JP2005046778A - 塗膜の形成方法、並びにこれを利用した有機デバイスおよび有機el素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】層を増やしたり、材料の精製の工程に長時間を要することなく、下層の塗膜を構成する成分が上層の塗膜中に含まれてしまう欠点を回避することを課題とする。また、このような欠点を回避した有機デバイスの製造方法を提供することも課題とする。
【解決手段】基板上に、溶剤溶解性もしくは水溶性の不純物を含有する下層形成用組成物を用いて下層の塗膜を形成した後、前記不純物を溶解する溶剤もしくは水を用いて、前記下層の塗膜中の不純物の溶解除去を行ない、その後、上層の塗膜を形成することにより課題を解決することができた。
【解決手段】基板上に、溶剤溶解性もしくは水溶性の不純物を含有する下層形成用組成物を用いて下層の塗膜を形成した後、前記不純物を溶解する溶剤もしくは水を用いて、前記下層の塗膜中の不純物の溶解除去を行ない、その後、上層の塗膜を形成することにより課題を解決することができた。
Description
この発明は、例えば、塗膜上にさらに別の塗膜を形成する際に、下層の塗膜中の不純物等を除去して行なう塗膜の形成方法に関するものである。また、この発明は、そのような方法を利用して行なう有機デバイス、もしくは有機EL素子の製造方法に関するものでもある。
基板上への複数の塗膜の積層によって形成した有機デバイスが注目されている。複数の塗膜を積層により形成すると、蒸着やスパッタリングに頼って積層を行なうのにくらべて、設備的にも簡素なもので済み、また、工程時間の短縮が可能になる等の利点がある。しかし、ほとんどの場合、塗膜の積層は、塗膜形成成分を有機溶剤に溶解もしくは分散して調製した塗膜形成用組成物を使用したコーティングにより行なわれ、上層の塗膜を形成する際に使用する組成物中の有機溶剤が、下層の塗膜に接触し、下層の塗膜を構成する成分が溶出する結果、上層の塗膜の下層に近い部分には下層の成分が含まれてしまい、上層および下層の機能を充分発揮できないことがある。また、電流を流すと、下層中の不純物が上層に移動することもある。
有機EL素子の分野においても、高分子材料を用い、有機溶媒に溶解させてコーティングで発光層やその他の層を形成する高分子型と、低分子材料を用い、蒸着等の気相法で作製する低分子型の2種に大別できるが、高分子型の有機EL素子は低分子型の有機EL素子と比べて素子寿命が相対的に短い傾向にあると言われる。
従来、1μm以下の径を持つ粒子を有する溶液、分散液から塗布されたポリマー性有機伝導体層を電極と発光層の間に形成する事で、輝度の劣化を抑制すること(例えば、特許文献1参照。)、および発光性有機化合物を数回精製処理し、イオン性不純物を0.01ppm以下に落とすことで輝度劣化を抑制することが提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
特開2000−91081
特開2001−214159 しかしながら、特許文献1記載の方法によっても新たな層が増えるだけで、下層の塗膜を構成する成分が溶出することは依然として回避できないし、特許文献2記載の方法は、材料の精製に長時間を要する。また、有機EL素子において、ITO電極層上によく用いられるポリ(スチレンスルフォネート)でドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(通称;PEDOT/PSS)の薄膜は、ITOから拡散する酸素を遮断して発光材料の寿命を延ばす反面、その酸性によりITOを腐食させるので、インジウムが薄膜中に移動する問題も生じている。
従って、この発明においては、層を増やすことなく、しかも、材料の精製の工程に長時間を要することなく、下層の塗膜を構成する成分が上層の塗膜中に含まれてしまう欠点を回避することを課題とするものであり、また、このような欠点を回避した有機デバイスの製造方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決する第1の発明は、溶剤溶解性もしくは水溶性の不純物を含有する下地層から、前記不純物を溶解する溶剤もしくは水を用いて、前記不純物の溶解除去を行ない、その後、前記下地層上に、上層形成用組成物を用いて塗膜を形成することを特徴とする塗膜の形成方法に関するものである。
