JP2005044829A - レーザダイオードモジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】放熱特性に優れ、レーザダイオードチップの機能が充分に発揮できるレーザダイオードモジュールを提供する。
【解決手段】チップ本体および周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を備えたレーザダイオードチップ、レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュール。更に、熱伝導部材によって幅方向に拡大されたレーザダイオードチップ、レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュール。
【選択図】図3
【解決手段】チップ本体および周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を備えたレーザダイオードチップ、レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュール。更に、熱伝導部材によって幅方向に拡大されたレーザダイオードチップ、レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュール。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放熱特性に優れ、レーザダイオードチップの機能が充分に発揮できるレーザダイオードモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、レーザダイオードモジュールは、例えば、光ファイバ通信、特に幹線系・CATVの信号光源やファイバアンプの励起光源として用いられている。このようなレーザダイオードモジュールは、高出力および安定動作を実現するために、ペルチェ素子を内蔵し、そのペルチェ素子上部に搭載された金属基板上にレーザダイオードチップ、フォトダイオードチップ、レンズ等の光学部品、サーミスタ素子、インダクタ、抵抗等の電気部品を配置している。
なお、上述したペルチェ素子は、熱電半導体であり、直流の電流を流すと、p型の半導体の場合には、電流の流れる方向に熱が運ばれ、n型半導体の場合には電流と反対方向に熱が運ばれ、熱電半導体の両側で温度差が生じる。ペルチェ素子を使用した冷却システムは、上述した温度差を利用して、低温側を冷却に、高温側を放熱に使用している。
【0003】
レーザダイオードモジュールは、上述したレーザダイオードチップの近傍に接着されたサーミスタ素子によってチップの温度を検出している。このように検出された温度値をフィードバックしてペルチェ素子を駆動させることにより、レーザダイオードチップが配置された金属基板全体を冷却して、レーザダイオードチップの温度を一定に保つ構造を備えている。
【0004】
図8に従来のレーザダイオードモジュールを示す。図8は、レーザダイオードモジュールの概略断面図を示す。レーザダイオードモジュールは、図8に示すように、レーザダイオードチップ111およびヒートシンク112を搭載したマウント113と、モニター用フォトダイオードチップ114を搭載したチップキャリア115と、レンズホルダ116と、図示しない抵抗体、インダクタおよび回路基板等を接着した金属基板110aと、ペルチェ素子7とを備えている。ペルチェ素子は、パッケージ放熱板118上に金属ソルダで固定されている。なお、ペルチェ素子117の上下には、セラミックス板119A、119Bが配置される。
【0005】
図9は、図8におけるレーザダイオードモジュールのA−A’断面図である。図9に示すように、レーザダイオードモジュールの主要部は、ヒートシンク112上にレーザダイオードチップ111の他にサーミスタ121を搭載し、ペルチェ素子117と金属基板110aとを接着する金属ソルダとして、両者の熱膨張差を緩和するために、ソフトソルダ122を用いている。
上述した金属基板は、通常、銅タングステン(CuW:銅の重量配分比10〜30%のものが存在)等の単一材質で形成されている。金属基板とペルチェ素子との接着は、両者の熱膨張差を緩和するために、インジウム錫(InSn)などの低温ソフトソルダが用いられてきた。
【0006】
しかし、近年、レーザダイオードモジュールの高出力化に伴い、レーザダイオードモジュールの冷却能力に対する要求が厳しくなっている。
従って、冷却能力向上のためには、ペルチェ素子を大型化したり、上部に搭載する金属基板の高熱伝導材質化を図る必要があるが、レーザダイオードモジュールが大型化してしまったり、コストが高くなってしまう。更に、ペルチェ素子の冷却能力向上に伴う温調タイム(目的の温度に達するまでの時間)の短縮により、ペルチェ素子上部に搭載した金属基板への温度ストレスも大きくなる。しかも、ソフトソルダ特有のハンダクリープ現象も顕著になる。
【0007】
上述した問題点を解決するために、特開平10−200208に、2種類の金属材からなる金属基板を備えた半導体レーザモジュールが開示されている。即ち、上述した金属基板を使用することにより、金属基板全体の熱膨張を小さくするとともに、熱伝導を良くし、冷却性能を向上させると同時に、ペルチェ素子の信頼度を高めることを期待している。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−183445
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した先行技術によると、個々のレーザダイオードモジュールにおける、ペルチェ素子の冷却性能の向上、および、ペルチェ素子の信頼度を高めることが期待されている。しかしながら、個々のレーザダイオードモジュールが更に高出力化し、それにともなって発生する熱を処理することができないと、レーザダイオードモジュールの機能を損傷してしまうという問題点がある。即ち、従来の方法では、レーザダイオードモジュールのペルチェ素子による冷却が限界に達して、半導体素子の性能を100%生かしきれない状態でしか、使用することができなくなっている。
