JP2005046849A - レーザ加工方法およびレーザ加工装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1ノズル24(アシストガス噴射ノズル)からレーザビームLを鋼板1に対して斜めに照射するとともにその光軸に沿ってアシストガスG1を噴射させるレーザ加工装置。この装置には、鋼板1上であってアシストガスG1の吹き付け位置よりも後側の部分(レーザビームLが傾いた側にずれた位置)に対して、その部分よりさらに後側から斜め方向にサポートガスG2を吹き付ける第2ノズル29(ガス流形成用ノズル)が設けられている。サポートガスG2としては、アシストガスG1よりも燃焼性に劣るガスが噴射される。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、開先加工等、ワークに対してレーザ光を斜め方向に照射しながら加工を行うレーザ加工方法およびレーザ加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ワーク表面(加工面)に対してレーザビーム(レーザ光)を照射するとともに酸素等のアシストガスを加工面に吹き付けながら鋼板等のワークを切断するレーザ加工技術が知られている。
【0003】
レーザ加工では、加工面に対してレーザビームを垂直に照射し、その光軸に沿ってアシストガスを噴射させながら加工を行うのが一般的であるが、例えば、鋼板の端部を予め斜めに切断して溶接用の開先面を形成する場合には、図9に示すように、ノズル50からワーク51の表面(加工面)に対してレーザビームLを斜めに照射するとともに、このレーザビームLに沿ってアシストガスGを噴射しながら加工を進めることが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、加工面に対してレーザビームを斜めに照射して作業を行う場合には、レーザビームを加工面に対して垂直に照射して加工を行う場合に比べて切断面の品質を確保するのが難しいという問題がある。
【0005】
詳しくは、上記のような切断作業では、図9に示すように、切断面に楔形の部分(符号53で示す部分)が形成されるが、この部分は先端部分が細く溶け易いためドロスとなって切断溝52に付着し易く、しかも、切断面が斜めのため、切断溝が垂直な場合に比べてドロスが排出され難い。特に、アシストガスGが斜めに噴射されてガス流がその傾き側の切断面(開先面52a)とは反対側に偏り易くなっているため開先面52aにはアシストガスGが効果的には作用しておらず、そのため開先面52aに付着したドロスが排出され難くなっている。従って、切断溝が垂直な場合に比べて切断溝52内にドロスが溜まり易く、その結果、切断溝52内に熱がこもってバーニング現象が発生し、ドロスの付着と相俟って切断面の品質を低下させることとなっている。
【0006】
なお、ドロスの排出効果を高めるべくアシストガスGの圧力を高めることも考えられる。しかし、切断速度を高めるべくアシストガスGとして酸素を用いるような場合、単にアシストガスGの圧力を上げるだけでは、切断溝52に大量の酸素が導入されることとなり、酸素の過剰供給によってバーニング現象を誘発する虞れがある。従って、リスクが大きく最善策とは言えない。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、加工面に対してレーザを斜めに照射して加工を行う場合でも、切断面の品質を良好に確保できるようにすることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、加工面上で切断方向と直交する方向にレーザ光を傾けた状態で該レーザ光を前記加工面に照射するとともにこのレーザ光に沿ってアシストガスを噴射させて加工を行うレーザ加工方法において、前記アシストガスの吹き付け位置を境としてレーザ光が傾いている側から前記アシストガスの吹き付け位置に向って前記加工面に沿って流れるガス流を形成しながら前記レーザ光による加工を行うとともに、このガス流を前記アシストガスよりも燃焼性に劣るガスにより形成するようにしたものである。
【0009】
