JP2005036275A - Dlc微粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】DLCの機能特性を保全したDLC微粒子を提供し、またDLC膜の圧縮応力を保全して粉体状のDLCを得る方法を提供する。
【解決手段】真空容器であるプロセス室11内のバレル型容器13にDLC微粒子のコアになる極微細粒子21を必要量装填し、プロセス室11を真空排気して、バレル型容器13を回転させて極微細粒子を容器内で流動させながら、プロセス室11内にカーボン系材料や添加元素ガスが含まれるプロセスガスを供給し、化学的気相蒸着法(CVD法)を行って極微細粒子の表面にダイアモンドライクカーボン(DLC)をコーティングすることにより、DLC微粒子を生成する。
【選択図】 図1
【解決手段】真空容器であるプロセス室11内のバレル型容器13にDLC微粒子のコアになる極微細粒子21を必要量装填し、プロセス室11を真空排気して、バレル型容器13を回転させて極微細粒子を容器内で流動させながら、プロセス室11内にカーボン系材料や添加元素ガスが含まれるプロセスガスを供給し、化学的気相蒸着法(CVD法)を行って極微細粒子の表面にダイアモンドライクカーボン(DLC)をコーティングすることにより、DLC微粒子を生成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐摩耗性で低摩擦性のあるダイアモンドライクカーボン(DLC)微粒子および種々の機能を持つ機能性DLC微粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイアモンドライクカーボン(DLC)は、炭素または炭素と水素から構成される非晶質の物質で、ダイアモンド結合とグラファイト結合が無秩序に混在した構造を持つ。
DLCは、窒化チタンや窒化クロムなどのセラミックスを超える硬度と、二硫化モリブデンやグラファイトなどの固体潤滑材に匹敵する潤滑性を併せ持った耐摩耗低摩擦材料であり、また、低ガス透過性、高絶縁性、耐食性、高熱伝導性、赤外線透過性、水素吸蔵性など有用な機能を併せ持った多機能性材料である。
近年、他の元素をドーピングすることにより、特性のさらなる向上が図られている。窒素、ボロン、酸素、フッ素などの軽い元素や、チタン、クロム、タングステン、モリブデンなどの金属およびシリコンなどを添加することにより、電気伝導率の制御、極低摩擦化、耐摩耗性向上、基材との密着性の向上、耐熱性の向上などが可能になることが知られている。
【0003】
DLCはダイアモンドとは違った独自の優れた性質を示し、電子、機械、光学など各種分野において工業的に使用されている。
DLCの利用は、ここ10年でめざましい展開を示し、たとえば耐摩耗低摩擦材料としてハードディスクやデジタルビデオテープなどの情報メディアから、水道混合栓やシェーバーなどの日常品まで、広い範囲に適用されるようになっている。また、低ガス透過性を生かし、飲料の品質保持を目的としたDLCコーティングペットボトルが商品化されようとしている。さらに、高面圧高速度などの過酷な摺動環境での使用が精力的に研究されており、たとえば自動車部品などの大量生産品への適用が注目されている。
このように、DLCは、今後より広い分野で大量に使用されることが期待されている。
【0004】
これらの応用例では、DLCは数nmから数μmの厚みを持った薄膜として形成され、イオン化蒸着法、プラズマ化学的気相蒸着法(CVD法)、スパッタリング法、アークイオンプレーティング法などの様々なドライプロセスを利用することができる。
イオン化蒸着法やプラズマCVD法では、メタンやベンゼンなどの炭化水素系ガスをプラズマ化し、生成したイオンを50V〜1kV程度に加速して被処理物に衝突させることによりDLC層を形成する。スパッタリング法やアークイオンプレーティング法においては、イオン衝突によりカーボンターゲットから飛び出したカーボン粒子が被処理物に付着することでDLC層を形成する。
【0005】
特許文献1と2はいずれも本願の出願人が有する特許であるが、特許文献1には、電子ビーム励起プラズマCVD法を用いて高硬度で密着性のよいDLC膜を形成することが開示されている。また、特許文献2には、電子ビーム励起プラズマCVD法を用いて、炭化水素系ガスとシリコンを含むガスを原料として低摩擦なシリコン含有DLC膜を形成する方法が開示されている。
【0006】
これらの技術は、いずれも被処理物の平らな表面にDLC膜を堆積させるものであって、粉体状のDLCを得る方法は開示されていない。
粉体あるいは微粒子状の材料は、現在、磁気テープや磁性流体、触媒や触媒担体、研磨剤、顔料、塗料、焼結体材料など、広範な産業分野で利用されている。特に、ナノテクノロジーにおける、ナノサイズのフラーレンや、カーボンナノチューブ、セラミックス粒子、高分子などの微粒子が注目されている。