【0010】
従って、この発明の目的は、従来の問題点を解決して、放熱特性に優れ、レーザダイオードチップの機能が充分に発揮できるレーザダイオードモジュールを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、従来、ペルチェ素子等の冷却性能を向上させることによって、レーザダイオードモジュールの放熱・冷却特性を向上させようとしてきたが、熱抵抗の大部分即ち約60%が、レーザダイオードチップの熱抵抗であることが判明した。
即ち、チップキャリアに熱的に接続されたレーザダイオードチップの活性層が存在する面からチップキャリアと接する面までの熱抵抗がレーザダイオードモジュール全体の熱抵抗の約60%を占めている。例えば、ペルチェ素子等によって、チップキャリアを25℃の温度に制御しても、レーザダイオードチップの活性化層の温度は55℃になっていた。更に、チップキャリアを25℃の温度に制御するためには、ペルチェ素子に対して高い冷却性能が要求されていた。
【0012】
従来のアプローチと異なり、ペルチェ素子等の冷却性能を向上するのではなく、レーザダイオードチップの熱抵抗を小さくすることができれば、ペルチェ素子等の冷却性能如何にかかわらず、放熱効果は著しく高まることが判明した。即ち、レーザダイオードチップの周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を設けると、活性化層の熱が広い角度で、チップキャリアと接触している面に伝わり、活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差を小さくして、レーザダイオードチップの熱抵抗を小さくすることができることが判明した。
【0013】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明のレーザダイオードモジュールの第1の態様は、チップ本体および周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を備えたレーザダイオードチップ、前記レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、前記レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュールである。
【0014】
この発明のレーザダイオードモジュールの第2の態様は、前記冷却装置がペルチェ素子からなっている、レーザダイオードモジュールである。
【0015】
この発明のレーザダイオードモジュールの第3の態様は、前記熱伝導部材が前記チップ本体の両側に設けられた、レーザダイオードモジュールである。
【0016】
この発明のレーザダイオードモジュールの第5の態様は、前記熱伝導部材が被膜形成手段によって、前記チップ本体の両側面に形成されている、レーザダイオードモジュールである。
【0017】
この発明のレーザダイオードモジュールの第6の態様は、前記熱伝導部材がダイヤモンドのスパッタリング、または、イオンコーティングによって形成されている、レーザダイオードモジュールである。
【0018】
この発明のレーザダイオードモジュールの第7の態様は、熱伝導部材によって幅方向に拡大されたレーザダイオードチップ、前記レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、前記レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュールである。
【0019】
この発明のレーザダイオードモジュールの第8の態様は、レーザダイオードチップの活性層を有する面と反対側の面にレーザダイオードキャリアが熱的に接続される、レーザダイオードモジュールである。
【0020】
【発明の実施の形態】
この発明のレーザダイオードモジュールの態様について図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明のレーザダイオードモジュールは、チップ本体およびチップ本体の周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を備えたレーザダイオードチップ、レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュールである。上述した冷却装置が、例えば、ペルチェ素子からなっている。
【0021】
上述した熱伝導部材が、1つの態様においては、チップ本体の両側に設けられている。
図1は、この発明のレーザダイオードモジュールのレーザダイオードチップを示す図である。図1に示すように、レーザダイオードチップ1は、チップ本体2、および、その両側に熱的に接続して設けられた熱伝導部材4、5を備えている。活性化層3は、図示しないチップキャリアと接続する面と反対側に設けられている。
【0022】
図2は、この発明のレーザダイオードチップ1における熱抵抗を説明する図である。図2に示すように、チップ本体2の両側に熱伝導部材4、5が熱的に接続して設けられているので、活性化層3の熱は、横方向に広がりながら斜線で示したように、下方に向かって、チップキャリアと接する面に伝わる。従って、熱抵抗によるチップの温度差ΔT=T0−T1は小さく、例えば、10℃である。
図10に、従来のレーザダイオードモジュールの部分を示す。図10に示すように、レーザダイオードチップ100は、側面部に熱伝導部材を備えていないので、活性化層102の熱は、斜線で示すように、横方向に広がりながら斜線で示したように、下方に向かって、チップキャリア107と接する面に伝わる。しかしながら、従来のレーザダイオードチップ100においては、チップの幅が狭く、上述したように、熱抵抗が大きい。従って、熱抵抗によるチップの温度差ΔT=T0−T1は大きく、例えば、30℃である。即ち、本発明の場合の約3倍である。
