JP2005031891A - テンプレートの作成方法、当該方法により作成されたテンプレート及び当該テンプレートを用いた円形物の識別方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】円形物のテンプレートを自動的に作成することで、テンプレート作成に要する時間を大幅に削減することが可能なテンプレートの作成方法を提供することにある。
【解決手段】正規円形物の表面を撮像することによって得られた光学画像から抽出した複数の円環状画素データのそれぞれについて、巡回自己相関演算によって得られる複数の自己相関演算値の中の最小値を求め、それらの最小値の中でも最も小さい値に対応する円環状画素データとその半径からテンプレートを作成することを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】正規円形物の表面を撮像することによって得られた光学画像から抽出した複数の円環状画素データのそれぞれについて、巡回自己相関演算によって得られる複数の自己相関演算値の中の最小値を求め、それらの最小値の中でも最も小さい値に対応する円環状画素データとその半径からテンプレートを作成することを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別するにあたって用いるテンプレートの作成方法、当該方法により作成されたテンプレート及び当該テンプレートを用いた円形物の識別方法に関するものであって、特に、テンプレートの作成時間を大幅に短縮するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、被識別円形物の硬貨表面の模様を光学的に読み取った光学画像の特定位置の画素データを複数抽出し、抽出した画素データと予め用意しておいたテンプレートとの相関演算を行い相関値を算出し、算出した相関値を使用して硬貨種を識別する円形物の識別方法がある。図5を用いてその手順をより具体的に説明する。
【0003】
図5は、被識別円形物の模様を光学的に読み取った光学画像から抽出した円環状画素データを用いて硬貨種の識別を行う円形物の識別方法の概略フロー図である。
【0004】
図5において、まず、被識別円形物としての硬貨の模様を光学的に検出して、硬貨の光学画像を得る(ステップS1)。そして、ステップS1において得られた光学画像から、画素データを円環状(リング状)に抽出する(ステップS2)。ここで、ステップS2において、円環状画素データを抽出する位置の半径は、テンプレートの一部として予め設定されている。また、円環状画素データを抽出するには硬貨の光学画像の中心位置を検出する必要があるが、この中心位置は、硬貨の光学画像の水平及び垂直の射影を形成し、それぞれのカーブの両端点を検出し、それらの座標値の算術平均を計算することによって求めることができる。
【0005】
次いで、ステップS2において抽出した円環状状画素データと、硬貨のテンプレート(正規円形物としての硬貨の基準となる円環状画素データ)との巡回相関演算を行う(ステップS3)。より具体的には、硬貨のテンプレートを予め用意しておき、ステップS2において抽出した円環状画素データを、この硬貨のテンプレートと照合することによって類似性を算出する。類似性の尺度として、例えば次式で表されるような正規化相関係数を用いる。
【0006】
【数1】
【0007】
そして、第1番目の画素について得た相関値をr1とした後、画素を1画素ずつ順次シフトしていきながら同様の操作をN回繰り返し、それによって相関値の系列(r1,r2,・・・rN)を得る。ここで、このN個の相関値のうちで最大のものを検出して類似度rに設定し、その類似度rが、予め設定しておいた閾値Rtよりも大きければ、現在評価中の硬貨を既に仮決定した金種に一致するものと判定し、それを正式な金種として受け入れる。一方、上述した類似度rが閾値rtよりも小さければ、仮決定した金種に一致しないものと判定し、それを排除する。
【0008】
このように、抽出した円環状状画素データと、同様の方法で比較画像から抽出しておいて予め設定された硬貨のテンプレートとを巡回相関演算を行うことで、硬貨の撮影時の角度のずれに影響を受けずに硬貨種を識別することが可能となり、かかる硬貨のテンプレートを作成する方法が種々示されている。例えば、特許文献1は、異種の硬貨のサンプル画像(500円硬貨のサンプル画像と、500ウォン硬貨の類似物のサンプル画像)の類似度又は非類似度によってテンプレートを作成する方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−322578号公報(請求項1、段落[0005])
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した識別方法に新しい硬貨を識別対象として加えるためには、その新しい硬貨のテンプレートを作成する必要があるが、その作成には長時間を要していた。
【0011】
