JP2005038472A - 球面収差補償機構を有する光記録媒体記録再生装置および球面収差補償方法 - Google Patents
球面収差補償機構を有する光記録媒体記録再生装置および球面収差補償方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】球面収差補償後に発生する、相変化記録媒体における記録領域と未記録領域との境界でのラジアルサーボ信号の乱れを抑制すること。
【解決手段】光記録媒体に対して情報を記録または再生する光記録媒体記録再生装置は、光源1と、光源1からの出射光を光記録媒体上へ集光する対物レンズ9と、対物レンズ9において発生する球面収差を補償するためのビームエキスパンダー20と、対物レンズ9と光源1との間に配された少なくとも一つのビームスプリッター5と、ビームスプリッター5からの分岐光を受光する受光素子30とを搭載する光ピックアップと、部分的に記録領域を形成した光記録媒体10から得られるラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報を基に、ビームエキスパンダー20で発生させる球面収差の補償量を定める制御部80とを備える。
【選択図】 図4
【解決手段】光記録媒体に対して情報を記録または再生する光記録媒体記録再生装置は、光源1と、光源1からの出射光を光記録媒体上へ集光する対物レンズ9と、対物レンズ9において発生する球面収差を補償するためのビームエキスパンダー20と、対物レンズ9と光源1との間に配された少なくとも一つのビームスプリッター5と、ビームスプリッター5からの分岐光を受光する受光素子30とを搭載する光ピックアップと、部分的に記録領域を形成した光記録媒体10から得られるラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報を基に、ビームエキスパンダー20で発生させる球面収差の補償量を定める制御部80とを備える。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、球面収差補償機構を有する光記録媒体記録再生装置および球面収差補償方法に関し、特に、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系において発生する球面収差を補償する光記録媒体記録再生装置および球面収差補償方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ピックアップのレンズ系において発生する球面収差を補償する光ピックアップ装置が、特開2002−304763号公報(特許文献1)に記載されている。特開2002−304763号公報に記載の光ピックアップ装置は、光源からの光束を光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる対物レンズと、光源と対物レンズとの光路中に配置され、球面収差の変動を補正するビームエキスパンダとを含む集光光学系を備える。この集光光学系はプラスチックレンズを含み、情報記録面からの反射光を検出し、球面収差の変動を検出する多分割光検出器と、検出球面収差変動の補正のためにビームエキスパンダを駆動する1軸アクチュエータ11とを備えている。多分割光検出器は、2つの受光面を有し、各受光面では、ホログラム素子により分割された第1の光束と第2の光束とが受光される。ホログラム素子により、第1の光束にはアンダーな球面収差成分が、第2の光束にはオーバーな球面収差成分が付加される。2つの受光面それぞれで受光されるアンダーな球面収差成分とオーバーな球面収差成分とから球面収差の変動が検出されて、ビームエキスパンダが駆動されて球面収差の変動が補正される。
【0003】
また、球面収差補償機構として液晶パネルを搭載した光ピックアップを備えた情報記録再生装置が、特開2001−266392号公報(特許文献2)に記載されている。特開2001−266392号公報に記載の情報記録再生装置を図9に示す。図9に示すように、情報記録再生装置は、光ピックアップ303を備える。光ピックアップ303には光源331、ハーフミラー333、集光レンズ337、光検出器338、対物レンズ334を駆動するアクチュエータ335、336から構成され、トラッキング信号は、光検出器338の4分割された受光部の出力をもとに生成されている。この情報記録再生装置は、基本的にはサーボループスイッチ(「ラジアルスイッチ」ともいう)306がOFFの状態で、光ディスク305から信号検出し、トラッキングエラー信号(「ラジアルエラー信号」ともいう)をトラッキングエラー生成回路310でもって生成し、この信号をモニターして、球面収差補償を行う。信号のモニター方法は、収差補償完了判定手段350の中の動作に依存し、ここでは、トラッキングエラー信号のエンベロープ検波回路351で、トラッキングエラー信号のレベルを検出し、比較器352に供給する。比較器352では、液晶ドライバ304で、液晶パネル332で与える球面収差量を調整しながら、所定の基準レベルと比較を行い、その基準レベルを超えたかどうかで、球面収差補償が完了したかの判定を行う。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−304763号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−266392号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2002−304763号公報に記載の光ピックアップ装置は、多分割光検出器が有する2つの受光面で、アンダーな球面収差成分とオーバーな球面収差成分とがそれぞれ受光されるように、ホログラム素子を備えなければならず、光路が複雑になるといった問題がある。
【0007】
また、特開2001−266392号公報に記載の情報記録再生装置では、球面収差補償を行う手法としていわゆる山登り方法を用いている。この山登り方法では、光記録媒体に記録された信号の再生信号振幅を最大にすること、あるいは図9の装置構成のようにラジアルエラー信号の振幅最大にすることを目標に、球面収差補償素子の調整を行う。この調整方法で球面収差調整した場合に、例えば、プッシュプル法で検出したラジアルエラー信号を観測すると、記録領域と未記録領域との境界において、その相対的な位相差により大きくラジアルエラー信号波形が変動する。具体例としては、本来トラックセンターではゼロになるはずのラジアルエラー信号の振幅が0にならなくなるという現象(ゼロクロス位置の位置ずれ)が起こる。この現象は相変化型の光記録媒体に特有で、安定したラジアルサーボを行うのに大きな弊害が有る。
【0008】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足した球面収差補償機構を有する光記録媒体記録再生装置および球面収差補償方法を提供することである。
【0009】
この発明の他の目的は、光ピックアップの球面収差補償精度を向上し、光ピックアップの記録再生性能を装置立ち上げ時に最適化できる球面収差補償方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、光記録媒体に対して情報の記録または再生を行う光記録媒体記録再生装置は、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系と、集光レンズ系において発生する球面収差を補償するための球面収差補償手段と、集光レンズ系と光源との間に配された少なくとも一つの光分岐手段と、光分岐手段からの分岐光を受光する受光素子とを搭載する光ピックアップと、部分的に記録領域を形成した光記録媒体から得られるラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報を基に、球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定める制御手段とを備える。
【0011】
この発明に従えば、部分的に記録領域を形成した光記録媒体でのラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報に着目するので、記録したデータの再生信号品質よりも球面収差変化に鋭敏に反応する要素、すなわち部分的に記録領域を形成した光記録媒体でのラジアルエラー信号のゼロクロス位置という要素を基準に球面収差補償を行う。一方で、記録したデータの再生信号品質は球面収差変化に対してラジアルエラー信号のゼロクロス位置の変化よりも鈍感なので、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足した、光記録媒体記録再生装置を提供することができる。