【0023】
図10において、例えば、活性化層102の温度を約55℃に維持しようとすると、上述したようにチップの熱抵抗が大きいので、チップキャリア107の温度を25℃にコントロールする必要がある。ペルチェ素子の底部側における温度が約75℃であるので、ペルチェ素子には約50℃の温度を低下させる冷却性能が要求される。ペルチェ素子に使用されているBi−Te部材への負担を軽くすることが重要である。
【0024】
これに対して、この発明のレーザダイオードチップ1においては、チップ本体2の両側に熱伝導部材4、5が熱的に接続して設けられているので、活性化層3の熱が熱伝導部材に広く伝わって、熱抵抗が著しく低下する。その結果、例えば、活性化層3の温度を約55℃に維持しようとすると、チップ本体の熱抵抗が小さいので、チップキャリア7の温度は45℃にコントロールすればよい。従って、ペルチェ素子の底部側における温度が約75℃であるので、ペルチェ素子には約30℃の温度を低下させる冷却性能が要求されるに過ぎない。このことは、ペルチェ素子に要求される冷却性能が低くなるので、ペルチェ素子を大型化する必要は無く、逆に、ペルチェ素子を小型化することができる。その結果、レーザダイオードモジュールを更に小型化することが可能である。更に、高性能のペルチェ素子ではなく、一般的な性能のペルチェ素子であればよく、レーザダイオードモジュールの製造コストを低くすることができる。
【0025】
このように、活性化層の温度を約55℃に維持するためには、従来のチップにおいては、チップキャリアの温度を約25℃にコントロールしなければならなかったけれども、本発明のチップにおいては、熱抵抗が小さく、活性化層の温度を約55℃に維持するためには、チップキャリアの温度を約45℃にコントロールすればよいので、レーザダイオードモジュールの温度に関する安定性を容易に高めることができる。更に、チップキャリアの温度を低くコントロールすることによって、活性化層の温度を低く、例えば、約35℃に維持することが容易になる。
上述したように、この発明によると、レーザダイオードチップの熱抵抗を小さくすることによって、レーザダイオードモジュールの放熱効果を著しく向上することができる。
【0026】
熱伝導部材としては、Si、AlN、CuW、ダイヤモンド、Cuなどがあり、レーザダイオードチップの線膨張係数に近いものを使用する。例えば、InP基板に形成されたレーザダイオードチップの場合は、AlNが適している。特に、In−Pが適している。
チップと熱伝導部材の接合は、AuSn、AuGeなどによって行う。
チップキャリアの材質としては、Si、AlN、CuW、ダイヤモンド、Cuなどがあり、レーザダイオードチップの線膨張係数に近いものを使用する。例えば、InP基板に形成されたレーザダイオードチップの場合は、AlNが適している。特に、Cu−Wが適している。
【0027】
更に、この発明のレーザダイオードモジュールの他の態様においては、上述した熱伝導部材が被膜形成手段によって、レーザダイオードチップの両側面に形成されている。即ち、熱伝導部材がダイヤモンドのスパッタリング、または、イオンコーティングによって形成されている。図5は、熱伝導部材が被膜形成手段によって、両側面に形成されているレーザダイオードチップを示す図である。図5に示すように、チップ2の両側面にダイヤモンドのスパッタリング、または、イオンコーティングによって、熱伝導部材9、10が形成されている。
【0028】
図6は、この発明のレーザダイオードチップにおける熱抵抗を説明する図である。図6に示すように、チップ2の両側面にダイヤモンドのスパッタリング、または、イオンコーティングによって、熱伝導部材9、10が形成されているので、矢印で示すように、活性化層3の熱が伝わり、チップの温度差ΔT=T0−T1を小さくすることができる。従って、図4に示した態様と同様に、チップキャリアの温度T1を比較的高い温度にコントロールすることができ、ペルチェ素子の冷却性能に対する要求が低くなる。即ち、ペルチェ素子に要求される冷却性能が低くなるので、ペルチェ素子を大型化する必要は無く、逆に、ペルチェ素子を小型化することができる。その結果、レーザダイオードモジュールを更に小型化することが可能である。更に、高性能のペルチェ素子ではなく、一般的な性能のペルチェ素子であればよく、レーザダイオードモジュールの製造コストを低くすることができる。
【0029】
更に、この発明のレーザダイオードモジュールの他の態様においては、上述した熱伝導部材がレーザダイオードチップの両側に一体的形成されている。例えば、チップの製造に際して、カットする際に所定の幅でカットして製造する。
【0030】
この発明のレーザダイオードモジュールは、例えば光源として使用され、半導体レーザ、第1レンズ、第2レンズ、コア拡大ファイバおよび気密ケースを備えている。半導体レーザは、第1レンズとの間に所定の間隔をおいて、ベース上にチップキャリアを介して設けられている。ベースは、気密ケース内に設けた温度制御用のペルチェ素子の上方に配置されている。ベースは、主要部分が銅製で、第1レンズを設置する部分がステンレス製の複合材である。ベース部材は、チップキャリアを挟んで第1レンズと対向する側にキャリアが固定され、キャリアの半導体レーザと対向する位置にモニタ用のフォトダイオードが設けられている。
【0031】
この発明によると、上述したように、レーザダイオードチップの周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を設けることによって、活性化層の熱が広い角度で、チップキャリアと接触している面に伝わり、活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差を小さくして、レーザダイオードチップの熱抵抗を小さくすることができる。
