JP2005035147A - 熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム及びこれからなるエンボスラミネート体 - Google Patents
熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム及びこれからなるエンボスラミネート体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005035147A JP2005035147A JP2003199465A JP2003199465A JP2005035147A JP 2005035147 A JP2005035147 A JP 2005035147A JP 2003199465 A JP2003199465 A JP 2003199465A JP 2003199465 A JP2003199465 A JP 2003199465A JP 2005035147 A JP2005035147 A JP 2005035147A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- film
- polyolefin film
- ethylene
- biaxially oriented
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
【課題】エンボス加工を施そうとすると、その優れた耐久性が災いしてエンボスパターンが安定しなかったり、表面光沢が強すぎて、エンボスパターンの意匠性を損なうといった問題点があった。
【解決手段】表面粗さ0.1〜2μmの表面粗さを有する2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)とが積層されてなり、(I)層の厚みが5〜13μm、(II)層の厚みが4〜15μmであり、かつ(II)層を構成するエチレン系ポリマーの融点が60〜100℃であることを特徴とする熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムとする。
【選択図】図1
【解決手段】表面粗さ0.1〜2μmの表面粗さを有する2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)とが積層されてなり、(I)層の厚みが5〜13μm、(II)層の厚みが4〜15μmであり、かつ(II)層を構成するエチレン系ポリマーの融点が60〜100℃であることを特徴とする熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムとする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷等を施されたシート状物に張り合わせる際に、安定した加工性を有する熱圧着プリントラミネート用ポリオレフィンフィルムとこれからなるエンボスラミネート体に関するものであり、詳しくは壁紙や化粧板等の表基材等として好ましく使用される材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷を施した紙等の印刷物の表面を保護したり、耐水・耐油性の付与、美麗化の目的で印刷物等をフィルムでラミネートする手法が実用化されているが、この用途に使用されるフィルムを一般にラミネート用フィルム、並びに当該フィルムと印刷物とを貼り合わせた積層体をラミネート体(あるいは紙、シート)と称している。
【0003】
ラミネート体を得る方法としては、接着剤を用いて貼りあわせる、いわゆる溶剤貼りと熱接着性樹脂層を用いて貼り合わせる熱ラミネートとがあるが、近年環境問題への配慮から熱プリントラミネート方式が増加しつつある。
【0004】
こうしたフィルムとしては、ポリプロピレンフィルム上にエチレン酢酸ビニル共重合体、あるいはメタロセン系ポリエチレンを熱接着樹脂層として形成したものが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。このような材料の場合、通常はベース基材として耐久性、厚み均一性に優れる2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いることが多い。また、張り合わせの際には単なるフラットな熱ロールを用いるのみでなく、エンボスロール等を用いて表面に凹凸をつけ、意匠性を向上するといった使用方法も拡大しつつある。
【0005】
【特許文献1】
特許第2882406号公報([0002]〜[0007]段落)
【0006】
【特許文献2】
特許第2983814号公報([0002]〜[0013]段落)
【0007】
【特許文献3】
特許第3098731号公報([0002]〜[0013]段落)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常の2軸配向ポリプロピレンフィルムをベース基材として用いた場合、エンボス加工を施そうとすると、その優れた耐久性が災いしてエンボスパターンが安定しなかったり、表面光沢が強すぎて、エンボスパターンの意匠性を損なうといった問題点があった。
【0009】
そこで、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの耐久性を活かしながら、エンボス性に優れたラミネート材料の開発が求められている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンボスパターンの転写安定性と意匠性の改善検討を重ねた結果、以下の構成を提案するものである。
【0011】
すなわち、本発明は
(1)表面粗さ0.1〜2μmの表面粗さを有する2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)とが積層されてなり、(I)層の厚みが5〜13μm、(II)層の厚みが4〜15μmであり、かつ(II)層を構成するエチレン系ポリマーの融点が60〜100℃であることを特徴とする熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム。
【0012】
(2)2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)との間に、さらにプロピレン系共重合体樹脂層(III)を有し、かつ(III)層を構成するプロピレン系共重合体樹脂の融点が120〜145℃であることを特徴とする(1)に記載の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム。
【0013】
(3)(1)〜(2)のいずれかに記載の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムの(II)層表面と、熱可塑性樹脂シート、布帛、紙から選ばれた少なくともいずれか一種のシート状物とが貼り合わされてなり、かつ(I)層表面から測定される最大深さ5〜1000μmのエンボスパターンを有するエンボスラミネート体。
