以下に、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両診断システムを概略的に示した概略ブロック図である。この車両診断システムは、車両10と、同車両10と通信可能なセンター20と、車両を販売および修理する販売店に設置された車両販売店コンピュータ30と、ユーザが使用可能なパーソナルコンピュータ40および携帯情報端末装置50とを備えている。車両10および携帯情報端末装置50は、ネットワーク60(例えば、インターネットなど)に接続された中継局70と無線交信可能に構成されている。センター20、車両販売店コンピュータ30およびパーソナルコンピュータ40はネットワーク60に接続されている。
車両10は、図2に示すように、ユーザに対して設定された目的地までの経路を探索するとともに、同探索した経路を表示または音声によって案内するナビゲーション装置を統括的に制御するナビゲーションECU11を備えている。このナビゲーションECU11は、CPU、ROM、RAMなどを主要構成部品とするコンピュータであり、同ナビゲーションECU11には、入力装置12、表示装置13および通信装置14が接続されている。
入力装置12は、表示装置13の近傍に設けられた操作スイッチ、表示装置13内に組み込まれて表示パネルのタッチ操作を検出するパネルタッチスイッチなどからなり、ユーザの指示を入力するものである。そして、入力装置12は、ユーザによって入力された指示に対応した情報を出力する。表示装置13は、液晶表示器などからなり、供給された各種情報に基づいて、文字、図形などを表示パネル上に表示するものである。
通信装置14は、車両10に対して、取り外し不能に取り付けられており、中継局70を介して、センター20との交信を可能とするものである。そして、通信装置14には、同装置14の製造時に、同装置14を識別するための識別情報(以下、MAC(Media Access Control)アドレス情報という)が付与されるとともに、車両10に割り当てられる車両ID情報(例えば、製造時に付された車台番号を表す車台番号情報や陸運局から付与された登録番号など)が予め記憶されている。また、センター20と契約することにより、センター20との通信に利用されるユーザ氏名、ユーザID情報およびユーザパスワード(以下、これらを併せてユーザ特定情報という)と、メールアドレス情報とが予め記憶されている。また、通信装置14には、中継局70と無線交信するアンテナ14aが接続されている。
また、ナビゲーションECU11には、車両10内に構築されたネットワーク(例えば、LAN(Local Area Network)など)を介して、ゲートウェイECU15が通信可能に接続されている。ゲートウェイECU15は、CPU、ROM、RAMなどを主要構成部品とするコンピュータである。そして、ゲートウェイECU15は、車両10内に構築されたネットワークを介して、エンジンECU16、メータECU17、ドアECU18、ボデーECU19などと互いに通信可能に接続されている。これら各ECU16,17,18,19も、CPU、ROM、RAMを主要構成部品とするコンピュータである。なお、車両10には、上記各ECU16,17,18,19以外にも多数のECUが搭載されているが、本明細書においては、上記各ECU16,17,18,19を例示して説明する。
ゲートウェイECU15は、各ECU16,17,18,19間で共有される各種データや各ECU16,17,18,19の連携を制御する制御信号の流れを統括的に制御する。また、ゲートウェイECU15は、各ECU18,19が作動を制御する各装置に異常が発生したときに出力される警告灯の点灯要求を表す警告灯点灯情報をメータECU17に供給するとともに、各ECU16,17,18,19に発生した異常の詳細な事項を表す故障情報(ダイアグノーシス情報:以下、本明細書において、単にダイアグ情報ともいう)の流れも統括的に制御する。
エンジンECU16は、図示しないエンジンおよび補機類に取り付けられた各種センサー(例えば、エンジン回転数センサーやバッテリ電圧センサーなど)が検出したデータおよび信号に基づいて、エンジンの作動を制御する。メータECU17は、各種センサー(例えば、車速センサーや水温センサーなど)が検出したデータおよび信号に基づいて、図示しないメータ装置に各種情報の表示を制御する。また、メータECU17は、エンジンECU16から出力された警告灯情報およびゲートウェイECU15を介して、各ECU18,19から出力された警告灯点灯情報に基づいて、複数の警告灯17aを点灯制御し、ユーザに異常を通知する。
ドアECU18は、図示しないドアロック装置に取り付けられて各種センサー(例えば、リモコン開閉検波センサーやドアロックセンサーなど)が検出したデータおよび信号に基づいて、ドアロック装置の作動を制御する。ボデーECU19は、図示しない車体(ボデー)に取り付けられた各種スイッチ(例えば、ライトコントロールスイッチやドアカーテシランプスイッチなど)から入力された信号に基づいて、ランプの点灯消灯を制御する。
なお、上記各ECU15,16,17,18,19の制御は多岐に渡り、これらの制御に限られるものではない。また、上記各ECU16,17,18,19の具体的な処理プログラムおよび具体的な制御方法に関しては、本発明に直接関係しないため、その詳細な説明は省略する。
センター20は、図3に示すように、互いに通信可能に接続された制御装置21、記憶装置22および通信装置23を備えている。制御装置21は、CPU、ROMおよびRAMなどを主要構成部品とするコンピュータから構成されており、センター20の動作を統括的に制御する。記憶装置22は、ハードディスクなどの記憶媒体および同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、各種プログラムおよび各種データを記憶している。通信装置23は、ネットワーク60に有線接続されて、車両販売店コンピュータ30、ユーザが利用可能なパーソナルコンピュータ40と有線交信するとともに、中継局70を介して、車両10および携帯情報端末装置50と無線交信を可能とするものである。
また、センター20には、ユーザ情報データベース24、異常対処データベース25、販売店情報データベース26および履歴情報データベース27が構築されている。これら各データベース24,25,26,27は、センター20内に構築されたネットワーク(例えば、LANなど)に接続されており、制御装置21からアクセス可能とされている。
ユーザ情報データベース24は、車両10の車両ID情報、車両10の通信装置14に付されたMACアドレス情報およびメールアドレス情報と、車両10が販売された販売店を表す販売店特定情報と、ユーザ特定情報とを互いに関連付けて記憶している。また、ユーザ情報データベース24は、パーソナルコンピュータ40や携帯情報端末装置50からのアクセスに備えて、これら装置40,50のMACアドレス情報およびこれら装置40,50がセンター20との通信に使用するメールアドレス情報と、ユーザ特定情報とを互いに関連付けて記憶している。
異常対処データベース25は、後述するように、車両10から送信される警告灯点灯情報によって表される異常内容ごとに、車両10のユーザの通知する対処方法文のベース(以下、デフォルト文という)を記憶している。この対処方法文としては、例えば、システムの異常を表す警告灯点灯情報に対して、「システム系統に異常が発生している恐れがあります。ご不便をおかけしますが、安全にお乗りいただくための点検をさせていただきますのでご入庫ください。」などである。
販売店情報データベース26は、各販売店の営業日や営業時間など(以下、これら各販売店の情報を販売店情報という)を、販売店ごとに予め記憶している。この販売店情報は、車両販売店コンピュータ30を利用して、センター20にアクセスして更新可能とされている。また、販売店情報データベース26には、後述する異常通知をユーザに送信する時間を予め記憶することができる。ここで、センター20は、この販売店情報データベース26に記憶した情報に基づいて、車両10のユーザに対して、販売店の営業日や営業時間に対応した各種サービスを提示することができる。このサービスの提示は、例えば、車両10の入庫サービスであれば、販売店の営業日や営業時間に基づいて、入庫可能な販売店へ電話をかけるボタンを表示装置13に表示するための情報(例えば、電子メールなど)を送信して、提示するようになっている。
