JP2005034845A - ダイカストマシン用スプレー装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイカストマシンのスプレー装置の駆動源を、従来の空圧シリンダー等ではなく、サーボモータによる駆動方式を採用し、スプレー装置の始動⇔停止の動作を、円滑に作動するようにコンピュータ回路に取り込み、これを自動制御し動作の態様を多種類の方法で設定する。
【解決手段】スプレー装置の駆動源を、水平方向と垂直方向の2軸のサーボモータ駆動方式として、その動作態様を種々の時間差で作動させ、ダイカスト生産サイクルに最適のスプレー噴霧効果を発揮させる、またスプレー吹付ヘッドの交換で、本発明のボールスプレー方式以外の、従来から使われている管式スプレーやアトマイザー方式でも、ハウジングに設けたクランプの開閉だけで、簡単に着脱・交換が出来る。
【選択図】図1
【解決手段】スプレー装置の駆動源を、水平方向と垂直方向の2軸のサーボモータ駆動方式として、その動作態様を種々の時間差で作動させ、ダイカスト生産サイクルに最適のスプレー噴霧効果を発揮させる、またスプレー吹付ヘッドの交換で、本発明のボールスプレー方式以外の、従来から使われている管式スプレーやアトマイザー方式でも、ハウジングに設けたクランプの開閉だけで、簡単に着脱・交換が出来る。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカストマシン用スプレー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイカストマシンの金型内で溶融鋳造されたダイカスト製品は、ダイカストマシンの型開き後取出され、所定の位置に待機するスプレー装置が前進と下降の動作を順次行って、次の鋳造でダイカスト製品を離型しやすいように離型剤を成形金型に噴霧する。
【0003】
前記
【0002】に関して
スプレー装置の前進⇔後退や、下降⇔上昇などの駆動源は、空圧シリンダーや油圧シリンダーを用いているのが殆どであるが、ダイカスト製品の生産サイクルの短縮のため、前記空圧シリンダーや油圧シリンダーは、往復動作ともかなりの高速で作動させなければならない。しかし空圧シリンダーや油圧シリンダーは、構造上どうしても1次圧力側と2次圧力側の面積差のため、一定の速度の確保が困難である。
【0004】
同
【0002】に関して
特に、空圧シリンダーが従来から殆どの現場で使用されている現状では、定位置停止時のショックをやわらげるために、定位置停止直前に減速工程に入るが、その調整の難しさや、煩雑さなどで現場作業者の精神的・肉体的疲労が大きくなる。また、この減速工程の調整と並行して外部的なストッパーの調整も必要となってくる。
【0005】
同
【0002】に関して
空圧シリンダーや油圧シリンダー(今後これらを単に空圧シリンダー等と称す)を用いての駆動源では、定位置停止点が例えばスプレー装置の前進⇔後退や、下降⇔上昇等の動作では,前進限・後退限と下降限・上昇限の各2定点にしか設けられず、前進限と後退限、あるいは下降限と上昇限の中間点での任意位置の停止点の設定が不可能である。このことから離型剤をスプレーする際に、取り出すべきダイカスト製品の大きさや、肉厚・形状の変化や成形金型の温度などにより、微妙に変化する噴霧条件を考慮することなく、スプレー口から遠く離れている成形金型に向けて、多量のスプレー剤を吹き付けることにより、ダイカストマシン周辺の空気を汚し、ダイカストマシンの設置台数が多ければ多いほど、工場全体としても環境を悪化させ、今世界中が真剣に取り組んでいる環境汚染と地球温暖化対策にも逆行することになる。
【0006】
1、 従来のスプレー装置の噴霧口ノズルは、管式(管の材質は、銅やアルミ・鉄・樹脂等を含めて管と称す)が主流をなし、噴霧口のノズル(以後、単にスプレーノズルと称す)がダイカスト成形型を、急冷または徐冷させる目的と、離型しやすさのために噴霧するのであるが、スプレーノズルが定位置停止点より、停止時のショックや振動などで少しズレル事がしばしば生じる。このため、本来の目的とするスプレー噴霧を、最も効果的な量、すなわち最小の噴霧量で最大の離型効果を求めることができない。
2、 ダイカスト業界では、多品種少量生産が殆どを占める現況では、それぞれのダイカスト成形金型に対応したスプレーヘッド部を数多く持たなければならない。
3、 前記2に関して
スプレーヘッド部の駆動源が空圧シリンダー等であるため、スプレーヘッド装置の動作の態様が数少なく限定される。
4、 前記2に関して
ダイカスト成形金型の厚みの大小により、管式スプレーのパイプ長さを色々と変えたり折り曲げたり(図7参照)して金型の厚みの変化に対応している。
【0007】
前記
【0006】に関して
スプレー装置の停止位置の精度が空圧シリンダー等では、定位置停止時のショックや振動などで停止位置にバラツキが出るため、スプレーヘッドから出てくるスプレー用管は、少し長めに取り付けられているので、スプレー用管の設置方向によっては、強い圧力の離型剤の噴霧力によって、スプレー用管自体が固有振動数に似た振動を起こすこともしばしば生じる。
【0008】
したがって、スプレーヘッドから突設されたスプレー用管は、極力短くしかも被噴霧点とスプレー用管の噴霧口が同一線上にあることが理想であるが、空圧シリンダー等での駆動源では、停止精度にバラツキがあるため、スプレーヘッドから突設されたスプレー用管は、どうしても長く設けなければならない。
【0009】
前記
【0008】に関して
前記のようにスプレーヘッドから突設されたスプレー用管は、長いためダイカスト製品や型周辺に付着したバリなどの除去のために、エアーを吹き付けるが、この補助的な操作のために、長く突設されスプレー用管が噴霧方向の位置ズレを生じやすい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記のようにスプレー装置の前進⇔後退、下降⇔上昇等の駆動源を空圧シリンダー等で作動させるのではなく、サーボモータ(ここで表現するサーボモータには一般に使われているサーボモータ以外に、インバータモータやスティッピングモータも含む)駆動方式を採用した。この方式により次の利点が得られる。