このように、微粒子あるいは粉体が大きな期待を集めているにもかかわらず、極めて多機能な材料となることが予測されるDLCの粉体を製造する方法については知られていない。
【0007】
プラズマCVD法などにより基板上に薄膜状に形成させたDLCを、基板から剥離して粉砕すれば、粉末を得ることができる。非特許文献1に説明されるように、通常、DLC膜には数GPaという大きな圧縮応力が残留していて、膜の硬質化の一因となっている。また、圧縮応力には破壊の原因となる亀裂の開口や進展を阻止する働きがあるため耐摩耗性の向上に役立っている。ところが、DLC膜を粉砕して生成した粉体は、圧縮応力を緩和することにより、炭素原子間の結合角が変化し、グラファイト的な構造の軟質の粉体となり、DLCの機能を殆ど喪失してしまう。
【0008】
図3は、DLCの評価法として広く使用されているレーザーラマン分光法で得たスペクトル図で、図中(a)のグラフはDLCのラマンスペクトル、(b)のグラフは基板から剥離し自然破壊してできた微細粉のスペクトルである。DLCのスペクトルはシャープなGピークの部分とブロードなDピークの部分からなる。これに対して、微細粉のラマンスペクトルではDピークがより明瞭に現れてグラファイト膜のラマンスペクトルと類似しており、微細分がDLCの特性を失いグラファイト性が強くなっていることを表している。
したがって、DLCを粉砕して得た微粒子は既にDLCではないというジレンマが生じる。
【0009】
【特許文献1】
特許第3016748号公報
【特許文献2】
特許第3034241号公報
【非特許文献1】
高井治「ダイヤモンド研究の軌跡と展望」ニューダイヤモンド誌,pp.15−20,vol.16,No.4(2000年)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、DLCの機能特性を保全したDLC微粒子を提供することであり、またDLC膜を粉砕する以外の方法であって、圧縮応力を保全して粉体状のDLCを得る方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のダイアモンドライクカーボン(DLC)微粒子は、金属、炭化物、酸化物、窒化物、カーボン系材料、有機物から選択する材料からなる極微細粒子と、その極微細粒子をコアとしてその表面全周にコーティングしたDLCの層とからなることを特徴とする。
なお、ここでカーボン系材料とは炭素が構成する多様な材料の総称であって、グラファイト、ダイアモンド、グラッシーカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバーなど、各種の材料を指すものとする。
【0012】
極微細粒子の周囲にDLCを堆積させて製造したDLC微粒子は、外周のDLCに発生する圧縮応力が緩和されることなく、コアの極微細粒子を介して圧縮応力を維持するため、DLCの持つ各種の機能特性を保有しつづけることができる。
したがって、本発明のDLC微粒子は、個々の粒子がDLCの特性を保持した微細な粉体であるので、それぞれの機能が必要とされる各方面の工業目的に適合した粉体材料として提供することができる。
【0013】
DLCは、基本的に炭素ネットワークからなる非晶質炭素であり、炭素ネットワーク中のsp3結合成分とsp2結合成分の比率、添加元素の種類と添加量などを変えることにより、数多くの種類に分かれていく。たとえば、水素含有量の少ない非晶質炭素a−C、水素を含んだ非晶質炭素a−C:H、水素含有量の少ないテトラヘドラル非晶質炭素ta−C、水素を含んだテトラヘドラル非晶質炭素ta−C:H、イオンプロセスにより作成した非晶質炭素i−Cなどがよく用いられる。
【0014】
そこで、本発明のDLC微粒子におけるDLC層も、殆ど炭素で形成するようにしてもよく、炭素と水素で形成するようにしてもよい。
また、窒素、ボロン、酸素、フッ素、チタン、クロム、タングステン、モリブデン、シリコンなどの元素を1種類以上添加してもよい。元素を添加することにより、DLCに特殊な機能を付与することができる。
たとえば窒素添加により導電性向上が見られる、酸素及びシリコン添加により耐熱性が向上する、チタンやクロムなどを添加すると内部応力が緩和して剥離しにくくなり厚いDLC層を形成することができる、など既に知られた機能増進が可能である。
さらに、炭素と水素の割合や、添加元素を調整することにより、DLCの特性を変化させることができるので、使用の目的に応じて処方を適当に選択することが好ましい。
【0015】
コアにする極微細粒子の粒径は、5nm以上1μm以下であることが好ましい。コア粒子があまり小さいと流動させたときに室内に拡散して回収が難しくなりまたDLCが堆積しにくくなる。一方、径が1μm以上では微粒子としての利用価値が希薄になる。
