JP2005047099A - 樹脂成形品の不要部切除装置およびそれに用いられる刃物 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂成形品から不要部を切断して除去する場合に、切断時に微細な切り屑の発生を抑えて、製品に微細な切り屑が付着することを防止できる装置を提供する。
【解決手段】一対の切断刃16a、16bと、各切断刃を保持する一対の切断刃保持ブロック18a、18bと、一方の切断刃保持ブロック18bを移動自在に支持し、一対の切断刃の各刃先を互いに刃合わせおよび離間させる機構と、各切断刃を加熱するヒータ48とを備え、切断刃の、製品部分からの不要部の切除時に製品部分と接触する部位に二硫化モリブデンをコーティングした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラスチック製品を射出成形により製造する場合において、樹脂成形品をゲート部分もしくはその近傍で切断して製品部分からランナー部分(不要部)を除去する樹脂成形品の不要部切除装置、および、その不要部切除装置に用いられる刃物に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンパクトカメラのレンズ、プリズムレンズ、CDやDVD用のピックアップレンズなどとして用いられるプラスチック製レンズを製造する場合においては、射出成形後に、樹脂成形品をゲート部分もしくはその近傍(製品によっては、ゲート近傍で切断する場合もあり、以下、ゲート部分およびその近傍を含めて「ゲート部」という)の所定位置で切断して、製品部分と成形時に樹脂の流路となったランナー部分とを分離し、製品部分からランナー部分を除去するようにしている。この切除作業は、一般に、自動切断装置を使用して行われる。
【0003】
樹脂成形品のゲート部を切断する装置としては、制御手段によって駆動制御されるサーボモータ、このサーボモータの出力軸に連結されその出力軸の回転運動を往復運動に変換する切断刃開閉機構、この切断刃開閉機構に連結され開閉自在に互いに対向して配置される一対の切断刃、この一対の切断刃をそれぞれ加熱するヒータなどを備えたゲート切断装置が提案されている。このような構成を備えた装置において、一対の切断刃の開放状態において両切断刃の対向間に樹脂成形品のゲート部を挿入し、その後に一対の切断刃の少なくとも一方を移動させて両切断刃を閉じることにより、一対の切断刃によってゲート部が切断されるようになっている。そして、切断作業の際に、ヒータによって一対の切断刃を加熱するとともに、制御手段から出力される制御信号に基づいてサーボモータをプログラム制御することにより、製品の切断箇所に白化と称される不良状態が生じたり溶融樹脂の糸引き現象が発生したりすることを防止するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−192649号公報(第3−4頁、図1、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂成形品をゲート部で切断して製品部分からランナー部分を除去する場合には、その切断工程での加工品質は、後工程の金属コーティングや組立てでの品質不良につながるため、切断の際にバリを発生させないことは言うまでもなく、たとえ微細な切り屑であっても、それを製品に付着させないことが求められる。ところで、現在、プラスチックレンズの材料としては、ポリメタクリル酸メチル(アクリル樹脂)が一般的に多く使用されているが、その他にも最近、レンズ用材料としてより優れたものも開発され使用されている。ところが、いずれのプラスチック材料も、成形固化後における硬度が高くて脆い性質を有する。このため、従来の切断刃を用いたゲート切断装置では、切断の際に、微細な切り屑を製品に一切付着させないことは困難であった。このため、切断後の工程において、製品への付着物を除去するための洗浄工程を実施しなければならなかった。そして、これが製品のコストアップの要因ともなっていた。