履歴情報データベース27は、後述するように、車両10から送信された警告灯の点灯履歴および同点灯した警告灯に対応する対処内容を、車両ID情報およびユーザ特定情報と関連付けて記憶している。
車両販売店コンピュータ30は、CPU、ROM、RAMなどを主要構成部品としており、入力装置、表示装置、制御装置、記憶装置および通信装置を備えている。この車両販売店コンピュータ30は、販売店の担当者によって操作されてセンター20にアクセス可能であり、センター20に各種情報(異常対処情報や販売店情報など)を送信したり、センター20から各種情報(警告灯点灯情報や故障情報など)を受信したりする。また、販売店の担当者は、販売店コンピュータ30を利用して、センター20にアクセスすることにより、センター20の全情報(例えば、履歴情報データベース26など)を検索して、取得することが可能である。ここで、車両販売店コンピュータ30の記憶装置には、同販売店で販売された車両の車両ID情報と同車両のユーザの氏名などの顧客情報とが互いに関連付けて記憶されている。
ユーザが使用可能なパーソナルコンピュータ40も、CPU、ROM、RAMなどを主要構成部品としており、入力装置、表示装置、制御装置、記憶装置および通信装置を備えている。このパーソナルコンピュータ40は、ユーザによって操作されてセンター20にアクセス可能であり、センター20の履歴情報データベース27から警告灯情報およびその対処方法を取得する。
携帯情報端末装置50もCPU、ROM、RAMなどを主要構成部品としており、入力装置、表示装置、制御装置、記憶装置および通信装置を備えている。そして、携帯情報端末装置50は、ユーザの携帯を可能とするため、コンパクトに構成されている。また、この携帯情報端末装置50の通信装置には、中継局70との無線交信を可能とするアンテナ54aも設けられている。また、この携帯情報端末装置50は、ユーザによって操作されてセンター20にアクセス可能であり、センター20の履歴情報データベース27から警告灯情報およびその対処方法を取得する。ここで、この携帯情報端末装置50としては、携帯電話、通信機能を備えた携帯パーソナルコンピュータや、携帯電子手帳(パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA))などを採用することができる。
このように構成した車両診断システムにおいて、車両10の通信装置14、センター20、車両販売店コンピュータ30、パーソナルコンピュータ40および携帯情報端末装置50間の交信は、アンテナ14a,54aおよび中継局70を用いて無線で行われたり、ネットワーク60を介して有線で行われるものであるが、これらの交信はいずれも通常の方法で行われて特徴を有するものではない。したがって、以降の説明において、受信、送信などと単にいう場合には、これらに交信方法の適当な方法を採用しているものとする。
次に、上記のように構成した車両診断システムの動作について、以下に詳細に説明する。車両10のユーザによって、図示しないイグニッションスイッチがオン状態とされると、車両10に搭載された各ECU11,15,16,17,18,19がそれぞれ各装置の作動を制御する。そして、ナビゲーションECU11、ゲートウェイECU15およびメータECU17は、それぞれ協働して、図4に示す異常情報送信通知プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行する。この異常情報送信通知プログラムは、ステップS10にて実行が開始され、ステップS11にて、メータECU17は、車両10に異常が発生しているか否かを判定する。この判定について、エンジンに異常が発生した場合を例示して詳細に説明する。
エンジンECU16は、エンジンまたは補機類に取り付けられた各種センサーからの出力信号に基づいて、エンジンの作動状態を制御する。エンジンが作動している状態にて、例えば、回転数センサーから出力されたエンジン回転数を表す信号が異常回転数である場合には、エンジンECU16は、メータECU17に対して、エンジン異常を表す警告灯を点灯するように警告灯点灯情報を出力する。なお、ドアECU18およびボデーECU19は、ゲートウェイECU15を介して、警告灯点灯情報をメータECU17に出力する。
このように、メータECU17は、エンジンECU16が出力した警告灯点灯情報を取得することにより、車両10に異常が発生したことを認識する。これにより、メータECU17は、警告灯点灯情報を取得すれば、車両10に異常が発生しているため、ステップS11にて「Yes」と判定して、ステップS12に進む。一方、メータECU17は、警告灯点灯情報を取得していなければ、車両10に異常が発生していないため、ステップS11にて「No」と判定して、ステップS24に進み、異常情報送信通知プログラムの実行を一旦終了する。
ステップS12においては、メータECU17は、前記ステップS11にて取得した警告灯点灯情報に対応した警告灯17aを点灯制御する。これにより、ユーザは、車両10に異常が発生したことを認知することができる。
この警告灯の点灯に関しては、以下のようにすることも可能である。すなわち、メータECU17は、各ECU16,18,19から出力された警告灯の点灯に関する情報(ビットデータ)を取得して、RAMに記憶する。そして、メータECU17は、RAMに記憶したビットデータと、改めて各ECU16,18,19から出力されたビットデータとを比較して、ビット内容に変化が生じていれば、該当する警告灯を点灯する。これによっても、極めて容易に警告灯を点灯させることができる。
また、メータECU17は、ゲートウェイECU15を介して、取得した警告灯点灯情報をナビゲーションECU11に対して供給する。ナビゲーションECU11は、供給された警告灯点灯情報を取得し、同取得した警告灯点灯情報を表示装置13に供給する。表示装置13は、供給された警告灯情報を取得すると、図9(a)に示すように、液晶画面上に車両10に異常が発生した旨のメッセージを表示する。そして、表示装置13は、メッセージ表示後、所定時間経過すると、図9(b)に示すように、メッセージを消去するとともに、液晶画面上にエンジンに異常が発生したことを表す警告アイコン13aを表示して、ユーザに異常が発生したことを通知し続ける。
前記ステップS12の警告灯点灯処理後、ステップS13にて、ナビゲーションECU11は、通信装置14を利用して、センター20に対し、警告灯点灯情報、車両ID情報およびユーザID情報を送信する。具体的に説明すると、ナビゲーションECU11は、通信装置14に対して、前記ステップS12にて取得した警告灯点灯情報を供給するとともに、同警告灯点灯情報とともに、車両ID情報およびユーザ特定情報を送信するように指示する。通信装置14は、警告灯点灯情報を取得するとともに、センター20に対して、警告灯点灯情報、車両ID情報およびユーザ特定情報を送信する。このとき、通信装置14は、自身に付与されたMACアドレス情報も併せてセンター20に送信する。
センター20においては、制御装置21が、ステップC10にて、前記ステップS13の送信処理によって送信された警告灯点灯情報、車両ID情報およびユーザ特定情報並びに通信装置14のMACアドレス情報を受信し、これら各情報を図示しないRAMに一時的に記憶して、ステップC11に進む。
ステップC11においては、制御装置21は、車両販売店コンピュータ30に対して、前記ステップC10にてRAMに一時的に記憶した警告灯点灯情報を送信する。この送信処理について詳細に説明する。制御装置21は、前記ステップC10にてRAMに一時的に記憶した車両ID情報およびユーザ特定情報を取得するとともに、同取得した各情報に基づいて、ユーザ情報データベース24を検索する。そして、制御装置21は、車両ID情報およびユーザ特定情報に関連付けて記憶されている販売店情報を取得する。このように、制御装置21は、販売店情報を取得すると、警告灯点灯情報および車両ID情報を、同販売店情報によって表される販売店(詳しくは、車両販売店コンピュータ30)に対し、通信装置23およびネットワーク60を介して送信する。
