシメチル−5−トリフルオロメチルピロール−3−カルボニトリルと称されている。
殺ダニ剤
本発明においては、一般式(1)のアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを併用することを必須とする。一般式(1)のアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを併用することにより、ダニに対する防除効果が顕著に向上する。
本発明においては、一般式(1)のアクリロニトリル系化合物1重量部に対して、通常クロルフェナピルを0.02〜40重量部程度、好ましくは0.02〜10重量部程度、より好ましくは0.1〜2重量部程度配合する。
本発明殺ダニ剤は、一般式(1)のアクリロニトリル系化合物及びクロルフェナピルを含有するだけで、他の成分を含有していなくてもよいが、通常は、上記成分に固体担体、液体担体、ガス状担体(噴射剤)等の公知の担体を混合し、更に必要に応じて界面活性剤、その他の製剤用補助剤を添加し、通常の製剤化方法に従い、油剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤、粒剤、粉剤、エアゾール、煙霧剤等に製剤化して使用される。
本発明殺ダニ剤中に含有される一般式(1)のアクリロニトリル系化合物及びクロルフェナピルの総量は、通常0.01重量%程度以上、好ましくは0.01〜95重量%程度、より好ましくは0.1〜50重量%程度である。
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば、粘土類(カオリンクレー、珪藻土、合成含水酸化珪素、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、タルク類、セラミック、その他の無機鉱物(セライト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等の微粉末又は粒状物等が挙げられる。
液体担体としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ジメチルスルホキシド、大豆油、綿実油等の植物油等が挙げられる。
ガス状担体としては、例えばブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル、炭酸ガス等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等が挙げられる。
固着剤、分散剤等の製剤用補助剤としては、例えば、カゼイン、ゼラチン、多糖類(でんぷん粉、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)が挙げられる。安定剤としては、例えば、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール及び3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールの混合物)、植物油、鉱物油、界面活性剤、脂肪酸又はそのエステル等が挙げられる。
本発明殺ダニ剤は、そのままで又は水等で希釈して用いられる。本発明殺ダニ剤は、他の殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤、共力剤、土壌改良剤、動物用飼料等と混合して、又は混合せずに同時に用いることもできる。
農業用殺ダニ剤として用いる場合、その施用量は、通常、100m2当たり0.1〜500g程度、好ましくは1〜100g程度である。殺ダニ剤の形態が、乳剤、水和剤、フロアブル剤等の場合には、水で希釈して使用され、その施用濃度は、通常1〜1000ppm程度、好ましくは10〜500ppm程度である。殺ダニ剤の形態が、粒剤、粉剤等の場合、これらは希釈されることなくそのままで施用される。
本発明殺ダニ剤の施用量及び施用濃度は、製剤の種類、施用時期、施用場所、施用方法、害虫の種類、被害程度等の状況によって異なり、上記の範囲に限定されないで適宜増加させたり、減少させたりすることができる。
本発明殺ダニ剤に一般式(1)のアクリロニトリル系化合物及びクロルフェナピルを含有させ、それを使用することを説明したが、一般式(1)のアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを別個に含有する組成物(製剤)を調製しておき、ダニ類の防除の際にこれら2種の組成物(製剤)を順次又は同時に、好ましくは同時に使用してもよい。この場合、一般式(1)のアクリロニトリル系化合物及びクロルフェナピルは、上記と同様の割合で併用するのがよい。
本発明の殺ダニ剤は、相乗効果を発揮するために低薬量で有害なダニ類に対して効力を示す。有害なダニ類としては、例えば、ナミハダニ、ニセナミハダニ、ミカンハダニ、カンザワハダニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビザニ、ネダニ等の植物寄生性のダニ類が挙げられる。
本発明の殺ダニ剤は、薬剤感受性のダニ類は勿論のこと、薬剤低感受性のダニ類に対しても、著しく優れた防除効果を発現する。
以下に参考例、実施例及び試験例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。
参考例1
α−(4−tert−ブチルフェニル)−β−ヒドロキシ−β−(2−トリフルオロメチルフェニル)アクリロニトリル(化合物1)の合成