1、 サーボモータによる駆動方式のため、停止⇒始動⇒高速移動⇒減速⇒停止の動作を自動的に組み込める。
2、 動作の態様が(前記の停止⇒始動⇒高速移動⇒減速⇒停止)いろいろな時間差で多種類の方法が選定でき、またその作動回路選定や再起動の際の選定方法が容易となり、現場作業者には熟練度を必要とせず、したがって精神的・肉体的な疲労も軽減できる。
3、 サーボモータによる駆動方式のため、スプレー装置の前進⇔後退と下降⇔上昇の複合動作、例えばスプレー装置の前進中に一定の時間差を設けて、スプレー装置の下降動作を設定し、あるいはスプレー装置の前進限に停止後、スプレー装置が下降ストローク内であれば、任意の位置に停止させる点を1箇所または複数箇所設ける。その複数箇所設けた点、例えばY1、Y2、Y3、…とした場合、上から順番に間欠動作(停止、移動、停止、移動…)するシステム回路を自動制御盤に組み込み、ダイカスト生産サイクルに最適な噴霧サイクルを選択して、これを実行すればよい。
4、前記3に関して
サーボモータ駆動方式のため、スプレー装置の前進⇔後退と下降点上昇の複合動作が選べるから、スプレーノズルの先端が極力金型に接近させて噴霧できる。このため噴霧離型剤の量が、最小であるにもかかわらず優れた離型効果が得られ、その結果ダイカストマシン周辺の環境汚染を最小限度に低く抑えられる。
5、 同一ダイカストマシンで成形されるダイカスト製品は、種類が多くその都度スプレー吹付けパターンが異なるが、それらのパターンすべてを認識し、記憶できる自動サイクルをコンピュータ回路内に組み込み、これを必要に応じて動作回路として活用することが容易である。
6、 ダイカストマシンの成形金型のスプレーの噴霧条件は、最適となるべきでこれには吹付けるスプレーの量(エアーや水・離型剤など)、圧力、そして温度・希釈倍率にも影響をおよぼす。このように、スプレーの噴霧条件が最適となれば、最小限のエアー源や水源並びに離型剤の供給動力源で賄えるので、使用電力も少なくてすむ。
7、 以上のように、ダイカストマシンのスプレー装置の制御が、単純化されるので、スプレー装置の正常運転の維持管理が容易であるばかりでなく、エアー源や水源並びに離型剤の供給動力源の保守・点検などの管理も1元的に管理しやすくなる。
【0011】、
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明のダイカスト用スプレー装置は、次の手段を用いて解決する。
1、 スプレー装置の駆動方式を2組のサーボモータ駆動方式とし、1組はスプレー装置の前進⇔後退(X軸方向)移動、他の1組はスプレー装置の下降⇔上昇(Y軸方向)移動に用いる。
2、 さらに前記記載の昇降部分の先端には、スプレーヘッド部と称する部分を設ける。スプレーヘッド部の構成は、ボールノズルを多数個取り付けられたノズル取付プレートと、マニホールドとから成り該マニホールドには、クランプを複数個設ける。これはノズル取付プレートの取替え・交換に必要な着脱を、ワンタッチ式で吊架できるように設ける。
3、 ノズル取付プレート先端には、多数個のボールノズルを取り付けるが、この設置個数は、ダイカスト鋳造品の形状や肉厚さらに製品の数取り数などの条件で決められる。
4、 ノズル取付プレートに取り付けられた、ボールノズルからの噴霧は、前記ダイカスト鋳造品の形状・肉厚などの諸条件を考慮して決められるが、それと同時に取付けられた全ボールノズルを、数個所のブロックに分割して、圧力差,流量差などを設けて、吹き付ける事も可能となる。
5、 ノズル取付プレート先端に設けられた、ボールノズルの吹付管は、稼動中に離型剤の目詰まりや、噴霧後スプレーヘッド部の移動中(X軸・Y軸とも)に、他の装置の1部構造物に触れたり製品取り出し時、または鋳造後の残材・バリなどに接触して、ボールノズルのスプレー吹付管が、折れたり曲げられたりして破損する事がある(今後このようにスプレー吹付管が、折れたり曲げられたり目詰まりなどして、使用できなくなった状態を含めて、単に破損等と表現する)。
6、 前記5に関して
前記ノズル取付プレート先端に設けられた、ボールノズルの吹付管が、破損等した場合、ボールノズルのスプレー吹付管のみを、簡単に交換できるようにしたのも特徴である。
7、 また破損等したボールノズルのスプレー吹付管を、新品のボールノズル吹付管と交換したあと、旧品(破損した物)と全く同じ状態に取り付けられるし、さらに必要があれば噴霧角度の再調整も可能となる。
【0012】
【発明の実態の形態】
本発明のダイカストマシン用スプレー装置は、従来の空圧シリンダー等を使用することなく、ダイカスト製品の生産サイクル短縮のため、スプレー装置の横行動作並びに昇降動作を高速化でき、しかもスプレー装置の定位置停止時のショックや振動をなくすることが出来るから、停止位置の誤差が生じない。
【0013】
従来の空圧シリンダー等を使用する駆動方式では、空圧シリンダー等のストローク端では,正確に停止位置を確保できるが、このストローク中間点の任意の位置では、停止位置の設定や停止精度を求めるのが不可能である。
【0014】
この従来の駆動方法に対して、本発明のスプレー装置の駆動方法は、サーボモータ駆動方法を採用し、X軸方向の動きとY軸方向の動きを,コンピュータを使って、作動回路を記憶させる事により、どのような操作手順でも簡単にコンピュータ回路より取り出して、起動⇔停止や上昇⇔下降の作動回数や停止位置も、ダイカスト生産サイクルに合わせて設定出来る。
【0015】
本発明のスプレー装置のスプレーヘッド部も、従来方式の管式スプレーと違って、ノズル取付プレートに取り付けられた多数個のボールノズルを、いくつかのブロックに分割して噴霧させる構造とするため、前記各ブロックに圧力差や流量差を設けてエアー・水・離型剤を噴霧させる事が可能となる。
【0016】
