JP2005036114A - 木質系樹脂組成物及び木質系樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性及び生産性が良好で、外観及び耐衝撃性に優れた成形体を与える木質系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)20〜50重量部と、平均粒径300μm以下の粉状セルロース系材料(B1)と、平均粒径50〜300μmでアスペクト比が10〜60の繊維状セルロース系材料(B2)とからなるセルロース系材料(B)80〜50重量部と、(A)と(B)の合計100重量部に対して、MS−301P、スチレン系エラストマー、低分子酸化型ポリエチレンワックスから選ばれる添加剤(C)1〜5重量部とからなることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)20〜50重量部と、平均粒径300μm以下の粉状セルロース系材料(B1)と、平均粒径50〜300μmでアスペクト比が10〜60の繊維状セルロース系材料(B2)とからなるセルロース系材料(B)80〜50重量部と、(A)と(B)の合計100重量部に対して、MS−301P、スチレン系エラストマー、低分子酸化型ポリエチレンワックスから選ばれる添加剤(C)1〜5重量部とからなることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、木質系樹脂組成物及び該組成物からなる木質系樹脂成形体に関し、更に詳しくは、成形性及び生産性が良好で、外観及び耐衝撃性に優れた成形体を与える木質系樹脂組成物及び該組成物からなる外観性及び耐衝撃性に優れた木質系樹脂成形体に関する。
従来から、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂と、木粉等のセルロース系材料とを攪拌翼型混合機に投入し、この攪拌翼型混合機内で両者を攪拌する際の摩擦熱によって熱可塑性樹脂を溶融しながら、溶融状態の熱可塑性樹脂にセルロース系材料を混合することにより木質系樹脂組成物を製造し、この木質系樹脂組成物を用いて木質合成板等を成形する方法は広く行われている。
このような木質合成板等の木質系樹脂成形品において、木質感を得ようとすると、セルロース系材料の配合比率を高くする必要があるが、単にセルロース系材料の配合比率を高くすると、物性(耐衝撃性)や成形性といった問題がある。一方、物性を上げるためには、熱可塑性樹脂の配合比率を高くすればよいが、単に熱可塑性樹脂の配合比率を高くすると、逆に十分な木質感が得られないという相反する問題があり、木質感向上のため、成形品表面のサンダー加工、印刷塗装等の二次加工が必要となる。
他方、木質系樹脂成形体を安価に提供せんとして、押出速度(線速)を高めて生産性を向上させる方法が検討されている。
例えば、中空樹脂成形板の押出成形方法及び装置において、成形室の内壁面にフッ素樹脂シートを貼設したり、フッ素樹脂をコーティングするとともに、中子体も冷却することにより押出速度を高めたり、また押出速度よりも遅い速度で成形体を引き取ることにより、押出速度を上げた場合であっても成形体にたわみやひけを生じさせない方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、中空樹脂成形板の押出成形方法及び装置において、成形室の内壁面にフッ素樹脂シートを貼設したり、フッ素樹脂をコーティングするとともに、中子体も冷却することにより押出速度を高めたり、また押出速度よりも遅い速度で成形体を引き取ることにより、押出速度を上げた場合であっても成形体にたわみやひけを生じさせない方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
更に、熱可塑性樹脂と木粉とからなる樹脂組成物からなる、中空部を有する押出成形体からなる基材と表面層とから形成され、線膨張率が低く、剛性に優れ、吸湿性、耐候性、外観性に優れた押出成形体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−351105号公報
特開2002−338699号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は成形装置が複雑となり高コストとなることが避けられず、また、押出速度よりも遅い速度で成形体を引き取る方法もその調整が困難である。
