JP2005040821A - ビーディング加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ディファレンシャル用スペーサ等の筒状部材に対し、適切且つ容易に環状ビードを形成し得るビーディング加工方法を提供する。
【解決手段】 ワークW(筒状部材)の内側にマンドレル10(心金)を配置し、その環状突条部11外側のワークの外周面にロール部材20の環状押圧部24,24を押圧してビーディング加工を行い、ワークの径方向外側に膨出した環状ビードを形成する。この場合において、加工目標とする環状ビードの外側膨出部に対して非接触状態を維持しながら、その両側の外側裾縁部に対しロール部材の環状押圧部24,24を押圧して加工目標の環状ビードを形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、筒状部材の内側に心金を配置し、その外周面にロール部材を押圧して、その径方向外側に膨出した環状ビードを形成するビーディング加工方法に関し、特に、ディファレンシャル装置用スペーサの製造に好適なビーディング加工方法に係る。
筒状部材の円周上に環状の隆起もしくは溝を形成する加工方法がビーディング加工として知られており、例えば、下記の非特許文献1には、ロールによる加工、バルジによる加工、パイプの座屈を利用する加工、及び転造盤を使用する加工について解説されている。このうち、ロールによる加工については、「パイプの内側に心金を入れ、外周にローラを押し当てて成形する」と説明され、パイプの外側及び内側に突出する環状のビードを形成する方法がロールビード加工として図示されている。
更に、上記のロールによるビーディング加工については、例えば下記の特許文献1において、管体にビードを形成させる方法が開示されている。また、下記の特許文献2にも、外周に部分的突起を有するリングの成形方法が開示されている。
前述のバルジによるビーディング加工については、非特許文献1には、ゴムバルジによる成形と液圧を利用する方法について解説されているが、バルジ工程を含むビーディング加工によってビードを形成する加工例として、下記の特許文献3にはドライブピニオン用スペーサの製造方法が開示されている。この加工対象のドライブピニオン用スペーサは、自動車の旋回時に発生する左右の駆動輪の回転数差を吸収する差動装置、所謂ディファレンシャル装置の軸受けに装着されている。
更に、ディファレンシャル装置のスペーサに関し、下記の特許文献4には金属製の円筒部材から成り、その中央部が外側に膨出した環状ビードを形成したスペーサをサイドギア間に介装し、スペーサのバネ作用によりサイドギア間に与圧荷重を与え、デフロック状態を回避する技術が開示されている。また、特許文献5(及び特許文献3)には、環状ビードを形成したスペーサを、ドライブピニオン軸受間に介装し、スペーサのバネ作用により両軸受間に与圧荷重を与え、ベベルピニオンとリングギアとの相対変位を小さくし適正な噛み合いを維持する技術が開示されている。
特開2002−143923号公報 特開平6−106283号公報 特許第2895748号公報 特開平6−81910号公報 特開平10−103454号公報 中村正信他4名共著、「パイプ加工法」、第2版、日刊工業新聞社、1998年9月30日、p.93−101
前掲の特許文献3乃至5に記載のように、ディファレンシャル装置においては、軸方向荷重の緩衝あるいは軸方向荷重付与(プリロード)を目的として、種々のスペーサが用いられているが、このようなスペーサについては、以下に説明するように所定の“軸方向荷重−変位(軸方向撓み)”特性が要求される。例えば、図6に示すように、スペーサの軸方向圧縮変形初期(Fa,Fb)においては、所定の軸方向荷重範囲T1〜T2間の荷重まで上昇するが、最高荷重は上限規格T2に近い程よい。これに続く所定の変位範囲t1〜t2間においては、軸方向荷重範囲T1〜T2間に存在することが望ましく、図6における右下がりの直線の傾きは緩やかな程よい。従って、図6においては破線の特性ではなく、実線の特性が望ましい(これについては後に再度説明する)。
