JP2005037460A - 積層位相差板の製造方法 - Google Patents

積層位相差板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005037460A
JP2005037460A JP2003197500A JP2003197500A JP2005037460A JP 2005037460 A JP2005037460 A JP 2005037460A JP 2003197500 A JP2003197500 A JP 2003197500A JP 2003197500 A JP2003197500 A JP 2003197500A JP 2005037460 A JP2005037460 A JP 2005037460A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
retardation plate
plate
retardation
phase difference
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003197500A
Other languages
English (en)
Inventor
Shoji Kokubo
省司 小久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Watch Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Citizen Watch Co Ltd filed Critical Citizen Watch Co Ltd
Priority to JP2003197500A priority Critical patent/JP2005037460A/ja
Publication of JP2005037460A publication Critical patent/JP2005037460A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】2枚の位相差板を0.5μm以下の面平坦度を有し、その複数の位相差板をほぼ平行に貼り合わせることができる積層位相差板の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の液晶セルの間隙に高分子液晶層を配した第1の位相差板を形成した後に、第1の位相差板の一方の基板を兼用して第2の液晶セルを形成し、その第2の液晶セルに高分子液晶層を更に配することで3枚の基板間で2つの高分子液晶層が狭持された積層位相差板を製造する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子液晶からなる複数枚の位相差板を積層し、その複数枚の位相差板を透明基板で狭持した積層位相差板の製造方法に関し、特に両位相差板の面平坦度および平行度が要求される、例えば光ピックアップ装置に適用可能な積層位相差板の製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
単色光に対して1/4波長の位相差を与える複屈折性部材と、単色光に対して1/2波長の位相差を与える複屈折性部材とを貼りあわせ、全体として1/4波長板として機能する積層位相差板や、単色光に対して1/2波長の位相差を与える2つの複屈折性部材を貼りあわせ、全体として1/2波長板として機能する積層位相差板が知られている。これら積層位相差板は、ある特定波長だけでなく、例えば主に可視光域全般の広い波長帯域にわたって1/4波長板または1/2波長板として機能するものである。
【0003】
また、これら技術を応用して特定の2波長に対し、一方の波長に対しては前述した複屈折性部材に相当する位相差板に入射する直線偏光を45°回転させる機能を有し、他方の波長に対してはその波長板に入射する直線偏光を円偏光に変える機能を有する積層位相差板として2波長位相差板が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ここで、上記機能を有する2波長位相差板とこれを用いた光ピックアップ装置を例に挙げて説明する。
図5は、2波長用位相差板の機能と構成を説明するための図面である。図6は、積層位相差板を搭載した光ピックアップ装置の構成と作用を説明するための模式図である。
【0005】
上述した特定の2波長とは、例えばCDで使う波長790nm(λ1)とDVDで使う波長660nm(λ2)である。ここで用いている2波長位相差板100は、先に説明した1/4波長板および1/2波長板として機能する積層位相差板と基本的に同じ構成であり、各位相差板のリタデーション値と2枚の位相差板の貼り合わせ角度が異なるだけである。これにより、CDとDVDに用いる両者の波長λ1およびλ2の直線偏光に対応する動作を与えることができる。