の構成からなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムは、2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)とからなることを特徴とする。
【0015】
(I)層は耐久性が良好となるために、2軸配向されたポリプロピレン層を基層とする必要がある。この時、2軸配向フィルムの製造方法としては、逐次テンター法、同時テンター法、チューブラー法等が例示されるが、同時または逐次テンター法で製造されるものが厚み斑等が少なく、エンボス性が良好となるので好ましい。
【0016】
(I)層を構成する2軸配向ポリプロピレン樹脂としては、、テトラリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gのものが好ましく、さらにこのましくは、[η]が1.4〜2.3dl/gである。また、該樹脂層を構成するモノマーとしてはプロピレン以外の成分として、エチレン、もしくは、ブテン、ペンテン、ヘキセン等のα−オレフィンを少量(3モル%以下)含有することが可能である。
【0017】
当該(I)層には2軸配向ポリプロピレン樹脂の安定性を向上するための酸化防止剤等の安定剤、塩素捕獲剤、取り扱い性を向上するための帯電防止剤、スリップ剤等を含有することができる。安定剤としては、ヒンダードフエノール系、ヒンダードアミン系、フォスファイト系化合物、あるいはトコフェロール類、ラクトン類が例示される。更に塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等が例示される。また、耐電防止剤としては、アルキルジメチルベタイン、アルキルアミンジエタノール及び/又はアルキルアミンエタノールエステル及び/又はアルキルアミンジエタノールジエステル、スリップ剤としては有機系としてはステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド等、無機系としては酸化珪素粒子、酸化アルミニウム粒子等、更にシリコーン粒子、ポリメチルメタアクリレート等の有機粒子等も使用可能である。
【0018】
この中で帯電防止剤はエンボスラミネート体の帯電防止性能を付与する観点から添加することが好ましいが、窒素酸化物等による酸化防止剤の変色を抑える観点から、2軸配向ポリプロピレン層(I)が占める重量に対し、0.05〜0.2重量%としておくことが好ましい。
【0019】
次に(I)層厚みは5〜13μmであることが必要であり、好ましくは、7〜12μmである。厚みが薄すぎるとエンボス加工時の破れ等が増大する。一方厚すぎると弾性回復しやすくなり、十分なエンボス深さが得られないという問題を生じる。
【0020】
(I)層の表面粗さは0.1〜2μmであることが必要であり、好ましくは、0.2〜1μmである。表面粗さが0.1μmを下回ると光沢感が強くなり、施したエンボス加工の見栄えが悪くなる。また、2μmを越えるとエンボス時に裂けやすくなり加工適性が低下する。同様なエンボスの見栄えからの光学特性値としては該フィルム表面のグロス値は1〜50%であることが好ましく、更に好ましくは3〜40%である。この様な表面形状を付与するためには、サンドマット処理が有効であるが、更に好ましくは、(I)層を製造時にエチレンプロピレンブロック共重合体に代表されるプロピレン系ブロック共重合体を積層する方法やプロピレン系ポリマーと非相溶な樹脂とをブレンドした樹脂層を積層する方法等が例示される。特に好ましくはエチレンプロピレン系共重合体を積層する方法が面の形状が安定し、かつコスト面で優れているので好ましい。このような共重合体の中でも、特に好ましい樹脂としては、少なくとも2つの融解ピークを有し、一方のピークが110〜135℃の範囲でかつもう一方のピークが140〜165℃の範囲にあることが好ましい。
【0021】
また、(I)層の表面濡れ張力は28〜38mN/mとしておくと、飲食物からの飛沫の付着あるいは煙草の煙等の汚染等が起こりにくく好ましい。この観点から、(I)層表面はポリオレフィン樹脂を基本として、極性基を有する樹脂は含有しないことが好ましく、更に好ましく、少量のフッ素系樹脂あるいは低分子量物を添加することができる。もちろん、表面にコロナ放電処理等の表面処理は極力しないことが好ましい。
【0022】
次に熱接着層として機能するエチレン系ポリマー層(II)の厚みは、4〜15μmであることが必要であり、6〜12μmであることが好ましい。(II)層の厚みが4μmを下回ると基材との接着性が低下する。一方、15μmを越えるとフィルムの滑りが悪化して加工適性が悪化する。
【0023】
また、該層の融点は、60〜100℃であること必要であり、更に70〜90℃であることが好ましい。融点が低すぎるとラミネート加工時のハンドリング性が悪化する。また融点が高すぎると基材との接着性が低下する。また、該樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は10〜100g/10分、更に好ましくは15〜70g/10分であると接着性とエンボス性が両立するので好ましい。
このようなエチレン系ポリマーとしてはエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合、直鎖状低密度ポリエチレン等が例示される。
【0024】
更に2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)との間には両層の接着性を良好とするため、バインディング層を設けることが好ましく、こうした層としてはアンカーコート剤等を用いることができる。また、2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)との間には、プロピレン系共重合体樹脂層(III)を介して接合されることが好ましく、(II)層の厚みは0.1〜4μmであることが、接着性とエンボス性を両立するために好ましい。より好ましくは0.5〜3μm、更に好ましくは0.8〜2μmである。
【0025】
該(III)層に用いられる低融点ポリプロピレン樹脂は、具体的にはプロピレンを主体とし、エチレン、もしくは、ブテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンから選ばれたコモノマーを共重合した樹脂が好ましく、特に好ましくは、エチレン及び/またはブテンであることが好ましい。更に接着を強固とする観点から、融点は120〜145℃であることが好ましく、特に好ましくは125〜140℃である。更に、当該低融点ポリプロピレン樹脂には無水マレイン酸等を付加重合させておくことも可能である。こうすると更に熱接着層との接着力が向上するので好ましい。
【0026】
更に当該(III)層には加工性を向上する目的で、無機あるいは有機の粒子を含有することが可能であり、シリコーン粒子、酸化珪素粒子、酸化アルミニウム粒子等が例示される。含有量としては、該(III)層が占める重量に対し、6000ppm以下、更に好ましくは5000ppm以下である。
【0027】