販売店においては、車両販売店コンピュータ30が、ステップD10において、前記ステップC11の送信処理によってセンター20から送信された警告灯点灯情報および車両ID情報を受信するとともに、図示しないRAMに一時的に記憶する。ここで、車両販売店コンピュータ30は、センター20から警告灯点灯情報および車両ID情報を受信すると、図示しない表示装置の表示画面上にこれらの情報を受信した旨のメッセージ、例えば、「警告灯点灯情報を受信しました。」などを表示し、販売店の担当者または技術者(以下、担当者等という)に対して、通知するようになっている。このように、メッセージが表示されると、担当者等は、車両販売店コンピュータ30を操作して、点灯した警告灯によって表される異常内容に対して、車両10に送信すべき異常対処情報を決定する。
この異常対処情報について説明しておく。異常対処情報は、販売店ごとに作成されるものである。すなわち、販売店の担当者等は、車両販売店コンピュータ30を操作して、予めセンター20の異常対処データベース25にアクセスする。そして、異常対処データベース25に記憶されているデフォルト文を取得する。担当者等は、センター20から取得したデフォルト文に対して、必要事項(例えば、あいさつ文など)を追加して、販売店独自の異常対処情報を作成しておく。具体的に、上述したデフォルト文を用いて説明すると、デフォルト文「システム系統に異常が発生している恐れがあります。ご不便をおかけしますが、安全にお乗りいただくための点検をさせていただきますのでご入庫ください。」に対して、必要事項として、例えば、「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」などのあいさつ文を加えて異常対処情報を作成し、記憶装置に記憶しておく。なお、この異常対処情報は、異常内容ごとに作成されることは言うまでもない。
そして、担当者等は、ステップD10にて、警告灯点灯情報を受信すると、同警告灯点灯情報に対して、記憶装置に記憶している異常対処情報のうち、最適な異常対処情報を選択して決定する。また、販売店の担当者等は、車両販売店コンピュータ30の記憶装置に記憶している顧客情報を参照することにより、後述するセンター20の「異常通知作成ルーチン」処理によって作成される異常通知に付されるユーザの氏名の取り扱いを選択することができる。
すなわち、車両10に異常通知が送信された際に、車両10が走行中であり、音声出力によって異常通知が読み上げられる場合がある。この場合、ユーザの氏名の読みが一義的に定まらない(種々の読みが存在する)ことがあり、本来と違った読みによって音声出力することにより、ユーザに不快感を与える可能性がある。このため、担当者等は、異常対処情報を決定する際に、送信された異常通知に付されたユーザの氏名を読み上げるか否かを選択する。この担当者等による選択を表す選択情報は、決定した異常対処情報に付加される。なお、担当者等は、異常対処情報に対して、異常通知が送信される時間を指定することもできる。これにより、センター20は、指定された時間に異常通知を送信することも可能である。
このように、担当者等によって、最適な異常対処情報が決定されると、車両販売店コンピュータ30は、ステップD11にて、ネットワーク60を介して決定された異常対処情報をセンター20に送信する。
センター20においては、制御装置21が、ステップC12にて、前記ステップD11の送信処理によって車両販売店コンピュータ30から送信された異常対処情報を受信し、図示しないRAMに一時的に記憶して、ステップC13に進む。ステップC13においては、制御装置21は、前記ステップC10にて受信した警告灯点灯情報、前記ステップC12にて受信した異常対処情報および警告灯点灯情報を受信した日時とを互いに関連付けて、履歴情報データベース27に記憶する。
前記ステップC13の記憶処理後、制御装置21は、ステップC14に進み、「異常通知作成ルーチン」を実行する。この「異常通知作成ルーチン」は、図5に示すように、その実行がステップC100にて開始される。そして、ステップC101にて、制御装置21は、同一警告灯の点灯が初回か否かを判定する。すなわち、制御装置21は、前記ステップC10にて受信した警告灯点灯情報を利用して、履歴情報データベース27に記憶されている警告灯点灯情報を検索する。この検索により、同一の警告灯点灯情報が履歴情報データベース27に記憶されていなければ警告灯の点灯が初回であるため、制御装置21は「Yes」と判定して、ステップC103に進む。
一方、履歴情報データベース27の検索により、同一の警告灯点灯情報が記憶されていれば警告灯の点灯が初回でないため、制御装置21は「No」と判定して、ステップC102に進む。ステップC102においては、制御装置21は、今回受信した警告灯点灯情報が、前回警告灯点灯情報を受信してから所定期間(例えば、7日)経過しているか否かを判定する。具体的に説明すると、制御装置21は、今回受信した警告灯点灯情報の受信日時と、履歴情報データベース27に記憶されている前回受信した警告灯点灯情報の受信日時とを比較し、所定期間が経過しているか否かを判定する。
この判定により、所定期間が経過していれば、制御装置21は「Yes」と判定して、ステップC103に進む。一方、所定期間が経過していなければ、制御装置21は「No」と判定して、ステップC107に進み、「異常通知作成ルーチン」の実行を終了する。
このように、警告灯点灯情報の受信間隔が所定期間経過しているか否かを判定することにより、同一内容の異常通知が、車両10に対して、頻繁に送信されることを防止することができる。これにより、ユーザは、同一内容の異常通知を頻繁に受信することがなくなり、ユーザの混乱を防止することができる。
ステップC103においては、制御装置21は、車両10に送信する異常通知(電子メール)を作成する。この異常通知の作成を具体的に説明する。制御装置21は、予め設定されている異常通知フォーマット形式(例えば、HTML形式やXML形式など)を利用して、所定形式の異常通知を作成する。すなわち、制御装置21は、RAMに一時的に記憶しているユーザ特定情報を取得するとともに、同ユーザ特定情報を利用して、ユーザ情報データベース24を検索する。そして、ユーザ情報データベース24に記憶されているユーザ特定情報のうち、RAMに一時的に記憶したユーザ特定情報と一致するユーザ特定情報を検索して抽出し、同抽出したユーザ特定情報に関連付けられて記憶されているメールアドレス情報を取得する。
次に、制御装置21は、前記ステップC12にて車両販売店コンピュータ30から受信してRAMに一時的に記憶した異常対処情報を取得する。そして、制御装置21は、異常通知フォーマット形式にユーザ特定情報に含まれているユーザの氏名を表す情報と、異常対処情報とを組み込む。これにより、異常通知が車両10に送信されて表示されたときに、異常通知にユーザの氏名を表示することができる。このように、制御装置21は、異常通知を作成すると、ステップC104に進む。
ここで、車両10から送信される警告灯点灯情報は、一つに限定されることはなく、それぞれ異なる警告灯点灯情報が送信される場合がある。この場合には、制御装置21は、警告灯点灯情報を予め分類(例えば、メンテナンス系の警告灯点灯情報と、システム異常系の警告灯点灯情報など)しておく。そして、以下の規則に従って、複数の警告灯点灯情報に対する異常通知を一つにまとめて作成する。
すなわち、メンテナンス系の警告灯点灯情報を複数受信した場合には、これら警告灯点灯情報をまとめてメンテナンスウォーニング情報とし、このメンテナンスウォーニング情報に対する異常通知を自動的に作成する。このとき、制御装置21は、車両販売店コンピュータ30からそれぞれの警告灯点灯情報に対する異常対処情報を受信しているため、これらの異常対処情報をすべて記載した異常通知を作成する。
また、システム異常系の警告灯点灯情報を複数受信した場合には、これら警告灯点灯情報をまとめてシステムウォーニング情報とし、このシステムウォーニング情報に対する異常通知を自動的に作成する。この場合も、制御装置21は、車両販売店コンピュータ30からそれぞれの警告灯点灯情報に対する異常対処情報を受信しているため、これらの異常対処情報をすべて記載した異常通知を作成する。
