JP2005040805A - 耐熱部材加工部の封止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱材料は溶接性が良好でないため、溶融接合法による耐熱部材加工部の封止は困難である。非溶融接合法の拡散接合法では、部材における穴或いは溝の位置によってはインサート材の配置や加圧方法が困難な場合があり、摩擦圧接法の場合は、耐熱部材が高温においても高い強度を有するために半溶融状態での接合は非常に困難である。
【解決手段】前処理によって整形処理を施した耐熱部材の加工部或いは略同材質の封止部材のいずれか一方にインサート材の薄層を施す。その後、加工部に前記インサート材を介して耐熱部材と封止部材を配置し、一次処理として前記耐熱部材の加工部と封止部材とを接合手段によって接合させ、二次処理として加熱処理を施すことにより接合を強固にする。
【選択図】 図1
【解決手段】前処理によって整形処理を施した耐熱部材の加工部或いは略同材質の封止部材のいずれか一方にインサート材の薄層を施す。その後、加工部に前記インサート材を介して耐熱部材と封止部材を配置し、一次処理として前記耐熱部材の加工部と封止部材とを接合手段によって接合させ、二次処理として加熱処理を施すことにより接合を強固にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱部材加工部において、封止部材を接合する工程に関する耐熱部材加工部の封止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱部材は合金元素を多く含有している高融点の耐熱合金から成るために圧延加工や鍛造加工などが困難であり、これまで鋳造法で製作されることが多いという現状がある。これは溶解した耐熱合金を鋳型に注入して型取りをするものである。一般的な鋳型による鋳造プロセスの一例を図4に示す。原料成分を調整して原料の溶解を行い、溶解後、予め製作した鋳型に溶湯(溶融金属)を鋳込む。鋳型6が基盤12の上に設置され、溶湯は湯道8を通って型へ入る。ここでは、中子7により内部に空洞を有する型となっている。この中子7は中子支柱9により支えられている。溶湯は中子により形成される空洞11に注入される。溶湯が入っていくときには、空気抜き10から空洞11に存在する空気が排出される。空洞11に溶湯が注入されて鋳造品が形作られる。冷却過程を経て十分温度が低下した時点で鋳型を除去する。鋳型を除去した後の鋳造品は、機械加工等を施されて最終的な製品となる。
【0003】
このような製品の場合、図5に示すように、鋳造品には中子支柱9に起因する貫通の穴(A)が複数存在することになる。中子や型の状況によっては、鋳造品の表面に凹状態の溝(B)が生じることもある。また、表面の傷などを除去した場合にも同様の凹状態の溝が生じることがある。これらの貫通型の穴(A)や非貫通型の溝(B)に対しては多くの場合そのままの状態で使用されているが、製品が使用される部位或いは環境によっては貫通型の穴(A)や非貫通型の溝(B)を封止する必要がある。
【0004】
従来、貫通型の穴(A)や非貫通型の溝(B)を封止する方法としては、主に溶接方法がよく知られている。溶接ワイヤ等を用いて肉盛することにより、穴或いは溝を封止する方法が多くの材料を対象として広く用いられている。しかしながら、耐熱部材のような高融点合金は難溶接性として知られており、非常に小さな穴や溝の場合には部分的に使用されることもあるが、上記のような場合には従来用いられている溶接による封止工法は実施が困難である。
【0005】
また、上記の溶接方法のような溶融接合法の他に非溶融接合法がある。非溶融接合方法の一つとして拡散接合法が知られている。この方法は低融点材料から成るインサート材を介して二つの部材を密着させてから高温に加熱してインサート材を溶融させることにより両部材を接合する手法である。
【0006】
例えば、(1)特開平6−15464号公報には、接合しようとする金属の接合面の少なくとも一方にろう材を溶射して機械的に密着した皮膜を形成し、次に双方の部材を加圧治具よりなる電極にて挟着し、加圧しながら通電し、その抵抗過熱により、溶射膜を溶融拡散させることにより接合する拡散ろう付けを行うことが開示されている。