以上の様な特性を有する本発明熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムは、熱接着樹脂層としてエチレン系ポリマー層(II)を有しているため、(II)層を介して熱可塑性樹脂シート、布帛、紙等のシート状物との良好な接着性を有する。二軸配向ポリプロピレン層とエチレン系ポリマー層の層構成と二軸配向ポリプロピレン層の表面粗さが、エンボスパターンを効果的に発現させる設計となっているが、特にエンボス時の絞り深さを(I)表面から測定される最大深さ5〜1000μmであることが好ましく、更に好ましくは、50〜700μmである。エンボス深さがこの範囲であると基層二軸配向ポリプロピレンフィルムの機械特性を損なうことなくエンボスパターンも美麗に見えるので好ましく、光沢感をコントロールすることができる。
【0028】
以下に本発明の熱圧着プリントラミネート用フィルムの製造方法について述べるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0029】
ポリプロピレン樹脂Aを押出機(1)に、表面を形成するエチレン・プロピレンブロック共重合体Bを押出機(2)に、バインデイング層として機能するプロピレン系共重合体樹脂Cを押出機(3)にそれぞれ供給して、3つの溶融ポリマーを口金内で積層し、樹脂B/A/Cからなる3層のシート状に押出す。ついで該溶融シートを20〜60℃に保たれたキャステイングドラム上で冷却固化し、未延伸シートを得る。該シートを120℃〜160℃に予熱後、3〜6倍に長手方向に延伸冷却し一軸延伸フィルムとし、引き続いてフィルム両端を把持して、140〜180℃に加熱されたオーブン中に導き、幅方向に6〜12倍に延伸し、さらに140〜165℃で数%のリラックスをさせながら熱処理した後、フィルム両端をトリミングした上でロール状に巻き取る。この様にして得られる2軸配向ポリプロピレンフィルムは、バインデイング層(III)を自ら有するフィルムとして製造される。
【0030】
次に(II)層として、エチレン酢酸ビニル共重合体を用意して、前記フィルムの低融点樹脂層(III)層に(II)層が接するように冷却ドラム上で貼り合わせ冷却され両端をトリミングされながらロール状に巻き取られる。この際に両エチレン系ポリマー層は冷却ドラムで直接冷却されると共にドラム上予め形成したエンボスパターンあるいはサンドブラストパターンを転写させ、後工程のハンドリングを向上させることができるので好ましい。
【0031】
このようにして得られたプリントラミネート用フィルムは印刷紙等と80〜130℃に加熱された金属ロール(エンボスロール)とゴムロール間で熱圧着することでプリントラミネート体を得ることができる。この際のラミ圧力は5〜100kg/cmであることが好ましい。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。但し、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0033】
実施例における測定方法・評価方法は、以下の通りである。
【0034】
(1)融点
走査型差動熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下で10mgの試料を10℃/分の速度で昇温させたときに得られる結晶の融解にともなう吸熱カーブのピーク温度を融点(℃)とする。但し、いくつかの融解ピークを有する場合は、それぞれのピークから算出される融解エネルギーに基づいた加重平均値を融点とみなす。例えば2つの融解ピークが観測された場合、第1のピーク温度がT1(℃),融解エネルギーがU1(cal/g)、第2のピーク温度がT2、融解エネルギーがU2とすると、該融点Tは、
T=(T1×U1+T2×U2)/(U1+U2)である。
【0035】
(2)極限粘度[η]
ASTM D 1601に従って、テトラリン中で測定する(dl/g)。
【0036】
(3)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K 7210の条件に従って測定する。
【0037】
(4)表面粗さ
次の条件で測定される中心線平均粗さ(Ra)をもって表面粗さとした。
【0038】
JIS B−0601(1982)により、株式会社小坂研究所製「非接触三次元微細形状測定器(ET−30HK)」及び「三次元粗さ分析装置(MODEL SPA−11)」を用いて測定した。測定数は3とし、その平均値を用いた。
【0039】
詳細条件は次の通り。
【0040】
測定面処理:測定面にアルミニウムを真空蒸着し、非接触法とした。
【0041】
測定長:1mm
横倍率:200倍
縦倍率:5000倍
カットオフ:0.25mm
幅方向送り速度:0.1mm/秒
長さ方向送りピッチ:10μm
長さ方向送り数:20回
測定方向:フィルムの幅方向。
【0042】
(5)濡れ張力
ホルムアミドとエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合液によるJIS K 676に規定された測定方法に基づいて測定する。
【0043】
(6)ラミネート特性
得られた熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムを幅300mmのロール状に巻き取り、印刷紙面と加熱されたエンボスロール(200mmφ、絹目パターン、エンボス深さ 500μm)で線圧60kg/cm、25m/分の速度で熱圧着ラミネートする。
イ:ラミネート強度
この際のフィルムと印刷紙面との層間接着力を引っ張り試験機にて200mm/分の速度で評価した結果をg/15mmで表す(雰囲気温度は25℃)。
ロ:エンボス率
エンボスロールのエンボス深さD1(500μm)に対して、ラミネート体に形成された絞り深さD2を測定して、以下の式でエンボス率を評価した。
エンボス率=D2/D1×100(%)。
ハ:外観
出来上がりのエンボスラミネート体をフイルム面から観測して、出来映えを評価した。5名の官能評価により、良好を5、普通を3、不良を1の評点として、得られた評点を平均して、外観の評価とした。
【0044】
(実施例1)
極限粘度[η]が1.9dl/g、のポリプロピレン樹脂(出光石油化学製F300SP)(A層)と、バインデイング層として機能するプロピレン系共重合体樹脂層(III)として、平均粒子径2μmのシリコーン粒子を4000ppm含有するMFRが10g/10分、エチレン3.5重量%、ブテン4.0重量%のランダム共重合体(三井住友ポリオレフイン(株)製WF345F:融点138℃)、及び表面を形成する樹脂として(III)層の反対面に、エチレンプロピレンブロック共重合体(三井住友ポリオレフィン(株)製F224V、融点として126℃、145℃、156℃の3つのピークを有する)(B層)をそれぞれ押出機にて溶融押出し、T型口金内で積層・シート状に押出、30℃に設定されたキャステイングドラム上で冷却固化した。こうして得られたシートの積層厚み比率(B:A:III)1.5:9.5:1であった。ついで該シートを140℃に加熱された予熱ロール群で予熱後、135℃で4.5倍に長手方向に延伸し一軸延伸延伸フィルムを得、引続き該フィルムをクリップに把持し、160℃に加熱したオーブンに導き、横方向に10倍に延伸しついで155℃にて横方向に5%のリラックスを許しながら熱固定して、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。該フィルムの全厚みは12μm、表面粗さが0.5μmであり、この内バイデイング層(III)は1μmであった。
