JP2005045339A - 非接触型識別データキャリアおよび非接触型識別データキャリアの設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保すること。
【解決手段】リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリア1において、リーダライタと通信を行うための再輻射用アンテナ3と、リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナ4と、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4に接続されたICチップ部品5と、を有し、給電用アンテナ4は、リーダライタから送信される電波に共振するとともに、ICチップ部品5の入力部とインピーダンス整合がとれるように調整されており、再輻射用アンテナ3は、給電用アンテナ4に対する干渉が少なくなるように調整されている。
【選択図】 図1
【解決手段】リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリア1において、リーダライタと通信を行うための再輻射用アンテナ3と、リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナ4と、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4に接続されたICチップ部品5と、を有し、給電用アンテナ4は、リーダライタから送信される電波に共振するとともに、ICチップ部品5の入力部とインピーダンス整合がとれるように調整されており、再輻射用アンテナ3は、給電用アンテナ4に対する干渉が少なくなるように調整されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触型識別データキャリアおよび非接触型データキャリアの設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平板状基板面にICチップ部品およびループ状のアンテナが固定されたタグ状、片状もしくはカード状の非接触型識別データキャリア(以下、「キャリア」と略記する。)については、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
このようなキャリアをリーダライタに近づけることで、リーダライタとの間で無線通信により情報が授受される。キャリアは、例えば、これを付与された顧客等の自動認識等に用いられる。
【0004】
キャリアの中には、リーダライタから送信される電波を、キャリアが有するアンテナで受信し、ICチップ部品内部の整流回路によって整流することにより、内部の電子回路を動作させるために必要な電力を得るものがある。このような方式によれば、電池を具備しなくてもキャリアを動作させることが可能となる。
【0005】
このように電波を電源として使用するキャリアの場合、リーダライタから送信された電波を受信し、整流回路によって整流して電源電力を得るとともに、リーダライタからOOK(On−Off Keying)変調されて送信されてきた電波を受信し、復調して情報を得る。また、リーダライタに対して情報を送信する場合には、リーダライタから送信された電波によってアンテナに誘起された高周波電力を、スイッチ等によってオンまたはオフすることで変調をかけ、情報を載せて再輻射するようにしている。
【0006】
ところで、従来においては、電力を供給するためのアンテナ(以下、「給電用アンテナ」と称する)と、情報を再輻射により送信するためのアンテナ(以下、「再輻射用アンテナ」と称する)とを共用することが一般的であった。その結果、再輻射のためにオン、オフ動作を行うと、その期間中は給電用アンテナからの電力の供給が停止したり、給電用アンテナからの供給電力変動によるICチップ内の回路の動作不安定により、十分な通信距離を得ることができないという問題点があった。
【0007】
そこで、特許文献2では、給電用アンテナと、情報を送信するための再輻射用アンテナとを別個独立に設ける構成を提案している。これにより、通信を行っている間であっても安定な電力と、リーダライタからの再輻射応答動作に影響を受けない電力を給電用アンテナから得ることができるため、実質的な通信距離を伸ばすことができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−250097号公報(特許請求の範囲、要約)
【特許文献2】
特開平9−1968号公報(特許請求の範囲、要約)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来において、給電用アンテナと再輻射用アンテナのそれぞれを設計する際には、それぞれのアンテナが通信の際に使用する電波に対して共振するように設計することが一般的である。
【0010】
しかしながら、再輻射用アンテナと給電用アンテナが近接して配置される場合には、それぞれが相互に干渉してしまうため、例えば、再輻射用アンテナの影響により、給電用アンテナから安定な電力が得られず、十分な通信距離が確保できない場合があるという問題点がある。
【0011】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保することが可能な非接触型識別データキャリアおよび非接触型識別データキャリアの設計方法を提供しよう、とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリアにおいて、リーダライタからの電波を受け、この電波を変調してリーダライタに向けて再輻射することにより情報を送出するための再輻射用アンテナと、リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナと、再輻射用アンテナおよび給電用アンテナに接続されたICチップ部品と、を有し、給電用アンテナは、リーダライタから送信される電波に共振するとともに、ICチップ部品の入力部とインピーダンス整合がとれるように調整されており、再輻射用アンテナは、給電用アンテナに対する干渉が少なくなるように調整されている。
【0013】
このため、電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保することが可能となる。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、再輻射用アンテナは、給電用アンテナとは共振周波数が異なるように設定されている。このため、再輻射用アンテナが給電用アンテナに与える影響を小さくすることにより、給電能力を高め、通信距離を伸ばすことが可能になる。
【0015】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、再輻射用アンテナは、給電用アンテナによりICチップ部品が動作可能な最低限の電力が受信されている場合に、リーダライタと通信可能な程度の送受信能力を有するように設計されている。このため、再輻射用アンテナが給電用アンテナに与える影響を一層少なくすることにより、給電能力を高め、通信距離を伸ばすことが可能になる。
【0016】
また、本発明は、リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリアにおいて、リーダライタからの電波を受け、この電波を変調してリーダライタに向けて再輻射することにより情報を送出するための再輻射用アンテナと、リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナと、再輻射用アンテナおよび給電用アンテナに接続されたICチップ部品と、を有し、再輻射用アンテナを給電用アンテナよりも短くするとともに、給電用アンテナの長さ方向から、再輻射用アンテナが飛び出ないように形成している。
【0017】
このため、再変調側アンテナ素子による影響を少なくし、給電用アンテナの広帯域性を得て、電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保することが可能となる。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、再輻射用アンテナのグランド側素子と、給電用アンテナのグランド側素子は共用されている。このため、グランド側素子を共用できれば、再輻射用アンテナをモノポールのハーフフォールデッドアンテナとして構成できるため、サイズを約半分にすることができる。また、これにより配置を容易にすることができる。
【0019】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、給電用アンテナのグランド側の素子は、再輻射用アンテナの素子よりもその幅が広くなるように設定されている。このため、給電用アンテナのインピーダンスを下げるとともに、インピーダンスの変化を抑え、受信特性を広帯域化することが可能になる。
【0020】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、再輻射用アンテナは、ハーフフォールデッドアンテナとして構成されている。このため、再輻射用アンテナを直流的に短絡状態とし、ICチップ部品の入力端子を静電気から保護することが可能になる。また、ハーフフォールデッドアンテナとして構成することにより、共振時のインピーダンスがモノポールアンテナの2倍となる。この結果、給電用アンテナとグランド側の素子を共用したときに、インピーダンスが高いため、給電用アンテナに与える影響を少なくすることができる。
【0021】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、再輻射用アンテナは、一方に折り曲げられたハーフフォールデッドアンテナとして構成されている。このため、例えば、グランド側に折り曲げた場合には、再輻射用アンテナが給電用アンテナに与える影響を少なくできるため、給電能力を向上させ、通信距離を伸ばすことが可能になる。
【0022】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、給電用アンテナは、ダイポールアンテナとして構成されており、当該ダイポールアンテナは、少なくとも一方の先端が折り曲げられている。このため、アンテナのサイズを小さくすることが可能になる。
【0023】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、給電用アンテナは、T整合回路またはガンママッチング回路を有するダイポールアンテナとして構成されている。このため、容量性の入力インピーダンスを有するICチップ部品とのインピーダンス整合を容易な方向にもっていくことができる。