【0006】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、樹脂成形品から不要部を切断して除去する場合に、切断時に微細な切り屑の発生を抑えて、製品に微細な切り屑が付着することを防止することができる樹脂成形品の不要部切除装置を提供すること、および、そのような不要部切除装置に用いられる刃物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、切断刃と、この切断刃を保持する切断刃保持部材と、前記切断刃と対向するように配置される受け部材と、前記切断刃保持部材もしくは前記受け部材または前記切断刃保持部材および前記受け部材の両方を移動自在に支持し、前記切断刃の刃先と前記受け部材とを互いに当接および離間させる支持・移動手段と、前記切断刃を加熱する加熱手段と、を備え、前記切断刃によって樹脂成形品の製品部分から不要部を切除する樹脂成形品の不要部切除装置において、前記切断刃の少なくとも、製品部分からの不要部の切除時に製品部分と接触する部位に固体潤滑剤をコーティングしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、刃先同士が互いに平行にかつ対向するように配置される一対の切断刃と、この一対の切断刃をそれぞれ保持する一対の切断刃保持部材と、この一対の切断刃保持部材の一方もしくは両方を移動自在に支持し、前記一対の切断刃の各刃先を互いに刃合わせおよび離間させる支持・移動手段と、前記各切断刃をそれぞれ加熱する加熱手段と、を備え、前記一対の切断刃によって樹脂成形品の製品部分から不要部を切除する樹脂成形品の不要部切除装置において、前記各切断刃の少なくとも、製品部分からの不要部の切除時に製品部分と接触する部位に、それぞれ固体潤滑剤をコーティングしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の不要部切除装置において、前記一対の切断刃の各刃先を互いに刃合わせしたときの両刃先間の、樹脂成形品の製品部分に対向する面側の段差(相対的面一度)が3μm以下で、両刃先間の隙間が3μm以下に調整されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の不要部切除装置において、予め設定されたプログラムに基づいて前記支持・移動手段および前記加熱手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の不要部切除装置において、前記固体潤滑剤が二硫化モリブデンであることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、樹脂成形品の製品部分から不要部を切除する切断刃を備えた樹脂成形品の不要部切除用刃物において、前記切断刃の少なくとも、製品部分からの不要部の切除時に製品部分と接触する部位に固体潤滑剤をコーティングしたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項6記載の不要部切除用刃物において、前記固体潤滑剤が二硫化モリブデンであることを特徴とする。
【0014】
請求項1および請求項2に係る各発明の樹脂成形品の不要部切除装置においては、樹脂成形品の製品部分と不要部とを切断する切断刃の、切断時に製品部分と接触する部位に固体潤滑剤がコーティングされていることにより、切断刃と樹脂成形品との摩擦係数が低減され粘着力が低減する。このため、加熱手段によって加熱された切断刃に接触することにより軟化した樹脂が、製品部分と不要部との接続部分に対して進入する切断刃の刃先に付着しつつ引きずられ、さらには微細剥離を起こし、製品部分側の切断面に切断刃の進入方向に沿って微細な筋状痕が発現する、といったことはなくなる。したがって、製品部分側の切断面から微細な切り屑が剥離し脱落して切り屑が発生する、といったことが抑制されて、製品に微細な切り屑が付着することが防止される。そして、製品部分側の、切断刃の刃先と受け部材との当接部分に相当する部分以外の切断面、または、製品部分側の、両切断刃の刃先同士の刃合わせ部分に相当する部分以外の切断面は、鏡面状態となる。
【0015】
請求項3に係る発明の不要部切除装置では、一対の切断刃の各刃先を互いに刃合わせしたときに、両刃先間の、樹脂成形品の製品部分に対向する面側の段差が3μm以下で、両刃先間の平行度または刃先の製作上発生するうねり等による隙間が3μm以下となるように調整されていることにより、微細な切り屑の発生がより確実に抑えられる。
【0016】
請求項4に係る発明の不要部切除装置では、制御手段により、予め設定されたプログラムに基づいて支持・移動手段および加熱手段を制御されるので、樹脂成形品からの不要部の切断操作が最適な条件で行われ、樹脂成形品を高品質に切断することが可能となる。
【0017】
請求項5に係る発明の不要部切除装置では、請求項1および請求項2に係る各発明の上記作用が確実に奏される。
【0018】
請求項6に係る発明の刃物を請求項1または請求項2に係る発明の樹脂成形品の不要部切除装置に使用すると、請求項1または請求項2に係る発明の上記作用が奏される。