この方法によると、加工面に沿って流れるガス流がアシストガスに巻き込まれながら切断溝内に導入され、切断溝のうちレーザ光が傾いた側の切断面に沿って流れることとなる。そのため、レーザ光が傾いた側の切断面に付着したドロスに対して効果的にガス圧が作用することとなり、これによってドロスの排出作用が促進される。そしてその結果、切断溝内にドロスが付着し難くなり、ドロスの付着に起因するバーニング現象の発生が抑制されることとなる。しかも、アシストガスよりも燃焼性に劣るガスによって前記ガス流を形成するので、ドロスの排出効果を高めながらも、燃焼作用を過剰に促進させることがない(すなわち、バーニング現象の発生を回避することができる)。なお、アシストガスおよび前記ガス流を形成するガスの種類は適宜選定可能であるが、例えば、加工を促進させるために前記アシストガスとして酸素を用いる場合には、前記ガス流を形成するためのガスとしてエア又は不活性ガスを用いるのが好ましい。
【0010】
一方、本発明に係るレーザ加工装置は、加工面に対して斜めに傾けた状態でレーザ光を照射するとともにこのレーザ光に沿ってアシストガスを噴射させるアシストガス噴射ノズルを備えたレーザ加工装置において、前記アシストガスの吹き付け位置を境としてレーザ光が傾いている側から前記アシストガスの吹き付け位置に向って前記加工面に沿って流れるガス流を形成するためのガス流形成用ガスを前記加工面に吹き付けるガス流形成用ノズルが設けられているものである。
【0011】
この装置によると、ガス流形成用ノズルからガス(ガス流形成用ガス)が噴射されることにより加工面上に上記のようなガス流が形成される。従って、開先加工時にこのガス流形成ノズルからガスを噴射させるようにすれば、レーザ光が傾いた側の切断面に付着したドロスに対して効果的にガス圧が作用することとなり、その結果、切断溝内のドロス排出作用を促進させることが可能となる。
【0012】
この場合、ガス流形成用ノズルは、前記加工面上における前記アシストガスの吹き付け位置よりも前記レーザ光が傾いている側にずれた位置に対して前記レーザ光が傾いている側と同じ側に傾いた方向で前記ガス流形成用ガスを吹き付けるように構成されているのが好ましい。
【0013】
このようなガス流形成用ノズルの構成によると、レーザ光が傾いている側からアシストガスの吹き付け位置に向って加工面に沿って流れるガス流を良好に形成することができる。
【0014】
なお、このレーザ加工装置においては、加工面に対してレーザ光を傾けた状態で照射する第1の傾斜姿勢とこの第1の傾斜姿勢とは反対側に傾く第2の傾斜姿勢とに前記アシストガス噴射ノズルが変位可能に設けられる一方、このアシストガス噴射ノズルのノズル中心軸に対して前記ガス流形成用ノズルが回動変位可能に設けられているのが好ましい。
【0015】
この構成によると、アシストガス噴射ノズルの向きを変えてレーザ光の照射方向およびアシストガスの噴射方向を変えた場合には、これに応じてガス流形成用ノズルをアシストガス噴射ノズル回りに移動させることにより、常に、レーザ光の傾いた側からガス流形成用ガスを加工面に吹き付けることが可能となる。
【0016】
また、前記ガス流形成用ノズルとしては一般的なノズルを用いてもよいが、ノズル孔の周囲にフード部を備えたフード付きノズルからなり、前記フード部にガス流形成用ノズルの噴射に伴い外気をフード内に吸込むための開口が設けられているものを用いるのが効率を高める上では好ましい。
【0017】
この構成によると、ガス流形成用ガスの噴射に伴いその周囲のエアが巻き込まれながら加工面に吹き付けられることとなるため、少ない流量(ノズルに対する流量)でガス流形成用ガスを噴射させながらもより多くのガス(エアを含むガス流形成用ガス)を加工面に吹き付けることが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
図1および図2は本発明に係るレーザ加工装置の外観を示している。これらの図に示すように、レーザ加工装置10は、図外のレーザ発振器からのレーザビームL(レーザ光)を伝送する第1の伝送管12を有している。第1の伝送管12は、レーザ加工装置10のフレーム等に鉛直軸回りに回転可能に支持されており、図外のモータにより駆動されるようになっている。
【0020】
第1の伝送管12の下端はL字型に屈曲されており、その末端部分には逆L字型に屈曲して下方に延びる第2の伝送管15が連結されている。第1の伝送管12および第2の伝送管15の各連結分部には筒状連結軸13,16が設けられており、図1に示すように第1の伝送管12の連結軸13の内部に第2の伝送管15の連結軸16が挿入され、これら両軸13,16がベアリング17a,17bを介して内外に結合されている。これにより第1の伝送管12に対して第2の伝送管15が水平軸回りに回転可能に連結されている。
【0021】
