JP2005039796A - Cdma通信装置およびcdma通信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させること。
【解決手段】 拡散部110−1〜110−nは、それぞれ送信信号1〜nに対して拡散処理を行う。座標変換部120−1〜120−nは、拡散処理後の信号の同相成分と直交成分とを1チップごとに入れ替える。多重部130は、n個の座標変換後の信号と伝送路補償のための既知信号とを多重する。座標変換部250−1〜250−nは、送信側の座標変換部120−1〜120−nによる座標変換を元に戻すように、P/S変換部240から出力されるシリアルな信号の同相成分と直交成分とを1チップごとに入れ替える。逆拡散部260−1〜260−nは、座標変換部250−1〜250−nから出力されるn個の座標変換後の信号に対して逆拡散処理を行い、受信信号1〜nを出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】 拡散部110−1〜110−nは、それぞれ送信信号1〜nに対して拡散処理を行う。座標変換部120−1〜120−nは、拡散処理後の信号の同相成分と直交成分とを1チップごとに入れ替える。多重部130は、n個の座標変換後の信号と伝送路補償のための既知信号とを多重する。座標変換部250−1〜250−nは、送信側の座標変換部120−1〜120−nによる座標変換を元に戻すように、P/S変換部240から出力されるシリアルな信号の同相成分と直交成分とを1チップごとに入れ替える。逆拡散部260−1〜260−nは、座標変換部250−1〜250−nから出力されるn個の座標変換後の信号に対して逆拡散処理を行い、受信信号1〜nを出力する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)通信装置およびCDMA通信方法に関する。
ディジタル移動体通信システムにおいては、複数のキャリアを用いてデータの送受信を行うCDMA通信の1つとして、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式とCDMA方式とを組み合わせたOFDM−CDMA方式が採用されることがある。
従来のOFDM−CDMA方式を採用した通信装置は、信号を受信すると、受信信号に対してFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理を行って時間−周波数変換する。その後、受信信号に含まれる既知のパイロットシンボルを用いて、各サブキャリアに対する伝送路の周波数応答を推定し、その推定値を用いて、伝送フレーム内の情報シンボルに対する伝送路補償を行う。
このように情報シンボルの伝送路補償を行うため、1フレーム内には少なくとも1つのパイロットシンボルが挿入される。伝送路補償は、パイロットシンボルが伝送された時点の伝送路における振幅および位相の変動を補償するものであるため、伝送路の状態が変化するディジタル移動体通信においては、パイロットシンボルが挿入される間隔が短い方が、より正確な伝送路補償を行うことができる。このため、例えば図20に示すように、図中「P」で示すパイロットシンボルが、1フレーム内に複数挿入されることがある。
しかし、パイロットシンボルは、情報シンボルと異なり、伝達すべき情報を含まない既知のシンボルであるため、パイロットシンボルを多く挿入すればするほど、伝送効率が低下することになる。
一方、一般に、ディジタル移動体通信システムに用いられる通信装置においては、アンテナを介して送受信される信号について、ベースバンド帯と無線周波数帯との周波数変換処理が行われる。このとき、信号には、周波数を発生させるシンセサイザによる位相雑音が加えられる。位相雑音は、一般に時間変動が早く、例えば1シンボルごとに変動する。通信装置が受信信号の伝送路補償を行う場合には、伝送路における振幅・位相の変動のみならず、位相雑音も含めて補償を行うことにより、受信性能を向上させることができる。
しかし、1シンボルごとに変動するような時間変動が早い位相雑音を補償するためには、1フレーム内に多くのパイロットシンボルを挿入する必要が生じ、上述したように、伝送効率を低下させることになる。
そこで、位相雑音による性能劣化を抑制する方法として、例えば特許文献1に開示された方法がある。この方法では、送信側は、情報信号と残留位相誤差の検出に使用する既知パイロット信号とを符号分割多重し、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)処理を行って時間−周波数変換して送信する。そして、受信側は、受信信号に対してFFT処理を行って時間−周波数変換し、伝送路補償を行った後、符号分割多重されている上記の既知パイロット信号を逆拡散処理により抽出し、その既知パイロット信号から残留位相誤差を検出し、検出した位相誤差を用いて情報信号の位相補償を行う。ここで、符号分割多重された残留位相誤差検出用の既知パイロット信号は、時間的に連続した信号であるため、1シンボルごとの位相誤差検出が可能である。したがって、特許文献1に開示された方法によれば、上述の位相雑音など、1シンボルごとに応答が変化するような速い時間変動にも追従することができる。
特開2001−144724号公報
しかしながら、上述した従来の方法においては、情報信号に加えて既知パイロット信号の符号分割多重が必要となるため、伝送効率が低下するという問題がある。すなわち、既知パイロット信号は、残留位相誤差を検出するためだけに符号分割多重される信号であり、パイロットシンボルと同様に、伝達すべき情報を含まない信号である。したがって、情報信号と既知パイロット信号とを符号分割多重する方法は、伝送効率の低下を招くことになる。また、この問題は、1つのキャリアのみを用いるシングルキャリアCDMAでも同様に発生するものであり、位相雑音を除去するためにパイロットシンボルなどの既知信号を多く伝送すると、伝送効率は低下することになる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができるCDMA通信装置およびCDMA通信方法を提供することを目的とする。
本発明のCDMA通信装置は、拡散符号を用いてシンボルを拡散してチップを得る拡散手段と、前記シンボルに対応するチップのうち、半数のチップについて同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換する変換手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、シンボルに対応するチップの半数について、同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換するため、信号の送受信時に加えられる位相雑音によって半数ずつのチップの位相が互いに逆方向に回転することになり、位相雑音をシンボル単位で相殺させることができ、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができる。