すなわち、テンプレートの作成には、まず、正規円形物としての硬貨の基準となる円環状画素データの位置を決定しなければならないが、決定は、作業者の手作業で行われていた。そして、決定された円環状画素データは、被識別対象となる硬貨が正規円形物である場合には、その光学画像から抽出した円環状画素データとの相関演算結果が高くなり、かつ、被識別対象となる硬貨が正規円形物でない場合には、その光学画像から抽出した円環状画素データとの相関演算結果が低くなるようなものでなければならない。そのため、従来は、被識別対象となる硬貨の光学画像から円環状画素データを抽出する位置の半径を仮決定してテンプレートを作成し、複数のサンプルコインを用いて自己認識率と排他率を求める識別処理を行い、識別処理結果が妥当であれば、そのときの仮決定した半径に対応した円環状画素データをテンプレートとして採用し、識別処理結果が妥当でなければ、円環状画素データの半径を変えて再び上述の識別処理を行う、といった煩雑な作業によってテンプレートを作成していた。そのため、テンプレートの作成には長時間を要していた。
【0012】
そこで、本発明者は、テンプレート作成に時間が掛かる主な要因が、上述の円環状画素データの位置を手作業によって決定することに鑑み、テンプレートの作成工程を自動化する手法を着想するに至った。
【0013】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、円形物のテンプレートを自動的に作成することで、テンプレート作成に要する時間を大幅に削減することが可能なテンプレートの作成方法、当該方法により作成されたテンプレート及び当該テンプレートを用いた円形物の識別方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明は、正規円形物の表面を撮像することによって得られた光学画像から抽出した複数の円環状画素データのそれぞれについて、巡回自己相関演算によって得られる複数の自己相関演算値の中の最小値を求め、それらの最小値の中でも最も小さい値に対応する円環状画素データとその半径からテンプレートを作成することを特徴とする。
【0015】
より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0016】
(1) 識別対象となる被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別するために用いられ、この正規円形物の表面を撮像することによって得られた光学画像から、正規円形物の特徴的な模様部分を含み、正規円形物と同心の円環状画素データを抽出することで作成されるテンプレートの作成方法において、前記円環状画素データを、その抽出位置を半径方向に変えながら複数抽出し、抽出した複数の円環状画素データの各々について巡回自己相関演算を行い、この巡回自己相関演算によって得られる複数の自己相関演算値の各々から極値を求め、この極値に基づく円環状画像データと、その円環状画像データの半径値と、からテンプレートを作成することを特徴とするテンプレートの作成方法。
【0017】
本発明によれば、所定の正規円形物の表面を撮像することによって得られた光学画像からテンプレートを作成する方法において、まず、光学画像から円環状画素データをその半径値を変えながら複数抽出し、抽出した円環状画素データの各々について巡回自己相関演算を行い、この巡回自己相関演算によって得られる複数の自己相関演算値の中の極値(極大値、極小値)を求め、これら複数の極値に基づく円環状画素データと、その半径値と、からテンプレートを作成することとしたので、円形物のテンプレートを自動的に作成することができ、ひいては、テンプレート作成に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0018】
また、本発明では、簡単に算出可能な巡回自己相関係数の極値を用いて高速にテンプレートを作成することとしているので、この点もテンプレート作成時間削減に寄与し得るものとなっている。さらに、テンプレート作成工程に、人による作業が一切加わらないことから、テンプレート設計者の主観による人的誤差を排除し、テンプレートの質を均一に保つことができ、ひいては円形物識別の鑑別性能を向上させることが可能なテンプレートの作成方法を提供することができる。
【0019】
ここで、「円環状画素データを、その抽出位置を半径方向に変えながら複数抽出」するには、円環状画素データの半径を変えて順次1つずつ抽出することのみならず、予め複数の半径を設定しておき、それらの半径に対応する円環状画素データを一度に全部抽出することも含まれる。
【0020】
また、「極値に基づく円環状画像データ」は、極大値又は極小値に基づいて得られる、極大値の極小値の数(ピーク数)や、極大値の極小値自体(ピーク高)に基づいて、ピーク数やピーク高の大小によって円環状画像データとなる半径値を特定して、その円環状画像データと半径値とをテンプレートとして採用することができる。さらに、極大値の中で最も大きい数となる最大値や、極小値の中で最も小さい数となる最小値に基づいて、テンプレートを作成することもできる。
【0021】
(2) 前記テンプレートの作成方法において、前記極値の中の最も小さい値となる最小値を求め、この最小値のうち最も小さい値に対応する円環状画素データと、その円環状画素データの半径値と、からテンプレートを作成することを特徴とするテンプレートの作成方法。