【0006】
また、この2波長用位相差板の構成は、図5に示す様に、一方の面に複屈折性を有し、高分子液晶からなる有機薄膜(第1の位相差板)103,(第2の位相差板)107を備えた2枚のガラスまたはプラスチックからなる透明基板101,109を接着剤105を介して貼り合わせて一体としたものである。この一方の有機薄膜103は、リタデーション値が593nmを中心値とする533〜652nmの範囲にあり、他方の有機薄膜107は、リタデーション値が395nmを中心値とする356〜434nmの範囲となるものを用いている。さらに、一方の有機薄膜103と、他方の有機薄膜107の貼り合わせ角度を19〜29度として積層して2波長用位相差板100を構成している。
【0007】
この様に構成することで、図5aに示す様に、λ1の直線偏光が2波長用位相差板100に入射させ、その位相差板からの出射光の偏光方向を45°回転させることができる。また、図5bに示す様に、λ2の光が2波長用位相差板100に入射すると、その位相差板からの出射光を円偏光に変換させることができるのである。
【0008】
ここで、この2波長用位相差板100の製造方法について下記に示す。
まず、2枚の透明基板を用意し、それぞれの表面に配向膜を塗布し、その配向膜に所望の配向処理を施す。そして、複屈折性材料である液晶モノマーの溶液を配向膜上に塗布した後、光重合用の光源光をこの液晶モノマーに照射して重合硬化させて、透明基板上に高分子液晶層を有する第1の位相差板と第2の位相差板を得ることができる。さらに、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の接着剤をスピンコート法、ロールコート法によりこの一方の位相差板の高分子液晶層の表面にできるだけ均一に塗り、両基板を一体に貼り合せて2波長用位相差板100が完成する。
【0009】
次に、この2波長用位相差板100を用いた光ピックアップ装置200の構成について図6を用いて詳細に説明する。
図6に示す光ピックアップ装置200は、一方の半導体レーザー201aからのCD用の波長λ1の出射光が、ビームスプリッタ203aにより反射し、コリメートレンズ205により平行光とされた光が2波長用位相差板100により偏光方向が45°回転され、対物レンズ207により光記録媒体である光ディスク209上に集光されるように構成したものである。そして、光ディスク209で反射した戻り光は、再度2波長用位相差板100を通過して偏光方向が45°回転されるので、往路の偏光方向と平行となり、コリメートレンズ205およびビームスプリッタ203a,bを通過して光検出器210へと導かれる。その、戻り光を光検出器210で受光することで、光ディスク209上の情報を電気信号に変換させることができる。
【0010】
また、他方の半導体レーザー201bからはDVD用の波長λ2が出射され、この光はビームスプリッタ203bにより反射し、コリメートレンズ205により平行光とされた直線偏光が2波長用位相差板100により円偏光に変換され、対物レンズ207により光ディスク209に集光される。そして、光ディスク209で反射した円偏光の戻り光は、再度2波長用位相差板100を通過して往路の偏光方向とは垂直な直線偏光になった後、コリメートレンズ205およびビームスプリッタ203a,bを通過して光検出器210へと導かれる。
上述した構成とすることで、CDおよびDVDの異なる波長に対しても同一の装置で情報を書き込みまたは読み込みが可能な光ピックアップ装置200とすることができる。
【0011】
【特許文献1】特開2002−250815号公報(第3−4頁、図1−2)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の積層位相差板(2波長用位相差板100)の製造方法では、2枚の透明基板に液晶モノマーを塗布してその液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶を得ている。しかしながら、この手段によると、透明基板上を開放させた状態で比較的粘度が高い(例えば20〜30cp程度)液晶モノマーを面精度良く塗布することはできないため、これにより形成される位相差板の面平坦度が数十μm程度となってしまう。
【0013】
そして、一方の高分子液晶上に接着剤を塗布し、元々面平坦度が悪い2枚の位相差板を平行に貼り合わせることができたとしても、ここで得られる積層位相差板は目的の機能を有するものとはなり得ない。また例え面平坦度に優れた位相差板が製造できたとしても、従来の方法によると、各位相差板を平行に配置することは現実的には難しい。この様に各位相差板が平行に配置されないと、平行度がずれた方の位相差板の厚みが変わってしまうこととなり、この場合も目的の位相差を得られない形態となってしまう。