また、DLCの層の厚さは5nm以上500nm以下であることが好ましい。DLC層が薄ければDLCの機能性を十分発揮できない一方、コア径と対比してDLC層が厚いと剥離しやすくなり、剥離した粉粒体はDLCの機能性を持たないからである。
【0016】
本発明のDLC微粒子は、DLCの機能性を備えた粉体なので、たとえば摺動部分に加えることにより摩擦を大幅に減少させ、機械効率を向上させたり、磁気記憶媒体に混入してヘッドとの摩擦を緩和させたりすることができるなど、機能に応じた様々な利用が可能である。
【0017】
上記課題を解決するため、本発明のDLC微粒子製造方法は、回転する導電性のバレル型容器を備えた真空容器であるプロセス室を準備し、バレル型容器にDLC微粒子のコアになる極微細粒子を必要量装填し、プロセス室を真空排気して、バレル型容器を回転させて極微細粒子を前記容器内で流動させながら、プロセス室内で化学的気相蒸着法(CVD法)を行って極微細粒子の表面にダイアモンドライクカーボン(DLC)をコーティングすることにより、DLC微粒子を生成することを特徴とする。
【0018】
バレル型容器が回転すると、内部に仕込んだ極微細粒子が流動し、全てのコア粒子が均一に反応ガスと接触して、コア粒子表面にDLCがほぼ均等に成長するので、均質なDLC微粒子を得ることができる。
プロセス室の側面に電子ビームガンを設け、ガンと対向する位置に加速電極を設けて、回転するバレル型容器の一方の回転軸位置に電子ビームガンからの電子ビームが入射する開口を設けて、電子ビーム励起プラズマを用いた化学的気相蒸着法を実施することによりDLC微粒子を生成するようにしてもよい。
【0019】
プロセス室に、メタンやベンゼンなどの炭素源、必要に応じて水素源や添加元素を含むガスを導入して、大電流の電子ビームを照射すると、バレル型容器の回転軸を中心として活性化した炭素、水素、添加元素などを含むプラズマが発生する。
バレル型容器内のコア粒子を流動させて、電子ビーム励起プラズマを作用させると、極微細粒子の周囲にDLC原料物質が大量に堆積され迅速にDLC層が成長するので、極めて高い効率でDLC微粒子の生産ができる。
【0020】
さらに、電子ビーム励起プラズマを作用させるときに、バレル型容器に負のバイアス電圧を掛けることが好ましい。負電圧を印加することにより、DLC層の硬度が大きくなる。なお、バイアス電圧は、−50Vから−1kVの範囲で印加することが好ましい。−50V以下のバイアスでは硬度が小さくDLCとしての機能が十分でなくなり、バイアス電圧値を上げると徐々に硬度が増加し極大を示した後に今度は徐々に低下し、バイアスが−1kVを超えると再び硬度が小さくなりすぎるばかりか、装置上の困難が増して実用に耐えなくなる。
【0021】
なお、化学的気相蒸着法の代わりに、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相蒸着法(PVD法)を用いることもできる。
PVD法を用いるときはグラファイトをターゲットとするため、炭素のみからなるDLC(a−C)が形成される。
なお、PVD法においても、コア粒子を収納するバレル型容器に−50Vから−1kVのバイアス電圧を印加することが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のDLC微粒子とその製造方法について、実施の形態に基づいて説明する。
図1は本発明実施例のDLC微粒子を製造する装置の1例を示す構造図である。また、図2は本実施例のDLC微粒子の構造を概念的に示す断面図である。
【0023】
本実施例のDLC微粒子は、図2に示す通り、極微細粒子をコア1とし、このコア1の表面全面にDLC2をコーティングしたものである。DLC微粒子は、コア1にコーティングすることにより外側のDLC層2を安定にして、全体としてDLCの持つ本来の特性を保持した微粒子として活用することができる。
【0024】
コア1は、金属、炭化物、酸化物、窒化物、カーボン系材料、有機物などの極微細粒子であり、微粒子になり真空下で安定なものであればほぼどの材料でも利用できる可能性がある。カーボン系材料には、グラファイト、ダイヤモンド、グラッシーカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバーなど、炭素が構成する多様な材料を全て含む。コアにする極微細粒子の粒径は、5nm以上1μm以下のものが選ばれる。フラーレンやカーボンナノチューブはナノサイズであって、本実施例のコアに最適である。
【0025】
DLC層2は、原料や作成法によって、非晶質炭素が圧倒的なDLC(a−C)、非晶質炭素に水素がかなり含まれるDLC(a−C:H)、水素含有量の少ないテトラヘドラル非晶質炭素によるDLC(ta−C)、水素を含んだテトラヘドラル非晶質炭素によるDLC(ta−C:H)などで構成される。
さらに、窒素、ボロン、酸素、フッ素などや金属類を添加してもよい。
【0026】