【0022】
本発明によれば、自己相関演算値の最小値の中の最も小さい値に対応する円環状画素データと、その円環状画素データの半径値と、からテンプレートが作成されるので、その作成に必要な時間の大幅な短縮を図ることができるとともに、円形物識別の鑑別性能を向上させることが可能なテンプレートの作成方法を提供することができる。
【0023】
(3) 前記テンプレートの作成方法において作成されたテンプレートと被識別円形物との比較を行い、比較によって生じる円環状画素データの誤差量を前記テンプレートに反映して、新たなテンプレートを作成することを特徴とするテンプレートの作成方法。
【0024】
本発明によれば、前記(1),(2)で作成されたテンプレートを用いて被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別するときに、例えば、硬貨の使用経歴によって磨耗や汚れが進み硬貨表面全体の反射率が低下している場合があり、かかる場合に光学画像を用いる方式で円形物の識別を行おうとすると、硬貨状態の変動要素(硬貨表面全体の反射率の低下など)の悪影響をダイレクトに受けて、理想的なテンプレートと実際の被識別円形物としての硬貨との間に誤差を生じて、正確な識別処理が妨げられるおそれがあるので、実際の硬貨との誤差量を理想的なテンプレートに反映して、新たなテンプレートを作成することにより、識別処理の精度を安定化して鑑別性能を向上することが可能なテンプレートの作成方法を提供することができる。
【0025】
ここで、誤差量をテンプレートに反映して新たなテンプレートを作成する方法としては、既存のテンプレートに新しいテンプレートを上書きして更新する方法、既存のテンプレートを残したまま、新しいテンプレートを別途作成する方法、などが挙げられる。特に後者の場合には、まず既存の理想的なテンプレートで識別処理を実行し、硬貨の真贋結果が偽貨と判別された場合に、誤差量が反映された新しいテンプレートで更に識別処理を実行するなど、様々な識別方法を提供することが可能となる。
【0026】
(4) 前記テンプレートの作成方法において作成されたテンプレート。
【0027】
(5) 前記テンプレートを用いて、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする円形物の識別方法。
【0028】
本発明によれば、短時間で作成可能なテンプレート及びテンプレートを用いた円形物の識別方法によって、円形物識別の鑑別性能を向上させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係るテンプレートの作成方法を実行するコンピュータの電気的構成を示すブロック図である。
【0031】
図1において、本発明の実施に係るテンプレートの作成方法を実行するコンピュータには、中央処理装置(以下、CPUと略す)101と、硬貨を撮像する画像撮像部102と、硬貨を照らす照明部103と、が備えられている。また、CPU101は、画像撮像部102からの画像データを取り込む画像取込制御部101a、巡回自己相関演算などのデジタル信号処理を行うデータ処理部101bと、画像取込制御部101aによって取り込まれた画像データ、或いは後述する処理によって作成されたテンプレートなど様々なデジタルデータを記憶する記憶部101c(例えばフレームメモリ)と、照明部43を制御する照明制御部101dと、を有している。
【0032】
ここで、画像取込制御部101aは、A/D変換を行うことによって、画像撮像部102から送られてきたアナログデータを、デジタル信号処理が可能なデジタルデータに変換する機能を有している。また、記憶部101cは、CPU101内の1次キャッシュ(2次キャッシュ)等から構成されているが、デジタルデータを記憶する機能を有する限り、DRAM、SDRAM等のCPU101以外の記憶手段から構成されるものであっても構わない。
【0033】
以上のような電気的構成からなるコンピュータを用いて、以下、本発明の実施の形態に係るテンプレートの作成方法について詳述する。
【0034】
[テンプレートの作成方法]
図2は、本発明の実施の形態に係るテンプレートの作成方法を示すフロー図である。
【0035】
図2において、まず、識別対象となる硬貨の光学画像データの取込みが行われる(ステップS201)。より具体的には、CPU101内の照明制御部101dからの指令に基づき照明部103は硬貨の表面全体を照らし、硬貨表面からの反射光が画像撮像部102(例えばイメージセンサ)に入力されたとき、画像取込制御部101aは硬貨の光学画像を取り込み、この光学画像を記憶部101cに記憶する。なお、一般的に、かかる光学画像は、X−Y座標上に1画素約0.13ミリメートル平方の高密度画像を構成し、画像取込制御部101aの一機能であるAD変換によって輝度(明るさ)が256階調となるように分解(多値化)され、輝度をZ軸とする3次元データとして記憶部101cに記憶されることとなる。
【0036】