また、第2の発明は、基板上に、少なくとも二層の塗膜を順次形成するものであって、溶剤溶解性もしくは水溶性の不純物を含有する下層形成用組成物を用いて下層の塗膜を形成した後、前記不純物を溶解する溶剤もしくは水を用いて、前記下層の塗膜中の不純物の溶解除去を行ない、その後、上層形成用組成物を用いて上層の塗膜を形成することを特徴とする塗膜の形成方法に関するものである。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記不純物の溶解除去を行なうために用いる溶剤もしくは水として、前記上層形成用組成物中に含まれる溶剤もしくは水と同じものか、もしくは溶解性が前記上層形成用組成物中に含まれる溶剤もしくは水と類似したものを用いることを特徴とする塗膜の形成方法に関するものである。
第4の発明は、第1〜第3いずれかの発明において、前記溶解除去を、前記不純物を含有する層を前記溶剤もしくは水に接触させることにより行なうことを特徴とする塗膜の形成方法に関するものである。
第5の発明は、第4の発明において、前記溶解除去を、浸漬することにより行なうことを特徴とする塗膜の形成方法に関するものである。
第6の発明は、第5の発明において、前記溶解除去を、超音波を作用させながら行なうことを特徴とする塗膜の形成方法に関するものである。
第7の発明は、第4の発明において、前記溶解除去を、前記基板上の前記下層上に前記液体をスピンコーティングにより適用することにより行なうことを特徴とする塗膜の形成方法に関するものである。
第8の発明は、第2〜第7いずれかの発明において、前記下層の塗膜が高分子を含有しており、前記溶解除去を行なう際の前記溶剤もしくは水として、前記高分子を溶解しないものを用いて行なうことを特徴とする塗膜の形成方法に関するものである。
第9の発明は、前記基板が表面に電極層を有しており、前記電極層上に有機導電層からなる少なくとも二層の塗膜を形成するものであって、前記二層の塗膜の形成を第2〜第8いずれかの発明の塗膜の形成方法を利用して行なうことを特徴とする有機デバイスの製造方法に関するものである。
第10の発明は、前記基板が表面に電極層を有しており、前記電極層の前記基板とは反対側に、前記電極層と対向する対向電極層を積層すること、並びに、前記電極層と前記対向電極層との間に、電荷輸送層である正孔輸送層もしくは電子輸送層の少なくともいずれか、または電荷注入層である正孔注入層もしくは電子注入層の少なくともいずれか、および発光層の各塗膜を、前記電極層側から、前記正孔輸送層、前記正孔注入層、前記発光層、前記電子注入層、および前記電子輸送層の順で形成するものであって、前記の各層の塗膜の形成を、第2〜第8いずれかの発明の塗膜の形成方法を利用して行なうことを特徴とする有機EL素子の製造方法に関するものである。
第1の発明によれば、下地が含有する溶剤溶解性もしくは水溶性の不純物を、溶剤もしくは水を用いて溶解除去してから、上層形成用組成物を用いて塗膜を形成するので、上層を形成する際に、下地から不純物が溶出することがなく、しかも、そのために層が増えたり、長時間を要することがない、塗膜の形成方法を提供することができる。
第2の発明によれば、下層の塗膜中の溶剤溶解性もしくは水溶性の不純物を溶剤もしくは水を用いて溶解除去した後、上層を形成するので、上層を形成する際に、下層から不純物が溶出することがなく、しかも、そのために層が増えたり、長時間を要することがない、塗膜の形成方法を提供することができる。
第3の発明によれば、第1または第2の発明の効果に加え、上層の塗膜を形成する際に溶出する可能性のある不純物を、上層形成用の組成物中の溶剤もしくは溶解性が類似した溶剤または水を用いて溶解除去するので、その後、上層を形成する際に、下層から不純物が溶出することがなく、しかも、そのために層が増えたり、長時間を要することがない、塗膜の形成方法を提供することができる。
第4の発明によれば、第1〜第3の発明の効果に加え、溶解除去を溶剤もしくは水に接触させることにより行なうので、実施が容易な塗膜の形成方法を提供することができる。
第5の発明によれば、第4の発明の効果に加え、溶解除去を溶剤中もしくは水中への浸漬によって行なうので、操作が容易であり、不純物の溶解除去が確実に行える塗膜の形成方法を提供することができる。
第6の発明によれば、第5の発明の効果に加え、超音波を併用するので、溶解除去が短時間に効率的に行える塗膜の形成方法を提供することができる。
第7の発明によれば、第4の発明の効果に加え、普及している装置を用いて行なえ、比較的小サイズの基板を対象とすることが可能な塗膜の形成方法を提供することができる。
第8の発明によれば、第2〜第7いずれかの発明の効果に加え、下層が高分子を含有し、溶解除去を高分子を溶解しないものを用いることにより、下層中の高分子を損なうことなく、不純物の溶解除去が可能な、塗膜の形成方法を提供することができる。