一方、メンテナンス系の警告灯点灯情報とシステム異常系の警告灯点灯情報とをそれぞれ受信した場合には、制御装置21は、これらの警告灯点灯情報をシステムウォーニング情報としてまとめる。これは、システム異常系の警告灯点灯情報の方が、車両の走行に与える影響が大きいからである。そして、制御装置21は、このシステムウォーニング情報に対する異常通知を自動的に作成する。このとき、制御装置21は、販売店の車両販売店コンピュータ30からシステム異常系の警告灯点灯情報に対する異常対処情報を受信している。このため、これらの異常対処情報をすべて記載するとともに、メンテナンス系の警告灯点灯情報に基づいて異常が発生している状況を記載して異常通知を作成する。
このように、複数の警告灯点灯情報をまとめて、異常通知を一つとすることにより、車両10に送信する異常通知の回数を低減することができる。これにより、通信コストを低減することができるとともに、ユーザの異常通知に対する混乱を防止することができる。
次に、ステップC104において、制御装置21は、前記ステップC103にて作成した異常通知に組み込まれたユーザの氏名を読み上げ設定とするか否かを判定する。すなわち、制御装置21は、販売店の担当者等によって異常対処情報に付加された、ユーザの氏名を読み上げるか否かの選択情報を検出する。そして、制御装置21は、検出した選択情報に基づいて、ユーザの氏名を読み上げるように選択されていれば、「Yes」と判定してステップC105に進む。
ステップC105においては、制御装置21は、前記ステップC103にて作成した異常通知に組み込まれたユーザの氏名を読み上げるように設定する。ここで、本実施形態において、異常通知は、XML形式やHTML形式にて作成されているため、そのまま車両10に送信されて音声出力されると、ユーザの氏名を読み上げることが可能である。したがって、異常通知がこのような形式で作成された場合には、ステップS105の設定処理は、詳しくは、異常通知の設定を変更しない処理とすることもできる。そして、ステップC105の処理後、ステップC107に進み、「異常通知作成ルーチン」の実行を終了する。
一方、ステップC104にて、制御装置21は、検出した選択情報に基づいて、ユーザの氏名を読み上げないように選択されていれば、「No」と判定してステップC106に進む。ステップC106においては、制御装置21は、前記ステップC103にて作成した異常通知に組み込まれたユーザの氏名を読み上げないように設定する。この設定について説明すると、異常通知は、XML形式やHTML形式にて作成されているため、ユーザの氏名に該当する記載部分に所定の命令(例えば、¥¥ユーザ氏名¥¥など)を適用することにより、ユーザの氏名を読み上げないように設定する。そして、ステップC106の設定処理後、ステップC107に進み、「異常通知作成ルーチン」の実行を終了する。
ふたたび、図4のフローチャートに戻り、前記ステップC14の「異常通知作成ルーチン」の実行後、ステップC15に進む。ステップC15においては、制御装置21は、前記ステップC14にて作成された異常通知を車両10に送信する。すなわち、制御装置21は、通信装置23とネットワーク60に接続された中継局70を介して、車両10に異常通知を送信する。この送信においては、制御装置21は、販売店情報データベース26に記憶されて設定されている異常通知を送信する時間を確認して送信することも可能である。この場合、制御装置21は、設定されている送信時間に従って異常通知を車両10に送信する。これにより、例えば、ユーザが予め販売店に異常通知送信時間を指定しておくと、指定した時間に異常通知を受信することができるため、ユーザは、好適に異常通知を受信することができる。
車両10においては、通信装置14が、ステップS14にて、前記ステップC15の送信処理により送信された異常通知を受信し、同受信した異常通知をナビゲーションECU11に供給する。ナビゲーションECU11は、通信装置14から異常通知を取得すると、ステップS15にて、取得した異常通知をユーザに対して報知する。具体的に説明すると、ナビゲーションECU11は、取得した異常通知を表示装置13に供給するとともに、同異常通知を液晶表示器に表示するように指示する。表示装置13は、同指示に従い、図10(a)に示すように、液晶表示器上に異常通知を取得した旨を表示する。そして、ユーザのタッチ操作によって、異常通知の確認が指示されると、表示装置13は、図10(b)に示すように、ナビゲーションECU11から供給された異常通知を表示する。これにより、ユーザは、車両10に発生した異常の内容とその対処方法を確認することができる。この場合、表示された異常通知には、ユーザの氏名が表示される。
ところで、表示装置13のタッチ操作は、車両10が停車しているときにのみ可能となる。したがって、車両10が走行中にユーザが液晶表示器をタッチ操作した場合には、図10(c)に示すように、走行中は操作できない旨のメッセージが表示される。このように、車両10が走行中である場合には、ユーザは、図示しない音声認識装置を利用して、異常通知の内容を音声出力するように指示することができる。これによっても、ユーザは、異常通知の内容を確認することができる。この場合、異常通知に組み込まれたユーザの氏名を読み上げるように設定されていれば、ユーザの氏名は音声出力される。一方、ユーザの氏名を読み上げないように設定されていれば、ユーザの氏名は音声出力されない。
前記ステップS15の報知処理後、ステップS16にて、ナビゲーションECU11は、図10(b)に示した予約ボタン13bがユーザによってタッチ操作されたか否かを判定する。なお、この場合も、車両10が停車中でなければ、ユーザは、予約ボタン13bをタッチ操作できないことはいうまでもない。この予約ボタン13bは、車両10の発生した異常を修理するために、車両10を販売店に入庫する日時を予約するためのボタンである。そして、ナビゲーションECU11は、予約ボタン13bがタッチ操作されると、「Yes」と判定して、ステップS17に進む。
一方、前記ステップS16にて、ナビゲーションECU11は、ユーザによって所定時間(例えば、30秒)内に予約ボタン13bがタッチ操作されなければ、「No」と判定して、ステップS24に進み、異常情報送信通知プログラムの実行を一旦終了する。
ところで、このように異常情報送信通知プログラムが終了した場合には、後述する故障情報(ダイアグ情報)がセンター20および販売店に送信されない。このため、例えば、センター20が随時送信する広告などに設けた操作ボタン(例えば、”戻る”ボタンや”進む”ボタンなど)に故障情報(ダイアグ情報)を送信するための命令(コマンド)を組み込むことにより、ユーザが前記操作ボタンをタッチ操作したことに起因して、後述する異常情報送信プログラムのステップS20以降の処理を実行することも可能である。
ただし、操作ボタンにコマンドを組み込んで、故障情報(ダイアグ情報)を送信する場合には、無駄な通信を抑制するために、以下の条件を満たすことが必要である。すなわち、a.センター20は、今回の異常通知を前回の異常通知から例えば4週間以内に送信しており、かつ、今回の異常通知の送信前、例えば2週間以内に今回の異常通知と同一の警告灯点灯情報を車両10から受信していること、b.センター20は、前記警告灯点灯情報に関する故障情報(ダイアグ情報)を受信してから、例えば4週間以上経過していることを満たすことが必要である。
条件a.は、同一の警告灯点灯情報が頻繁にセンター20に送信されていて、センター20が繰り返し(ただし、上述したように7日以上の間隔が確保された状態で)異常通知を送信している状態を特定するための条件である。また、条件b.は、センター20が同一の警告灯点灯情報に関する故障情報(ダイアグ情報)を過去に受信しているが、所定期間が経過することにより、故障情報(ダイアグ情報)が古くなっている状態を特定するための条件である。この場合、条件b.により、車両10は、故障情報(ダイアグ情報)がセンター20に送信してから所定期間(4週間)を経過する前であれば、故障情報(ダイアグ情報)をセンター20に送信しない。