【0007】
また、非溶融接合法の他の方法としては摩擦圧接法が知られている。本方法は回転する部材を他方の部材に押し付けて、その摩擦熱により両部材を半溶融状態にして両者を接合する方法である。例えば、(2)特開2001−138067号公報には、回転摩擦発熱により被接合材の接合部を加熱して接合させる摩擦加熱接合方法であって、被接合材の接合部にろう材供給装置よりろう材を供給するとともに、該ろう材を前記回転摩擦発熱により溶融させて接合部をろう付けすることが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−15464号公報
【特許文献2】
特開2001−138067号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、耐熱材料は溶接性が良好でないために、溶接方法などの溶融接合法による封止方法は困難である。そのため、非溶融接合法を用いて接合を行うが、前記(1)では、部材における穴或いは溝の位置によっては、通電装置の配置や加圧方法が困難な場合があり、従来の方法ではその適用が制限される場合が生じる。また、前記(2)では、ろう材の高温強度が低いために、高温強度を要求する部位において、その使用が困難であった。
【0010】
本発明の目的は、このような耐熱部材加工部を合理的に封止する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の耐熱部材加工部の封止方法においては、耐熱部材の加工部或いは封止部材の少なくともいずれか一方にインサート材の層を施し、加工部にインサート材を介して耐熱部材と封止部材を配置し、耐熱部材の加工部と封止部材とを接合手段によって接合させ、その後、加熱処理を施すことを特徴としたものである。
【0012】
また、本発明の耐熱部材加工部の封止方法においては、接合手段は耐熱部材と封止部材の線膨張差の差を利用し接合することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の耐熱部材加工部の封止方法においては、接合手段は封止部材を用いた摩擦圧接を利用し接合させることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の耐熱部材加工部の封止方法においては、封止部材の材質として、耐熱部材とほぼ同一のものを用いることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
【0016】
図1に本発明の封止方法のプロセス図を示す。本プロセスは図に示すS1からS6の6ステップから成る。以下に各ステップの内容を説明する。
【0017】
S1:最初のステップとして、封止しようとする耐熱部材において、前処理として当該穴或いは溝に整形処理を施す。具体的には、穴或いは溝の内表面の清浄化,粗さ調整などを行う。
【0018】
S2:次のステップでは、耐熱部材の加工部或いは略同材質の封止部材の少なくともいずれか一方にインサート材の薄層を施す。インサート材の薄層は、薄い箔状のものを貼り付けるなどして固定してもよい。また、粉末状のものを塗布してもよいし、或いはメッキや溶射により加工部又は封止材に固着してもよい。ここで、耐熱部材の穴又は溝と封止材の寸法は基本的に同一とするが、封止材の方が若干大きい寸法でもよい。
【0019】
S3:次のステップでは、当該加工部に前記インサート材を介して耐熱部材と封止部材を配置する。
【0020】
S4:本発明の封止方法では、接合プロセスは一次処理(S4)と二次処理
(S5)から成っている。一次処理は機械的な接合手段或いは半溶融状態による接合手段であり、二次処理は加熱によって強固な接合状態を得る手段である。
【0021】
一次処理としての接合手段は、前記耐熱部材の加工部と封止部材との線膨張差の差を利用し接合する手段、或いは封止部材を用いた摩擦圧接を利用し接合させる手段によって接合する手段である。
【0022】