よって、上記2つの工程で2枚の位相差板を例えば、光ピックアップ装置に使用する際に要求される、狙い値から±0.5μm以下の面平坦度を有し、目的の位相に変換する2波長用位相差板100とすることは、不可能であることがわかる。上記の不具合は、位相差板の外径サイズが小さい場合に特に大きな問題となる。
【0014】
この従来の方法で形成された小型の2波長用位相差板100を光ピックアップ装置200に適用すると以下の不具合を生ずる。ここで用いられる2波長用位相差板の外径サイズを例えば5mm角程度のものを想定して以下に説明する。
従来の方法で2波長用位相差板100を構成する2つの位相差板の面平坦度が悪く、しかも平行度がずれていると、例え光ピックアップ装置200を構成する各部材の光軸が合っていたとしても、この2波長用位相差板100から光ディスク209面側に出射されるビームが狙いの位相差とならないこととなる。この様な現象が起こると、光ディスク209面の読み取りや光ディスク209への書き込みエラーとなってしまう虞があり、装置の信頼性が低下してしまう。よって、従来の方法により形成された積層位相差板を光ピックアップ装置200に搭載するには、面平坦度の誤差が相殺される程度の適度に大きな位相差板を用いなくてはならず、装置の小型化をする上で障害となっていた。
【0015】
また、この積層位相差板は、接着層を介して位相差板を積層しているので、その2枚の位相差板を貼り合わせる時にかなりの確立で接着面へ気泡が混入してしまうという不具合もある。一度気泡が混入してしまうと、そこから脱気させることは困難であり、例え脱気処理が可能であっても余計な工程の付加となる。
【0016】
この気泡が混入されたままの積層位相差板を光ピックアップ装置に使用すると、接着層を構成する接着剤の屈折率と、接着層に混入した気泡の屈折率とが異なるので、積層位相差板に入射したレーザー光はこの気泡により散乱してしまうこととなる。そうすると、光ディスクに書き込まれた情報を読み取る際の信号の低下を招いたり、その散乱光がノイズとなってしまうことがある。また、光ディスクに情報を書き込む際には書き込みエラーを起こしてしまうこととなる。
本発明の目的は、上記課題を解決し、位相差板の面平坦度を向上させ、複数の位相差板をほぼ平行となるように貼り合わせることができる積層位相差板の製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために次の手段を用いた。
第1の手段は、第1の基板と第2の基板を間隙をもって貼り合わせて第1の液晶セルを形成する工程と、第1の液晶セルの間隙に液晶モノマーを注入した後にその液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶層を有する第1の位相差板を形成する工程と、第3の基板と、第1の位相差板を構成する高分子液晶層とは反対側の基板とを対向させて間隙をもって貼り合わせて第2の液晶セルを形成する工程と、第2の液晶セルの間隙に液晶モノマーを注入した後にその液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶層を有する第2の位相差板を形成する工程とを有する積層位相差板の製造方法である。
【0018】
また、第2の手段は、第1の液晶セルを形成する工程と、第2の液晶セルを形成する工程の後に、第1の位相差板を形成する工程と、第2の位相差板を形成する工程を同一工程にて行う積層位相差板の製造方法である。
【0019】
さらに、第3の手段は、第1の基板と第2の基板を間隙をもって貼り合わせて第1の液晶セルを形成する工程と、第1の液晶セルの間隙に液晶モノマーを注入した後にその液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶層を有する第1の位相差板を形成する工程と、第1の位相差板を構成する高分子液晶層とは反対側の基板表面に液晶モノマーを塗布する工程と、液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶層を有する第2の位相差板を形成する工程とを有する積層位相差板の製造方法である。
【0020】
またさらに、第4の手段は、液晶セルを形成する工程は、第1の基板と第2の基板に注入口を有するシールを介して間隙をもって貼り合わせて形成する工程である積層位相差板の製造方法であり、第5の手段は、第2の液晶セルを形成する工程と、第2の位相差板を形成する工程を更に繰り返して、3層以上の位相差板を積層して形成する積層位相差板の製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、高分子液晶を用いて形成される位相差板を積層配置した積層位相差板の製造方法に関する発明である。その発明について以下に詳細に説明する。なお、下記の説明は、個々の液晶セルを構成する両基板に配する配向膜の配向方向を同一方向として記述しているが、それに限らず対向する配向膜の配向方向を異なる方向に設定して、リタデーション値を制御しても構わない。また、下記の記述は、単個の積層位相差板の製造方法について記載したものであるが、本発明の製造工程においては、複数個の積層位相差板を同時に形成できる技術であることに留意されたい。