図1に、本実施例のDLC微粒子を作成するために使用した電子ビーム励起プラズマ粉体処理装置の概略を示す。
粉体の処理を行う真空チャンバー11の側面に電子ビームを発生する電子ビームガン12が取り付けられている。真空チャンバー11の内部にはバレル型容器13が回転可能に設置されている。バレル型容器13には電子ビームガン12からの電子ビームが流入する開口14が設けられ、開口14の対向位置に加速電極15が設けられている。
電子ビームガン12のフィラメントと放電電極の間に放電電流を供給する放電電源17、放電電極と加速電極との間に加速電圧を印加する加速電源18を備え、また、バレル型容器13にバイアス電圧を印加するRF電源16が設けられている。
【0027】
本実施例のDLC微粒子を作製するため、まず直径400mm長さ400mmのバレル型容器13に、DLC微粒子のコアとなる極微細粒子21として、市販の酸化シリコン粉(1次粒子径:10nm)を約1kg仕込んだ。
次に、放電空間にアルゴンガスを供給しながら、フィラメントと放電電極の間に放電電圧を印加してフィラメントから放出した熱電子をトリガーとして放電空間にアルゴンの直流放電を起こした。そして、真空チャンバー11内にメタンガスを導入し、圧力を6mTorrとした。
【0028】
さらに、放電電極と加速電極15との間に加速電圧を印加して電子ビーム22を放電空間から真空チャンバー11内に引き出し、バレル型容器13の内部にその回転軸と同軸上にビーム状の電子ビーム励起プラズマ23を生成した。
放電電流を10A、加速電圧を60V、また、バレル型容器13のバイアス電圧を−100Vとし、バレル型容器13を回転させながら、コア極微細粒子へのDLCのコーティングを60分間行い、DLC微粒子を得た。
【0029】
得られたDLC微粒子について、レーザーラマン分光法を用いて構造評価を行ったところ、1540cm−1付近の比較的急峻なピークと、1340cm−1付近のブロードなピークが観察された。これは、薄膜状のDLCについて得られるラマンスペクトルとよく近似しており、本来の硬度特性を持つDLCが形成されていることが確認された。また、赤外吸収法(FT−IR法)で評価したところ、C−H結合に起因する2900cm−1付近の赤外吸収が観察され、薄膜状のDLCと同様に、炭素と水素からなるDLC(a−C:H)が形成されていることが確認できた。
【0030】
この作製例では、プラズマCVD法に電子ビーム励起プラズマを使用したが、たとえば、容量結合型プラズマ、誘導結合型プラズマ、マイクロ波プラズマ、電子サイクロトロン共鳴プラズマなど、他の発生方法によるプラズマを利用してもよいことはいうまでもない。
また、プラズマCVD法の他に、スパッタリング法、イオンプレーティング法などのPVD法を用いても、DLC微粒子の作成が可能である。なお、グラファイトターゲットを使用するPVD法では、炭素のみからなるDLC(a−C)が形成されることになる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のDLC微粒子製造方法により、表面をDLC層でコーティングしてDLCの特性を備えたDLC微粒子を得ることができた。本発明の方法により得たDLC微粒子は、DLCの有する高硬度性や低摩擦性などの優れた機能性を備え、種々の分野において工業的に活用できる粉体材料として重用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例のDLC微粒子を製造する装置を示す構造図である。
【図2】本実施例のDLC微粒子の構造を概念的に示す断面図である。
【図3】DLCとDLCが崩壊した破片のラマン分光スペクトルを示す線図である。
【符号の説明】
1 コア
2 DLC層
11 真空チャンバー
12 電子ビームガン
13 バレル型容器
14 開口
15 加速電極
16 RF電源
17 放電電源
18 加速電源
21 極微細粒子
22 電子ビーム
23 電子ビーム励起プラズマ
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐摩耗性で低摩擦性のあるダイアモンドライクカーボン(DLC)微粒子および種々の機能を持つ機能性DLC微粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイアモンドライクカーボン(DLC)は、炭素または炭素と水素から構成される非晶質の物質で、ダイアモンド結合とグラファイト結合が無秩序に混在した構造を持つ。
DLCは、窒化チタンや窒化クロムなどのセラミックスを超える硬度と、二硫化モリブデンやグラファイトなどの固体潤滑材に匹敵する潤滑性を併せ持った耐摩耗低摩擦材料であり、また、低ガス透過性、高絶縁性、耐食性、高熱伝導性、赤外線透過性、水素吸蔵性など有用な機能を併せ持った多機能性材料である。