【0024】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、給電用アンテナは、ダイポールアンテナとして構成されており、当該ダイポールアンテナは、その給電位置をセンター位置から所定の距離だけオフセットさせることによりインピーダンス整合がとられている。このため、アンテナのインピーダンスを上げることができ、ICチップ部品とのインピーダンス整合を容易な方向に持っていくことができる。
【0025】
また、本発明は、リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリアであって、リーダライタと通信を行うための再輻射用アンテナと、リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナと、再輻射用アンテナおよび給電用アンテナに接続されたICチップ部品と、を有する非接触型識別データキャリアの設計方法において、給電用アンテナについては、リーダライタから送信される電波に共振するとともに、ICチップ部品の入力部とインピーダンス整合がとれるように設計し、再輻射用アンテナは、受信側アンテナに対する干渉が少なくなるように設計するようにしている。
【0026】
このため、この設計方法を用いて非接触型識別データキャリアを設計すれば、電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る非接触型識別データキャリア1の構成例を示す図である。この図に示すように、非接触型識別データキャリア1は、平板状基板2、再輻射用アンテナ3、給電用アンテナ4、および、ICチップ部品5によって構成されている。
【0029】
ここで、平板状基板2は、例えば、ポリエチレンテレフタレートによって構成される板状の基板であり、その上に再輻射用アンテナ3、給電用アンテナ4、および、ICチップ部品5が形成または載置される。なお、「平板状」には、一般に板状、片状、カード状、タグ状等と称される全ての平板の形状を含む。また平板状基板2の他の素材としては、セラミックスやガラス繊維混入エポキシ系樹脂成形体のような剛体であっても、前述したポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の、ある程度可撓性を有する素材であってもよい。また一般にクレジットカード等に用いられているプラスチック材料であってもよい。
【0030】
再輻射用アンテナ3は、平板状基板2の一方の面上に、例えば、スクリーン印刷によって、導電性ペーストを塗布することにより形成され、図示せぬ情報読み取り装置との間で電波を搬送波として情報を授受する。
【0031】
給電用アンテナ4も再輻射用アンテナ3と同様に、平板状基板2の一方の面上に、例えば、スクリーン印刷によって、導電性ペースト(銀ペースト、カーボンペースト等)を塗布することにより形成され、図示せぬリーダライタから送信された電波を受信し、整流回路50(図4参照)に供給する。
【0032】
ICチップ部品5は、給電用アンテナ4によって受信された電波を電源とし、図示せぬリーダライタとの間で再輻射用アンテナ3によって情報を授受する制御を行う。そして、受信した情報に応じて、後述する記憶部54(図4参照)に記憶されている情報を送信したり、書き換えたり、または、消去したりする。
【0033】
図2は、図1に示す再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、再輻射用アンテナ3は、横方向の長さがW1であり、縦方向の長さがL1であるフォールデッドダイポールアンテナ(Folded Dipole Antenna:折り返しダイポールアンテナ)として構成されている。
【0034】
一方、給電用アンテナ4は、一方の長さがW2であり、他方の長さがW3であるダイポールアンテナであって、長さがW4、高さがL2であるガンママッチング回路4cが付加されたダイポールアンテナとして構成されている。
【0035】
また、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4は、ICチップ部品5の裏面に設けられている接続用パッド5a〜5d(図3参照)に接続するための接続部3a,3bおよび接続部4a,4bを有している。ここで、接続部3a,4aは、ICチップ部品5のグランド側の接続部となる。
【0036】
図3は、ICチップ部品5の裏面(平板状基板2に接着される側の面)を示す図である。この図に示すように、ICチップ部品5の裏面には、再輻射用アンテナ3の接続部3a,3bに接続するための接続用パッド5a,5bと、給電用アンテナ4の接続部4a,4bに接続するための接続用パッド5c,5dが設けられている。図示せぬチップ部品実装装置によって、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4の中央部分にICチップ部品5が配置されると、これらの接続用パッド5a〜5dによって、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4とICチップ部品5の接続が図られる。
【0037】
なお、近年のICの小型化により、ICチップ部品5の外形はおよそ1mm×1mm程度になっている。したがって、接続用パッド5a〜5dの相互の距離は離れていることがアンテナ同士の干渉を避ける意味で好ましい。とくに、本発明のように、給電用アンテナ4を独立に有し、通常よりも接続用パッド5a〜5dの数が多いキャリア1にあっては、アンテナ端子となる接続用パッド5a〜5dは、同図のようにICチップ部品5の端部付近に存在していることが好適である。
【0038】
図4は、ICチップ部品5の内部回路の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、ICチップ部品5は、整流回路50、復調回路51、変調回路52、制御部53、および記憶部54によって構成されている。なお、この図においては、再輻射用アンテナ3と給電用アンテナ4は、簡略化して図示してある。
【0039】
ここで、整流回路50は、電波によって給電用アンテナ4に励起された高周波電力を全波整流等によって直流電力に変換し、復調回路51、変調回路52、制御部53、および記憶部54にそれぞれ供給する。
【0040】
復調回路51は、リーダライタから送信されてきた高周波信号(OOK変調が施されている信号)を復調して、もとの情報を取り出し、制御部53に供給する。
【0041】
変調回路52は、再輻射用アンテナ3に誘起したリーダライタからの高周波電力を、制御部53から供給された情報に応じて、スイッチ等によってオンまたはオフすることで変調をかけ、情報を載せて再輻射する。
【0042】
制御部53は、整流回路50から供給された電力によって動作し、リーダライタから送信されてきた情報に含まれるコマンドに応じて、装置の各部を制御する。
【0043】
記憶部54は、例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)によって構成されており、復調回路51から供給された情報を記憶するとともに、記憶されている情報を読み出して、変調回路52に供給する。なお、記憶部54は、整流回路50から供給された直流電力によって動作するが、記憶されている情報については、電力の供給が遮断された場合でも保持できる構成となっている。
【0044】
つぎに、以上に示す非接触型識別データキャリア1の設計方法について説明する。以下では、まず、設計方法の概要について説明した後、図5を参照して詳細な設計方法について説明する。
【0045】
図1に示す非接触型識別データキャリア1の場合、小型化のために再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4が近接して配置されるため、再輻射用アンテナ3と給電用アンテナ4とが相互に干渉してしまう。
【0046】
ところで、図示せぬリーダライタから送信される電波を給電用アンテナ4で受信して電力を得る場合、電波を整流して得られる直流電力はそれほど高いものではないため、給電用アンテナ4の整合による損失は低いほうが望ましい。一方、図示せぬリーダライタの受信感度は高く、再輻射される電波の強度を必要としないため、再輻射用アンテナ3については高い効率、整合効率を必要としない。
【0047】
したがって、本実施の形態では、以上の考察に基づき、給電用アンテナ4については、小型化という制約の中で、給電用アンテナ4の整合を重視して、できるだけ低い整合損失になるように設計するとともに、再輻射用アンテナ3については、図示せぬリーダライタとの間で通信が確保できる程度にとどめることにより、給電用アンテナ4に対する干渉が少なくなるようにしている。
【0048】
つぎに、図5に示すフローチャートを参照して、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4の詳細な設計方法について説明する。
【0049】
ステップS10:ICチップ部品5の入力インピーダンスを算出する。なお、入力インピーダンスは、実測によって得ることも可能である。
【0050】
ステップS11:給電用アンテナ4のアンテナ長を算出する。具体的には、まず、電波の周波数fに基づいて、自由空間(真空中)における波長λを計算する。ここで、cを光速とすると、λ=c/fである。つぎに、給電用アンテナ4が配置される平板状基板2の誘電率および厚さを参照して、実効比誘電率εeを算出する。そして、得られた実効比誘電率εeを用いて、平板状基板2上における電波の実効的な波長λeを算出する。ここで、λe=λ・c・εe 0.5である。このようにして求めた実効的な波長λeから、給電用アンテナ4の素子の長さである1/4波長(λe/4)を求める。
【0051】
ステップS12:以上のようにして求めたλe/4に基づいて、図2に示すW2=W3=λe/4と仮に設定し、また、ガンママッチング回路4cのW4,L2を適当に設定した場合における給電点インピーダンスを算出する。なお、給電点インピーダンスは、例えば、モーメント法(Method of Moment)を利用して、コンピュータで解くことができる。
【0052】
ステップS13:ステップS12において算出した給電用アンテナ4の給電点インピーダンスと、ステップS10で算出したICチップ部品5の入力インピーダンスとが整合しているか否かを判定する。具体的には、給電用アンテナ4の給電点インピーダンスと、ICチップ部品5の入力インピーダンスとが複素共役である場合にはインピーダンス整合がとれていると判断してステップS15に進み、そうでない場合にはステップS14に進む。