本発明のCDMA通信装置は、前記変換手段は、前記半数のチップに対して前記同相成分と前記直交成分とを入れ替える構成を採る。
本発明のCDMA通信装置は、前記変換手段は、前記半数のチップに対して前記同相成分または前記直交成分のいずれか一方のみの符号を反転させる構成を採る。
本発明のCDMA通信装置は、前記拡散手段は、前記拡散符号を用いてシンボルの前記同相成分または前記直交成分のいずれか一方を拡散し、前記変換手段は、前記拡散符号の半数のビットの符号を反転させて変形拡散符号を生成する拡散符号変換部と、前記同相成分または前記直交成分の前記拡散手段によって拡散されていないいずれか他方に前記変形拡散符号を乗算する乗算器と、を有する構成を採る。
これらの構成によれば、複雑な演算を行うことなく、容易に信号に付加される位相雑音を相殺するための変換を行うことができる。また、反転器やスイッチなどの簡便な構成で変換を行うことができ、小さい回路規模で位相雑音の影響を効果的に除去することができる。
本発明のCDMA通信装置は、前記変換手段は、1チップおきに同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換する構成を採る。
この構成によれば、確実に半数のチップについて変換を行うことができるとともに、受信側において、送信側と同様に1チップおきの変換を行うという単純な処理により、受信信号に付加されている位相雑音を相殺することができる。
本発明のCDMA通信装置は、シンボルが拡散されて得られるチップを含む信号を受信する受信手段と、前記シンボルに対応するチップの半数のチップについて同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換する変換手段と、拡散符号を用いて前記シンボルに対応するチップを逆拡散する逆拡散手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、受信信号に含まれるシンボル単位のチップの半数を変換し、拡散符号を用いてチップをシンボル単位で逆拡散するため、信号の送受信時に加えられる位相雑音によって半数ずつのチップの位相が互いに逆方向に回転することになり、位相雑音をシンボル単位で相殺させることができ、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができる。
本発明の基地局装置は、上記のいずれかに記載のCDMA通信装置を有する構成を採る。
この構成によれば、上記のいずれかに記載のCDMA通信装置と同様の作用効果を、基地局装置において実現することができる。
本発明の通信端末装置は、上記のいずれかに記載のCDMA通信装置を有する構成を採る。
この構成によれば、上記のいずれかに記載のCDMA通信装置と同様の作用効果を、通信端末装置において実現することができる。
本発明のCDMA通信方法は、拡散符号を用いてシンボルを拡散してチップを得るステップと、前記シンボルに対応するチップのうち、半数のチップについて同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換するステップと、を有するようにした。
この方法によれば、シンボルに対応するチップの半数について、同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換するため、信号の送受信時に加えられる位相雑音によって半数ずつのチップの位相が互いに逆方向に回転することになり、位相雑音をシンボル単位で相殺させることができ、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができる。
本発明のCDMA通信方法は、シンボルが拡散されて得られるチップを含む信号を受信するステップと、前記シンボルに対応するチップの半数のチップについて同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換するステップと、拡散符号を用いて前記シンボルに対応するチップを逆拡散するステップと、を有するようにした。
この方法によれば、受信信号に含まれるシンボル単位のチップの半数を変換し、拡散符号を用いてチップをシンボル単位で逆拡散するため、信号の送受信時に加えられる位相雑音によって半数ずつのチップの位相が互いに逆方向に回転することになり、位相雑音をシンボル単位で相殺させることができ、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができる。
本発明によれば、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができる。
本発明の骨子は、拡散によって得られるチップごとの同相成分または直交成分のIQ平面上における座標変換を行い、各チップに共通に加えられる位相雑音が逆拡散後に相殺されるようにすることである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るCDMA通信装置の構成を示すブロック図である。図1に示すCDMA通信装置は、大きく送信側と受信側とに分かれている。
図1は、本発明の実施の形態1に係るCDMA通信装置の構成を示すブロック図である。図1に示すCDMA通信装置は、大きく送信側と受信側とに分かれている。
送信側は、拡散部110−1〜110−n、座標変換部120−1〜120−n、多重部130、S/P(Serial/Parallel:直/並列)変換部140、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部150、および無線送信部160を有している。一方、受信側は、無線受信部210、FFT(Fast Fourier Transform)部220、伝送路補償部230−1〜230−m、P/S(Parallel/Serial:並/直列)変換部240、座標変換部250−1〜250−n、および逆拡散部260−1〜260−nを有している。
拡散部110−1〜110−nは、それぞれ送信信号1〜nに対して、対応する拡散符号1〜nを乗ずることにより、拡散処理を行う。
座標変換部120−1〜120−nは、拡散処理後の信号のIQ平面上における座標を所定の規則に従って変換する。具体的には、座標変換部120−1〜120−nは、同相成分(以下、「I成分」という)と直交成分(以下、「Q成分」という)とを1チップごとに入れ替える。座標変換部120−1〜120−nによる座標変換については、後に詳述する。