近年、他の元素をドーピングすることにより、特性のさらなる向上が図られている。窒素、ボロン、酸素、フッ素などの軽い元素や、チタン、クロム、タングステン、モリブデンなどの金属およびシリコンなどを添加することにより、電気伝導率の制御、極低摩擦化、耐摩耗性向上、基材との密着性の向上、耐熱性の向上などが可能になることが知られている。
【0003】
DLCはダイアモンドとは違った独自の優れた性質を示し、電子、機械、光学など各種分野において工業的に使用されている。
DLCの利用は、ここ10年でめざましい展開を示し、たとえば耐摩耗低摩擦材料としてハードディスクやデジタルビデオテープなどの情報メディアから、水道混合栓やシェーバーなどの日常品まで、広い範囲に適用されるようになっている。また、低ガス透過性を生かし、飲料の品質保持を目的としたDLCコーティングペットボトルが商品化されようとしている。さらに、高面圧高速度などの過酷な摺動環境での使用が精力的に研究されており、たとえば自動車部品などの大量生産品への適用が注目されている。
このように、DLCは、今後より広い分野で大量に使用されることが期待されている。
【0004】
これらの応用例では、DLCは数nmから数μmの厚みを持った薄膜として形成され、イオン化蒸着法、プラズマ化学的気相蒸着法(CVD法)、スパッタリング法、アークイオンプレーティング法などの様々なドライプロセスを利用することができる。
イオン化蒸着法やプラズマCVD法では、メタンやベンゼンなどの炭化水素系ガスをプラズマ化し、生成したイオンを50V〜1kV程度に加速して被処理物に衝突させることによりDLC層を形成する。スパッタリング法やアークイオンプレーティング法においては、イオン衝突によりカーボンターゲットから飛び出したカーボン粒子が被処理物に付着することでDLC層を形成する。
【0005】
特許文献1と2はいずれも本願の出願人が有する特許であるが、特許文献1には、電子ビーム励起プラズマCVD法を用いて高硬度で密着性のよいDLC膜を形成することが開示されている。また、特許文献2には、電子ビーム励起プラズマCVD法を用いて、炭化水素系ガスとシリコンを含むガスを原料として低摩擦なシリコン含有DLC膜を形成する方法が開示されている。
【0006】
これらの技術は、いずれも被処理物の平らな表面にDLC膜を堆積させるものであって、粉体状のDLCを得る方法は開示されていない。
粉体あるいは微粒子状の材料は、現在、磁気テープや磁性流体、触媒や触媒担体、研磨剤、顔料、塗料、焼結体材料など、広範な産業分野で利用されている。特に、ナノテクノロジーにおける、ナノサイズのフラーレンや、カーボンナノチューブ、セラミックス粒子、高分子などの微粒子が注目されている。
このように、微粒子あるいは粉体が大きな期待を集めているにもかかわらず、極めて多機能な材料となることが予測されるDLCの粉体を製造する方法については知られていない。
【0007】
プラズマCVD法などにより基板上に薄膜状に形成させたDLCを、基板から剥離して粉砕すれば、粉末を得ることができる。非特許文献1に説明されるように、通常、DLC膜には数GPaという大きな圧縮応力が残留していて、膜の硬質化の一因となっている。また、圧縮応力には破壊の原因となる亀裂の開口や進展を阻止する働きがあるため耐摩耗性の向上に役立っている。ところが、DLC膜を粉砕して生成した粉体は、圧縮応力を緩和することにより、炭素原子間の結合角が変化し、グラファイト的な構造の軟質の粉体となり、DLCの機能を殆ど喪失してしまう。
【0008】
図3は、DLCの評価法として広く使用されているレーザーラマン分光法で得たスペクトル図で、図中(a)のグラフはDLCのラマンスペクトル、(b)のグラフは基板から剥離し自然破壊してできた微細粉のスペクトルである。DLCのスペクトルはシャープなGピークの部分とブロードなDピークの部分からなる。これに対して、微細粉のラマンスペクトルではDピークがより明瞭に現れてグラファイト膜のラマンスペクトルと類似しており、微細分がDLCの特性を失いグラファイト性が強くなっていることを表している。
したがって、DLCを粉砕して得た微粒子は既にDLCではないというジレンマが生じる。
【0009】
【特許文献1】
特許第3016748号公報
【特許文献2】
特許第3034241号公報
【非特許文献1】
高井治「ダイヤモンド研究の軌跡と展望」ニューダイヤモンド誌,pp.15−20,vol.16,No.4(2000年)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、DLCの機能特性を保全したDLC微粒子を提供することであり、またDLC膜を粉砕する以外の方法であって、圧縮応力を保全して粉体状のDLCを得る方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のダイアモンドライクカーボン(DLC)微粒子は、金属、炭化物、酸化物、窒化物、カーボン系材料、有機物から選択する材料からなる極微細粒子と、その極微細粒子をコアとしてその表面全周にコーティングしたDLCの層とからなることを特徴とする。
