JP2005034707A - アダマンタン類製造用触媒及びそれを用いたアダマンタン類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物の異性化反応に用いられ、塩化水素を必要としない上、廃液処理などの厄介な操作も必要とせず、高収率でアダマンタン類を製造することができる触媒、及びこの触媒を用いて、上記異性化反応により、高収率でアダマンタン類を製造し得る工業的に有利な方法を提供する。
【解決手段】硫酸化ジルコニアに活性金属を担持してなるアダマンタン類製造用触媒、及び上記触媒の存在下、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化するアダマンタン類の製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】硫酸化ジルコニアに活性金属を担持してなるアダマンタン類製造用触媒、及び上記触媒の存在下、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化するアダマンタン類の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アダマンタン類製造用触媒及びそれを用いたアダマンタン類の製造方法に関し、さらに詳しくは、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物の異性化反応に用いられ、高収率でアダマンタン類を製造することができる触媒、及びこの触媒を用いて、上記異性化反応により、高収率でアダマンタン類を製造する工業的に有利な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、カゴ形に結合した構造を有し、対称性が高く、安定な化合物であり、このようなアダマンタン骨格を有するアダマンタン類は、特異な機能を示すことから、潤滑剤、あるいは農医薬原料や高機能性工業材料の原料などとして有用であることが知られている。このアダマンタン類を製造する方法として、一般に、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化する方法が採用されている。そして、この異性化反応に際しては、一般に塩化アルミニウムが触媒として用いられている。例えばアダマンタンは、ジシクロペンタジエン(DCPD)を水添して得られるトリメチレンノルボルナン(TMN)を触媒により異性化させることによって得られ、そして該触媒として、工業的には塩化アルミニウムが使用される。また、固体触媒として、陽イオン交換したゼオライトに白金、レニウム、ニッケル、コバルトなどの活性金属を含浸法で担持したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、アルキルアダマンタン類の製造用固体触媒として、γ−アルミナやジルコニアに、硫酸イオンを担持した触媒なども知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、塩化アルミニウムを触媒としてアダマンタン類を製造する場合、触媒を大量に使用する必要がある上、該触媒は反応中に重質分と錯形成するため、再使用することができない。したがって、この方法を用いた場合、大量の廃アルミニウムが生成することになり、この廃棄処理は、環境汚染の問題を引き起こす原因となる。また、塩化アルミニウムは強腐食性を有し、高価な耐腐食性材質の装置を使用する必要がある。さらに、塩化アルミニウムを用いた場合、生成したアダマンタン類が着色するため、再結晶及び活性炭などによる脱色工程が必要となり、後処理工程が煩雑になるのを免れないという問題がある。
一方、陽イオン交換したゼオライトに白金、レニウム、ニッケル、コバルトなどの活性金属を含浸法で担持した触媒を用いるアダマンタンの製造方法においては、塩化水素を共存させないと収率が低い(TMN転化率79.5%、アダマンタン選択率10.1%、アダマンタン収率8.0%)。したがって、塩化水素は不可欠であり、塩化水素の強腐食性のため、高価な耐腐食性材質の装置を使用する必要があるなどの問題を有している。
さらに、ジルコニアに硫酸イオンを担持した触媒は、活性金属を担持していない状態では、アダマンタン類の収率が極めて低いという問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特公昭52−2909号公報
【特許文献2】
特開平4−317743号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下でなされたもので、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物の異性化反応に用いられ、塩化水素を必要としない上、廃液処理などの厄介な操作も必要とせず、高収率でアダマンタン類を製造することができる触媒、及びこの触媒を用いて、上記異性化反応により、高収率でアダマンタン類を製造し得る工業的に有利な方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、硫酸化ジルコニアに活性金属を担持してなる固体触媒により、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)硫酸化ジルコニアに活性金属を担持してなることを特徴とするアダマンタン類製造用触媒、
(2)担持する活性金属が、周期律表第8〜10族に属する金属及びReの中から選ばれる少なくとも一種である上記(1)のアダマンタン類の製造用触媒、
(3)担持する活性金属が、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt及びReの中から選ばれる少なくとも一種である上記(2)のアダマンタン類製造用触媒、