【0045】
ついで、エチレン系ポリマー層(II)層としてエチレン酢酸ビニル共重合体(三井デユポンポリケミカル製 V431:酢酸ビニル共重合量25wt%、、融点78℃)を、先に得られたポリプロピレン系フィルムの(III)層面に押出し、25℃の冷却ドラム上にニップロールで押さえながら冷却固化し積層フィルムとした。引き続いて該積層フィルムのエッジ部トリミングし、(II)層上をコロナ放電処理をしながら巻き取った。得られた積層フィルムのトータル厚みは20μmであり、エチレン系ポリマー層は8μmであった。コロナ処理面の濡れ張力は38mN/mであった。
【0046】
こうして得られたフィルムのラミネート特性を評価した結果、ラミネート強度、エンボス率、外観に表1に示すごとく優れていた。
【0047】
(実施例2)
実施例1において、二軸配向ポリプロピレン層を製造する際の層構成として、B:A:IIIを2:8:1とした。こうして得られたフィルムのIII層面に実施例1で用いたエチレン系ポリマー層を5μm押出ラミネートして熱圧着ラミネート用ポリオレフインフィルムを得た。該フィルムのラミネート特性は表1に示すごとく優れていた。
【0048】
(実施例3)
実施例2において、バインデイング層(III)を2μm、エチレン系ポリマー層を13μmとした以外は同様な条件で熱圧着ラミネート用ポリオレフインフィルムを得た。該フィルムのラミネート特性は表1に示すごとく優れていた。実施例1においてそれぞれの厚みを表1のごとく変えたが、いずれも、同様にラミネート特性、外観共に優れていた。
【0049】
(実施例4)
実施例1において、プロピレン系共重合体樹脂層(III)は用いず、ポリプロピレン樹脂とエチレン・プロピレンブロック共重合体の2層からなる厚さ11μmの2軸配向ポリプロピレン層を得た。尚、該フィルムは2軸延伸後巻き取られる前にコロナ放電処理を行い、A層表面の濡れ張力を43mN/mとした。
【0050】
ついで、エチレン系ポリマー層(II)として、エチレン酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル製 V431:酢酸ビニル共重合量25wt%)を、220℃にて溶融押出し、25℃の冷却ドラム上にニップロールで押さえながら冷却固化し積層フィルムとした。引き続いて該積層フィルムのエッジ部トリミングし、(II)層上をコロナ放電処理をしながら巻き取った。得られた積層フィルムのトータル厚みは29μmであり、エチレン系ポリマー層は8μmであった。コロナ処理面の濡れ張力は38mN/mであった。
【0051】
こうして得られたフィルムのラミネート特性は、表1に示すごとく、ラミネート特性は優れていた。
【0052】
(比較例1)
実施例1において2軸配向ポリプロピレン層の厚みを15μmとした以外は同様に製膜したが、エンボス率の低い結果となった。
【0053】
(比較例2〜3)
表1に示すように2軸配向ポリプロピレン層、エチレン系ポリマー層の厚みを変更したが、それぞれ、ラミネート特性としての外観、強度に劣る結果となった。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムおよびエンボスラミネート体は、次のような優れた効果を奏し、壁紙、化粧板用表材として好ましく使用される。
(1)優れたエンボス性を有し、外観が美麗になり意匠性を高めることができる。
(2)耐久性に優れ、防汚性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムおよびエンボスラミネート体を示す実施例1の説明図
【符号の説明】
1:二軸配向ポリプロピレン層(I)
2:低融点ポリプロピレン系樹脂層(III)
3:エチレン系ポリマー層(II)
4:熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム
5:シート状物
6:エンボスラミネート体
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷等を施されたシート状物に張り合わせる際に、安定した加工性を有する熱圧着プリントラミネート用ポリオレフィンフィルムとこれからなるエンボスラミネート体に関するものであり、詳しくは壁紙や化粧板等の表基材等として好ましく使用される材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷を施した紙等の印刷物の表面を保護したり、耐水・耐油性の付与、美麗化の目的で印刷物等をフィルムでラミネートする手法が実用化されているが、この用途に使用されるフィルムを一般にラミネート用フィルム、並びに当該フィルムと印刷物とを貼り合わせた積層体をラミネート体(あるいは紙、シート)と称している。
【0003】
ラミネート体を得る方法としては、接着剤を用いて貼りあわせる、いわゆる溶剤貼りと熱接着性樹脂層を用いて貼り合わせる熱ラミネートとがあるが、近年環境問題への配慮から熱プリントラミネート方式が増加しつつある。
【0004】
こうしたフィルムとしては、ポリプロピレンフィルム上にエチレン酢酸ビニル共重合体、あるいはメタロセン系ポリエチレンを熱接着樹脂層として形成したものが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。このような材料の場合、通常はベース基材として耐久性、厚み均一性に優れる2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いることが多い。また、張り合わせの際には単なるフラットな熱ロールを用いるのみでなく、エンボスロール等を用いて表面に凹凸をつけ、意匠性を向上するといった使用方法も拡大しつつある。
【0005】
【特許文献1】
特許第2882406号公報([0002]〜[0007]段落)
【0006】
【特許文献2】
特許第2983814号公報([0002]〜[0013]段落)
【0007】
【特許文献3】
特許第3098731号公報([0002]〜[0013]段落)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常の2軸配向ポリプロピレンフィルムをベース基材として用いた場合、エンボス加工を施そうとすると、その優れた耐久性が災いしてエンボスパターンが安定しなかったり、表面光沢が強すぎて、エンボスパターンの意匠性を損なうといった問題点があった。
【0009】
そこで、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの耐久性を活かしながら、エンボス性に優れたラミネート材料の開発が求められている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンボスパターンの転写安定性と意匠性の改善検討を重ねた結果、以下の構成を提案するものである。
【0011】
すなわち、本発明は