なお、ここでカーボン系材料とは炭素が構成する多様な材料の総称であって、グラファイト、ダイアモンド、グラッシーカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバーなど、各種の材料を指すものとする。
【0012】
極微細粒子の周囲にDLCを堆積させて製造したDLC微粒子は、外周のDLCに発生する圧縮応力が緩和されることなく、コアの極微細粒子を介して圧縮応力を維持するため、DLCの持つ各種の機能特性を保有しつづけることができる。
したがって、本発明のDLC微粒子は、個々の粒子がDLCの特性を保持した微細な粉体であるので、それぞれの機能が必要とされる各方面の工業目的に適合した粉体材料として提供することができる。
【0013】
DLCは、基本的に炭素ネットワークからなる非晶質炭素であり、炭素ネットワーク中のsp3結合成分とsp2結合成分の比率、添加元素の種類と添加量などを変えることにより、数多くの種類に分かれていく。たとえば、水素含有量の少ない非晶質炭素a−C、水素を含んだ非晶質炭素a−C:H、水素含有量の少ないテトラヘドラル非晶質炭素ta−C、水素を含んだテトラヘドラル非晶質炭素ta−C:H、イオンプロセスにより作成した非晶質炭素i−Cなどがよく用いられる。
【0014】
そこで、本発明のDLC微粒子におけるDLC層も、殆ど炭素で形成するようにしてもよく、炭素と水素で形成するようにしてもよい。
また、窒素、ボロン、酸素、フッ素、チタン、クロム、タングステン、モリブデン、シリコンなどの元素を1種類以上添加してもよい。元素を添加することにより、DLCに特殊な機能を付与することができる。
たとえば窒素添加により導電性向上が見られる、酸素及びシリコン添加により耐熱性が向上する、チタンやクロムなどを添加すると内部応力が緩和して剥離しにくくなり厚いDLC層を形成することができる、など既に知られた機能増進が可能である。
さらに、炭素と水素の割合や、添加元素を調整することにより、DLCの特性を変化させることができるので、使用の目的に応じて処方を適当に選択することが好ましい。
【0015】
コアにする極微細粒子の粒径は、5nm以上1μm以下であることが好ましい。コア粒子があまり小さいと流動させたときに室内に拡散して回収が難しくなりまたDLCが堆積しにくくなる。一方、径が1μm以上では微粒子としての利用価値が希薄になる。
また、DLCの層の厚さは5nm以上500nm以下であることが好ましい。DLC層が薄ければDLCの機能性を十分発揮できない一方、コア径と対比してDLC層が厚いと剥離しやすくなり、剥離した粉粒体はDLCの機能性を持たないからである。
【0016】
本発明のDLC微粒子は、DLCの機能性を備えた粉体なので、たとえば摺動部分に加えることにより摩擦を大幅に減少させ、機械効率を向上させたり、磁気記憶媒体に混入してヘッドとの摩擦を緩和させたりすることができるなど、機能に応じた様々な利用が可能である。
【0017】
上記課題を解決するため、本発明のDLC微粒子製造方法は、回転する導電性のバレル型容器を備えた真空容器であるプロセス室を準備し、バレル型容器にDLC微粒子のコアになる極微細粒子を必要量装填し、プロセス室を真空排気して、バレル型容器を回転させて極微細粒子を前記容器内で流動させながら、プロセス室内で化学的気相蒸着法(CVD法)を行って極微細粒子の表面にダイアモンドライクカーボン(DLC)をコーティングすることにより、DLC微粒子を生成することを特徴とする。
【0018】
バレル型容器が回転すると、内部に仕込んだ極微細粒子が流動し、全てのコア粒子が均一に反応ガスと接触して、コア粒子表面にDLCがほぼ均等に成長するので、均質なDLC微粒子を得ることができる。
プロセス室の側面に電子ビームガンを設け、ガンと対向する位置に加速電極を設けて、回転するバレル型容器の一方の回転軸位置に電子ビームガンからの電子ビームが入射する開口を設けて、電子ビーム励起プラズマを用いた化学的気相蒸着法を実施することによりDLC微粒子を生成するようにしてもよい。
【0019】
プロセス室に、メタンやベンゼンなどの炭素源、必要に応じて水素源や添加元素を含むガスを導入して、大電流の電子ビームを照射すると、バレル型容器の回転軸を中心として活性化した炭素、水素、添加元素などを含むプラズマが発生する。
バレル型容器内のコア粒子を流動させて、電子ビーム励起プラズマを作用させると、極微細粒子の周囲にDLC原料物質が大量に堆積され迅速にDLC層が成長するので、極めて高い効率でDLC微粒子の生産ができる。
【0020】
