JP2005038769A - 多極回路遮断器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 短絡電流などの大電流が通電されたときに発生する電磁反発力により、固定接点と可動接点間の接触圧力が低下し、接触子機構部の定格短時間電流が低下するのを防止する。
【解決手段】 複数の接触子機構部1a,1b,1cに電流が流れたときに夫々の接触子機構部1a,1b,1cの可動子6に発生した電磁反発力のうち少なくとも1つの可動子6に発生した電磁反発力が枢軸部18の回動方向とは逆方向に作用させることで、接触子機構部1a,1b,1cを開極させる方向に枢軸部18を回動し難くさせた。
【選択図】 図1

Description

この発明は、固定接点が設けられた導体と固定接点に接離する可動接点を設けた可動子とで形成された複数の接触子機構部を備えた多極回路遮断器に関するものである。
従来の多極回路遮断器は、固定接点が設けられた導体と固定接点に接離する可動接点を設けた可動子で形成された複数の接触子機構部と、一方端が夫々の接触子機構部の可動子に他方端が複数の方向転換レバーに回動自在にされた複数の絶縁リンクと、夫々の方向転換レバーが固着され回動自在に保持された枢軸により構成されており、短絡電流などの大電流が導体から可動子に通電されたときに導体と可動子との間に電磁反発力が発生し、この電磁反発力が絶縁リンク、方向転換レバーを介して枢軸に回動力を与えた後、周知の開閉機構部の作用により枢軸が回動して、複数の接触子機構部が開極状態にされる。(例えば、特許文献1参照)。
特公平4−67292号公報(第1図)
従来の多極回路遮断器は以上の様に構成されており、短絡電流などの大電流が夫々の導体から夫々の可動子に通電されたときに、夫々の導体と夫々の可動子との間に電磁反発力が発生する。この結果、電磁反発力は瞬時に夫々の絶縁リンク、夫々の方向転換レバーを介して枢軸に回動力を与えるので、このとき固定接点と可動接点間の接触圧力が低下し、接触子機構部の定格短時間電流(日本工業規格JIS.C.8372 2項(2)(g)に記載)が低下するという問題があった。
なお、日本工業規格JIS.C.8372 2項(2)(g)に規定された定格短時間電流とは、「規定条件の下で、その電流を1秒間、遮断器に通じても異常が認められない電流をいい、交流の場合は短絡発生後1/2サイクルにおける交流分対称値」をいう。
上記のような定格短時間電流低下の対応として、固定接点と可動接点間の接圧を形成している接圧バネの荷重を大きくするなどの対策がなされるが、この場合、接圧バネの荷重が開閉機構部への負荷となり、回路遮断器自体の開閉耐久性が低下するなどの問題があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、短絡電流などの大電流が導体から可動子に通電されたときに導体と可動子との間に発生する電磁反発力によって、接触子機構部の定格短時間電流が低下することがなく接触子機構部の開閉耐久性能が低下しない多極回路遮断器を得るものである。
この発明に係る多極回路遮断器においては、固定接点が設けられた第1の導体と前記固定接点に接離する可動接点を設けた可動子とこの可動子に接続された第2の導体とで形成された複数の接触子機構部と、回動自在に保持され、前記複数の接触子機構部に短絡電流が流れたとき作動する開閉機構部により所定方向へ回動される枢軸部と、前記複数の接触子機構部と前記枢軸部との間に配置され、前記枢軸部の前記所定方向への回動時に前記固定接点と可動接点とを離間させるリンク機構部とを備え、前記リンク機構部は、前記複数の接触子機構部に電流が流れたときに前記各可動子に発生した電磁反発力のうち少なくとも1つの可動子に発生した電磁反発力を、他の可動子に発生した電磁反発力による前記枢軸部の前記所定方向への回動に対し逆方向に作用させるように構成されている。