前記ボールノズルの吹付管は、ダイカストマシンの稼動中によく破損等するものであるがその場合スプレー吹付管8dは、位置決めナット8bで固定されている球面ナット8cと螺着され1体化されているが、該スプレー吹付管8dを緩める方向に回すことにより、簡単に球面ナット8cから外されるから、新しいスプレー吹付管8′dを、球面ナット8cに螺着させればよい。
【0017】
前記スプレー吹付管8dの、取り付け方向は図5(a)に示すようにX軸方向に並行や、図5(b)に示すような任意角度で固定する場合もある。この角度調節は位置決めナット8bを、手で少し緩め他方の手でスプレー吹付管8dの先端部を持って噴霧角度が最適となるような、角度を選んで仮に位置決めナット8bで軽く固定してから、最後に位置決めナット8bを振動などで緩むことなく、十分に締めて固定させるとスプレー吹付管8dの交換は終了する。
【0018】
【実施例】
本発明の実施例を図面によって説明する。
図1は、本発明の概念図で(a)は全体図、(b)は動作線図。図2は、スプレー装置組立図。図3は、スプレーヘッド部の組立図。図4は、ボールノズルの組立断面図。図5は、図4に示すボールノズルの他の使用組立図で、(a)はスプレー吹付管の噴霧方向がノズル取付プレートに対して直角になるもの、(b)はスプレー吹付管の噴霧方向がノズル取付プレートに対して、上下・左右自在に角度調節して、取り付けられる事を示す。図6は、ボールノズルを構成する部品を、組付け順序を示したもので(a)は位置決めナット、(b)はスプレー吹付管、(c)は球面ナット、(d)は取付ナットを示す。図7は、従来の管式スプレーの取付概念図で(a)は固定型、(b)は移動型を示す。図8はアトマイザー噴霧方法の取付概念図。
【0019】
図1と図2に示す本発明のスプレー装置は、スプレー装置全体が横行用サーボモータ1によって鋳造サイクル開始前の待機位置(後退限)から、自動制御盤内(図省略)にプログラムされた動作の発動によって、始動時は緩やかに発進し、少しずつ速度を上げて動く。そして指定された停止位置(X0、X1、X2、X3、……)直前で、速度を緩やかに減速して、所定の停止位置に停止する。
【0020】
またスプレーヘッド部は、前記横行用サーボモータ1の動作と関連して、昇降用サーボモータ2が、自動制御盤内にプログラムされた動作の発動によって、始動時は緩やかに動き、時間の経過と共に滑り落ちるようにスムーズに下降して、指定された停止位置(Y0、Y1、Y2、Y3、……)直前で、これも速度を緩やかに減じて所定の停止位置に停止する。
【0021】
前記
【0019】と
【0020】に関して
本発明のスプレー装置用自動制御盤のプログラムは、ダイカストマシンの鋳造条件に最適なスプレーノズルの噴霧位置をセットし、いろいろの停止位置の組み合わせが可能となる。例えば
1、 鋳造金型の厚みが厚い場合にスプレーヘッドの横行ストローク端SxをX1にセットする。
2、 あるいは鋳造金型の厚みが薄い場合に、スプレーヘッドの横行ストロークSx端をX3にセットする。など。
3、 また、鋳造金型の背の高さが高い場合のスプレーヘッドの昇降ストロークSy端をY3にセットする。
4、 前記3と反対に、鋳造金型の背が低い場合のスプレーヘッドの昇降ストロークSy端をY1にセットする。など。
このように、前記1,2,3,4のうちどのような組み合わせの動作でも,コンピュータにプログラム化して記憶させれば、いつでも必要に応じて、その動作システムを容易に取り出して、動作させる事が可能となる。この応用例として前記1と3、あるいは1と4を組み合わせる等がその例である。
【0022】
スプレーヘッド部の昇降ストロークSyで、任意位置例えばY3からY2までの下降動作で、エアーブローで成形金型を急冷させたり、或いは昇降ストロークSyのY2からY3までの上昇動作で、離型剤を噴霧させたりするプログラムを自動制御盤内のコンピュータに組み込む事により、作動動作が可能となる。
【0023】
前記
【0022】に関して
スプレーヘッド部の下降ストロークSy中に、ボールノズル8から噴霧動作をするだけではなく、スプレーヘッド部の上昇ストロークSy中に、ボールノズル8から噴霧動作をする事も出来る。さらにスプレーヘッド部の横行ストロークSx中(前進時や後退時)でも、ボールノズルから噴霧動作が出来る事は勿論である。
【0024】
ダイカスト製品の材質や形状に応じて、ダイカスト鋳造条件が決められる事は、前述の通りであるが、昨今、多品種少量生産の傾向が依然として多い。従って鋳造金型の種類が多くなり、それに伴ってスプレー条件も、ダイカスト生産サイクルに追従しなければならない。このような斯界の要望に即応出来るスプレー装置を開発したのが本発明である。
【0025】
スプレーヘッド部には、ノズル取付プレート7に、多数個の図4に示すボールノズル8が取り付けられ、各個々にスプレー噴射角度を自在に設定出来る。この単体のスプレー吹付管8d(図4参照)は、スプレーヘッド移動中に破損等する事があっても、該破損品と新品との交換が容易に出来るように、しかも、スプレー吹付角度も、任意角度に調整できるように、スプレー吹付管8dの内部側に、球面ナット8cで螺着されており、さらに位置決めナット8bで噴霧角度を調節後固定する。
【0026】
ボールノズル8の構造は、図4と図5及び図6に示す通り、ノズル取付プレート7に取付ナット8aを螺着し、既にスプレー吹付管8dと球面ナット8cが螺着され、1体化されたスプレー吹付管8dを位置決めナット8bに内接嵌挿後、ノズル取付プレート7に螺着されている取付ナット8aに、位置決めナット8bを回して少しずつ締め、完全に螺着する寸前にスプレー吹付管8dの噴霧角度を調節した上で、前記位置決めナット8bを完全に螺着させて、ボールノズル8の設定・取り付けが完了する。
【0027】
スプレー吹付管8dは、ダイカストマシンの稼動中に他の物体に接触したり、又は何らかの物体が落下したりして、該スプレー吹管8dに当たり破損等生ずる。この破損等を生じたスプレー取付管8dと、新品のスプレー吹付管8′dを手早く交換しなければならない。その時は該スプレー吹付管8dを、緩め方向に単に回すだけで簡単に球面ナット8cから外される。そののち破損部品を別段用意した新しいスプレー吹付管8′dと交換して、従来の球面ナット8cと新品の吹付管8′dを螺着させて1体化させる。