【0053】
ステップS14:インピーダンス整合がとれるように、給電用アンテナ4の補正を行う。具体的には、ICチップ部品5の入力インピーダンスは容量性であるので、給電用アンテナ4の給電点インピーダンスが誘導性を有するように補正する。補正の方法としては、ガンママッチング回路4cのW4の長さを長くすることにより、一般に抵抗値、誘導性リアクタンス値を増加させることができる。同様に、W3を長くしても抵抗値、誘導性リアクタンス値が増加するが、抵抗値の変化に比べて、誘導性リアクタンス値の変化が大きい。したがって、これらをうまく組み合わせて補正することにより、インピーダンス整合がとれるように調整を行う。なお、これら以外にも、例えば、給電用アンテナ4の太さ、形状等によっても給電点インピーダンスが変化するので、これらも考慮しながら補正を行う。処理が終了すると、ステップS12に戻って同様の処理を繰り返す。
【0054】
ステップS15:小型化という制約の中で、給電電力が最大化するように設定を行う。具体的には、以上のステップS12〜ステップS14の処理により、複数の給電用アンテナ4を設計(または製作)し、その中から最もICチップ部品5と整合し、より高い直流電力が得られるものを、シミュレーションにより(または実測により)選択する。
【0055】
ステップS16:給電電力が十分な給電用アンテナ4を求めることができたか否かを判定し、得られた場合にはステップS17に進み、それ以外の場合にはステップS15に戻って同様の処理を繰り返す。なお、十分か否かの判断は、当該非接触型識別データキャリアの使用状況等に応じて判断する。
【0056】
ステップS17:再輻射用アンテナ3のアンテナ長を算出する。具体的には、まず、ステップS10において求めた実効的な波長λeに基づいて、アンテナ長を算出する。すなわち、図1に示す実施の形態では、再輻射用アンテナ3は、フォールデッドダイポールアンテナであるので、両端長さ(=W1)がλe/2と等しくなるように設定する。つぎに、接続されたICチップ部品5の再輻射側の入力インピーダンスにより、再輻射用アンテナ3の共振周波数が変化するので、ICチップ部品5と組み合わせたときに所望の共振周波数(電波の周波数)で共振する長さを求め、これを最大として再輻射アンテナ3の長さを短縮し、アンテナ効率を下げることにより、給電用アンテナ4に与える影響を少なくする。これにより、給電用アンテナと変調用アンテナは、ICチップ部品5と組み合わせたときに違う共振周波数を持つことになる。
【0057】
ステップS18:例えば、モーメント法を用いて再輻射用アンテナ3の供給点インピーダンスを算出し、得られた供給点インピーダンスに基づいて、再輻射用アンテナ3の効率と、給電用アンテナ4への影響を算出する。そして、算出された再輻射用アンテナ3の効率が、リーダライタとの関係において、十分に通信可能かどうかを判定し、十分に通信可能である場合には処理を終了し、それ以外の場合にはステップS20に進む。例えば、給電用アンテナ4の最大給電距離(給電可能な最大距離)において、十分な特性を有しているか否かに基づいて判断する。
【0058】
ステップS20:前述した所定の値kを所定量だけ増加させ、十分な特性が得られるように、折り返しアンテナの長さを計算し直す。そして、ステップS18に進む。
【0059】
以上の処理によれば、給電用アンテナ4については、ICチップ部品5の入力インピーダンスと整合を図るとともに、その長さおよび形状についても最適化するようにしたので、十分な電力を得ることが可能になる。
【0060】
また、再輻射用アンテナ3については、通信可能な範囲で、折り返しアンテナの長さを短くし、給電用アンテナ4の共振周波数からズレを有するように設定するようにしたので、再輻射用アンテナ3が給電用アンテナ4に対して与える影響を小さくすることが可能になる。その結果、再輻射用アンテナ3の影響を排除し、十分な電力を得るとともに、通信距離を伸ばすことが可能になる。
【0061】
つぎに、以上に示す非接触型識別データキャリア1の製造方法について図6から図8を参照して説明する。
【0062】
まず、図6に示すように、まず非接触型識別データキャリア1を構成する平板状基板2となる、大型のポリエチレンテレフタレート製のシート80の一方の面に、横線81および縦線82を描画することによって複数の領域に分割する。なお、各々の領域は、その後に分割されて平板状基板2となり、各領域には後述するようにキャリア1を構成する主要部材である給電用アンテナ3、再輻射用アンテナ4、およびICチップ部品5が形成または載置される。
【0063】
シート80の他方の面には、粘着性物質が塗布されており、また、この粘着性物質が意図しない部分へ被着することを防止するために、粘着性物質全体が剥離可能な光沢紙等で覆われている。
【0064】
シート80の分割が終了すると、図7に示すように、各領域に対して、スクリーン印刷により導電性ペースト(例えば、銀ペースト、カーボンペースト等)を塗布し、給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4をそれぞれ形成する。
【0065】
なお、スクリーン印刷に用いる製版開口部を形成する際には、図7に示す給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4の全てが1回の印刷動作で形成されるよう設計することが望ましい。
【0066】
塗布したペーストが乾燥した場合には、図8に示すように、各領域に形成された給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4の中央部分にICチップ部品5を接着剤等によって接着する。
【0067】
つぎに、給電用アンテナ3、送受信用アンテナ4、およびICチップ部品5を保護するための保護膜を、各領域に塗布して形成する。ここで用いられる保護膜材質は、例えば、エポキシ樹脂等を用いる。
【0068】
最後に、シート80を、先に形成した横線81および縦線82に沿って裁断機または回転ディスクカッター等により切断し、それぞれの非接触型識別データキャリア1に分割する。なお、加熱によりそれぞれの非接触型識別データキャリア1に分割(溶断)するようにしてもよい。
【0069】
以上のプロセスにより、非接触型識別データキャリアが完成する。
【0070】
以上に説明したように、本発明の実施の形態に係る非接触型識別データキャリア1では、平板状基板2の一方の面に、給電用アンテナ3、送受信用アンテナ4、およびICチップ部品5を配置するようにしたので、製造プロセスを簡略化し、製造コストを低減することが可能になる。
【0071】
また、給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4については、スクリーン印刷によって印刷するようにしたので、複数の給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4を一括して印刷することにより製造コストをさらに低減することが可能になる。
【0072】
また、ICチップ部品5の裏面に接続用パッド5a〜5dを設けて、これに給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4を接続するようにしたので、ICチップ部品5と給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4を簡易に接続することが可能になるため、製造プロセス簡略化し、製造コストを低減することが可能になる。
【0073】
つぎに、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0074】
図9は、本発明の第2の実施の形態の構成例を示す図である。この図の例では、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ90のみを示してある。図2に示す第1の実施の形態の場合と比較すると、給電用アンテナ4がガンママッチング回路90cを有する給電用アンテナ90に置換されている。その他の部分は、図2の場合と同様である。なお、ガンママッチング回路90cは、ガンママッチング回路4cと同様の構成で、接続部90a,90bを有している。
【0075】
すなわち、図9に示す実施の形態では、給電用アンテナ90は、一方の素子の先端が長さW6だけ折り曲げられてL字型形状90dとされている。なお、折り曲げる側の素子は、ICチップ部品5のグランドに接続されている側とは反対側の素子(以下、「非グランド側素子」と称する)とする。このように、給電用アンテナ90の先端を折り曲げることにより、給電用アンテナ90の横方向の長さを短くし、装置全体のサイズを縮小することができる。また、給電用アンテナ90の非グランド側素子の先端を折り曲げることにより、非グランド側素子と、グランド側素子との間に容量成分が生じるので、共振周波数がW4+W6によって定まる長さよりも低い周波数に遷移するため、給電用アンテナ90の横方向の長さをさらに短くすることができる。すなわち、W5をW3より短くすることができる。
【0076】
なお、折り曲げる長さW6を適宜調整することにより、インピーダンス整合の一部としての動作も可能である。一般的に、W6の長さを長くするほど、容量成分が増加するので、共振周波数は低くなる傾向にある。また、この実施の形態では、L字型形状90dの長さW6は、両アンテナ3,90の幅H1に比べて小さくしてある。
【0077】
つぎに、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0078】
図10は、本発明の第3の実施の形態の構成例を示す図である。この図の例では、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ100のみを示してある。図2に示す第1の実施の形態の場合と比較すると、給電用アンテナ4がガンママッチング回路100cを有する給電用アンテナ100に置換されている。その他の部分は、図2の場合と同様である。なお、ガンママッチング回路100cは、ガンママッチング回路4cと同様な構成で、ICチップ部品5に接続される接続部100a,100bを有している。
【0079】
すなわち、図10に示す実施の形態では、給電用アンテナ100は、図2の場合と比較して素子の太さL3が太くなっている。このように、素子の太さL3を太くすることにより、抵抗分およびリアクタンス分の周波数に対する変化が小さくなるため、受信特性を広帯域化することが可能になる。また、太くすることにより、細い場合に比較して、共振周波数が同一であっても素子の長さを短くすることができるとともに、損失を少なくすることができる。その結果、通信に使用される周波数の変化、または、アンテナのばらつきに対しても有効である。