前掲の特許文献3においては、スペーサに対し、環状ビードの一方の傾斜部のみを薄肉化すべく、パンチとダイを用いて円筒部材を拡径及び軸押しするプレス加工法が適用されている。しかし、環状ビードの一方の傾斜部を薄肉化すると、その部位が最弱部位となり、軸方向荷重がそこに集中してしまい、図6の“軸方向荷重−変位(軸方向撓み)”特性において例えば破線で示すように、軸方向圧縮変形初期Faでは最高荷重が上限規格T2よりもはるかに低くなるので、スペーサが低荷重で座屈することがないように留意しながら加工する必要がある。更に、その後の軸方向圧縮変形に対しても荷重の急激な落ち込みが生じ、図6に破線で示すように右下がりの直線の傾きが急になるおそれがあるので、荷重下限規格T1を下回らないように留意しながら加工する必要があり、スペーサの量産は極めて困難である。
しかも、特許文献3に記載の方法は複数のプレス工程からなるため、各工程において材料の加工硬化が生じ次のプレス工程の障害となる。従って、中間加工品に対し例えば熱処理を施す必要が生じ、コストが嵩むことになる。また、部分的に複数回の塑性加工が施されるため加工限界が著しく低下するので、所望の形状を得ることが困難である。結局、特許文献3に記載のようなパンチ及びダイスを用いた軸方向荷重による塑性加工では、所望のスペーサを量産することは至難であり、実用に供し得ない。
一方、前掲の非特許文献1にも記載されたロールによる加工の一例として、環状ビードを転造(転写)する方法、即ち、環状突条を有するローラと環状凹溝を有するローラとの間に円筒部材を挿入し、両ローラを相対的に回転および近接させ、両凹凸間によって形成される間隙形状にならった環状ビードを円筒部材に形成する方法があり、前掲の特許文献2に記載の所謂リングローリング法もこれに包含される。しかし、この方法によると、環状ビード部も含め円筒部材の表裏両面が両ローラによって完全に拘束されるため、円筒部材全体の板厚が圧延作用により薄肉化され、これに伴う円筒部材の材料の塑性流動によって円筒部材の直径が大きくなり、あるいは円筒部材の軸方向長さ(幅)が伸びることになり、所望のスペーサを製造できなくなるおそれがある。しかも、円筒部材自体に素材強度および板厚のばらつきがあるため、両ローラ間に形成される隙間内において強制的な材料の塑性流動が過大になるとローラに高負荷がかかるので、ローラの寿命が短くなる。
上記のロールによる転造方法に対し、前掲の特許文献1に記載のビーディング加工方法においても、ローラの一部をウレタンゴム等の弾性体とし、加工時における円筒部材の軸方向の伸びを拘束することとしているので、上記の塑性流動に起因する問題を回避することはできる。しかし、特許文献1に記載の方法では、ローラの一部が弾性体であることから、成形後の環状ビードの根元部の形状精度を確保することが困難である。特に、円筒部材の両端部の同軸度を確保することが困難となるので、同軸度及び各部位の真円度が重要となる回転部品たる前述のスペーサの製造には不向きである。
尚、前掲の非特許文献1には、ウレタンゴム、水等の流動体や弾性体を用いたバルジによる加工が開示されているが、弾性体たるゴムやウレタンの劣化や温度による変形量のばらつきがあり、更に円筒部材自体にも素材強度及び板厚のばらつきがあるため、前述の“軸方向荷重−変位(軸方向撓み)”特性にばらつきが生じ、極端な場合にはこの特性を充足しなくなるおそれがある。これを防止するためには、バルジ装置の加工条件の調整を頻繁に行わなければならなくなる。また、例えば全長が10数mmというような、軸方向長さが比較的短いスペーサを加工する場合や、全長が直径より小である場合には、ビーディング加工が困難となる。しかも、液圧によるバルジ加工には強固で大型の分割型が必要となり、ビードの外側膨出部における板厚の減少が不可避であることから、前述のスペーサの製造には適さない。