【0028】
この1体化された球面ナット8cと吹付管8′dは、位置決めナット8bに内接嵌挿して本来取り付けられていた、ノズル取付プレート7の位置に螺着させて固定するのであるが、旧品を取り外す前に旧品のノズル吹付管8dが、ある角度に取り付けられていた場合は、それに適応したような傾斜角度で取り付けられる事は勿論である。
【0029】
従来のスプレー装置の噴霧口ノズルは,管式が主流である。このためにダイカスト製品の厚みや形状に適する、管式スプレーパイプの長さを色々と変えたり、折り曲げ角度を調節したりして、金型厚みの変化や形状に対応している。その結果、現在ダイカスト業界が保有する管式スプレーの数が非常に多くなっている。
【0030】
前記
【0029】に関して
1、 これらの数多くある管式スプレーも、本発明のスプレーヘッド部へ装着が可能なように、図7に示すハウジング5に複数個設けられたクランプ9の単なる開閉動作だけで、ワンタッチでハウジング5に吊架できる。
2、 図7(a)に示すように、スプレーヘッドが単に昇降動作だけで、横行移動しない管式スプレーヘッドでは、噴霧口パイプを長く折り曲げて成形金型になるべく近くに設けられている。
3、 図7(b)は、スプレーヘッドが昇降動作と横行動作ができるタイプであるから、噴霧口パイプの折り曲げは出来る限り短く設けられている。
【0031】
さらに、図8に示すアトマイザー方式のスプレー噴霧方法も、本発明のスプレーヘッド部へ装着が可能なように設けられる事も勿論である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の、ダイカストマシン用スプレー装置及び自動制御方法は、以上のように構成されるので、次のような効果がある。
1、 請求項1及び2の構成により、ダイカスト鋳造品の製造工程において、ダイカスト鋳造品を鋳造金型から取り出す際、鋳造金型を急冷や徐冷させ、また被鋳造品を鋳造金型から取り出した後の、鋳造金型の清掃並びに離型剤の塗布・噴霧を、最も効率の良い方法で実施出来る。
2、 請求項3の構成により、取付ナット8aのスプレー吹付管8dが破損等して、取替えが必要となった時でも、スプレー吹付管8dの着脱のみで、簡単に新品と交換ができ、しかもスプレー噴霧角度の設定や角度の再調節も、容易に出来る事からダイカストマシンの生産サイクルを大きく乱す事がない。
3、 またボールノズル8は、ノズル取付プレート7に多数個取り付けられているので、ダイカスト鋳造品の大きさや金型の形状などにも、幅広い範囲で対応出来るようになっているが、被鋳造品の材質・形状等の鋳造条件の変化では、本発明のスプレーヘッド部分のハウジング部5は、昇降フレーム4に固定されているが、ハウジング部5から下部のマニホールド6(図3参照)とノズル取付プレート7が1体化されており、この1体化されたブロック(前記マニホールド6とノズル取付プレート7を指す)がハウジング部分5から簡単に着脱出来るようにワンタッチ式クランプ9を設けている。
4、 従来から鋳造現場が所有する鋳造金型に対応して数多く作られたスプレー装置(管式やアトマイザー式)も、本発明の請求項1及び2の構成により、スプレー装置の前進⇔後退や下降⇔上昇の動作がスムーズに発動し、また停止する際にも停止位置に誤差なくスムーズに停止する。
5、 前記4に関して
鋳造金型の厚みや形状に対応して作られたスプレー装置も、本発明の請求項1及び2の構成により、動作の態様が色々な時間差で多種類の方法が選定できるから、既存のスプレー装置でも最も効果的な噴霧結果が得られる。
6、 同前4に関して
スプレー装置の横行ストロークの前進限や後退限ならびに昇降ストロークの上昇限や下降限以外の任意点、例えばX1やX3あるいはY1やY3等の複合的な組み合わせの動作の態様を選定し、これを実行出来る事からスプレー噴霧効果をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念図で(a)は全体図であり、(b)は動作線図である。
【図2】スプレー装置組立図。
【図3】スプレーヘッド部組立図。
【図4】ボールノズル組立断面図。
【図5】ボールノズルの取り付け態様が異なるもので(a)はノズル取り付けプレートに対して直角に取り付け,(b)は上下左右の任意角度の取り付け可とするもの。
【図6】ボールノズルの組立順序を示し(a)は位置決めナット、(b)はスプレー吹付管、(c)は球面ナット、(d)は取付ナット。
【図7】従来の管式スプレーの取付概念図で、(a)は固定型、(b)は移動型を示す。
【図8】従来のアトマイザー噴霧方法の取付概念図。
【符号の説明】
1 横行用サーボモータ
2 昇降用サーボモータ
3 横行フレーム
4 昇降フレーム
5 ハウジング
6 マニホールド
7 ノズル取付プレート
8,8′ ボールノズル
8a 取付ナット 8b 位置決めナット
8c 球面ナット 8d スプレー吹付管
9 クランプ
10,10′管式スプレーヘッド
11 アトマイザ式スプレーヘッド
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカストマシン用スプレー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイカストマシンの金型内で溶融鋳造されたダイカスト製品は、ダイカストマシンの型開き後取出され、所定の位置に待機するスプレー装置が前進と下降の動作を順次行って、次の鋳造でダイカスト製品を離型しやすいように離型剤を成形金型に噴霧する。
【0003】
前記
【0002】に関して
スプレー装置の前進⇔後退や、下降⇔上昇などの駆動源は、空圧シリンダーや油圧シリンダーを用いているのが殆どであるが、ダイカスト製品の生産サイクルの短縮のため、前記空圧シリンダーや油圧シリンダーは、往復動作ともかなりの高速で作動させなければならない。しかし空圧シリンダーや油圧シリンダーは、構造上どうしても1次圧力側と2次圧力側の面積差のため、一定の速度の確保が困難である。