【0032】
【実施例】
実施例1
この発明のレーザダイオードモジュールを実施例によって、説明する。
Cu−W製の縦7mm×横5mm×厚さ1mmのチップキャリアの上に、縦0.8mm×横0.3mm×厚さ0.1mmのチップ本体の両側面に、チップと同じ大きさのAlN製の熱伝導部材を、AuSnによって接合して、幅方向に拡大したレーザダイオードチップを搭載した。レーザダイオードチップとチップキャリアの間は、ハンダで接合した。
【0033】
上述したチップキャリアの低部には、ペルチェ素子を熱的に接続した。このように調製したレーザダイオードモジュールを使用して、レーザダイオードチップの熱抵抗を調査した。チップキャリアの温度を45℃にコントロールした。チップ本体の活性化層の温度は55℃、ペルチェ素子の底部の温度は95℃であった。その結果、幅方向に拡大されたこの発明のレーザダイオードチップにおける活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差は、10℃であり、熱抵抗が著しく小さくなっていることがわかる。更に、ペルチェ素子の冷却性能、即ち、チップキャリアと接するペルチェ素子の上面と底面との間の温度差は、30℃であり、ペルチェ素子に要求される冷却性能は低いことがわかる。
【0034】
実施例2
Cu−W製の縦7mm×横5mm×厚さ1mmのチップキャリアの上に、縦0.8mm×横0.3mm×厚さ0.1mmのチップ本体の両側面に、ダイヤモンドのスパッタリングによって、厚さ0.1mmの熱伝導部材を形成したレーザダイオードチップを搭載した。レーザダイオードチップとチップキャリアの間は、AuSnで接合した。
【0035】
上述したチップキャリアの底部には、ペルチェ素子を熱的に接続した。このように調製したレーザダイオードモジュールを使用して、レーザダイオードチップの熱抵抗を調査した。チップキャリアの温度を44℃にコントロールした。チップの活性化層の温度は55℃、ペルチェ素子の底部の温度は95℃であった。その結果、被膜形成手段によって熱伝導部材が形成されたこの発明のレーザダイオードチップにおける活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差は、11℃であり、熱抵抗が著しく小さくなっていることがわかる。更に、ペルチェ素子の冷却性能、即ち、チップキャリアと接するペルチェ素子の上面と底面との間の温度差は、51℃であり、ペルチェ素子に要求される冷却性能は低いことがわかる。
【0036】
比較例
Cu−W製の縦7mm×横5mm×厚さ1mmのチップキャリアの上に、縦0.8mm×横0.3mm×厚さ0.1mmのレーザダイオードチップを搭載した。レーザダイオードチップとチップキャリアの間は、ハンダで接合した。
上述したチップキャリアの底部には、ペルチェ素子を熱的に接続した。このように調製したレーザダイオードモジュールを使用して、レーザダイオードチップの熱抵抗を調査した。チップキャリアの温度を25℃にコントロールした。チップの活性化層の温度は55℃、ペルチェ素子の底部の温度は95℃であった。その結果、従来のレーザダイオードチップにおける活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差は、30℃であり、熱抵抗が著しく大きいことがわかる。更に、ペルチェ素子の冷却性能、即ち、チップキャリアと接するペルチェ素子の上面と底面との間の温度差は、70℃であり、ペルチェ素子に要求される冷却性能は極めて高いことがわかる。
【0037】
上述したところから明らかなように、チップ本体の周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を、接合、スパッタリング、または、一体的に設けることによって、活性化層の熱が、チップキャリアと接触している面に、抵抗少なく伝わり、活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差を小さくして、レーザダイオードチップの熱抵抗を小さくすることができる。その結果、ペルチェ素子等の冷却装置に対する要求性能を低くすることが可能になる。
【0038】
【発明の効果】
上述したように、この発明によると、放熱特性に優れ、レーザダイオードチップの機能が充分に発揮できるレーザダイオードモジュールを提供することにある。
即ち、レーザダイオードチップの熱抵抗を低下させることによって、冷却装置としてのペルチェ素子の冷却性能要求を低くして、低コスト、小型化が可能な、放熱特性に優れたレーザダイオードモジュールを提供することができ、産業上利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明のレーザダイオードモジュールのレーザダイオードチップを示す図である。
【図2】図2は、この発明のレーザダイオードチップ1における熱抵抗を説明する図である。
【図3】図3は、チップキャリアに搭載されたこの発明のレーザダイオードチップを示す図である。
【図4】図4は、この発明のレーザダイオードモジュールの部分を示す概略図である。
【図5】図5は、熱伝導部材が被膜形成手段によって、両側面に形成されているレーザダイオードチップを示す図である。
【図6】図6は、この発明のレーザダイオードチップにおける熱抵抗を説明する図である。
【図7】図7は、チップキャリアに搭載されたこの発明のレーザダイオードチップを示す図である。
【図8】図8は、従来のレーザダイオードモジュールの概略断面図を示す。
【図9】図9は、図8におけるレーザダイオードモジュールのA−A’断面図である。
【図10】図10は、従来のレーザダイオードモジュールを示す。
【符号の説明】
1.この発明のレーザダイオードチップ
2.チップ本体
3.活性化層
4.熱伝導部材
5.熱伝導部材
6.熱伝導状態
7.チップキャリア
8.ペルチェ素子
9.被膜形成手段によって形成された熱伝導部材