そこで、本発明は、ディファレンシャル用スペーサ等の筒状部材に対し、適切且つ容易に環状ビードを形成し得るビーディング加工方法を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するため、本発明は、請求項1に記載のように、筒状部材の内側に心金を配置し、前記筒状部材の外周面にロール部材を押圧して、前記筒状部材の径方向外側に膨出した環状ビードを形成するビーディング加工方法において、加工目標とする前記環状ビードの外側膨出部に対して非接触状態を維持しながら、加工目標とする前記環状ビードの両側の外側裾縁部に対し前記ロール部材を押圧して加工目標の前記環状ビードを形成することとしたものである。
また、請求項2に記載のように、前記筒状部材の軸方向両端面を保持した状態で、加工目標とする前記環状ビードの両側の外側裾縁部に対し前記ロール部材を押圧するとよい。
更に、請求項3に記載のように、前記ロール部材による前記筒状部材の移動を規制するように案内しながら、加工目標とする前記環状ビードの両側の外側裾縁部に対し前記ロール部材を押圧することとしてもよい。例えば、筒状部材を軸心方向に付勢し得るようにガイドローラを配置し、ロール部材による筒状部材の移動を規制して筒状部材の円滑な回転作動を確保することができる。
そして、請求項4に記載のように、前記心金が、加工目標とする前記環状ビードの内周面に対応する外周面を有する環状突条部を備え、前記ロール部材が、加工目標とする前記環状ビードの外側膨出部の軸方向の幅と略等しい軸方向距離を隔てて平行に配置する一対の環状押圧部を備え、前記筒状部材の内側で、加工目標とする前記環状ビードの内周面に前記環状突条部が対向するように前記心金を配置し、加工目標とする前記環状ビードの両側の外側裾縁部に対し前記一対の環状押圧部を押圧するように前記ロール部材を配置すると共に、前記心金及び前記ロール部材の少なくとも一方を相対的に回転駆動するとよい。
前記ロール部材は、請求項5に記載のように、加工目標とする前記環状ビードの外側膨出部の軸方向の幅と略等しい軸方向の幅を有する環状溝を形成し、該環状溝の両側に前記一対の環状押圧部を形成して成る環状凸部を備え、前記環状溝の軸方向の幅が、加工目標とする前記環状ビードの外側膨出部の軸方向長さと略等しく、前記環状溝の径方向深さが、加工目標とする前記環状ビードの外側膨出部の径方向高さより大に設定して成るものとするとよい。
そして、上記の各ビーディング加工方法において、請求項6に記載のように、前記筒状部材は、ディファレンシャル装置用スペーサであって、該スペーサの直径が軸方向長さより大としたものとすることができる。
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1に記載のビーディング加工方法によれば、筒状部材に対する加工に際し、加工目標とする環状ビードの外側膨出部に対して非接触状態を維持しながら、加工目標とする環状ビードの両側の外側裾縁部に対しロール部材が押圧されるので、環状ビードの根元部のみが薄肉化され、それに伴う余肉が環状ビードの外側膨出部へ円滑に塑性流動する。而して、環状ビードの両側の根元部が等しく薄肉化されると共に、高精度で所望の形状に形成することができる。しかも、筒状部材自体に素材強度及び板厚のばらつきがあっても、ばらつきに起因する余肉も、上記と同様に環状ビードの外側膨出部へ円滑に塑性流動して吸収されるので、環状ビードの両側の根元部の薄肉化が円滑に行われ、高精度で環状ビードを形成することができる。
そして、請求項2に記載のように、筒状部材の軸方向両端面を保持した状態で、加工目標とする環状ビードの両側の外側裾縁部に対しロール部材を押圧することとすれば、環状ビードの外側膨出部に対して確実に非接触状態を維持しながら加工することができるので、環状ビードを一層高精度で形成することができる。
更に、請求項3に記載のように、ロール部材による筒状部材の移動を規制するように案内しながら、加工目標とする環状ビードの両側の外側裾縁部に対しロール部材を押圧することとすれば、環状ビードの加工時における筒状部材の傾斜及び振れを抑えることができ、環状ビードの外側膨出部に対して確実に非接触状態を維持しながら加工することができるので、環状ビードを一層高精度で形成することができる。