【0022】
本発明の積層位相差板の製造方法は、まず2枚のガラス基板の対向するそれぞれの片面に配向膜を塗布した後、各膜に同一方向の配向処理を施す。この配向方向を第1の配向方向と称する。そしてスペーサにより2枚のガラス基板の間隙を決定し、シールを介して第1の液晶セルを形成する。その後この第1の液晶セル内に液晶モノマーの材料を注入してセル内で基板面と平行に液晶分子の配向方向が揃った液晶層を形成する。さらに、例えば光重合用の光を照射して液晶モノマーを硬化させることにより液晶分子の配向方向が固定され2枚のガラス基板内に狭持された高分子液晶層を有する第1の位相差板が完成する。
【0023】
以上の工程を経て第1の位相差板を形成すれば、大型の位相差板はもとより小型の位相差板であっても位相差板の面平坦度に関し非常に精度良く作成することができる。
【0024】
次に、第1の位相差板を構成する一方のガラス基板の配向膜の反対側の面と、別のガラス基板の片面にそれぞれ配向膜を塗布したのち、各膜に先に示した第1の配向方向と所定角度(例えば24度)交差させて配向処理を施す。この配向方向を第2の配向方向と称する。そしてスペーサとシールにより2枚のガラス基板を所定の間隙をもって貼り合わせて第2の液晶セルを形成する。その後この第2の液晶セル内に液晶モノマーの材料をこの液晶セルの間隙に注入してセル内で基板面と平行に液晶分子の配向方向が揃った液晶層を形成する。そしてこの液晶モノマーを重合硬化させることにより、液晶分子の配向方向が固定され、第1の位相差板を構成する一方のガラス基板と別のガラス基板間に狭持された高分子液晶層を有する第2の位相差板が完成する。上記手順により第1,第2の位相差板を所定角度(例えば24°)交差させて重ねた、積層位相差板を容易に製作することができる。
【0025】
ここで説明した第2の位相差板は、第1の位相差板とほぼ同じ工程で製造できるので、第1の位相差板と同様に面平坦度と平行度に関し、非常に精度良く製造することができる。つまり、本発明の製造方法は、周知の液晶セルの製造方法を利用して2枚のガラス基板の間又はシール内に散布したスペーサのギャップ制御により位相差板の面平坦度と平行度の制御を行っているので、従来の製造方法により形成された積層位相差板に比べて格段に位相差板自体の面平坦度と、これら位相差板間の平行度を向上させることができる。
【0026】
また、本発明の積層位相差板を構成する各位相差板のリタデーション値の制御は、用いる液晶モノマー材料の硬化後のΔnと、液晶セルを構成する2枚の基板間のギャップ(d)により容易に制御することができる。
【0027】
液晶セルのギャップによりリタデーション値を制御する場合、このギャップの精度は、基板に均一にスペーサーを散布、又はシール内に均一に分散させることと、シールを塗布した後の両基板を加圧するとともに加熱硬化する工程により決まる。よって、これら工程における製造条件を十分検討して目的のギャップを精度良く作成することが、面平坦度に優れた位相差板とし、複数枚の位相差板の平行度に優れた積層位相差板を作成する上で重要となる。
また、硬化後に異なるΔnとなる液晶モノマー材料を第1、第2の位相差板にそれぞれ用い、異なるリタデーション値を有する位相差板が積層された積層位相差板とすることも容易にできる。
【0028】
この様に、本発明の積層位相差板の製造方法によれば、各第1、第2の位相差板の面平坦度を±0.1μm以内に抑えることができ、しかもその2枚の位相差板を積層したとしてもその面平坦度を±0.2μm以内に抑えた積層位相差板を得ることができる。また、この積層位相差板は、目的のリタデーション値を正確に得ることができるので、その積層位相差板を装置に組み込んだ際の信頼性を従来のものよりも格段に向上させることができる。特に小型であり、面平坦度と平行度が優れた積層位相差板が要求される、光ピックアップ装置等に最も好ましい形態である。
【0029】
以上の積層位相差板の製造方法として、第1、第2の位相差板からなる2枚の位相差板を順に積層形成する方法について説明したが、この2枚の位相差板を順に積層形成した後に、第2の位相差板の製造工程を更に繰り返し行うことで、3枚、4枚と複数枚の位相差板を積層した積層位相差板とすることも可能である。
【0030】