さらに、電子ビーム励起プラズマを作用させるときに、バレル型容器に負のバイアス電圧を掛けることが好ましい。負電圧を印加することにより、DLC層の硬度が大きくなる。なお、バイアス電圧は、−50Vから−1kVの範囲で印加することが好ましい。−50V以下のバイアスでは硬度が小さくDLCとしての機能が十分でなくなり、バイアス電圧値を上げると徐々に硬度が増加し極大を示した後に今度は徐々に低下し、バイアスが−1kVを超えると再び硬度が小さくなりすぎるばかりか、装置上の困難が増して実用に耐えなくなる。
【0021】
なお、化学的気相蒸着法の代わりに、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相蒸着法(PVD法)を用いることもできる。
PVD法を用いるときはグラファイトをターゲットとするため、炭素のみからなるDLC(a−C)が形成される。
なお、PVD法においても、コア粒子を収納するバレル型容器に−50Vから−1kVのバイアス電圧を印加することが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のDLC微粒子とその製造方法について、実施の形態に基づいて説明する。
図1は本発明実施例のDLC微粒子を製造する装置の1例を示す構造図である。また、図2は本実施例のDLC微粒子の構造を概念的に示す断面図である。
【0023】
本実施例のDLC微粒子は、図2に示す通り、極微細粒子をコア1とし、このコア1の表面全面にDLC2をコーティングしたものである。DLC微粒子は、コア1にコーティングすることにより外側のDLC層2を安定にして、全体としてDLCの持つ本来の特性を保持した微粒子として活用することができる。
【0024】
コア1は、金属、炭化物、酸化物、窒化物、カーボン系材料、有機物などの極微細粒子であり、微粒子になり真空下で安定なものであればほぼどの材料でも利用できる可能性がある。カーボン系材料には、グラファイト、ダイヤモンド、グラッシーカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバーなど、炭素が構成する多様な材料を全て含む。コアにする極微細粒子の粒径は、5nm以上1μm以下のものが選ばれる。フラーレンやカーボンナノチューブはナノサイズであって、本実施例のコアに最適である。
【0025】
DLC層2は、原料や作成法によって、非晶質炭素が圧倒的なDLC(a−C)、非晶質炭素に水素がかなり含まれるDLC(a−C:H)、水素含有量の少ないテトラヘドラル非晶質炭素によるDLC(ta−C)、水素を含んだテトラヘドラル非晶質炭素によるDLC(ta−C:H)などで構成される。
さらに、窒素、ボロン、酸素、フッ素などや金属類を添加してもよい。
【0026】
図1に、本実施例のDLC微粒子を作成するために使用した電子ビーム励起プラズマ粉体処理装置の概略を示す。
粉体の処理を行う真空チャンバー11の側面に電子ビームを発生する電子ビームガン12が取り付けられている。真空チャンバー11の内部にはバレル型容器13が回転可能に設置されている。バレル型容器13には電子ビームガン12からの電子ビームが流入する開口14が設けられ、開口14の対向位置に加速電極15が設けられている。
電子ビームガン12のフィラメントと放電電極の間に放電電流を供給する放電電源17、放電電極と加速電極との間に加速電圧を印加する加速電源18を備え、また、バレル型容器13にバイアス電圧を印加するRF電源16が設けられている。
【0027】
本実施例のDLC微粒子を作製するため、まず直径400mm長さ400mmのバレル型容器13に、DLC微粒子のコアとなる極微細粒子21として、市販の酸化シリコン粉(1次粒子径:10nm)を約1kg仕込んだ。
次に、放電空間にアルゴンガスを供給しながら、フィラメントと放電電極の間に放電電圧を印加してフィラメントから放出した熱電子をトリガーとして放電空間にアルゴンの直流放電を起こした。そして、真空チャンバー11内にメタンガスを導入し、圧力を6mTorrとした。
【0028】
さらに、放電電極と加速電極15との間に加速電圧を印加して電子ビーム22を放電空間から真空チャンバー11内に引き出し、バレル型容器13の内部にその回転軸と同軸上にビーム状の電子ビーム励起プラズマ23を生成した。
放電電流を10A、加速電圧を60V、また、バレル型容器13のバイアス電圧を−100Vとし、バレル型容器13を回転させながら、コア極微細粒子へのDLCのコーティングを60分間行い、DLC微粒子を得た。
【0029】
得られたDLC微粒子について、レーザーラマン分光法を用いて構造評価を行ったところ、1540cm−1付近の比較的急峻なピークと、1340cm−1付近のブロードなピークが観察された。これは、薄膜状のDLCについて得られるラマンスペクトルとよく近似しており、本来の硬度特性を持つDLCが形成されていることが確認された。また、赤外吸収法(FT−IR法)で評価したところ、C−H結合に起因する2900cm−1付近の赤外吸収が観察され、薄膜状のDLCと同様に、炭素と水素からなるDLC(a−C:H)が形成されていることが確認できた。