そして、上記条件a.および条件b.が成立すると、センター20の制御装置21は、広告などにコマンドを組み込んで車両10に送信する。そして、ナビゲーションECU11およびゲートウェイECU15は、操作ボタンがユーザによってタッチ操作されると後述するステップS20以降の処理を実行する。これにより、ユーザによって予約ボタン12bがタッチ操作されない場合であっても、センター20および販売店は、修理に必要な故障情報(ダイアグ情報)を取得することができる。なお、この場合においても、ユーザのタッチ操作は、車両10が停車中でなければできないことはいうまでもない。
ステップS17においては、ナビゲーションECU11は、予約ボタン13bがタッチ操作されたことを表す予約情報を通信装置14に供給するとともに、同予約情報をセンター20に送信するように指示する。通信装置14は、同指示に従い、予約情報をセンター20に送信する。なお、この予約情報の送信においては、通信装置14は、自身のMACアドレス情報を予約情報に併せて送信する。
センター20においては、制御装置21が、ステップC16にて、前記ステップS17の送信処理によって送信された予約情報およびMACアドレス情報を受信し、これら情報をRAMに一時的に記憶する。そして、制御装置21は、RAMに一時的に記憶したMACアドレス情報を利用して、ユーザ情報データベース24に記憶されたMACアドレス情報のうち、RAMに記憶したMACアドレス情報と一致するMACアドレス情報を検索して抽出する。そして、抽出したMACアドレス情報に関連付けて記憶されている販売店特定情報を取得する。
次に、制御装置21は、取得した販売店特定情報を利用して、販売店情報データベース26を検索し、販売店特定情報によって特定された販売店の販売店情報を取得する。これにより、制御装置21は、販売店の営業日や営業時間を確認して予約情報を車両販売店コンピュータ30に送信する。
ここで、制御装置21は、販売店の営業日や営業時間を確認することにより、予約ができない場合には、例えば、車両10のナビゲーションECU11から車両10の現在地情報を受信し、同現在地情報により表される現在地の周辺にある販売店をユーザに提示することも可能である。また、制御装置21は、販売店情報データベース26を検索して、予約可能な販売店情報を車両10に送信して、ユーザに提示したりすることも可能である。
車両販売店コンピュータ30においては、ステップD12にて、前記ステップC16の送信処理によって送信された予約情報を取得し、入庫予約登録してステップD13に進む。ステップD13においては、車両販売店コンピュータ30は、ユーザに対して、入庫の登録が完了したことを表す登録完了通知をセンター20に送信する。
センター20においては、制御装置21が、ステップC17にて、前記ステップD13の送信処理によって車両販売店コンピュータ30から送信された登録完了通知および故障情報送信要求を受信して、ステップC18に進む。ステップC18においては、制御装置21は、前記受信した登録完了通知および現在車両10に発生している異常の詳細な情報すなわち故障情報(ダイアグ情報)を送信するように故障情報送信要求を車両10に送信する。
車両10においては、通信装置14が、ステップS18にて、前記ステップC18の送信処理によって送信された登録完了通知および故障情報送信要求を受信して、同受信した情報をナビゲーションECU11に供給する。
ナビゲーションECU11は、ステップS19において、前記ステップS18にて供給された登録完了通知を表示装置13に供給する。表示装置13は、供給された登録完了通知を液晶表示器に表示する。これにより、ユーザは、車両10の入庫予約が完了したことを確認することができる。
ステップS20においては、ナビゲーションECU11が、ゲートウェイECU15を介して、各ECU16,17,18,19から出力された各種データを利用して、車両10が停車中であるか否かを判定する。そして、ナビゲーションECU11は、車両10が停車中と判定されるまで、ステップS20の判定処理を繰り返し実行する。そして、ナビゲーションECU11は、車両10が停車中であれば、「Yes」と判定してステップS21に進む。
ステップS21においては、ナビゲーションECU11とゲートウェイECU15とが協働して、図6に示す「故障情報収集ルーチン」を実行する。この「故障情報収集ルーチン」は、故障情報(ダイアグ情報)を収集するためのルーチンである。ダイアグ情報は、車両10に搭載された各ECU16,17,18,19から出力されるものであるため、車両走行中にルーチンを実行すると、各ECU16,17,18,19に負担をかける場合がある。このため、「故障情報収集ルーチン」は、車両10が停車しているときに実行される。
この「故障情報収集ルーチン」は、ステップN10にてその実行が開始され、ステップN11にて、ナビゲーションECU11は、前記ステップS18にて受信した故障情報送信要求に基づいて、ゲートウェイECU15に対し、警告灯点灯情報に関連する故障情報を出力するように要求する。
ゲートウェイECU15は、ステップG10にて、前記ステップN11の処理によってナビゲーションECU11から供給された出力要求を取得して、ステップG11に進む。ステップG11においては、ゲートウェイECU15は、車両内に構築されたネットワークを介して、各ECU16,17,18,19のうち警告灯点灯情報に関連する異常が発生しているECUに対して、ダイアグ情報を出力するように出力要求信号を出力する。なお、ダイアグ情報は、各種センサーの検出値やECUが作動制御している各装置の作動状態データなどであり、各ECU16,17,18,19の図示しないRAMに記憶されるようになっている。
ここで、ナビゲーションECU11とゲートウェイECU15は、協働して、センター20から送信された故障情報送信要求が通信により他の命令(コマンド)に偶然変わっていないか否かを確認する。これは、他のコマンドにより、無駄な動作を防止するためである。また、センター20から送信された他のコマンドが通信により故障情報送信要求に偶然変わった場合には、ゲートウェイECU15は、要求信号を各ECU16,17,18,19に出力しない。
ステップG12においては、ゲートウェイECU15は、ダイアグ情報を取得する。すなわち、各ECU16,17,18,19のうち警告灯点灯情報に関連する異常が発生しているECUは、自身のRAMに記憶しているダイアグ情報を、ネットワークを介して、ゲートウェイECU15に出力する。そして、ゲートウェイECU15は、出力されたダイアグ情報を取得して、ステップG13に進む。
ステップG13においては、ゲートウェイECU15は、前記ステップG12にて取得したダイアグ情報のデータ容量が所定情報量以上であるか否かを判定する。これは、ダイアグ情報は、上述したように、各種センサーの検出値や作動状態データであるため、例えば、複数の装置にて異常が発生している場合には、取得するダイアグ情報のデータ容量が膨大となる場合があるためである。このように、膨大なデータ容量のダイアグ情報が車両10内に構築されたネットワーク上を流通することにより、同ネットワークが飽和状態となる可能性がある。また、このように膨大なデータ容量のダイアグ情報をセンター20および販売店に送信するときには、通信時間および通信コストも増大する。特に、通信時間が増大することにより、他の車両とセンター20との通信に障害が生じる可能性もある。ここで、所定情報量は、通信時間および通信コストを勘案して定められる情報量である。なお、この判定を行う際には、ゲートウェイECU15は、出力されたダイアグ情報を自身のRAMにバッファーした状態としている。
ゲートウェイECU15は、ダイアグ情報のデータ容量が所定情報量以上であれば、「Yes」と判定して、ステップG14に進む。ステップG14においては、ゲートウェイECU15は、取得したダイアグ情報を所定情報量ごとに分割し、同分割したダイアグ情報ごとにナビゲーションECU11に出力する。