(4)担持する活性金属がPtである上記(3)のアダマンタン類製造用触媒、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの触媒の存在下、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化することを特徴とするアダマンタン類の製造方法、及び
(5)炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物が、トリメチレンノルボルナンである上記(5)のアダマンタン類の製造方法、
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のアダマンタン類製造用触媒は、硫酸化ジルコニアに活性金属を担持してなる固体触媒である。
本発明の固体触媒において、担体として用いられる硫酸化ジルコニアは、ジルコニアを硫酸で処理し、焼成処理することによって、該ジルコニアに硫酸イオンを担持させたものである。
前記硫酸化に使用するジルコニアの性状については特に制限はないが、得られる個体触媒の単位質量当たりの活性点の数を多くするために、比表面積の大きなものが好ましい。
前記ジルコニアに硫酸イオンを担持させるには、例えば0.05〜2モル/L程度の濃度を有する硫酸水溶液を用い、通常室温にて浸漬法又はスプレー法などの手段により、該硫酸水溶液とジルコニアを接触させたのち、空気気流中又は窒素などの不活性ガス気流中で焼成処理する方法などを用いることができる。焼成処理温度は、通常400〜750℃、好ましくは450〜700℃の範囲で選定され、焼成処理時間は、通常1〜10時間程度である。
【0008】
このようにして得られた硫酸化ジルコニア中の硫酸イオンの担持量は、0.5〜5質量%の範囲にあるのが好ましい。
一方、前記硫酸化ジルコニアに担持させる活性金属としては、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物をアダマンタン類に異性化する活性機能を有する金属であればよく、特に制限はないが、例えば周期律表第8〜10族に属する金属及びReが好ましく、より好ましくはRu、Rh、Pd、Ir、Pt及びReであり、特にPtが好適である。これらの活性金属は一種を単独で担持させてもよく、二種以上を組み合わせて担持させてもよい。
前記活性金属の担持量は、特に制限はないが、触媒活性の点から、触媒全量に基づき、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。また、担持量の上限は、触媒活性及び経済性のバランスなどの点から、通常5質量%程度である。
活性金属の担持方法としては特に制限はなく、従来公知の方法の中から任意の方法を適宣選択して用いることができる。例えば、硫酸化ジルコニアを混練しながら、これに、該硫酸化ジルコニアの細孔容積量の活性金属の塩又は錯塩水溶液を加えたのち、乾燥処理後、焼成処理することにより、活性金属が担持された硫酸化ジルコニアからなる本発明の固体触媒が得られる。この際、焼成処理は、通常空気気流下、200〜800℃、好ましくは300〜600℃の範囲の温度で行われる。
このようにして得られた本発明の固体触媒の形状については特に制限はなく、粉末状、粒状、円柱状など、任意であってよい。
【0009】
次に、本発明のアダマンタン類の製造方法においては、前記のようにして調製された固体触媒の存在下、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化することにより、アダマンタン類を製造する。
本発明の方法において原料に用いる炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物としては、特に炭素数が10〜15の三環式飽和炭化水素化合物が好ましく、例えば、トリメチレンノルボルナン[テトラヒドロジシクロペンタジエン]、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロフェナレン、1,2−シクロペンタノパーヒドロナフタリン、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレンなどが挙げられる。さらに、これら化合物のアルキル置換体、例えば、9−メチルパーヒドロアントラセンなども好適なものとして挙げられる。これらの中では、特にトリメチレンノルボルナンが好適である。
これら炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物は、ジシクロペンタジエンやアセナフテンなどの原料化合物を、公知の水素添加用触媒、例えば、ラネーニッケルや白金などの存在下に水素添加することにより容易に得ることができる。
【0010】
上記の本発明の触媒を用いて、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化する際の反応条件については、反応温度は、通常100〜500℃、好ましくは150〜350℃であり、反応圧力は常圧もしくは加圧下に行えばよい。また、この反応は水素共存下に行うのがアダマンタン類の収率向上の点から好ましい。反応形式は、流通式、回分式のいずれであってもよい。流通式の場合、重量空間速度(WHSV)は、通常0.01〜20h−1、好ましくは0.1〜10h−1の範囲で選定され、水素/原料モル比は、通常0.1〜10、好ましくは1〜5の範囲で選定される。一方、回分式の場合、触媒の使用量は、触媒/原料質量比で、通常0.01〜2、好ましくは0.05〜1の範囲で選定される。また、反応時間は、通常1〜50時間程度である。
本発明の方法においては、このようにして異性化反応を行って得られた反応生成液に常法に従って晶析処理などの方法を施すことにより、純度の高いアダマンタン類を収率よく得ることができる。