【0080】
つぎに、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0081】
図11は、本発明の第4の実施の形態の構成例を示す図である。この図の例では、再輻射用アンテナ120および給電用アンテナ140のみを示してある。図2に示す第1の実施の形態の場合と比較すると、再輻射用アンテナ3が再輻射用アンテナ120に、給電用アンテナ4が給電用アンテナ140に置換されている。その他の部分は、図2の場合と同様である。
【0082】
すなわち、図11に示す実施の形態では、ガンママッチング回路140cが付加された給電用アンテナ140は、図2の場合と比較して一方の素子の太さL4が他方の素子の太さL5に比べて太くなっている。すなわち、L4>L5となっている。他方の素子の太さL5は図2の場合と同様である。ガンママッチング回路140cは、ICチップ部品5に接続される接続部140a,140bを有している。また、再輻射用アンテナ120は、給電用アンテナ140の太くなっている側に折り曲げられている。この再輻射用アンテナ120の長さは、第1の実施の形態の再輻射用アンテナ3の長さW1の約半分となっている。さらに、給電用アンテナ140の素子が太くなっている側は、グランド側とされており、接続部120aと接続部140aはICチップ部品5を介してまたは直接に相互に接続されている。また、接続部120bはICチップ部品5の接続用パッド5bに、接続部140bは、ICチップ部品5の接続用パッド5dにそれぞれ接続されている。
【0083】
このように、給電用アンテナ140の一方の素子の太さL4を太くしてグランド側とし、再輻射用アンテナ120の一方の素子と接続することにより、給電用アンテナ140の太い側の素子をグランドとみなすことができる。すると、再輻射用アンテナ120は、一方の素子がグランドに接続され、他方が給電端に接続された折り返しモノポールアンテナと略等価であると考えることができるため、アンテナ素子の横方向の長さW7を、図2の場合に比較して約1/2に短縮することが可能になる。すなわち、低いインピーダンスのエレメントに、高いインピーダンスのエレメントを接続しても影響が少ないように、低いインピーダンスの給電側グランドエレメントは、高いインピーダンスを持つ再輻射側エレメントに対して、グランド側として充分動作する。その結果、通信可能距離を伸ばすことが可能になる。また、再輻射用アンテナ120を、給電用アンテナ140のグランド側に配置することにより、再輻射用アンテナ120が給電用アンテナ140に干渉することを防止することが可能になる。
【0084】
つぎに、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0085】
図12は、本発明の第5の実施の形態の構成例を示す図である。この図の例では、再輻射用アンテナ120および給電用アンテナ160のみを示してある。図11に示す第4の実施の形態の場合と比較すると、給電用アンテナ140が給電用アンテナ160に置換されている。その他の部分は、図11の場合と同様である。
【0086】
すなわち、図12に示す実施の形態では、接続部160a,160bを有するガンママッチング回路160cが付加された給電用アンテナ160は、図11の場合と比較して非グランド側素子の先端160dがL字型に曲げられている。その他の構成は、図11の場合と同様である。
【0087】
このように、給電用アンテナ160の非グランド側素子の先端160dをL字型に曲げることにより、図9に示す第2の実施の形態の場合と同様に、給電用アンテナ160の横方向の長さを短くすることが可能になる。すなわち、W9をW8より短くすることができる。その結果、非接触型識別データキャリアのサイズを小型化することが可能になる。なお、この実施の形態では、L字型の先端160dの長さW10を両アンテナ120,160間の幅H2より小さくしている。
【0088】
なお、図11および図12に示す実施の形態の給電用アンテナ140,160を設計する場合、まず、グランド側素子の長さを、実効的な1/4波長(λe/4)として設計し、インピーダンス整合をする場合には、非グランド側素子の長さおよびガンママッチング回路140c,160cを適宜調整することにより、簡易に調整することができる。
【0089】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能である。例えば、以上に示す各実施の形態では、再輻射用アンテナ3,120は、矩形ループアンテナとしたが、これ以外のアンテナ、例えば、ダイポールアンテナとしてもよい。また、給電用アンテナ4,90,100,140,160は、ダイポールアンテナとしたが、これ以外のアンテナ、例えば、矩形ループアンテナとしてもよい。また、マッチング回路としては、ガンママッチング回路4c,90c,100c,140c,160cを使用したが、これ以外のマッチング回路、例えば、T型マッチング回路を用いたり、LC素子によるマッチング回路を利用したりすることも可能である。
【0090】
また、以上に示す各実施の形態では、再輻射用アンテナ3,120および給電用アンテナ4,90,100,140,160は、紙面の左右方向に長く伸びた構成としたが、紙面の上下方向に長く伸びる構成としてもよい。また、平板状の基板としては、可撓性を有するフレキシブル基板を用いてもよい。また、平板状の基板の代わりに筒状の基板等、曲面を有する基板等を用いてもよい。
【0091】
また、以上の各実施の形態では、ガンママッチング回路により、ICチップ部品5の入力インピーダンスとのインピーダンス整合をとるようにしたが、ICチップ部品5の入力インピーダンスは、部品ごとのばらつきがあるため、例えば、ICチップ部品5の入力端子が有する容量ΔCよりも大きい容量C(ΔC<<C)を有するコンデンサを入力端子に接続し、これによってばらつきを吸収するようにしてもよい。そのような方法によれば、装置ごとのばらつきの発生を防止することができる。
【0092】
また、図5に示す設計方法では、再輻射用アンテナ3,120を設計する際には、通信できる最低限の長さとなるようにしたが、例えば、コンピュータを用いたシミュレーションにより、干渉が最小となる形状および大きさを選択するようにすることも可能である。また、給電用アンテナ4,100の長さ(W2+W3)、給電用アンテナ90の長さ(W2+W5)、給電用アンテナ140,160のグランド側の長さ(W2)に比べて、再輻射用アンテナ3,120の長さ(W1,W7)を短くなる範囲で、適宜設計することができる。これらの場合、再輻射用アンテナ3,120は、通信できる最低長の長さ以上となることもあり得る。
【0093】
また、図5に示す設計方法では、ステップS15において、複数の給電用アンテナを設計し、その中から最適なものを選択するようにしたが、例えば、設計条件が厳しくないような場合には、ひとつだけ設計するようにすることも可能である。
【0094】
さらに、図5に示す設計方法は、コンピュータを用いて実行することも可能である。その場合、図5に示す処理機能を有するプログラムを、コンピュータに実行させることにより、実現できる。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る非接触型識別データキャリアの構成例を示す図である。
【図2】図1に示す非接触型識別データキャリアを構成する再輻射用アンテナおよび給電用アンテナの詳細な構成例を示す図である。
【図3】図1に示すICチップ部品の裏面に形成されている接続用パッドの配置状態を示す図である。
【図4】図1に示す非接触型識別データキャリアを構成するICチップ部品の回路構成の一例を示す図である。
【図5】図1に示す非接触型識別データキャリアの給電用アンテナと、再輻射用アンテナの設計方法の一例を説明するフローチャートである。
【図6】図1に示す非接触型識別データキャリアを製造するプロセスにおいて、横線と縦線を描画することでシートを複数の領域に区分けした場合の一例を示す図である。
【図7】図1に示す非接触型識別データキャリアを製造するプロセスにおいて、シートにスクリーン印刷により給電用アンテナおよび送受信用アンテナを形成した場合の様子を示す図である。
【図8】図1に示す非接触型識別データキャリアを製造するプロセスにおいて、図4に示すシートの給電用アンテナおよび送受信用アンテナの中間にICチップ部品を接着した場合の様子を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の構成例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の構成例を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態の構成例を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 非接触型識別データキャリア
2 平板状基板
3,120 給電用アンテナ
4,90,100,140,160 再輻射用アンテナ
5 ICチップ部品
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触型識別データキャリアおよび非接触型データキャリアの設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平板状基板面にICチップ部品およびループ状のアンテナが固定されたタグ状、片状もしくはカード状の非接触型識別データキャリア(以下、「キャリア」と略記する。)については、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
このようなキャリアをリーダライタに近づけることで、リーダライタとの間で無線通信により情報が授受される。キャリアは、例えば、これを付与された顧客等の自動認識等に用いられる。
【0004】
キャリアの中には、リーダライタから送信される電波を、キャリアが有するアンテナで受信し、ICチップ部品内部の整流回路によって整流することにより、内部の電子回路を動作させるために必要な電力を得るものがある。このような方式によれば、電池を具備しなくてもキャリアを動作させることが可能となる。
【0005】