また、特許文献2に記載の押出成形体は、表面層及び基材を構成する樹脂は、それぞれ相溶性を有する樹脂を選ぶ必要があり、従って、樹脂の選択の自由度が制限される。また、主として基材により装飾性を得ようとするため、基材の色や木粉、無機、有機の粉末、染料、顔料等においても選択の自由度が制限されざるを得ない。
例えば、基材に含有される粉末等が少し粒径が大きくなると、表面層に凹凸となって現れたり、ピンホールとなって外観や美観を損なうという問題がある。更に、表面層に凹凸が現れたり、ピンホールが発生すると、外観を著しく損なうばかりでなく、ピンホールにより水分が透過したり貯留されるため、浴室や台所等の水回りの材料として不適当となる。
本発明はかかる実情に鑑み、上記の如き従来技術の問題を解消し、成形性、生産性が良好で、耐衝撃性等の機械的物性に優れ、外観の良好な成形体を与える木質系樹脂組成物及び該組成物からなる、機械的物性に優れ、外観が良好で、木質感に富んだ成形体を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決せんとして鋭意研究の結果、セルロース系材料として、粉状セルロース系材料と繊維状セルロース系材料を併用するとともに、特定の相溶化剤を配合してなる樹脂組成物が、ひけやたわみを伴うことなく、高い押出速度で成形でき、機械的物性に優れ、外観が良好で、木質感に富む成形体を提供できることを見い出し本発明に到達した。
即ち、本発明の請求項1は、熱可塑性樹脂(A)20〜50重量部と、平均粒径300μm以下の粉状セルロース系材料(B1)と、平均粒径50〜300μmでアスペクト比が10〜60の繊維状セルロース系材料(B2)とからなるセルロース系材料(B)80〜50重量部と、(A)と(B)の合計100重量部に対して、MS−301P、スチレン系エラストマー、低分子酸化型ポリエチレンワックスから選ばれる添加剤(C)1〜5重量部とからなることを特徴とする木質系樹脂組成物を内容とする。
本発明の請求項2は、熱可塑性樹脂(A)がポリオレフィン系樹脂である請求項1記載の木質系樹脂組成物を内容とする。
本発明の請求項3は、熱可塑性樹脂(A)がABS系樹脂である請求項1記載の木質系樹脂組成物を内容とする。
本発明の請求項4は、セルロース系材料(B)の平均粒径300μm以下の粉状セルロース系材料(B1)と、平均粒径50〜300μmでアスペクト比10〜60の繊維状セルロース系材料(B2)との割合が20〜85対80〜15である請求項1〜3のいずれか1項に記載の木質系樹脂組成物を内容とする。
本発明の請求項5は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の木質系樹脂組成物からなることを特徴とする木質系樹脂成形体を内容とする。
本発明の請求項6は、請求項5の木質系樹脂成形体からなる基材層(X)と、熱可塑性樹脂からなり装飾性を有する中間層(Y)と、透明熱可塑性樹脂からなる表面層(Z)とからなることを特徴とする木質系樹脂成形体を内容とする。
本発明の請求項7は、中間層(Y)が、基材層(X)と表面層(Z)との接着性を高める熱可塑性樹脂からなる請求項6記載の木質系樹脂成形体を内容とする。
本発明の請求項8は、基材層(X)と中間層(Y)と表面層(Z)とが共押出成形で形成されている請求項6又は7記載の木質系樹脂成形体を内容とする。
本発明の請求項9は、基材層(X)と中間層(Y)が共押出成形で形成され、表面層(Z)が貼着されている請求項6又は7記載の木質系樹脂成形体を内容とする。
本発明の木質系樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に粉状セルロース系材料と繊維状セルロース系材料の2種のセルロース系材料及び特定の相溶化剤を配合することにより、成形速度(線速)を上げ生産性を高めることができるとともに、耐衝撃性等機械的特性に優れ、木質感に富む木質系樹脂成形体を提供することができる。
また、上記木質系樹脂組成物からなる成形体を基材層(X)とし、この上に装飾性を有する中間層(Y)、更にその上に透明な熱可塑性樹脂からなる表面層(Z)を積層することにより、中間層(Y)の装飾性と、基材層(X)及び/又は表面層(Z)の装飾性とが重合して相互に作用し合い、深みのある、興趣性に富む装飾性を有し、且つ強度等機械的特性に優れた積層成形体を提供することができる。
更に、中間層(Y)として、基材層(X)と表面層(Z)の接着性を高める樹脂を採用することにより、基材層(X)、表面層(Z)として、それぞれ接着性を有しない樹脂を採用することができるので、基材層(X)、表面層(Z)の各樹脂の選択自由性が大巾に高められる。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