第9の発明によれば、表面に電極層を有するものを用い、その上に有機導電層を少なくとも二層形成する際に、第2〜第8いずれかの発明の塗膜の形成方法を利用するので、それらの発明の効果が発揮された有機デバイスの製造方法を提供することができる。
第10の発明によれば、基板上の電極層と対向電極層との間に、発光層に加えて、電荷輸送層である正孔輸送層もしくは電子輸送層の少なくともいずれか、または電荷注入層である正孔注入層もしくは電子注入層の少なくともいずれかの塗膜を、第2〜第8いずれかの発明の塗膜の形成方法を利用するので、それらの発明の効果が発揮された有機EL素子の製造方法を提供することができる。
例えば、着色塗膜を形成するために用いられる着色塗料組成物は、主としてバインダー樹脂、顔料もしくは染料等の着色料、溶剤、さらには各種の添加剤が配合され、攪拌および混合されて均一に調製されたものである。組成物中における各成分は十分に精製されたものであることが望ましいものの、精製のために必要なエネルギーや資材がかさむ点で、通常はある程度の不純物を含んだまま配合されている。塗料組成物の中には、塗布対象に着色塗膜の付与以外の機能の付与を行なうものもあり、このような場合に用いる塗料組成物としては、着色塗料組成物と同様、主としてバインダー樹脂、溶剤、各種の添加剤に加えて、塗布により対象物に機能の付与を行なえるようにするための機能付与用の物質を着色料に代えて、もしくは着色料と併用して配合して調製したものを挙げることができる。
バインダー樹脂中には、合成の際に生じた重合度分布のうちの低重合度の重合物が存在し、溶剤や水に対する溶解性を有しているほか、その合成に使われたモノマー、オリゴマー、架橋剤、もしくは重合開始剤等の不純物が、そのまま、もしくは分解した状態で残っている場合があるし、バインダー樹脂以外の成分にも、合成の際の原料や副生物等の不純物が残っている場合があり、これらの不純物は、塗膜を形成した後に塗膜が劣化する原因となることもあるのに加えて、この塗膜上に別の塗膜を重ねる際には、上層形成用の着色塗料組成物が含有する溶剤により、下層の塗膜中の不純物が溶出し、上層の塗膜中にも含まれることにもなり得るため、上層の塗膜の思わぬ劣化の原因となる。
ところで、上記の例において、問題になるのは、上層形成用の着色塗料組成物中の溶剤が、下層の塗膜中の不純物を溶解する場合であるから、本来的には、下層の塗膜中には、上層形成用の着色塗料組成物中の溶剤で溶解する成分を含ませないようにすることが望ましいが、現実的には、上層形成用の着色塗料組成物に配合するのと同じ溶剤を用いて、下層の塗膜から不純物を溶出させればよく、こうすることにより、上層形成の際に、下層の塗膜中の不純物が溶出することを防止することができる。
このとき、下層の塗膜から不純物を溶出させるには、必ずしも、上層形成用の着色塗料組成物中に用いられる溶剤そのものを使用しなくてもよく、溶解性が類似した他の溶剤を使用してもよい。勿論、下層の塗膜中の不純物が判っており、その不純物の溶解度の高い溶剤を用いることも好ましい。
着色塗料組成物以外も含め、各種の塗料組成物中に配合される溶剤としては、多数のものがあるが、アルコール系ではイソプロパノール、芳香族ではトルエンもしくはキシレン、エステル系では酢酸エチルもしくは酢酸n−ブチル、ケトン系ではメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、もしくはシクロヘキサノン等を代表的なものとして例示することができる。これらの他にも、特定の成分を溶解したり、また、塗膜の硬化反応を妨げない観点から、1,2−ジオキサン、テトラヒドロフラン、もしくはジグライム等のエーテル系のものもよく用いられる。また、水溶性もしくは水分散性の樹脂を用いるような場合には、水が用いられることもある。
従って、上層形成用の塗料組成物中に、仮にイソプロパノールが主として用いられている場合には、イソプロパノールを下層の塗膜中の不純物を溶出させるのに使用することが考えられるが、イソプロパノールに替えて、同じアルコール系であるメタノールやエタノールを使用することができる。同様に、上層形成用の塗料組成物中にトルエンが使われていればトルエンを使用するか、替りにキシレンやベンゼンを使用し、キシレンが使われていれば、キシレンを使用するか、替りにトルエンやベンゼンを使用することができる。上層形成用の塗料組成物中にメチルエチルケトンが使われていればメチルエチルケトンを使用するか、替りにメチルイソブチルケトンやアセトンを、メチルイソブチルケトンやシクロヘキサノンが使われていればそれらの使われているものを使用するか、替りにメチルエチルケトンやアセトンを使用することができる。なお、上層形成用の塗料組成物中に、メタノールもしくはエタノールが用いられている場合には、水を下層の塗膜中の不純物を溶出させるのに使用することもできるし、逆に、上層形成用の塗料組成物中に水が用いられている場合には、メタノールやエタノールを下層の塗膜中の不純物を溶出させるのに使用することもできる。