また、2枚の位相差板を所定角度交差させて重ねるにあたって、本発明の積層位相差板の製造工程によれば、接着剤を使用せずに積層位相差板を作成することができるので、従来の積層位相差板の様に気泡による散乱光の影響を受けることはない、品質の安定した積層位相差板を製作することができる。
【0031】
さらに、前述した方法では、第1の液晶セルを形成する工程、第1の位相差板を形成する工程、第2の液晶セルを形成する工程、第2の位相差板を形成する工程を順に行った例を示したが、第1、第2の液晶セルを形成した後に、2つのセルに同時に液晶を注入し、さらにその液晶を重合硬化させても構わない。
この工程によれば、第1の液晶セルは空セルの状態で第2の液晶セルを形成することとなるので、位相差板の面平坦度が若干悪くなる可能性があるが、工程の簡素化できるという利点を有する。
【0032】
またさらに、第1の液晶セルに液晶を充填した後に、その液晶を重合硬化させて第1の位相差板を形成する手段と、従来の技術で説明した技術を応用し、第1の位相差板上に液晶モノマーを塗布し、その液晶モノマーを重合硬化させて第2の位相差板を形成する手段とを組合せても構わない。
この方法によると、第2の位相差板を構成するガラス基板を一枚少なくすることができるので、その分だけ積層位相差板を薄くすることができる。また、先に示した方法よりも更なる工程の簡素化が可能となる。しかしながら、本方法は、従来の技術で説明したように、第2の位相差板となる比較的粘度が高い液晶モノマーを塗布して形成することとなるので、若干の厚みムラが発生する虞がある。よって、本方法は、比較的大きな(例えば10cm角程度)積層位相差板を製造しようとした場合であり、従来の方法により形成したものよりも少しでも面平坦度および平行度を良くしたい場合に有効な方法となり得る。
【0033】
(第1の実施例)
ここで説明する積層位相差板の製造方法を、従来の技術で説明した2波長用位相差板と同じ構成を例に挙げ、図1、図2に基づいて説明する。図1は、本発明の積層位相差板を構成する第1の位相差板の製造方法を示す工程断面図であり、図2は、図1の工程の続きとなる第2の位相差板の製造方法を示す工程断面図である。本実施例では、第1、第2の位相差板に同一の液晶材料を用い、液晶セルの基板間のギャップを変えることにより、異なるリタデーション値を有するようにした積層位相差板の製造方法について主に説明をする。
【0034】
まず、第1の位相差板の製造方法について説明する。
一対のガラス基板301のそれぞれの片面にポリイミド配向膜302を塗布し、その後、ラビング処理により同一方向になるように配向処理を施す。このときの配向方向を第1の配向方向とする(図1a参照)。
【0035】
そして、スペーサ303を混ぜた熱硬化型樹脂からなるシール304を一方のガラス基板301にスクリーン印刷法により塗布する(図1b参照)。
【0036】
さらに、2枚のガラス基板をスペーサ303により6μmの間隙となるように重ね合わせて、加圧焼成してこの間隙に保った状態でシール304を硬化させて目的のギャップ間隔を有する第1の液晶セルを製作する(図1c参照)。
【0037】
次に第1の液晶セルの2枚のガラス基板301の6μmの間隙に重合硬化させた後のΔnが0.1となる液晶モノマーをシール304により同時に形成した図示しない注入口から注入した後に、その注入口を図示しない封孔剤にて封止して、第1の液晶セル内でガラス基板301と平行に液晶分子の配向方向が揃った液晶層を形成する。そして、200mJ/cm以上の紫外線を照射して、液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶層305aを得る(図1d参照)。
【0038】
以上の工程を経て一対のガラス基板301内に高分子液晶層305aを狭持し、液晶層の面平坦度を±0.1μ以下でリタデーション値600の第1の位相差板306を製造できる。
【0039】
ここで、後段で説明する第2の位相差板を形成する前に、第1の位相差板306のガラス基板301表面を洗浄処理することが好ましい。それは、第1の位相差板306の組み立て工程でガラス基板301の配向膜の形成していない方の表面が汚れた状態のまま次工程に進むと、第2の位相差板を構成する高分子液晶層内にその汚れが混入されてしまう虞があるからである。
この洗浄処理においては、第1の位相差板306を構成する2枚のガラス基板301の間隙に配した高分子液晶層305aは、封孔剤により封止されているので、洗浄液がガラス基板301のシール304で囲まれた間隙に進入する虞がなく、洗浄するに際し特段の問題は発生しない。
【0040】
次に、第2の位相差板の製造方法について説明する。
第1の位相差板306の配向膜が形成された面とは反対側のガラス基板301表面と、別のガラス基板307の一方のぞれぞれの面に、ポリイミド配向膜302を塗布し、ラビング処理により両基板の配向方向を同一方向(第2の配向方法)に配向処理を施す。ここにおいて第1の配向方向と第2の配向方向は24°で交差させている(図2e参照)。