前者は、耐熱部材と封止部材の線膨張差の差を利用して両者を接合する手段であり、この場合封止材は耐熱部材と同材質又は線膨張係数が当該耐熱部材よりも大きい材料とする。同材質の場合は当該の穴又は溝よりも若干大きめの寸法が好ましい。温度差は前述のように、両者の寸法差や封止材の線膨張係数により決められる。また、温度差を設けて保持する時間は封止材が均一な温度になるのに十分なものとする。いずれの場合においても、封止材は耐熱部材にある穴又は溝よりも寸法が小さくなり、当該穴又は溝に容易に挿入することができる。
【0023】
後者では、封止材を圧接により当該穴或いは溝に挿入する接合手段である。圧接により耐熱部材,インサート材そして封止材とを接合する。
【0024】
また、耐熱部材の板厚が厚い場合には、製品の使用状況を考慮して、加工部の全板厚分を封止しなくてもよい。封止材を圧接により接合する場合、穴或いは溝が大きいときには複数回の施工によって接合してもよい。
【0025】
S5:次のステップとして、二次処理として加熱処理を施すことにより接合を強固にするステップである。本ステップでは、インサート材が溶融することにより耐熱部材及び封止材との間に拡散領域が形成され、その結果両者の間に強固な接合部分が形成される。
【0026】
この本ステップの加熱雰囲気においては、酸化防止のために真空中又は、アルゴンガスなどの不活性ガス中又は窒素ガス中で行うのが好ましい。加熱温度は当該耐熱部材の溶体化温度近傍が好ましい。この温度における加熱処理で耐熱部材は適正な材料特性が得られ、又インサート材は十分に溶融して耐熱部材へ拡散できるからである。
【0027】
S6:最後のステップでは、後処理として整形加工を施す。具体的には、表面に突出している封止材を削除するなどの加工である。但し、製品の使用状況や封止材の形状によっては本ステップを省略することも可能である。
【0028】
なお、上記方法に用いる耐熱部材及び封止部材は鉄基合金,ニッケル基合金,コバルト基合金であり、またインサート材はBを含有する鉄基合金,ニッケル基合金,コバルト基合金等の低融点合金を用いることが可能である。
【0029】
以下、本発明による封止方法の更に詳細な実施例を説明する。
【0030】
[実施例1]
先ず耐熱部材加工部が貫通型穴の場合の例を図2に示す。
【0031】
(a)は前処理ステップであり、内表面を加工した貫通穴2が設けてある耐熱部材1を示す。材質は市販のNi基合金である。
【0032】
(b)は、貫通穴2の内面に低融点インサート材3を塗布した状況を示す。本インサート材3は、Bを含有するNi基低融点合金である。封止材4は傘付きのピン形状であるため、貫通穴2から抜け落ちない構造となっており、その材質としてJIS規格材NCF625を用いる。穴の形状によっては単純な円筒状のピンでもよい。
【0033】
(c)は一次処理の状態を示す。インサート材3を塗布した貫通穴2に、−200℃に冷却した封止材4を挿入した状態を示す。耐熱部材加工部と挿入された封止材4とが同一温度になると封止材4が熱膨張するために、両者はインサート材3を介して機械的に接合する。挿入後、両者を一旦室温に保持した。
【0034】
(d)は二次処理の状態を示す。ここでは、アルゴンガス雰囲気中において加熱温度1100℃で2時間保持した後の状態を示す。この方法により、封止材4と耐熱部材1は溶融拡散したインサート材3を介して強固に接合されていることが示された。
【0035】
(e)は二次処理に続く後処理の状態を示す。封止材4の傘部を削除する整形加工を実施した。
【0036】
以上の方法により、当該耐熱部材の穴は封止材により十分に封止されていることが示された。なお、前述の接合手段として摩擦圧接を用いても同様な効果が得られる。
【0037】
[実施例2]
次に、非貫通型穴(溝)の場合の実施例を図3に示す。
【0038】
(a)は前処理ステップの状態であり、表面を加工した非貫通型穴(溝)5が設けてある耐熱部材1を示す。材質は実施例1と同一の材料であり市販のNi基合金である。
【0039】
(b)では非貫通穴(溝)5の内面に低融点インサート材3を塗布した状況を示す。本インサート材3はBを含有するNi基低融点合金を用いている。封止材4は、テーパ付きの円柱形状である。その材料はJIS規格のNCF625であり実施例1と同一の材料である。
【0040】
(c)は一次処理の状態を示す。インサート材3を塗布した非貫通型穴(溝)5に、封止材4を回転しながら加圧挿入した状態を示す。この場合、封止材4は耐熱部材1と接触する程度にしておく。
【0041】