【0004】
同
【0002】に関して
特に、空圧シリンダーが従来から殆どの現場で使用されている現状では、定位置停止時のショックをやわらげるために、定位置停止直前に減速工程に入るが、その調整の難しさや、煩雑さなどで現場作業者の精神的・肉体的疲労が大きくなる。また、この減速工程の調整と並行して外部的なストッパーの調整も必要となってくる。
【0005】
同
【0002】に関して
空圧シリンダーや油圧シリンダー(今後これらを単に空圧シリンダー等と称す)を用いての駆動源では、定位置停止点が例えばスプレー装置の前進⇔後退や、下降⇔上昇等の動作では,前進限・後退限と下降限・上昇限の各2定点にしか設けられず、前進限と後退限、あるいは下降限と上昇限の中間点での任意位置の停止点の設定が不可能である。このことから離型剤をスプレーする際に、取り出すべきダイカスト製品の大きさや、肉厚・形状の変化や成形金型の温度などにより、微妙に変化する噴霧条件を考慮することなく、スプレー口から遠く離れている成形金型に向けて、多量のスプレー剤を吹き付けることにより、ダイカストマシン周辺の空気を汚し、ダイカストマシンの設置台数が多ければ多いほど、工場全体としても環境を悪化させ、今世界中が真剣に取り組んでいる環境汚染と地球温暖化対策にも逆行することになる。
【0006】
1、 従来のスプレー装置の噴霧口ノズルは、管式(管の材質は、銅やアルミ・鉄・樹脂等を含めて管と称す)が主流をなし、噴霧口のノズル(以後、単にスプレーノズルと称す)がダイカスト成形型を、急冷または徐冷させる目的と、離型しやすさのために噴霧するのであるが、スプレーノズルが定位置停止点より、停止時のショックや振動などで少しズレル事がしばしば生じる。このため、本来の目的とするスプレー噴霧を、最も効果的な量、すなわち最小の噴霧量で最大の離型効果を求めることができない。
2、 ダイカスト業界では、多品種少量生産が殆どを占める現況では、それぞれのダイカスト成形金型に対応したスプレーヘッド部を数多く持たなければならない。
3、 前記2に関して
スプレーヘッド部の駆動源が空圧シリンダー等であるため、スプレーヘッド装置の動作の態様が数少なく限定される。
4、 前記2に関して
ダイカスト成形金型の厚みの大小により、管式スプレーのパイプ長さを色々と変えたり折り曲げたり(図7参照)して金型の厚みの変化に対応している。
【0007】
前記
【0006】に関して
スプレー装置の停止位置の精度が空圧シリンダー等では、定位置停止時のショックや振動などで停止位置にバラツキが出るため、スプレーヘッドから出てくるスプレー用管は、少し長めに取り付けられているので、スプレー用管の設置方向によっては、強い圧力の離型剤の噴霧力によって、スプレー用管自体が固有振動数に似た振動を起こすこともしばしば生じる。
【0008】
したがって、スプレーヘッドから突設されたスプレー用管は、極力短くしかも被噴霧点とスプレー用管の噴霧口が同一線上にあることが理想であるが、空圧シリンダー等での駆動源では、停止精度にバラツキがあるため、スプレーヘッドから突設されたスプレー用管は、どうしても長く設けなければならない。
【0009】
前記
【0008】に関して
前記のようにスプレーヘッドから突設されたスプレー用管は、長いためダイカスト製品や型周辺に付着したバリなどの除去のために、エアーを吹き付けるが、この補助的な操作のために、長く突設されスプレー用管が噴霧方向の位置ズレを生じやすい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前記のようにスプレー装置の前進⇔後退、下降⇔上昇等の駆動源を空圧シリンダー等で作動させるのではなく、サーボモータ(ここで表現するサーボモータには一般に使われているサーボモータ以外に、インバータモータやスティッピングモータも含む)駆動方式を採用した。この方式により次の利点が得られる。
1、 サーボモータによる駆動方式のため、停止⇒始動⇒高速移動⇒減速⇒停止の動作を自動的に組み込める。
2、 動作の態様が(前記の停止⇒始動⇒高速移動⇒減速⇒停止)いろいろな時間差で多種類の方法が選定でき、またその作動回路選定や再起動の際の選定方法が容易となり、現場作業者には熟練度を必要とせず、したがって精神的・肉体的な疲労も軽減できる。
3、 サーボモータによる駆動方式のため、スプレー装置の前進⇔後退と下降⇔上昇の複合動作、例えばスプレー装置の前進中に一定の時間差を設けて、スプレー装置の下降動作を設定し、あるいはスプレー装置の前進限に停止後、スプレー装置が下降ストローク内であれば、任意の位置に停止させる点を1箇所または複数箇所設ける。その複数箇所設けた点、例えばY1、Y2、Y3、…とした場合、上から順番に間欠動作(停止、移動、停止、移動…)するシステム回路を自動制御盤に組み込み、ダイカスト生産サイクルに最適な噴霧サイクルを選択して、これを実行すればよい。
4、前記3に関して
サーボモータ駆動方式のため、スプレー装置の前進⇔後退と下降点上昇の複合動作が選べるから、スプレーノズルの先端が極力金型に接近させて噴霧できる。このため噴霧離型剤の量が、最小であるにもかかわらず優れた離型効果が得られ、その結果ダイカストマシン周辺の環境汚染を最小限度に低く抑えられる。
5、 同一ダイカストマシンで成形されるダイカスト製品は、種類が多くその都度スプレー吹付けパターンが異なるが、それらのパターンすべてを認識し、記憶できる自動サイクルをコンピュータ回路内に組み込み、これを必要に応じて動作回路として活用することが容易である。
6、 ダイカストマシンの成形金型のスプレーの噴霧条件は、最適となるべきでこれには吹付けるスプレーの量(エアーや水・離型剤など)、圧力、そして温度・希釈倍率にも影響をおよぼす。このように、スプレーの噴霧条件が最適となれば、最小限のエアー源や水源並びに離型剤の供給動力源で賄えるので、使用電力も少なくてすむ。