次いで、硬貨中心点の検出が行われる(ステップS202)。より具体的には、CPU101は、ステップS201によって記憶部101cに記憶された光学画像を読み出し、光学画像をX軸方向及びY軸方向に射影することによって、それぞれの方向についてのエッジの中点を算出し、その結果、X軸方向についてのエッジの中点をX座標、Y軸方向についてのエッジの中点をY座標として硬貨の中心点を求める。
【0037】
次いで、半径の設定が行われる(ステップS203)。より具体的には、CPU101は、後述の処理で抽出すべき円環状画素データの半径を複数設定する。例えば、1mm,2mm,3mm,4mm,5mmという5つの半径を設定する。なお、複数の半径間のインターバルはいくつでも構わないが、このインターバルをより小さくし、より多くの半径を設定することで、テンプレートの精度を向上させることができる。
【0038】
次いで、円環状画素データの抽出が行われる(ステップS204)。より具体的には、CPU101の指令を受けたデータ処理部101bは、ステップS201によって記憶部101cに記憶された光学画像を読み出し、ステップS202において求めた硬貨の中心位置を基準として、ステップS203において設定された複数の半径のうちのいずれか1つを用いて硬貨の光学画像からリング形状をした円環状画素データを抽出する。例えば、データ処理部101bは、図3に示すように硬貨中心の位置Cを基準として、切出位置半径rを画素抽出位置として、リング形状をした円環状画素データを抽出する(切り出す)。
【0039】
次いで、巡回自己相関演算処理が行われる(ステップS205)。より具体的には、CPU101の指令を受けたデータ処理部101bは、ステップS204において抽出された円環状画素データに対して巡回自己相関演算を行う。
【0040】
例えば、ステップS204で抽出された円環状画素データの半径をra、データ点数をNとし、このN点の円環状画素データ(Pa[1],Pa[2],Pa[3],・・・,Pa[N−1],Pa[N])の巡回自己相関演算は次式によって表すことができる。
【0041】
【数2】
【0042】
そして、上式に従って巡回自己相関演算を行えば、半径raの円環状画素データに対するN点の自己相関演算値(Ca(1),Ca(2),Ca(3),・・・,Ca(N−1),Ca(N))を得ることができる。
【0043】
なお、巡回自己相関演算のより具体的な計算過程については後述する。また、自己相関演算値は対称性を有することから、実際は、Ca(N/2+1)まで求めれば足りる。そうすることで、N点の自己相関演算値を求めるのに必要な演算量と比較して、約半分の演算量で済むことから、テンプレート作成の高速処理に資することとなる。さらに、上式では正規化を考慮していないが、正規化を行うことで、自己相関演算値を相対的に評価することが可能になる。
【0044】
次いで、CPU101は、ステップS205の巡回自己相関演算処理によって得られた自己相関演算値(上述の具体例でいえばCa(1),Ca(2),Ca(3),・・・,Ca(N−1),Ca(N))の中の最小値を記憶部101cに記憶する(ステップS206)。なお、後述する処理のために、ここでは自己相関演算値の中の最小値を記憶部101cに記憶することとしたが、本発明はこれに限られず、例えば、自己相関演算値が示す相関波形のピーク値、或いはピーク数等を併せて記憶部101cに記憶することとしてもよい。
【0045】
次いで、CPU101は、ステップS203において設定された半径の全てについて、自己相関演算値の中の最小値を記憶部101cに記憶したか否かを判断する(ステップS207)。設定された半径の全てについて、自己相関演算値の中の最小値を記憶部101cに記憶していないと判別した場合には、処理をステップS204に戻し、再び円環状画素データの抽出が行われる。より具体的には、データ処理部101bは、ステップS202において求めた硬貨の中心位置を基準として、ステップS203において設定された複数の半径のうち、未だステップS205〜ステップS206の処理が行われていない半径を用いて、硬貨の光学画像からリング形状をした円環状画素データを抽出する(ステップS204)。その後、上述したステップS205,ステップS206の処理が行われ、最小値が記憶部101cに順次記憶される。
【0046】
一方で、設定された半径の全てについて、自己相関演算値の中の最小値を記憶部101cに記憶したと判別した場合には、最小値検出処理が行われる(ステップS208)。より具体的には、CPU101は、ステップS204〜ステップS207の処理によって記憶部101cに記憶された複数の最小値の中から最も小さいものを検出する。
【0047】
次いで、テンプレート保存処理が行われる(ステップS209)。より具体的には、CPU101は、ステップS208により検出された最小値が算出された円環状画素データの半径を、テンプレートの半径として記憶部101cに記憶するとともに、ステップS208により検出された最小値が算出された円環状画素データそのものをテンプレートの円環状画素データとして記憶部101cに記憶する。
【0048】