これらの中で、成形性、強靱性等の点から、特にポリオレフィン系樹脂及びABS系樹脂が好ましい。成形性の点から、ポリオレフィン系樹脂はMIが20〜50g/10分、ABS系樹脂はMIが20〜60g/10分のものが特に好適である。
本発明に用いられるセルロース系材料(B)としては、粉状セルロース系材料(B1)と繊維状セルロース系材料とが併用される。
粉状セルロース系材料(B1)としては、平均粒径300μm以下のもので、針葉樹、広葉樹等の木材の粉末が挙げられる。平均粒径が300μmを越えると成形性が低下する。平均粒径の下限は特に制限されないが、取扱性の点から50μm程度が好ましい。
粉状セルロース系材料(B1)としては、平均粒径300μm以下のもので、針葉樹、広葉樹等の木材の粉末が挙げられる。平均粒径が300μmを越えると成形性が低下する。平均粒径の下限は特に制限されないが、取扱性の点から50μm程度が好ましい。
繊維状セルロース系材料(B2)としては、平均粒径50〜300μmでアスペクト比が10〜60のものが用いられ、例えばケナフ、ジュート、麻等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。平均粒径が50μm未満では取扱性が悪くなり、一方、300μmを越えると表面平滑性に劣る。また、アスペクト比が上記範囲外では、耐衝撃性、寸法安定性等機械的物性が低下する。
尚、本発明の樹脂組成物は成形性が良好であるため、パーチクルボード、合板、MD下等のサンダー屑等も使用できる。
尚、本発明の樹脂組成物は成形性が良好であるため、パーチクルボード、合板、MD下等のサンダー屑等も使用できる。
粉状セルロース系材料(B1)と繊維状セルロース系材料(B2)との併用割合は、重量比で前者(B1)が20〜85に対して後者(B2)が80〜15の範囲が好ましい。前者(B1)が20より少ないと成形性が低下する傾向があり、一方、85より多いと耐衝撃性、寸法安定性等の機械的物性が低下する傾向がある。
本発明に用いられる添加剤(C)としては、例えば、日本油脂製のファルパックMS−301P、及びJSR製のダイナロン8600P、旭化成製のタフテックスH1913等のスチレン系エラストマー、アライド・シグナル社製の低分子酸化型ポリエチレンワックス AC629A等が好適で、これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。これらの添加剤(C)は、相溶化剤又は分散剤として機能しているものと考えられる。
本発明の木質系樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)が20〜50重量部、セルロース系樹脂(B)が80〜50重量部、添加剤(C)が(A)と(B)の合計100重量部に対して1〜5重量部からなる。セルロース系材料(B)が50重量部未満では木質感が不十分となるばかりでなく、耐衝撃性、寸法安定性等機械的物性が低下し、一方、80重量部を越えると成形性が悪くなるとともに、強度及び外観が低下する。
また、添加剤(C)が1重量部未満では相溶性又は分散性を付与する効果、即ち、熱可塑性樹脂(A)とセルロース系材料(B)との密着性を高める効果が不十分となり、樹脂組成物粘度が低過ぎ押出速度が低下し、一方、5重量部を越えると樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎ成形が困難となり、また樹脂組成物のコストが高くなる。
本発明の木質系樹脂組成物には、この種の組成物に通常配合される他の配合剤、例えば、可塑剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属石鹸、ワックス、脂肪酸アミド等の滑剤、改質用樹脂等の少なくても1種を配合することができる。また、発泡剤を加えて成形体の軽量化を図ることも可能である。
本発明の木質系樹脂組成物は、上記配合成分を、通常、スーパーミキサー等で混合溶融し、クーリングミキサーで粉状、塊状にした後、直接押出機により押し出される。
本発明の木質系樹脂組成物は、上記配合成分を、通常、スーパーミキサー等で混合溶融し、クーリングミキサーで粉状、塊状にした後、直接押出機により押し出される。
本発明の木質系樹脂組成物は、通常、押出成形等により板状等の成形体とされ、内外装材、手摺、床材等の建材、サニタリー、家具、自動車、車両等の内外装部品等の材料として有用である。
