JP2005037335A - バイオセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 生体液中の蛋白質が電極系に付着することに起因するセンサ感度の低下を確実に抑制でき、従って蛋白質濃度に左右されることなく正確に生体液中の特定成分を分析・定量できるバイオセンサを提供する。
【解決手段】 蛋白質等に対する吸着性に優れたアパタイトを含む層10を、バイオセンサの反応層9の表面に設けることにより、生体液中の蛋白質を除去する。アパタイトは、カルシウムイオンとリン酸イオン等を主成分とするものが好適であり、特にCa10(PO46 (OH)2 が最適である。
【選択図】図1

Description

本発明は、血液、唾液、尿、汗などの生体液に含まれる血糖、中性脂肪、コレステロール、肝機能マーカーなど特定成分を、迅速かつ高精度に分析・定量することができるバイオセンサに関する。
この種のバイオセンサは、例えば特許文献1および2に公知である。特許文献1に記載のバイオセンサは、絶縁性の基板上に形成された作用極、対極および参照極からなる電極系と、この電極系に接する反応層とを備える。そこでの反応層は、親水性高分子と酸化還元酵素と電子受容体とを含む。特許文献2では、酵素の活性の低下を抑制し、長期保存性の向上を図ることを目的として、反応層に特定の糖類を含ませている。
特開平2−62952号公報(請求項1、請求項2、図1) 特開2000−81408号公報(請求項1、段落番号0012、図2)
上記特許文献記載のバイオセンサにおいては、反応層上に特定成分を含む生体液が滴下されると、反応層が溶解して酵素と特定成分とが反応し、これに伴い電子受容体が還元される。そして、還元された電子受容体を電気化学的に酸化し、このとき得られる酸化電流値から特定成分の濃度を求めることができる。しかし、蛋白質を多量に含む生体液、例えば血液を試料溶液とした場合には、生体液中の蛋白質が電極表面に多量に付着することが避けられず、そのため電子受容体の酸化反応が阻害されてセンサ感度が低下する。また、電極表面に蛋白質が多量に付着すると、酸化電流値がばらつき、測定精度が低下する不利もある。
毛細管現象を利用して、生体液が定量的に供給されるようにしたバイオセンサも公知であり(文献不詳)、かかる形態では反応層上に界面活性剤層を設けて、生体液が素早く且つ均一に反応層上に展開されるようにしている。但し、反応層が界面活性剤で覆われていると、反応層の溶解性や反応性が低下することは避けられず、センサ感度が低下する。また、この種の界面活性剤層には高純度の卵黄レシチンを含めることが多く、バイオセンサの製造コストが増加することは避けられない。加えて、卵黄レシチンは人体に有害且つ可燃性を示すトルエンを溶解溶媒とするため、生産現場の安全性と防火を確保するためには高価な設備の導入が不可欠であり、この点でもバイオセンサの製造コストの増加は避けられない。
本発明の目的は、生体液中の蛋白質が電極系に付着することに起因するセンサ感度の低下を確実に抑制でき、従って蛋白質濃度に左右されることなく正確に生体液中の特定成分を分析・定量できるバイオセンサを提供することにある。本発明の目的は、従来の卵黄レシチンを含む界面活性剤層では不可避であった、反応層の溶解性や反応性が阻害されることに起因するセンサ感度の低下の不具合がなく、しかも安価に製造できるバイオセンサを提供することにある。
本発明者は、蛋白質に対する特異的な吸着特性と、優れた親水性とを備えるアパタイトをバイオセンサ内に組み込めば、上記の問題を解決できることを見出して、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明のバイオセンサは、図1に示すごとく、絶縁性の基板1と、該基板1上に設けられた少なくとも測定極5と対極6とを含む電極系3と、測定極5上に形成された酵素を含む反応層9とを具備し、電極系3から得られる電流値に基づいて、生体液中に含まれる特定成分を検査・定量するバイオセンサであって、反応層9上にアパタイトを含む層10を設けてあることを特徴とする。
電極系3の形態としては、図1に示すごとく上下一対の絶縁性の基板1a・1bの対向内面に、上下近接対向状に作用極5と対極6とを備える形態のほかに、一枚の絶縁性の基板上に、並列的に作用極と対極とを備えるものであってもよい。電極系3は、作用極5と対極6からなる二極方式のほかに、参照極を含む三極方式とすることができる。作用極5や対極6の形成方法としては、スクリーン印刷法やスパッタリング蒸着法などを挙げることができ、その形成方法は問わない。