(1)表面粗さ0.1〜2μmの表面粗さを有する2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)とが積層されてなり、(I)層の厚みが5〜13μm、(II)層の厚みが4〜15μmであり、かつ(II)層を構成するエチレン系ポリマーの融点が60〜100℃であることを特徴とする熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム。
【0012】
(2)2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)との間に、さらにプロピレン系共重合体樹脂層(III)を有し、かつ(III)層を構成するプロピレン系共重合体樹脂の融点が120〜145℃であることを特徴とする(1)に記載の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム。
【0013】
(3)(1)〜(2)のいずれかに記載の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムの(II)層表面と、熱可塑性樹脂シート、布帛、紙から選ばれた少なくともいずれか一種のシート状物とが貼り合わされてなり、かつ(I)層表面から測定される最大深さ5〜1000μmのエンボスパターンを有するエンボスラミネート体。
の構成からなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムは、2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)とからなることを特徴とする。
【0015】
(I)層は耐久性が良好となるために、2軸配向されたポリプロピレン層を基層とする必要がある。この時、2軸配向フィルムの製造方法としては、逐次テンター法、同時テンター法、チューブラー法等が例示されるが、同時または逐次テンター法で製造されるものが厚み斑等が少なく、エンボス性が良好となるので好ましい。
【0016】
(I)層を構成する2軸配向ポリプロピレン樹脂としては、、テトラリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜4.0dl/gのものが好ましく、さらにこのましくは、[η]が1.4〜2.3dl/gである。また、該樹脂層を構成するモノマーとしてはプロピレン以外の成分として、エチレン、もしくは、ブテン、ペンテン、ヘキセン等のα−オレフィンを少量(3モル%以下)含有することが可能である。
【0017】
当該(I)層には2軸配向ポリプロピレン樹脂の安定性を向上するための酸化防止剤等の安定剤、塩素捕獲剤、取り扱い性を向上するための帯電防止剤、スリップ剤等を含有することができる。安定剤としては、ヒンダードフエノール系、ヒンダードアミン系、フォスファイト系化合物、あるいはトコフェロール類、ラクトン類が例示される。更に塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等が例示される。また、耐電防止剤としては、アルキルジメチルベタイン、アルキルアミンジエタノール及び/又はアルキルアミンエタノールエステル及び/又はアルキルアミンジエタノールジエステル、スリップ剤としては有機系としてはステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド等、無機系としては酸化珪素粒子、酸化アルミニウム粒子等、更にシリコーン粒子、ポリメチルメタアクリレート等の有機粒子等も使用可能である。
【0018】
この中で帯電防止剤はエンボスラミネート体の帯電防止性能を付与する観点から添加することが好ましいが、窒素酸化物等による酸化防止剤の変色を抑える観点から、2軸配向ポリプロピレン層(I)が占める重量に対し、0.05〜0.2重量%としておくことが好ましい。
【0019】
次に(I)層厚みは5〜13μmであることが必要であり、好ましくは、7〜12μmである。厚みが薄すぎるとエンボス加工時の破れ等が増大する。一方厚すぎると弾性回復しやすくなり、十分なエンボス深さが得られないという問題を生じる。
【0020】
(I)層の表面粗さは0.1〜2μmであることが必要であり、好ましくは、0.2〜1μmである。表面粗さが0.1μmを下回ると光沢感が強くなり、施したエンボス加工の見栄えが悪くなる。また、2μmを越えるとエンボス時に裂けやすくなり加工適性が低下する。同様なエンボスの見栄えからの光学特性値としては該フィルム表面のグロス値は1〜50%であることが好ましく、更に好ましくは3〜40%である。この様な表面形状を付与するためには、サンドマット処理が有効であるが、更に好ましくは、(I)層を製造時にエチレンプロピレンブロック共重合体に代表されるプロピレン系ブロック共重合体を積層する方法やプロピレン系ポリマーと非相溶な樹脂とをブレンドした樹脂層を積層する方法等が例示される。特に好ましくはエチレンプロピレン系共重合体を積層する方法が面の形状が安定し、かつコスト面で優れているので好ましい。このような共重合体の中でも、特に好ましい樹脂としては、少なくとも2つの融解ピークを有し、一方のピークが110〜135℃の範囲でかつもう一方のピークが140〜165℃の範囲にあることが好ましい。
【0021】
また、(I)層の表面濡れ張力は28〜38mN/mとしておくと、飲食物からの飛沫の付着あるいは煙草の煙等の汚染等が起こりにくく好ましい。この観点から、(I)層表面はポリオレフィン樹脂を基本として、極性基を有する樹脂は含有しないことが好ましく、更に好ましく、少量のフッ素系樹脂あるいは低分子量物を添加することができる。もちろん、表面にコロナ放電処理等の表面処理は極力しないことが好ましい。
【0022】
次に熱接着層として機能するエチレン系ポリマー層(II)の厚みは、4〜15μmであることが必要であり、6〜12μmであることが好ましい。(II)層の厚みが4μmを下回ると基材との接着性が低下する。一方、15μmを越えるとフィルムの滑りが悪化して加工適性が悪化する。
【0023】
また、該層の融点は、60〜100℃であること必要であり、更に70〜90℃であることが好ましい。融点が低すぎるとラミネート加工時のハンドリング性が悪化する。また融点が高すぎると基材との接着性が低下する。また、該樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は10〜100g/10分、更に好ましくは15〜70g/10分であると接着性とエンボス性が両立するので好ましい。
このようなエチレン系ポリマーとしてはエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合、直鎖状低密度ポリエチレン等が例示される。
【0024】
更に2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)との間には両層の接着性を良好とするため、バインディング層を設けることが好ましく、こうした層としてはアンカーコート剤等を用いることができる。また、2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)との間には、プロピレン系共重合体樹脂層(III)を介して接合されることが好ましく、(II)層の厚みは0.1〜4μmであることが、接着性とエンボス性を両立するために好ましい。より好ましくは0.5〜3μm、更に好ましくは0.8〜2μmである。