第2の伝送管15の前記連結軸16には、その外周に歯車16aが一体に形成されている。また、第1の伝送管12の下端にはモータ18が固定され、このモータ18の出力軸に歯車20が装着されるとともにこの歯車20が前記連結軸16aに噛合している。つまり、モータ18の作動により第2の伝送管15が第1の伝送管12に対して相対的に回転し、この回転に伴い後記第1ノズル24から加工面に対して照射されるレーザビームLおよびアシストガスの方向と角度を変更できるように構成されている。
【0022】
第2の伝送管15には集光レンズ22が内蔵されている。また、第2の伝送管15においてこの集光レンズ22よりも下側には加工ヘッドが設けられている。
【0023】
加工ヘッドは、ノズルホルダ23とこのホルダ23の下端に脱着可能に装着されるノズル24(以下、第1ノズル24と呼ぶ;アシストガス噴射ノズル)とから構成されており、前記レーザ発振器から出力されるレーザビームLが前記集光レンズ22で集光されて前記ノズル24のノズル孔24a(図3に示す)を介して加工物の微小スポットに照射されるように構成されている。なお、レーザ発振器から出力されるレーザビームLは、図1に示すように、第1の伝送管12の下端屈曲部分に配設される反射鏡14および第2の伝送管15の上端屈曲部分に配設される反射鏡21で反射されて前記集光レンズ22に案内されるようになっている。また、ノズル24は、ノズル孔形状等により分類される複数種類のノズル24が選択的に使用可能とされ、加工条件に応じて使い分けられるようになっている。
【0024】
前記ノズルホルダ23にはポート23a(図3に示す)が設けられており、図外のアシストガス供給源に通じるガス供給管34(図3に示す)がこのポート23aに接続されている。これにより、加工時には、ノズル孔24aを介してレーザビームLが照射されるとともに、このレーザビームLに沿って該ビームLの照射位置にアシストガスが吹き付けられるようになっている。
【0025】
図示を省略するが、ガス供給管34の途中部分には電気制御式のレギュレータが介設されており、印加電圧値に応じて加工ヘッドに供給するアシストガスの圧力を変化させ得るように構成されている。なお、アシストガスの種類としては、酸素、あるいはアルゴン等の不活性ガスが使用可能とされるが、当実施形態では、酸素が用いられている。
【0026】
第2の伝送管15には、図2に示すように、前記アシストガスとは別に、加工物に対して該アシストガスと平行な方向にガス(サポートガスという)を噴射するノズル29(以下、第2ノズル29と呼ぶ;ガス流形成用ノズル)がさらに設けられている。
【0027】
この第2ノズル29は、同図に示すように、第1ノズル24の側方であって該ノズル24よりもレーザビームLの照射方向後側(上方)にオフセットされた状態で設けられており、モータ30の駆動により第1ノズル24回りの任意の位置に移動させ得るように構成されている。詳しくは、第2の伝送管15の前記ノズルホルダ23の上側に、外周面に歯車が形成されたリング状のノズル取付台27がベアリングを介して回転可能に外嵌装着されており、前記第2ノズル29が、ガス供給管を兼ねる棒状の支持部材28を介してこのノズル取付台27に固定されている。そして、第2の伝送管15の前記ノズル取付台27の上側に鍔状のモータ取付部26が設けられ、この取付部26にモータ30が固定されてこのモータ30の出力軸に装着された歯車32がノズル取付台27の前記歯車に噛合している。この構成により、モータ30が作動するとノズル取付台27、支持部材28および第2ノズル29が一体的に第2の伝送管15に対して相対的に回転し、この回転に伴い第2ノズル29が第1ノズル24の中心軸回りに移動するように構成されている。
【0028】
第2ノズル29は、前記支持部材28、モータ取付台26内に形成される図外のガス通路およびガス供給管35(図3に示す)を介して図外のサポートガス供給源に接続されている。図示を省略するが、このガス供給管35にも、その途中部分には電気制御式のレギュレータが介設されており、印加電圧値に応じてガス供給管35に供給するサポートガスの圧力が調整され得るように構成されている。なお、サポートガスの種類としては、酸素、あるいはアルゴン等の不活性ガスが使用可能とされるが、当実施形態では圧縮空気(エア)が用いられている。
【0029】
次に、上記のレーザ加工装置により、鋼板の端部に先下がりの開先面を形成しながら鋼板を切断する場合の作用効果について図3を参照しつつ説明する。なお、図3では、レーザ加工装置10の加工ヘッド部分の構成を断面図で模式的に示している。
【0030】