7、 以上のように、ダイカストマシンのスプレー装置の制御が、単純化されるので、スプレー装置の正常運転の維持管理が容易であるばかりでなく、エアー源や水源並びに離型剤の供給動力源の保守・点検などの管理も1元的に管理しやすくなる。
【0011】、
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明のダイカスト用スプレー装置は、次の手段を用いて解決する。
1、 スプレー装置の駆動方式を2組のサーボモータ駆動方式とし、1組はスプレー装置の前進⇔後退(X軸方向)移動、他の1組はスプレー装置の下降⇔上昇(Y軸方向)移動に用いる。
2、 さらに前記記載の昇降部分の先端には、スプレーヘッド部と称する部分を設ける。スプレーヘッド部の構成は、ボールノズルを多数個取り付けられたノズル取付プレートと、マニホールドとから成り該マニホールドには、クランプを複数個設ける。これはノズル取付プレートの取替え・交換に必要な着脱を、ワンタッチ式で吊架できるように設ける。
3、 ノズル取付プレート先端には、多数個のボールノズルを取り付けるが、この設置個数は、ダイカスト鋳造品の形状や肉厚さらに製品の数取り数などの条件で決められる。
4、 ノズル取付プレートに取り付けられた、ボールノズルからの噴霧は、前記ダイカスト鋳造品の形状・肉厚などの諸条件を考慮して決められるが、それと同時に取付けられた全ボールノズルを、数個所のブロックに分割して、圧力差,流量差などを設けて、吹き付ける事も可能となる。
5、 ノズル取付プレート先端に設けられた、ボールノズルの吹付管は、稼動中に離型剤の目詰まりや、噴霧後スプレーヘッド部の移動中(X軸・Y軸とも)に、他の装置の1部構造物に触れたり製品取り出し時、または鋳造後の残材・バリなどに接触して、ボールノズルのスプレー吹付管が、折れたり曲げられたりして破損する事がある(今後このようにスプレー吹付管が、折れたり曲げられたり目詰まりなどして、使用できなくなった状態を含めて、単に破損等と表現する)。
6、 前記5に関して
前記ノズル取付プレート先端に設けられた、ボールノズルの吹付管が、破損等した場合、ボールノズルのスプレー吹付管のみを、簡単に交換できるようにしたのも特徴である。
7、 また破損等したボールノズルのスプレー吹付管を、新品のボールノズル吹付管と交換したあと、旧品(破損した物)と全く同じ状態に取り付けられるし、さらに必要があれば噴霧角度の再調整も可能となる。
【0012】
【発明の実態の形態】
本発明のダイカストマシン用スプレー装置は、従来の空圧シリンダー等を使用することなく、ダイカスト製品の生産サイクル短縮のため、スプレー装置の横行動作並びに昇降動作を高速化でき、しかもスプレー装置の定位置停止時のショックや振動をなくすることが出来るから、停止位置の誤差が生じない。
【0013】
従来の空圧シリンダー等を使用する駆動方式では、空圧シリンダー等のストローク端では,正確に停止位置を確保できるが、このストローク中間点の任意の位置では、停止位置の設定や停止精度を求めるのが不可能である。
【0014】
この従来の駆動方法に対して、本発明のスプレー装置の駆動方法は、サーボモータ駆動方法を採用し、X軸方向の動きとY軸方向の動きを,コンピュータを使って、作動回路を記憶させる事により、どのような操作手順でも簡単にコンピュータ回路より取り出して、起動⇔停止や上昇⇔下降の作動回数や停止位置も、ダイカスト生産サイクルに合わせて設定出来る。
【0015】
本発明のスプレー装置のスプレーヘッド部も、従来方式の管式スプレーと違って、ノズル取付プレートに取り付けられた多数個のボールノズルを、いくつかのブロックに分割して噴霧させる構造とするため、前記各ブロックに圧力差や流量差を設けてエアー・水・離型剤を噴霧させる事が可能となる。
【0016】
前記ボールノズルの吹付管は、ダイカストマシンの稼動中によく破損等するものであるがその場合スプレー吹付管8dは、位置決めナット8bで固定されている球面ナット8cと螺着され1体化されているが、該スプレー吹付管8dを緩める方向に回すことにより、簡単に球面ナット8cから外されるから、新しいスプレー吹付管8′dを、球面ナット8cに螺着させればよい。
【0017】
前記スプレー吹付管8dの、取り付け方向は図5(a)に示すようにX軸方向に並行や、図5(b)に示すような任意角度で固定する場合もある。この角度調節は位置決めナット8bを、手で少し緩め他方の手でスプレー吹付管8dの先端部を持って噴霧角度が最適となるような、角度を選んで仮に位置決めナット8bで軽く固定してから、最後に位置決めナット8bを振動などで緩むことなく、十分に締めて固定させるとスプレー吹付管8dの交換は終了する。
【0018】
【実施例】
本発明の実施例を図面によって説明する。
図1は、本発明の概念図で(a)は全体図、(b)は動作線図。図2は、スプレー装置組立図。図3は、スプレーヘッド部の組立図。図4は、ボールノズルの組立断面図。図5は、図4に示すボールノズルの他の使用組立図で、(a)はスプレー吹付管の噴霧方向がノズル取付プレートに対して直角になるもの、(b)はスプレー吹付管の噴霧方向がノズル取付プレートに対して、上下・左右自在に角度調節して、取り付けられる事を示す。図6は、ボールノズルを構成する部品を、組付け順序を示したもので(a)は位置決めナット、(b)はスプレー吹付管、(c)は球面ナット、(d)は取付ナットを示す。図7は、従来の管式スプレーの取付概念図で(a)は固定型、(b)は移動型を示す。図8はアトマイザー噴霧方法の取付概念図。
【0019】
図1と図2に示す本発明のスプレー装置は、スプレー装置全体が横行用サーボモータ1によって鋳造サイクル開始前の待機位置(後退限)から、自動制御盤内(図省略)にプログラムされた動作の発動によって、始動時は緩やかに発進し、少しずつ速度を上げて動く。そして指定された停止位置(X0、X1、X2、X3、……)直前で、速度を緩やかに減速して、所定の停止位置に停止する。
【0020】
またスプレーヘッド部は、前記横行用サーボモータ1の動作と関連して、昇降用サーボモータ2が、自動制御盤内にプログラムされた動作の発動によって、始動時は緩やかに動き、時間の経過と共に滑り落ちるようにスムーズに下降して、指定された停止位置(Y0、Y1、Y2、Y3、……)直前で、これも速度を緩やかに減じて所定の停止位置に停止する。