【0019】
請求項7に係る発明の不要部切除用刃物では、請求項1および請求項2に係る各発明の上記作用が確実に奏される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1ないし図3は、この発明の実施形態の1例を示し、図1は、樹脂成形品の不要部切除装置の斜視図であり、図2は、その正面図であり、図3は、その側面図である。また、図4は、図1ないし図3に示した不要部切除装置の設置状態を示す作業場の斜視図である。
【0022】
不要部切除装置10は、基台12の上面側に垂設された鉛直取付板14に一対の切断刃16a、16bを保持した構成を備えている。各切断刃16a、16bは、切断刃保持ブロック18a、18bにそれぞれ固着されて保持され、一対の切断刃16a、16bは、刃先が互いに平行にかつ対向するように上・下に配置される。下側の切断刃保持ブロック18aは、鉛直取付板14の片面側に固着されている。上側の切断刃保持ブロック18bには、左右一対のスライドベアリング20、20がそれぞれ一体的に取着され、各スライドベアリング20、20は、鉛直取付板14の片面側に固着された左右一対のスライドレール22、22にそれぞれ摺動自在に係合している。一対のスライドレール22、22は、互いに平行にかつそれぞれ鉛直方向に配設されている。そして、上側の切断刃保持ブロック18bは、スライドベアリング20、20およびスライドレール22、22からなるスライドユニットを介し、上下方向へ案内されて往復移動可能に鉛直取付板14に支持されている。このような機構により、下側の切断刃保持ブロック18aに対し上側の切断刃保持ブロック18bが接近および離間して、一対の切断刃16a、16bの各刃先が互いに接近して刃合わせされ、また、一対の切断刃16a、16bの各刃先間の間隔が広がるようになっている。また、上側の切断刃保持ブロック18bには、ナット部材24が一体的に固着されている。
【0023】
さらに、鉛直取付板14の片面側には、上・下に軸支持ブロック26、28が配置されて固着されている。この各軸支持ブロック26、28に、ボールねじ軸34の上端部および下端部がそれぞれベアリング30、32を介して回動自在に支持されており、ボールねじ軸34は、スライドベアリング20と平行に鉛直方向に配置されている。そして、ボールねじ軸34に、上側の切断刃保持ブロック18bに一体的に固着されたナット部材24が螺合している。ボールねじ軸34の下端部は、下方に延長されて、その延長された下端部に従動プーリ36が取着されている。鉛直取付板14の他方の片面側には、基台12上に取付筐体38が固着されており、その取付筐体38の上面にサーボモータ40が下向きに取着されている。サーボモータ40の回転軸は、取付筐体38の内部に延設されており、その先端部(下端部)に駆動プーリ42が取着されている。そして、鉛直取付板14の、両プーリ36、42に対応する位置に、横長の貫通孔44が形成されており、その貫通孔44を貫くようにしてタイミングベルト46が配設され、タイミングベルト46が両プーリ36、42に掛け回されている。そして、サーボモータ40とボールねじ軸34とは、同期的に回転するようになっている。
【0024】
不要部切除装置10は、手提げ用取っ手2を備えたボックス1内に収納されて作業台3上に設置される。また、作業台3上には、前面に操作パネル5を有し制御装置(図示せず)が内蔵された制御ボックス4が設置され、制御装置と不要部切除装置10のサーボモータ40とがコード6によって接続される。そして、制御装置によって所定のプログラムに基づきサーボモータ40を制御することにより、切断刃16a、16bに対して所望する動きを与えることができるようになっている。作業台3の下方の床面上には、作業者が作業用椅子7に座って足で操作するためのフットスイッチ8が配置されている。
【0025】
各切断刃16a、16bには、ヒータ48がそれぞれ付設されている。また、各切断刃16a、16bには、その温度を検知するための温度検知部50がそれぞれ取着されている。したがって、温度検知部50によって検知される温度の電気信号に基づいて温度制御装置(図示せず)によりヒータ48への通電が制御され、切断刃16a、16bが所定温度に加熱調節されるようになっている。また、切断刃16a、16bの加熱温度を、切断しようとする樹脂成形品の被切断部の材質、形状、サイズなどに応じて最適な温度に設定することができるようになっている。
【0026】