この様に、本発明では、第1の位相差板306を構成する一方のガラス基板301を第2の位相差板を構成するガラス基板と兼用する構成としているので、別体の位相差板を所定の角度に貼り合わせた従来の積層位相差板に比べて、配向方向の交差角度を精度よく制御することができる。
【0041】
そののち、第1の位相差板306を構成する一方のガラス基板301に形成した配向膜上に、4μm径のスペーサ303が混入された熱硬化型樹脂からなるシール304をスクリーン印刷法により塗布する(図2f参照)。
【0042】
続けてポリイミド配向膜302を有し、第2の配向方向に配向処理したガラス基板307と(図2e右図参照)、第1の位相差板306を4μmの間隙をもって重ね合わせる(図2g参照)。
【0043】
その後、重合硬化後のΔnが0.1となる液晶モノマー(第1の位相差板を形成する工程で用いた液晶モノマーと同じ材料)をさらに注入後、紫外線を照射して、液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶層305bを得て、リタデーション値400の第2の位相差板308が完成する。以上に記した第2の位相差板308の製造工程を経て、一対のガラス基板301,307間に高分子液晶層306bを有し、その液晶層306bの面平坦度が±0.1μm以下に制御され、リタデーション値が400の位相差板とすることができるとともに、第1の位相差板306と第2の位相差板308をほぼ平行に配置することができる。
この様に、リタデーション値600の第1の位相差板306と、リタデーション値400の第2の位相差板308を、第1と第2の配向方向を24°で交差させ、両位相差板の面平坦度の誤差を合わせて±0.2μm以下の2波長用の積層位相差板300を製造することができる(図2h参照)。
【0044】
なお、上記第1の実施例では、紫外線硬化型型の液晶モノマーを使用した例を示したが、他の硬化型の液晶モノマーにより高分子液晶層305を形成することももちろん可能であるし、異なるリタデーション値を得るために異なる液晶材料を用いて位相差板を形成しても構わない。
【0045】
(第2の実施例)
次に本発明による、第2の実施例について図3に基づいて説明する。図3は、本発明の積層位相差板の別の製造方法を示す工程断面図である。この第2の実施例は、先に説明した第1の実施例と同様に、面平坦度が±0.1μm以下の第1の位相差板306を製造した後に行う、第2の位相差板の製造方法のみを変更した変形例を示すものである。
【0046】
まず、第1の実施例で説明したと同様に、リタデーション値が600である第1の位相差板306を作成する。その後、第1の位相差板306の配向膜が形成された面とは反対側のガラス基板301の一方の面にポリイミド配向膜302を塗布し、ラビング処理により第2の配向方向に配向処理を施す。ここにおいて第1の配向方向と第2の配向方向は24°で交差させている(図3i参照)。
【0047】
その後、液晶モノマーの材料を配向膜302上に4μmの厚さで、できるだけ均一にスクリーン印刷法、スピンコート法、ロールコート法等で塗布する。ここで液晶モノマーは紫外線を照射して重合硬化した後のΔnが0.1となるものを用いた。
その後、紫外線を液晶モノマーに照射することで重合硬化させて、第1の位相差板306の上にリタデーション値400の高分子液晶層305bを有する第2の位相差板501を得ることができる。以上の工程を経てリタデーション値600の第1の位相差板306と、リタデーション値400の第2の位相差板501のそれぞれの配向方向を24°で交差させた2波長用の積層位相差板500を製造することができる(図2h参照)。
【0048】
(第3の実施例)
次に本発明による、2波長用の積層位相差板300を光ピックアップ装置1に用いた例について図4に基づいて説明する。図4は、本発明の積層位相差板を光ピックアップ装置に適用した場合の作用を説明するための概念図である。
【0049】
図4に示す光ピックアップ装置1は、従来の技術で説明した図6に示した装置200における積層位相差板を除き、他の部材に関しては同一であり、しかも光ピックアップ装置として機能する各部材の作用も同じであるので、ここでの詳細な説明は割愛する。
実施例1または実施例2で示した方法で製造され、面平坦度及び平行度に優れた積層位相差板(2波長用位相差板)300または500は、例えば、5mm角程度の小型サイズの位相差板であり、従来の技術で説明した、図5に示した790nm(λ1)の波長の直線偏光を45°回転させる機能を有し、660nm(λ2)の波長の直線偏光を円偏光に変換する機能を有する。
【0050】