以上のように、この発明の多極回路遮断器によれば、複数の接触子機構部と枢軸部との間に配置され、枢軸部の所定方向への回動時に固定接点と可動接点とを離間させるリンク機構部は、前記複数の接触子機構部に電流が流れたときに前記各可動子に発生した電磁反発力のうち少なくとも1つの可動子に発生した電磁反発力を、他の可動子に発生した電磁反発力による前記枢軸部の前記所定方向への回動に対し逆方向に作用させるように構成されているので、短絡電流などの大電流が導体から可動子に通電されたときに導体と可動子との間に発生する電磁反発力によって、接触子機構部の定格短時間電流が低下することがなく接触子機構部の開閉耐久性能が低下しない多極回路遮断器を得ることができる。
実施の形態
図1は、この発明の実施の形態における多極回路遮断器の平面図である。図2は図1のA−AまたはB−B断面正面図で接触子機構部が閉極状態を示す。図3は図2の接触子機構部が開極状態を示す。図4は図1のC−C断面正面図で接触子機構部が閉極状態を示す。図5は図4の接触子機構部が開極状態を示す。
図において、多極回路遮断器100は、筐体50内に収納された複数の接触子機構部1a,1b,1cおよびリンク機構部2a,2b,2cを備えている。
各接触子機構部1a,1b,1cは夫々同様の部品により同様に構成されている。
また、各リンク機構部2a,2b,2cは同様の部品が用いられているが、構成については後述するようにリンク機構部2cについては、アーム16と枢軸17との回動位置がリンク機構部2a,2bと異なっている。
接触子機構部1a,1b,1cは、固定接点3が設けられた第1の導体4と固定接点3に接離する可動接点5を設けた可動子6と、この可動子6に固着された可撓性材料から形成されたシャント7と、このシャント7にネジ8により固定された第2の導体9と、可動接点5が固定接点3に押圧されるように可動子6を押圧する接圧バネ10とで構成されている。
また、リンク機構部2a,2b,2cは固定軸11により回動自在に枢支された第1のリンク12と、一方端が第1の可動軸13により可動子6と第1のリンク12と共に回動自在に保持され他方端が第2の可動軸15により回動自在に保持された第2のリンク14とで構成されている。
さらに、第2のリンク14の他方端に第2の可動軸15により回動自在に連結されたアーム16と、アーム16が固着される枢軸17とにより枢軸部18が構成されている。
さらに、アーム16は枢軸17に対し、所定の回転位置に固着する必要があり、例えば溶接などの固着手段により固着されている。
枢軸17には開閉機構部19が係合しており、接触子機構部1a,1b,1cに短絡電流などの大電流が流れたときには図示しない過電流検出装置により開閉機構部19が動作して枢軸17が回動され、接触子機構部部1a,1b,1cが同時に開極状態にされる。
このような構成において、この実施の形態では特に、リンク機構部2cの第2のリンク14が第2の可動軸15により回動する回動中心15cは、枢軸部17の回動中心17aと第1の可動軸13の回動中心13aを結ぶ線Lを基準として、リンク機構部2a,2bの第2のリンク14が第2の可動軸15により回動する回動中心15a,15bの反対側に位置するように設定されている。(図2および図4)
なお、ここでアーム16は溶接などの固着手段により枢軸17に固着するようにしてあるので、リンク機構部2a,2bと、リンク機構部2cの枢軸17に対するアーム16の回転位置を容易に設定することが可能である。
次に、以上のように構成された実施の形態における多極回路遮断器の動作について説明する。
(1)多極回路遮断器100に流れる電流が所定の値以下の場合においては、各接触子機構部1a,1b,1cは、接圧バネ10により可動接点5が固定接点3に押圧されており、電流は第1の導体4から第2の導体9に正常に通電される。(図2および図4)
(2)このとき第1の導体4から第2の導体9に通電される電流が短絡電流などの大電流になると、第1の導体4から固定接点3、可動接点5、可動子6に流れる電流に基いて矢印D方向の電磁反発力が各接触子機構部1a,1b,1cの可動子6に発生する。
(3)このため各接触子機構部1a,1b,1cの可動子6は固定軸11を支点に第1のリンク12と一体的に矢印D方向に回動する。(図2および図4)
(4)接触子機構部1a,1b,1cのうち接触子機構部1a,1bの可動子6は、第1の可動軸13を介して第2のリンク14を矢印D方向に移動させ、枢軸17を矢印E方向(時計方向)に回動させる。(図2)