アパタイトとは、組成式M10(ZO462 (MはCa、Na、K、Cd、Sr、Ba、Zn、Ni、Mgのうちのいずれか一種、ZはP、C、As、Si、Sのうちの少なくとも一種、XはOH、F、Cl、O、CO3 、空孔のうち少なくとも一種)で表されるものである。そのなかでもカルシウムイオンとリン酸イオンとを主成分とするアパタイト、特に水酸アパタイト(hydroxy apatite)と称されるCa10(PO46 (OH)2 が最適である。
アパタイトが、蛋白質に対する特異的な吸着特性を備えることは広く知られている。特に、Ca10(PO46 (OH)2 は人間を含め脊椎動物の骨組織や歯の約70wt%を占める無機物質で、高い生体親和性を示すことから、生体機能人工材料、蛋白質や核酸などの生体関連物質の分離・精製を目的としたクロマトグラフィー用充填剤として用いられている。また、アパタイトが優れた親水性を示すことも広く知られており、これを含む層10は良好な濡れ特性を発揮する。
反応層9中の酵素は、血糖、中性脂肪、コレステロール、肝機能マーカーのいずれかを分解できる酸化還元酵素のうちの少なくともいずれか一つを含むものとする。具体的には、グルコースオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼ、ウリカーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼなどを挙げることができる。
反応層9には電子受容体を含ませることできる。電子受容体は、フェリシアン化カリウム、p−ベンゾキノン及びその誘導体、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェロセン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種とする。
本発明のバイオセンサでは、蛋白質に対する特異的な吸着特性を備えるアパタイトを含む層10(以下、アパタイト層10と記す)を反応層9上に設け、生体液中に存する不純物である蛋白質が当該アパタイト層10で濾過・除去されるようにした。従って、蛋白質が電極系3に付着することに起因するセンサ感度の低下を効果的に防いで、蛋白質濃度に左右されることなく、高い測定精度で生体液中の特定成分の分析・定量を行うことができる。
反応層9上にアパタイト層10を設けてあると、当該アパタイト層10の良好な濡れ特性によって、供給された生体液を迅速且つ正確に反応層9に到達させることができる。従って、反応層9による酵素反応と電極反応とが円滑に進み、分析処理の迅速化と分析効率の向上とを図ることができる。測定精度の向上にも貢献できる。これはとくに、毛細管現象により、試料溶液である生体液を導入する形態を採った際に有利な効果である。
アパタイト層10は、反応層9の溶解性や反応性を阻害せず、従来の界面活性剤層のように測定精度の低下を招く不具合がない。また、アパタイトは、従来の界面活性剤層に使用されていた卵黄レシチンに比べて安価であり、しかも取り扱いが容易であるから、バイオセンサを安価に製造できる点で有利である。
図1に本発明に係るバイオセンサの実施形態を示す。図1(a)・(b)に示すように、バイオセンサは左右横長の上下一対の基板1a・1bを2個のスペーサ2・2を介して貼り合わせてなるものであり、その左右方向の中央部に、基板1a・1bおよびスペーサ2・2により上下および左右方向が仕切られた微少空間、すなわちキャビティSを備える。キャビティSの内部には、バイオセンサの検出部となる電極系3が配置されている。キャビティSの前後方向は開口しており、この開口から被測定物である血液や唾液などの生体液が、毛細管現象により定量的にキャビティS内に供給される。基板1a・1bおよびスペーサ2・2は、ポリエチレンテレフタレートなどの絶縁物を素材とする。基板1a・1bおよびスペーサ2・2の厚み寸法は、10〜500μm、好ましくは20〜400μm、より好ましくは50〜300μmの範囲である。
電極系3は、下側の基板1aの対向内面に設けられた作用極5と、上側の基板1bの対向内面に設けられた対極6とからなる。作用極5や対極6の形成素材としては、カーボン、銀、金、白金などを挙げることができ、特に作用極5の形成素材としてはカーボンが好ましい。作用極5や対極6の形成方法としては、スクリーン印刷法やスパッタリング蒸着法などを挙げることができ、その形成方法は問わない。符合7は電極リードを示し、これは作用極5や対極6の作製に先立って基板1a・1b上に形成される。