【0012】
好ましくは、制御手段は、光ピックアップでフォーカスサーボが機能した状態で、テストライトにより部分的に記録領域を形成した相変化型光記録媒体からラジアルエラー信号を読み出してサンプリングするサンプリング手段と、サンプリングしたラジアルエラー信号からゼロクロス位置情報を算出する算出手段と、算出されたゼロクロス位置情報に基づき、球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定する判定手段と、算出手段により算出されたゼロクロス位置情報を基に、球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定める補償量決定手段とを含み、判定手段により球面収差補償が完了したと判定されるまで球面収差補償手段による補償を繰返し、球面収差補償が完了と判定された時点から記録動作または再生動作を開始せしめる。
【0013】
この発明に従えば、部分的な記録領域をテストライトにより形成するので、光記録媒体が変わるごとに光記録媒体でのラジアルエラー信号のゼロクロス位置という要素を基準に球面収差補償を行うことができる。従って、光記録媒体固有の条件で、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足させることができる。
【0014】
好ましくは、判定手段は、ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まった時点で球面収差補償完了と判断する。
【0015】
この発明に従えば、上記ゼロクロス位置の位置ずれが最も計算しやすく、ラジアル信号のサンプリング点もラジアル信号の乱れがないときのゼロクロス位置、またはその近傍に定めることができ、球面収差の補償量を判定するパラメータの目標値を定めやすい。
【0016】
好ましくは、判断手段は、トラックセンター位置でのラジアルエラー信号の振幅を判定基準とする。
【0017】
この発明に従えば、位置ずれのない理想状態をほぼサンプリング点で振幅0の状態と設定できるので、球面収差補償量決定のためにたとえば最小二乗法のような簡単な判定方法を採用することができる。
【0018】
この発明の他の局面によれば、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系と、集光レンズ系において発生する球面収差を補償するための球面収差補償手段と、集光レンズ系と光源との間に配された少なくとも一つの光分岐手段と、光分岐手段からの分岐光を受光する受光素子とを搭載する光ピックアップを備え、光記録媒体に対して情報の記録または再生を行う光記録媒体記録再生装置で実行される光ピックアップの球面収差補償方法は、光ピックアップでフォーカスサーボが機能した状態で、テストライトにより部分的に記録領域を形成した相変化型光記録媒体からラジアルエラー信号を読み出してサンプリングするプロセスと、サンプリングしたラジアルエラー信号からゼロクロス位置情報を算出するプロセスと、ゼロクロス位置情報を算出するプロセスにより算出されたゼロクロス位置情報を基に、球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定めるプロセスと、ゼロクロス位置情報を算出するプロセスにより算出されたゼロクロス位置情報を基に、球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定するプロセスとを含み、球面収差の補償量を定めるプロセスは、判定プロセスにより球面収差補償が完了したと判定されるまで球面収差の補償量を繰返し定める。
【0019】
この発明に従えば、光ピックアップの球面収差補償方法として、位置ずれをダイレクトに、または、その近傍で観測するので、光ピックアップの球面収差補償精度が向上し、光ピックアップの記録再生性能を装置立ち上げ時に最適化できるシーケンスを効果的に実現した球面収差補償方法を提供することができる。
【0020】
好ましくは、判定プロセスは、ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まった時点で球面収差補償完了と判断する。
【0021】
この発明にしたがえば、上記ゼロクロス位置の位置ずれが最も計算しやすく、ラジアル信号のサンプリング点もラジアル信号の乱れがないときのゼロクロス位置、またはその近傍に定めることができ、球面収差の補償量を判定するパラメータの目標値を定めやすい。
【0022】
好ましくは、判定プロセスは、トラックセンター位置でのラジアルエラー信号の振幅を判定基準とする。
【0023】
この発明に従えば、位置ずれのない理想状態をほぼサンプリング点で振幅0の状態と設定でき、球面収差補償量決定のためにたとえば最小二乗法のような簡単な判定方法を使って光ピックアップの球面収差を補償できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につい図面を参照して説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0025】
本実施の形態における光記録媒体再生装置において用いられる光ピックアップについて図1を用いて説明する。本実施の形態では球面収差補償手段としてビームエキスパンダー20を用いているが、これを位相補償できる液晶素子とすることもできる。
【0026】
まず、出射光学系について、その構成を説明する。光源1と、コリメータレンズ3と、整形プリズム4と、ビームスプリッター5と、ビームエキスパンダー20(図2に拡大図を示す)と、集光レンズ系としての対物レンズ9(図1では、一つのレンズで書かれているが2つのレンズを合わせた組レンズでもよい)とで基本的に構成される。当然、対物レンズ9の手前には、立ち上げミラーが入ってもよいし、また、対物レンズはこれを光記録媒体10に対して所定の位置にトラッキングするように、アクチュエータ(図示せず)に搭載されている。一方で、分岐光学系では、ビームスプリッター5の透過光路中にシリンドリカルレンズ7と、集光レンズ6とを配置して、受光素子30に光を導いている。
【0027】
また、このピックアップでの受光素子30は図3のV方向矢視図に示されるように、4分割された受光部A、B、C、Dを有しており、ラジアルトラッキングはプッシュプル法を用いている。また、光記録媒体の半径方向は矢印Wの方向なので、そのラジアルエラー信号(RES)は、受光部A、B、C、Dのそれぞれの出力、SA、SB、SC、SDを用いて、RES=(SA+SC)−(SB+SD)で演算される。また、フォーカストラッキングについては、シリンドリカルレンズ7を利用した非点収差法を用いており、このときのフォーカスエラー信号(FES)は、FES=(SA+SD)−(SB+SC)で演算される。ただし、このサーボ信号の検出方法は、この方法に限らず採用することが可能である。
【0028】
この実施の形態での光ピックアップの出射光学系では、光源1とコリメータレンズ3との間に2分の1波長板2が配置され、ここで偏光面を回転し、ビームスプリッター5の反射面で反射させ、その反射光を4分の1波長板8を通して、円偏光にして、ビームエキスパンダー20に向けて出射する。ビームエキスパンダー20は、球面収差の補償素子として機能し、図2のビームエキスパンダー20の構成はその一例であり、ベース部26の上に、固定レンズ21が固定レンズホルダー23に搭載され、可動レンズ22が可動レンズホルダー24に固定され、固定レンズホルダー23に対し、可動レンズホルダー24は軸摺動する。動作例をあげれば、出射光が照射する光記録媒体の表面にあるカバー層の厚さが所定の値からずれている際に生じる球面収差を補償する場合がある。この場合、このビームエキスパンダー20において、その可動レンズ22が動くことで、その発生波面はカバー層厚さ誤差による波面の球面波化を打ち消す方向に波面が変化し、結果として対物レンズの出射光はスポット径最小に設定される。
【0029】
しかし、実際に球面収差の補償による最小スポット化で最高の再生状態になるわけではなく、その光記録媒体に部分的に記録をすることで、部分的な記録トラックと未記録トラックとの境界付近では、ラジアルエラー信号に乱れを生じる。このときには、その乱れによるラジアルサーボ動作の不安定化が問題になる。そこで、本実施の形態では、そのラジアルエラー信号の乱れに注目し、まず、球面収差の付与でその乱れを解消する装置構成及び、その方法を示す。
【0030】