一方、ゲートウェイECU15は、前記ステップG13にて、取得したダイアグ情報が所定情報量未満であれば、ステップG15に進む。ステップG15においては、ゲートウェイECU15は、取得したダイアグ情報をナビゲーションECU11に出力する。ナビゲーションECU11においては、ステップN12にて、前記ステップG14またはステップG15にて出力されたダイアグ情報を取得する。このとき、ナビゲーションECU11は、所定時間(例えば、10秒程度)だけ、ゲートウェイECU15からダイアグ情報を取得するようにすることも可能である。これによれば、膨大なデータ容量のダイアグ情報が車両10内に構築されたネットワーク上を流通することが防止され、同ネットワークが飽和状態となることを効果的に防止することができる。また、ナビゲーションECU11が取得するダイアグ情報のデータ容量が規制されるため、センター20および販売店に送信するときの通信時間および通信コストを低減することができる。そして、ナビゲーションECU11は、ステップN13にて、「故障情報収集ルーチン」の実行を終了する。
ここで、車両は、販売店に入庫した際には、車両内に構築されたネットワークに故障情報取得装置(ダイアグツール)が接続されて、同故障情報取得装置によりダイアグ情報が収集される場合がある。このとき、故障情報取得装置が各ECU16,17,18,19に対して出力する出力要求信号は、ゲートウェイECU15が出力する出力要求信号(または、センター20が送信する故障情報送信要求)と同一である。このため、各ECU16,17,18,19は、自身のRAMに記憶したダイアグ情報をネットワークに出力する。
しかしながら、ゲートウェイECU15は、自身が出力した出力要求信号か故障情報取得装置が出力した出力要求信号かを区別することができるため、故障情報取得装置が接続された状態ではネットワークに出力されたダイアグ情報をナビゲーションECU11に供給しない。これにより、販売店に入庫した車両から誤ってセンター20および販売店にダイアグ情報が送信されることが防止され、無駄な通信を無くすことができる。
なお、このようなダイアグ情報の誤送信防止は以下のように実施することも可能である。すなわち、ゲートウェイECU15は、車両10内に構築されたネットワークのうち、制御系ネットワーク(CAN)に接続された各ECU(例えば、エンジンECU16など)から出力されたダイアグ情報の誤送信を防止する。一方、車両10内に構築されたネットワークのうち、ボデー系ネットワーク(BEAN)に接続された各ECU(例えば、ドアECU18など)から出力されたダイアグ情報は、ナビゲーションECU11が誤送信を防止する。このように、ナビゲーションECU11とゲートウェイECU15とによって、ダイアグ情報の誤送信を防止するように実施することも可能である。
ふたたび、図4のフローチャートに戻り、ステップS21の処理後、ステップS22にて、ナビゲーションECU11は、取得したダイアグ情報を通信装置14に供給し、通信装置14はダイアグ情報をセンター20に送信する。このとき、ナビゲーションECU11は、ダイアグ情報が分割されている場合には、一つずつ通信装置14に供給し、通信装置14は供給された順に一つずつセンター20に送信する。この送信においては、通信装置14は、ダイアグ情報とともに車両ID情報も送信する。
ここで、上述した故障情報取得装置が接続された場合において、ゲートウェイECU15に故障が発生しており、膨大なダイアグ情報がセンター20に送信された場合には、センター20は、これらのダイアグ情報を受信しないようになっている。すなわち、センター20は、自身が送信した故障情報送信要求に基づいて送信されたダイアグ情報であるか否かを判断することが可能だからである。そして、ゲートウェイECU15の故障によってダイアグ情報が送信された場合には、センター20は、別途ナビゲーションECU11に対して、送信を中止するためのコマンドを送信するようになっている。これにより、車両10とセンター20との間にて無駄な通信が発生しない。
センター20においては、制御装置21が、ステップC19にて、前記ステップS22の送信処理によって送信された故障情報(ダイアグ情報)を受信する。そして、制御装置21は、ステップC20にて、前記登録完了通知を送信した車両販売店コンピュータ30に対して、故障情報(ダイアグ情報)を送信する。
車両販売店コンピュータ30においては、ステップD14にて、前記ステップC20の送信処理によって送信された故障情報(ダイアグ情報)を受信して、ステップD15に進む。ステップD15においては、受信した故障情報(ダイアグ情報)に基づいて、前記ステップD11にて送信した異常対処情報よりも詳細な異常対処情報を送信する。すなわち、担当者等は、受信した故障情報(ダイアグ情報)を詳細に解析することにより、現在車両10に発生している異常の内容を正確に把握することができる。
このため、担当者等は、警告灯点灯情報を取得したときに比して、車両10に発生した異常の原因に対して個別的に対応することができる。したがって、担当者等は、車両10を入庫するまでの間の詳細な対処方法、例えば、「エンジンの水温が高い状態となっています。車両を安全な場所に停車させて、搬送車が到着するまで安全な場所でお待ちください。」や、「発生した異常は走行上問題ありませんので、そのまま走行していただき先ほど入庫予約していただいた販売店に入庫ください。」などの詳細な異常対処方法を作成する。そして、車両販売店コンピュータ30は、担当者等によって作成された詳細な異常対処方法を表す詳細な異常対処情報をセンター20に送信し、ステップD16にて「異常情報送信通知プログラム」の実行を終了する。
センター20においては、制御装置21が、ステップC21にて、前記ステップD15の送信処理によって送信された詳細な異常対処情報を受信する。そして、制御装置21は、前記ステップC19にて受信した車両ID情報を利用して、ユーザ情報データベース24を検索して、ユーザのメールアドレス情報を取得する。これにより、制御装置21は、取得したメールアドレス情報を利用して、受信した詳細な異常対処情報を車両10に送信する。そして、制御装置21は、ステップC22にて、「異常情報送信通知プログラム」の実行を終了する。
車両10においては、通信装置14が、ステップS23にて、前記ステップC21の送信処理によって送信された詳細な異常対処情報を受信して、ナビゲーションECU11に供給する。ナビゲーションECU11は、供給された詳細な異常対処情報を取得する。そして、ナビゲーションECU11は、取得した詳細な異常対処情報を表示装置13に供給する。表示装置13は、供給された詳細な異常対処情報を、前記ステップS15の報知と同様にして、液晶表示器上へ表示または音声出力してユーザに報知する。このように、ユーザに報知すると、ナビゲーションECU11は、ステップS24に進み、「異常情報送信通知プログラム」の実行を終了する。
上述した車両診断システムは、車両10とセンター20間で互いに通信することにより、車両10は発生した異常を表す警告灯点灯情報や故障情報(ダイアグ情報)を送信し、センター20は販売店からの異常対処情報に基づく異常通知を送信する。このため、車両10とセンター20間の通信は、所定の頻度にて正常か否かを診断する必要がある。以下、この通信の診断について説明する。
この通信の診断は、図7に示す「通信異常診断プログラム」を所定の頻度で実行することにより行われる。「通信異常診断プログラム」は、ステップC150にて、その実行が開始され、ステップC151にて、センター20の制御装置21は、通信状態を診断するために予め定められた命令(以下、この命令を要求コマンドという)を車両10に送信する。
車両10においては、通信装置14が、ステップS150にて、前記ステップC151の送信処理によって送信された要求コマンドを受信し、同受信した要求コマンドをナビゲーションECU11に供給する。ナビゲーションECU11は、供給された要求コマンドを取得するとともに、同取得した要求コマンドをゲートウェイECU15に供給する。そして、ナビゲーションECU11と要求コマンドが供給されたゲートウェイECU15は、互いに協働して、ステップS152にて、「応答コマンドステータス判定ルーチン」を実行する。
この「応答コマンドステータス判定ルーチン」は、図8に示すように、ステップS200にて、その実行が開始され、ステップS201にて、ナビゲーションECU11およびゲートウェイECU15は、要求コマンドに対して、各ECU16,17,18,19が正常に応答するとともに、正常にセンター20に対して応答を返信しているか否かを判定する。車両10に搭載された各装置および各ECUが正常に応答しており、要求コマンドに対して正常に返信していれば、ナビゲーションECU11およびゲートウェイECU15は、ともに「Yes」と判定して、ステップS202に進む。