図2は、座標変換部120−1の内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、座標変換部120−1は、スイッチ122−1およびスイッチ124−1を有している。なお、座標変換部120−2〜120−nも同様の構成を有している。
スイッチ122−1は、1チップごとに切り替わり、拡散部110−1から出力される拡散処理後のI成分およびQ成分を1チップごとに入れ替え、I出力として出力する。
スイッチ124−1は、1チップごとに切り替わり、拡散部110−1から出力される拡散処理後のQ成分およびI成分を1チップごとに入れ替え、Q出力として出力する。
スイッチ122−1およびスイッチ124−1は、互いに同期して切り替わっており、一方がI成分を出力する場合には他方がQ成分を出力する。すなわち、あるチップに関して、スイッチ122−1からI成分が出力され、スイッチ124−1からQ成分が出力される場合、次のチップに関しては、スイッチ122−1からQ成分が出力され、スイッチ124−1からI成分が出力される。これらスイッチ122−1およびスイッチ124−1の切り替えは、例えば切替信号が外部から入力されることによって、正確なチップタイミングで行われる。なお、切替信号を用いる場合には、各伝送フレームの先頭チップの処理時には、スイッチ122−1およびスイッチ124−1の接続が初期状態に戻るようにする。
再び図1を参照して、多重部130は、座標変換部120−1〜120−nから出力されるn個の座標変換後の信号と伝送路補償のための既知信号とを多重する。なお、多重部130は、1フレームに1つの既知信号を多重する。したがって、既知信号による伝送効率の低下を最小限に抑えることができる。
S/P変換部140は、多重部130から出力される信号をS/P変換し、m個のサブキャリアに重畳するためのm個のパラレルな信号を出力する。
IFFT部150は、S/P変換部140から出力されるm個のパラレルな信号に対してIFFT処理を行ってサブキャリアに重畳し、OFDM信号を出力する。
無線送信部160は、IFFT部150から出力されるOFDM信号に対して所定の無線送信処理(D/A変換、アップコンバートなど)を行い、アンテナを介して送信する。
無線受信部210は、アンテナを介してOFDM信号を受信し、受信したOFDM信号に対して所定の無線受信処理(ダウンコンバート、A/D変換など)を行う。
FFT部220は、無線受信部210から出力される信号に対してFFT処理を行ってサブキャリアごとのm個の信号を出力する。
伝送路補償部230−1〜230−mは、それぞれのサブキャリアに重畳されている既知信号を用いて、サブキャリアごとのm個の信号について伝送路補償を行う。
P/S変換部240は、伝送路補償部230−1〜230−mから出力されるm個の信号をP/S変換し、シリアルな信号を出力する。
座標変換部250−1〜250−nは、P/S変換部240から出力されるシリアルな信号のIQ平面上における座標を所定の規則に従って変換する。具体的には、送信側の座標変換部120−1〜120−nによる座標変換を元に戻すように、I成分とQ成分とを1チップごとに入れ替える。つまり、座標変換部250−1〜250−nは、上述した座標変換部120−1〜120−nと同様の構成を有している。
逆拡散部260−1〜260−nは、座標変換部250−1〜250−nから出力されるn個の座標変換後の信号に対して、それぞれ対応する拡散符号1〜nを乗ずることにより、逆拡散処理を行い、受信信号1〜nを出力する。
次いで、上記のように構成されたCDMA通信装置の動作について、図3から図6を参照しながら具体的に例を挙げて説明する。以下の説明においては、符号分割多重数を1(すなわち、上記のn=1)、および拡散率を4とし、拡散符号1を(1,1,−1,−1)とする。
図3は、送信信号1のIQ平面上におけるシンボル(x,y)の座標位置を示す図である。このシンボル(x,y)は、拡散部110−1によって拡散符号1が乗ぜられて拡散される。上述のように、拡散符号1=(1,1,−1,−1)であるため、シンボル(x,y)は、チップ1(x,y)、チップ2(x,y)、チップ3(−x,−y)、およびチップ4(−x,−y)の4チップへ拡散される。
そして、これら4チップは、座標変換部120−1によって座標変換される。具体的には、まず、チップ1のI成分であるxがスイッチ122−1からI出力として出力され、同時に、チップ1のQ成分であるyがスイッチ124−1からQ出力として出力される。そして、スイッチ122−1およびスイッチ124−1が切り替わり、チップ2のQ成分であるyがスイッチ122−1からI出力として出力され、同時に、チップ2のI成分であるxがスイッチ124−1からQ出力として出力される。
以下、同様に、スイッチ122−1およびスイッチ124−1が1チップごとに切り替えられ、それぞれI出力およびQ出力が出力される。結果として、図4(a)〜(d)に示すように、それぞれのチップは(x,y)、(y,x)、(−x,−y)、および(−y,−x)へと座標変換される。
これらの座標変換後のチップは、多重部130によって、1フレームごとに伝送路補償のための既知信号と多重され、S/P変換部140によって、4つのパラレルな信号へS/P変換される。そして、IFFT部150によって、4つのパラレルな信号は、それぞれ4つのサブキャリアに重畳され、OFDM信号が生成される。OFDM信号は、無線送信部160によって、無線送信処理が行われた上でアンテナを介して送信される。
このとき、OFDM信号に対する無線送信処理として、ベースバンド帯の周波数を無線周波数帯まで高くする周波数変換(アップコンバート)が行われる。周波数変換には、所望の周波数を発生させるシンセサイザが用いられるが、このシンセサイザの位相雑音により、OFDM信号に含まれる各サブキャリア(ここでは4サブキャリア)は、それぞれ同じ量だけ位相が変化する。
そして、送信された信号は、受信側のCDMA通信装置のアンテナを介して無線受信部210によって受信される。受信信号は、無線受信部210によって、無線受信処理が行われるが、この際にも、送信側と同様に、無線周波数帯からベースバンド帯への周波数変換(ダウンコンバート)に起因する位相雑音が加えられる。これらの無線送信部160および無線受信部210において加えられる位相雑音は、非常に変動が速い成分を含んでいるため、1フレームに1つの既知信号では補償することができない。
無線受信処理後の信号は、FFT部220によってFFT処理され、4つのサブキャリアごとの信号がそれぞれ伝送路補償部230−1〜230−4へ出力される。そして、伝送路補償部230−1〜230−4によって、それぞれのサブキャリアの信号に含まれる既知信号が用いられて伝送路補償が行われる。