本発明の木質系樹脂組成物を押出成形等により得られた成形体は、それ自体で建材等として有用であるが、この成形体を基材層(X)とし、その上に熱可塑性樹脂からなる装飾性を有する中間層(Y)、及び、更にその上に、透明熱可塑性樹脂からなる表面層(Z)を設けることにより、更に装飾性に優れるとともに、耐衝撃性等の機械的物性に優れた積層成形体を得ることができる。
積層成形体における基材層(X)の厚さは特に制限されないが、2〜30mm程度が好ましい。
装飾性を有する中間層(Y)を構成する熱可塑性合成樹脂としては、基材層(X)や表面層(Z)との接着性を高める樹脂が用いられる。このような樹脂としては、基材層(X)に用いられる上記した熱可塑性樹脂の他、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン(SEPS)、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、特にポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン(SEBS)が好ましい。
このようなスチレン系熱可塑性エラストマーを用いると、相溶性のない樹脂との多層成形が可能となり、例えば、該エラストマーからなる中間層(Y)を介して、PPからなる基材層(X)とポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(ASA)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(AES)等からなる表面層(Z)との積層が可能となる。
中間層(Y)の装飾性は、無機、有機の粉末、金属粉末、染料、顔料等の着色料、木粉、熱硬化性樹脂粉末、有機、無機の繊維等を含有させることによりなされる。
具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス球、ガラスフレーク、シラスバルーン、グラファイト等の無機粉末、アルミナ、銅等の金属粉末、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等)などの難溶融性合成樹脂粉末、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられ、これらの種類や形状を組み合わせることにより、御影石や大理石調等様々な模様が発現され、装飾性を発現させることができる。
具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス球、ガラスフレーク、シラスバルーン、グラファイト等の無機粉末、アルミナ、銅等の金属粉末、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等)などの難溶融性合成樹脂粉末、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられ、これらの種類や形状を組み合わせることにより、御影石や大理石調等様々な模様が発現され、装飾性を発現させることができる。
尚、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等の樹脂との密着性を高めるために、これらの表面をカップリング剤で処理することもできる。また、例えばガラス繊維を用いる場合、直径1〜20μm、長さ0.01〜5.0mm程度のものが好ましい。繊維長が長過ぎると押出成形性が悪くなり、一方、短か過ぎると強度の程度が不十分となる。
これらの粉末の粒径は、通常、0.05〜2.0mm、好ましくは0.15〜1.5mm程度のものが好ましい。0.05mm未満では装飾性に乏しく、一方、1.5mmを越えると表面層(Z)に粉末凹凸が現れ外観を損なう場合がある。
中間層(B)の厚さは、通常、0.2〜1.5mm程度、好ましくは0.3〜1.0mm程度である。0.2mm未満では装飾性に乏しく、一方、1.5mmを越えると、基材層(X)や表面層(Z)の装飾性と重合させ、深みのある、興趣に富んだものが得られにくい。
本発明の表面層(Z)に用いられる透明合成樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合(AS)樹脂、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体(ASA)樹脂、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(AES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂等が挙げられるが、成形品の光沢、透明性、強度、耐候性、耐水性、耐薬品性、取り扱いの容易さなどから、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、ASA、AES等のアクリル系樹脂が好ましい。これらは単独で又は必要に応じ2種以上組み合わせて用いられる。