カリウムtert−ブトキシド1.8g及びテトラヒドロフラン20mlの混合物に、tert−ブチルベンジルシアニド1.4g、2−トリフルオロメチルベンゾイルクロライド1.7g及びテトラヒドロフラン10mlの混合物を氷冷下で滴下した。その後、室温で2時間攪拌した。反応液を氷水に注ぎ、水層を希塩酸で酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することにより、上記目的化合物1.9gを得た。
性状:白色固体
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):
1.35(s,9H),6.5 (bs,1H),7.3−7.8(m,8H)
参考例2
α−(4−tert−ブチルフェニル)−β−(ピバロイルオキシ)−β−(2−トリフルオロメチルフェニル)アクリロニトリル(化合物2)の合成
参考例1で製造したα−(4−tert−ブチルフェニル)−β−ヒドロキシ−β−(2−トリフルオロメチルフェニル)アクリロニトリル0.52gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.22g及びピバロイルクロライド0.30gを順次加えた後、室温で一晩攪拌した。析出した固体を濾過して除き、濾液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、上記目的化合物0.67gを得た。
性状:白色固体
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):
1.05(s,9H),1.33(s,9H),7.4−7.5(m,4H),7.55−7.7(m,2H),7.76(d,1H),7.86(d,1H)
参考例3
α−(4−tert−ブチルフェニル)−β−(メトキシカルボニルオキシ)−β−(2−トリフルオロメチルフェニル)アクリロニトリル(化合物3)の合成
参考例1で製造したα−(4−tert−ブチルフェニル)−β−ヒドロキシ−β−(2−トリフルオロメチルフェニル)アクリロニトリル0.86gをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.30g及びクロロギ酸メチル0.28gを順次加えた後、室温で2時間攪拌した。析出した固体を濾過、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、上記目的化合物1.0gを得た。
性状:黄色油状物(幾何異性体混合物、混合割合3:1)
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):
メジャー化合物:1.35(s,9H),3.74(s,3H),7.49(d,2H),7.60(d,2H),7.3−7.9(m,4H)
マイナー化合物:1.24(s,9H),3.84(s,3H),7.05(d,2H),7.25(d,2H),7.3−7.9(m,4H)
参考例4
α−(4−tert−ブチルフェニル)−β−(エトキシカルボニルオキシ)−β−(2−トリフルオロメチルフェニル)アクリロニトリル(化合物4)の合成
参考例1に準じて製造したα−(4−tert−ブチルフェニル)−β−ヒドロキシ−β−(2−トリフルオロメチルフェニル)アクリロニトリル2.1gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.73g及びクロロギ酸エチル0.78gを順次加えた後、室温で2時間攪拌した。析出した固体を濾過、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、上記目的化合物2.5gを得た。
性状:黄色油状物(幾何異性体混合物、混合割合4:1)
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):
メジャー化合物:1.35(s,9H),1.20(t,3H),4.14(q,2H),7.47(d,2H),7.61(d,2H),7.3−7.9(m,4H)
マイナー化合物:1.28(s,9H),1.32(t,3H),4.14(q,2H),7.04(d,2H),7.24(d,2H),7.3−7.9(m,4H)
参考例5
α−(4−tert−ブチルフェニル)−β−(S−メチルチオカルボニルオキシ)−β−(2−トリフルオロメチルフェニル)アクリロニトリル(化合物5)の合成
参考例1に準じて製造したα−(4−tert−ブチルフェニル)−β−ヒドロキシ−β−(2−トリフルオロメチルフェニル)アクリロニトリル0.52gをテトラヒドロフラン 20mlに溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.18g及びクロロチオギ酸メチル0.20gを順次加えた後、室温で2時間攪拌した。析出した固体を濾過、濾液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することにより、上記目的化合物0.63gを得た。
性状:黄色油状物(幾何異性体混合物、混合割合2:1)
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):
メジャー化合物:1.35(s,9H),2.27(s,3H),7.49(d,2H),7.59(d,2H),7.3−7.9(m,4H)