10.被膜形成手段によって形成された熱伝導部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、放熱特性に優れ、レーザダイオードチップの機能が充分に発揮できるレーザダイオードモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、レーザダイオードモジュールは、例えば、光ファイバ通信、特に幹線系・CATVの信号光源やファイバアンプの励起光源として用いられている。このようなレーザダイオードモジュールは、高出力および安定動作を実現するために、ペルチェ素子を内蔵し、そのペルチェ素子上部に搭載された金属基板上にレーザダイオードチップ、フォトダイオードチップ、レンズ等の光学部品、サーミスタ素子、インダクタ、抵抗等の電気部品を配置している。
なお、上述したペルチェ素子は、熱電半導体であり、直流の電流を流すと、p型の半導体の場合には、電流の流れる方向に熱が運ばれ、n型半導体の場合には電流と反対方向に熱が運ばれ、熱電半導体の両側で温度差が生じる。ペルチェ素子を使用した冷却システムは、上述した温度差を利用して、低温側を冷却に、高温側を放熱に使用している。
【0003】
レーザダイオードモジュールは、上述したレーザダイオードチップの近傍に接着されたサーミスタ素子によってチップの温度を検出している。このように検出された温度値をフィードバックしてペルチェ素子を駆動させることにより、レーザダイオードチップが配置された金属基板全体を冷却して、レーザダイオードチップの温度を一定に保つ構造を備えている。
【0004】
図8に従来のレーザダイオードモジュールを示す。図8は、レーザダイオードモジュールの概略断面図を示す。レーザダイオードモジュールは、図8に示すように、レーザダイオードチップ111およびヒートシンク112を搭載したマウント113と、モニター用フォトダイオードチップ114を搭載したチップキャリア115と、レンズホルダ116と、図示しない抵抗体、インダクタおよび回路基板等を接着した金属基板110aと、ペルチェ素子7とを備えている。ペルチェ素子は、パッケージ放熱板118上に金属ソルダで固定されている。なお、ペルチェ素子117の上下には、セラミックス板119A、119Bが配置される。
【0005】
図9は、図8におけるレーザダイオードモジュールのA−A’断面図である。図9に示すように、レーザダイオードモジュールの主要部は、ヒートシンク112上にレーザダイオードチップ111の他にサーミスタ121を搭載し、ペルチェ素子117と金属基板110aとを接着する金属ソルダとして、両者の熱膨張差を緩和するために、ソフトソルダ122を用いている。
上述した金属基板は、通常、銅タングステン(CuW:銅の重量配分比10〜30%のものが存在)等の単一材質で形成されている。金属基板とペルチェ素子との接着は、両者の熱膨張差を緩和するために、インジウム錫(InSn)などの低温ソフトソルダが用いられてきた。
【0006】
しかし、近年、レーザダイオードモジュールの高出力化に伴い、レーザダイオードモジュールの冷却能力に対する要求が厳しくなっている。
従って、冷却能力向上のためには、ペルチェ素子を大型化したり、上部に搭載する金属基板の高熱伝導材質化を図る必要があるが、レーザダイオードモジュールが大型化してしまったり、コストが高くなってしまう。更に、ペルチェ素子の冷却能力向上に伴う温調タイム(目的の温度に達するまでの時間)の短縮により、ペルチェ素子上部に搭載した金属基板への温度ストレスも大きくなる。しかも、ソフトソルダ特有のハンダクリープ現象も顕著になる。
【0007】
上述した問題点を解決するために、特開平10−200208に、2種類の金属材からなる金属基板を備えた半導体レーザモジュールが開示されている。即ち、上述した金属基板を使用することにより、金属基板全体の熱膨張を小さくするとともに、熱伝導を良くし、冷却性能を向上させると同時に、ペルチェ素子の信頼度を高めることを期待している。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−183445
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した先行技術によると、個々のレーザダイオードモジュールにおける、ペルチェ素子の冷却性能の向上、および、ペルチェ素子の信頼度を高めることが期待されている。しかしながら、個々のレーザダイオードモジュールが更に高出力化し、それにともなって発生する熱を処理することができないと、レーザダイオードモジュールの機能を損傷してしまうという問題点がある。即ち、従来の方法では、レーザダイオードモジュールのペルチェ素子による冷却が限界に達して、半導体素子の性能を100%生かしきれない状態でしか、使用することができなくなっている。
【0010】
従って、この発明の目的は、従来の問題点を解決して、放熱特性に優れ、レーザダイオードチップの機能が充分に発揮できるレーザダイオードモジュールを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、従来、ペルチェ素子等の冷却性能を向上させることによって、レーザダイオードモジュールの放熱・冷却特性を向上させようとしてきたが、熱抵抗の大部分即ち約60%が、レーザダイオードチップの熱抵抗であることが判明した。
即ち、チップキャリアに熱的に接続されたレーザダイオードチップの活性層が存在する面からチップキャリアと接する面までの熱抵抗がレーザダイオードモジュール全体の熱抵抗の約60%を占めている。例えば、ペルチェ素子等によって、チップキャリアを25℃の温度に制御しても、レーザダイオードチップの活性化層の温度は55℃になっていた。更に、チップキャリアを25℃の温度に制御するためには、ペルチェ素子に対して高い冷却性能が要求されていた。
【0012】