以上説明したような処理によれば、このテンプレートの円環状画素データは、他の半径に係る円環状画素データと比較して、最も小さい自己相関演算値をもつデータとなる。そのため、画素値の変動が最も多いデータ、すなわち硬貨表面の特徴部分を最も多く含むデータとなる結果、テンプレートとして最適であることが分かる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態においては、ステップS208により検出された最小値が算出された円環状画素データそのものをテンプレートの円環状画素データとして保存しているが、本発明はこれに限られず、例えば、複数の光学画像に対して上述のテンプレート作成処理を行い、その処理結果を順次蓄積し、蓄積されたテンプレートの円環状画素データを比較しつつ最適なテンプレートを作成することとしてもよい。また、一旦テンプレートを作成した後に、実際の硬貨の識別過程の中で上述のテンプレート作成処理を行い、その結果に基づいて新たなテンプレートを作成することとしてもよい。
【0050】
また、本発明の実施の形態においては、1枚の光学画像を用いてテンプレートの作成を行っているが、本発明はこれに限られず、複数枚の光学画像を用いてテンプレートの作成を行ってもよい。これにより、1枚の光学画像を用いて作成する場合に比べてテンプレートの質をより向上させることができ、ひいては円形物識別の鑑別性能を向上させることができる。さらに、本発明の実施の形態においては、識別対象として硬貨を採用したが、本発明はこれに限られず、例えばゲームトークン、指紋、或いは虹彩といった他の識別対象のテンプレートを作成する際にも適用できる。
【0051】
[巡回自己相関演算]
図4は、上記の数式2によって表される巡回自己相関演算についての補足説明図である。
【0052】
図4において、(a)は、ステップS204で抽出されたN点の円環状画素データをベクトル表現(N次元)したものである。また、(b)は、(a)のベクトル表現に関する巡回自己相関演算の計算過程を示したものである。
【0053】
図4(b)において、最上段は、τ回目の自己相関演算を行ったときの自己相関演算値Ca(τ)の計算式を示す。なお、この式は上記の数式2に他ならない。1回目の自己相関演算を行ったとき(τ=1のとき)、自己相関演算値Ca(1)は、最上段から2段目の右欄に示す計算式(最上段の式にτ=1,k=1〜Nを代入し、オメガ展開したもの)によって求めることができる。このCa(1)は、その性質上、自己相関演算値Ca(1)〜Ca(N)の中で最も大きい値となる。
【0054】
次いで、2回目の自己相関演算を行ったとき(τ=2のとき)、自己相関演算値Ca(2)は、最上段から3段目の右欄に示す計算式によって求めることができる。ここで、この計算式の右辺の最終項(下線部参照)は、最上段に示した自己相関演算値の計算式によれば、本来Pa[N]×Pa[N+1]となるはずである。しかし、最上段の但書にあるように、Pa[k]=Pa[k+N]なる条件式を設定していることから、このPa[N+1]はPa[1]で表せる。これより、巡回自己相関演算は、N点の円環状画素データが巡回的にシフトしながら実行されることとなる。
【0055】
次いで、3回目の自己相関演算を行ったとき(τ=3のとき)、自己相関演算値Ca(3)は、最上段から4段目の右欄に示す計算式によって求めることができる。このようにして、Ca(1)からCa(N)まで求めると、図4(b)のような一覧表が完成する。
【0056】
ここで、Ca(2)とCa(N)に着目すれば、Ca(N)の計算式の右辺は、Ca(2)の計算式の右辺の各項を巡回的に1つ右にシフトしたに過ぎないものであることが分かる(例えば、Ca(N)の計算式の右辺第2項であるPa[2]×Pa[1]は、Ca(2)の計算式の右辺第1項であるPa[1]×Pa[2]と同じ値となる)。同様に、Ca(3)とCa(N−1)に着目すれば、Ca(N−1)の計算式の右辺は、Ca(3)の計算式の右辺の各項を巡回的に2つ右にシフトしたに過ぎないものであることが分かる(例えば、Ca(N−1)の計算式の右辺第3項であるPa[3]×Pa[1]は、Ca(3)の計算式の右辺第1項であるPa[1]×Pa[3]と同じ値となる)。すなわち、自己相関演算値(Ca(1),Ca(2),Ca(3),・・・,Ca(N−1),Ca(N))の間で、次式のような関係式が成立していることが分かる。
【0057】
【数3】
【0058】
この数式3によれば、自己相関演算値は一定の対称性を有しているといえ、自己相関演算値Ca(N)まで求めなくても、自己相関演算値Ca(N/2+1)まで求めれば足りることとなる。これより、巡回自己相関演算の演算量として約半分になることから、テンプレート作成の高速処理に資することができる。なお、上述したとおり、巡回自己相関演算によって得られた自己相関演算値(Ca(1),Ca(2),Ca(3),・・・,Ca(N/2),Ca(N/2+1))は、必要に応じて正規化を行っておくとよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、煩雑なテンプレート作成作業を自動化できることから、テンプレート作成に要する時間を大幅に削減できるのみならず、従来の手作業に起因して発生していた人的誤差を排除することでテンプレートの質を均一に保つことができ、ひいては円形物の鑑別性能の向上に資することができるテンプレートの作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るテンプレートの作成方法を実行するコンピュータの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るテンプレートの作成方法を示すフロー図である。