一対の切断刃16a、16bの各刃先は、図5の(a)に示すように、互いに刃合わせしたときに、樹脂成形品の製品部分に対向する面側における両者間の段差Aが、例えば3μm以下となるように取付け調整される。また、図5の(b)に示すように、一対の切断刃16a、16bの各刃先を互いに刃合わせしたときに、両刃先間の平行度または刃先の製作上発生するうねり等による隙間Bが刃先全長にわたって、例えば3μm以下となるように加工調整される。そして、各切断刃16a、16bの少なくとも、製品部分からの不要部の切除時に製品部分と接触する部位には、それぞれ表面に固体潤滑剤、例えば二硫化モリブデンがコーティング加工されている。
【0027】
次に、上記した構成を備えた不要部切除装置10の動作について説明する。
【0028】
まず、切断しようとする樹脂成形品の材質、形状、サイズなどに応じて、予め実験的に求めておいた切断刃16a、16bの最適な加熱温度、および、切断刃16a、16bの移動速度、位置等の最適な条件を制御装置に設定入力する。ここで、図6の(a)は、この不要部切除装置10を使用して加工されたカメラ用プリズム52の斜視図である。図6の(a)中において、54がプリズム部で、56がレンズ部で、58が透光部であり、60がミラー面(後工程で蒸着)で、62がゲート部の切断面である。また、図6の(b)は、CDやDVD用のピックアップレンズ64の斜視図であり、この不要部切除装置10を使用して切除する部分を二点鎖線で示している。図6の(b)中において、66がレンズ部で、68がコバ部であり、70がランナー部分で、72がゲート部分であり、74が切断面である。以下の説明では、図6の(a)に示すようなカメラ用プリズム52を製造する場合を例にとって説明する。
【0029】
図7に示すように、この不要部切除装置10を使用して不要部が切除される樹脂成形品76は、製品部分78にゲート部分80を介してランナー部分82が連接した形態で樹脂成形機から取り出される。作業者は、このランナー付き樹脂成形品76の被切断部(ゲート部分80の近傍)が不要部切除装置10の一対の切断刃16a、16bの間に位置して一方(固定側)の切断刃16bの刃先に当接するように、図示しない治具によって樹脂成形品76を固定し保持する。次に、作業者がフットスイッチ8を押すと、他方(可動側)の切断刃16bは、切断開始位置付近まで高速で移動し、その後、予め制御装置に設定されている速度で一方の切断刃16aに接近するように下方へ移動して、図7に実線で示すように、切断刃16bが樹脂成形品76の被切断部に当接して被切断部の切断が開始される。その後、切断刃16bが被切断部に切り込むのに従って、予め設定されたサーボモータ40の駆動条件に基づいて徐々に切断刃16bの進入速度が高まっていく。これは、切断刃16bと樹脂成形品76との接触面積が次第に増大していくのに伴って、切断刃16bから樹脂成形品78への熱伝達が良くなることから、切断中の樹脂軟化状態を最適に維持しようとするためである。このように、切断刃16bを任意に移動させることができるので、切断刃16a、16bの刃先面が楔形状を有していることによる、被切断部における製品部分と反対側への応力は、過度に大きくならず適度に保たれ、破断面の発生を最小に抑えることが可能となる。その後、切断刃16bが切断終了位置に到達すると、サーボモータ40が逆方向へ回転駆動され、可動側の切断刃16bは、高速で元の待機位置まで戻されて停止する。このようにして、樹脂成形品76の製品部分78とランナー部分82とは分離され、切断作業が完了する。
【0030】
以上のような樹脂成形品76の切断作業において、被切断部の切断の開始時点から終了時点までの間に、図7において切断刃16bの刃先を実線と二点鎖線とで示すように、被切断部に対して切断刃16bの刃先がその厚みCの分だけ食い込むことになり、このため、ランナー部分82の軸方向に応力が発生する。しかしながら、この装置では、切断刃16a、16bがヒータ48によって所定温度、例えば120℃〜160℃の温度に加熱されているので、切断刃16a、16bから被切断部への熱伝導により樹脂が軟化させられる。このため、被切断部への切断刃16bの刃先の進入に際して、楔形状の刃先により、刃先の進入量に応じた樹脂の容積分を製品部分78の反対側へ移行させるので、被切断部に割れや微細な割れによる白化現象などが発生することはなく、また、刃先の進入部部以外には変形が起こらない。
【0031】