従来のアプローチと異なり、ペルチェ素子等の冷却性能を向上するのではなく、レーザダイオードチップの熱抵抗を小さくすることができれば、ペルチェ素子等の冷却性能如何にかかわらず、放熱効果は著しく高まることが判明した。即ち、レーザダイオードチップの周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を設けると、活性化層の熱が広い角度で、チップキャリアと接触している面に伝わり、活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差を小さくして、レーザダイオードチップの熱抵抗を小さくすることができることが判明した。
【0013】
この発明は、上記研究結果に基づいてなされたものであって、この発明のレーザダイオードモジュールの第1の態様は、チップ本体および周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を備えたレーザダイオードチップ、前記レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、前記レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュールである。
【0014】
この発明のレーザダイオードモジュールの第2の態様は、前記冷却装置がペルチェ素子からなっている、レーザダイオードモジュールである。
【0015】
この発明のレーザダイオードモジュールの第3の態様は、前記熱伝導部材が前記チップ本体の両側に設けられた、レーザダイオードモジュールである。
【0016】
この発明のレーザダイオードモジュールの第5の態様は、前記熱伝導部材が被膜形成手段によって、前記チップ本体の両側面に形成されている、レーザダイオードモジュールである。
【0017】
この発明のレーザダイオードモジュールの第6の態様は、前記熱伝導部材がダイヤモンドのスパッタリング、または、イオンコーティングによって形成されている、レーザダイオードモジュールである。
【0018】
この発明のレーザダイオードモジュールの第7の態様は、熱伝導部材によって幅方向に拡大されたレーザダイオードチップ、前記レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、前記レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュールである。
【0019】
この発明のレーザダイオードモジュールの第8の態様は、レーザダイオードチップの活性層を有する面と反対側の面にレーザダイオードキャリアが熱的に接続される、レーザダイオードモジュールである。
【0020】
【発明の実施の形態】
この発明のレーザダイオードモジュールの態様について図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明のレーザダイオードモジュールは、チップ本体およびチップ本体の周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を備えたレーザダイオードチップ、レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュールである。上述した冷却装置が、例えば、ペルチェ素子からなっている。
【0021】
上述した熱伝導部材が、1つの態様においては、チップ本体の両側に設けられている。
図1は、この発明のレーザダイオードモジュールのレーザダイオードチップを示す図である。図1に示すように、レーザダイオードチップ1は、チップ本体2、および、その両側に熱的に接続して設けられた熱伝導部材4、5を備えている。活性化層3は、図示しないチップキャリアと接続する面と反対側に設けられている。
【0022】
図2は、この発明のレーザダイオードチップ1における熱抵抗を説明する図である。図2に示すように、チップ本体2の両側に熱伝導部材4、5が熱的に接続して設けられているので、活性化層3の熱は、横方向に広がりながら斜線で示したように、下方に向かって、チップキャリアと接する面に伝わる。従って、熱抵抗によるチップの温度差ΔT=T0−T1は小さく、例えば、10℃である。
図10に、従来のレーザダイオードモジュールの部分を示す。図10に示すように、レーザダイオードチップ100は、側面部に熱伝導部材を備えていないので、活性化層102の熱は、斜線で示すように、横方向に広がりながら斜線で示したように、下方に向かって、チップキャリア107と接する面に伝わる。しかしながら、従来のレーザダイオードチップ100においては、チップの幅が狭く、上述したように、熱抵抗が大きい。従って、熱抵抗によるチップの温度差ΔT=T0−T1は大きく、例えば、30℃である。即ち、本発明の場合の約3倍である。
【0023】
図10において、例えば、活性化層102の温度を約55℃に維持しようとすると、上述したようにチップの熱抵抗が大きいので、チップキャリア107の温度を25℃にコントロールする必要がある。ペルチェ素子の底部側における温度が約75℃であるので、ペルチェ素子には約50℃の温度を低下させる冷却性能が要求される。ペルチェ素子に使用されているBi−Te部材への負担を軽くすることが重要である。
【0024】
これに対して、この発明のレーザダイオードチップ1においては、チップ本体2の両側に熱伝導部材4、5が熱的に接続して設けられているので、活性化層3の熱が熱伝導部材に広く伝わって、熱抵抗が著しく低下する。その結果、例えば、活性化層3の温度を約55℃に維持しようとすると、チップ本体の熱抵抗が小さいので、チップキャリア7の温度は45℃にコントロールすればよい。従って、ペルチェ素子の底部側における温度が約75℃であるので、ペルチェ素子には約30℃の温度を低下させる冷却性能が要求されるに過ぎない。このことは、ペルチェ素子に要求される冷却性能が低くなるので、ペルチェ素子を大型化する必要は無く、逆に、ペルチェ素子を小型化することができる。その結果、レーザダイオードモジュールを更に小型化することが可能である。更に、高性能のペルチェ素子ではなく、一般的な性能のペルチェ素子であればよく、レーザダイオードモジュールの製造コストを低くすることができる。