この小型の積層位相差板300または500を、この光ピックアップ装置1に適用することで、積層位相差板300または500を5mm角程度に小型化しても、その位相差板を通過するビームが設計通りの位相差を正確に与えることができる。それは、この積層位相差板を構成する2枚の位相差板の面平坦度を合わせても±0.2μm以下、つまり光ピックアップ装置で要求される±0.5μm以下の平坦度に収まっていることからも容易に理解できよう。
この様に、本発明の製造方法により形成された積層位相差板300または500を光ピックアップ装置1に適用すれば、その位相差板の性能を低下させることなく、装置全体の小型化をすることができるのである。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、複数枚の位相差板を接着層を用いて接着する工程を無くして、積層位相差板を製造することができる。
また、複数枚の位相差板の平行度も容易に制御することができるので、複数枚(例えばn枚)の位相差板を±0.1μm×n以下の面平坦度とし、それぞれの位相差板をほぼ平行となるように貼り合わせた積層位相差板を製造することができる。
【0052】
この様にして製造された積層位相差板は、光ピックアップ装置のような±0.5μm以内の面平坦度が要求され、各位相差板がほぼ平行であり、しかも小型の位相差板のが要求される技術分野において、最も適した製造方法であると云える。
【0053】
また、本発明の積層位相差板は、上記の光ピックアップ装置のみならず、平行度および面平坦度が要求される他の技術分野にも適用できる技術であることは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における積層位相差板の製造方法を示す工程断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例における図1に示した積層位相差板の製造方法の続きを示す工程断面図である。
【図3】本発明の第2の実施例における積層位相差板の製造方法を示す工程断面図である。
【図4】本発明により形成した積層位相差板を光ピックアップ装置に適用した場合の作用を説明するための模式図である。
【図5】従来の技術における積層位相差板の作用を説明するための概略図である。
【図6】従来の技術により形成した積層位相差板を光ピックアップ装置に適用した場合の構成と、作用を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 光ピックアップ装置
201 半導体レーザー
203 ビームスプリッタ
205 コリメートレンズ
207 対物レンズ
209 光ディスク
210 光検出器
301 ガラス基板
302 ポリイミド配向膜
303 スペーサ
304 シール
305 高分子液晶層
306 第1の位相差板
308 第2の位相差板
300 積層位相差板
501 第2の位相差板
500 積層位相差板

Claims (5)

  1. 第1の基板と第2の基板を間隙をもって貼り合わせて第1の液晶セルを形成する工程と、
    前記第1の液晶セルの間隙に液晶モノマーを注入した後にその液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶層を有する第1の位相差板を形成する工程と、
    第3の基板と、前記第1の位相差板を構成する前記高分子液晶層とは反対側の基板とを対向させて間隙をもって貼り合わせて第2の液晶セルを形成する工程と、前記第2の液晶セルの間隙に液晶モノマーを注入した後にその液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶層を有する第2の位相差板を形成する工程、とを有することを特徴とする積層位相差板の製造方法。
  2. 前記第1の液晶セルを形成する工程と、前記第2の液晶セルを形成する工程の後に、前記第1の位相差板を形成する工程と、第2の位相差板を形成する工程を同一工程にて行うことを特徴とする請求項1に記載の積層位相差板の製造方法。
  3. 第1の基板と第2の基板を間隙をもって貼り合わせて第1の液晶セルを形成する工程と、
    前記第1の液晶セルの間隙に液晶モノマーを注入した後にその液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶層を有する第1の位相差板を形成する工程と、
    前記第1の位相差板を構成する高分子液晶層とは反対側の基板表面に液晶モノマーを塗布する工程と、
    前記液晶モノマーを重合硬化させて高分子液晶層を有する第2の位相差板を形成する工程、とを有することを特徴とする積層位相差板の製造方法。
  4. 前記液晶セルを形成する工程は、前記第1の基板と前記第2の基板に注入口を有するシールを介して間隙をもって貼り合わせて形成する工程であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の積層位相差板の製造方法。
