JP2005042505A - 木造建築物の梁交換方法及びそれに使用する接合金物 - Google Patents

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龍彦 稲泉
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Abstract

【課題】木造建築の改築において、梁の交換工事を容易にすると共に、構造耐力を十分なものにする。
【解決手段】既存の柱4及び新規な梁1の端部に接合金物2A、2Bを取り付け、新規な梁1を下側から上に持ち上げて柱4の間の所定の位置に取り付け、接合金物2A、2Bによって柱と梁を固定する。既存の天井等に邪魔されることなく梁1の取付工事をおこなうことができるので、施工が容易であると共に、接合金物によって木組みの切込みを設けることなく必要強度を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、木造建築物の改築において、梁を簡単にかつ安全に交換し、構造的に強化された構造物を構築する方法及び方法に使用する接合金物に関する。
木造建築物を改築するにあたり、古い梁を撤去し、新しいものに交換して構造耐力を増大させることがおこなわれている。
従来、軸組工法の木造建築物においては、既存の梁を撤去した後、図6に示すように柱に木組み用の切込みを形成する一方、交換用の梁の端部にも柱に形成した切込みに嵌合する切込みを形成して組み付け、釘で固定するという手法が採られている。
また、木造建築において構造部材の接合に特許文献1(特開2002−146918)に示す金物を使用することがおこなわれている。
特開2002−146918(図面、要約)
新築と異なり、改築においては、天井や床材が既に設置されて存在しており、部材を所定の位置に設置するための空間が限定されている。従来の柱及び梁に切込みを入れる木組みによって部材を接合する梁交換方法では、残存する柱の加工を高い精度で現場でしなければならず、熟練した作業員を必要とし、天井や壁が残っている状態で所定の位置に組み付けることは重労働であり、また、切込みの精度が低く木組みの嵌め込みがうまくいかない場合は、現場での切込みの再調整を必要とし、ハンマー等で押し込んで所定の位置に設置していた。
また、構造的には、木組みと釘による部材の固定であるので接合部の強度が十分とはいえない場合があった。
従来の柱と梁を接合する接合金物は、床や天井壁などの軸組構造を構成する部材以外が取り付けてない状態での使用を想定しているため、改築時のような空間的に余裕がない状態での取り付けが非常に難しく、時には、既存の天井や床、更には壁を取り壊さないと取り付けができないということがあった。
本発明は、木組みのための木材加工を必要とせず、また、新規の梁を取り付ける際に空間的余裕を必要とせず、かつ、簡単に組み付けができるようにするものである。
木造建築物において、天井等の他の部材を残した状態で梁を撤去し、上端開放のスリットを有する接合金物を新規の梁部材端部に形成した溝に取り付ける。一方、梁を接合する柱には、梁に設置した接合金物のスリットに挿入される接合金物を固定する。
梁を下側から上方に持ち上げ、柱に固定した接合金物を梁に設けた接合金物のスリットの上端開放部から挿入嵌合し、所定の位置に仮置きし、両接合金物を連結する固定具を装着して梁を柱に取り付けて梁を交換するものである。
また、端部に上端開放のスリットを有し側面に連結用穴をする接合金物と、スリットに挿入される板体であって、前記接合金物の連結用穴に対応する位置に連結用穴を有し、側端面に固定バーを突出させた固定円板が設けてある接合金物とを梁と柱の接合に使用することにより、梁の交換を容易におこなえるようにすると共に、十分な接合強度が得られるようにした。
接合金物の一例を示す。図2は正面図、図3は一方の接合金物の斜視図、図4は一方の接合金物の側面図である。
接合金物2Aは、梁1の端部に溝を形成して嵌め込んで固定するもので、鋼板製で平面コの字形であり、側端面に上端開放のスリット3が形成してある。スリット3の上端開放部は、上端の幅が広くしてあり、テーパで徐々に幅を絞り、一定幅のスリットとしてある。