ステップS202においては、ナビゲーションECU11およびゲートウェイECU15は、各装置およびECUが正常に応答しているすなわち異常が発生していないことを表す”$00”なるステータス情報をナビゲーションECU11のRAMに記憶し、ステップS209にて「応答コマンドステータス判定ルーチン」の実行を終了する。一方、各装置または各ECUに異常が発生しており、要求コマンドに対して正常に返信していなければ、ナビゲーションECU11またはゲートウェイECU15は、ともに「No」と判定して、ステップS203に進む。
ステップS203においては、ナビゲーションECU11は、要求コマンドが認識できたか否かを判定する。すなわち、センター20から送信された要求コマンド自体がナビゲーションECU11によって認識できない情報(未定義の情報)であれば、ナビゲーションECU11は「Yes」と判定して、ステップS204に進む。ステップS204においては、ナビゲーションECU11は、要求コマンドが認識できない情報であることを表す”$FF”なるステータス情報をRAMに記憶し、ステップS209にて「応答コマンドステータス判定ルーチン」の実行を終了する。一方、要求コマンドが認識できる情報であれば、ナビゲーションECU11は「Yes」と判定して、ステップS205に進む。
ステップS205においては、ゲートウェイECU15は、各ECU16,17,18,19に対して、要求コマンドを供給し、応答があるか否かまたは応答があってもタイムアウトであるか否かを判定する。各ECU16,17,18,19から応答がなければまたはタイムアウトであれば、ゲートウェイECU15は、「Yes」と判定して、ステップS206に進む。ステップS206においては、ゲートウェイECU15は、各ECU16,17,18,19に異常が発生していることを表す”$FE”なるステータス情報をナビゲーションECU11に出力し、ステップS209にて「応答コマンドステータス判定ルーチン」の実行を終了する。一方、各ECU16,17,18,19から応答があればまたはタイムアウトでなければ、ゲートウェイECU15は、「No」と判定して、ステップS207に進む。
ステップS207においては、ナビゲーションECU11は、ゲートウェイECU15が要求コマンドに対して応答しているか否かを判定する。すなわち、ナビゲーションECU11は、ゲートウェイECU15が存在しないまたは車両10内のネットワークに接続されておらず、要求コマンドに対して応答していなければ、「Yes」と判定して、ステップS208に進む。ステップS208においては、ナビゲーションECU11は、ゲートウェイECU15が存在しないまたは接続されていないことを表す”$FD”なるステータス情報をRAMに記憶し、ステップS209にて「応答コマンドステータス判定ルーチン」の実行を終了する。一方、ナビゲーションECU11は、ゲートウェイECU15が存在するまたは接続されている場合には、「Yes」と判定する。この場合には、ステータス情報が出力されていないため、ナビゲーションECU11およびゲートウェイECU15は、ふたたびステップS201以降の処理を実行し、ステータス情報を出力するまで繰り返し実行する。
ふたたび、図7のフローチャートに戻り、ステップS151の処理後、ステップS152にて、ナビゲーションECU11は、取得したステータス情報を通信装置14に供給し、同ステータス情報をセンター20に送信するように指示する。通信装置14は、同指示に従い、センター20にステータス情報を送信する。
センター20においては、制御装置21が、ステップC152にて、前記ステップS152の送信処理によって送信されたステータス情報を受信し、RAMに一時的に記憶してステップC153に進む。このように、センター20の制御装置21は、車両10からステータス情報を受信することにより、通信に異常が発生しているか否かを把握することができることに加えて、車両10のどの部分に異常が発生しているかまで把握することができる。
ステップC153においては、制御装置21は、”$FE”なるステータス情報すなわち各ECU16,17,18,19に異常が発生していることを表すステータス情報を受信しているか否かを判定する。このステータス情報を受信していなければ、制御装置21は「No」と判定して、ステップC156に進み、「通信異常診断プログラム」の実行を終了する。一方、”$FE”なるステータス情報を受信していれば、制御装置21は、「Yes」と判定してステップC154に進む。
ステップC154においては、制御装置21は、各ECU16,17,18,19のうちどのECUに異常が発生しているのか、または、各ECU間の接続経路(以下、この接続経路を宛先バスという)に異常が発生しているかを確認するために、故障情報の送信を車両10に要求する。ここで、この故障情報の送信要求に際しては、各ECU16,17,18,19の宛先情報が付与されて送信される。
車両10においては、通信装置14が、ステップS153にて、前記ステップC154の送信処理によって送信された故障情報の送信要求を受信し、ナビゲーションECU11に供給する。ナビゲーションECU11は、供給された故障情報の送信要求を取得し、ゲートウェイECU15に供給する。
ステップS154においては、ゲートウェイECU15は、前記ステップS153にて取得した故障情報の送信要求に付与された宛先情報を利用して、各ECU16,17,18,19に対して故障情報の出力要求を出力する。この出力要求に対して、各ECU16,17,18,19から少なくとも応答があれば、ゲートウェイECU15は、宛先バスへの他の通信が正常であるため、「Yes」と判定してステップS155に進む。ステップS155においては、ゲートウェイECU15は、各ECU16,17,18,19内の応答機能に異常が発生していることを表す故障情報をナビゲーションECU11に出力する。ナビゲーションECU11は、出力された故障情報を取得し、同故障情報を通信装置14に供給する。通信装置14は、供給された故障情報をセンター20に送信する。
一方、前記ステップS154にて、各ECU16,17,18,19から応答がなければ、ゲートウェイECU15は、宛先バスに異常が発生しているため、「No」と判定してステップS156に進む。ステップS156においては、ゲートウェイECU15は、宛先バスに異常が発生していることを表す故障情報をナビゲーションECU11に出力する。ナビゲーションECU11は、出力された故障情報を取得し、同故障情報を通信装置14に供給する。通信装置14は、供給された故障情報をセンター20に送信する。
センター20においては、制御装置21が、ステップC155にて、前記ステップS155またはステップS156にて送信された故障情報を受信する。これにより、制御装置21は、各ECU16,17,18,19のうちどのECUに異常が発生しているのか、または、各ECU間の宛先バスに異常が発生しているかを確認することができる。そして、ステップS156に進み、「通信異常診断プログラム」の実行を終了する。
また、上述した車両診断システムにおいては、ユーザは、車両10に搭載された表示装置13の表示または音声出力によって、警告灯点灯情報およびセンター20から送信された異常通知を確認できる。これに加えて、ユーザが使用可能なパーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50を利用して、警告灯点灯情報および異常通知を確認することも可能である。
すなわち、ユーザは、パーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50を操作し、ネットワーク60を介して、センター20にアクセスする。具体的に説明すると、ユーザは、パーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50の入力装置を利用して、予め通知されたセンター20のURL(Uniform Resource Locator)と、ユーザID情報およびユーザパスワードを入力する。