作用極5の上部には、その全面にわたって酵素を含む反応層9が形成されている。反応層9に添加される酵素は検出対象によって異なる。例えば、グルコース検出の場合はグルコースを分解できるグルコースオキシダーゼを用いる。他の代表的な酵素としては、ラクテートオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼ、ウリカーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼなどを挙げることができる。
反応層9には通常、電子受容体が含有される。かかる電子受容体としては、フェリシアン化イオン、p−ベンゾキノンおよびその誘導体、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェロセンおよびその誘導体等が挙げられる。尤も、試料液中の溶存酵素を電子受容体とした場合でもある程度のセンサ応答が得られる。
反応層9にはさらに、バインダとしての親水性高分子を含有させることができる。これによれば、作用極5からの反応層9の剥離と、反応層9表面の割れを効果的に防いで、バイオセンサの信頼性の向上に資する。添加される親水性高分子としては、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリリジンなどのポリアミノ酸、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチンおよびその誘導体、アクリル酸またはその塩の重合体、メタクリル酸またはその塩の重合体、スターチおよびその誘導体、アガロースゲルおよびその誘導体などを挙げることができる。
そのうえで本実施形態に係るバイオセンサにおいては、反応層9の上部をアパタイト層10で被覆してある点が着目される。このようにセンサ内にアパタイト層10を設けてあると、試料溶液に存在する不純物である蛋白質をアパタイトで濾過・除去できるため、蛋白質が電極系3に付着することに起因するセンサ感度の低下を効果的に防いで、センサの安定性・信頼性の向上を図ることができる。また、アパタイトは高親水性であるため、キャビティS内に導入された試料溶液を迅速且つ正確に反応層9へ到達させることができ、従って反応層9による酵素反応と電極反応とを円滑に進めることができる。
前記アパタイトは、化学式M10(ZO462 の組成を持つものの総称である。ここで、MはCa、Na、K、Cd、Sr、Ba、Zn、Ni、Mgのうちの少なくとも一種、ZはP、C、As、Si、Sのうちの少なくとも一種、XはOH、F、Cl、O、CO3 、空孔のうちの少なくとも一種である。その中でも、カルシウムイオンとリン酸イオンを主成分とする水酸アパタイト、特にCa10(PO46 (OH)2 は、人間を含め脊椎動物の骨組織や歯の約70wt%を占める無機物質であり、高い生体親和性を有するため好ましい。水酸アパタイトは、構造中に他のイオンを微量成分として取り込んで、Ca2+、PO4 3-、OH- 以外に、Na+ 、K+ 、Mg2+、F- 、Cl- 、CO3 2-、PO4 3-などの陽、陰イオンを含有するものであってもよい。
前記の水酸アパタイトの製造方法は、特に限定されず、生体から直接に得る方法のほか、公知の(1)固相反応法(2)水熱反応法(3)沈殿反応法(4)加水分解法などの各種化学合成法などを採ることができる。(1)の固相反応法は、1000℃以上の高温で水蒸気共存下で焼成する方法である。(2)の水熱反応法は、密封耐圧容器を用いて高圧化で加熱する方法である。(3)の沈殿反応法は、塩化カルシウム水溶液に水酸化ナトリウムを用いてpH=10に調整しながら、リン酸水素二アンモニウム水溶液を添加して沈殿する方法である。(4)の加水分解法は、前記(3)の方法を改良したものであり、例えばCaHPO4 、またはCaHPO4 ・2H2 Oと水のスラリー溶液を、pH10以下の塩基性に保ちながら、Ca(OH)2 を連続的または断続的に供給する方法である。
水酸アパタイトは、多孔質の材料(基材)に浸漬又は塗布しても用いることも可能である。この多孔質の基材の表面は親水性であることが好ましい。基材の表面が疎水性であると水酸アパタイト皮膜の形成時に浸漬する各種の水溶液との濡れが悪く、水酸アパタイト皮膜が充分に形成されないことがある。そのため、表面が疎水性である基材を用いる場合は、基材に親水基を導入し親水性を高めておくこと、あるいは表面に予め祖面化処理等を施しておくことが好ましい。多孔質基材の材料としては、織布、不織布、編物およびフェルト等の天然繊維、合成繊維および半合成繊維等からなる布地を挙げることができる。