【0011】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例におけるTMN(トリメチレンノルボルナン)転化率、アダマンタン選択率及びアダマンタン収率は、下記の式により算出した値である。
・TMN転化率=(1−反応後のTMN質量/反応前のTMN質量)×100
・アダマンタン選択率=[生成したアダマンタン質量/(反応前のTMN質量−反応後のTMN質量)]×100
・アダマンタン収率=(生成したアダマンタン質量/反応前のTMN質量)×100
【0012】
実施例1
(1)未焼成固体触媒の調製
Pt(NH3)4Cl2・H2O0.4513gを純水に溶かして4mLの水溶液を調製した。硫酸化ジルコニア(和光純薬工業社製)25gを混練しながら、上記Pt(NH3)4Cl2・H2O水溶液を徐々に加えた。全ての水溶液を添加したのち、120℃で12時間乾燥処理し、未焼成固体触媒を得た。この未焼成固体触媒中のPt担持量は0.97質量%であった。
(2)TMNの異性化
上記(1)で得られた未焼成固体触媒20gをSUS製反応管に充填し、空気気流下500℃で3時間焼成したのち、窒素置換後、常圧、水素気流下に300℃で2時間水素還元した。次いで、TMN及び水素の供給を開始し、200℃、5MPa、WHSV=0.8h−1、水素/TMNモル比=2の条件で連続的に反応を行った。原料供給開始50時間後の結果を第1表に示す。
【0013】
実施例2
実施例1(2)において、反応温度を250℃に変更した以外は、実施例1と同様にして触媒調製及び反応を行った。原料供給開始50時間後の結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1(2)において、触媒として白金を担持しない硫酸化ジルコニアを用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。原料供給開始50時間後の結果を第1表に示す。
比較例2
実施例2において、触媒として白金を担持しない硫酸化ジルコニアを用いた以外は、実施例2と同様に反応を行った。原料供給開始50時間後の結果を第1表に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
第1表から分かるように、白金を担持しない硫酸化ジルコニアを触媒とする比較例は、白金を担持した硫酸化ジルコニアを触媒とする実施例に比べて、TMN転化率及びアダマンタン収率が共に、はるかに低い。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物の異性化反応に用いられ、高収率でアダマンタン類を製造することができる固体触媒、及びこの触媒を用いて、上記異性化反応により、高収率でアダマンタン類を製造する方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アダマンタン類製造用触媒及びそれを用いたアダマンタン類の製造方法に関し、さらに詳しくは、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物の異性化反応に用いられ、高収率でアダマンタン類を製造することができる触媒、及びこの触媒を用いて、上記異性化反応により、高収率でアダマンタン類を製造する工業的に有利な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、カゴ形に結合した構造を有し、対称性が高く、安定な化合物であり、このようなアダマンタン骨格を有するアダマンタン類は、特異な機能を示すことから、潤滑剤、あるいは農医薬原料や高機能性工業材料の原料などとして有用であることが知られている。このアダマンタン類を製造する方法として、一般に、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化する方法が採用されている。そして、この異性化反応に際しては、一般に塩化アルミニウムが触媒として用いられている。例えばアダマンタンは、ジシクロペンタジエン(DCPD)を水添して得られるトリメチレンノルボルナン(TMN)を触媒により異性化させることによって得られ、そして該触媒として、工業的には塩化アルミニウムが使用される。また、固体触媒として、陽イオン交換したゼオライトに白金、レニウム、ニッケル、コバルトなどの活性金属を含浸法で担持したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、アルキルアダマンタン類の製造用固体触媒として、γ−アルミナやジルコニアに、硫酸イオンを担持した触媒なども知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、塩化アルミニウムを触媒としてアダマンタン類を製造する場合、触媒を大量に使用する必要がある上、該触媒は反応中に重質分と錯形成するため、再使用することができない。したがって、この方法を用いた場合、大量の廃アルミニウムが生成することになり、この廃棄処理は、環境汚染の問題を引き起こす原因となる。また、塩化アルミニウムは強腐食性を有し、高価な耐腐食性材質の装置を使用する必要がある。さらに、塩化アルミニウムを用いた場合、生成したアダマンタン類が着色するため、再結晶及び活性炭などによる脱色工程が必要となり、後処理工程が煩雑になるのを免れないという問題がある。
一方、陽イオン交換したゼオライトに白金、レニウム、ニッケル、コバルトなどの活性金属を含浸法で担持した触媒を用いるアダマンタンの製造方法においては、塩化水素を共存させないと収率が低い(TMN転化率79.5%、アダマンタン選択率10.1%、アダマンタン収率8.0%)。したがって、塩化水素は不可欠であり、塩化水素の強腐食性のため、高価な耐腐食性材質の装置を使用する必要があるなどの問題を有している。