(5)一方、接触子機構部1cの可動子6も第1の可動軸13を介して第2のリンク14を矢印D方向に移動させるが、その回動中心15cが枢軸17の回動中心17aと第1の可動軸13の回動中心13aを結ぶ線Lを基準として、リンク機構部2a,2bの第2のリンク14が第2の可動軸15により回動する回動中心15a、15bの反対側に位置するようにされているので、枢軸17を矢印F方向(反時計方向)に回動させようとする。(図4)
(6)この結果、接触子機構部1a,1bの可動子6が時計方向(矢印E方向)に回動するのに対し、接触子機構部1cの可動子6は矢印F方向に回動させようとするので、可動子6が矢印E方向に回動する回動力が低下し、これにより固定接点3と可動接点5間の接触圧力が低下することなく、閉路状態で保持され。
(7)その後、図示しない過電流検出装置により開閉機構部19が動作し、枢軸部18の枢軸17が回動し、リンク機構2a,2b,2cを介して複数の接触子機構部1a,1b,1cの各固定接点5と可動接点6とが離間され開極状態にされる。
(8)以上の様に、固定接点3と可動接点5間の接触圧力の低下が抑制された状態で、開極動作が実行されるので、接触子機構部の定格短時間電流が低下することがない。
実験結果では、日本工業規格JIS.C.8372 2項(2)(g)に規定された定格短時間電流は、65KA以上に向上させることが可能になった。
なお、上記実施例は3極回路遮断器の場合について説明したが、中性極を有する4極回路遮断器等の場合も同様である。
この発明は配電用の多極回路遮断器に用いることができる。
この発明の実施の形態における多極回路遮断器の平面図である。 図1のA−A及びB−B断面正面図で接触子機構部が閉極状態を示す図である。 図2の接触子機構部が開極状態を示す図である。 図1のC−C断面正面図で接触子機構部が閉極状態を示す図である。 図4の接触子機構部が開極状態を示す図である。
符号の説明
1a,1b,1c 接触子機構部、2a,2b,2c リンク機構、3 固定接点、4
第1の導体、5 可動接点、6 可動子、7 シャント、9 第2の導体、11 固定軸、12 第1のリンク、13 第1の可動軸、13a 回動中心、14 第2のリンク、15 第2の可動軸、15a,15b,15c、 回動中心、16 アーム、17 枢軸、17a 回動中心、18 枢軸部、19 開閉機構部。

Claims (3)

  1. 固定接点が設けられた第1の導体と前記固定接点に接離する可動接点を設けた可動子とこの可動子に接続された第2の導体とで形成された複数の接触子機構部と、
    回動自在に保持され、前記複数の接触子機構部に短絡電流が流れたとき作動する開閉機構部により所定方向へ回動される枢軸部と、
    前記複数の接触子機構部と前記枢軸部との間に配置され、前記枢軸部の前記所定方向への回動時に前記固定接点と可動接点とを離間させるリンク機構部とを備え、
    前記リンク機構部は、前記複数の接触子機構部に電流が流れたときに前記各可動子に発生した電磁反発力のうち少なくとも1つの可動子に発生した電磁反発力を、他の可動子に発生した電磁反発力による前記枢軸部の前記所定方向への回動に対し逆方向に作用させるように構成されたことを特徴とする多極回路遮断器。
  2. 前記リンク機構部は、固定軸により回動自在に枢支された第1のリンクと、一方端が第1の可動軸により前記可動子と前記第1のリンクと共に回動自在に保持され他方端が前記枢軸部に第2の可動軸により回動自在に保持された第2のリンクとを備え、前記複数の接触子機構部の少なくとも1つにおいて前記第2の可動軸の回動中心を、前記第1の可動軸の回動中心と前記枢軸部の回動中心を結ぶ線を基準として、他の接触子機構部における可動軸の回動中心の反対側に位置させたことを特徴とする請求項1記載の多極回路遮断器。
  3. 前記枢軸部は前記複数の第2のリンクに回動自在に連結される複数のアームとこれらのアームと所定の関係位置で一体的に固着された枢軸とで形成されることを特徴とする請求項2記載の多極回路遮断器。
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