【0025】
該(III)層に用いられる低融点ポリプロピレン樹脂は、具体的にはプロピレンを主体とし、エチレン、もしくは、ブテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンから選ばれたコモノマーを共重合した樹脂が好ましく、特に好ましくは、エチレン及び/またはブテンであることが好ましい。更に接着を強固とする観点から、融点は120〜145℃であることが好ましく、特に好ましくは125〜140℃である。更に、当該低融点ポリプロピレン樹脂には無水マレイン酸等を付加重合させておくことも可能である。こうすると更に熱接着層との接着力が向上するので好ましい。
【0026】
更に当該(III)層には加工性を向上する目的で、無機あるいは有機の粒子を含有することが可能であり、シリコーン粒子、酸化珪素粒子、酸化アルミニウム粒子等が例示される。含有量としては、該(III)層が占める重量に対し、6000ppm以下、更に好ましくは5000ppm以下である。
【0027】
以上の様な特性を有する本発明熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムは、熱接着樹脂層としてエチレン系ポリマー層(II)を有しているため、(II)層を介して熱可塑性樹脂シート、布帛、紙等のシート状物との良好な接着性を有する。二軸配向ポリプロピレン層とエチレン系ポリマー層の層構成と二軸配向ポリプロピレン層の表面粗さが、エンボスパターンを効果的に発現させる設計となっているが、特にエンボス時の絞り深さを(I)表面から測定される最大深さ5〜1000μmであることが好ましく、更に好ましくは、50〜700μmである。エンボス深さがこの範囲であると基層二軸配向ポリプロピレンフィルムの機械特性を損なうことなくエンボスパターンも美麗に見えるので好ましく、光沢感をコントロールすることができる。
【0028】
以下に本発明の熱圧着プリントラミネート用フィルムの製造方法について述べるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0029】
ポリプロピレン樹脂Aを押出機(1)に、表面を形成するエチレン・プロピレンブロック共重合体Bを押出機(2)に、バインデイング層として機能するプロピレン系共重合体樹脂Cを押出機(3)にそれぞれ供給して、3つの溶融ポリマーを口金内で積層し、樹脂B/A/Cからなる3層のシート状に押出す。ついで該溶融シートを20〜60℃に保たれたキャステイングドラム上で冷却固化し、未延伸シートを得る。該シートを120℃〜160℃に予熱後、3〜6倍に長手方向に延伸冷却し一軸延伸フィルムとし、引き続いてフィルム両端を把持して、140〜180℃に加熱されたオーブン中に導き、幅方向に6〜12倍に延伸し、さらに140〜165℃で数%のリラックスをさせながら熱処理した後、フィルム両端をトリミングした上でロール状に巻き取る。この様にして得られる2軸配向ポリプロピレンフィルムは、バインデイング層(III)を自ら有するフィルムとして製造される。
【0030】
次に(II)層として、エチレン酢酸ビニル共重合体を用意して、前記フィルムの低融点樹脂層(III)層に(II)層が接するように冷却ドラム上で貼り合わせ冷却され両端をトリミングされながらロール状に巻き取られる。この際に両エチレン系ポリマー層は冷却ドラムで直接冷却されると共にドラム上予め形成したエンボスパターンあるいはサンドブラストパターンを転写させ、後工程のハンドリングを向上させることができるので好ましい。
【0031】
このようにして得られたプリントラミネート用フィルムは印刷紙等と80〜130℃に加熱された金属ロール(エンボスロール)とゴムロール間で熱圧着することでプリントラミネート体を得ることができる。この際のラミ圧力は5〜100kg/cmであることが好ましい。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。但し、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0033】
実施例における測定方法・評価方法は、以下の通りである。
【0034】
(1)融点
走査型差動熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下で10mgの試料を10℃/分の速度で昇温させたときに得られる結晶の融解にともなう吸熱カーブのピーク温度を融点(℃)とする。但し、いくつかの融解ピークを有する場合は、それぞれのピークから算出される融解エネルギーに基づいた加重平均値を融点とみなす。例えば2つの融解ピークが観測された場合、第1のピーク温度がT1(℃),融解エネルギーがU1(cal/g)、第2のピーク温度がT2、融解エネルギーがU2とすると、該融点Tは、
T=(T1×U1+T2×U2)/(U1+U2)である。
【0035】
(2)極限粘度[η]
ASTM D 1601に従って、テトラリン中で測定する(dl/g)。
【0036】
(3)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K 7210の条件に従って測定する。
【0037】
(4)表面粗さ
次の条件で測定される中心線平均粗さ(Ra)をもって表面粗さとした。
【0038】
JIS B−0601(1982)により、株式会社小坂研究所製「非接触三次元微細形状測定器(ET−30HK)」及び「三次元粗さ分析装置(MODEL SPA−11)」を用いて測定した。測定数は3とし、その平均値を用いた。
【0039】
詳細条件は次の通り。
【0040】
測定面処理:測定面にアルミニウムを真空蒸着し、非接触法とした。
【0041】
測定長:1mm
横倍率:200倍
縦倍率:5000倍
カットオフ:0.25mm
幅方向送り速度:0.1mm/秒
長さ方向送りピッチ:10μm
長さ方向送り数:20回
測定方向:フィルムの幅方向。
【0042】
(5)濡れ張力
ホルムアミドとエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合液によるJIS K 676に規定された測定方法に基づいて測定する。
【0043】
(6)ラミネート特性
得られた熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムを幅300mmのロール状に巻き取り、印刷紙面と加熱されたエンボスロール(200mmφ、絹目パターン、エンボス深さ 500μm)で線圧60kg/cm、25m/分の速度で熱圧着ラミネートする。
イ:ラミネート強度
この際のフィルムと印刷紙面との層間接着力を引っ張り試験機にて200mm/分の速度で評価した結果をg/15mmで表す(雰囲気温度は25℃)。
ロ:エンボス率
エンボスロールのエンボス深さD1(500μm)に対して、ラミネート体に形成された絞り深さD2を測定して、以下の式でエンボス率を評価した。
エンボス率=D2/D1×100(%)。
ハ:外観
出来上がりのエンボスラミネート体をフイルム面から観測して、出来映えを評価した。5名の官能評価により、良好を5、普通を3、不良を1の評点として、得られた評点を平均して、外観の評価とした。
【0044】
(実施例1)