ここで、上述したように、1フレームには1つの既知信号のみが多重されているため、比較的変動が遅いフェージングなどによる振幅変動および位相変動は、伝送路補償部230−1〜230−4によって補償されることになる。しかし、変動が速い位相雑音による位相変動は、伝送路補償部230−1〜230−4では補償することができない。
したがって、伝送路における振幅変動および位相変動のみが補償されたサブキャリアごとの信号が伝送路補償部230−1〜230−4から出力され、P/S変換部240によって、P/S変換される。P/S変換によって得られたシリアルな信号は、座標変換部250−1へ入力される。
このとき、図4(a)〜(d)に示した座標変換後の各チップは、それぞれ図5(a)〜(d)に示す黒丸の位置へずれた状態で座標変換部250−1へ入力される。これは、無線送信部160および無線受信部210における周波数変換の位相雑音が加えられた結果、サブキャリアの位相がそれぞれΔθだけ変動したことによっている。
そして、これらの図5(a)〜(d)に示す黒丸の座標は、座標変換部250−1によって、座標変換部120−1の座標変換を元に戻すように座標変換される。具体的には、まず、図5(a)に示す黒丸は、そのまま出力され、図5(b)に示す黒丸は、I成分とQ成分とが入れ替えられて出力され、図5(c)に示す黒丸は、そのまま出力され、図5(d)に示す黒丸は、I成分とQ成分とが入れ替えられて出力される。
上述したように、座標変換部250−1は、座標変換部120−1と同様の構成を有しており、1チップタイミングごとに切り替わるスイッチによって、このような座標変換を実現している。
座標変換後の4チップは、逆拡散部260−1によって拡散符号1(1,1,−1,−1)が乗ぜられて逆拡散される。すなわち、各チップは、図6(a)〜(d)に示す黒丸の位置に移動した上で加算され、受信信号1として出力される。
ここで注目すべきなのは、1チップおきにI成分とQ成分とを入れ替える座標変換を行っているため、図6(a)〜(d)の位相変動分を加算すると、相殺して0になる点である。すなわち、図6(a)〜(d)において、白丸で示した点は、位相雑音によってΔθだけ位相が変動して黒丸で示した位置に移動するが、位相雑音が加えられる前に座標変換が行われているため、図6(a)および(c)に対応するチップと図6(b)および(d)に対応するチップとでは、位相雑音による位相変動の向きが逆となっており、互いに相殺することになる。
したがって、逆拡散部260−1から出力される受信信号1は、伝送路補償部230−1〜230−4によって補償しきれない位相雑音による位相変動が補償されたものとなっている。また、位相雑音による位相変動の補償には、既知信号を用いることがないため、伝送効率を低下させることがない。さらに、位相雑音の影響が除去されるため、無線送信部160および無線受信部210に備えられるシンセサイザは高性能である必要がなく、装置の低コスト化を図ることができる。
また、上述したように、本実施の形態に係る座標変換部120−1〜120−nおよび座標変換部250−1〜250−nは、スイッチのみの簡便な構成で座標変換を行うため、座標変換を行うことによる回路規模の増大はほとんど無い。つまり、本実施の形態においては、小さい回路規模で位相雑音の影響を効果的に除去することができる。
次に、図7および図8を用いて、本実施の形態に係るCDMA通信装置による位相雑音除去の効果について説明する。
図7は、従来のCDMA通信装置における、拡散前の送信信号のシンボル位置と逆拡散後の受信信号のシンボル位置とを示したものである。条件としては、符号分割多重数を4、および拡散率を8とし、位相雑音による位相変動を30degとしている。
図7(a)は、拡散符号1(1,1,1,1,−1,−1,−1,−1)によって拡散・逆拡散された信号のシンボル位置の変動を示し、同様に、図7(b)は、拡散符号2(1,−1,−1,1,1,−1,−1,1)によって拡散・逆拡散された信号のシンボル位置の変動を示し、図7(c)は、拡散符号3(1,−1,1,−1,1,−1,1,−1)によって拡散・逆拡散された信号のシンボル位置の変動を示し、図7(d)は、拡散符号4(1,1,−1,−1,−1,−1,1,1)によって拡散・逆拡散された信号のシンボル位置の変動を示している。図7(a)〜(d)においては、いずれも白丸が拡散前の送信信号のシンボル位置を示し、黒丸が逆拡散後の受信信号のシンボル位置を示している。
一方、図8は、本実施の形態に係るCDMA通信装置における、拡散前の送信信号のシンボル位置と逆拡散後の受信信号のシンボル位置とを示したものである。条件は、図7と同様である。
図7および図8から明らかなように、従来のCDMA通信装置においては、受信信号に位相雑音の影響が現れ、結果としてシンボル誤りが発生するのに対し、本実施の形態に係るCDMA通信装置においては、位相雑音による位相変動がほとんど見られず、良好な受信が可能となっている。
このように、本実施の形態によれば、送信側では、拡散した送信信号のI成分およびQ成分を1チップごとに入れ替えて複数のサブキャリアに重畳して送信し、受信側では、I成分およびQ成分の入れ替えを元に戻して逆拡散するため、周波数変換の際に生じる位相雑音に起因した位相変動が相殺され、変動が速く既知信号による伝送路補償のみでは補償しきれない位相雑音の影響を除去することができ、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の特徴は、拡散後の送信信号のI成分またはQ成分の一方の成分のみについて、1チップごとに反転させる点である。
本発明の実施の形態2の特徴は、拡散後の送信信号のI成分またはQ成分の一方の成分のみについて、1チップごとに反転させる点である。
本実施の形態に係るCDMA通信装置の構成は、実施の形態1に係るCDMA通信装置(図1)と同じであるため、その説明を省略する。ただし、座標変換部120−1の内部構成は、実施の形態1とは異なり、図9に示すようになっている。同図に示すように、座標変換部120−1は、反転器126−1およびスイッチ128−1を有している。なお、座標変換部120−1〜120−nおよび座標変換部250−1〜250−nも同様の構成を有している。
反転器126−1は、拡散部110−1から出力される拡散処理後のQ成分の符号を反転する。
スイッチ128−1は、1チップごとに切り替わり、拡散部110−1から出力される拡散処理後のQ成分または反転器126−1から出力される反転されたQ成分をQ出力として出力する。