(d)は二次処理の状態を示す。ここではアルゴンガス雰囲気中において加熱温度1100℃で2時間保持した後の状態を示す。封止材4と耐熱部材1は溶融拡散したインサート材を介して強固に接合されていることが示された。
【0042】
(e)は後処理を示す。封止材4の余長部を削除して、表面の整形加工した状態を示す。封止材4はある長さを有して挿入されるので、挿入後余長部を切断する必要がある。
【0043】
以上の方法により、当該耐熱部材の非貫通型穴(溝)は封止材により十分に封止されていることが示された。なお、前述の接合手段として線膨張係数の差を利用した方法を用いても同様な効果が得られる。
【0044】
また、上述した実施例ではインサート材の層を封止材に形成したが、このインサート材の層を耐熱部材側に形成しても同様の効果を得ることが出来る。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、溶融接合が困難な耐熱部材加工部においても、インサート材を介して封止材を貫通型の穴又は非貫通型の溝に挿入して、加熱によって耐熱部材加工部と封止材とを強固に接合できる封止方法を提供することを実現したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本封止方法のプロセスを示す図。
【図2】第1の封止方法を示す図。
【図3】第2の封止方法を示す図。
【図4】鋳造方法の一例を示す図。
【図5】貫通穴及び溝形状を示す図。
【符号の説明】
1…耐熱部材、2…貫通型の穴、3…インサート材、4…封止材、5…非貫通型の溝。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱部材加工部において、封止部材を接合する工程に関する耐熱部材加工部の封止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱部材は合金元素を多く含有している高融点の耐熱合金から成るために圧延加工や鍛造加工などが困難であり、これまで鋳造法で製作されることが多いという現状がある。これは溶解した耐熱合金を鋳型に注入して型取りをするものである。一般的な鋳型による鋳造プロセスの一例を図4に示す。原料成分を調整して原料の溶解を行い、溶解後、予め製作した鋳型に溶湯(溶融金属)を鋳込む。鋳型6が基盤12の上に設置され、溶湯は湯道8を通って型へ入る。ここでは、中子7により内部に空洞を有する型となっている。この中子7は中子支柱9により支えられている。溶湯は中子により形成される空洞11に注入される。溶湯が入っていくときには、空気抜き10から空洞11に存在する空気が排出される。空洞11に溶湯が注入されて鋳造品が形作られる。冷却過程を経て十分温度が低下した時点で鋳型を除去する。鋳型を除去した後の鋳造品は、機械加工等を施されて最終的な製品となる。
【0003】
このような製品の場合、図5に示すように、鋳造品には中子支柱9に起因する貫通の穴(A)が複数存在することになる。中子や型の状況によっては、鋳造品の表面に凹状態の溝(B)が生じることもある。また、表面の傷などを除去した場合にも同様の凹状態の溝が生じることがある。これらの貫通型の穴(A)や非貫通型の溝(B)に対しては多くの場合そのままの状態で使用されているが、製品が使用される部位或いは環境によっては貫通型の穴(A)や非貫通型の溝(B)を封止する必要がある。
【0004】
従来、貫通型の穴(A)や非貫通型の溝(B)を封止する方法としては、主に溶接方法がよく知られている。溶接ワイヤ等を用いて肉盛することにより、穴或いは溝を封止する方法が多くの材料を対象として広く用いられている。しかしながら、耐熱部材のような高融点合金は難溶接性として知られており、非常に小さな穴や溝の場合には部分的に使用されることもあるが、上記のような場合には従来用いられている溶接による封止工法は実施が困難である。
【0005】
また、上記の溶接方法のような溶融接合法の他に非溶融接合法がある。非溶融接合方法の一つとして拡散接合法が知られている。この方法は低融点材料から成るインサート材を介して二つの部材を密着させてから高温に加熱してインサート材を溶融させることにより両部材を接合する手法である。
【0006】