極限粘度[η]が1.9dl/g、のポリプロピレン樹脂(出光石油化学製F300SP)(A層)と、バインデイング層として機能するプロピレン系共重合体樹脂層(III)として、平均粒子径2μmのシリコーン粒子を4000ppm含有するMFRが10g/10分、エチレン3.5重量%、ブテン4.0重量%のランダム共重合体(三井住友ポリオレフイン(株)製WF345F:融点138℃)、及び表面を形成する樹脂として(III)層の反対面に、エチレンプロピレンブロック共重合体(三井住友ポリオレフィン(株)製F224V、融点として126℃、145℃、156℃の3つのピークを有する)(B層)をそれぞれ押出機にて溶融押出し、T型口金内で積層・シート状に押出、30℃に設定されたキャステイングドラム上で冷却固化した。こうして得られたシートの積層厚み比率(B:A:III)1.5:9.5:1であった。ついで該シートを140℃に加熱された予熱ロール群で予熱後、135℃で4.5倍に長手方向に延伸し一軸延伸延伸フィルムを得、引続き該フィルムをクリップに把持し、160℃に加熱したオーブンに導き、横方向に10倍に延伸しついで155℃にて横方向に5%のリラックスを許しながら熱固定して、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。該フィルムの全厚みは12μm、表面粗さが0.5μmであり、この内バイデイング層(III)は1μmであった。
【0045】
ついで、エチレン系ポリマー層(II)層としてエチレン酢酸ビニル共重合体(三井デユポンポリケミカル製 V431:酢酸ビニル共重合量25wt%、、融点78℃)を、先に得られたポリプロピレン系フィルムの(III)層面に押出し、25℃の冷却ドラム上にニップロールで押さえながら冷却固化し積層フィルムとした。引き続いて該積層フィルムのエッジ部トリミングし、(II)層上をコロナ放電処理をしながら巻き取った。得られた積層フィルムのトータル厚みは20μmであり、エチレン系ポリマー層は8μmであった。コロナ処理面の濡れ張力は38mN/mであった。
【0046】
こうして得られたフィルムのラミネート特性を評価した結果、ラミネート強度、エンボス率、外観に表1に示すごとく優れていた。
【0047】
(実施例2)
実施例1において、二軸配向ポリプロピレン層を製造する際の層構成として、B:A:IIIを2:8:1とした。こうして得られたフィルムのIII層面に実施例1で用いたエチレン系ポリマー層を5μm押出ラミネートして熱圧着ラミネート用ポリオレフインフィルムを得た。該フィルムのラミネート特性は表1に示すごとく優れていた。
【0048】
(実施例3)
実施例2において、バインデイング層(III)を2μm、エチレン系ポリマー層を13μmとした以外は同様な条件で熱圧着ラミネート用ポリオレフインフィルムを得た。該フィルムのラミネート特性は表1に示すごとく優れていた。実施例1においてそれぞれの厚みを表1のごとく変えたが、いずれも、同様にラミネート特性、外観共に優れていた。
【0049】
(実施例4)
実施例1において、プロピレン系共重合体樹脂層(III)は用いず、ポリプロピレン樹脂とエチレン・プロピレンブロック共重合体の2層からなる厚さ11μmの2軸配向ポリプロピレン層を得た。尚、該フィルムは2軸延伸後巻き取られる前にコロナ放電処理を行い、A層表面の濡れ張力を43mN/mとした。
【0050】
ついで、エチレン系ポリマー層(II)として、エチレン酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル製 V431:酢酸ビニル共重合量25wt%)を、220℃にて溶融押出し、25℃の冷却ドラム上にニップロールで押さえながら冷却固化し積層フィルムとした。引き続いて該積層フィルムのエッジ部トリミングし、(II)層上をコロナ放電処理をしながら巻き取った。得られた積層フィルムのトータル厚みは29μmであり、エチレン系ポリマー層は8μmであった。コロナ処理面の濡れ張力は38mN/mであった。
【0051】
こうして得られたフィルムのラミネート特性は、表1に示すごとく、ラミネート特性は優れていた。
【0052】
(比較例1)
実施例1において2軸配向ポリプロピレン層の厚みを15μmとした以外は同様に製膜したが、エンボス率の低い結果となった。
【0053】
(比較例2〜3)
表1に示すように2軸配向ポリプロピレン層、エチレン系ポリマー層の厚みを変更したが、それぞれ、ラミネート特性としての外観、強度に劣る結果となった。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムおよびエンボスラミネート体は、次のような優れた効果を奏し、壁紙、化粧板用表材として好ましく使用される。
(1)優れたエンボス性を有し、外観が美麗になり意匠性を高めることができる。
(2)耐久性に優れ、防汚性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムおよびエンボスラミネート体を示す実施例1の説明図
【符号の説明】
1:二軸配向ポリプロピレン層(I)
2:低融点ポリプロピレン系樹脂層(III)
3:エチレン系ポリマー層(II)
4:熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム
5:シート状物
6:エンボスラミネート体
Claims (3)
- 表面粗さ0.1〜2μmの表面粗さを有する2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)とが積層されてなり、(I)層の厚みが5〜13μm、(II)層の厚みが4〜15μmであり、かつ(II)層を構成するエチレン系ポリマーの融点が60〜100℃であることを特徴とする熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム。
- 2軸配向ポリプロピレン層(I)とエチレン系ポリマー層(II)との間に、さらにプロピレン系共重合体樹脂層(III)を有し、かつ(III)層を構成するプロピレン系共重合体樹脂の融点が120〜145℃であることを特徴とする請求項1に記載の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルムの(II)層表面と、熱可塑性樹脂シート、布帛、紙から選ばれた少なくともいずれか一種のシート状物とが貼り合わされてなり、かつ(I)層表面から測定される最大深さ5〜1000μmのエンボスパターンを有するエンボスラミネート体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003199465A JP2005035147A (ja) | 2003-07-18 | 2003-07-18 | 熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム及びこれからなるエンボスラミネート体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003199465A JP2005035147A (ja) | 2003-07-18 | 2003-07-18 | 熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム及びこれからなるエンボスラミネート体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005035147A true JP2005035147A (ja) | 2005-02-10 |