マイナー化合物:1.24(s,9H),2.36(s,3H),7.04(d,2H),7.21(d,2H),7.3−7.9(m,4H)
参考例6
α−(4−tert−ブチルフェニル)−β−(5−クロロ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−イル)−β−(S−メチルチオカルボニルオキシ)アクリロニトリル(化合物6)の合成
(1) カリウムtert−ブトキシド1.1g及びテトラヒドロフラン20mlの混合物に、tert−ブチルベンジルシアニド0.87g、5−クロロ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸クロライド1.2g及びテトラヒドロフラン10mlの混合物を氷冷下で滴下した。その後、室温で2時間攪拌した。反応液を氷水に注ぎ、水層を希塩酸で酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することにより、α−(4−tert−ブチルフェニル)−β−(5−クロロ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−イル)−β−ヒドロキシアクリロニトリル1.2gを得た。
(2) 上記(1)で得たα−(4−tert−ブチルフェニル)−β−(5−クロロ−1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−4−イル)−β−ヒドロキシアクリロニトリル0.38gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、氷冷下でトリエチルアミン0.12g及びクロロチオギ酸メチル0.13gを順次加えた後、室温で3時間攪拌した。析出した固体を濾過し、濾液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することにより、上記目的化合物0.47gを得た。
性状:黄色油状物(幾何異性体混合物、混合割合3:1)
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δppm):
メジャー化合物:1.34(s,9H),2.33(s,3H),3.98(s,3H),7.47(d,2H),7.58(d,2H)
マイナー化合物:1.28(s,9H),2.46(s,3H),3.81(s,3H),7.13(d,2H),7.29(d,2H)
実施例1(フロアブル剤)
参考例1で製造したα−(4−tert−ブチルフェニル)−β−ヒドロキシ−β−(2−トリフルオロメチルフェニル)アクリロニトリル(化合物1)20重量部、クロルフェナピル2重量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸カリウム塩(商品名:ソプロフォールFLK、ローディア日華社製)3重量部、ジアルキルサクシネートスルホン酸ナトリウム塩(商品名:ニューコール291PG、日本乳化剤社製)1重量部、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(防腐剤、商品名:Proxel GXL(S)、アビシア社製)0.2重量部、シリコーン系消泡剤(商品名:プロナールEX−300、東邦化学社製)0.3重量部、プロピレングリコール(凍結防止剤)5重量部及び水58.5重量部を混合し、ダイノミルを用いて湿式粉砕し、キサンタンガム(増粘剤、商品名:ロードポール23、ローディア日華社製)の2%水溶液10重量部を加えて、フロアブル剤を製造した。
試験例1
散布液の調製
参考例1〜6で製造したアクリロニトリル系化合物のアセトン溶液を調製し、該アセトン溶液とクロルフェナピルのアセトン溶液とを所定の割合となるように混合し、更に、所定の散布濃度となるようにソルポール(Sorpol)355(東邦化学製)で希釈して散布液(本発明殺ダニ剤)を作製した。
比較のために、クロルフェナピルの代わりに、公知の殺ダニ活性化合物(ピリダベン、フェンプロパトリン又は酸化フェンブタスズ)を用い、上記と同様にして散布液を作製した。
なお、クロルフェナピルは、コテツフロアブル(クロルフェナピル10%含有水和剤、日本曹達(株)製)からの抽出品を使用した。
ピリダベンは、サンマイト水和剤(ピリダベン20%含有水和剤、日産化学工業(株)製)から、フェンプロパトリンはロディー乳剤(フェンプロパトリン10%含有乳剤、北興化学工業(株)製)から、酸化フェンブタスズはオサダン水和剤25(酸化フェンブタスズ25%含有水和剤、BASFアグロ(株)製)から、それぞれ単離して使用した。
殺ナミハダニ試験
プラスチックカップ(商品名:KP−120、鴻池プラスチック製)に水道水を入れ、切り込み口を入れた蓋をした。不織布(4.5×5.5cm)の長辺に沿って1cm幅で4cm程度切り込みを入れたものを蓋に載せ、切り込み口からカップ内に垂らした。十分吸水した不織布にインゲンマメ葉片(約3.5×4.5cm)を載せ、その上にナミハダニ雌成虫をそれぞれ1カップに20匹ずつ放虫した。翌日死亡虫を除去した。
上記で調製した各散布液4mlをインゲンマメ葉片に散布した。散布後、プラスチックカップを恒温室内(25±2℃、16L8D)に静置し、2日後にナミハダニ雌成虫の生死個体数を数え、次式に従い死亡率(%)を求めた。
死亡率(%)={1−(処理区の生存率)/(無処理区の生存率)}×100