図4を用いて、ラジアルエラー信号の乱れを抑制するための装置構成を示す。本実施の形態での光記録媒体の記録再生装置は、ピックアップ100のほかに、ビームエキスパンダー20を制御するためのビームエキスパンダードライバ40と、受光素子30の出力から、上記演算を用いてFES、RESを発生させる、フォーカスエラー信号生成回路51及びラジアルエラー信号生成回路52と、LD駆動のためのLDドライバ54と、LDドライバでの記録を制御する記録回路55と、球面収差の補償量を変化させながら、最適な収差補償量を判定するための、最適球面収差補償量判定装置53と、最適球面収差補償量判定装置の出力をもとにビームエキスパンダードライバ40や、フォーカススイッチ70や、ラジアルスイッチ71を制御する制御部80とから構成される。ここで、アクチュエータ11は制御部80の命令で動作し、フォーカススイッチ70、ラジアルスイッチ71のON,OFFの情報が供給される。
【0031】
ここで、球面収差補償完了判定装置53は種々の方法で構成できるが、本実施例では、前記サンプリングしたラジアルトラッキングエラー信号から、ゼロクロス位置情報を算出する手段と、ラジアルエラー信号から振幅データをn個のポイントでサンプリング(A(n,i)を求める)してホールドする手段(サンプリング回路61)と、そのサンプリングした振幅の二乗総和Ti(=Σ{A(n,i)}2:iはi回目の判定ルーチンであることを示す)を求める手段(加算器62)と、その二乗総和Tiと目標の総和Toとを比較しその結果を判定する手段(比較器63)とから構成されている。ここで、前記サンプリングしたラジアルエラー信号から、サンプリングした振幅の二乗総和を求める手段62が、ゼロクロス位置情報として、サンプリングした振幅データA(n,i)の二乗総和Tiを算出する手段となっている。
【0032】
また、ゼロクロス位置情報を算出する手段からのゼロクロス位置情報をもとに、球面収差補償量を定めるについては、制御部80の一部として組み込まれており、そこでビームエキスパンダー20で発生させるべき球面収差補償量を定めている。定まった球面収差補償量の情報は、ビームエキスパンダードライバ40へ制御部80から送られる。
【0033】
なお、この装置構成でFSW、RSWは、それぞれ、フォーカススイッチ、ラジアルスイッチのON,OFFを指示する信号で、FES’は、フォーカス注入でフォーカス位置を所定量Fpだけずらして調整するといった調整を行なった際のDCオフセット注入後のフォーカスエラー信号を現す。
【0034】
以下に、上記光記録媒体の記録再生装置の詳細を説明するとともに、球面収差補償量の判定方法について、以下図5を用いて説明する。
【0035】
まず、本実施の形態で示す最適な球面収差補償を実現するための手順について説明する。球面収差補償の目標となるRESが発生する条件を実現するために、テストライト動作を行う。このテストライトでは特別な動作はなく、通常のようにフォーカスサーボ(フォーカススイッチ70)ON、ラジアルサーボ(ラジアルスイッチ71)ONの後、記録動作を行う。この実施例では、記録はグルーブ記録で隣接した任意のトラック2本にテストライトを行う(以上プロセスP1)。
【0036】
以下は、下記のように最適な球面収差補償量を求めるプロセスを進める。
プロセスP2では、ラジアルサーボをOFF(ラジアルスイッチ71をOFF)する。
【0037】
プロセスP3では、ラジアルエラー信号の所定周期での振幅サンプリングを行い、振幅サンプル値A(n,0)を求める。
【0038】
プロセスP4では、初期調整参照値T0を、次の演算式に従って求める。
T0=Σ{A(n,0)}2
ここで、i回目の判定ルーチンでの調整参照値Tiを次式で表す。
【0039】
Ti=Σ{A(n,i)}2
ただし、A(n,i)は、i回目の判定ルーチンにおける振幅のサンプル値を示す。
【0040】
プロセスP5では、初期球面収差補償量を設定する。この球面収差補償量は、調整参照値Tiと関連させた一義の関係で設定する。この関係は、経験式で求め、球面収差補償量をSAi(例えばビームエキスパンダーの場合、レンズの移動量制御なので単位はμmとなる)としたとき、SAi=kTi(k比例定数)で定める。もちろん、この定め方は種々の方法を取ることができる。
【0041】
続いて、プロセスP6では、球面収差補償量データをビームエキスパンダードライバに送る。プロセスP7では、ビームエキスパンダーを動かす。プロセスP8では、ラジアルエラー信号の所定周期での振幅サンプリングを行い、振幅のサンプル値A(n,i)を求める。このP8までプロセスが進んだら、以下P9,P10と進める。
【0042】
プロセスP9では、調整参照値Tiを、次の演算式に従って求める。
Ti=Σ{A(n,i)}2
プロセスP10では、プロセスP9で求めた調整参照値Tiと目標値Toとの差ΔTを次式に従って求める。
【0043】
ΔT=To−Ti
プロセスP10では、ΔTの値を球面収差補償量の変更の基準として判断する。この実施の形態では、TiとToとがほぼ等しくなる時点、すなわちΔT≒0で、球面収差変更動作を終える判定基準を設けている。また、この判定ルーチンでYESの場合はプロセスP11に移行し、また、NOの場合はループL1に入り、再度、球面収差補償量を設定し直し、プロセスP6に戻り、再度ビームエキスパンダーを動かす動作を含めて、プロセスP6からプロセスP9の動作を行い、再度判定するという動作を繰り返し行い、判定基準を満たした時点でプロセスP11に移行する。
【0044】
プロセスP11では、ラジアルサーボをONする。このプロセスで、ラジアルサーボを開始し、記録されたデータから信号再生を開始する。この際の球面収差補償量は、記録されたデータを再生するための対物レンズ9の出射ビームを、その径として最小にするものではないが、再生信号品質としての劣化は小さく、信号再生に問題はない。この現象は、再生信号の球面収差補償量に対するジッター特性の変動が、そのジッター最小点付近で球面収差補償量変化に対し、鈍感であるために生じるものである。
【0045】
従って、本実施の形態での球面収差補償量の設定方法は、再生時の不安定要因に最もなりやすい要素であるラジアルエラー信号の乱れに着目し、その影響を球面収差補償により排除したものであり、結果として最も安定した信号再生条件につながるものである。
【0046】
以下、ラジアルエラー信号のサンプリングの方法について示す。ラジアルエラー信号のサンプリングの方法には色々ある。例えばピーク位置を全てサンプリングして、このラジアル信号の動きを、この場合ゼロクロス位置情報は両者の中間点で判定する。つまり、ダイレクトにずれを検出することがメリットになる。また、一方でより確実な方法として、理想状態(例えば、未記録の光記録媒体でラジアルエラー信号(図6参照)を検出するなど)でのゼロクロス点を記憶させ、その前後でラジアル信号をサンプリングする方法もある。この方法では、より正確にゼロクロス位置を、直接検出できる。
【0047】
さらに、以下はより簡単に判定しやすい、トラックセンター位置でラジアルエラー信号の振幅をサンプリングして、最小二乗法的に判定する判定方法について説明する。この説明にあたり、本実施例での光ピックアップの光学パラメータ、光記録媒体に関するパラメータは以下のようになっている。光ピックアップの対物レンズ9は、NA(開口数)=0.85のもの、光源1の波長は405nm、光記録媒体10としては、ディスクカバー層厚さ0.1mm、トラック幅が0.16μm(トラックピッチ0.32μm)、溝深さ21nm、屈折率1.6、記録領域と未記録領域の間の位相ずれ量を15°としてある。
【0048】
まず、記録していない状態(未記録状態)での乱れのないラジアルエラー信号波形は、図6のように振幅0の位置が0.16μm周期で現れる。そこで、この0.16μm周期位置、つまりトラックセンターをサンプリング点とし、それぞれの基準点に対して振幅A(n,i)を検出する。この結果、この0.16μm周期のトラックセンターでの振幅A(n,i)がラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報になる。
【0049】
次に、記録(テストライト)を一部のトラックに対して行った場合は、ラジアルエラー信号の波形は図7のように、記録したトラックと未記録のトラックの境界で乱れる(トラックセンターでゼロクロスしなくなる)。そこで、サンプリングした振幅A(n,i)は、0より大きな値を持つようになり、ゼロクロス位置のずれの大きさを顕著に反映する。ここから、上記球面収差補償方法(図5に示す)により、ゼロクロス位置ずれの程度をTi=Σ{A(n,i)}2で求められる調整参照値Tiを算出して、その調整参照値の目標値Toとの差を判定しながら、ビームエキスパンダー20で球面収差補償を徐々にしていく。
【0050】