例えば、(1)特開平6−15464号公報には、接合しようとする金属の接合面の少なくとも一方にろう材を溶射して機械的に密着した皮膜を形成し、次に双方の部材を加圧治具よりなる電極にて挟着し、加圧しながら通電し、その抵抗過熱により、溶射膜を溶融拡散させることにより接合する拡散ろう付けを行うことが開示されている。
【0007】
また、非溶融接合法の他の方法としては摩擦圧接法が知られている。本方法は回転する部材を他方の部材に押し付けて、その摩擦熱により両部材を半溶融状態にして両者を接合する方法である。例えば、(2)特開2001−138067号公報には、回転摩擦発熱により被接合材の接合部を加熱して接合させる摩擦加熱接合方法であって、被接合材の接合部にろう材供給装置よりろう材を供給するとともに、該ろう材を前記回転摩擦発熱により溶融させて接合部をろう付けすることが開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−15464号公報
【特許文献2】
特開2001−138067号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、耐熱材料は溶接性が良好でないために、溶接方法などの溶融接合法による封止方法は困難である。そのため、非溶融接合法を用いて接合を行うが、前記(1)では、部材における穴或いは溝の位置によっては、通電装置の配置や加圧方法が困難な場合があり、従来の方法ではその適用が制限される場合が生じる。また、前記(2)では、ろう材の高温強度が低いために、高温強度を要求する部位において、その使用が困難であった。
【0010】
本発明の目的は、このような耐熱部材加工部を合理的に封止する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の耐熱部材加工部の封止方法においては、耐熱部材の加工部或いは封止部材の少なくともいずれか一方にインサート材の層を施し、加工部にインサート材を介して耐熱部材と封止部材を配置し、耐熱部材の加工部と封止部材とを接合手段によって接合させ、その後、加熱処理を施すことを特徴としたものである。
【0012】
また、本発明の耐熱部材加工部の封止方法においては、接合手段は耐熱部材と封止部材の線膨張差の差を利用し接合することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の耐熱部材加工部の封止方法においては、接合手段は封止部材を用いた摩擦圧接を利用し接合させることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の耐熱部材加工部の封止方法においては、封止部材の材質として、耐熱部材とほぼ同一のものを用いることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
【0016】
図1に本発明の封止方法のプロセス図を示す。本プロセスは図に示すS1からS6の6ステップから成る。以下に各ステップの内容を説明する。
【0017】
S1:最初のステップとして、封止しようとする耐熱部材において、前処理として当該穴或いは溝に整形処理を施す。具体的には、穴或いは溝の内表面の清浄化,粗さ調整などを行う。
【0018】
S2:次のステップでは、耐熱部材の加工部或いは略同材質の封止部材の少なくともいずれか一方にインサート材の薄層を施す。インサート材の薄層は、薄い箔状のものを貼り付けるなどして固定してもよい。また、粉末状のものを塗布してもよいし、或いはメッキや溶射により加工部又は封止材に固着してもよい。ここで、耐熱部材の穴又は溝と封止材の寸法は基本的に同一とするが、封止材の方が若干大きい寸法でもよい。
【0019】
S3:次のステップでは、当該加工部に前記インサート材を介して耐熱部材と封止部材を配置する。
【0020】
S4:本発明の封止方法では、接合プロセスは一次処理(S4)と二次処理
(S5)から成っている。一次処理は機械的な接合手段或いは半溶融状態による接合手段であり、二次処理は加熱によって強固な接合状態を得る手段である。
【0021】
一次処理としての接合手段は、前記耐熱部材の加工部と封止部材との線膨張差の差を利用し接合する手段、或いは封止部材を用いた摩擦圧接を利用し接合させる手段によって接合する手段である。