【0025】
このように、活性化層の温度を約55℃に維持するためには、従来のチップにおいては、チップキャリアの温度を約25℃にコントロールしなければならなかったけれども、本発明のチップにおいては、熱抵抗が小さく、活性化層の温度を約55℃に維持するためには、チップキャリアの温度を約45℃にコントロールすればよいので、レーザダイオードモジュールの温度に関する安定性を容易に高めることができる。更に、チップキャリアの温度を低くコントロールすることによって、活性化層の温度を低く、例えば、約35℃に維持することが容易になる。
上述したように、この発明によると、レーザダイオードチップの熱抵抗を小さくすることによって、レーザダイオードモジュールの放熱効果を著しく向上することができる。
【0026】
熱伝導部材としては、Si、AlN、CuW、ダイヤモンド、Cuなどがあり、レーザダイオードチップの線膨張係数に近いものを使用する。例えば、InP基板に形成されたレーザダイオードチップの場合は、AlNが適している。特に、In−Pが適している。
チップと熱伝導部材の接合は、AuSn、AuGeなどによって行う。
チップキャリアの材質としては、Si、AlN、CuW、ダイヤモンド、Cuなどがあり、レーザダイオードチップの線膨張係数に近いものを使用する。例えば、InP基板に形成されたレーザダイオードチップの場合は、AlNが適している。特に、Cu−Wが適している。
【0027】
更に、この発明のレーザダイオードモジュールの他の態様においては、上述した熱伝導部材が被膜形成手段によって、レーザダイオードチップの両側面に形成されている。即ち、熱伝導部材がダイヤモンドのスパッタリング、または、イオンコーティングによって形成されている。図5は、熱伝導部材が被膜形成手段によって、両側面に形成されているレーザダイオードチップを示す図である。図5に示すように、チップ2の両側面にダイヤモンドのスパッタリング、または、イオンコーティングによって、熱伝導部材9、10が形成されている。
【0028】
図6は、この発明のレーザダイオードチップにおける熱抵抗を説明する図である。図6に示すように、チップ2の両側面にダイヤモンドのスパッタリング、または、イオンコーティングによって、熱伝導部材9、10が形成されているので、矢印で示すように、活性化層3の熱が伝わり、チップの温度差ΔT=T0−T1を小さくすることができる。従って、図4に示した態様と同様に、チップキャリアの温度T1を比較的高い温度にコントロールすることができ、ペルチェ素子の冷却性能に対する要求が低くなる。即ち、ペルチェ素子に要求される冷却性能が低くなるので、ペルチェ素子を大型化する必要は無く、逆に、ペルチェ素子を小型化することができる。その結果、レーザダイオードモジュールを更に小型化することが可能である。更に、高性能のペルチェ素子ではなく、一般的な性能のペルチェ素子であればよく、レーザダイオードモジュールの製造コストを低くすることができる。
【0029】
更に、この発明のレーザダイオードモジュールの他の態様においては、上述した熱伝導部材がレーザダイオードチップの両側に一体的形成されている。例えば、チップの製造に際して、カットする際に所定の幅でカットして製造する。
【0030】
この発明のレーザダイオードモジュールは、例えば光源として使用され、半導体レーザ、第1レンズ、第2レンズ、コア拡大ファイバおよび気密ケースを備えている。半導体レーザは、第1レンズとの間に所定の間隔をおいて、ベース上にチップキャリアを介して設けられている。ベースは、気密ケース内に設けた温度制御用のペルチェ素子の上方に配置されている。ベースは、主要部分が銅製で、第1レンズを設置する部分がステンレス製の複合材である。ベース部材は、チップキャリアを挟んで第1レンズと対向する側にキャリアが固定され、キャリアの半導体レーザと対向する位置にモニタ用のフォトダイオードが設けられている。
【0031】
この発明によると、上述したように、レーザダイオードチップの周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を設けることによって、活性化層の熱が広い角度で、チップキャリアと接触している面に伝わり、活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差を小さくして、レーザダイオードチップの熱抵抗を小さくすることができる。
【0032】
【実施例】
実施例1
この発明のレーザダイオードモジュールを実施例によって、説明する。
Cu−W製の縦7mm×横5mm×厚さ1mmのチップキャリアの上に、縦0.8mm×横0.3mm×厚さ0.1mmのチップ本体の両側面に、チップと同じ大きさのAlN製の熱伝導部材を、AuSnによって接合して、幅方向に拡大したレーザダイオードチップを搭載した。レーザダイオードチップとチップキャリアの間は、ハンダで接合した。
【0033】
上述したチップキャリアの低部には、ペルチェ素子を熱的に接続した。このように調製したレーザダイオードモジュールを使用して、レーザダイオードチップの熱抵抗を調査した。チップキャリアの温度を45℃にコントロールした。チップ本体の活性化層の温度は55℃、ペルチェ素子の底部の温度は95℃であった。その結果、幅方向に拡大されたこの発明のレーザダイオードチップにおける活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差は、10℃であり、熱抵抗が著しく小さくなっていることがわかる。更に、ペルチェ素子の冷却性能、即ち、チップキャリアと接するペルチェ素子の上面と底面との間の温度差は、30℃であり、ペルチェ素子に要求される冷却性能は低いことがわかる。
【0034】
実施例2