この結果、ラジアルエラー信号はゼロクロス位置に関する乱れが徐々に小さくなり、付与される球面収差が例えば、ディスクカバー層厚さ換算で3μmであるとき、図8で示すように、その波形の乱れはほとんど見られなくなる。なお、ビームエキスパンダー20での可動レンズ22の移動量は、そのレンズ系によって種々定められる。
【0051】
以上の動作をトラックセンターでサンプリングした振幅値の変化で見ると下記表のようになる。表中のAn(n=1〜15)はA(n,i)を略記したものでその値は、未記録部の最大振幅で規格化してある。従って、調整参照値Tiは15個のサンプリング点での規格化振幅の二乗和となる。ここで、判定基準となるTiの目標値Toを0.1と設定すると、この段階で、判定ルーチンを抜けて、記録、再生動作に入ることになる。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
光記録媒体に対して情報の記録、再生を行う光記録媒体記録再生装置であって、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系と、前記集光レンズ系において発生する球面収差を補償するための球面収差補償手段と、前記集光レンズ系と光源との間に配された少なくとも一つの光分岐手段と、前記光分岐手段からの分岐光を受光する受光素子とを搭載する光ピックアップを用い、部分的に記録領域を形成した光記録媒体から得られるラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報をもとに、前記球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定める光記録媒体記録再生装置とすることで、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足しつつ、光記録媒体の記録再生装置として機能させることができる。
【0054】
テストライトにより部分的に記録領域を形成した相変化型光記録媒体から、前記光ピックアップでフォーカスサーボが機能した状態で、ラジアルエラー信号を読み出し、サンプリングするプロセスと、前記サンプリングしたラジアルエラー信号から、ゼロクロス位置情報を算出する手段と、前記ゼロクロス位置情報を算出する手段からのゼロクロス位置情報をもとに、前記球面収差補償量を定める手段と、前記球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定する手段と、前記球面収差補償手段の補償収差量を変えて、球面収差補償が完了したかどうかを判定する手段において、球面収差補償が完了と判定された時点から、記録動作又は再生動作を開始せしめる制御手段とを有する光記録媒体記録再生装置とすることで、光記録媒体ごとにもラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足しつつ、光記録媒体の記録再生装置が実現できる。
【0055】
さらに、前記球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定する手段が、ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まった時点で球面収差補償完了と判断する手段であることで、前記装置における球面収差の補償量を判定するパラメータの目標値を定めやすい。加えて、前記ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まったかを判断する手段が、トラックセンター位置でのラジアルエラー信号振幅を判定基準とすることで、球面収差補償量決定のために最小二乗法のような簡単な判定方法を採用した装置とすることができる。
【0056】
また、光記録媒体に対して情報の記録、再生を行う光記録媒体記録再生装置であって、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系と、前記集光レンズ系において発生する球面収差を補償するための球面収差補償手段と、前記集光レンズ系と光源との間に配された少なくとも一つの光分岐手段と、前記光分岐手段からの分岐光を受光する受光素子とを搭載する光ピックアップにおいて、部分的に記録領域をテストライトにより形成した相変化型光記録媒体に対して、フォーカスサーボが機能した状態で、ラジアルエラー信号をサンプリングするプロセスと、前記サンプリングしたラジアルエラー信号から、ゼロクロス位置情報を算出するプロセスと、前記ゼロクロス位置情報を算出する手段からのゼロクロス位置情報をもとに、前記球面収差補償量を定めるプロセスと、前記球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定するプロセスと、前記球面収差補償手段の補償収差量を変えて、球面収差補償が完了したかどうかを判定するプロセスからなる光ピックアップの球面収差補償方法により、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足させるように、光ピックアップの記録再生性能を装置立ち上げ時に最適化できるシーケンスが実現できる。
【0057】
また、前記球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定する手段が、ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まった時点で球面収差補償完了と判断する手段とすることで、加えて、前記ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まったかを判断する手段が、トラックセンター位置でのラジアルエラー信号振幅を判定基準とする球面収差補償方法とすることで、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足させるように、光ピックアップの記録再生性能を装置立ち上げ時にさらに効果的に最適化できるシーケンスが実現できる。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける光記録媒体再生装置の光ピックアップの概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態における光記録再生装置のビームエキスパンダーの構造を示す図である。
【図3】本実施の形態における光記録再生装置の受光素子の分割形態を示す図である。
【図4】本実施の形態における光記録媒体記録再生装置の概略構成を示す図である。
【図5】本実施の形態における光記録媒体記録再生装置で実行される光ピックアップの球面収差補償のためのシーケンスを示すフローチャートである。
【図6】未記録状態でのラジアルエラー信号の波形の一例を示す図である。
【図7】部分記録状態でのラジアルエラー信号の波形の一例を示す図である。
【図8】球面収差補償後のラジアルエラー信号の波形の一例を示す図である。
【図9】従来技術における光記録媒体記録再生装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 光源、3 コリメータレンズ、5 ビームスプリッター、9 対物レンズ、10 光記録媒体、11 アクチュエータ、20 ビームエキスパンダー、30 受光素子、40 ビームエキスパンダードライバ、53 球面収差補償完了判定装置、61 サンプリング回路、80 制御部、100 光ピックアップ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、球面収差補償機構を有する光記録媒体記録再生装置および球面収差補償方法に関し、特に、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系において発生する球面収差を補償する光記録媒体記録再生装置および球面収差補償方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ピックアップのレンズ系において発生する球面収差を補償する光ピックアップ装置が、特開2002−304763号公報(特許文献1)に記載されている。特開2002−304763号公報に記載の光ピックアップ装置は、光源からの光束を光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる対物レンズと、光源と対物レンズとの光路中に配置され、球面収差の変動を補正するビームエキスパンダとを含む集光光学系を備える。この集光光学系はプラスチックレンズを含み、情報記録面からの反射光を検出し、球面収差の変動を検出する多分割光検出器と、検出球面収差変動の補正のためにビームエキスパンダを駆動する1軸アクチュエータ11とを備えている。多分割光検出器は、2つの受光面を有し、各受光面では、ホログラム素子により分割された第1の光束と第2の光束とが受光される。ホログラム素子により、第1の光束にはアンダーな球面収差成分が、第2の光束にはオーバーな球面収差成分が付加される。2つの受光面それぞれで受光されるアンダーな球面収差成分とオーバーな球面収差成分とから球面収差の変動が検出されて、ビームエキスパンダが駆動されて球面収差の変動が補正される。