【0022】
前者は、耐熱部材と封止部材の線膨張差の差を利用して両者を接合する手段であり、この場合封止材は耐熱部材と同材質又は線膨張係数が当該耐熱部材よりも大きい材料とする。同材質の場合は当該の穴又は溝よりも若干大きめの寸法が好ましい。温度差は前述のように、両者の寸法差や封止材の線膨張係数により決められる。また、温度差を設けて保持する時間は封止材が均一な温度になるのに十分なものとする。いずれの場合においても、封止材は耐熱部材にある穴又は溝よりも寸法が小さくなり、当該穴又は溝に容易に挿入することができる。
【0023】
後者では、封止材を圧接により当該穴或いは溝に挿入する接合手段である。圧接により耐熱部材,インサート材そして封止材とを接合する。
【0024】
また、耐熱部材の板厚が厚い場合には、製品の使用状況を考慮して、加工部の全板厚分を封止しなくてもよい。封止材を圧接により接合する場合、穴或いは溝が大きいときには複数回の施工によって接合してもよい。
【0025】
S5:次のステップとして、二次処理として加熱処理を施すことにより接合を強固にするステップである。本ステップでは、インサート材が溶融することにより耐熱部材及び封止材との間に拡散領域が形成され、その結果両者の間に強固な接合部分が形成される。
【0026】
この本ステップの加熱雰囲気においては、酸化防止のために真空中又は、アルゴンガスなどの不活性ガス中又は窒素ガス中で行うのが好ましい。加熱温度は当該耐熱部材の溶体化温度近傍が好ましい。この温度における加熱処理で耐熱部材は適正な材料特性が得られ、又インサート材は十分に溶融して耐熱部材へ拡散できるからである。
【0027】
S6:最後のステップでは、後処理として整形加工を施す。具体的には、表面に突出している封止材を削除するなどの加工である。但し、製品の使用状況や封止材の形状によっては本ステップを省略することも可能である。
【0028】
なお、上記方法に用いる耐熱部材及び封止部材は鉄基合金,ニッケル基合金,コバルト基合金であり、またインサート材はBを含有する鉄基合金,ニッケル基合金,コバルト基合金等の低融点合金を用いることが可能である。
【0029】
以下、本発明による封止方法の更に詳細な実施例を説明する。
【0030】
[実施例1]
先ず耐熱部材加工部が貫通型穴の場合の例を図2に示す。
【0031】
(a)は前処理ステップであり、内表面を加工した貫通穴2が設けてある耐熱部材1を示す。材質は市販のNi基合金である。
【0032】
(b)は、貫通穴2の内面に低融点インサート材3を塗布した状況を示す。本インサート材3は、Bを含有するNi基低融点合金である。封止材4は傘付きのピン形状であるため、貫通穴2から抜け落ちない構造となっており、その材質としてJIS規格材NCF625を用いる。穴の形状によっては単純な円筒状のピンでもよい。
【0033】
(c)は一次処理の状態を示す。インサート材3を塗布した貫通穴2に、−200℃に冷却した封止材4を挿入した状態を示す。耐熱部材加工部と挿入された封止材4とが同一温度になると封止材4が熱膨張するために、両者はインサート材3を介して機械的に接合する。挿入後、両者を一旦室温に保持した。
【0034】
(d)は二次処理の状態を示す。ここでは、アルゴンガス雰囲気中において加熱温度1100℃で2時間保持した後の状態を示す。この方法により、封止材4と耐熱部材1は溶融拡散したインサート材3を介して強固に接合されていることが示された。
【0035】
(e)は二次処理に続く後処理の状態を示す。封止材4の傘部を削除する整形加工を実施した。
【0036】
以上の方法により、当該耐熱部材の穴は封止材により十分に封止されていることが示された。なお、前述の接合手段として摩擦圧接を用いても同様な効果が得られる。
【0037】
[実施例2]
次に、非貫通型穴(溝)の場合の実施例を図3に示す。
【0038】
(a)は前処理ステップの状態であり、表面を加工した非貫通型穴(溝)5が設けてある耐熱部材1を示す。材質は実施例1と同一の材料であり市販のNi基合金である。
【0039】
(b)では非貫通穴(溝)5の内面に低融点インサート材3を塗布した状況を示す。本インサート材3はBを含有するNi基低融点合金を用いている。封止材4は、テーパ付きの円柱形状である。その材料はJIS規格のNCF625であり実施例1と同一の材料である。