【0021】
前記
【0019】と
【0020】に関して
本発明のスプレー装置用自動制御盤のプログラムは、ダイカストマシンの鋳造条件に最適なスプレーノズルの噴霧位置をセットし、いろいろの停止位置の組み合わせが可能となる。例えば
1、 鋳造金型の厚みが厚い場合にスプレーヘッドの横行ストローク端SxをX1にセットする。
2、 あるいは鋳造金型の厚みが薄い場合に、スプレーヘッドの横行ストロークSx端をX3にセットする。など。
3、 また、鋳造金型の背の高さが高い場合のスプレーヘッドの昇降ストロークSy端をY3にセットする。
4、 前記3と反対に、鋳造金型の背が低い場合のスプレーヘッドの昇降ストロークSy端をY1にセットする。など。
このように、前記1,2,3,4のうちどのような組み合わせの動作でも,コンピュータにプログラム化して記憶させれば、いつでも必要に応じて、その動作システムを容易に取り出して、動作させる事が可能となる。この応用例として前記1と3、あるいは1と4を組み合わせる等がその例である。
【0022】
スプレーヘッド部の昇降ストロークSyで、任意位置例えばY3からY2までの下降動作で、エアーブローで成形金型を急冷させたり、或いは昇降ストロークSyのY2からY3までの上昇動作で、離型剤を噴霧させたりするプログラムを自動制御盤内のコンピュータに組み込む事により、作動動作が可能となる。
【0023】
前記
【0022】に関して
スプレーヘッド部の下降ストロークSy中に、ボールノズル8から噴霧動作をするだけではなく、スプレーヘッド部の上昇ストロークSy中に、ボールノズル8から噴霧動作をする事も出来る。さらにスプレーヘッド部の横行ストロークSx中(前進時や後退時)でも、ボールノズルから噴霧動作が出来る事は勿論である。
【0024】
ダイカスト製品の材質や形状に応じて、ダイカスト鋳造条件が決められる事は、前述の通りであるが、昨今、多品種少量生産の傾向が依然として多い。従って鋳造金型の種類が多くなり、それに伴ってスプレー条件も、ダイカスト生産サイクルに追従しなければならない。このような斯界の要望に即応出来るスプレー装置を開発したのが本発明である。
【0025】
スプレーヘッド部には、ノズル取付プレート7に、多数個の図4に示すボールノズル8が取り付けられ、各個々にスプレー噴射角度を自在に設定出来る。この単体のスプレー吹付管8d(図4参照)は、スプレーヘッド移動中に破損等する事があっても、該破損品と新品との交換が容易に出来るように、しかも、スプレー吹付角度も、任意角度に調整できるように、スプレー吹付管8dの内部側に、球面ナット8cで螺着されており、さらに位置決めナット8bで噴霧角度を調節後固定する。
【0026】
ボールノズル8の構造は、図4と図5及び図6に示す通り、ノズル取付プレート7に取付ナット8aを螺着し、既にスプレー吹付管8dと球面ナット8cが螺着され、1体化されたスプレー吹付管8dを位置決めナット8bに内接嵌挿後、ノズル取付プレート7に螺着されている取付ナット8aに、位置決めナット8bを回して少しずつ締め、完全に螺着する寸前にスプレー吹付管8dの噴霧角度を調節した上で、前記位置決めナット8bを完全に螺着させて、ボールノズル8の設定・取り付けが完了する。
【0027】
スプレー吹付管8dは、ダイカストマシンの稼動中に他の物体に接触したり、又は何らかの物体が落下したりして、該スプレー吹管8dに当たり破損等生ずる。この破損等を生じたスプレー取付管8dと、新品のスプレー吹付管8′dを手早く交換しなければならない。その時は該スプレー吹付管8dを、緩め方向に単に回すだけで簡単に球面ナット8cから外される。そののち破損部品を別段用意した新しいスプレー吹付管8′dと交換して、従来の球面ナット8cと新品の吹付管8′dを螺着させて1体化させる。
【0028】
この1体化された球面ナット8cと吹付管8′dは、位置決めナット8bに内接嵌挿して本来取り付けられていた、ノズル取付プレート7の位置に螺着させて固定するのであるが、旧品を取り外す前に旧品のノズル吹付管8dが、ある角度に取り付けられていた場合は、それに適応したような傾斜角度で取り付けられる事は勿論である。
【0029】
従来のスプレー装置の噴霧口ノズルは,管式が主流である。このためにダイカスト製品の厚みや形状に適する、管式スプレーパイプの長さを色々と変えたり、折り曲げ角度を調節したりして、金型厚みの変化や形状に対応している。その結果、現在ダイカスト業界が保有する管式スプレーの数が非常に多くなっている。
【0030】
前記
【0029】に関して
1、 これらの数多くある管式スプレーも、本発明のスプレーヘッド部へ装着が可能なように、図7に示すハウジング5に複数個設けられたクランプ9の単なる開閉動作だけで、ワンタッチでハウジング5に吊架できる。
2、 図7(a)に示すように、スプレーヘッドが単に昇降動作だけで、横行移動しない管式スプレーヘッドでは、噴霧口パイプを長く折り曲げて成形金型になるべく近くに設けられている。
3、 図7(b)は、スプレーヘッドが昇降動作と横行動作ができるタイプであるから、噴霧口パイプの折り曲げは出来る限り短く設けられている。
【0031】
さらに、図8に示すアトマイザー方式のスプレー噴霧方法も、本発明のスプレーヘッド部へ装着が可能なように設けられる事も勿論である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の、ダイカストマシン用スプレー装置及び自動制御方法は、以上のように構成されるので、次のような効果がある。
1、 請求項1及び2の構成により、ダイカスト鋳造品の製造工程において、ダイカスト鋳造品を鋳造金型から取り出す際、鋳造金型を急冷や徐冷させ、また被鋳造品を鋳造金型から取り出した後の、鋳造金型の清掃並びに離型剤の塗布・噴霧を、最も効率の良い方法で実施出来る。