一方、従来のゲート切断装置では、被切断部で軟化した樹脂は、進入する切断刃16bの刃先に付着しつつ引きずられ、さらには微細剥離を起こして、切断面の刃先の進入方向に沿って微細な筋状痕が発現し、製品部分側の切断面から微細な切り屑が剥離し脱落して切り屑が発生して、切断面や切断刃16bの刃先表面などに付着し、また、脱落した切り屑が静電気などにより再付着する、といった心配がある。しかしながら、この装置では、切断刃16a、16bの、切断時に製品部分78と接触する部位に二硫化モリブデンがコーティングされていることにより、切断刃16a、16bと樹脂成形品76との摩擦係数が低減され粘着力が低減する。このため、製品部分側の切断面に微細な筋状痕が発現する、といったことは起こらない。したがって、製品部分側の切断面で切り屑が発生して製品に微細な切り屑が付着することが防止される。なお、切断刃にフッ化樹脂をコーティングすることにより、軟化した樹脂の付着を防止することも考えられるが、フッ化樹脂は、刃物に対する密着強度が低く、短期間のうちに刃物から剥離する。また、フッ化樹脂の密着強度を増すためにフッ化樹脂と金属との複合メッキを施す方法も考えられるが、メッキの厚みを厚くする必要があるため、切断刃の刃先の鋭敏さが得られなくなり、しかも、非粘着性能についても、複合メッキ中の金属の影響で所望の効果は得られない。よって、固体潤滑剤を切断刃にコーティングしたものが有効であり、ちなみに、前記二硫化モリブデンコーティングでは、コーティング膜厚が1μm〜1.2μmで、摩擦係数が0.02〜0.06であり、密着強度は、スクラッチ試験による臨界荷重値で70N以上で、硬さは、マイクロビッカース測定値で500Hv以上であるものを用いると良好な結果が得られた。
【0032】
なお、予め制御装置に設定入力しておく切断刃の温度および切断刃の進入位置や速度などの条件を適正な値に入れ替えることにより、様々な材質で形成され種々の形状やサイズを有する樹脂成形品の被切断部を、微細剥離を起こすことなく、製品部分側の切断面に切断刃の進入方向に沿って発現する微細な筋状痕を生じさせることもなく、したがって、切断面から剥離し脱落した切り屑を発生させることもなく、樹脂成形品を高品質に切断することが可能である。
【0033】
上記した実施形態では、一方の切断刃16aを固定し他方の切断刃16bを移動可能に支持して、一対の切断刃16a、16bの各刃先を刃合わせしたり離間させたりしているが、両方の切断刃をそれぞれ移動可能に支持し、それらを対称的に移動させて両切断刃を接近させたり離間させたりするような機構としてもよい。また、上記実施形態では、サーボモータ40を駆動源としているが、微速(例えば0.5mm/sec程度)で切断刃を移動させることが可能である空圧シリンダなどを使用することもできる。但し、被切断部の厚みが1mm程度以上となる樹脂成形品の切断には、速度制御能力が空圧シリンダより優れているサーボモータを使用し、その回転運動を直線運動に変換して切断刃を移動させる方が、種々のゲート形状などに対応しつつ切断の品質を確保するためには好ましい。これは、切断時における被切断部への熱の伝達は、切断刃の刃先からだけで行われるため、被切断部の厚みが厚いときは、被切断部を軟化させるために必要な熱エネルギーの伝達に相応の時間が必要となり、また、軟化の状態も被切断部の形状に対する依存性があるからである。
【0034】
以上説明した不要部切除装置10は、一対の切断刃16a、16bを、その両刃先が互いに対向するように切断刃保持ブロック18a、18bにそれぞれ保持し、一対の切断刃16a、16bの各刃先を互いに接近させて刃合わせすることにより、一対の切断刃16a、16bの間に配置された樹脂成形品の不要部を切断する方式であるが、1つの切断刃だけを1つの切断刃保持ブロックに保持し、その切断刃保持ブロックに対向するブロックには切断刃を取り付けないで、樹脂成形品の不要部を保持するための受け部材とし、この受け部材に対し切断刃を接近させて当接させることにより、切断刃と受け部材との間に配置された樹脂成形品の不要部を一枚刃で切断する方式の装置構成とすることもできる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1および請求項2に係る各発明の樹脂成形品の不要部切除装置を使用すると、樹脂成形品から不要部を切断して除去する場合に、切断時に微細な切り屑が発生することが抑えられ、製品に微細な切り屑が付着することを防止することができる。
【0036】
請求項3に係る発明の不要部切除装置では、微細な切り屑の発生をより確実に抑えることができる。
【0037】
請求項4に係る発明の不要部切除装置では、樹脂成形品からの不要部の切断操作が最適な条件で行われ、樹脂成形品を高品質に切断することができる。
【0038】
請求項5に係る発明の不要部切除装置では、請求項1および請求項2に係る各発明の上記効果が確実に得られる。
【0039】