【図3】硬貨の光学画像からリング形状の円環状画素データを抽出した一例を示す図である。
【図4】巡回自己相関演算に関する補足説明図である。
【図5】被識別円形物の光学画像から抽出した円環状画素データを用いて硬貨種の識別を行う円形物識別方法の概略フロー図である。
【符号の説明】
101 CPU
101a 画像取込制御部
101b データ処理部
101c 記憶部
101d 照明制御部
102 画像撮像部
103 照明部
【発明の属する技術分野】
本発明は、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別するにあたって用いるテンプレートの作成方法、当該方法により作成されたテンプレート及び当該テンプレートを用いた円形物の識別方法に関するものであって、特に、テンプレートの作成時間を大幅に短縮するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、被識別円形物の硬貨表面の模様を光学的に読み取った光学画像の特定位置の画素データを複数抽出し、抽出した画素データと予め用意しておいたテンプレートとの相関演算を行い相関値を算出し、算出した相関値を使用して硬貨種を識別する円形物の識別方法がある。図5を用いてその手順をより具体的に説明する。
【0003】
図5は、被識別円形物の模様を光学的に読み取った光学画像から抽出した円環状画素データを用いて硬貨種の識別を行う円形物の識別方法の概略フロー図である。
【0004】
図5において、まず、被識別円形物としての硬貨の模様を光学的に検出して、硬貨の光学画像を得る(ステップS1)。そして、ステップS1において得られた光学画像から、画素データを円環状(リング状)に抽出する(ステップS2)。ここで、ステップS2において、円環状画素データを抽出する位置の半径は、テンプレートの一部として予め設定されている。また、円環状画素データを抽出するには硬貨の光学画像の中心位置を検出する必要があるが、この中心位置は、硬貨の光学画像の水平及び垂直の射影を形成し、それぞれのカーブの両端点を検出し、それらの座標値の算術平均を計算することによって求めることができる。
【0005】
次いで、ステップS2において抽出した円環状状画素データと、硬貨のテンプレート(正規円形物としての硬貨の基準となる円環状画素データ)との巡回相関演算を行う(ステップS3)。より具体的には、硬貨のテンプレートを予め用意しておき、ステップS2において抽出した円環状画素データを、この硬貨のテンプレートと照合することによって類似性を算出する。類似性の尺度として、例えば次式で表されるような正規化相関係数を用いる。
【0006】
【数1】
【0007】
そして、第1番目の画素について得た相関値をr1とした後、画素を1画素ずつ順次シフトしていきながら同様の操作をN回繰り返し、それによって相関値の系列(r1,r2,・・・rN)を得る。ここで、このN個の相関値のうちで最大のものを検出して類似度rに設定し、その類似度rが、予め設定しておいた閾値Rtよりも大きければ、現在評価中の硬貨を既に仮決定した金種に一致するものと判定し、それを正式な金種として受け入れる。一方、上述した類似度rが閾値rtよりも小さければ、仮決定した金種に一致しないものと判定し、それを排除する。
【0008】
このように、抽出した円環状状画素データと、同様の方法で比較画像から抽出しておいて予め設定された硬貨のテンプレートとを巡回相関演算を行うことで、硬貨の撮影時の角度のずれに影響を受けずに硬貨種を識別することが可能となり、かかる硬貨のテンプレートを作成する方法が種々示されている。例えば、特許文献1は、異種の硬貨のサンプル画像(500円硬貨のサンプル画像と、500ウォン硬貨の類似物のサンプル画像)の類似度又は非類似度によってテンプレートを作成する方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−322578号公報(請求項1、段落[0005])
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した識別方法に新しい硬貨を識別対象として加えるためには、その新しい硬貨のテンプレートを作成する必要があるが、その作成には長時間を要していた。
【0011】