【0003】
また、球面収差補償機構として液晶パネルを搭載した光ピックアップを備えた情報記録再生装置が、特開2001−266392号公報(特許文献2)に記載されている。特開2001−266392号公報に記載の情報記録再生装置を図9に示す。図9に示すように、情報記録再生装置は、光ピックアップ303を備える。光ピックアップ303には光源331、ハーフミラー333、集光レンズ337、光検出器338、対物レンズ334を駆動するアクチュエータ335、336から構成され、トラッキング信号は、光検出器338の4分割された受光部の出力をもとに生成されている。この情報記録再生装置は、基本的にはサーボループスイッチ(「ラジアルスイッチ」ともいう)306がOFFの状態で、光ディスク305から信号検出し、トラッキングエラー信号(「ラジアルエラー信号」ともいう)をトラッキングエラー生成回路310でもって生成し、この信号をモニターして、球面収差補償を行う。信号のモニター方法は、収差補償完了判定手段350の中の動作に依存し、ここでは、トラッキングエラー信号のエンベロープ検波回路351で、トラッキングエラー信号のレベルを検出し、比較器352に供給する。比較器352では、液晶ドライバ304で、液晶パネル332で与える球面収差量を調整しながら、所定の基準レベルと比較を行い、その基準レベルを超えたかどうかで、球面収差補償が完了したかの判定を行う。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−304763号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−266392号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2002−304763号公報に記載の光ピックアップ装置は、多分割光検出器が有する2つの受光面で、アンダーな球面収差成分とオーバーな球面収差成分とがそれぞれ受光されるように、ホログラム素子を備えなければならず、光路が複雑になるといった問題がある。
【0007】
また、特開2001−266392号公報に記載の情報記録再生装置では、球面収差補償を行う手法としていわゆる山登り方法を用いている。この山登り方法では、光記録媒体に記録された信号の再生信号振幅を最大にすること、あるいは図9の装置構成のようにラジアルエラー信号の振幅最大にすることを目標に、球面収差補償素子の調整を行う。この調整方法で球面収差調整した場合に、例えば、プッシュプル法で検出したラジアルエラー信号を観測すると、記録領域と未記録領域との境界において、その相対的な位相差により大きくラジアルエラー信号波形が変動する。具体例としては、本来トラックセンターではゼロになるはずのラジアルエラー信号の振幅が0にならなくなるという現象(ゼロクロス位置の位置ずれ)が起こる。この現象は相変化型の光記録媒体に特有で、安定したラジアルサーボを行うのに大きな弊害が有る。
【0008】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足した球面収差補償機構を有する光記録媒体記録再生装置および球面収差補償方法を提供することである。
【0009】
この発明の他の目的は、光ピックアップの球面収差補償精度を向上し、光ピックアップの記録再生性能を装置立ち上げ時に最適化できる球面収差補償方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、光記録媒体に対して情報の記録または再生を行う光記録媒体記録再生装置は、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系と、集光レンズ系において発生する球面収差を補償するための球面収差補償手段と、集光レンズ系と光源との間に配された少なくとも一つの光分岐手段と、光分岐手段からの分岐光を受光する受光素子とを搭載する光ピックアップと、部分的に記録領域を形成した光記録媒体から得られるラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報を基に、球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定める制御手段とを備える。
【0011】
この発明に従えば、部分的に記録領域を形成した光記録媒体でのラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報に着目するので、記録したデータの再生信号品質よりも球面収差変化に鋭敏に反応する要素、すなわち部分的に記録領域を形成した光記録媒体でのラジアルエラー信号のゼロクロス位置という要素を基準に球面収差補償を行う。一方で、記録したデータの再生信号品質は球面収差変化に対してラジアルエラー信号のゼロクロス位置の変化よりも鈍感なので、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足した、光記録媒体記録再生装置を提供することができる。
【0012】
好ましくは、制御手段は、光ピックアップでフォーカスサーボが機能した状態で、テストライトにより部分的に記録領域を形成した相変化型光記録媒体からラジアルエラー信号を読み出してサンプリングするサンプリング手段と、サンプリングしたラジアルエラー信号からゼロクロス位置情報を算出する算出手段と、算出されたゼロクロス位置情報に基づき、球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定する判定手段と、算出手段により算出されたゼロクロス位置情報を基に、球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定める補償量決定手段とを含み、判定手段により球面収差補償が完了したと判定されるまで球面収差補償手段による補償を繰返し、球面収差補償が完了と判定された時点から記録動作または再生動作を開始せしめる。
【0013】
この発明に従えば、部分的な記録領域をテストライトにより形成するので、光記録媒体が変わるごとに光記録媒体でのラジアルエラー信号のゼロクロス位置という要素を基準に球面収差補償を行うことができる。従って、光記録媒体固有の条件で、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足させることができる。
【0014】
好ましくは、判定手段は、ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まった時点で球面収差補償完了と判断する。
【0015】
この発明に従えば、上記ゼロクロス位置の位置ずれが最も計算しやすく、ラジアル信号のサンプリング点もラジアル信号の乱れがないときのゼロクロス位置、またはその近傍に定めることができ、球面収差の補償量を判定するパラメータの目標値を定めやすい。
【0016】
好ましくは、判断手段は、トラックセンター位置でのラジアルエラー信号の振幅を判定基準とする。
【0017】
この発明に従えば、位置ずれのない理想状態をほぼサンプリング点で振幅0の状態と設定できるので、球面収差補償量決定のためにたとえば最小二乗法のような簡単な判定方法を採用することができる。
【0018】
この発明の他の局面によれば、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系と、集光レンズ系において発生する球面収差を補償するための球面収差補償手段と、集光レンズ系と光源との間に配された少なくとも一つの光分岐手段と、光分岐手段からの分岐光を受光する受光素子とを搭載する光ピックアップを備え、光記録媒体に対して情報の記録または再生を行う光記録媒体記録再生装置で実行される光ピックアップの球面収差補償方法は、光ピックアップでフォーカスサーボが機能した状態で、テストライトにより部分的に記録領域を形成した相変化型光記録媒体からラジアルエラー信号を読み出してサンプリングするプロセスと、サンプリングしたラジアルエラー信号からゼロクロス位置情報を算出するプロセスと、ゼロクロス位置情報を算出するプロセスにより算出されたゼロクロス位置情報を基に、球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定めるプロセスと、ゼロクロス位置情報を算出するプロセスにより算出されたゼロクロス位置情報を基に、球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定するプロセスとを含み、球面収差の補償量を定めるプロセスは、判定プロセスにより球面収差補償が完了したと判定されるまで球面収差の補償量を繰返し定める。