表面層(Z)の厚さは、通常、0.05〜3.0mm、好ましくは0.2〜2.0mmである。0.05mm未満では光沢、透明性、強度、耐候性、耐水性、耐薬品性等の表面層(Z)の効果が十分に発揮されず、一方、3.0mmを越えても効果は変わらず、却って不経済となる。
本発明の中間層(Y)、表面層(Z)は、用いる樹脂に通常添加される添加剤、例えば滑剤、軟化剤、無機充填剤、着色剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、抗菌剤、防カビ剤等を適宜加えることができる。
上記の如き、基材層(X)、中間層(Y)及び表面層(Z)は、それぞれの樹脂組成物を予め押出機にてペレット化した後、3層共押出機により3層成形体とされる。溶融押し出された成形体は、必要に応じ、フォーミングダイと噛み合わせて成形体の寸法精度を向上させることができる。また、基材層(X)と中間層(Y)とを共押出成形して2層成形体とし、中間層(Y)の表面に表面層(Z)を貼着することもできる。
本発明の積層成形体は、中間層(Y)の装飾性と基材層(X)の装飾性とが重なり合って相互に作用し合うことにより、深み及び興趣性に富み、内外装材等の建材、サニタリー、家具、自動車、車両等の内外装材等の材料として広汎な分野において有用である。勿論、表面層(Z)も装飾性を有する場合は、中間層(Y)の装飾性、基材層(X)の装飾性とが重合して一層深みのある興趣に富む成形体が得られる。
以下、本発明を実施例、比較例に基づいて更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。尚、以下の記載において、「部」は「重量部」を表す。
表1に示した配合割合の木質系樹脂組成物からなるペレットを用いて、下記の押出成形条件により幅木(厚み7mm、幅70mm)を押出成形した。
押出成形条件
押出機 :63mm2軸押出機
成形温度:C1 180〜220℃、 C2 180〜210℃、
C3 180〜210℃、 C4 180〜210℃、
D1〜3 170〜200℃、 D4 30〜70℃
押出成形条件
押出機 :63mm2軸押出機
成形温度:C1 180〜220℃、 C2 180〜210℃、
C3 180〜210℃、 C4 180〜210℃、
D1〜3 170〜200℃、 D4 30〜70℃
得られた木質系樹脂成形体の外観特性、衝撃値及び成形時の線速、成形性を表1に示す。尚、外観特性、成形性は下記の基準により評価した。
(外観特性)
○:表面に凹凸がなく平滑である。
×:表面に凹凸があり平滑でない。
(成形性)
○:溶融物が金型によりスムーズに出る。
×:溶融物が金型によりスムーズに出ない。
(外観特性)
○:表面に凹凸がなく平滑である。
×:表面に凹凸があり平滑でない。
(成形性)
○:溶融物が金型によりスムーズに出る。
×:溶融物が金型によりスムーズに出ない。
表1に示す如く変更した他は実施例1と同様にして押出成形し、特性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示す如く変更した他は実施例1と同様にして押出成形し、特性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示す如く変更した他は実施例1と同様にして押出成形し、特性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示す如く変更した他は実施例1と同様にして押出成形し、特性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示す如く変更した他は実施例1と同様にして押出成形し、特性を評価した。結果を表1に示す。
(1)出光化学製(MI 40g/10分)
(2)平均粒径300μm以下の木粉
(3)アスペクト比40の木粉
(4)日本油脂製ファルパックMS−301P
(5)三洋化成製無水マレイン酸変性PP
(6)ステアリン酸マグネシウム
(2)平均粒径300μm以下の木粉
(3)アスペクト比40の木粉
(4)日本油脂製ファルパックMS−301P
(5)三洋化成製無水マレイン酸変性PP
(6)ステアリン酸マグネシウム