このように電波を電源として使用するキャリアの場合、リーダライタから送信された電波を受信し、整流回路によって整流して電源電力を得るとともに、リーダライタからOOK(On−Off Keying)変調されて送信されてきた電波を受信し、復調して情報を得る。また、リーダライタに対して情報を送信する場合には、リーダライタから送信された電波によってアンテナに誘起された高周波電力を、スイッチ等によってオンまたはオフすることで変調をかけ、情報を載せて再輻射するようにしている。
【0006】
ところで、従来においては、電力を供給するためのアンテナ(以下、「給電用アンテナ」と称する)と、情報を再輻射により送信するためのアンテナ(以下、「再輻射用アンテナ」と称する)とを共用することが一般的であった。その結果、再輻射のためにオン、オフ動作を行うと、その期間中は給電用アンテナからの電力の供給が停止したり、給電用アンテナからの供給電力変動によるICチップ内の回路の動作不安定により、十分な通信距離を得ることができないという問題点があった。
【0007】
そこで、特許文献2では、給電用アンテナと、情報を送信するための再輻射用アンテナとを別個独立に設ける構成を提案している。これにより、通信を行っている間であっても安定な電力と、リーダライタからの再輻射応答動作に影響を受けない電力を給電用アンテナから得ることができるため、実質的な通信距離を伸ばすことができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−250097号公報(特許請求の範囲、要約)
【特許文献2】
特開平9−1968号公報(特許請求の範囲、要約)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来において、給電用アンテナと再輻射用アンテナのそれぞれを設計する際には、それぞれのアンテナが通信の際に使用する電波に対して共振するように設計することが一般的である。
【0010】
しかしながら、再輻射用アンテナと給電用アンテナが近接して配置される場合には、それぞれが相互に干渉してしまうため、例えば、再輻射用アンテナの影響により、給電用アンテナから安定な電力が得られず、十分な通信距離が確保できない場合があるという問題点がある。
【0011】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保することが可能な非接触型識別データキャリアおよび非接触型識別データキャリアの設計方法を提供しよう、とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリアにおいて、リーダライタからの電波を受け、この電波を変調してリーダライタに向けて再輻射することにより情報を送出するための再輻射用アンテナと、リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナと、再輻射用アンテナおよび給電用アンテナに接続されたICチップ部品と、を有し、給電用アンテナは、リーダライタから送信される電波に共振するとともに、ICチップ部品の入力部とインピーダンス整合がとれるように調整されており、再輻射用アンテナは、給電用アンテナに対する干渉が少なくなるように調整されている。
【0013】
このため、電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保することが可能となる。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、再輻射用アンテナは、給電用アンテナとは共振周波数が異なるように設定されている。このため、再輻射用アンテナが給電用アンテナに与える影響を小さくすることにより、給電能力を高め、通信距離を伸ばすことが可能になる。
【0015】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、再輻射用アンテナは、給電用アンテナによりICチップ部品が動作可能な最低限の電力が受信されている場合に、リーダライタと通信可能な程度の送受信能力を有するように設計されている。このため、再輻射用アンテナが給電用アンテナに与える影響を一層少なくすることにより、給電能力を高め、通信距離を伸ばすことが可能になる。
【0016】
また、本発明は、リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリアにおいて、リーダライタからの電波を受け、この電波を変調してリーダライタに向けて再輻射することにより情報を送出するための再輻射用アンテナと、リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナと、再輻射用アンテナおよび給電用アンテナに接続されたICチップ部品と、を有し、再輻射用アンテナを給電用アンテナよりも短くするとともに、給電用アンテナの長さ方向から、再輻射用アンテナが飛び出ないように形成している。
【0017】
このため、再変調側アンテナ素子による影響を少なくし、給電用アンテナの広帯域性を得て、電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保することが可能となる。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、再輻射用アンテナのグランド側素子と、給電用アンテナのグランド側素子は共用されている。このため、グランド側素子を共用できれば、再輻射用アンテナをモノポールのハーフフォールデッドアンテナとして構成できるため、サイズを約半分にすることができる。また、これにより配置を容易にすることができる。
【0019】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、給電用アンテナのグランド側の素子は、再輻射用アンテナの素子よりもその幅が広くなるように設定されている。このため、給電用アンテナのインピーダンスを下げるとともに、インピーダンスの変化を抑え、受信特性を広帯域化することが可能になる。
【0020】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、再輻射用アンテナは、ハーフフォールデッドアンテナとして構成されている。このため、再輻射用アンテナを直流的に短絡状態とし、ICチップ部品の入力端子を静電気から保護することが可能になる。また、ハーフフォールデッドアンテナとして構成することにより、共振時のインピーダンスがモノポールアンテナの2倍となる。この結果、給電用アンテナとグランド側の素子を共用したときに、インピーダンスが高いため、給電用アンテナに与える影響を少なくすることができる。
【0021】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、再輻射用アンテナは、一方に折り曲げられたハーフフォールデッドアンテナとして構成されている。このため、例えば、グランド側に折り曲げた場合には、再輻射用アンテナが給電用アンテナに与える影響を少なくできるため、給電能力を向上させ、通信距離を伸ばすことが可能になる。
【0022】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、給電用アンテナは、ダイポールアンテナとして構成されており、当該ダイポールアンテナは、少なくとも一方の先端が折り曲げられている。このため、アンテナのサイズを小さくすることが可能になる。
【0023】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、給電用アンテナは、T整合回路またはガンママッチング回路を有するダイポールアンテナとして構成されている。このため、容量性の入力インピーダンスを有するICチップ部品とのインピーダンス整合を容易な方向にもっていくことができる。
【0024】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、給電用アンテナは、ダイポールアンテナとして構成されており、当該ダイポールアンテナは、その給電位置をセンター位置から所定の距離だけオフセットさせることによりインピーダンス整合がとられている。このため、アンテナのインピーダンスを上げることができ、ICチップ部品とのインピーダンス整合を容易な方向に持っていくことができる。
【0025】
また、本発明は、リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリアであって、リーダライタと通信を行うための再輻射用アンテナと、リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナと、再輻射用アンテナおよび給電用アンテナに接続されたICチップ部品と、を有する非接触型識別データキャリアの設計方法において、給電用アンテナについては、リーダライタから送信される電波に共振するとともに、ICチップ部品の入力部とインピーダンス整合がとれるように設計し、再輻射用アンテナは、受信側アンテナに対する干渉が少なくなるように設計するようにしている。
【0026】
このため、この設計方法を用いて非接触型識別データキャリアを設計すれば、電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る非接触型識別データキャリア1の構成例を示す図である。この図に示すように、非接触型識別データキャリア1は、平板状基板2、再輻射用アンテナ3、給電用アンテナ4、および、ICチップ部品5によって構成されている。
【0029】
ここで、平板状基板2は、例えば、ポリエチレンテレフタレートによって構成される板状の基板であり、その上に再輻射用アンテナ3、給電用アンテナ4、および、ICチップ部品5が形成または載置される。なお、「平板状」には、一般に板状、片状、カード状、タグ状等と称される全ての平板の形状を含む。また平板状基板2の他の素材としては、セラミックスやガラス繊維混入エポキシ系樹脂成形体のような剛体であっても、前述したポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の、ある程度可撓性を有する素材であってもよい。また一般にクレジットカード等に用いられているプラスチック材料であってもよい。
【0030】
再輻射用アンテナ3は、平板状基板2の一方の面上に、例えば、スクリーン印刷によって、導電性ペーストを塗布することにより形成され、図示せぬ情報読み取り装置との間で電波を搬送波として情報を授受する。
【0031】
給電用アンテナ4も再輻射用アンテナ3と同様に、平板状基板2の一方の面上に、例えば、スクリーン印刷によって、導電性ペースト(銀ペースト、カーボンペースト等)を塗布することにより形成され、図示せぬリーダライタから送信された電波を受信し、整流回路50(図4参照)に供給する。