これらにおいて代替的に使用される溶剤は、例えば、同じアルコール系であるか、もしくは同じ芳香族系である等、化学構造的な類似性を有するか、または特定の物質(不純物)を溶解する溶解度が近いか、もしくはより大きいものであり、それらを総称して、「溶解性の類似した溶剤」と称することとする。なお、例として挙げた以外にも、塗料組成物の用途ごとに、よく使われる溶剤があり、例えば、1,2−ジオキサン、テトラヒドロフラン、もしくはジグライム等が使われる分野であれば、それらのうちのいずれかの溶剤が不純物の溶出に使用するか、替りにジメチルエーテルやジエチルエーテル等を使用することができる。
上記の溶剤は、塗料組成物中に一般的に用いられるもので、塗料組成物中に用いられるバインダー樹脂のうちには、これらの溶剤に溶解性を有するものが比較的多いから、下層の塗膜中の不純物を溶出させるために使用する溶剤としては、下層の塗膜のバインダー樹脂を溶解しないものを選択して使用することが好ましい。下層の塗膜を構成するバインダ樹脂が水溶液もしくは水分散液を使用して形成されており、上層形成用塗料組成物中のバインダー樹脂が極性のそれほど大きくない溶剤に溶解性を有するものであると、下層の塗膜のバインダー樹脂を溶解しない溶剤を選択することが容易となる。
下層の塗膜中の不純物を溶出させるには、まず、適宜な基板上に下層形成用塗料組成物を用いて下層の塗膜を形成し、下層の塗膜中の不純物を溶解する溶剤を用い、基板上に積層された下層を対象として、塗布、吹付け、もしくはかけ流し等の方法により、塗膜に溶剤を接触させることによる方法がある。溶出を促進する意味で、塗膜の表面を塗膜を損傷しない範囲で摩擦しながら行なう方法によってもよい。溶剤を接触させる方法の一例としてスピンナーを用いて基板に積層された塗膜上に溶剤を滴下した後、しばらく放置して行なう方法があり、この方法によれば、不純物で汚染されてない溶剤をその都度使用できる利点がある。あるいは、基板に下層の塗膜が積層されたものを溶剤中に浸漬して行なう方法がある。この浸漬して行なう方法においては、超音波を作用させて、溶出を促進することができる。いずれの方法においても、基板を適宜な手段で加温したり、溶剤を加温する等して、不純物の溶剤への溶解度を向上させて行なう方法も好ましい。また、上記の種々の方法による塗膜への溶剤の接触は、1回でもよいが、2回以上行なってもよく、2回以上行なう場合には、上記した種々の方法から選択した異なる方法を組み合わせて行なってよい。なお、必ずしも塗膜を表面に有していない基板等であっても、溶剤や水に溶解する不純物を含んでいることがあるので、このような基板も、上記した下層の塗膜に対する処理と同様にして、不純物を溶出させることができる。
溶剤の接触を行った後、下層の塗膜を乾燥させ、付着した溶剤、もしくは下層中に幾分しみ込んだ溶剤を除去する。溶剤の除去は、放置、風乾、もしくは加熱により行なうとよい。溶剤の除去後、上層形成用の塗料組成物を用いて上層を形成することにより、上層形成用の塗料組成物中の溶剤が下層の塗膜中の不純物を溶出させ、上層に含有させることを防止することが可能になる。なお、こうして得られた上層の上にさらに第3の層を重ねるのであれば、同様に上層中の不純物を除去した後、第3の層を積層するとよい。
本発明の複数の塗膜の塗り重ね方法は、有機EL素子として利用可能な有機デバイスの製造方法に適用すると、効果が高い。この有機デバイスの製造方法は、例えば、電極層を有する基板上に、電荷輸送層、および有機発光層の少なくとも二層を順次形成することにより行なうもので、電荷輸送層としては、正孔輸送層もしくは電子輸送層があるが、特に電荷輸送層が正孔輸送層である場合が、最も効果が高い。これらの少なくとも二層の塗膜は、陰極と陽極の間に挟まれて使用され得る。