【0040】
(c)は一次処理の状態を示す。インサート材3を塗布した非貫通型穴(溝)5に、封止材4を回転しながら加圧挿入した状態を示す。この場合、封止材4は耐熱部材1と接触する程度にしておく。
【0041】
(d)は二次処理の状態を示す。ここではアルゴンガス雰囲気中において加熱温度1100℃で2時間保持した後の状態を示す。封止材4と耐熱部材1は溶融拡散したインサート材を介して強固に接合されていることが示された。
【0042】
(e)は後処理を示す。封止材4の余長部を削除して、表面の整形加工した状態を示す。封止材4はある長さを有して挿入されるので、挿入後余長部を切断する必要がある。
【0043】
以上の方法により、当該耐熱部材の非貫通型穴(溝)は封止材により十分に封止されていることが示された。なお、前述の接合手段として線膨張係数の差を利用した方法を用いても同様な効果が得られる。
【0044】
また、上述した実施例ではインサート材の層を封止材に形成したが、このインサート材の層を耐熱部材側に形成しても同様の効果を得ることが出来る。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、溶融接合が困難な耐熱部材加工部においても、インサート材を介して封止材を貫通型の穴又は非貫通型の溝に挿入して、加熱によって耐熱部材加工部と封止材とを強固に接合できる封止方法を提供することを実現したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本封止方法のプロセスを示す図。
【図2】第1の封止方法を示す図。
【図3】第2の封止方法を示す図。
【図4】鋳造方法の一例を示す図。
【図5】貫通穴及び溝形状を示す図。
【符号の説明】
1…耐熱部材、2…貫通型の穴、3…インサート材、4…封止材、5…非貫通型の溝。
Claims (4)
- 耐熱部材の加工部或いは封止部材の少なくともいずれか一方にインサート材の層を施し、加工部に前記インサート材を介して耐熱部材と封止部材を配置し、前記耐熱部材の加工部と封止部材とを接合手段によって接合させ、その後、加熱処理を施すことを特徴とする耐熱部材加工部の封止方法。
- 請求項1において、前記接合手段として耐熱部材と封止部材の線膨張の差を利用し接合することを特徴とする耐熱部材加工部の封止方法。
- 請求項1において、前記接合手段として封止部材を用いた摩擦圧接を利用し接合させることを特徴とする耐熱部材加工部の封止方法。
- 請求項1において、
前記封止部材の材質として、前記耐熱部材とほぼ同一のものを用いることを特徴とする耐熱部材加工部の封止方法。
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JP2003200832A JP2005040805A (ja) | 2003-07-24 | 2003-07-24 | 耐熱部材加工部の封止方法 |
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WO2008120428A1 (ja) * | 2007-03-29 | 2008-10-09 | Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha | 接合方法および接合装置 |
-
2003
- 2003-07-24 JP JP2003200832A patent/JP2005040805A/ja active Pending
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WO2008120428A1 (ja) * | 2007-03-29 | 2008-10-09 | Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha | 接合方法および接合装置 |
JP5002005B2 (ja) * | 2007-03-29 | 2012-08-15 | 川崎重工業株式会社 | 接合方法および接合装置 |
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