すなわち、テンプレートの作成には、まず、正規円形物としての硬貨の基準となる円環状画素データの位置を決定しなければならないが、決定は、作業者の手作業で行われていた。そして、決定された円環状画素データは、被識別対象となる硬貨が正規円形物である場合には、その光学画像から抽出した円環状画素データとの相関演算結果が高くなり、かつ、被識別対象となる硬貨が正規円形物でない場合には、その光学画像から抽出した円環状画素データとの相関演算結果が低くなるようなものでなければならない。そのため、従来は、被識別対象となる硬貨の光学画像から円環状画素データを抽出する位置の半径を仮決定してテンプレートを作成し、複数のサンプルコインを用いて自己認識率と排他率を求める識別処理を行い、識別処理結果が妥当であれば、そのときの仮決定した半径に対応した円環状画素データをテンプレートとして採用し、識別処理結果が妥当でなければ、円環状画素データの半径を変えて再び上述の識別処理を行う、といった煩雑な作業によってテンプレートを作成していた。そのため、テンプレートの作成には長時間を要していた。
【0012】
そこで、本発明者は、テンプレート作成に時間が掛かる主な要因が、上述の円環状画素データの位置を手作業によって決定することに鑑み、テンプレートの作成工程を自動化する手法を着想するに至った。
【0013】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、円形物のテンプレートを自動的に作成することで、テンプレート作成に要する時間を大幅に削減することが可能なテンプレートの作成方法、当該方法により作成されたテンプレート及び当該テンプレートを用いた円形物の識別方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明は、正規円形物の表面を撮像することによって得られた光学画像から抽出した複数の円環状画素データのそれぞれについて、巡回自己相関演算によって得られる複数の自己相関演算値の中の最小値を求め、それらの最小値の中でも最も小さい値に対応する円環状画素データとその半径からテンプレートを作成することを特徴とする。
【0015】
より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0016】
(1) 識別対象となる被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別するために用いられ、この正規円形物の表面を撮像することによって得られた光学画像から、正規円形物の特徴的な模様部分を含み、正規円形物と同心の円環状画素データを抽出することで作成されるテンプレートの作成方法において、前記円環状画素データを、その抽出位置を半径方向に変えながら複数抽出し、抽出した複数の円環状画素データの各々について巡回自己相関演算を行い、この巡回自己相関演算によって得られる複数の自己相関演算値の各々から極値を求め、この極値に基づく円環状画像データと、その円環状画像データの半径値と、からテンプレートを作成することを特徴とするテンプレートの作成方法。
【0017】
本発明によれば、所定の正規円形物の表面を撮像することによって得られた光学画像からテンプレートを作成する方法において、まず、光学画像から円環状画素データをその半径値を変えながら複数抽出し、抽出した円環状画素データの各々について巡回自己相関演算を行い、この巡回自己相関演算によって得られる複数の自己相関演算値の中の極値(極大値、極小値)を求め、これら複数の極値に基づく円環状画素データと、その半径値と、からテンプレートを作成することとしたので、円形物のテンプレートを自動的に作成することができ、ひいては、テンプレート作成に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0018】
また、本発明では、簡単に算出可能な巡回自己相関係数の極値を用いて高速にテンプレートを作成することとしているので、この点もテンプレート作成時間削減に寄与し得るものとなっている。さらに、テンプレート作成工程に、人による作業が一切加わらないことから、テンプレート設計者の主観による人的誤差を排除し、テンプレートの質を均一に保つことができ、ひいては円形物識別の鑑別性能を向上させることが可能なテンプレートの作成方法を提供することができる。
【0019】
ここで、「円環状画素データを、その抽出位置を半径方向に変えながら複数抽出」するには、円環状画素データの半径を変えて順次1つずつ抽出することのみならず、予め複数の半径を設定しておき、それらの半径に対応する円環状画素データを一度に全部抽出することも含まれる。
【0020】
また、「極値に基づく円環状画像データ」は、極大値又は極小値に基づいて得られる、極大値の極小値の数(ピーク数)や、極大値の極小値自体(ピーク高)に基づいて、ピーク数やピーク高の大小によって円環状画像データとなる半径値を特定して、その円環状画像データと半径値とをテンプレートとして採用することができる。さらに、極大値の中で最も大きい数となる最大値や、極小値の中で最も小さい数となる最小値に基づいて、テンプレートを作成することもできる。
【0021】
(2) 前記テンプレートの作成方法において、前記極値の中の最も小さい値となる最小値を求め、この最小値のうち最も小さい値に対応する円環状画素データと、その円環状画素データの半径値と、からテンプレートを作成することを特徴とするテンプレートの作成方法。
【0022】
本発明によれば、自己相関演算値の最小値の中の最も小さい値に対応する円環状画素データと、その円環状画素データの半径値と、からテンプレートが作成されるので、その作成に必要な時間の大幅な短縮を図ることができるとともに、円形物識別の鑑別性能を向上させることが可能なテンプレートの作成方法を提供することができる。
