JP2693974B2 - 筒状積層材の拡散接合方法 - Google Patents

筒状積層材の拡散接合方法

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JP2693974B2
JP2693974B2 JP63235344A JP23534488A JP2693974B2 JP 2693974 B2 JP2693974 B2 JP 2693974B2 JP 63235344 A JP63235344 A JP 63235344A JP 23534488 A JP23534488 A JP 23534488A JP 2693974 B2 JP2693974 B2 JP 2693974B2
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豊之 東野
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、例えば医療用機器,分析機器,電子機器お
よびこれらの部品等に使われる筒状積層材の拡散接合方
法に関する。
[従来の技術] モリブデン,タングステン,チタン,鉄,クロム,
銀,マンガン,ニッケル等からなる被接合材を、例えば
銅あるいは銅合金からなる金属基材に接合する手段とし
て、ろう付,蒸着,めっき等が知られている。
ろう付としては銀ろう付が一般的であるが、高温時
の接合部の強度に問題があり、熱応力あるいは外力によ
る剪断力が負荷された場合にろう付部から剥離する可能
性がある。また、円筒形の部材の外周面全体に均一にろ
う付することは技術的に難しく、使用中にろう付不良箇
所が冷却不足となって局部的な温度上昇を生じ、剥離す
る可能性が高い。また、チタンやクロム,モリブデン等
はろう材との濡れ性が悪いため、ろう付自体が不可能な
場合もある。
蒸着は、被接合材を真空蒸着法やイオンプレーティ
ング,スパッタリング法などによって金属基材の外周面
にコーティングする方法であるが、コーティング速度が
きわめて遅く、必要厚(例えば30〜100μm)にするの
に長時間を要する。また、コーティング厚が大になると
不可避的に発生する残留応力により剥離しやすくなる。
めっきによる場合、被接合材はめっき可能な金属
(銀,鉄,ニッケル,クロム等)に限られるから、材料
的な制約が大きい。また、めっきは液中で行なわれるた
め、真空で高温にさらされると、めっき時に吸着された
液分がガス化しやすく、界面から剥離する可能性があ
る。また、蒸着の場合と同様に被接合材の厚みに大きな
制約を受ける。
上記,,の各方法に比べて、拡散接合は接合強
度および高温時の強度が高く、しかも欠陥のない安定し
た接合部が得られる。拡散接合は、接合したい部材を真
空中または不活性ガスもしくは還元ガス雰囲気中で高温
に加熱するとともに、接合部に荷重を負荷した状態で所
定の時間保持することにより、部材相互の接触部を通じ
て原子の相互拡散を生じさせて固相状態のまま接合を行
なう方法である。拡散接合によって被接合材を接合した
場合、ろう付のような低融点部分がないため高温強度に
優れ、各種の被接合材全てに適用可能であり、被接合材
の厚みを大きくとれ、しかもめっきのような接合界面か
らのガスの発生を生じないなど、優れた特性を発揮でき
る。
拡散接合を行なうための設備としては、ホットプレス
装置あるいはHIP(熱間等方加圧装置)を適用できる。
ホットプレス装置は、真空炉あるいは雰囲気炉にプレス
を貫通して設け、真空あるいは還元ガス,不活性ガス雰
囲気中で加熱とプレスを行なえるようにした装置であ
る。HIPは、接合部材を塑性変形容易な金属製密閉容器
(一般的には低炭素鋼からなる容器)の内部に収容し、
この容器の外側からのガスの圧力によって容器ごと接合
部材を全方向から加圧するようになっている。
[発明が解決しようとする課題] 前述したホットプレス装置の場合、通常は加圧方向が
一方向(垂直方向)のみであるから、部材の幅方向(径
方向)に接合させることが困難である。これに対しHIP
は全方向からの接合が可能であるが、容器も一緒に接合
されてしまうため、接合後に容器を除去するための手間
のかかる加工が必要である。
なお、本発明者らによって提案された金属と黒鉛から