前記心金及びロール部材を請求項4に記載のように構成すれば、簡単な構成で、環状ビードの外側膨出部に対して確実に非接触状態を維持しながらビーディング加工を行い、高精度で環状ビードを形成することができる。
更に、前記ロール部材を請求項5に記載のように簡単な構成とすることができ、これによっても高精度で環状ビードを形成することができる。
そして、請求項6に記載のように、直径が軸方向長さより大のスペーサを筒状部材としてビーディング加工することにより、“軸方向荷重−変位(軸方向撓み)”特性に優れ、ディファレンシャル装置用として好適なスペーサを容易に製造することができる。
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るビーディング加工方法に供する心金たるマンドレル10とロール部材20の関係を示すもので、加工対象の筒状部材たるワークW内にマンドレル10が配置され、その軸CLと平行に、ロール部材20及び案内用のガイドローラ40がワークWの外側に配置されている。ワークWの軸方向両端面は保持手段によって保持されるが、図1には保持手段の一部を構成する受台31上にワークWが載置されており、ワークWの軸方向上端面が、後述する押え部材32(図2に示す)によって押圧され、この押え部材32と受台31との間にワークWが保持される。本実施形態の受台31はマンドレル10と別体に形成されているが、一体的に形成することとしてもよい。本実施形態のワークWは、例えば、材質STKM13A、直径63.6mm、板厚1.4mmの筒状部材であるが、これに限定されるものではなく材質及び寸法は任意である。尚、ビーディング加工装置の全体を図8に示し、環状ビード(51)が形成された、加工後のスペーサ(50)を図9に示す。
マンドレル10は図1の左側に断面を示すように、加工目標とする環状ビード(図9の51)の内周面に対応する外周面を有する環状突条部11が一体的に形成された柱体で、軸CLを中心に回転駆動される。環状突条部11の縦断面形状は、最終製品(加工目標)の環状ビードの縦断面形状と略等しくなるよう設定される。従って、環状突条部11の軸方向の幅Lp及び高さHpは、夫々、加工目標とする環状ビード(図9の51)の外側膨出部の内側凹部の幅及び深さと略等しい値に設定されている。また、環状突条部11の最大外径DbはワークWの内径Dwより小さい値に設定されており、両者間に所定の間隙が形成されるように構成されている。尚、受台31もマンドレル10と共に一体的に回転駆動されるが、この回転駆動機構については図8を参照して後述する。
一方、ロール部材20は、固定された支軸21回りに回動自在に支持されており、支軸21と共に押圧駆動機構(図8に示す油圧シリンダ25等)によってマンドレル10方向に平行移動し得るように構成されている。ロール部材20は図1の右側に断面を示すように環状凸部22が形成されており、この環状凸部22は全周に亘って均一のコ字状断面に形成されている。即ち、環状凸部22には、加工目標とする環状ビード(図9の51)の外側膨出部の軸方向の幅と略等しい所定の軸方向の幅(Lg)を有する環状溝23が形成され、この環状溝23の両側に一対の環状押圧部24,24が形成されている。環状押圧部24,24の対向する内側角部は略直角断面に形成されている。環状溝23の軸方向の幅Lgは、加工目標とする環状ビード(図9の51)の外側膨出部の軸方向長さと略等しく、環状溝23の径方向深さHgが、加工目標とする環状ビードの外側膨出部の径方向高さより大に設定されている。当然乍ら、加工目標とする環状ビード(図9の51)の外側膨出部の軸方向長さは環状突条部11の軸方向長さLpより大であり、その径方向高さは環状突条部11の径方向高さHpより大である。尚、ロール部材20の駆動機構についても図8を参照して後述する。