【0032】
ICチップ部品5は、給電用アンテナ4によって受信された電波を電源とし、図示せぬリーダライタとの間で再輻射用アンテナ3によって情報を授受する制御を行う。そして、受信した情報に応じて、後述する記憶部54(図4参照)に記憶されている情報を送信したり、書き換えたり、または、消去したりする。
【0033】
図2は、図1に示す再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、再輻射用アンテナ3は、横方向の長さがW1であり、縦方向の長さがL1であるフォールデッドダイポールアンテナ(Folded Dipole Antenna:折り返しダイポールアンテナ)として構成されている。
【0034】
一方、給電用アンテナ4は、一方の長さがW2であり、他方の長さがW3であるダイポールアンテナであって、長さがW4、高さがL2であるガンママッチング回路4cが付加されたダイポールアンテナとして構成されている。
【0035】
また、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4は、ICチップ部品5の裏面に設けられている接続用パッド5a〜5d(図3参照)に接続するための接続部3a,3bおよび接続部4a,4bを有している。ここで、接続部3a,4aは、ICチップ部品5のグランド側の接続部となる。
【0036】
図3は、ICチップ部品5の裏面(平板状基板2に接着される側の面)を示す図である。この図に示すように、ICチップ部品5の裏面には、再輻射用アンテナ3の接続部3a,3bに接続するための接続用パッド5a,5bと、給電用アンテナ4の接続部4a,4bに接続するための接続用パッド5c,5dが設けられている。図示せぬチップ部品実装装置によって、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4の中央部分にICチップ部品5が配置されると、これらの接続用パッド5a〜5dによって、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4とICチップ部品5の接続が図られる。
【0037】
なお、近年のICの小型化により、ICチップ部品5の外形はおよそ1mm×1mm程度になっている。したがって、接続用パッド5a〜5dの相互の距離は離れていることがアンテナ同士の干渉を避ける意味で好ましい。とくに、本発明のように、給電用アンテナ4を独立に有し、通常よりも接続用パッド5a〜5dの数が多いキャリア1にあっては、アンテナ端子となる接続用パッド5a〜5dは、同図のようにICチップ部品5の端部付近に存在していることが好適である。
【0038】
図4は、ICチップ部品5の内部回路の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、ICチップ部品5は、整流回路50、復調回路51、変調回路52、制御部53、および記憶部54によって構成されている。なお、この図においては、再輻射用アンテナ3と給電用アンテナ4は、簡略化して図示してある。
【0039】
ここで、整流回路50は、電波によって給電用アンテナ4に励起された高周波電力を全波整流等によって直流電力に変換し、復調回路51、変調回路52、制御部53、および記憶部54にそれぞれ供給する。
【0040】
復調回路51は、リーダライタから送信されてきた高周波信号(OOK変調が施されている信号)を復調して、もとの情報を取り出し、制御部53に供給する。
【0041】
変調回路52は、再輻射用アンテナ3に誘起したリーダライタからの高周波電力を、制御部53から供給された情報に応じて、スイッチ等によってオンまたはオフすることで変調をかけ、情報を載せて再輻射する。
【0042】
制御部53は、整流回路50から供給された電力によって動作し、リーダライタから送信されてきた情報に含まれるコマンドに応じて、装置の各部を制御する。
【0043】
記憶部54は、例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)によって構成されており、復調回路51から供給された情報を記憶するとともに、記憶されている情報を読み出して、変調回路52に供給する。なお、記憶部54は、整流回路50から供給された直流電力によって動作するが、記憶されている情報については、電力の供給が遮断された場合でも保持できる構成となっている。
【0044】
つぎに、以上に示す非接触型識別データキャリア1の設計方法について説明する。以下では、まず、設計方法の概要について説明した後、図5を参照して詳細な設計方法について説明する。
【0045】
図1に示す非接触型識別データキャリア1の場合、小型化のために再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4が近接して配置されるため、再輻射用アンテナ3と給電用アンテナ4とが相互に干渉してしまう。
【0046】
ところで、図示せぬリーダライタから送信される電波を給電用アンテナ4で受信して電力を得る場合、電波を整流して得られる直流電力はそれほど高いものではないため、給電用アンテナ4の整合による損失は低いほうが望ましい。一方、図示せぬリーダライタの受信感度は高く、再輻射される電波の強度を必要としないため、再輻射用アンテナ3については高い効率、整合効率を必要としない。
【0047】
したがって、本実施の形態では、以上の考察に基づき、給電用アンテナ4については、小型化という制約の中で、給電用アンテナ4の整合を重視して、できるだけ低い整合損失になるように設計するとともに、再輻射用アンテナ3については、図示せぬリーダライタとの間で通信が確保できる程度にとどめることにより、給電用アンテナ4に対する干渉が少なくなるようにしている。
【0048】
つぎに、図5に示すフローチャートを参照して、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ4の詳細な設計方法について説明する。
【0049】
ステップS10:ICチップ部品5の入力インピーダンスを算出する。なお、入力インピーダンスは、実測によって得ることも可能である。
【0050】
ステップS11:給電用アンテナ4のアンテナ長を算出する。具体的には、まず、電波の周波数fに基づいて、自由空間(真空中)における波長λを計算する。ここで、cを光速とすると、λ=c/fである。つぎに、給電用アンテナ4が配置される平板状基板2の誘電率および厚さを参照して、実効比誘電率εeを算出する。そして、得られた実効比誘電率εeを用いて、平板状基板2上における電波の実効的な波長λeを算出する。ここで、λe=λ・c・εe 0.5である。このようにして求めた実効的な波長λeから、給電用アンテナ4の素子の長さである1/4波長(λe/4)を求める。
【0051】
ステップS12:以上のようにして求めたλe/4に基づいて、図2に示すW2=W3=λe/4と仮に設定し、また、ガンママッチング回路4cのW4,L2を適当に設定した場合における給電点インピーダンスを算出する。なお、給電点インピーダンスは、例えば、モーメント法(Method of Moment)を利用して、コンピュータで解くことができる。
【0052】
ステップS13:ステップS12において算出した給電用アンテナ4の給電点インピーダンスと、ステップS10で算出したICチップ部品5の入力インピーダンスとが整合しているか否かを判定する。具体的には、給電用アンテナ4の給電点インピーダンスと、ICチップ部品5の入力インピーダンスとが複素共役である場合にはインピーダンス整合がとれていると判断してステップS15に進み、そうでない場合にはステップS14に進む。
【0053】
ステップS14:インピーダンス整合がとれるように、給電用アンテナ4の補正を行う。具体的には、ICチップ部品5の入力インピーダンスは容量性であるので、給電用アンテナ4の給電点インピーダンスが誘導性を有するように補正する。補正の方法としては、ガンママッチング回路4cのW4の長さを長くすることにより、一般に抵抗値、誘導性リアクタンス値を増加させることができる。同様に、W3を長くしても抵抗値、誘導性リアクタンス値が増加するが、抵抗値の変化に比べて、誘導性リアクタンス値の変化が大きい。したがって、これらをうまく組み合わせて補正することにより、インピーダンス整合がとれるように調整を行う。なお、これら以外にも、例えば、給電用アンテナ4の太さ、形状等によっても給電点インピーダンスが変化するので、これらも考慮しながら補正を行う。処理が終了すると、ステップS12に戻って同様の処理を繰り返す。
【0054】
ステップS15:小型化という制約の中で、給電電力が最大化するように設定を行う。具体的には、以上のステップS12〜ステップS14の処理により、複数の給電用アンテナ4を設計(または製作)し、その中から最もICチップ部品5と整合し、より高い直流電力が得られるものを、シミュレーションにより(または実測により)選択する。
【0055】
ステップS16:給電電力が十分な給電用アンテナ4を求めることができたか否かを判定し、得られた場合にはステップS17に進み、それ以外の場合にはステップS15に戻って同様の処理を繰り返す。なお、十分か否かの判断は、当該非接触型識別データキャリアの使用状況等に応じて判断する。
【0056】
ステップS17:再輻射用アンテナ3のアンテナ長を算出する。具体的には、まず、ステップS10において求めた実効的な波長λeに基づいて、アンテナ長を算出する。すなわち、図1に示す実施の形態では、再輻射用アンテナ3は、フォールデッドダイポールアンテナであるので、両端長さ(=W1)がλe/2と等しくなるように設定する。つぎに、接続されたICチップ部品5の再輻射側の入力インピーダンスにより、再輻射用アンテナ3の共振周波数が変化するので、ICチップ部品5と組み合わせたときに所望の共振周波数(電波の周波数)で共振する長さを求め、これを最大として再輻射アンテナ3の長さを短縮し、アンテナ効率を下げることにより、給電用アンテナ4に与える影響を少なくする。これにより、給電用アンテナと変調用アンテナは、ICチップ部品5と組み合わせたときに違う共振周波数を持つことになる。
【0057】
ステップS18:例えば、モーメント法を用いて再輻射用アンテナ3の供給点インピーダンスを算出し、得られた供給点インピーダンスに基づいて、再輻射用アンテナ3の効率と、給電用アンテナ4への影響を算出する。そして、算出された再輻射用アンテナ3の効率が、リーダライタとの関係において、十分に通信可能かどうかを判定し、十分に通信可能である場合には処理を終了し、それ以外の場合にはステップS20に進む。例えば、給電用アンテナ4の最大給電距離(給電可能な最大距離)において、十分な特性を有しているか否かに基づいて判断する。