切断作業では、まず、第2の伝送管15およびノズル取付台27を駆動して、加工前の準備作業を行う。具体的には、第2の伝送管15を駆動して、図3に示すように、開先角度に応じた所定の角度で鋼板1に対してレーザビームLが斜めに照射されるように第2の伝送管15を揺動させる。この際、第2の伝送管15を傾斜させた状態で、第2ノズル29が前記ノズルホルダ23の後側(すなわち、レーザビームLの傾いた側;同図では右側)に配置されるように予めノズル取付台27を駆動して第2ノズル29を移動させておく。
【0031】
準備作業が完了した後、鋼板1の切断開始位置に対して第1ノズル24からレーザビームLを照射するとともに前記アシストガスG1を噴射させ、さらに第2ノズル29からサポートガスG2を噴射させる。このようにサポートガスG2を噴射させると、上記のようにノズルホルダ23の後側に第2ノズル29が配置されているため、鋼板1における前記アシストガスG1の吹き付け位置よりも後方の部分にガスG2が吹き付けられ、この吹き付けによりレーザビームLが傾いている側から切断溝2に向って鋼板1に沿って流れるガス流(サポートガスG2の流れ)が形成されることとなる。
【0032】
そして、第1ノズル24に対して鋼板1を相対的に移動(図示の例では紙面に直交する方向へ移動)させ、これによりレーザビームLにより鋼板1を切断する。
【0033】
切断作業中は、アシストガスG1(酸素)が噴射されることによりその酸化反応により切断作用が促進されるとともに、そのガス圧により切断溝2内から溶融物(ドロス)が排出されるが、このレーザ加工装置10によると、上記のように鋼板1に沿って流れるサポートガスG2のガス流が形成されている結果、ドロスの排出作用がより一層促進されることとなる。
【0034】
すなわち、レーザビームLを鋼板1に対して傾けた状態で切断を行う場合には、上記のようにアシストガスG1も鋼板1に対して斜めに吹き付けられるため、サポートガスG2を停止させてアシストガスG1のみを噴射させると、図4(a)に示すように、アシストガスG1が、切断溝2においてレーザビームLが傾いた側とは反対側(すなわち開先面1aとは反対側)の切断面に偏って流れることとなる。そのため、開先面1aに沿って流れるアシストガスGの量が少なくなり、開先面1aに付着したドロスに対してガス圧が作用し難くなる。これに対して、サポートガスG2を併用した場合には、図4(b)に示すように、レーザビームLが傾いている側から切断溝2に向って鋼板1に沿って流れるサポートガスG2がアシストガスG1に巻き込まれながら切断溝2内に導入される。そして、切断溝のうちレーザビームLが傾いた側の切断面(開先面1a)に沿ってサポートガスG2が流れる結果、開先面1aに付着したドロスに対して効果的にガス圧が作用することとなる。従って、特に開先面1aに付着したドロスの排出作用が促進されることとなる。
【0035】
図6は、上記のレーザ加工装置10においてアシストガスG1のみを噴射させた場合、サポートガスG2を併用した場合の切断部2近傍でのガス圧力分布特性(切断方向と直交する方向)を測定した試験結果を示している。この試験は、図5に示すように、予め切断溝4を形成した鋼板5の下側に拡散型半導体圧力トランスデューサ8を配置し、第1ノズル24を切断部6に対応した位置および傾きにした状態でアシストガスG1等を噴射させ、前記トランスデューサ8を切断方向と直交する方向に移動させながら鋼板5下側のガス圧を測定したものである。
【0036】
図6に示すように、アシストガスG1のみを鋼板5に吹き付けた場合には、切断溝4においてレーザビームが傾いた側とは反対側(すなわち開先面4aとは反対側)の切断面近傍のガス圧が高い。すなわち、開先面4aとは反対側の面にアシストガスG1が偏って流れており、開先面4aにアシストガスG1のガス圧がさほど作用していないことが考察できる。これに対して、サポートガスG2を併用した場合には、アシストガスG1のみを吹き付けた場合に比べて開先面4aの近傍でガス圧が高くなっている。この結果からも、サポートガスG2を併用した場合には、開先面4aに沿って効果的にサポートガスG2が流れていることが考察できる。
【0037】
以上のように、上記実施形態のレーザ加工装置(方法)によると、サポートガスG2を併用することによりドロス(特に開先面1aに付着したドロス)の排出作用を促進させることができるので、切断溝2内へのドロスの付着および該付着に伴うバーニング現象の発生を効果的に抑えることができる。従って、レーザビームを加工物に対して斜めに照射し、その光軸に沿ってアシストガスを噴射させるだけの従来のこの種の装置(方法)と比べると、鋼板1の切断面(開先面1a)の品質を良好に確保することができるという効果がある。