接合金物2Aの側面には梁1に固定するための固定孔20と、柱4に固定した一方の接合金物2Bの両者を連結する固定ピンを挿入する連結孔21が形成してある。図5に、接合金物2Aを梁端部に形成した溝に嵌め込んだ状態を示す。
柱4に取り付ける接合金物2Bは、板状の本体22の一側面に丸棒状の固定バー24を有する円形の固定板25が溶接固定してあり、固定板25にはネジ孔26が設けてある。本体22にはドリフトピン5を挿通するための複数の連結孔27が、接合金物2Aの連結孔21の位置に対応するよう形成してある。上下端の連結孔27は、本体22の側端縁まで続く一端開放の長孔に形成してあり、上部の長孔の上端部の幅は孔の径より大きくしてある。
以下に梁交換の施工手順を説明する。
既存の梁を切断等で撤去し、梁1を取り付ける柱4の端面に接合金物2Bの固定バー24の配列間隔に合わせて穴をドリルで形成し、固定バー24を穴に挿入し、固定板25のネジ孔26を利用してネジで固定する。
一方、新たに設置する交換用の梁1の端部には溝を形成し、梁の端部側面には接合金物2Aの固定孔20に一致する位置にドリルで穴を形成する。接合金物2Aをスリット3の開放側を上側にして溝に嵌め込み、固定孔20にピンを挿入して接合金物2Aを梁1の端部に装着する。
梁1を設置現場に運搬し、図1に示す矢印のように梁1を上に持ち上げる。梁端部の接合金物2Aのスリット3の上端が開放してあるので、接合金物2Bの本体22がスリット3内に差し込まれる。接合金物2A、2Bの連結孔21、27が一致していることを確認し、一番下の連結孔にドリフトピン5を挿入し、梁1を柱4に固定する。残りの孔21にもドリフトピン5を差し込んで固定して交換作業を終了する。
本発明の改築における梁交換方法は、梁部材の端部及び柱に接合金物を設け、梁を下側から持ち上げて所定の位置に設置するものであるので、床、天井壁等の既存部材を撤去する必要がなく、作業空間が狭隘な場合でも効率よく交換作業をおこなうことができる。
木組みのための木材加工を必要とせず、正確な位置に接合金物を取り付けるだけでよいので、従来の木組みによる交換方法に比較して熟練を必要せず、非熟練工であってもよく、安全かつ簡単に短時間で工事することができるのでコストを低減することができる。
接合金物を用いているので、木組み以上の強度を期待でき、また、バラツキが少ない。
交換梁の取り付けを説明する斜視図。 接合金物の正面図。 接合金物の斜視図。 接合金物の側面図。 接合状態の断面図。 木組みの一例の斜視図。
符号の説明
1 梁
2A、2B 接合金物
20 固定孔
21 連結孔
22 本体
24 固定バー
25 固定板
27 連結孔
3 スリット
4 柱
5 ドリフトピン

Claims (2)

  1. 木造建築物の改築において、梁を撤去し、上端開放のスリットを有する接合金物を新規の梁部材端部に形成した溝に取り付けると共に、柱には梁に設置した接合金物のスリットに挿入される接合金物を固定し、新規の梁を下側から持ち上げて柱に固定した接合金物をスリットに挿入嵌合し、両接合金物を連結する固定具を装着して梁と柱を連結して取り付ける木造建築物の梁交換方法。
  2. 端部に上端開放のスリットを有し側面に連結用穴をする接合金物と、スリットに挿入される板体であって、前記接合金物の連結用穴に対応する位置に連結用穴を有し、側端面に固定バーを突出させた固定円板が設けてある接合金物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008133650A (ja) * 2006-11-28 2008-06-12 Sumitomo Forestry Co Ltd 住宅建物の空間リフォーム工法及び空間リフォーム構造
CN109506220A (zh) * 2018-11-19 2019-03-22 苏州美瑞德建筑装饰有限公司 凹凸造型艺术墙面云石灯光片嵌入安装结构

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