而して、図1に示すように、ロール部材20はその環状溝23がマンドレル10の環状突条部11と対向するように、マンドレル10に対し軸平行に配置されている。そして、マンドレル10及びロール部材20の少なくとも一方が相対的に回転駆動(本実施形態ではマンドレル10のみが回転駆動)されると共に、相互に近接する方向に平行移動するように駆動(本実施形態ではロール部材20のみが駆動)されると、ワークWは、加工目標とする環状ビードの両側の外側裾縁部(図9の53,53)に対応する部分に対し、一対の環状押圧部24,24が押圧されてマンドレル10の環状突条部11に圧接されながら、マンドレル10と共に回転駆動される。尚、この作動状況については図2乃至図5を参照して後述する。
本実施形態においては、更に図1の左側に断面を示すように形成された案内部材たるガイドローラ40が、ワークWを中心にロール部材20と反対側に配置されている。このガイドローラ40も、固定された支軸41回りに回動自在に支持されており、支軸41と共に押圧機構(図示せず)によってマンドレル10方向に平行移動し、ワークWを軸心方向に付勢し得るように構成されている。而して、ワークWに対するビーディング加工時には、ガイドローラ40によって適宜ワークWの外周面に押接されて、ワークWの移動が規制されるので、ワークWは振動することなく円滑に回転する。尚、ワークWを軸心方向に付勢し得るように複数のガイドローラ40を配置し、これらによってワークWの移動を規制することとしてもよい。
次に、ワークWに対するビーディング加工状況を図2乃至図5を参照して説明する。先ず、図2に示すように、受台31上にワークWが載置され、その軸方向上端面が、押え部材32によって押圧され、この押え部材32と受台31との間にワークWが挟持される。尚、押え部材32は有底筒体形状を有し、後述するエアシリンダ35(図8)によって昇降駆動される。押え部材32は、後述するマンドレル10とワークWの回転時におけるワークWの傾斜や振れを抑制するためのものであり、ワークWに対し積極的に荷重を付与するものではないが、製品の形状や特性によっては、荷重を付与することとしてもよい。例えば、ワークWを軸押しすることにより、板厚の調整が可能となる。
次に、図3にマンドレル10の回転方向を矢印で示すように、後述の回転駆動機構によりマンドレル10(及び受台31)が回転駆動されると、ワークWがマンドレル10と共に回転する。このようにワークWとマンドレル10が回転した状態で、図3に示すように、後述の油圧シリンダ(図8の25)によってロール部材20がマンドレル10方向に駆動されると、ロール部材20の環状押圧部24,24がワークWの外周面に押圧され、更にワークWの内周面はマンドレル10の環状突条部11に押圧される。このとき、マンドレル10の(回転)軸CLとワークWの軸が距離Loだけオフセット(偏心)した状態になり、ワークWは偏心回転することになるが、偏心回転時におけるワークWの傾斜及び振れはガイドローラ40によって抑制されるので、安定した回転作動が確保される。
而して、図4の状態から図5の状態となり、ロール部材20の環状押圧部24,24によってワークWの両端部、即ち加工目標とする環状ビードの両側の外側裾縁部53,53に対応する部分が全周に亘ってマンドレル10側に押し曲げられ、環状に膨出する環状ビード51が形成される。この場合において、環状ビード51の膨出外周面とは反対側の内周面は、マンドレル10の環状突条部11の外周面に圧着され、環状突条部11の形状が転写されるが、前述のように、環状溝23の幅(図1のLg)は、加工目標とする環状ビード51の外側膨出部の軸方向の幅と略等しく、径方向深さ(図1のHg)は外側膨出部の径方向高さより大に設定されているので、環状ビード51の外側膨出部の表面(外周面)と環状溝23の底面との間には常に空隙が形成されている。つまり、環状ビード51の外側裾縁部53,53が押圧されるのみで、外側膨出部の外周面は拘束されることはなく、非接触状態に維持されている。