【0038】
特に、上記のレーザ加工装置10では、サポートガスG2として酸素よりも燃焼性に劣る圧縮空気を用いるため、ドロスの排出効果を高めながらもバーニング現象を誘発することがないという利点がある。すなわち、アシストガス(酸素)のみをレーザビームの光軸に沿って噴射させる従来のこの種においても、アシストガスのガス圧を高めることによって図6に示した試験結果(サポートガスG2を併用した場合の試験結果)に近い、あるいは同等の圧力分布を得ることが可能と考えられる。しかし、単にアシストガスの圧力を上げるだけでは、切断溝に大量の酸素が導入され、その結果、酸素の過剰供給に起因するバーニング現象が発生し易くなるという弊害がある。これに対して上記実施形態のようにサポートガスG2を併用する場合には、図6に示すように、アシストガスG1の圧力は一定のままで(酸素の供給量を増やすことなく)ドロスの排出効果を高めることが可能となるので、バーニング現象を誘発することがないという利点がある。
【0039】
また、上記のレーザ加工装置10では、第2の伝送管15の駆動により鋼板1(加工物)に対するレーザビームLの照射方向および照射角度が変更可能に構成されるとともに、第2ノズル29が第1ノズル24回りに移動可能に構成されているため、必要に応じて切断面(開先面)の向きを容易に変更することができるという効果もある。
【0040】
なお、以上説明したレーザ加工装置は、本発明に係るレーザ加工装置(方法)の一の実施形態であって、その具体的な構成(方法)は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0041】
上記実施形態では、第2の伝送管15の駆動によってレーザビームLの照射方向および照射角度を変更できるようにレーザ加工装置10が構成されているが、勿論、第2の伝送管15が固定的に設けてられているものであっても構わない。この場合、第2ノズル29は、加工面上におけるアシストガスG1の吹き付け位置よりもレーザビームLが傾いている側にずれた位置に対してレーザビームLが傾いている側と同じ側に傾いた方向でサポートガスG2を吹き付け得るように第2の伝送管15等に対して固定的に設けられていればよい。なお、第2ノズル29によるサポートガスG2の噴射角度は、必ずしもアシストガスG1と平行な方向である必要はない。要は、加工物に吹き付けられるサポートガスG2によって、アシストガスG1の吹き付け位置を境としてレーザビームLが傾いている側から前記アシストガスG1の吹き付け位置に向って前記加工面に沿って流れるガス流を良好に形成することができる角度であればよい。
【0042】
また、サポートガスG2を噴射する第2ノズル29は、必ずしも第2の伝送管15と一体に設けられている必要はなく、別体であってもよい。
【0043】
なお、サポートガスG2を噴射する第2ノズル29は図1〜図3に示されているもの以外のものであってよく、例えば、図7に示すような構成の第2ノズル29を用いれば、より多くのサポートガスG2を供給することが可能となる。この第2ノズル29は、同図に示すようにノズル孔29aの周囲にフード部40を備えたフード付きノズルであって、フード部40にはその内外を連通する複数の外気導入孔40aが設けられている。このような第2ノズル29によると、サポートガスG2の噴射に伴いノズル周囲の外気(エア)が外気導入孔40aを介してフード内に吸引されながらサポートガスG2と共に加工面に吹き付けられることとなる。そのため、例えば同じ圧力でサポートガスG2を供給する場合であっても、フード部40を持たない一般的なノズルに比べて実質的に多くのサポートガスG2(空気)を吹き付けることが可能となる。
【0044】
この場合、さらに図8に示すようにスパッタ防止剤導入用のポート40bをフード部40に設け、このポート40bにスパッタ防止剤供給管を接続することにより、アスピレータの原理によりサポートガスG2の流れを利用してスパッタ防止剤を吸引しつつその流れに合流させて噴射させるように構成してもよい。このような構成によると、第2ノズル29を利用してスパッタ防止剤を切断開始位置等に吹き付けることができ、ピアシング加工時のスパッタ付着を有効に防止することが可能となる。そのため、簡単な構成でレーザ加工装置10の機能性を高めることができるという効果がある。