座標変換部120−1は、拡散部110−1から出力される拡散処理後のI成分をそのままI出力として出力する一方、Q成分に関しては、スイッチ128−1が1チップごとに切り替わることにより、1チップごとに符号を反転させて出力する。スイッチ128−1の切り替えは、例えば切替信号が外部から入力されることによって、正確なチップタイミングで行われる。なお、切替信号を用いる場合には、各伝送フレームの先頭チップの処理時には、スイッチ128−1の接続が初期状態に戻るようにする。
次いで、上記のように構成されたCDMA通信装置の動作について、図10から図13を参照しながら具体的に例を挙げて説明する。以下の説明においては、符号分割多重数を1(すなわち、n=1)、および拡散率を4とし、拡散符号1を(1,1,−1,−1)とする。
図10は、送信信号1のIQ平面上におけるシンボル(x,y)の座標位置を示す図である。このシンボル(x,y)は、拡散部110−1によって拡散符号1が乗ぜられて拡散される。上述のように、拡散符号1=(1,1,−1,−1)であるため、シンボル(x,y)は、チップ1(x,y)、チップ2(x,y)、チップ3(−x,−y)、およびチップ4(−x,−y)の4チップへ拡散される。
そして、これら4チップは、座標変換部120−1によって座標変換される。具体的には、まず、チップ1のI成分であるxがそのままI出力として出力され、同時に、チップ1のQ成分であるyもスイッチ128−1からQ出力として出力される。そして、スイッチ128−1が切り替わり、チップ2のI成分であるxがそのままI出力として出力され、同時に、チップ2のQ成分であるyの符号が反転器126−1によって反転され、−yがスイッチ128−1からQ出力として出力される。
以下、同様に、スイッチ128−1が1チップごとに切り替えられ、それぞれI出力およびQ出力が出力される。結果として、図11(a)〜(d)に示すように、それぞれのチップは(x,y)、(x,−y)、(−x,−y)、および(−x,y)へと座標変換される。
以下、実施の形態1と同様に、座標変換後のチップは、それぞれ4つのサブキャリアに重畳され、OFDM信号が生成され、無線送信部160において位相雑音が加えられた上でアンテナを介して送信される。
送信された信号は、受信側のCDMA通信装置のアンテナを介して無線受信部210によって受信され、実施の形態1と同様に、FFT処理され、サブキャリアごとに既知信号が用いられて伝送路補償が行われる。
伝送路補償後の信号は、P/S変換部240によって、P/S変換され、得られたシリアルな信号は、座標変換部250−1へ入力される。
このとき、図11(a)〜(d)に示した座標変換後の各チップは、それぞれ図12(a)〜(d)に示す黒丸の位置へずれた状態で座標変換部250−1へ入力される。これは、無線送信部160および無線受信部210における周波数変換の位相雑音が加えられた結果、サブキャリアの位相がそれぞれΔθだけ変動したことによっている。
そして、これらの図12(a)〜(d)に示す黒丸の座標は、座標変換部250−1によって、座標変換部120−1の座標変換を元に戻すように座標変換される。具体的には、まず、図12(a)に示す黒丸は、そのまま出力され、図12(b)に示す黒丸は、Q成分のみが反転されて出力され、図12(c)に示す黒丸は、そのまま出力され、図12(d)に示す黒丸は、Q成分のみが反転されて出力される。
上述したように、座標変換部250−1は、座標変換部120−1と同様の構成を有しており、反転器および1チップタイミングごとに切り替わるスイッチによって、このような座標変換を実現している。
座標変換後の4チップは、逆拡散部260−1によって拡散符号1(1,1,−1,−1)が乗ぜられて逆拡散される。すなわち、各チップは、図13(a)〜(d)に示す黒丸の位置に移動した上で加算され、受信信号1として出力される。
ここで注目すべきなのは、1チップおきにQ成分の符号を反転する座標変換を行っているため、図13(a)〜(d)の位相変動分を加算すると、相殺して0になる点である。すなわち、図13(a)〜(d)において、白丸で示した点は、位相雑音によってΔθだけ位相が変動して黒丸で示した位置に移動するが、位相雑音が加えられる前に座標変換が行われているため、図13(a)および(c)に対応するチップと図13(b)および(d)に対応するチップとでは、位相雑音による位相変動の向きが逆となっており、互いに相殺することになる。
したがって、逆拡散部260−1から出力される受信信号1は、伝送路補償部230−1〜230−4によって補償しきれない位相雑音による位相変動が補償されたものとなっている。また、位相雑音による位相変動の補償には、既知信号を用いることがないため、伝送効率を低下させることがない。さらに、位相雑音の影響が除去されるため、無線送信部160および無線受信部210に備えられるシンセサイザは高性能である必要がなく、装置の低コスト化を図ることができる。
また、上述したように、本実施の形態に係る座標変換部120−1〜120−nおよび座標変換部250−1〜250−nは、反転器およびスイッチのみの簡便な構成で座標変換を行うため、座標変換を行うことによる回路規模の増大はほとんど無い。つまり、本実施の形態においては、小さい回路規模で位相雑音の影響を効果的に除去することができる。
このように、本実施の形態によれば、送信側では、拡散した送信信号のQ成分のみについて1チップおきに符号を反転させて複数のサブキャリアに重畳して送信し、受信側では、再度Q成分のみについて1チップおきに符号を反転させて逆拡散するため、周波数変換の際に生じる位相雑音に起因した位相変動が相殺され、変動が速く既知信号による伝送路補償のみでは補償しきれない位相雑音の影響を除去することができ、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、Q成分の符号を1チップおきに反転させるものとしたが、I成分の符号を1チップおきに反転させても同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の特徴は、送信信号の拡散時に、I成分またはQ成分の一方の成分のみについて、1チップごとに拡散符号を反転させる点である。
本発明の実施の形態3の特徴は、送信信号の拡散時に、I成分またはQ成分の一方の成分のみについて、1チップごとに拡散符号を反転させる点である。
図14は、本実施の形態に係るCDMA通信装置の構成を示すブロック図である。同図において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。図14に示すCDMA通信装置は、図1に示すCDMA通信装置の拡散部110−1〜110−nおよび逆拡散部260−1〜260−nをそれぞれ拡散部310−1〜310−nおよび逆拡散部320−1〜320−nに代え、座標変換部120−1〜120−nおよび座標変換部250−1〜250−nを削除したものである。