表1から明かなように、粉状セルロース系材料と繊維状セルロース系材料の2種のセルロース系材料及び特定の添加剤を配合してなる本発明の木質系樹脂組成物は、線速が大きく、即ち、生産性が高く、また成形性も良好で、外観特性も衝撃特性も良好である。
下記の如く、基材層(X)、中間層(Y)及び表面層(Z)の各樹脂組成物を3層共押出機により同時に押出し、基材層(X)2mm、中間層(Y)0.3mm、表面層(Z)0.3mmの3層からなる木質系積層成形体を製造した。
(樹脂組成物)
基材層(X):実施例1の樹脂組成物
中間層(Y):SEBS ダイナロン8600P(JSR製)
表面層(Z):ASA XB−149(三菱レイヨン製)100部
木目調着色剤 AWS−2(三菱レイヨン製)5部
基材層(X):実施例1の樹脂組成物
中間層(Y):SEBS ダイナロン8600P(JSR製)
表面層(Z):ASA XB−149(三菱レイヨン製)100部
木目調着色剤 AWS−2(三菱レイヨン製)5部
得られた3層積層成形体は、PPからなる基材層(X)とASAからなる表面層(Z)が、スチレン系エラストマー(SEBS)からなる中間層(Y)によって良く接着し、また表面層(Z)の装飾性と基材層(X)の装飾性が重合して深みのある興趣に富んだ装飾性を有する成形体が得られた。
基材層(X)として実施例2の樹脂組成物を用いた他は実施例4と同様にして木質系積層成形体を製造した。実施例4の場合と同様の装飾性を有する成形体が得られた。
基材層(X)として実施例3の樹脂組成物を用いた他は実施例4と同様にして木質系積層成形体を製造した。実施例4の場合と同様の装飾性を有する成形体が得られた。
表2に示した配合割合の木質系樹脂組成物からなるペレットを用いて、下記の押出成形条件により幅木(厚み7mm、幅70mm)を押出成形した。
押出成形条件
押出機 :63mm2軸押出機
成形温度:C1 180〜220℃、 C2 180〜210℃、
C3 180〜210℃、 C4 180〜210℃、
D1〜3 170〜200℃、 D4 20〜80℃
押出成形条件
押出機 :63mm2軸押出機
成形温度:C1 180〜220℃、 C2 180〜210℃、
C3 180〜210℃、 C4 180〜210℃、
D1〜3 170〜200℃、 D4 20〜80℃
得られた木質系樹脂成形体の外観特性、衝撃値及び成形時の線速、成形性を実施例1〜3と同様に評価した。結果を表2に示す。
(1)テクノポリマー製(MI 40g/10分)
(2)平均粒径300μm以下の木粉
(3)アスペクト比40の木粉
(4)旭化成製クフテックスH1913
(5)アライド・シグナル社製 低分子酸化型ポリエチレンワックス AC629A
(6)ステアリン酸マグネシウム
(2)平均粒径300μm以下の木粉
(3)アスペクト比40の木粉
(4)旭化成製クフテックスH1913
(5)アライド・シグナル社製 低分子酸化型ポリエチレンワックス AC629A
(6)ステアリン酸マグネシウム
表2に示す如く変更した他は実施例7と同様にして押出成形し、特性を評価した。結果を表2に示す。
表2に示す如く変更した他は実施例7と同様にして押出成形し、特性を評価した。結果を表2に示す。
表2に示す如く変更した他は実施例7と同様にして押出成形し、特性を評価した。結果を表2に示す。
表2に示す如く変更した他は実施例7と同様にして押出成形し、特性を評価した。結果を表2に示す。
表2から明かなように、粉状セルロース系材料と繊維状セルロース系材料の2種のセルロース系材料及び特定の相溶化剤を配合してなる本発明の木質系樹脂組成物は、線速が大きく、即ち、生産性が高く、また成形性も良好で、外観特性も衝撃特性も良好である。
下記の如く、基材層(X)、中間層(Y)及び表面層(Z)の各樹脂組成物を3層共押出機により同時に押出し、基材層(X)2mm、中間層(Y)0.3mm、表面層(Z)0.3mmの3層からなる木質系積層成形体を製造した。
(樹脂組成物)
基材層(X):実施例7の樹脂組成物
中間層(Y):ABS SXH−209(A&L製)100部
木目着色料 WX01MB LD0190(日本ピグメント製)5部
表面層(Z):PMMA HT−51YR−5(住友化学製)100部
基材層(X):実施例7の樹脂組成物
中間層(Y):ABS SXH−209(A&L製)100部
木目着色料 WX01MB LD0190(日本ピグメント製)5部
表面層(Z):PMMA HT−51YR−5(住友化学製)100部
得られた3層積層成形体は、ABSからなる基材層(X)とPMMAからなる表面層(Z)が、ABSからなる中間層(Y)によって良く接着し、また中間層(Y)の装飾性と基材層(X)の装飾性が重合して深みのある興趣に富んだ装飾性を有する成形体が得られた。