上記における基板としては、ガラス、シリコン、もしく石英等の無機基材か、適宜な有機基材を挙げることができる。有機基材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、もしくはシンジオタクティック・ポリスチレン等、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、もしくはポリエーテルニトリル等、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、もしくはポリノルボルネン系樹脂等、または、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、もしくは熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。基板の厚みには、特に限定は無いが、用途に応じ、例えば、5μm〜1mm程度のものが使用される。
電極層は、陽極の場合と陰極の場合とがある、陽極を構成する素材、および陰極を構成する素材とも、通常の有機EL素子に用いられるものであれば特に限定されないが、陽極の場合であれば、特に正孔を注入しやすいよう、仕事関数の大きい透明もしくは半透明な導電性材料が好ましく、具体的には、例えば酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、金、もしくは酸化インジウム亜鉛(IZO)が挙げられる。厚みは、10nm〜500nm程度であり、必要に応じて、フォトエッチング等によりパターン化されたものであってもよい。また、陰極の場合であれば、電子を注入しやすいように仕事関数の小さい導電性材料が好ましく、具体的には、マグネシウム合金(MgAg)、アルミニウム、銀等が挙げられる。厚みは、10nm〜1μm程度が好ましく、より好ましくは、50〜200nm程度である。やはり、必要に応じて、フォトエッチング等によりパターン化されたものであってもよい。
基板上、もしくは陽極上には、部分的に絶縁層を有していてもよい。絶縁層は、好ましくは紫外線硬化性樹脂などの光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を含む材料の硬化物で構成され、カーボンブラックなどを配合して、ブラックマトリックスとして利用することもできる。
有機発光層は両電極間に挟まれ、両電極間に電位をかけることにより発光する有機蛍光体からなり、色素系、金属錯体系、もしくは高分子系のものがある。
色素系の有機蛍光体としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリレーン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、もしくはピラゾリンダイマーが挙げられる。
金属錯体系の有機蛍光体としては、例えば、アルミキノリール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポリフィリン亜鉛錯体、もしくはユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、もしくはキノリン構造等を有する金属錯体が挙げられる。
高分子系の有機蛍光体としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、もしくはポリビニルカルバゾール誘導体、または上記色素系の有機蛍光体もしくは金属錯体系の発光材料を高分子化したものが挙げられる。
また有機発光層中に発光効率向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピングを行うことができる。このドーピング材料としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポリフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、もしくはフェノキサゾンが挙げられる。
有機EL素子は、原則的には、両電極間に有機発光層があれば発光するが、有機発光層への正孔の輸送または/および電子の輸送を促す意味で、陽極と有機発光層との間に正孔輸送層が、陰極と有機発光層との間には電子輸送層が積層されていてもよいし、正孔輸送層や電子輸送層の代わりに、正孔注入層や電子注入層が積層されていてもよいし、陽極と正孔輸送層の間には正孔注入層が、また、陰極と電子輸送層の間には電子注入層が積層されていてもよい。これらをまとめると、有機EL素子は、基板の表面に電極層およびこれと対向する対向電極層を有しており、電極層と対向電極層との間に、電荷輸送層である正孔輸送層もしくは電子輸送層の少なくともいずれか、または電荷注入層である正孔注入層もしくは電子注入層の少なくともいずれか、および発光層の各塗膜が、電極層側から電極層、正孔輸送層、正孔注入層、発光層、電子注入層、および電子輸送層の順で積層されたものである。もちろん、これら全部の塗膜が揃う訳ではない。正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、および電子注入層は次のような素材で構成されるものである。