この結果、環状ビード51の根元部(図7及び図9に52,52で示す)の薄肉化、高精度化が可能となり、図6に実線で示すような所望のばね特性を確保することができる。即ち、図7の左側に、本実施形態によるビーディング加工後のスペーサ50の一部の拡大断面を示し、図7の右側に基準板厚に対する増(+)減(−)を示したように、環状ビード51の両根元部52,52の板厚が等しく、且つ外側裾縁部53,53よりも若干薄くなるように高精度で形成されている。而して、図6に実線で示した“軸方向荷重−変位(軸方向撓み)”特性を確保することができる。尚、ワークW自体に、素材強度や板厚のばらつきが存在しても、ばらついた材料(余剰肉)は上記の環状溝23内の空隙に円滑に塑性流動して吸収されるので、根元部52,52を所定の形状に形成する際に悪影響を与えることはない。更に、同軸で平行に形成された一対の環状押圧部24,24によって回転成形されるため、ワークWの両端部(二つの直管部で、図9に示す外側裾縁部53,53)は真円度及び同軸度ともに、高精度で形成することができる。
図8はビーディング加工装置の全体構成を示すもので、図1のワークWからスペーサ50が製造され、ガイドローラ40が待機位置に後退し、ロール部材20が後退作動を開始する状態を示している。図8では、完成品のスペーサ50内にマンドレル10が配置された状態で、スペーサ50は受台31と押え部材32との間に挟持されている。マンドレル10には受台31が装着され、回転軸12を介して回動自在に支持台1に支持されている。そして、回転軸12はプーリ13及びベルト14(もしくはチェーン)を介してモータ15に連結されており、これらによって回転駆動機構が構成されている。
一方、ロール部材20は支軸21と共に押圧駆動機構たる油圧シリンダ25に連結されており、この油圧シリンダ25によってロール部材20がマンドレル10方向に平行移動するように駆動される。また、押え部材32はブラケット33を介して鉛直移動機構34に支持されると共に、エアシリンダ35によって鉛直方向に駆動されるように構成されている。尚、鉛直移動機構34は一般的なスライダ及びレールで構成されている。更に、ガイドローラ40が、スペーサ50を中心にロール部材20の反対側に配置されており、ビーディング加工時に適宜スペーサ50(ワークW)の外周面に押接されるように構成されている。
上記のロール部材20は、図1に示すように環状凸部22に環状溝23が形成され、その両側に一対の環状押圧部24,24が形成されたものであるが、図10に示すように、所定の軸方向距離を隔てて平行に配置する一対の円板26,26を環状押圧部として支軸21に固着することとしてもよい。この場合の円板26,26の板厚は、図1の環状押圧部24,24の軸方向の幅と等しく、両円板26,26間の間隙、即ち軸方向の幅は、加工目標とする環状ビード51(図10に二点鎖線で示す)の外側膨出部の軸方向長さと略等しく、そして円板26,26の外周面から支軸21までの距離は図1の環状溝23の径方向深さHg以上に設定すればよい。
また、上記の実施形態においては、マンドレル10を回転駆動すると共に、支軸21に回動自在に支持されたロール部材20を、マンドレル10の軸方向に移動するように構成されているが、逆に、ロール部材20をマンドレル10の軸回りに回転駆動すると共に、マンドレル10をロール部材20の軸方向に移動するように構成してもよい。更に、マンドレル10及びロール部材20の両者を回転駆動すると共に、両者の軸間距離を縮小するように駆動することとしてもよい。何れの場合も、回転にズレが生ずると環状ビードの形状精度が損なわれるので、相対的な関係が図1に示した実施形態と同様になるように制御する必要がある。尚、マンドレル10の環状突条部11とロール部材20の環状凸部22の形状を逆にすると、ワークW(筒状部材)の軸中心に向かって突出する環状ビード(図示せず)が形成される。更に、上記と同様のビーディング加工によって、筒状部材に対し複数条の環状ビードを形成することも可能である。
而して、上記のビーディング加工によって形成されたスペーサ50は、図11に示す特許文献4に記載の差動制限装置におけるスペーサ(図11に50xで示す)に供することができる。また、上記のビーディング加工と同様の加工方法によって、図12に示す特許文献5に記載のディファレンシャルの軸受装置におけるスペーサ(図12に50yで示す)を形成することもできる。