基材層(X)として実施例8の樹脂組成物を用いた他は実施例10と同様にして木質系積層成形体を製造した。実施例10の場合と同様の装飾性を有する成形体が得られた。
基材層(X)として実施例9の樹脂組成物を用いた他は実施例10と同様にして木質系積層成形体を製造した。実施例10の場合と同様の装飾性を有する成形体が得られた。
基材層(X)として、実施例1の組成物を用い、中間層(Y)として、SEBSダイナロン8600P(JSR製)を用い、共押出成形機により同時に押出し、2層積層成形体を得た。
次いで、表面層(Z)として、オレフィンシート(トラビストバーチ、大日本印刷製)の裏面にウレタン系接着剤を塗布して圧着温度120〜150℃で中間層(Y)の表面に貼り合わせた。コロナ放電処理等の接着性を高める処理を施さなくても十分に接着した3層積層成形体が得られた。
次いで、表面層(Z)として、オレフィンシート(トラビストバーチ、大日本印刷製)の裏面にウレタン系接着剤を塗布して圧着温度120〜150℃で中間層(Y)の表面に貼り合わせた。コロナ放電処理等の接着性を高める処理を施さなくても十分に接着した3層積層成形体が得られた。
叙上のとおり、本発明の木質系樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に粉状セルロース系材料と繊維状セルロース系材料の2種のセルロース系材料及び特定の相溶化剤を配合することにより、成形速度(線速)を上げ生産性を高めることができるとともに、耐衝撃性等機械的特性に優れ、木質感に富む木質系樹脂成形体を提供することができる。
また、上記木質系樹脂組成物からなる成形体を基材層(X)とし、この上に装飾性を有する中間層(Y)、更にその上に透明な熱可塑性樹脂からなる表面層(Z)を積層することにより、中間層(Y)の装飾性と、基材層(X)及び/又は表面層(Z)の装飾性とが重合して相互に作用し合い、深みのある、興趣性に富む装飾性を有し、且つ強度等機械的特性に優れた積層成形体を提供することができる。
更に、中間層(Y)として、基材層(X)と表面層(Z)の接着性を高める樹脂を採用することにより、基材層(X)、表面層(Z)として、それぞれ接着性を有しない樹脂を採用することができるので、基材層(X)、表面層(Z)の各樹脂の選択自由性が大巾に高められる。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂(A)20〜50重量部と、平均粒径300μm以下の粉状セルロース系材料(B1)と、平均粒径50〜300μmでアスペクト比が10〜60の繊維状セルロース系材料(B2)とからなるセルロース系材料(B)80〜50重量部と、(A)と(B)の合計100重量部に対して、MS−301P、スチレン系エラストマー、低分子酸化型ポリエチレンワックスから選ばれる添加剤(C)1〜5重量部とからなることを特徴とする木質系樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(A)がポリオレフィン系樹脂である請求項1記載の木質系樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(A)がABS系樹脂である請求項1記載の木質系樹脂組成物。
- セルロース系材料(B)の平均粒径300μm以下の粉状セルロース系材料(B1)と、平均粒径50〜300μmでアスペクト比10〜60の繊維状セルロース系材料(B2)との割合が20〜85対80〜15である請求項1〜3のいずれか1項に記載の木質系樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の木質系樹脂組成物からなることを特徴とする木質系樹脂成形体。
- 請求項5の木質系樹脂成形体からなる基材層(X)と、熱可塑性樹脂からなり装飾性を有する中間層(Y)と、透明熱可塑性樹脂からなる表面層(Z)とからなることを特徴とする木質系樹脂成形体。
- 中間層(Y)が、基材層(X)と表面層(Z)との接着性を高める熱可塑性樹脂からなる請求項6記載の木質系樹脂成形体。
- 基材層(X)と中間層(Y)と表面層(Z)とが共押出成形で形成されている請求項6又は7記載の木質系樹脂成形体。
- 基材層(X)と中間層(Y)が共押出成形で形成され、表面層(Z)が貼着されている請求項6又は7記載の木質系樹脂成形体。
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