【0058】
ステップS20:前述した所定の値kを所定量だけ増加させ、十分な特性が得られるように、折り返しアンテナの長さを計算し直す。そして、ステップS18に進む。
【0059】
以上の処理によれば、給電用アンテナ4については、ICチップ部品5の入力インピーダンスと整合を図るとともに、その長さおよび形状についても最適化するようにしたので、十分な電力を得ることが可能になる。
【0060】
また、再輻射用アンテナ3については、通信可能な範囲で、折り返しアンテナの長さを短くし、給電用アンテナ4の共振周波数からズレを有するように設定するようにしたので、再輻射用アンテナ3が給電用アンテナ4に対して与える影響を小さくすることが可能になる。その結果、再輻射用アンテナ3の影響を排除し、十分な電力を得るとともに、通信距離を伸ばすことが可能になる。
【0061】
つぎに、以上に示す非接触型識別データキャリア1の製造方法について図6から図8を参照して説明する。
【0062】
まず、図6に示すように、まず非接触型識別データキャリア1を構成する平板状基板2となる、大型のポリエチレンテレフタレート製のシート80の一方の面に、横線81および縦線82を描画することによって複数の領域に分割する。なお、各々の領域は、その後に分割されて平板状基板2となり、各領域には後述するようにキャリア1を構成する主要部材である給電用アンテナ3、再輻射用アンテナ4、およびICチップ部品5が形成または載置される。
【0063】
シート80の他方の面には、粘着性物質が塗布されており、また、この粘着性物質が意図しない部分へ被着することを防止するために、粘着性物質全体が剥離可能な光沢紙等で覆われている。
【0064】
シート80の分割が終了すると、図7に示すように、各領域に対して、スクリーン印刷により導電性ペースト(例えば、銀ペースト、カーボンペースト等)を塗布し、給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4をそれぞれ形成する。
【0065】
なお、スクリーン印刷に用いる製版開口部を形成する際には、図7に示す給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4の全てが1回の印刷動作で形成されるよう設計することが望ましい。
【0066】
塗布したペーストが乾燥した場合には、図8に示すように、各領域に形成された給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4の中央部分にICチップ部品5を接着剤等によって接着する。
【0067】
つぎに、給電用アンテナ3、送受信用アンテナ4、およびICチップ部品5を保護するための保護膜を、各領域に塗布して形成する。ここで用いられる保護膜材質は、例えば、エポキシ樹脂等を用いる。
【0068】
最後に、シート80を、先に形成した横線81および縦線82に沿って裁断機または回転ディスクカッター等により切断し、それぞれの非接触型識別データキャリア1に分割する。なお、加熱によりそれぞれの非接触型識別データキャリア1に分割(溶断)するようにしてもよい。
【0069】
以上のプロセスにより、非接触型識別データキャリアが完成する。
【0070】
以上に説明したように、本発明の実施の形態に係る非接触型識別データキャリア1では、平板状基板2の一方の面に、給電用アンテナ3、送受信用アンテナ4、およびICチップ部品5を配置するようにしたので、製造プロセスを簡略化し、製造コストを低減することが可能になる。
【0071】
また、給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4については、スクリーン印刷によって印刷するようにしたので、複数の給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4を一括して印刷することにより製造コストをさらに低減することが可能になる。
【0072】
また、ICチップ部品5の裏面に接続用パッド5a〜5dを設けて、これに給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4を接続するようにしたので、ICチップ部品5と給電用アンテナ3および送受信用アンテナ4を簡易に接続することが可能になるため、製造プロセス簡略化し、製造コストを低減することが可能になる。
【0073】
つぎに、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0074】
図9は、本発明の第2の実施の形態の構成例を示す図である。この図の例では、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ90のみを示してある。図2に示す第1の実施の形態の場合と比較すると、給電用アンテナ4がガンママッチング回路90cを有する給電用アンテナ90に置換されている。その他の部分は、図2の場合と同様である。なお、ガンママッチング回路90cは、ガンママッチング回路4cと同様の構成で、接続部90a,90bを有している。
【0075】
すなわち、図9に示す実施の形態では、給電用アンテナ90は、一方の素子の先端が長さW6だけ折り曲げられてL字型形状90dとされている。なお、折り曲げる側の素子は、ICチップ部品5のグランドに接続されている側とは反対側の素子(以下、「非グランド側素子」と称する)とする。このように、給電用アンテナ90の先端を折り曲げることにより、給電用アンテナ90の横方向の長さを短くし、装置全体のサイズを縮小することができる。また、給電用アンテナ90の非グランド側素子の先端を折り曲げることにより、非グランド側素子と、グランド側素子との間に容量成分が生じるので、共振周波数がW4+W6によって定まる長さよりも低い周波数に遷移するため、給電用アンテナ90の横方向の長さをさらに短くすることができる。すなわち、W5をW3より短くすることができる。
【0076】
なお、折り曲げる長さW6を適宜調整することにより、インピーダンス整合の一部としての動作も可能である。一般的に、W6の長さを長くするほど、容量成分が増加するので、共振周波数は低くなる傾向にある。また、この実施の形態では、L字型形状90dの長さW6は、両アンテナ3,90の幅H1に比べて小さくしてある。
【0077】
つぎに、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0078】
図10は、本発明の第3の実施の形態の構成例を示す図である。この図の例では、再輻射用アンテナ3および給電用アンテナ100のみを示してある。図2に示す第1の実施の形態の場合と比較すると、給電用アンテナ4がガンママッチング回路100cを有する給電用アンテナ100に置換されている。その他の部分は、図2の場合と同様である。なお、ガンママッチング回路100cは、ガンママッチング回路4cと同様な構成で、ICチップ部品5に接続される接続部100a,100bを有している。
【0079】
すなわち、図10に示す実施の形態では、給電用アンテナ100は、図2の場合と比較して素子の太さL3が太くなっている。このように、素子の太さL3を太くすることにより、抵抗分およびリアクタンス分の周波数に対する変化が小さくなるため、受信特性を広帯域化することが可能になる。また、太くすることにより、細い場合に比較して、共振周波数が同一であっても素子の長さを短くすることができるとともに、損失を少なくすることができる。その結果、通信に使用される周波数の変化、または、アンテナのばらつきに対しても有効である。
【0080】
つぎに、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0081】
図11は、本発明の第4の実施の形態の構成例を示す図である。この図の例では、再輻射用アンテナ120および給電用アンテナ140のみを示してある。図2に示す第1の実施の形態の場合と比較すると、再輻射用アンテナ3が再輻射用アンテナ120に、給電用アンテナ4が給電用アンテナ140に置換されている。その他の部分は、図2の場合と同様である。
【0082】
すなわち、図11に示す実施の形態では、ガンママッチング回路140cが付加された給電用アンテナ140は、図2の場合と比較して一方の素子の太さL4が他方の素子の太さL5に比べて太くなっている。すなわち、L4>L5となっている。他方の素子の太さL5は図2の場合と同様である。ガンママッチング回路140cは、ICチップ部品5に接続される接続部140a,140bを有している。また、再輻射用アンテナ120は、給電用アンテナ140の太くなっている側に折り曲げられている。この再輻射用アンテナ120の長さは、第1の実施の形態の再輻射用アンテナ3の長さW1の約半分となっている。さらに、給電用アンテナ140の素子が太くなっている側は、グランド側とされており、接続部120aと接続部140aはICチップ部品5を介してまたは直接に相互に接続されている。また、接続部120bはICチップ部品5の接続用パッド5bに、接続部140bは、ICチップ部品5の接続用パッド5dにそれぞれ接続されている。
【0083】
このように、給電用アンテナ140の一方の素子の太さL4を太くしてグランド側とし、再輻射用アンテナ120の一方の素子と接続することにより、給電用アンテナ140の太い側の素子をグランドとみなすことができる。すると、再輻射用アンテナ120は、一方の素子がグランドに接続され、他方が給電端に接続された折り返しモノポールアンテナと略等価であると考えることができるため、アンテナ素子の横方向の長さW7を、図2の場合に比較して約1/2に短縮することが可能になる。すなわち、低いインピーダンスのエレメントに、高いインピーダンスのエレメントを接続しても影響が少ないように、低いインピーダンスの給電側グランドエレメントは、高いインピーダンスを持つ再輻射側エレメントに対して、グランド側として充分動作する。その結果、通信可能距離を伸ばすことが可能になる。また、再輻射用アンテナ120を、給電用アンテナ140のグランド側に配置することにより、再輻射用アンテナ120が給電用アンテナ140に干渉することを防止することが可能になる。
【0084】
つぎに、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0085】
図12は、本発明の第5の実施の形態の構成例を示す図である。この図の例では、再輻射用アンテナ120および給電用アンテナ160のみを示してある。図11に示す第4の実施の形態の場合と比較すると、給電用アンテナ140が給電用アンテナ160に置換されている。その他の部分は、図11の場合と同様である。