正孔輸送層を構成する素材としては、例えば、トリフェニルアミン類、ビス類、ピラゾリン誘導体、ポリフィリン誘導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネート、スチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、もしくはポリシラン等が挙げられる。
正孔注入層を構成する素材としては、例えば、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、もしくはポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
電子輸送層を構成する素材としては、例えば、オキサジアゾール類、もしくはアルミニウムキノリノール錯体など、一般的に安定なラジカルアニオンを形成し、イオン化ポテンシャルの大きい物質が挙げられ、具体的には、1,3,4−オキサジアゾール誘導体、もしくは1,2,4−トリアゾール誘導体等が挙げられる。
電子注入層を構成する素材としては、■A族もしくは■A族の金属、その酸化物、また
はそのハロゲン化物が好ましく、■A族の金属、その酸化物、もしくはそのハロゲン化物
の例としては、具体的に、フッカリチウム、酸化ナトリウム、もしくは酸化リチウム等が挙げられる。■A族の金属、その酸化物、もしくはそのハロゲン化物の例としては、具体
的に、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、カルシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムもしくは酸化ストロンチウム等が挙げられる。
はそのハロゲン化物が好ましく、■A族の金属、その酸化物、もしくはそのハロゲン化物
の例としては、具体的に、フッカリチウム、酸化ナトリウム、もしくは酸化リチウム等が挙げられる。■A族の金属、その酸化物、もしくはそのハロゲン化物の例としては、具体
的に、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、カルシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムもしくは酸化ストロンチウム等が挙げられる。
ガラス基板上にITO薄膜パターンを有するものを準備し、洗浄処理およびUVプラズマ洗浄を施した後、ITO薄膜パターン上に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルフォネート)(バイエル社製、正孔輸送層形成用水分散液、商品名;「バイトロン(Baytron) P AI4083)をスピンコートし、200℃に設定したホットプレート上に載せて30分加熱して乾燥させた。なお、スピンコートの際の回転数を調整し、得られた塗膜の膜厚を70nmとなるようにした。このようにして、ガラス基板/透明電極層/正孔輸送層の積層構造を得た。得られたものを基板Aとする。
基板Aに、溶剤としてキシレンを用い、次のような操作を行なった。まず、基板Aを容器内の攪拌されているキシレン中に浸漬し、5分間経過後、取出して乾燥させた。これにより得られたものを基板Bとする。また、基板Aを容器内のキシレン中に浸漬し、発振周波数;38KHz、出力;120Wで5分間の超音波洗浄を行なった。これにより得られたものを基板Cとする。また、スピンナー上にセットした基板A上にキシレンを滴下して、1分間放置して溶解を行なわせた後、高速回転させてキシレンを除去した。これにより得られたものを基板Dとする。いずれもキシレンの液温は常温(25℃)である。
上記の基板A〜Dの正孔輸送層側に、下記の組成の発光層形成用組成物を、発光色毎に別々にスピンコートし、コート後、温度;130℃で乾燥して、膜厚が約80nmの有機発光層を形成した。有機発光層の形成後に、LiFの薄膜を厚みが約1nmになるよう形成し、続いて、Caを厚みが10nmになるよう形成し、最後にAlを厚みが200nmになるよう形成した後、封止硝子で封止して有機EL素子を得た。
(発光層形成用組成物)
ポリビニルカルバゾール……………………………………………………………7重量部