請求項6に係る発明の刃物を請求項1または請求項2に係る発明の樹脂成形品の不要部切除装置に使用すると、請求項1または請求項2に係る発明の上記効果が得られる。
【0040】
請求項7に係る発明の刃物では、請求項1または請求項2に係る発明の上記効果が確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態の1例を示し、樹脂成形品の不要部切除装置の斜視図である。
【図2】図1に示した不要部切除装置の正面図である。
【図3】図1に示した不要部切除装置の側面図である。
【図4】図1ないし図3に示した不要部切除装置の設置状態を示す作業場の斜視図である。
【図5】(a)は、図1に示した不要部切除装置に設けられた一対の切断刃の拡大側面図であって、一対の切断刃の取付け状態を説明するための図であり、(b)は、同じく一対の切断刃の拡大正面図であって、一対の切断刃の加工状態を説明するための図である。
【図6】(a)は、図1ないし図3に示した不要部切除装置を使用して加工されたカメラ用プリズムの斜視図であり、(b)は、同じくCDやDVD用のピックアップレンズの斜視図である。
【図7】図1ないし図3に示した不要部切除装置を使用して樹脂成形品の製品部分とランナー部分とを切断している状態を示す拡大図である。
【符号の説明】
10 樹脂成形品の不要部切除装置
12 基台
14 鉛直取付板
16a、16b 切断刃
18a、18b 切断刃保持ブロック
20 スライドベアリング
22 スライドレール
24 ナット部材
26、28 軸支持ブロック
30、32 ベアリング
34 ボールねじ軸
36 従動プーリ
38 取付筐体
40 サーボモータ
42 駆動プーリ
44 貫通孔
46 タイミングベルト
48 ヒータ
50 温度検知部
76 樹脂成形品
78 製品部分
80 ゲート部分
82 ランナー部分

Claims (7)

  1. 切断刃と、
    この切断刃を保持する切断刃保持部材と、
    前記切断刃と対向するように配置される受け部材と、
    前記切断刃保持部材もしくは前記受け部材または前記切断刃保持部材および前記受け部材の両方を移動自在に支持し、前記切断刃の刃先と前記受け部材とを互いに当接および離間させる支持・移動手段と、
    前記切断刃を加熱する加熱手段と、
    を備え、前記切断刃によって樹脂成形品の製品部分から不要部を切除する樹脂成形品の不要部切除装置において、
    前記切断刃の少なくとも、製品部分からの不要部の切除時に製品部分と接触する部位に固体潤滑剤をコーティングしたことを特徴とする樹脂成形品の不要部切除装置。
  2. 刃先同士が互いに平行にかつ対向するように配置される一対の切断刃と、
    この一対の切断刃をそれぞれ保持する一対の切断刃保持部材と、
    この一対の切断刃保持部材の一方もしくは両方を移動自在に支持し、前記一対の切断刃の各刃先を互いに刃合わせおよび離間させる支持・移動手段と、
    前記各切断刃をそれぞれ加熱する加熱手段と、
    を備え、前記一対の切断刃によって樹脂成形品の製品部分から不要部を切除する樹脂成形品の不要部切除装置において、
    前記各切断刃の少なくとも、製品部分からの不要部の切除時に製品部分と接触する部位に、それぞれ固体潤滑剤をコーティングしたことを特徴とする樹脂成形品の不要部切除装置。
  3. 前記一対の切断刃の各刃先を互いに刃合わせしたときの両刃先間の、樹脂成形品の製品部分に対向する面側の段差が3μm以下で、両刃先間の隙間が3μm以下に調整された請求項2記載の樹脂成形品の不要部切除装置。
  4. 予め設定されたプログラムに基づいて前記支持・移動手段および前記加熱手段を制御する制御手段を備えた請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の樹脂成形品の不要部切除装置。
  5. 前記固体潤滑剤が二硫化モリブデンである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の樹脂成形品の不要部切除装置。
  6. 樹脂成形品の製品部分から不要部を切除する切断刃を備えた樹脂成形品の不要部切除用刃物において、
    前記切断刃の少なくとも、製品部分からの不要部の切除時に製品部分と接触する部位に固体潤滑剤をコーティングしたことを特徴とする樹脂成形品の不要部切除用刃物。
  7. 前記固体潤滑剤が二硫化モリブデンである請求項6記載の樹脂成形品の不要部切除用刃物。
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