さらに、ジルコニアに硫酸イオンを担持した触媒は、活性金属を担持していない状態では、アダマンタン類の収率が極めて低いという問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特公昭52−2909号公報
【特許文献2】
特開平4−317743号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下でなされたもので、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物の異性化反応に用いられ、塩化水素を必要としない上、廃液処理などの厄介な操作も必要とせず、高収率でアダマンタン類を製造することができる触媒、及びこの触媒を用いて、上記異性化反応により、高収率でアダマンタン類を製造し得る工業的に有利な方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、硫酸化ジルコニアに活性金属を担持してなる固体触媒により、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)硫酸化ジルコニアに活性金属を担持してなることを特徴とするアダマンタン類製造用触媒、
(2)担持する活性金属が、周期律表第8〜10族に属する金属及びReの中から選ばれる少なくとも一種である上記(1)のアダマンタン類の製造用触媒、
(3)担持する活性金属が、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt及びReの中から選ばれる少なくとも一種である上記(2)のアダマンタン類製造用触媒、
(4)担持する活性金属がPtである上記(3)のアダマンタン類製造用触媒、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの触媒の存在下、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化することを特徴とするアダマンタン類の製造方法、及び
(5)炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物が、トリメチレンノルボルナンである上記(5)のアダマンタン類の製造方法、
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のアダマンタン類製造用触媒は、硫酸化ジルコニアに活性金属を担持してなる固体触媒である。
本発明の固体触媒において、担体として用いられる硫酸化ジルコニアは、ジルコニアを硫酸で処理し、焼成処理することによって、該ジルコニアに硫酸イオンを担持させたものである。
前記硫酸化に使用するジルコニアの性状については特に制限はないが、得られる個体触媒の単位質量当たりの活性点の数を多くするために、比表面積の大きなものが好ましい。
前記ジルコニアに硫酸イオンを担持させるには、例えば0.05〜2モル/L程度の濃度を有する硫酸水溶液を用い、通常室温にて浸漬法又はスプレー法などの手段により、該硫酸水溶液とジルコニアを接触させたのち、空気気流中又は窒素などの不活性ガス気流中で焼成処理する方法などを用いることができる。焼成処理温度は、通常400〜750℃、好ましくは450〜700℃の範囲で選定され、焼成処理時間は、通常1〜10時間程度である。
【0008】
このようにして得られた硫酸化ジルコニア中の硫酸イオンの担持量は、0.5〜5質量%の範囲にあるのが好ましい。
一方、前記硫酸化ジルコニアに担持させる活性金属としては、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物をアダマンタン類に異性化する活性機能を有する金属であればよく、特に制限はないが、例えば周期律表第8〜10族に属する金属及びReが好ましく、より好ましくはRu、Rh、Pd、Ir、Pt及びReであり、特にPtが好適である。これらの活性金属は一種を単独で担持させてもよく、二種以上を組み合わせて担持させてもよい。
前記活性金属の担持量は、特に制限はないが、触媒活性の点から、触媒全量に基づき、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。また、担持量の上限は、触媒活性及び経済性のバランスなどの点から、通常5質量%程度である。
活性金属の担持方法としては特に制限はなく、従来公知の方法の中から任意の方法を適宣選択して用いることができる。例えば、硫酸化ジルコニアを混練しながら、これに、該硫酸化ジルコニアの細孔容積量の活性金属の塩又は錯塩水溶液を加えたのち、乾燥処理後、焼成処理することにより、活性金属が担持された硫酸化ジルコニアからなる本発明の固体触媒が得られる。この際、焼成処理は、通常空気気流下、200〜800℃、好ましくは300〜600℃の範囲の温度で行われる。
このようにして得られた本発明の固体触媒の形状については特に制限はなく、粉末状、粒状、円柱状など、任意であってよい。
【0009】
次に、本発明のアダマンタン類の製造方法においては、前記のようにして調製された固体触媒の存在下、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化することにより、アダマンタン類を製造する。
本発明の方法において原料に用いる炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物としては、特に炭素数が10〜15の三環式飽和炭化水素化合物が好ましく、例えば、トリメチレンノルボルナン[テトラヒドロジシクロペンタジエン]、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロフェナレン、1,2−シクロペンタノパーヒドロナフタリン、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレンなどが挙げられる。さらに、これら化合物のアルキル置換体、例えば、9−メチルパーヒドロアントラセンなども好適なものとして挙げられる。これらの中では、特にトリメチレンノルボルナンが好適である。