【0019】
この発明に従えば、光ピックアップの球面収差補償方法として、位置ずれをダイレクトに、または、その近傍で観測するので、光ピックアップの球面収差補償精度が向上し、光ピックアップの記録再生性能を装置立ち上げ時に最適化できるシーケンスを効果的に実現した球面収差補償方法を提供することができる。
【0020】
好ましくは、判定プロセスは、ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まった時点で球面収差補償完了と判断する。
【0021】
この発明にしたがえば、上記ゼロクロス位置の位置ずれが最も計算しやすく、ラジアル信号のサンプリング点もラジアル信号の乱れがないときのゼロクロス位置、またはその近傍に定めることができ、球面収差の補償量を判定するパラメータの目標値を定めやすい。
【0022】
好ましくは、判定プロセスは、トラックセンター位置でのラジアルエラー信号の振幅を判定基準とする。
【0023】
この発明に従えば、位置ずれのない理想状態をほぼサンプリング点で振幅0の状態と設定でき、球面収差補償量決定のためにたとえば最小二乗法のような簡単な判定方法を使って光ピックアップの球面収差を補償できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につい図面を参照して説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0025】
本実施の形態における光記録媒体再生装置において用いられる光ピックアップについて図1を用いて説明する。本実施の形態では球面収差補償手段としてビームエキスパンダー20を用いているが、これを位相補償できる液晶素子とすることもできる。
【0026】
まず、出射光学系について、その構成を説明する。光源1と、コリメータレンズ3と、整形プリズム4と、ビームスプリッター5と、ビームエキスパンダー20(図2に拡大図を示す)と、集光レンズ系としての対物レンズ9(図1では、一つのレンズで書かれているが2つのレンズを合わせた組レンズでもよい)とで基本的に構成される。当然、対物レンズ9の手前には、立ち上げミラーが入ってもよいし、また、対物レンズはこれを光記録媒体10に対して所定の位置にトラッキングするように、アクチュエータ(図示せず)に搭載されている。一方で、分岐光学系では、ビームスプリッター5の透過光路中にシリンドリカルレンズ7と、集光レンズ6とを配置して、受光素子30に光を導いている。
【0027】
また、このピックアップでの受光素子30は図3のV方向矢視図に示されるように、4分割された受光部A、B、C、Dを有しており、ラジアルトラッキングはプッシュプル法を用いている。また、光記録媒体の半径方向は矢印Wの方向なので、そのラジアルエラー信号(RES)は、受光部A、B、C、Dのそれぞれの出力、SA、SB、SC、SDを用いて、RES=(SA+SC)−(SB+SD)で演算される。また、フォーカストラッキングについては、シリンドリカルレンズ7を利用した非点収差法を用いており、このときのフォーカスエラー信号(FES)は、FES=(SA+SD)−(SB+SC)で演算される。ただし、このサーボ信号の検出方法は、この方法に限らず採用することが可能である。
【0028】
この実施の形態での光ピックアップの出射光学系では、光源1とコリメータレンズ3との間に2分の1波長板2が配置され、ここで偏光面を回転し、ビームスプリッター5の反射面で反射させ、その反射光を4分の1波長板8を通して、円偏光にして、ビームエキスパンダー20に向けて出射する。ビームエキスパンダー20は、球面収差の補償素子として機能し、図2のビームエキスパンダー20の構成はその一例であり、ベース部26の上に、固定レンズ21が固定レンズホルダー23に搭載され、可動レンズ22が可動レンズホルダー24に固定され、固定レンズホルダー23に対し、可動レンズホルダー24は軸摺動する。動作例をあげれば、出射光が照射する光記録媒体の表面にあるカバー層の厚さが所定の値からずれている際に生じる球面収差を補償する場合がある。この場合、このビームエキスパンダー20において、その可動レンズ22が動くことで、その発生波面はカバー層厚さ誤差による波面の球面波化を打ち消す方向に波面が変化し、結果として対物レンズの出射光はスポット径最小に設定される。
【0029】
しかし、実際に球面収差の補償による最小スポット化で最高の再生状態になるわけではなく、その光記録媒体に部分的に記録をすることで、部分的な記録トラックと未記録トラックとの境界付近では、ラジアルエラー信号に乱れを生じる。このときには、その乱れによるラジアルサーボ動作の不安定化が問題になる。そこで、本実施の形態では、そのラジアルエラー信号の乱れに注目し、まず、球面収差の付与でその乱れを解消する装置構成及び、その方法を示す。
【0030】
図4を用いて、ラジアルエラー信号の乱れを抑制するための装置構成を示す。本実施の形態での光記録媒体の記録再生装置は、ピックアップ100のほかに、ビームエキスパンダー20を制御するためのビームエキスパンダードライバ40と、受光素子30の出力から、上記演算を用いてFES、RESを発生させる、フォーカスエラー信号生成回路51及びラジアルエラー信号生成回路52と、LD駆動のためのLDドライバ54と、LDドライバでの記録を制御する記録回路55と、球面収差の補償量を変化させながら、最適な収差補償量を判定するための、最適球面収差補償量判定装置53と、最適球面収差補償量判定装置の出力をもとにビームエキスパンダードライバ40や、フォーカススイッチ70や、ラジアルスイッチ71を制御する制御部80とから構成される。ここで、アクチュエータ11は制御部80の命令で動作し、フォーカススイッチ70、ラジアルスイッチ71のON,OFFの情報が供給される。
【0031】
ここで、球面収差補償完了判定装置53は種々の方法で構成できるが、本実施例では、前記サンプリングしたラジアルトラッキングエラー信号から、ゼロクロス位置情報を算出する手段と、ラジアルエラー信号から振幅データをn個のポイントでサンプリング(A(n,i)を求める)してホールドする手段(サンプリング回路61)と、そのサンプリングした振幅の二乗総和Ti(=Σ{A(n,i)}2:iはi回目の判定ルーチンであることを示す)を求める手段(加算器62)と、その二乗総和Tiと目標の総和Toとを比較しその結果を判定する手段(比較器63)とから構成されている。ここで、前記サンプリングしたラジアルエラー信号から、サンプリングした振幅の二乗総和を求める手段62が、ゼロクロス位置情報として、サンプリングした振幅データA(n,i)の二乗総和Tiを算出する手段となっている。
【0032】
また、ゼロクロス位置情報を算出する手段からのゼロクロス位置情報をもとに、球面収差補償量を定めるについては、制御部80の一部として組み込まれており、そこでビームエキスパンダー20で発生させるべき球面収差補償量を定めている。定まった球面収差補償量の情報は、ビームエキスパンダードライバ40へ制御部80から送られる。
【0033】
なお、この装置構成でFSW、RSWは、それぞれ、フォーカススイッチ、ラジアルスイッチのON,OFFを指示する信号で、FES’は、フォーカス注入でフォーカス位置を所定量Fpだけずらして調整するといった調整を行なった際のDCオフセット注入後のフォーカスエラー信号を現す。
【0034】
以下に、上記光記録媒体の記録再生装置の詳細を説明するとともに、球面収差補償量の判定方法について、以下図5を用いて説明する。
【0035】
まず、本実施の形態で示す最適な球面収差補償を実現するための手順について説明する。球面収差補償の目標となるRESが発生する条件を実現するために、テストライト動作を行う。このテストライトでは特別な動作はなく、通常のようにフォーカスサーボ(フォーカススイッチ70)ON、ラジアルサーボ(ラジアルスイッチ71)ONの後、記録動作を行う。この実施例では、記録はグルーブ記録で隣接した任意のトラック2本にテストライトを行う(以上プロセスP1)。
【0036】
以下は、下記のように最適な球面収差補償量を求めるプロセスを進める。
プロセスP2では、ラジアルサーボをOFF(ラジアルスイッチ71をOFF)する。
【0037】
プロセスP3では、ラジアルエラー信号の所定周期での振幅サンプリングを行い、振幅サンプル値A(n,0)を求める。