拡散部310−1〜310−nは、拡散符号1〜nによって送信信号1〜nのI成分を拡散する。また、拡散部310−1〜310−nは、拡散符号1〜nそれぞれの半数のビットの符号を反転し、得られた変形拡散符号1〜nによって送信信号1〜nのQ成分を拡散する。
図15は、拡散部310−1の内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、拡散部310−1は、乗算器312−1、乗算器314−1、および拡散符号変換部316−1を有している。なお、拡散部310−2〜310−nも同様の構成を有している。
乗算器312−1は、拡散符号1を送信信号1のI成分に乗算することによって拡散し、拡散されたI成分をI出力として出力する。
乗算器314−1は、拡散符号1を変形して得られる変形拡散符号1を送信信号1のQ成分に乗算することによって拡散し、拡散されたQ成分をQ出力として出力する。
拡散符号変換部316−1は、拡散符号1の半数のビットの符号を反転し、変形拡散符号1を生成する。拡散符号変換部316−1は、例えば拡散符号1が(1,1,−1,−1)であれば2番目と4番目のビットの符号を反転し、変形拡散符号1として(1,−1,−1,1)を乗算器314−1へ出力する。
再び図14を参照して、逆拡散部320−1〜320−nは、拡散符号1〜nによってP/S変換部240から出力されるシリアルな信号のI成分を逆拡散する。また、逆拡散部320−1〜320−nは、拡散符号1〜nそれぞれの半数のビットの符号を反転し、得られた変形拡散符号1〜nによってシリアルな信号のQ成分を逆拡散する。逆拡散部320−1〜320−nは、拡散部310−1と同様の構成を有しており、Q成分の逆拡散には、対応する拡散部310−1〜310−nと同一の変形拡散符号を用いる。
本実施の形態においては、実施の形態1,2とは異なり、拡散後の信号をIQ平面上で座標変換することはない。しかし、送信信号のQ成分を拡散する拡散符号の半数のビットについて符号を反転することにより、結果として、拡散部310−1〜310−nから出力される信号は、実施の形態2の座標変換部120−1〜120−nから出力される信号と同一のものになる。
例えば実施の形態2においては、拡散符号1を(1,1,−1,−1)とした場合、シンボル(x,y)は図11(a)〜(d)に示す(x,y)、(x,−y)、(−x,−y)、および(−x,y)の4チップへと座標変換されたが、本実施の形態においても、多重部130へ入力されるチップはまったく同様になる。
すなわち、本実施の形態においては、上述したように、シンボル(x,y)のI成分には、拡散符号1=(1,1,−1,−1)がそのまま乗算されて(x,x,−x,−x)が得られる。一方、シンボル(x,y)のQ成分には、変形拡散符号1=(1,−1,−1,1)が乗算されて(y,−y,−y,y)が得られる。したがって、拡散部310−1〜310−nから出力される4つのチップは、実施の形態2と同じく(x,y)、(x,−y)、(−x,−y)、および(−x,y)となる。
以後の動作は、実施の形態2と同様であり、それぞれのチップに共通して位相雑音が付加され、逆拡散部320−1〜320−nによって、対応する拡散部310−1〜310−nと同一の拡散符号および変形拡散符号を用いた逆拡散が行われることにより、シンボルごとの位相雑音が相殺され除去される。また、位相雑音による位相変動の補償には、既知信号を用いることがないため、伝送効率を低下させることがない。さらに、位相雑音の影響が除去されるため、無線送信部160および無線受信部210に備えられるシンセサイザは高性能である必要がなく、装置の低コスト化を図ることができる。
また、上述したように、本実施の形態に係るCDMA通信装置には、座標変換部などを新たに設ける必要がなく、拡散符号を部分的に変換するのみであるため、回路規模の増大をさらに抑制することができる。つまり、本実施の形態においては、より小さい回路規模で位相雑音の影響を効果的に除去することができる。
このように、本実施の形態によれば、送信側では、拡散符号をそのまま用いて送信信号のI成分を拡散する一方、拡散符号の半数のビットの符号を反転させて得られる変形拡散符号を用いて送信信号のQ成分を拡散し、受信側では、送信側と同一の拡散符号および変形拡散符号を用いて逆拡散するため、周波数変換の際に生じる位相雑音に起因した位相変動が相殺され、変動が速く既知信号による伝送路補償のみでは補償しきれない位相雑音の影響を除去することができ、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、半数のビットの符号を反転させた変形拡散符号をQ成分のみに乗算するものとしたが、I成分のみに変形拡散符号を乗算しても同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態においては、シンセサイザの位相雑音に対する効果について説明したが、本発明が位相雑音に限らず全サブキャリアに共通な位相変動に対して効果を有することは明らかである。すなわち、例えば、送信装置のシンセサイザと受信装置のシンセサイザとの周波数差に起因するOFDM信号の搬送波周波数誤差は、各サブキャリアに共通の位相回転量となって加わるため、本発明により抑圧することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の特徴は、時間軸方向に拡散された送信信号のI成分およびQ成分を、1チップごとに入れ替える点である。
本発明の実施の形態4の特徴は、時間軸方向に拡散された送信信号のI成分およびQ成分を、1チップごとに入れ替える点である。
図16は、本実施の形態に係るCDMA通信装置の構成を示すブロック図である。同図において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、本実施の形態の座標変換部120−1の内部構成は、実施の形態1(図2)と同様であり、スイッチ122−1およびスイッチ124−1を有する構成となっている。したがって、本実施の形態の座標変換部120−1からは、I成分とQ成分とが1チップごとに入れ替えられたI出力およびQ出力からなる信号が出力されることになる。同様に、座標変換部120−2〜120−nからも、I成分とQ成分とが1チップごとに入れ替えられたI出力およびQ出力からなる信号が出力される。
加算部410は、座標変換部120−1〜120−nから出力されるn個の座標変換後の信号をコード多重して加算する。
多重部420は、n個の信号がコード多重されて得られた信号に、フレーム単位で既知信号を時間分割多重する。
伝送路補償部430は、受信信号のフレーム単位で時間分割多重されている既知信号を用いて、伝送路補償を行う。