これら炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物は、ジシクロペンタジエンやアセナフテンなどの原料化合物を、公知の水素添加用触媒、例えば、ラネーニッケルや白金などの存在下に水素添加することにより容易に得ることができる。
【0010】
上記の本発明の触媒を用いて、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化する際の反応条件については、反応温度は、通常100〜500℃、好ましくは150〜350℃であり、反応圧力は常圧もしくは加圧下に行えばよい。また、この反応は水素共存下に行うのがアダマンタン類の収率向上の点から好ましい。反応形式は、流通式、回分式のいずれであってもよい。流通式の場合、重量空間速度(WHSV)は、通常0.01〜20h−1、好ましくは0.1〜10h−1の範囲で選定され、水素/原料モル比は、通常0.1〜10、好ましくは1〜5の範囲で選定される。一方、回分式の場合、触媒の使用量は、触媒/原料質量比で、通常0.01〜2、好ましくは0.05〜1の範囲で選定される。また、反応時間は、通常1〜50時間程度である。
本発明の方法においては、このようにして異性化反応を行って得られた反応生成液に常法に従って晶析処理などの方法を施すことにより、純度の高いアダマンタン類を収率よく得ることができる。
【0011】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例におけるTMN(トリメチレンノルボルナン)転化率、アダマンタン選択率及びアダマンタン収率は、下記の式により算出した値である。
・TMN転化率=(1−反応後のTMN質量/反応前のTMN質量)×100
・アダマンタン選択率=[生成したアダマンタン質量/(反応前のTMN質量−反応後のTMN質量)]×100
・アダマンタン収率=(生成したアダマンタン質量/反応前のTMN質量)×100
【0012】
実施例1
(1)未焼成固体触媒の調製
Pt(NH3)4Cl2・H2O0.4513gを純水に溶かして4mLの水溶液を調製した。硫酸化ジルコニア(和光純薬工業社製)25gを混練しながら、上記Pt(NH3)4Cl2・H2O水溶液を徐々に加えた。全ての水溶液を添加したのち、120℃で12時間乾燥処理し、未焼成固体触媒を得た。この未焼成固体触媒中のPt担持量は0.97質量%であった。
(2)TMNの異性化
上記(1)で得られた未焼成固体触媒20gをSUS製反応管に充填し、空気気流下500℃で3時間焼成したのち、窒素置換後、常圧、水素気流下に300℃で2時間水素還元した。次いで、TMN及び水素の供給を開始し、200℃、5MPa、WHSV=0.8h−1、水素/TMNモル比=2の条件で連続的に反応を行った。原料供給開始50時間後の結果を第1表に示す。
【0013】
実施例2
実施例1(2)において、反応温度を250℃に変更した以外は、実施例1と同様にして触媒調製及び反応を行った。原料供給開始50時間後の結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1(2)において、触媒として白金を担持しない硫酸化ジルコニアを用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。原料供給開始50時間後の結果を第1表に示す。
比較例2
実施例2において、触媒として白金を担持しない硫酸化ジルコニアを用いた以外は、実施例2と同様に反応を行った。原料供給開始50時間後の結果を第1表に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
第1表から分かるように、白金を担持しない硫酸化ジルコニアを触媒とする比較例は、白金を担持した硫酸化ジルコニアを触媒とする実施例に比べて、TMN転化率及びアダマンタン収率が共に、はるかに低い。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物の異性化反応に用いられ、高収率でアダマンタン類を製造することができる固体触媒、及びこの触媒を用いて、上記異性化反応により、高収率でアダマンタン類を製造する方法を提供することができる。
Claims (6)
- 硫酸化ジルコニアに活性金属を担持してなることを特徴とするアダマンタン類製造用触媒。
- 担持する活性金属が、周期律表第8〜10族に属する金属及びReの中から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載のアダマンタン類製造用触媒。
- 担持する活性金属が、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt及びReの中から選ばれる少なくとも一種である請求項2記載のアダマンタン類製造用触媒。
- 担持する活性金属がPtである請求項3記載のアダマンタン類製造用触媒。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の触媒の存在下、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化することを特徴とするアダマンタン類の製造方法。
- 炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物が、トリメチレンノルボルナンである請求項5記載のアダマンタン類の製造方法。
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