これにより、パーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50は、入力されたURLに基づきセンター20にアクセスする。このようにパーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50がアクセスすると、センター20の制御装置21は、送信されたユーザID情報およびユーザパスワードに基づいてユーザを認証する。すなわち、制御装置21は、ユーザ情報データベース24を利用して、同データベース24に予め記憶されているユーザ特定情報と、送信されたユーザID情報およびユーザパスワードとを比較することにより、ユーザを認証する。そして、制御装置21は、ユーザを認証すると、アクセスしているパーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50に対して、初期画面情報を送信する。この初期画面情報を送信するにあたり、制御装置21は、ユーザ情報データベース24に予め記憶されている車両ID情報(例えば、登録番号など)を、初期画面情報に組み込んで送信する。
このように、センター20から初期画面情報が送信されると、図11に示すように、初期画面がパーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50の表示装置に表示される。この初期画面において、ユーザが”マイカーダイアリー”ボタンAを選択(クリック)すると、この選択情報はセンター20に送信される。センター20の制御装置21は、送信された選択情報を受信すると、車両ID情報を利用して、履歴情報データベース27に記憶している履歴情報のうち、前記車両ID情報と一致する車両ID情報と関連付けて記憶している履歴情報を抽出する。そして、制御装置21は、抽出した履歴情報を所定のフォーマットに組み込んで自動的に作成したマイカーダイアリー画面情報を、パーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50に送信する。
パーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50においては、センター20から送信されたマイカーダイアリー画面情報を受信すると、表示画面を初期画面から遷移させて、図12に示すように、マイカーダイアリー画面を表示する。これにより、ユーザは、パーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50を利用して、車両10に異常が発生した日、警告灯が点灯した内容およびその案内について、確認することができる。
また、ユーザは、パーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50を利用して、センター20にアクセスすることにより、販売店の販売店情報を取得することができる。すなわち、ユーザは、パーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50からセンター20にアクセスすることにより、販売店情報データベース26にアクセスすることができる。これにより、ユーザは、必要なときに、販売店情報すなわち営業日や営業時間を取得することができて、好適である。
また、ユーザの操作に応じて、販売店情報を取得するため、個人情報の漏洩を防止することもできる。すなわち、例えば、販売店から一方的に販売店情報が送信される場合には、販売店がユーザのメールアドレスや電話番号など個人情報を取得している必要があるが、センター20を介して、ユーザと販売店とが互いに通信するため、販売店が個人情報を取得する必要がない。したがって、無用に個人情報を共有する必要がなく、個人情報が確実に確保される。
以上の説明からも理解できるように、本実施形態によれば、車両10は、センター20に対して、警告灯点灯情報を送信するため、通信回線に負担をかけることがない。このため、センター20は、リアルタイムで車両10に異常が発生しているか否かを把握することができる。したがって、ユーザに対して、早急な対応を行うことができる。また、車両10は、警告灯点灯情報を送信した後、発生した異常に関する故障情報(ダイアグ情報)を収集して送信する。これにより、センター20は、より詳細に異常内容を確認することができるため、ユーザに対して、より適切な対応を行うことできる。
また、センター20は、警告灯点灯情報に基づいて、異常発生に対する異常通知を送信するため、ユーザは、容易に異常発生に対する適切な対処を行うことができる。また、センター20は、故障情報(ダイアグ情報)に基づいて、発生した異常に対する詳細な異常対処情報を送信するため、ユーザは、発生した異常に対する対処を適切に行うことができる。
また、異常対処情報および詳細な異常対処情報が、販売店の担当者等によって作成されるため、発生した異常に対して、専門的な見解を含めることができる。このため、ユーザは、より適切な対処を行うことができる。また、担当者等が異常内容を解析することができるため、発生した異常の原因に対して個別対応が可能となり、これによっても、ユーザは、より適切な対処を行うことができる。また、車両10から故障情報すなわちダイアグ情報を送信することにより、販売店にて、異常内容を正確に把握ができる。したがって、ユーザに対して、適切な対応を行うことができる。
また、センター20は、車両10から必要なときに故障情報(ダイアグ情報)を取得することができる。また、センター20は、取得した故障情報(ダイアグ情報)を車両販売店コンピュータ30に送信することができる。このため、センター20は、適切なタイミングで、ユーザに対して、販売店にて作成された詳細な異常対処情報を送信することができる。
また、車両10は、停車しているときに故障情報(ダイアグ情報)を収集する。このため、特に、車両10の走行に必要な機能、すなわち、「走る、止まる、曲がる」に関する装置を制御する各ECU16,17,18,19への負担を増加させることがなく、ユーザは、好適に車両を走行させることができる。
また、ユーザによって異常通知に組み込まれた予約ボタン12bが操作されることにより、故障情報(ダイアグ情報)の収集を開始することができる。このため、故障情報(ダイアグ情報)を送信するか否かの判断に、ユーザの意思が直接的または間接的に反映させることができて、好適である。
また、パーソナルコンピュータ40または携帯情報端末装置50を利用して警告灯点灯の履歴を確認することができる。これにより、ユーザは、車両10に乗車していなくても、例えば、携帯電話などを利用することにより、車両10に発生した異常を確認することができる。また、ユーザ以外の人間が、携帯電話などを利用して、車両10に発生した故障を確認することもできる。これにより、例えば、車両10の警告灯17aが点灯後すぐに消灯する場合などであって、ユーザが異常発生を認識していない場合には、ユーザ以外に人間がユーザに異常発生を知らせることもできる。
上記実施形態においては、センター20と販売店に設置した車両販売店コンピュータ30とが互いに通信して、車両販売店コンピュータ30から送信された異常対処情報に基づいて、車両10に異常通知を送信するように実施した。これに代えて、センター20にて異常対処情報を作成して異常通知を送信することも可能である。この場合には、センター20に異常対処情報を予め記憶しておき、センター20の制御装置21は、この記憶された異常対処情報を、警告灯点灯情報および故障情報(ダイアグ情報)に基づいて、適切に選択する。そして、制御装置21は、選択した異常対処情報を利用して、異常通知を作成して車両に送信する。これによっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができて好適である。
10…車両、11…ナビゲーションECU、12…入力装置、13…表示装置、14…通信装置、15…ゲートウェイECU、16…エンジンECU、17…メータECU、17a…警告灯、18…ドアECU、19…ボデーECU、20…センター、21…制御装置、22…記憶装置、23…通信装置、24…ユーザ情報データベース、25…異常対処データベース、26…販売店情報データベース、27…履歴情報データベース、30…車両販売店コンピュータ、40…パーソナルコンピュータ、50…携帯情報端末装置、60…ネットワーク、70…中継局