アパタイト層10を形成する際に用いられるアパタイトの粒子サイズは、センサの寸法にもよるが、通常0.1μm〜1mmの範囲のものを用いる。0.5〜50μmがより好ましく、1〜10μmが最も好ましい。
アパタイト層10には少量のバインダーを添加することが望ましい。このバインダーは、高親水性を示すものであれば特に限定されず、特にカルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。バインダーの添加量が多すぎると、生体液の電極への浸漬性が低下し、また、水酸アパタイトの蛋白質の吸着性が低下するなどの不具合が生じる。逆にバインダーの添加量が少ないと、アパタイト層10の強度が不良となる。以上より、バインダーの添加量は、0.1〜10%の範囲にあることが望まれ、好ましくは0.2〜5%、より好ましくは0.5〜2%の範囲にあることが望まれる。
アパタイト層10には性能改良のために各種の界面活性剤を添加することができる。かかる界面活性剤としては、非イオン系、アニオン系、カチオン系、および両性系の界面活性剤を挙げることができる。非イオン系界面活性剤としては、例えば高級脂肪酸アミド、アセチレングリコール類、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。アニオン系界面活性剤としては、例えばリン酸エステル系、スルホサクシネート系等を挙げることができる。カチオン系界面活性剤としては、例えば第4級アンモニウム系のアルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン等を挙げることができる。界面活性剤の添加量は、通常0.1〜20%であり、好ましく0.5〜10%、より好ましくは2〜5%である。
以上のような構成からなるバイオセンサにおいては、試料液である生体液をキャビティSの前後の開口に接触させると、生体液は毛細管現象によりキャビティS内に定量的に供給される。供給された生体液は、アパタイト層10を経由して反応層9に接触し、生体液中に含まれる特定成分が酵素により酸化され、この酸化反応に伴い電子受容体が還元される。一定時間後、電極系3に電圧を印加して、還元された電子受容体を酸化し、このとき得られた酸化電流値または電気量から生体液中の特定成分の濃度を定量することができる。
そのうえで、本実施形態に係るバイオセンサでは、蛋白質に対する特異的な吸着特性を備えるアパタイト層10を反応層9上に設け、生体液中に存する不純物である蛋白質を当該アパタイト層10で効果的に濾過・除去するようにしてあるので、蛋白質が電極系3に付着することに起因するセンサ感度の低下を効果的に防いで、蛋白質濃度に左右されることなく、高い測定精度で生体液中の特定成分の分析・定量を行うことができる。
アパタイト層10の濡れ特性によって、キャビティS内に供給された生体液は迅速且つ正確に反応層9に到達される。従って、反応層9による酵素反応と電極反応とが円滑に進み、迅速且つ作業効率良く分析処理を行うことができる。アパタイトは安価であり、バイオセンサを安価に製造できる点でも有利である。
毛細管現象を利用により、生体液がキャビティS内に導入されるようにしてあると、生体液にセンサの縁側の開口に接触させるだけの簡易な操作だけで、生体液の供給作業が済む。従って、生体液の定量作業が不要となり、効率良く分析処理を進めることができる。さらに、測定中の試料液の蒸発を最小限に抑えることができ、測定精度良く、特定成分の分析・定量を行うことができる。
次に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限られるものではない。特に実施例ではグルコースセンサを例とするが、他の種類のバイオセンサにも適用できる。なお、以下の実施例において、溶液又は分散液の濃度を示す%や組成は、特にその単位を付記しないかぎり重量%を示している。
(実施例)
[水酸アパタイトの作製] 540mmol/Lの塩化カルシウム水溶液200mLを攪拌しながら、水酸化ナトリウムを用いてpHを10に調整し、これを324mmol/Lのリン酸水素二アンモニウム水溶液200mLをゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに3時間、攪拌を継続した。得られた分散液をホットプレート上で約60℃で3時間加熱した。この分散液を純粋中で洗浄後、濾過し、90℃で空気中乾燥した。その後に粉砕処理を行って、粒径が約5μmの水酸アパタイトを得た。