【0030】
この作製例では、プラズマCVD法に電子ビーム励起プラズマを使用したが、たとえば、容量結合型プラズマ、誘導結合型プラズマ、マイクロ波プラズマ、電子サイクロトロン共鳴プラズマなど、他の発生方法によるプラズマを利用してもよいことはいうまでもない。
また、プラズマCVD法の他に、スパッタリング法、イオンプレーティング法などのPVD法を用いても、DLC微粒子の作成が可能である。なお、グラファイトターゲットを使用するPVD法では、炭素のみからなるDLC(a−C)が形成されることになる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のDLC微粒子製造方法により、表面をDLC層でコーティングしてDLCの特性を備えたDLC微粒子を得ることができた。本発明の方法により得たDLC微粒子は、DLCの有する高硬度性や低摩擦性などの優れた機能性を備え、種々の分野において工業的に活用できる粉体材料として重用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例のDLC微粒子を製造する装置を示す構造図である。
【図2】本実施例のDLC微粒子の構造を概念的に示す断面図である。
【図3】DLCとDLCが崩壊した破片のラマン分光スペクトルを示す線図である。
【符号の説明】
1 コア
2 DLC層
11 真空チャンバー
12 電子ビームガン
13 バレル型容器
14 開口
15 加速電極
16 RF電源
17 放電電源
18 加速電源
21 極微細粒子
22 電子ビーム
23 電子ビーム励起プラズマ
Claims (11)
- 金属、炭化物、酸化物、窒化物、カーボン系材料、有機物から選択する材料からなる極微細粒子と、該極微細粒子をコアとしてその表面全周にコーティングしたダイアモンドライクカーボン(DLC)の層とからなるDLC微粒子。
- 前記DLCが炭素からなることを特徴とする請求項1記載のDLC微粒子。
- 前記DLCが炭素と水素からなることを特徴とする請求項1記載のDLC微粒子。
- 前記DLCに窒素、ボロン、酸素、フッ素、チタン、クロム、タングステン、モリブデン、シリコンのうちの1以上の元素が添加されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のDLC微粒子。
- 前記極微細粒子の粒径が5nm以上1μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のDLC微粒子。
- 前記DLCの層の厚さが5nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のDLC微粒子。
- 回転する導電性のバレル型容器を備えた真空排気できるプロセス室を準備し、該バレル型容器にDLC微粒子のコアになる極微細粒子を必要量装填し、前記プロセス室を真空排気して、前記バレル型容器を回転させて前記極微細粒子を前記バレル型容器内で流動させながら、前記プロセス室内で化学的気相蒸着法(CVD法)を行って前記極微細粒子全周の表面にダイアモンドライクカーボン(DLC)を堆積させることにより、極微細粒子にDLCをコーティングしたDLC微粒子を生成することを特徴とするDLC微粒子の製造方法。
- 前記化学的気相蒸着法は電子ビーム励起プラズマを使用して実施することを特徴とする請求項7記載のDLC微粒子の製造方法。
- 真空排気されたプロセス室内にセットした回転する導電性の容器に、DLC微粒子のコアになる極微細粒子を適当量装填し、該極微細粒子を前記容器内で流動させながら、前記プロセス室内で物理的気相蒸着法(PVD法)を行って前記極微細粒子の表面にダイアモンドライクカーボン(DLC)を堆積させることにより、極微細粒子にDLCをコーティングしたDLC微粒子を生成することを特徴とするDLC微粒子の製造方法。
- 前記堆積工程において前記容器に負のバイアス電圧を印加することを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のDLC微粒子の製造方法。
- 前記負のバイアス電圧が−50V以上−1kV以下である請求項10記載のDLC微粒子の製造方法。
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-
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- 2003-07-18 JP JP2003199468A patent/JP2005036275A/ja active Pending
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