本発明の一実施形態に係るビーディング加工方法に供するマンドレルとロール部材の関係を示す断面図である。 本発明の一実施形態におけるビーディング加工状況を示す断面図である。 本発明の一実施形態におけるビーディング加工状況を示す断面図である。 本発明の一実施形態におけるビーディング加工状況を示す断面図である。 本発明の一実施形態におけるビーディング加工状況を示す断面図である。 本発明の一実施形態及び比較例におけるスペーサのばね特性を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るビーディング加工によって形成したスペーサの一部断面と、各部の基準板厚に対する増減を示す説明図である。 本発明の一実施形態に供するビーディング加工装置の全体構成を示す一部断面図である。 本発明の一実施形態に係るビーディング加工を行ったスペーサの斜視図である。 本発明の一実施形態に供するロール部材の他の例を示す正面図である。 スペーサを備えた従来の差動制限装置の断面図である。 スペーサを備えた従来のディファレンシャルの軸受装置の断面図である。
符号の説明
10 マンドレル(心金)
11 環状突条部
20 ロール部材
22 環状凸部
23 環状溝
24 環状押圧部
31 受台
32 押え部材
40 ガイドローラ
50 スペーサ
51 環状ビード
52 根元部
53 外側裾縁部
W ワーク(筒状部材)

Claims (6)

  1. 筒状部材の内側に心金を配置し、前記筒状部材の外周面にロール部材を押圧して、前記筒状部材の径方向外側に膨出した環状ビードを形成するビーディング加工方法において、加工目標とする前記環状ビードの外側膨出部に対して非接触状態を維持しながら、加工目標とする前記環状ビードの両側の外側裾縁部に対し前記ロール部材を押圧して加工目標の前記環状ビードを形成することを特徴とするビーディング加工方法。
  2. 前記筒状部材の軸方向両端面を保持した状態で、加工目標とする前記環状ビードの両側の外側裾縁部に対し前記ロール部材を押圧することを特徴とする請求項1記載のビーディング加工方法。
  3. 前記ロール部材による前記筒状部材の移動を規制するように案内しながら、加工目標とする前記環状ビードの両側の外側裾縁部に対し前記ロール部材を押圧することを特徴とする請求項1又は2記載のビーディング加工方法。
  4. 前記心金が、加工目標とする前記環状ビードの内周面に対応する外周面を有する環状突条部を備え、前記ロール部材が、加工目標とする前記環状ビードの外側膨出部の軸方向の幅と略等しい軸方向距離を隔てて平行に配置する一対の環状押圧部を備え、前記筒状部材の内側で、加工目標とする前記環状ビードの内周面に前記環状突条部が対向するように前記心金を配置し、加工目標とする前記環状ビードの両側の外側裾縁部に対し前記一対の環状押圧部を押圧するように前記ロール部材を配置すると共に、前記心金及び前記ロール部材の少なくとも一方を相対的に回転駆動することを特徴とする請求項1、2又は3記載のビーディング加工方法。
  5. 前記ロール部材が、加工目標とする前記環状ビードの外側膨出部の軸方向の幅と略等しい軸方向の幅を有する環状溝を形成し、該環状溝の両側に前記一対の環状押圧部を形成して成る環状凸部を備え、前記環状溝の軸方向の幅が、加工目標とする前記環状ビードの外側膨出部の軸方向長さと略等しく、前記環状溝の径方向深さが、加工目標とする前記環状ビードの外側膨出部の径方向高さより大に設定して成ることを特徴とする請求項4記載のビーディング加工方法。
  6. 前記筒状部材が、ディファレンシャル装置用スペーサであって、該スペーサの直径が軸方向長さより大であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のビーディング加工方法。
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