【0086】
すなわち、図12に示す実施の形態では、接続部160a,160bを有するガンママッチング回路160cが付加された給電用アンテナ160は、図11の場合と比較して非グランド側素子の先端160dがL字型に曲げられている。その他の構成は、図11の場合と同様である。
【0087】
このように、給電用アンテナ160の非グランド側素子の先端160dをL字型に曲げることにより、図9に示す第2の実施の形態の場合と同様に、給電用アンテナ160の横方向の長さを短くすることが可能になる。すなわち、W9をW8より短くすることができる。その結果、非接触型識別データキャリアのサイズを小型化することが可能になる。なお、この実施の形態では、L字型の先端160dの長さW10を両アンテナ120,160間の幅H2より小さくしている。
【0088】
なお、図11および図12に示す実施の形態の給電用アンテナ140,160を設計する場合、まず、グランド側素子の長さを、実効的な1/4波長(λe/4)として設計し、インピーダンス整合をする場合には、非グランド側素子の長さおよびガンママッチング回路140c,160cを適宜調整することにより、簡易に調整することができる。
【0089】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能である。例えば、以上に示す各実施の形態では、再輻射用アンテナ3,120は、矩形ループアンテナとしたが、これ以外のアンテナ、例えば、ダイポールアンテナとしてもよい。また、給電用アンテナ4,90,100,140,160は、ダイポールアンテナとしたが、これ以外のアンテナ、例えば、矩形ループアンテナとしてもよい。また、マッチング回路としては、ガンママッチング回路4c,90c,100c,140c,160cを使用したが、これ以外のマッチング回路、例えば、T型マッチング回路を用いたり、LC素子によるマッチング回路を利用したりすることも可能である。
【0090】
また、以上に示す各実施の形態では、再輻射用アンテナ3,120および給電用アンテナ4,90,100,140,160は、紙面の左右方向に長く伸びた構成としたが、紙面の上下方向に長く伸びる構成としてもよい。また、平板状の基板としては、可撓性を有するフレキシブル基板を用いてもよい。また、平板状の基板の代わりに筒状の基板等、曲面を有する基板等を用いてもよい。
【0091】
また、以上の各実施の形態では、ガンママッチング回路により、ICチップ部品5の入力インピーダンスとのインピーダンス整合をとるようにしたが、ICチップ部品5の入力インピーダンスは、部品ごとのばらつきがあるため、例えば、ICチップ部品5の入力端子が有する容量ΔCよりも大きい容量C(ΔC<<C)を有するコンデンサを入力端子に接続し、これによってばらつきを吸収するようにしてもよい。そのような方法によれば、装置ごとのばらつきの発生を防止することができる。
【0092】
また、図5に示す設計方法では、再輻射用アンテナ3,120を設計する際には、通信できる最低限の長さとなるようにしたが、例えば、コンピュータを用いたシミュレーションにより、干渉が最小となる形状および大きさを選択するようにすることも可能である。また、給電用アンテナ4,100の長さ(W2+W3)、給電用アンテナ90の長さ(W2+W5)、給電用アンテナ140,160のグランド側の長さ(W2)に比べて、再輻射用アンテナ3,120の長さ(W1,W7)を短くなる範囲で、適宜設計することができる。これらの場合、再輻射用アンテナ3,120は、通信できる最低長の長さ以上となることもあり得る。
【0093】
また、図5に示す設計方法では、ステップS15において、複数の給電用アンテナを設計し、その中から最適なものを選択するようにしたが、例えば、設計条件が厳しくないような場合には、ひとつだけ設計するようにすることも可能である。
【0094】
さらに、図5に示す設計方法は、コンピュータを用いて実行することも可能である。その場合、図5に示す処理機能を有するプログラムを、コンピュータに実行させることにより、実現できる。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、電力を安定して得ることができるとともに、十分な通信距離を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る非接触型識別データキャリアの構成例を示す図である。
【図2】図1に示す非接触型識別データキャリアを構成する再輻射用アンテナおよび給電用アンテナの詳細な構成例を示す図である。
【図3】図1に示すICチップ部品の裏面に形成されている接続用パッドの配置状態を示す図である。
【図4】図1に示す非接触型識別データキャリアを構成するICチップ部品の回路構成の一例を示す図である。
【図5】図1に示す非接触型識別データキャリアの給電用アンテナと、再輻射用アンテナの設計方法の一例を説明するフローチャートである。
【図6】図1に示す非接触型識別データキャリアを製造するプロセスにおいて、横線と縦線を描画することでシートを複数の領域に区分けした場合の一例を示す図である。
【図7】図1に示す非接触型識別データキャリアを製造するプロセスにおいて、シートにスクリーン印刷により給電用アンテナおよび送受信用アンテナを形成した場合の様子を示す図である。
【図8】図1に示す非接触型識別データキャリアを製造するプロセスにおいて、図4に示すシートの給電用アンテナおよび送受信用アンテナの中間にICチップ部品を接着した場合の様子を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の構成例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の構成例を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態の構成例を示す図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 非接触型識別データキャリア
2 平板状基板
3,120 給電用アンテナ
4,90,100,140,160 再輻射用アンテナ
5 ICチップ部品
Claims (12)
- リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリアにおいて、
上記リーダライタからの電波を受け、この電波を変調してリーダライタに向けて再輻射することにより情報を送出するための再輻射用アンテナと、
上記リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナと、
上記再輻射用アンテナおよび給電用アンテナに接続されたICチップ部品と、を有し、
上記給電用アンテナは、上記リーダライタから送信される電波に共振するとともに、上記ICチップ部品の入力部とインピーダンス整合がとれるように調整されており、
上記再輻射用アンテナは、上記給電用アンテナに対する干渉が少なくなるように調整されている、ことを特徴とする非接触型識別データキャリア。 - 前記再輻射用アンテナは、前記給電用アンテナとは共振周波数が異なるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の非接触型識別データキャリア。
- 前記再輻射用アンテナは、前記給電用アンテナにより前記ICチップ部品が動作可能な最低限の電力が受信されている場合に、前記リーダライタと通信可能な程度の送受信能力を有するように設計されていることを特徴とする請求項1記載の非接触型識別データキャリア。
- リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリアにおいて、
上記リーダライタからの電波を受け、この電波を変調してリーダライタに向けて再輻射することにより情報を送出するための再輻射用アンテナと、
上記リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナと、上記再輻射用アンテナおよび給電用アンテナに接続されたICチップ部品と、を有し、
上記再輻射用アンテナを上記給電用アンテナよりも短くするとともに、上記給電用アンテナの長さ方向から、上記再輻射用アンテナが飛び出ないように形成したことを特徴とする非接触型識別データキャリア。 - 前記再輻射用アンテナのグランド側素子と、前記給電用アンテナのグランド側素子は共用されている、ことを特徴とする請求項1または4記載の非接触型識別データキャリア。
- 前記給電用アンテナのグランド側の素子は、前記再輻射用アンテナの素子よりもその幅が広くなるように設定されている、ことを特徴とする請求項5記載の非接触型識別データキャリア。
- 前記再輻射用アンテナは、ハーフフォールデッドアンテナとして構成されている、ことを特徴とする請求項5または6記載の非接触型識別データキャリア。
- 前記再輻射用アンテナは、一方に折り曲げられたハーフフォールデッドアンテナとして構成されている、ことを特徴とする請求項5または6記載の非接触型識別データキャリア。
- 前記給電用アンテナは、ダイポールアンテナとして構成されており、当該ダイポールアンテナは、少なくとも一方の先端が折り曲げられている、ことを特徴とする請求項1または4記載の非接触型識別データキャリア。
- 前記給電用アンテナは、T整合回路またはガンママッチング回路を有するダイポールアンテナとして構成されている、ことを特徴とする請求項1または4記載の非接触型識別データキャリア。
- 前記給電用アンテナは、ダイポールアンテナとして構成されており、当該ダイポールアンテナは、その給電位置をセンター位置から所定の距離だけオフセットさせることによりインピーダンス整合がとられている、ことを特徴とする請求項1または4記載の非接触型識別データキャリア。
- リーダライタとの間で電波により情報を授受する非接触型識別データキャリアであって、上記リーダライタと通信を行うための再輻射用アンテナと、上記リーダライタからの電波を受信して電力を得るための給電用アンテナと、上記再輻射用アンテナおよび給電用アンテナに接続されたICチップ部品と、を有する非接触型識別データキャリアの設計方法において、
上記給電用アンテナについては、上記リーダライタから送信される電波に共振するとともに、上記ICチップ部品の入力部とインピーダンス整合がとれるように設計し、
上記再輻射用アンテナは、上記給電用アンテナに対する干渉が少なくなるように設計する、ことを特徴とする非接触型識別データキャリアの設計方法。
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