[バイオセンサの作製方法] 図1に示すごとく、厚み0.4mm、幅6mmのポリエチレンテレフタレートからなる電気絶縁性の基板1a上に、スクリーン印刷により樹脂バインダーを含む導電性カーボンペーストを印刷して40μmの作用極5を作製した。基板1a上には予め電極リード7を形成してあり、作用極5は当該リード7と繋がるように設けた。次に、作用極5上に親水性高分子と酵素のグルコースオキシダーゼとフェノシアン化カリウムを含む反応層9を積層した。次いで、この反応層9上に、前記の水酸アパタイトと0.25%のCMCからなるペーストを印刷して、厚みが約20μmのアパタイト層10を形成した。
同様に、電極リード7を有する絶縁性の基板1b上に、樹脂バインダーを含む導電性カーボンベースをスクリーン印刷して、対極6を形成した。このように作製した作用極5を有する基板1aと対極6を有する基板1bとを、両極5・6が近接対向するような姿勢で、両面に接着剤面を有する2つのスペーサ2・2を介して貼り合わせて、実施例1に係るバイオセンサを作製した。
基板1a・1bとスペーサ2・2との張り合わによって生じるキャビティSの毛細管現象によって、試料液である生体液は、それをセンサの縁側の開口に接触させるだけの簡易な操作だけで、キャビティS内に供給される。本実施例に係るセンサのキャビティの寸法は、6mm×3mm×200μmで、体積に換算すると3.6μLである。
ここで反応層9の作製について詳しく説明すると、まず、作用極5上にCMCの0.5wt%水溶液を添加し、50℃で10分間乾燥させてCMC層を形成する。次にCMC層上に、酸化還元酵素であるグルコースオキシダーゼと電子受容体であるフェリシアン化カリウムを含有するリン酸緩衝液(pH7.0、0.1MのKCl添加)に溶解させた混合溶液5μlを展開し、乾燥器中において30℃で10分間乾燥させた後、続けてこの温度で10分間真空乾燥して反応層9を形成した。
(比較例)
アパタイト層10に代えて、界面活性剤層である卵黄レシチン層(約3μm)を設けたこと以外は実施例と同様にして、比較例に係るバイオセンサを作製した。
(試験1)
この試験1では、実施例および比較例に係るバイオセンサの基本性能を確認することを目的とする。まず、濃度の異なる6種のグルコース水溶液を用意して試料液とした。これらグルコース試料液を、実施例および比較例に係るセンサにそれぞれ充填させてから、約1分間反応層9に含まれる試薬とグルコースとを反応させた。次に、対極6を基準にして作用極5に+0.5Vの電圧を印加して、フェロシアン化カリウムを酸化した。そして、5秒後に対極6と作用極5との間を流れる電流値を測定し、横軸にグルコース濃度、縦軸に電流値をプロットして、センサの応答特性を測定した。その結果を図2に示す。図2より、試料液の濃度と電流値との間には、一定の相関性、すなわち優れた一次関数的関係があることがわかる。従って実施例、比較例のセンサは、ともに血糖センサとしての基本性能を備えていることが確認できた。
(試験2)
試験2では、蛋白質の添加に伴うセンサ感度の影響について調べることを目的とする。まず、実施例で用意した濃度の異なる6種のグルコース溶液に、蛋白質であるアルブミン(BSA:bovine serum albumin、尿に含まれる蛋白質の主成分、分子量約66000)を添加して試料液を作成した。ここでは、アルブミン濃度が0.7mMとなるように調整した。各グルコース溶液毎に、実施例および比較例に係るセンサで10回ずつ測定を行い、応答値のバラツキ度合いを算出した。その結果を、以下の表1に示す。また、各試料濃度における応答値の平均値を図3に示す。
Figure 2005037335
表1より、アパタイト層を有する実施例に係るセンサは、応答値のバラツキが小さく、蛋白質を添加したことによる影響は殆どないことがわかる。一方、界面活性剤層を有する比較例に係るセンサでは、いずれの濃度溶液においても応答値のバラツキが大きく、蛋白質を添加したことにより、センサ感度に大きなバラツキが見られた。これは、実施例のバイオセンサでは、アルブミンがアパタイト層10に吸収されて、作用極6の表面への付着が起こらなかったため、センサ個々のバラツキが軽減されたことを示唆するものである。以上より、本発明に係る実施例のバイオセンサは、試料溶液中の蛋白質の影響を受け難ることなく、高い測定精度で特性成分の分析・定量を行うことができるものであることが確認できた。