  5. 前記第2の液晶セルを形成する工程と、前記第2の位相差板を形成する工程を更に繰り返して、3層以上の位相差板を積層して形成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の積層位相差板の製造方法。
JP2003197500A 2003-07-16 2003-07-16 積層位相差板の製造方法 Pending JP2005037460A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003197500A JP2005037460A (ja) 2003-07-16 2003-07-16 積層位相差板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003197500A JP2005037460A (ja) 2003-07-16 2003-07-16 積層位相差板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005037460A true JP2005037460A (ja) 2005-02-10

Family

ID=34207605

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003197500A Pending JP2005037460A (ja) 2003-07-16 2003-07-16 積層位相差板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005037460A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015141280A (ja) * 2014-01-28 2015-08-03 シチズンホールディングス株式会社 光変調ユニット及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015141280A (ja) * 2014-01-28 2015-08-03 シチズンホールディングス株式会社 光変調ユニット及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20070065317A (ko) 액정 회절 렌즈 소자 및 광헤드 장치
US20110216255A1 (en) Polarization diffraction grating, method for manufacturing the same, and optical pickup apparatus using the polarization diffraction grating
KR101098202B1 (ko) 편광성 회절형 필터 및 적층 편광성 회절형 필터
JP2006127707A (ja) 開口制御素子および光ヘッド装置
JP4876992B2 (ja) 偏光解消素子
US7564504B2 (en) Phase plate and an optical data recording/reproducing device
JP2006252638A (ja) 偏光回折素子および光ヘッド装置
JP5107313B2 (ja) 偏光性回折素子
US20060043980A1 (en) Controllable two layer birefringent optical component
US20060007385A1 (en) Optical attenuator and optical head device
JP2005037460A (ja) 積層位相差板の製造方法
KR20050091757A (ko) 액정부품
JP2003315540A (ja) 偏光回折素子及びその作製方法
JP2776351B2 (ja) 表示装置およびその製造方法
KR100990347B1 (ko) 위상판 및 광정보 기록재생 장치
CN100423102C (zh) 光学扫描设备、光学部件以及其制造方法
JP3947828B2 (ja) 光ヘッド装置及びその製造方法
JPH11326911A (ja) 反射型液晶表示素子およびその製造方法
JP4419739B2 (ja) 光ヘッド装置
JP2005353207A (ja) 偏光ホログラム素子、光ピックアップ装置及びこれらの製造方法
JP4396341B2 (ja) 光ヘッド装置
JP2007250168A (ja) 光ヘッド装置
JP4222042B2 (ja) 光ヘッド装置と光ヘッド装置に用いられる位相板の製造方法
JP5364284B2 (ja) 液晶表示素子およびその製造方法
JPH11223810A (ja) 反射型液晶表示素子およびその製造方法