次いで、上記のように構成されたCDMA通信装置の動作について、図17および図18を参照しながら具体的に例を挙げて説明する。以下の説明においては、符号分割多重数を1(すなわち、n=1)、および拡散率を4とし、拡散符号1を(1,1,−1,−1)とする。なお、本実施の形態における送信信号1のシンボル(x,y)は、実施の形態1と同様に図3に示すIQ平面上の座標位置にあるものとする。このシンボル(x,y)は、拡散部110−1によって拡散符号1が乗ぜられて拡散される。上述のように、拡散符号1=(1,1,−1,−1)であるため、シンボル(x,y)は、実施の形態1と同様に、チップ1(x,y)、チップ2(x,y)、チップ3(−x,−y)、およびチップ4(−x,−y)の4チップへ拡散される。
そして、これらの4チップは、座標変換部120−1によって座標変換される。本実施の形態の座標変換部120−1の内部構成は、実施の形態1(図2)と同様であるので、図4(a)〜(d)に示すように、それぞれのチップは、(x,y)、(y,x)、(−x,−y)、および(−y,−x)へと座標変換される。
これらの座標変換後のチップは、加算部410によって、他の拡散符号2〜nによって拡散され座標変換されたチップとコード多重されるが、ここではn=1であるため、4つのチップが時系列に多重部420へ出力される。そして、多重部420によって、時系列に配置されたチップにフレーム単位で既知信号が時間分割多重される。既知信号が時間分割多重されて形成されたフレーム信号は、無線送信部160によって、無線送信処理が行われた上でアンテナを介して送信される。
ここで、実施の形態1においては、周波数軸方向拡散が行われるため、チップ1〜4は座標変換後にそれぞれ異なるサブキャリアに重畳されて同時に無線送信処理されるが、本実施の形態においては、時間軸方向拡散が行われるため、チップ1〜4は座標変換後に時系列に無線送信処理される。
したがって、無線送信部160における周波数変換時に各チップ1〜4に加えられる位相雑音は完全に同一ではなく、時間変動によって多少異なる位相雑音がそれぞれのチップに加えられる。
同様に、送信された信号が受信側のCDMA通信装置のアンテナを介して無線受信部210によって受信される時も、各チップが時系列に無線受信処理されるため、時間変動によって多少異なる位相雑音がそれぞれのチップに加えられる。
このように、送信側および受信側の双方で多少異なる位相雑音が加えられたチップからなる受信信号は、伝送路補償部430によって、フレーム単位で多重されている既知信号が用いられることにより伝送路補償が行われる。そして、伝送路補償後の信号は、座標変換部250−1へ入力される。
このとき、図4(a)〜(d)に示した座標変換後の各チップは、実施の形態1とは異なり、それぞれ図17(a)〜(d)に示す黒丸の位置へずれた状態で座標変換部250−1へ入力される。これは、無線送信部160および無線受信部210における周波数変換の位相雑音が加えられた結果、キャリアの位相がそれぞれチップごとにΔθ1〜Δθ4だけ変動したことによっている。
そして、これらの図17(a)〜(d)に示す黒丸の座標は、座標変換部250−1によって、座標変換部120−1の座標変換を元に戻すように座標変換される。具体的には、まず、図17(a)に示す黒丸は、そのまま出力され、図17(b)に示す黒丸は、I成分とQ成分とが入れ替えられて出力され、図17(c)に示す黒丸は、そのまま出力され、図17(d)に示す黒丸は、I成分とQ成分とが入れ替えられて出力される。
実施の形態1で述べたように、座標変換部250−1は、座標変換部120−1と同様の構成を有しており、1チップタイミングごとに切り替わるスイッチによって、このような座標変換を実現している。
座標変換後の4チップは、逆拡散部260−1によって拡散符号1(1,1,−1,−1)が乗ぜられて逆拡散される。すなわち、各チップは、図18(a)〜(d)に示す黒丸の位置に移動した上で加算され、受信信号1として出力される。
ここで注目すべきなのは、1チップおきにI成分とQ成分とを入れ替える座標変換を行っているため、図18(a)〜(d)の位相変動分を加算すると、前後のチップに関する位相変動が互いに打ち消しあって総量が小さくなる点である。すなわち、図18(a)〜(d)において、白丸で示した点は、位相雑音によってそれぞれΔθ1〜Δθ4だけ位相が変動して黒丸で示した位置に移動するが、位相雑音が加えられる前に座標変換が行われているため、図18(a)および(c)に対応するチップ1,3と図18(b)および(d)に対応するチップ2,4とでは、位相雑音による位相変動の向きが逆となっており、互いに打ち消しあうことになる。
なお、上述したように、本実施の形態においては、時間軸方向拡散が行われており、各チップ1〜4が時系列に送受信されるため、実施の形態1とは異なり、各チップ1〜4の位相変動量は必ずしも等しくはない。したがって、各チップ1〜4の位相変動が完全に相殺されるわけではなく、互いに低減しあうのみである。
ただし、一般に位相雑音の時間変動は、シンボル周期の時間オーダーでは大きいものの、シンボルを時間軸方向に拡散したチップ周期の時間オーダーでは無視できる程度に小さい。また、位相雑音を構成する成分にチップ周期の時間オーダーでの変動が大きい成分があったとしても、そのような成分は主成分ではないため無視することができる。すなわち、位相雑音の主成分は、チップ周期の時間オーダーでは緩やかな時間変動をしている。このため、本実施の形態のように時間軸方向拡散を行う場合でも、座標変換により大部分の位相変動を打ち消すことができる。
したがって、逆拡散部260−1から出力される受信信号1は、伝送路補償部430によって補償しきれない位相雑音による位相変動が補償されたものとなっている。また、位相雑音による位相変動の補償には、既知信号を用いないため、伝送効率を低下させることがない。さらに、位相雑音の影響が除去されるため、無線送信部160および無線受信部210に備えられるシンセサイザは高性能である必要がなく、装置の低コスト化を図ることができる。
また、上述したように、本実施の形態に係る座標変換部120−1〜120−nおよび座標変換部250−1〜250−nは、スイッチのみの簡便な構成で座標変換を行うため、座標変換を行うことによる回路規模の増大はほとんど無い。つまり、本実施の形態においては、小さい回路規模で位相雑音の影響を効果的に除去することができる。
図19(a)に、座標変換を行わない場合の受信信号のコンスタレーションの一例を示し、図19(b)に、本実施の形態に係る座標変換を行った場合の受信信号のコンスタレーションの一例を示す。これらの図においては、符号分割多重数を4、拡散率を8、変調形式を16QAM(QuadratureAmplitude Modulation:直交振幅変調)、チップレートを10MHz、および変調信号のS/N(Signal/Noise:信号対雑音比)を20dBとしている。また、位相雑音による位相変動として周波数が2kHzで回転量がプラスマイナス20degの正弦状の変動を付加している。