また、図1と図3との比較から明らかなように、比較例に係るセンサでは、蛋白質を添加することによって、応答値(電流値)が激減したのに対し、実施例では蛋白質を添加することによる影響を殆ど受けないことがわかる。また、図3に示すように、実施例に係るセンサの応答値(電流値)は、比較例に係るセンサのそれと比べて、約10〜25%も大きいものとなっていた。これは、実施例に係るバイオセンサでは、蛋白質の電極への吸着が抑制されたことにより、電子受容体であるフェリシアン化カリウムの酸化反応が受ける悪影響が小さくなり、それによって、センサの応答特性が向上したことを示すものである。
(試験3)
0.5mMのグルコース溶液に、0.1〜1.5mMのアルブミンを添加して6種の試料液を調整し、各試料液に対して試験1と同様の方法で測定を行った。その結果を図4に示す。図4において、横軸は試料液に含まれるアルブミン濃度、縦軸はアルブミン未添加の場合での電流値を100としたときの測定電流値の変化率(%)である。
図4から明らかなように、アパタイト層10を有する実施例に係るバイオセンサは、アルブミン濃度に殆ど影響を受けず、アルブミン未添加の場合と略同等の応答値を示すことがわかる。これに対して比較例に係るセンサでは、アルブミン濃度が大きくなるにつれて応答値(電流値)が低下している。特にアルブミン濃度が1mMを超えると、測定値のバラツキが非常に大きなものとなり、実質的に測定が不可能となった。この試験3より、実施例に係るバイオセンサが、試料溶液中の蛋白質濃度に左右されることなく、高い測定精度で試料溶液中の特定成分の分析・定量を行うことができることがわかる。
(a)は、本発明に係るバイオセンサの縦断側面図。(b)は(a)のA−A線断面図。 試験1に対応し、アルブミン無添加条件下でのバイオセンサの応答特性を示す図である。 試験2に対応し、アルブミン添加条件下でのバイオセンサの応答特性を示す図である。 試験3に対応し、アルブミンを添加したことによる応答特性の減退率を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 スペーサ
3 電極系
5 作用極
6 対極
7 リード
9 反応層
10 アパタイトを含む層(アパタイト層)
S キャビティ

Claims (6)

  1. 絶縁性の基板と、該基板上に設けられた少なくとも測定極と対極とを含む電極系と、前記測定極上に形成された酵素を含む反応層とを具備し、前記電極系から得られる電流値に基づいて、生体液中に含まれる特定成分を分析・定量するバイオセンサであって、
    前記反応層上に、アパタイトを含む層を設けてあることを特徴とするバイオセンサ。
  2. 前記アパタイトが、組成式M10(ZO462 (MはCa、Na、K、Cd、Sr、Ba、Zn、Ni、Mgのうちの少なくとも一種、ZはP、C、As、Si、Sのうちの少なくとも一種、XはOH、F、Cl、O、CO3 、空孔のうちの少なくとも一種)で表されるものであることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  3. 前記アパタイトが、カルシウムイオンとリン酸イオンとを主成分とするものである請求項2記載のバイオセンサ。
  4. 前記アパタイトが、Ca10(PO46 (OH)2 である請求項3記載のバイオセンサ。
  5. 前記反応層中の酵素が、血糖、中性脂肪、コレステロール、肝機能マーカーのいずれかを分解できる酸化還元酵素を少なくとも一つ含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載のバイオセンサ。
  6. 前記反応層には、電子受容体が含まれており、該電子受容体が、フェリシアン化カリウム、p−ベンゾキノン及びその誘導体、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェロセン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1ないし5のいずれかに記載のバイオセンサ。
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JP2018517909A (ja) * 2015-06-15 2018-07-05 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft 体液試料中の少なくとも1つの分析物を電気化学的に検出するための方法および試験要素

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