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明のレーザ加工方法は、アシストガスとは別に、該アシストガスの吹き付け位置を境としてレーザ光が傾いている側から加工面に沿って前記吹き付け位置に向って流れるガス流を形成しながら前記レーザ光による加工を行うことにより、切断面のうち、特にレーザ光が傾いた側の切断面に付着するドロスに対して効果的にガス圧が作用し得るようにしたので、切断溝内へのドロスの付着および該付着に伴うバーニング現象の発生をより効果的に抑えることができるようになる。従って、レーザ光を加工物に斜めに照射しながら加工を行いながらも、従来のレーザ加工方法に比べて切断面の品質を高めることができる。しかも、アシストガスよりも燃焼性に劣るガスによって前記ガス流を形成するので、ドロスの排出効果を高めながらも、燃焼作用を過剰に促進させることがない(すなわち、バーニング現象の発生を回避することができる)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ加工装置の構成を示す正面図である。
【図2】レーザ加工装置の構成を示す図1のA矢視図(側面図)である。
【図3】切断作業中のレーザ加工装置(加工ヘッド)の状態を示す断面模式図である。
【図4】本発明に係るレーザ加工装置の作用効果を説明する模式図であり、(a)はサポートガスを停止させてアシストガスのみを噴射させた状態、(b)はサポートガスおよびアシストガスの双方を噴射した状態をそれぞれ示している。
【図5】圧力分布測定の概要説明図である。
【図6】切断部近傍のアシストガス等の圧力分布測定を行った結果を示すグラフである。
【図7】第2ノズルの具体的構成の一例を示す断面略図である。
【図8】第2ノズルの具体的構成の一例を示す断面略図である。
【図9】従来のレーザ加工方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
L レーザビーム
G1 アシストガス
G2 サポートガス
1 鋼板
10 レーザ加工装置
12 第1の伝送管
15 第2の伝送管
23 ノズルホルダ
24 第1ノズル(アシストガス噴射ノズル)
29 第2ノズル(ガス流形成用ノズル)
Claims (6)
- 加工面上で切断方向と直交する方向にレーザ光を傾けた状態で該レーザ光を前記加工面に照射するとともにこのレーザ光に沿ってアシストガスを噴射させて加工を行うレーザ加工方法において、
前記アシストガスの吹き付け位置を境としてレーザ光が傾いている側から前記アシストガスの吹き付け位置に向って前記加工面に沿って流れるガス流を形成しながら前記レーザ光による加工を行うとともに、このガス流を前記アシストガスよりも燃焼性に劣るガスにより形成することを特徴とするレーザ加工方法。 - 請求項1に記載のレーザ加工方法において、
前記アシストガスとして酸素を用いる一方、前記ガス流を形成するガスとしてエア又は不活性ガスを用いることを特徴とするレーザ加工方法。 - 加工面に対して斜めに傾けた状態でレーザ光を照射するとともにこのレーザ光に沿ってアシストガスを噴射するアシストガス噴射ノズルを備えたレーザ加工装置において、
前記アシストガスの吹き付け位置を境としてレーザ光が傾いている側から前記アシストガスの吹き付け位置に向って前記加工面に沿って流れるガス流を形成するためのガス流形成用ガスを前記加工面に吹き付けるガス流形成用ノズルが設けられていることを特徴とするレーザ加工装置。 - 請求項3に記載のレーザ加工装置において、
前記ガス流形成用ノズルは、前記加工面上における前記アシストガスの吹き付け位置よりも前記レーザ光が傾いている側にずれた位置に対して前記レーザ光が傾いている側と同じ側に傾いた方向で前記ガス流形成用ガスを吹き付けることを特徴とするレーザ加工装置。 - 請求項4に記載のレーザ加工装置において、
前記加工面に対してレーザ光を傾けた状態で照射する第1の傾斜姿勢とこの第1の傾斜姿勢とは反対側に傾く第2の傾斜姿勢とに前記アシストガス噴射ノズルが変位可能に設けられる一方、このアシストガス噴射ノズルのノズル中心軸に対して前記ガス流形成用ノズルが回動変位可能に設けられていることを特徴とするレーザ加工装置。 - 請求項3乃至5の何れかに記載のレーザ加工装置において、
前記ガス流形成用ノズルはノズル孔の周囲にフード部を備えたフード付きノズルからなり、前記フード部にはガス流形成用ノズルの噴射に伴い外気をフード内に吸込むための開口が設けられていることを特徴とするレーザ加工装置。
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