【0038】
プロセスP4では、初期調整参照値T0を、次の演算式に従って求める。
T0=Σ{A(n,0)}2
ここで、i回目の判定ルーチンでの調整参照値Tiを次式で表す。
【0039】
Ti=Σ{A(n,i)}2
ただし、A(n,i)は、i回目の判定ルーチンにおける振幅のサンプル値を示す。
【0040】
プロセスP5では、初期球面収差補償量を設定する。この球面収差補償量は、調整参照値Tiと関連させた一義の関係で設定する。この関係は、経験式で求め、球面収差補償量をSAi(例えばビームエキスパンダーの場合、レンズの移動量制御なので単位はμmとなる)としたとき、SAi=kTi(k比例定数)で定める。もちろん、この定め方は種々の方法を取ることができる。
【0041】
続いて、プロセスP6では、球面収差補償量データをビームエキスパンダードライバに送る。プロセスP7では、ビームエキスパンダーを動かす。プロセスP8では、ラジアルエラー信号の所定周期での振幅サンプリングを行い、振幅のサンプル値A(n,i)を求める。このP8までプロセスが進んだら、以下P9,P10と進める。
【0042】
プロセスP9では、調整参照値Tiを、次の演算式に従って求める。
Ti=Σ{A(n,i)}2
プロセスP10では、プロセスP9で求めた調整参照値Tiと目標値Toとの差ΔTを次式に従って求める。
【0043】
ΔT=To−Ti
プロセスP10では、ΔTの値を球面収差補償量の変更の基準として判断する。この実施の形態では、TiとToとがほぼ等しくなる時点、すなわちΔT≒0で、球面収差変更動作を終える判定基準を設けている。また、この判定ルーチンでYESの場合はプロセスP11に移行し、また、NOの場合はループL1に入り、再度、球面収差補償量を設定し直し、プロセスP6に戻り、再度ビームエキスパンダーを動かす動作を含めて、プロセスP6からプロセスP9の動作を行い、再度判定するという動作を繰り返し行い、判定基準を満たした時点でプロセスP11に移行する。
【0044】
プロセスP11では、ラジアルサーボをONする。このプロセスで、ラジアルサーボを開始し、記録されたデータから信号再生を開始する。この際の球面収差補償量は、記録されたデータを再生するための対物レンズ9の出射ビームを、その径として最小にするものではないが、再生信号品質としての劣化は小さく、信号再生に問題はない。この現象は、再生信号の球面収差補償量に対するジッター特性の変動が、そのジッター最小点付近で球面収差補償量変化に対し、鈍感であるために生じるものである。
【0045】
従って、本実施の形態での球面収差補償量の設定方法は、再生時の不安定要因に最もなりやすい要素であるラジアルエラー信号の乱れに着目し、その影響を球面収差補償により排除したものであり、結果として最も安定した信号再生条件につながるものである。
【0046】
以下、ラジアルエラー信号のサンプリングの方法について示す。ラジアルエラー信号のサンプリングの方法には色々ある。例えばピーク位置を全てサンプリングして、このラジアル信号の動きを、この場合ゼロクロス位置情報は両者の中間点で判定する。つまり、ダイレクトにずれを検出することがメリットになる。また、一方でより確実な方法として、理想状態(例えば、未記録の光記録媒体でラジアルエラー信号(図6参照)を検出するなど)でのゼロクロス点を記憶させ、その前後でラジアル信号をサンプリングする方法もある。この方法では、より正確にゼロクロス位置を、直接検出できる。
【0047】
さらに、以下はより簡単に判定しやすい、トラックセンター位置でラジアルエラー信号の振幅をサンプリングして、最小二乗法的に判定する判定方法について説明する。この説明にあたり、本実施例での光ピックアップの光学パラメータ、光記録媒体に関するパラメータは以下のようになっている。光ピックアップの対物レンズ9は、NA(開口数)=0.85のもの、光源1の波長は405nm、光記録媒体10としては、ディスクカバー層厚さ0.1mm、トラック幅が0.16μm(トラックピッチ0.32μm)、溝深さ21nm、屈折率1.6、記録領域と未記録領域の間の位相ずれ量を15°としてある。
【0048】
まず、記録していない状態(未記録状態)での乱れのないラジアルエラー信号波形は、図6のように振幅0の位置が0.16μm周期で現れる。そこで、この0.16μm周期位置、つまりトラックセンターをサンプリング点とし、それぞれの基準点に対して振幅A(n,i)を検出する。この結果、この0.16μm周期のトラックセンターでの振幅A(n,i)がラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報になる。
【0049】
次に、記録(テストライト)を一部のトラックに対して行った場合は、ラジアルエラー信号の波形は図7のように、記録したトラックと未記録のトラックの境界で乱れる(トラックセンターでゼロクロスしなくなる)。そこで、サンプリングした振幅A(n,i)は、0より大きな値を持つようになり、ゼロクロス位置のずれの大きさを顕著に反映する。ここから、上記球面収差補償方法(図5に示す)により、ゼロクロス位置ずれの程度をTi=Σ{A(n,i)}2で求められる調整参照値Tiを算出して、その調整参照値の目標値Toとの差を判定しながら、ビームエキスパンダー20で球面収差補償を徐々にしていく。
【0050】
この結果、ラジアルエラー信号はゼロクロス位置に関する乱れが徐々に小さくなり、付与される球面収差が例えば、ディスクカバー層厚さ換算で3μmであるとき、図8で示すように、その波形の乱れはほとんど見られなくなる。なお、ビームエキスパンダー20での可動レンズ22の移動量は、そのレンズ系によって種々定められる。
【0051】
以上の動作をトラックセンターでサンプリングした振幅値の変化で見ると下記表のようになる。表中のAn(n=1〜15)はA(n,i)を略記したものでその値は、未記録部の最大振幅で規格化してある。従って、調整参照値Tiは15個のサンプリング点での規格化振幅の二乗和となる。ここで、判定基準となるTiの目標値Toを0.1と設定すると、この段階で、判定ルーチンを抜けて、記録、再生動作に入ることになる。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
光記録媒体に対して情報の記録、再生を行う光記録媒体記録再生装置であって、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系と、前記集光レンズ系において発生する球面収差を補償するための球面収差補償手段と、前記集光レンズ系と光源との間に配された少なくとも一つの光分岐手段と、前記光分岐手段からの分岐光を受光する受光素子とを搭載する光ピックアップを用い、部分的に記録領域を形成した光記録媒体から得られるラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報をもとに、前記球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定める光記録媒体記録再生装置とすることで、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足しつつ、光記録媒体の記録再生装置として機能させることができる。
【0054】
テストライトにより部分的に記録領域を形成した相変化型光記録媒体から、前記光ピックアップでフォーカスサーボが機能した状態で、ラジアルエラー信号を読み出し、サンプリングするプロセスと、前記サンプリングしたラジアルエラー信号から、ゼロクロス位置情報を算出する手段と、前記ゼロクロス位置情報を算出する手段からのゼロクロス位置情報をもとに、前記球面収差補償量を定める手段と、前記球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定する手段と、前記球面収差補償手段の補償収差量を変えて、球面収差補償が完了したかどうかを判定する手段において、球面収差補償が完了と判定された時点から、記録動作又は再生動作を開始せしめる制御手段とを有する光記録媒体記録再生装置とすることで、光記録媒体ごとにもラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足しつつ、光記録媒体の記録再生装置が実現できる。
【0055】
さらに、前記球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定する手段が、ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まった時点で球面収差補償完了と判断する手段であることで、前記装置における球面収差の補償量を判定するパラメータの目標値を定めやすい。加えて、前記ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まったかを判断する手段が、トラックセンター位置でのラジアルエラー信号振幅を判定基準とすることで、球面収差補償量決定のために最小二乗法のような簡単な判定方法を採用した装置とすることができる。