なる複合材の製造方法(特開昭62-146625号公報)にお
いては、被接合材に黒鉛が使用されている。黒鉛は塑性
変形せず割れやすいから、高温接合時にはこの黒鉛製被
接合材を拡径させるような力が加わらないように格別の
配慮が必要であった。
従って本発明の目的は、金属基材の外周部に、金属製
被接合材を比較的簡単な工程により高品質に接合させる
ことができるような拡散接合方法を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] 上記目的を果たすための本発明方法は、円筒状の金属
基材と、この金属基材の外周側に設けられかつ上記金属
基材よりも熱膨張率が小さい被接合材と、常温において
上記金属基材の内径よりも大きな外径を有しかつ上記金
属基材よりも熱膨張率の小さな材料からなる要具とを使
用する拡散接合方法であって、上記金属基材の外周側に
上記被接合材をセットするとともにこれら金属基材およ
び被接合材を拡散接合可能な温度まで昇温させその昇温
途中あるいは昇温後に拡径状態にある金属基材の内部に
上記要具を所定位置に挿入しておき、その後の降温過程
において上記要具の外周部によって上記金属基材の熱収
縮を内側から阻止した状態で被接合材と金属基材との拡
散接合を終了させることを特徴とする。
なお、場合によっては上記接合材の外側に、この被接
合材を収容可能で接合温度まで加熱された時に被接合材
の外周面と密接するような寸法の内周面をもつ治具をセ
ットしてもよい。この治具と上記要具の材質は炭素また
は炭化珪素(SiC)が適している。
[作用] 上記金属基材の外周側に上記被接合材および必要に応
じて上記治具をセットする。金属基材および被接合材を
拡散接合可能な温度まで加熱すると、金属基材と被接合
材は共に熱膨張により拡径する。そして昇温の途中ある
いは昇温後に上記要具を金属基材内部の所定位置に挿入
しておく。その後の降温過程においては金属基材と被接
合材とが共に熱収縮を生じるが、金属基材の内部に挿入
されている熱収縮率の小さな要具によって金属基材の熱
収縮が内側から阻止されるため、被接合材の内周面と金
属基材の外周面とが強固に密接した状態を維持したまま
拡散接合が終了する。
[実施例] 以下に本発明の一実施例について第1図ないし第4図
を参照して説明する。
第1図において、銅製の金属基材1は底部2を有した
円筒状をなしている。この金属基材1の内面3は、一端
側から他端側(底部2側)に向かって内径が狭まるテー
パ状に加工されている。金属基材1の外径は軸方向の全
長にわたって実質的に一定である。
金属基材1のテーパ状内面3に挿入される要具5は黒
鉛製である。但し金属基材1よりも熱膨張率の小さなも
のであれば黒鉛以外(例えばSiC等)であってもよい。
この要具5は円錐台状をなしており、金属基材1のテー
パ状内面3と同一傾斜角のテーパ状外周面6を有してい
る。この要具5の外径および長さは、常温(室温)にお
いて第1図に示されるようにテーパ状内面3の軸方向の
途中まで要具5を挿入できるような寸法としてある。要
具5は、その自重によって真空雰囲気中で図示上方から
荷重が加わるようになっている。
金属基材1の外周側に設けられる被接合材8は円筒状
をなしている。この被接合材8は例えばニッケル製であ
り、常温における被接合材8の内径Bは金属基材1の外
径Aよりも大きい。一例としてA=φ96.5mm,B=φ97.0
mmであり、金属基材1の外周面9と被接合材8の内周面
10との間に隙間12が生じる。被接合材8の材料は、目的
に応じてニッケル以外にモリブデン,タングステン,チ
タン,鉄,クロム,銀,マンガン等が使用され、望まし
くは拡散接合の容易な融点600℃以上の合金を選ぶ。被
接合材8の内径Bは、金属基材1と被接合材8を接合温
度まで加熱した時に両者が丁度密接できるように接合温
度と熱膨張差を考慮して決める。
被接合材8の外周側に配置されるダイス治具15は黒鉛
製である。但し金属基材1と被接合材8よりも熱膨張率
の小さなものであれば黒鉛以外(例えばSiC等)であっ
てもよい。この治具15は、常温において被接合材8の外
径Cよりも大きな内径Dのダイス孔内周面16を有してい
る。常温での寸法は一例としてC=φ99.0mm,D=φ101.