また、本発明殺ダニ剤の期待される有効度(E)をコルビーの式(Weeds,15,20−22(1967))から算出した。
E=x+y−(x・y/100)
[式中、Eは、参考例1〜6で製造したアクリロニトリル系化合物及びクロルフェナピルその他公知の殺ダニ活性化合物をそれぞれの濃度p及びqで使用した場合に期待される有効度を%で示したものである。xは、上記アクリロニトリル系化合物を濃度pで使用した時の有効度を示し、yは、クロルフェナピルその他公知の殺ダニ活性化合物を濃度qで使用した時の有効度を示したものである。]
参考例1で製造したアクリロニトリル系化合物(化合物1)及びクロルフェナピルを配合した本発明殺ダニ剤を用いた場合の死亡率(%)を表1に示す。表1のかっこ内の数値は、コルビーの式から算出して求めた有効度(%)(予測値、期待値)である。
Figure 2005047847
参考例2で製造したアクリロニトリル系化合物(化合物2)及びクロルフェナピルを配合した本発明殺ダニ剤を用いた場合の死亡率(%)を表2に示す。表2のかっこ内の数値は、コルビーの式から算出して求めた有効度(%)である。
Figure 2005047847
参考例3で製造したアクリロニトリル系化合物(化合物3)及びクロルフェナピルを配合した本発明殺ダニ剤を用いた場合の死亡率(%)を表3に示す。表3のかっこ内の数値は、コルビーの式から算出して求めた有効度(%)である。
Figure 2005047847
参考例4で製造したアクリロニトリル系化合物(化合物4)及びクロルフェナピルを配合した本発明殺ダニ剤を用いた場合の死亡率(%)を表4に示す。表4のかっこ内の数値は、コルビーの式から算出して求めた有効度(%)である。
Figure 2005047847
参考例5で製造したアクリロニトリル系化合物(化合物5)及びクロルフェナピルを配合した本発明殺ダニ剤を用いた場合の死亡率(%)を表5に示す。表5のかっこ内の数値は、コルビーの式から算出して求めた有効度(%)である。
Figure 2005047847
参考例6で製造したアクリロニトリル系化合物(化合物6)及びクロルフェナピルを配合した本発明殺ダニ剤を用いた場合の死亡率(%)を表6に示す。表6のかっこ内の数値は、コルビーの式から算出して求めた有効度(%)である。
Figure 2005047847
参考例1〜6で製造したアクリロニトリル系化合物(化合物1〜6)及びクロルフェナピル以外の殺ダニ活性化合物((ピリダベン、フェンプロパトリン又は酸化フェンブタスズ))を配合した殺ダニ剤を用いた場合の死亡率(%)を表7に示す。表7のかっこ内の数値は、コルビーの式から算出して求めた有効度(%)である。
Figure 2005047847
表1〜表6から、死亡率の数値が有効度の数値に比し遙かに大きく、従って化合物1〜6及びクロルフェナピルを併用した場合に、殺ダニ活性が相乗的に向上することが、表1〜表6からわかる。
これに対して、表7では、死亡率の数値が有効度の数値と同等又はそれ以下であり、従って化合物1〜6及びクロルフェナピル以外の殺ダニ活性化合物を併用しても、相乗的な殺ダニ活性を発現できないことが表7から明らかである。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを含有する殺ダニ剤。
    Figure 2005047847
    [式中、R1はC1-6アルキル基、R2は水素原子又は基−C(=O)−R3を示す。ここで、R3はC1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基又はC1-4アルキルチオ基を示す。Qは
    Figure 2005047847
    を示す。ここで、R4はC1-4ハロアルキル基、R5はC1-4アルキル基、R6はC1-4ハロアルキル基、R7はハロゲン原子を示す。]
  2. 一般式(1)のアクリロニトリル系化合物1重量部に対して、クロルフェナピルを0.02〜40重量部程度含有する請求項1に記載の殺ダニ剤。
  3. 一般式(1)のアクリロニトリル系化合物1重量部に対して、クロルフェナピルを0.02〜10重量部程度含有する請求項2に記載の殺ダニ剤。
  4. 一般式(1)のアクリロニトリル系化合物1重量部に対して、クロルフェナピルを0.1〜2重量部程度含有する請求項3に記載の殺ダニ剤。
  5. 下記一般式(1)で表されるアクリロニトリル系化合物とクロルフェナピルとを用いてダニを防除する方法。
    Figure 2005047847
    [式中、R1はC1-6アルキル基、R2は水素原子又は基−C(=O)−R3を示す。ここで、R3はC1-6アルキル基、C1-4アルコキシ基又はC1-4アルキルチオ基を示す。Qは
    Figure 2005047847
    を示す。ここで、R4はC1-4ハロアルキル基、R5はC1-4アルキル基、R6はC1-4ハロアルキル基、R7はハロゲン原子を示す。]

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102405914A (zh) * 2011-11-21 2012-04-11 广东中迅农科股份有限公司 一种含有丁氟螨酯和四螨嗪的增效杀螨组合物
CN105123716A (zh) * 2013-10-11 2015-12-09 江苏龙灯化学有限公司 一种含环氧虫啶和虫螨腈的杀虫组合物

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