発光色素…………………………………………………………………………0.1重量部
(赤色用、緑色用、もしくは青色用;注)
オキサジアゾール化合物……………………………………………………………3重量部
トルエン………………………………………………………………………1500重量部
テトラリン……………………………………………………………………2500重量部
注;発光色素としては、赤色用;ナイルレッド、緑色用;クマリン6、および青色用; ペリレン化合物を用いた。
ポリビニルカルバゾール……………………………………………………………7重量部
発光色素…………………………………………………………………………0.1重量部
(赤色用、緑色用、もしくは青色用;注)
オキサジアゾール化合物……………………………………………………………3重量部
トルエン………………………………………………………………………1500重量部
テトラリン……………………………………………………………………2500重量部
注;発光色素としては、赤色用;ナイルレッド、緑色用;クマリン6、および青色用; ペリレン化合物を用いた。
基板A〜Dに、上記の各発光色用の発光層形成用組成物を用いて得られた各有機EL素子を発光させて比較したところ、基板Aを用いたものは素子寿命の向上が見られなかったが、基板B、基板C、および基板Dを用いたものは素子寿命が向上することが分かった。なお、基板B、基板C、および基板Dの中では、基板Bおよび基板Cが優れていた。
本発明の方法は、着色塗料組成物を用いた塗り重ねに適用できるのは勿論、種々の機能性材料を含有する塗料組成物を重ね塗りする際に広く適用可能である。
Claims (10)
- 溶剤溶解性もしくは水溶性の不純物を含有する下地層から、前記不純物を溶解する溶剤もしくは水を用いて、前記不純物の溶解除去を行ない、その後、前記下地層上に、上層形成用組成物を用いて塗膜を形成することを特徴とする塗膜の形成方法。
- 基板上に、少なくとも二層の塗膜を順次形成するものであって、溶剤溶解性もしくは水溶性の不純物を含有する下層形成用組成物を用いて下層の塗膜を形成した後、前記不純物を溶解する溶剤もしくは水を用いて、前記下層の塗膜中の不純物の溶解除去を行ない、その後、上層形成用組成物を用いて上層の塗膜を形成することを特徴とする塗膜の形成方法。
- 前記不純物の溶解除去を行なうために用いる溶剤もしくは水として、前記上層形成用組成物中に含まれる溶剤もしくは水と同じものか、もしくは溶解性が前記上層形成用組成物中に含まれる溶剤もしくは水と類似したものを用いることを特徴とする請求項1または請求項2記載の塗膜の形成方法。
- 前記溶解除去を、前記不純物を含有する層を前記溶剤もしくは水に接触させることにより行なうことを特徴とする、請求項1〜請求項3いずれか記載の塗膜の形成方法。
- 前記溶解除去を、浸漬することにより行なうことを特徴とする請求項4記載の塗膜の形成方法。
- 前記溶解除去を、超音波を作用させながら行なうことを特徴とする、請求項5記載の塗膜の形成方法。
- 前記溶解除去を、前記基板上の前記下層上に前記液体をスピンコーティングにより適用することにより行なうことを特徴とする、請求項4記載の塗膜の形成方法。
- 前記下層の塗膜が高分子を含有しており、前記溶解除去を行なう際の前記溶剤もしくは水として、前記高分子を溶解しないものを用いて行なうことを特徴とする、請求項2〜請求項7いずれか記載の塗膜の形成方法。
- 前記基板が表面に電極層を有しており、前記電極層上に有機導電層からなる少なくとも二層の塗膜を形成するものであって、前記二層の塗膜の形成を請求項2〜請求項8いずれか記載の塗膜の形成方法を利用して行なうことを特徴とする有機デバイスの製造方法。
- 前記基板が表面に電極層を有しており、前記電極層の前記基板とは反対側に、前記電極層と対向する対向電極層を積層すること、並びに、前記電極層と前記対向電極層との間に、電荷輸送層である正孔輸送層もしくは電子輸送層の少なくともいずれか、または電荷注入層である正孔注入層もしくは電子注入層の少なくともいずれか、および発光層の各塗膜を、前記電極層側から、前記正孔輸送層、前記正孔注入層、前記発光層、前記電子注入層、および前記電子輸送層の順で形成するものであって、前記の各層の塗膜の形成を、請求項2〜請求項8いずれか記載の塗膜の形成方法を利用して行なうことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
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