Cu−W製の縦7mm×横5mm×厚さ1mmのチップキャリアの上に、縦0.8mm×横0.3mm×厚さ0.1mmのチップ本体の両側面に、ダイヤモンドのスパッタリングによって、厚さ0.1mmの熱伝導部材を形成したレーザダイオードチップを搭載した。レーザダイオードチップとチップキャリアの間は、AuSnで接合した。
【0035】
上述したチップキャリアの底部には、ペルチェ素子を熱的に接続した。このように調製したレーザダイオードモジュールを使用して、レーザダイオードチップの熱抵抗を調査した。チップキャリアの温度を44℃にコントロールした。チップの活性化層の温度は55℃、ペルチェ素子の底部の温度は95℃であった。その結果、被膜形成手段によって熱伝導部材が形成されたこの発明のレーザダイオードチップにおける活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差は、11℃であり、熱抵抗が著しく小さくなっていることがわかる。更に、ペルチェ素子の冷却性能、即ち、チップキャリアと接するペルチェ素子の上面と底面との間の温度差は、51℃であり、ペルチェ素子に要求される冷却性能は低いことがわかる。
【0036】
比較例
Cu−W製の縦7mm×横5mm×厚さ1mmのチップキャリアの上に、縦0.8mm×横0.3mm×厚さ0.1mmのレーザダイオードチップを搭載した。レーザダイオードチップとチップキャリアの間は、ハンダで接合した。
上述したチップキャリアの底部には、ペルチェ素子を熱的に接続した。このように調製したレーザダイオードモジュールを使用して、レーザダイオードチップの熱抵抗を調査した。チップキャリアの温度を25℃にコントロールした。チップの活性化層の温度は55℃、ペルチェ素子の底部の温度は95℃であった。その結果、従来のレーザダイオードチップにおける活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差は、30℃であり、熱抵抗が著しく大きいことがわかる。更に、ペルチェ素子の冷却性能、即ち、チップキャリアと接するペルチェ素子の上面と底面との間の温度差は、70℃であり、ペルチェ素子に要求される冷却性能は極めて高いことがわかる。
【0037】
上述したところから明らかなように、チップ本体の周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を、接合、スパッタリング、または、一体的に設けることによって、活性化層の熱が、チップキャリアと接触している面に、抵抗少なく伝わり、活性化層とチップキャリアと接する面との間の温度差を小さくして、レーザダイオードチップの熱抵抗を小さくすることができる。その結果、ペルチェ素子等の冷却装置に対する要求性能を低くすることが可能になる。
【0038】
【発明の効果】
上述したように、この発明によると、放熱特性に優れ、レーザダイオードチップの機能が充分に発揮できるレーザダイオードモジュールを提供することにある。
即ち、レーザダイオードチップの熱抵抗を低下させることによって、冷却装置としてのペルチェ素子の冷却性能要求を低くして、低コスト、小型化が可能な、放熱特性に優れたレーザダイオードモジュールを提供することができ、産業上利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明のレーザダイオードモジュールのレーザダイオードチップを示す図である。
【図2】図2は、この発明のレーザダイオードチップ1における熱抵抗を説明する図である。
【図3】図3は、チップキャリアに搭載されたこの発明のレーザダイオードチップを示す図である。
【図4】図4は、この発明のレーザダイオードモジュールの部分を示す概略図である。
【図5】図5は、熱伝導部材が被膜形成手段によって、両側面に形成されているレーザダイオードチップを示す図である。
【図6】図6は、この発明のレーザダイオードチップにおける熱抵抗を説明する図である。
【図7】図7は、チップキャリアに搭載されたこの発明のレーザダイオードチップを示す図である。
【図8】図8は、従来のレーザダイオードモジュールの概略断面図を示す。
【図9】図9は、図8におけるレーザダイオードモジュールのA−A’断面図である。
【図10】図10は、従来のレーザダイオードモジュールを示す。
【符号の説明】
1.この発明のレーザダイオードチップ
2.チップ本体
3.活性化層
4.熱伝導部材
5.熱伝導部材
6.熱伝導状態
7.チップキャリア
8.ペルチェ素子
9.被膜形成手段によって形成された熱伝導部材
10.被膜形成手段によって形成された熱伝導部材
Claims (6)
- チップ本体および周辺部に熱的に接続された熱伝導部材を備えたレーザダイオードチップ、前記レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、前記レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュール。
- 前記冷却装置がペルチェ素子からなっている、請求項1に記載のレーザダイオードモジュール。
- 前記熱伝導部材が前記チップ本体の両側に設けられた、請求項1または2に記載のレーザダイオードモジュール。
- 前記熱伝導部材が前記チップ本体の両側に一体的形成されている、請求項3に記載のレーザダイオードモジュール。
- 前記熱伝導部材が被膜形成手段によって、前記チップ本体の両側面に形成されている、請求項3に記載のレーザダイオードモジュール。
- 熱伝導部材によって幅方向に拡大されたレーザダイオードチップ、前記レーザダイオードチップを搭載するレーザダイオードキャリア、および、前記レーザダイオードキャリアと熱的に接続された冷却装置を備えたレーザダイオードモジュール。
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2003
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