Family
ID=34208909
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003199465A Pending JP2005035147A (ja) | 2003-07-18 | 2003-07-18 | 熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム及びこれからなるエンボスラミネート体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005035147A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009241375A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Toray Ind Inc | 熱プリントラミネーション用ポリプロピレンフィルム |
JP2012505771A (ja) * | 2008-10-17 | 2012-03-08 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 二軸延伸フィルム |
JP2014023649A (ja) * | 2012-07-25 | 2014-02-06 | Lixil Corp | 水回り部材 |
KR20160118273A (ko) | 2014-02-05 | 2016-10-11 | 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 | 필름의 반송 방법 및 광학 필름의 제조 방법 |
KR20210136650A (ko) * | 2020-05-08 | 2021-11-17 | 주식회사 아랑씨엔에이치 | 후지를 포함하지 않는 라미네이팅 필름 및 그 제조방법 |
-
2003
- 2003-07-18 JP JP2003199465A patent/JP2005035147A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009241375A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Toray Ind Inc | 熱プリントラミネーション用ポリプロピレンフィルム |
JP2012505771A (ja) * | 2008-10-17 | 2012-03-08 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 二軸延伸フィルム |
US8709610B2 (en) | 2008-10-17 | 2014-04-29 | Dow Global Technologies Llc | Biaxially oriented film which could be thermally laminated with paper and other substrates |
JP2014023649A (ja) * | 2012-07-25 | 2014-02-06 | Lixil Corp | 水回り部材 |
KR20160118273A (ko) | 2014-02-05 | 2016-10-11 | 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 | 필름의 반송 방법 및 광학 필름의 제조 방법 |
KR20210136650A (ko) * | 2020-05-08 | 2021-11-17 | 주식회사 아랑씨엔에이치 | 후지를 포함하지 않는 라미네이팅 필름 및 그 제조방법 |
KR102413401B1 (ko) * | 2020-05-08 | 2022-06-27 | 주식회사 아랑씨엔에이치 | 후지를 포함하지 않는 라미네이팅 필름 및 그 제조방법 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2018141122A (ja) | 二軸配向ポリプロピレンフィルム | |
WO2017170244A1 (ja) | 二軸配向ポリプロピレンフィルム | |
TW394731B (en) | Polyolefin-based laminate film | |
EP0397425B1 (en) | Film for print lamination | |
JPWO2017169952A1 (ja) | 二軸延伸積層ポリプロピレンフィルム | |
JP5292763B2 (ja) | 粘着フィルム | |
JPH02147237A (ja) | 金属化ポリオレフィンフィルム及びその製造方法 | |
KR20190111975A (ko) | 이축배향 폴리프로필렌계 필름 | |
JP2009241375A (ja) | 熱プリントラミネーション用ポリプロピレンフィルム | |
JP2005035147A (ja) | 熱圧着ラミネート用ポリオレフィンフィルム及びこれからなるエンボスラミネート体 | |
JP2005103955A (ja) | 耐蝕性金属被覆用ポリプロピレンフィルムおよび金属ラミネートフィルム | |
JP2005306031A (ja) | 艶消し調のプリントラミネート体および艶消し調プリントラミネート体用積層体 | |
JP2006239877A (ja) | 樹脂組成物およびそれから得られる延伸フィルム | |
JP2004291635A (ja) | 耐蝕性金属被覆用ポリプロピレンフイルム、金属ラミネートフイルムおよびそれを用いた電池材料 | |
JP3450211B2 (ja) | 熱圧着ラミネート体及びその製造方法 | |
KR101320831B1 (ko) | 무용제형 열접착 이축 배향 필름의 접착층 형성용 코폴리머 조성물 및 이것을 이용한 무용제형 열접착 이축 배향 필름 | |
JP2530732B2 (ja) | 熱圧着ラミネ―ト用積層フィルム | |
JP2013226811A (ja) | 熱圧着プリントラミネート用ポリプロピレンフィルム及びプリントラミネート体 | |
JPH0544129Y2 (ja) | ||
JP2004009566A (ja) | 熱融着プリントラミネート用フィルム | |
JP2005145029A (ja) | ラミネート用ポリプロピレンフィルムおよびこれからなるラミネート体 | |
JP2004276601A (ja) | 熱圧着プリントラミネート用ポリプロピレンフイルム及びプリントラミネート体 | |
JP4269569B2 (ja) | 熱圧着プリントラミネート用フィルムおよびプリントラミネート体 | |
JP3902083B2 (ja) | 水性インキグラビア印刷層を有する積層ポリプロピレン系フィルム | |
JPH0216049A (ja) | 熱圧着ラミネート用積層フイルム |