【0056】
また、光記録媒体に対して情報の記録、再生を行う光記録媒体記録再生装置であって、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系と、前記集光レンズ系において発生する球面収差を補償するための球面収差補償手段と、前記集光レンズ系と光源との間に配された少なくとも一つの光分岐手段と、前記光分岐手段からの分岐光を受光する受光素子とを搭載する光ピックアップにおいて、部分的に記録領域をテストライトにより形成した相変化型光記録媒体に対して、フォーカスサーボが機能した状態で、ラジアルエラー信号をサンプリングするプロセスと、前記サンプリングしたラジアルエラー信号から、ゼロクロス位置情報を算出するプロセスと、前記ゼロクロス位置情報を算出する手段からのゼロクロス位置情報をもとに、前記球面収差補償量を定めるプロセスと、前記球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定するプロセスと、前記球面収差補償手段の補償収差量を変えて、球面収差補償が完了したかどうかを判定するプロセスからなる光ピックアップの球面収差補償方法により、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足させるように、光ピックアップの記録再生性能を装置立ち上げ時に最適化できるシーケンスが実現できる。
【0057】
また、前記球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定する手段が、ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まった時点で球面収差補償完了と判断する手段とすることで、加えて、前記ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まったかを判断する手段が、トラックセンター位置でのラジアルエラー信号振幅を判定基準とする球面収差補償方法とすることで、ラジアルサーボの安定性と、記録したデータの再生信号品質確保との双方の性能を満足させるように、光ピックアップの記録再生性能を装置立ち上げ時にさらに効果的に最適化できるシーケンスが実現できる。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける光記録媒体再生装置の光ピックアップの概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態における光記録再生装置のビームエキスパンダーの構造を示す図である。
【図3】本実施の形態における光記録再生装置の受光素子の分割形態を示す図である。
【図4】本実施の形態における光記録媒体記録再生装置の概略構成を示す図である。
【図5】本実施の形態における光記録媒体記録再生装置で実行される光ピックアップの球面収差補償のためのシーケンスを示すフローチャートである。
【図6】未記録状態でのラジアルエラー信号の波形の一例を示す図である。
【図7】部分記録状態でのラジアルエラー信号の波形の一例を示す図である。
【図8】球面収差補償後のラジアルエラー信号の波形の一例を示す図である。
【図9】従来技術における光記録媒体記録再生装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 光源、3 コリメータレンズ、5 ビームスプリッター、9 対物レンズ、10 光記録媒体、11 アクチュエータ、20 ビームエキスパンダー、30 受光素子、40 ビームエキスパンダードライバ、53 球面収差補償完了判定装置、61 サンプリング回路、80 制御部、100 光ピックアップ。
Claims (7)
- 光記録媒体に対して情報の記録または再生を行う光記録媒体記録再生装置であって、
光源と、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系と、前記集光レンズ系において発生する球面収差を補償するための球面収差補償手段と、前記集光レンズ系と光源との間に配された少なくとも一つの光分岐手段と、前記光分岐手段からの分岐光を受光する受光素子とを搭載する光ピックアップと、
部分的に記録領域を形成した光記録媒体から得られるラジアルエラー信号のゼロクロス位置情報を基に、前記球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定める制御手段とを備える、光記録媒体記録再生装置。 - 前記制御手段は、前記光ピックアップでフォーカスサーボが機能した状態で、テストライトにより部分的に記録領域を形成した相変化型光記録媒体からラジアルエラー信号を読み出してサンプリングするサンプリング手段と、
前記サンプリングしたラジアルエラー信号からゼロクロス位置情報を算出する算出手段と、
前記算出されたゼロクロス位置情報に基づき、前記球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定する判定手段と、
前記算出手段により算出されたゼロクロス位置情報を基に、前記球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定める補償量決定手段とを含み、
前記判定手段により球面収差補償が完了したと判定されるまで前記球面収差補償手段による補償を繰返し、球面収差補償が完了と判定された時点から記録動作または再生動作を開始せしめる、請求項1記載の光記録媒体記録再生装置。 - 前記判定手段は、ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まった時点で球面収差補償完了と判断する、請求項2記載の光記録媒体記録再生装置。
- 前記判断手段は、トラックセンター位置でのラジアルエラー信号の振幅を判定基準とする、請求項3記載の光記録媒体記録再生装置。
- 光源と、光源からの出射光を光記録媒体上へ集光するレンズ系と、前記集光レンズ系において発生する球面収差を補償するための球面収差補償手段と、前記集光レンズ系と光源との間に配された少なくとも一つの光分岐手段と、前記光分岐手段からの分岐光を受光する受光素子とを搭載する光ピックアップを備え、光記録媒体に対して情報の記録または再生を行う光記録媒体記録再生装置で実行される光ピックアップの球面収差補償方法であって、
前記光ピックアップでフォーカスサーボが機能した状態で、テストライトにより部分的に記録領域を形成した相変化型光記録媒体からラジアルエラー信号を読み出してサンプリングするプロセスと、
前記サンプリングしたラジアルエラー信号からゼロクロス位置情報を算出するプロセスと、
前記ゼロクロス位置情報を算出するプロセスにより算出されたゼロクロス位置情報を基に、前記球面収差補償手段で発生させる球面収差の補償量を定めるプロセスと、
前記ゼロクロス位置情報を算出するプロセスにより算出されたゼロクロス位置情報を基に、前記球面収差補償手段による球面収差補償が完了したかどうかを判定するプロセスとを含み、
前記球面収差の補償量を定めるプロセスは、前記判定プロセスにより球面収差補償が完了したと判定されるまで前記球面収差の補償量を繰返し定める、光ピックアップの球面収差補償方法。 - 前記判定プロセスは、ラジアルエラー信号のゼロクロス位置が所定の範囲の位置ずれ内に収まった時点で球面収差補償完了と判断する、請求項5記載の光ピックアップの球面収差補償方法。
- 前記判定プロセスは、トラックセンター位置でのラジアルエラー信号の振幅を判定基準とする、請求項6記載の光ピックアップの球面収差補償方法。
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US8477575B2 (en) | 2011-06-07 | 2013-07-02 | Funai Electric Co., Ltd. | Optical disc apparatus |
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2003
- 2003-07-16 JP JP2003197895A patent/JP2005038472A/ja not_active Withdrawn
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