2、 請求項3の構成により、取付ナット8aのスプレー吹付管8dが破損等して、取替えが必要となった時でも、スプレー吹付管8dの着脱のみで、簡単に新品と交換ができ、しかもスプレー噴霧角度の設定や角度の再調節も、容易に出来る事からダイカストマシンの生産サイクルを大きく乱す事がない。
3、 またボールノズル8は、ノズル取付プレート7に多数個取り付けられているので、ダイカスト鋳造品の大きさや金型の形状などにも、幅広い範囲で対応出来るようになっているが、被鋳造品の材質・形状等の鋳造条件の変化では、本発明のスプレーヘッド部分のハウジング部5は、昇降フレーム4に固定されているが、ハウジング部5から下部のマニホールド6(図3参照)とノズル取付プレート7が1体化されており、この1体化されたブロック(前記マニホールド6とノズル取付プレート7を指す)がハウジング部分5から簡単に着脱出来るようにワンタッチ式クランプ9を設けている。
4、 従来から鋳造現場が所有する鋳造金型に対応して数多く作られたスプレー装置(管式やアトマイザー式)も、本発明の請求項1及び2の構成により、スプレー装置の前進⇔後退や下降⇔上昇の動作がスムーズに発動し、また停止する際にも停止位置に誤差なくスムーズに停止する。
5、 前記4に関して
鋳造金型の厚みや形状に対応して作られたスプレー装置も、本発明の請求項1及び2の構成により、動作の態様が色々な時間差で多種類の方法が選定できるから、既存のスプレー装置でも最も効果的な噴霧結果が得られる。
6、 同前4に関して
スプレー装置の横行ストロークの前進限や後退限ならびに昇降ストロークの上昇限や下降限以外の任意点、例えばX1やX3あるいはY1やY3等の複合的な組み合わせの動作の態様を選定し、これを実行出来る事からスプレー噴霧効果をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念図で(a)は全体図であり、(b)は動作線図である。
【図2】スプレー装置組立図。
【図3】スプレーヘッド部組立図。
【図4】ボールノズル組立断面図。
【図5】ボールノズルの取り付け態様が異なるもので(a)はノズル取り付けプレートに対して直角に取り付け,(b)は上下左右の任意角度の取り付け可とするもの。
【図6】ボールノズルの組立順序を示し(a)は位置決めナット、(b)はスプレー吹付管、(c)は球面ナット、(d)は取付ナット。
【図7】従来の管式スプレーの取付概念図で、(a)は固定型、(b)は移動型を示す。
【図8】従来のアトマイザー噴霧方法の取付概念図。
【符号の説明】
1 横行用サーボモータ
2 昇降用サーボモータ
3 横行フレーム
4 昇降フレーム
5 ハウジング
6 マニホールド
7 ノズル取付プレート
8,8′ ボールノズル
8a 取付ナット 8b 位置決めナット
8c 球面ナット 8d スプレー吹付管
9 クランプ
10,10′管式スプレーヘッド
11 アトマイザ式スプレーヘッド
Claims (4)
- ダイカストマシンのスプレー装置において、スプレーヘッド部のX軸方向の前進⇔後退移動と、Y軸方向の上昇⇔下降移動をサーボモータ駆動方式として、その作動手順をX軸方向ならびにY軸方向とも、複合的に動作を可能とさせるもので、
【発明が解決しようとする課題】並びに
【実施例】の項で記載の通り、スプレー装置の横行装置の前進⇔後退と、スプレーヘッド部の昇降装置の上昇⇔下降の複合動作(前進中に上昇したり下降したり、若しくは後退中に上昇や下降をする動作)に一定の時間差を設けてスプレーヘッド部の噴霧口から水やエアー、離型剤を成形金型に最適の量を噴霧させて、ダイカストの生産サイクルを短縮させることを特徴とする自動スプレー装置。 - ダイカストマシンのスプレー装置において、スプレーヘッド部のX軸方向の前進⇔後退とY軸方向の上昇⇔下降をサーボモータ駆動方式として、その作動手順をX軸方向ならびにY軸方向とも、複合的に動作を可能とさせるもので、前記請求項1記載のスプレー装置の横行装置とスプレーヘッド部の昇降装置から構成されたスプレー装置をダイカスト生産サイクル内に収まるように、関連動作をコンピュータがプログラム通り、自動制御する自動制御装置(図省略)を有する事を特徴とする自動スプレー装置。
- 前記請求項1及び2において、スプレー装置のスプレーヘッド部(図3)のノズル取付プレートに突設されたボールノズルの構造が、
【実施例】に詳細に記載の通り、ダイカストマシンの稼動中に何らかのトラブルで、スプレー吹付管の破損等で新品と交換する必要がある場合、スプレー吹付管8dのみの交換では、該スプレー吹付管8d(図4参照)の着脱だけで交換が出来る。またボールノズル全体の交換は、取付ナット8aのナットの着脱だけで交換が出来る。以上のように、スプレーヘッドの部分的な交換作業のみで簡単に出来るから、ダイカストマシンの生産サイクル内に影響を及ぼさない。このように、スプレー装置において、スプレーヘッド部のスプレー吹付管8dの構造は、球面ナット8cとスプレー吹付管8dに螺着され1体化されている。また当該スプレー吹付管8dを任意の噴霧角度に固定できる位置決めナット8b、さらにノズル取付プレート7に固定する取付ナット8aとから構成されることを特徴とするスプレーヘッド装置。 - 前記請求項1と2及び3において、スプレー装置のスプレーヘッド部のノズル取付プレート7に突設されたボールノズル8に変わり、従来から使用されている管式ノズル10,10′やアトマイザー方式の噴霧方法も、
【実施例】に詳細に記載の通り、ハウジング5に設けられたクランプ9を開閉操作で開放して、取り付けられていたマニホールド6と1体化されているノズル取付プレート7を取り出し、その後成形金型の噴霧条件に適した、従来型管式スプレー10,10′又はアトマイザー方式の噴霧マニホールド11を、ワンタッチで着脱できるようにハウジング5(図7及び8参照)に設けられているクランプ9を介して着装出来る。このように、本発明のボールノズル噴霧装置や、従来型噴霧装置も必要に応じて、随時交換が出来ることを特徴とするスプレーヘッド装置。
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