これらの図を比較すれば明らかなように、座標変換を行わない図19(a)においては、それぞれの受信信号候補点が位相変動により判別し難くなっているのに対し、座標変換を行う図19(b)においては、それぞれの受信信号候補点が明確に判別できる。
このように、本実施の形態によれば、送信側では、拡散した送信信号のI成分およびQ成分を1チップごとに入れ替えて送信し、受信側では、I成分およびQ成分の入れ替えを元に戻して逆拡散するため、周波数変換の際に生じる位相雑音に起因した位相変動が打ち消され、変動が速く既知信号による伝送路補償のみでは補償しきれない位相雑音の影響を除去することができ、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、I成分およびQ成分を1チップごとに入れ替える構成について説明したが、実施の形態2と同様にI成分またはQ成分の一方の成分のみを1チップごとに反転させる構成としても、時間軸方向に拡散された信号の位相変動を補償することができる。
また、本実施の形態においても上記実施の形態1,2,3と同様に、本発明がシンセサイザの位相雑音に限らず様々な位相変動に対して効果を有することは明らかである。すなわち、例えば、送信装置のシンセサイザと受信装置のシンセサイザとの周波数差に起因する搬送波周波数誤差は、本発明により抑圧することができる。
さらに、上記各実施の形態においては、1チップおきに同相成分または直交成分を変換する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば2チップおきやランダムに変換しても良く、要するに全サブキャリアに重畳されるチップまたは1フレームに含まれるチップの半数のチップが変換されれば良い。
また、上記各実施の形態においては、1つの拡散符号に対して1つの座標変換部を設ける構成としたが、各拡散符号に対応するチップをコード多重した後にまとめて座標変換を行う構成にしても良い。この場合には、例えば図16において、座標変換部と加算部の順序を入れ替え、拡散部110−1〜110−nによって拡散されたチップが直接加算部310へ出力され、コード多重されたチップが1つの座標変換部で座標変換されるように構成すれば良い。
本発明に係るCDMA通信装置およびCDMA通信方法は、伝送効率を低下させることなく位相雑音に対する耐性を向上させることができ、特に1シンボル分のチップを複数のサブキャリアに重畳して同時に送信するOFDM方式を採用したCDMA通信装置およびCDMA通信方法などに有用である。
110−1〜110−n、310−1〜310−n 拡散部
120−1〜120−n、250−1〜250−n 座標変換部
122−1、124−1、128−1 スイッチ
126−1 反転器
130、420 多重部
140 S/P変換部
150 IFFT部
160 無線送信部
210 無線受信部
220 FFT部
230−1〜230−m、430 伝送路補償部
240 P/S変換部
260−1〜260−n、320−1〜320−n 逆拡散部
312−1、314−1 乗算器
316−1 拡散符号変換部
410 加算部
120−1〜120−n、250−1〜250−n 座標変換部
122−1、124−1、128−1 スイッチ
126−1 反転器
130、420 多重部
140 S/P変換部
150 IFFT部
160 無線送信部
210 無線受信部
220 FFT部
230−1〜230−m、430 伝送路補償部
240 P/S変換部
260−1〜260−n、320−1〜320−n 逆拡散部
312−1、314−1 乗算器
316−1 拡散符号変換部
410 加算部
Claims (10)
- 拡散符号を用いてシンボルを拡散してチップを得る拡散手段と、
前記シンボルに対応するチップのうち、半数のチップについて同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換する変換手段と、
を有することを特徴とするCDMA通信装置。 - 前記変換手段は、
前記半数のチップについて前記同相成分と前記直交成分とを入れ替えることを特徴とする請求項1記載のCDMA通信装置。 - 前記変換手段は、
前記半数のチップについて前記同相成分または前記直交成分のいずれか一方のみの符号を反転させることを特徴とする請求項1記載のCDMA通信装置。 - 前記拡散手段は、
前記拡散符号を用いてシンボルの前記同相成分または前記直交成分のいずれか一方を拡散し、
前記変換手段は、
前記拡散符号の半数のビットの符号を反転させて変形拡散符号を生成する拡散符号変換部と、
前記同相成分または前記直交成分の前記拡散手段によって拡散されていないいずれか他方に前記変形拡散符号を乗算する乗算器と、
を有することを特徴とする請求項1記載のCDMA通信装置。 - 前記変換手段は、
1チップおきに同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換することを特徴とする請求項1記載のCDMA通信装置。 - シンボルが拡散されて得られるチップを含む信号を受信する受信手段と、
前記シンボルに対応するチップの半数のチップについて同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換する変換手段と、
拡散符号を用いて前記シンボルに対応するチップを逆拡散する逆拡散手段と、
を有することを特徴とするCDMA通信装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載のCDMA通信装置を有することを特徴とする基地局装置。
- 請求項1から請求項6のいずれかに記載のCDMA通信装置を有することを特徴とする通信端末装置。
- 拡散符号を用いてシンボルを拡散してチップを得るステップと、
前記シンボルに対応するチップのうち、半数のチップについて同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換するステップと、
を有することを特徴とするCDMA通信方法。 - シンボルが拡散されて得られるチップを含む信号を受信するステップと、
前記シンボルに対応するチップの半数のチップについて同相成分および直交成分の少なくともいずれか一方を変換するステップと、
拡散符号を用いて前記シンボルに対応するチップを逆拡散するステップと、
を有することを特徴とするCDMA通信方法。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070608 |
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