0mmであり、被接合材8の外周面17と治具15の内周面16
との間には隙間18があく。
上記金属基材1と被接合材8を拡散接合させるには、
まず第1図に示されるように、常温で金属基材1のテー
パ状内面3に要具5を軸方向の途中まで挿入しておくと
ともに、金属基材1の外周側に被接合材8と治具15をセ
ットする。
次に金属基材1と被接合材8を要具5および治具15と
共に加熱し、かつ真空ポンプ等によってホットプレス内
の真空引きを行ない、金属基材1と被接合材8の接合温
度(本実施例では銅とニッケルが拡散接合する温度)ま
で一定の割合で昇温させる。この昇温の途中において、
金属基材1と被接合材8は共に熱膨張して径が拡大する
ため、要具5は自重によって次第にテーパ状内面3の奥
の方まで落ちてゆく。また、銅製の金属基材1は被接合
材8よりも熱膨張率が大きいため、第2図に示されるよ
うに要具5が途中まで落込んだところで金属基材1の外
周面9が被接合材8の内周面10に密接する。この時の寸
法は、A1=φ97.5mm,C1=φ99.5mm,D1=φ101.5mmであ
る。
接合温度(一例として1000℃前後)に達すると、第3
図に示されるように金属基材1の径と被接合材8の径が
更に拡大するため、治具15の内周面16によって被接合材
8の外周面の拡径が拘束される。この状態を一定時間保
持する。これによって金属基材1の外周面9と被接合材
8の内周面10との間に大きな面圧が負荷されるので、両
者間に完全な接合状態が得られる。しかも被接合材8の
外周面17が全面にわたって黒鉛治具15の内周面16によっ
て規制されるため、接合後に安定した形状寸法を得るこ
とができる。接合時の寸法例は、A2=φ99.5mm,D2=φ
101.5mm,E=φ91.0mmである。接合温度は使用材料によ
って相違するが、おおむね600℃から1020℃である。
接合後の降温過程においては、金属基材1と被接合材
8が共に熱収縮するが、金属基材1の内面側から熱収縮
率の小さな要具5によって内側から押え付けられている
ため、金属基材1と被接合材8は共に一体化したままほ
ぼ熱膨張時の径に維持される。従って金属基材1と被接
合材8の接合部は強固に拘束し合い、この状態が維持さ
れたまま拡散接合が終了する。この降温工程では所定時
間かけてゆっくりと冷却し、最終的に常温に戻す。この
冷却過程における温度降下率は接合前の昇温過程におけ
る温度上昇率よりも小さくするとよい。
接合後は、冷却過程の途中または常温に戻ったところ
で、適宜の機械的処理によって要具5を除去する。要具
5は黒鉛製であるから容易に除去できる。また必要に応
じて被接合材8の外周部を所定の寸法に仕上げ機械加工
するとともに、金属基材1の内周部にも必要に応じて仕
上げ加工を行なうことによって、第4図に例示したよう
な筒状積層材20が得られる。仕上げ加工後の寸法例は、
3=φ99.0mm,D3=φ100.0mm,E3=φ93.0mmである。
なお、第5図に示されるように非テーパ状(円柱状)
の要具5を使用してもよい。この場合、金属基材1と被
接合材8とが接合温度まで加熱された時に金属基材1の
内径Eと要具5の外径とがほぼ一致するようにし、かつ
金属基材1の内面形状を上下方向に実質的にストレート
にする。従ってこの要具5は、金属基材1を接合温度ま
で加熱し拡径させた状態において金属基材1に挿入す
る。それ以外は前記実施例と同様でよい。なお、要具5
を金属基材1に挿入しやすくするために要具5の先端縁
部に若干の面取り加工部21を設けてもよい。
[発明の効果] 本発明によれば、金属基材に所望厚みの被接合材を強
固にかつ欠陥を生じることなく拡散接合でき、その接合
面はきわめて良質であり、高温での使用にも長期間充分
耐えることができる。また本発明では、接合時に拡径し
た金属基材が、その内側の要具によって拡径状態に維持
されたまま接合して製品となるため、高純度で高価な被
接合材を効率よく使用でき、低コスト化にも寄与でき
る。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図はそれぞれ本発明の一実施例方法を
工程順に示すそれぞれ断面図、第4図は接合後に仕上げ
加工された製品の断面図、第5図は金属基材と要具の変
形例を示す断面図である。 1……金属基材、5……要具、8……被接合材、15……
治具。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 直 神奈川県横浜市磯子区新磯子町1番地 株式会社日発グループ中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭49−130406(JP,A) 特開 昭56−23392(JP,A) 特開 昭59−39488(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒状の金属基材と、この金属基材の外周
    側に設けられかつ上記金属基材よりも熱膨張率が小さい
    被接合材と、常温において上記金属基材の内径よりも大
    きな外径を有しかつ上記金属基材よりも熱膨張率の小さ
    な材料からなる要具とを使用する拡散接合方法であっ
    て、 上記金属基材の外周側に上記被接合材をセットするとと
    もにこれら金属基材および被接合材を拡散接合可能な温
    度まで昇温させその昇温途中あるいは昇温後に拡径状態
    にある金属基材の内部に上記要具を所定位置に挿入して
    おき、その後の降温過程において上記要具の外周部によ
    って上記金属基材の熱収縮を内側から阻止した状態で被
    接合材と金属基材との拡散接合を終了させることを特徴
    とする筒状積層材の拡散接合方法。
  2. 【請求項2】上記金属基材が銅または銅合金からなり、
    上記要具が黒鉛または炭化珪素からなる請求項1記載の
    筒状積層材の拡散接合方法。
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