【0023】
(3) 前記テンプレートの作成方法において作成されたテンプレートと被識別円形物との比較を行い、比較によって生じる円環状画素データの誤差量を前記テンプレートに反映して、新たなテンプレートを作成することを特徴とするテンプレートの作成方法。
【0024】
本発明によれば、前記(1),(2)で作成されたテンプレートを用いて被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別するときに、例えば、硬貨の使用経歴によって磨耗や汚れが進み硬貨表面全体の反射率が低下している場合があり、かかる場合に光学画像を用いる方式で円形物の識別を行おうとすると、硬貨状態の変動要素(硬貨表面全体の反射率の低下など)の悪影響をダイレクトに受けて、理想的なテンプレートと実際の被識別円形物としての硬貨との間に誤差を生じて、正確な識別処理が妨げられるおそれがあるので、実際の硬貨との誤差量を理想的なテンプレートに反映して、新たなテンプレートを作成することにより、識別処理の精度を安定化して鑑別性能を向上することが可能なテンプレートの作成方法を提供することができる。
【0025】
ここで、誤差量をテンプレートに反映して新たなテンプレートを作成する方法としては、既存のテンプレートに新しいテンプレートを上書きして更新する方法、既存のテンプレートを残したまま、新しいテンプレートを別途作成する方法、などが挙げられる。特に後者の場合には、まず既存の理想的なテンプレートで識別処理を実行し、硬貨の真贋結果が偽貨と判別された場合に、誤差量が反映された新しいテンプレートで更に識別処理を実行するなど、様々な識別方法を提供することが可能となる。
【0026】
(4) 前記テンプレートの作成方法において作成されたテンプレート。
【0027】
(5) 前記テンプレートを用いて、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする円形物の識別方法。
【0028】
本発明によれば、短時間で作成可能なテンプレート及びテンプレートを用いた円形物の識別方法によって、円形物識別の鑑別性能を向上させることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係るテンプレートの作成方法を実行するコンピュータの電気的構成を示すブロック図である。
【0031】
図1において、本発明の実施に係るテンプレートの作成方法を実行するコンピュータには、中央処理装置(以下、CPUと略す)101と、硬貨を撮像する画像撮像部102と、硬貨を照らす照明部103と、が備えられている。また、CPU101は、画像撮像部102からの画像データを取り込む画像取込制御部101a、巡回自己相関演算などのデジタル信号処理を行うデータ処理部101bと、画像取込制御部101aによって取り込まれた画像データ、或いは後述する処理によって作成されたテンプレートなど様々なデジタルデータを記憶する記憶部101c(例えばフレームメモリ)と、照明部43を制御する照明制御部101dと、を有している。
【0032】
ここで、画像取込制御部101aは、A/D変換を行うことによって、画像撮像部102から送られてきたアナログデータを、デジタル信号処理が可能なデジタルデータに変換する機能を有している。また、記憶部101cは、CPU101内の1次キャッシュ(2次キャッシュ)等から構成されているが、デジタルデータを記憶する機能を有する限り、DRAM、SDRAM等のCPU101以外の記憶手段から構成されるものであっても構わない。
【0033】
以上のような電気的構成からなるコンピュータを用いて、以下、本発明の実施の形態に係るテンプレートの作成方法について詳述する。
【0034】
[テンプレートの作成方法]
図2は、本発明の実施の形態に係るテンプレートの作成方法を示すフロー図である。
【0035】
図2において、まず、識別対象となる硬貨の光学画像データの取込みが行われる(ステップS201)。より具体的には、CPU101内の照明制御部101dからの指令に基づき照明部103は硬貨の表面全体を照らし、硬貨表面からの反射光が画像撮像部102(例えばイメージセンサ)に入力されたとき、画像取込制御部101aは硬貨の光学画像を取り込み、この光学画像を記憶部101cに記憶する。なお、一般的に、かかる光学画像は、X−Y座標上に1画素約0.13ミリメートル平方の高密度画像を構成し、画像取込制御部101aの一機能であるAD変換によって輝度(明るさ)が256階調となるように分解(多値化)され、輝度をZ軸とする3次元データとして記憶部101cに記憶されることとなる。
【0036】
次いで、硬貨中心点の検出が行われる(ステップS202)。より具体的には、CPU101は、ステップS201によって記憶部101cに記憶された光学画像を読み出し、光学画像をX軸方向及びY軸方向に射影することによって、それぞれの方向についてのエッジの中点を算出し、その結果、X軸方向についてのエッジの中点をX座標、Y軸方向についてのエッジの中点をY座標として硬貨の中心点を求める。
【0037】
次いで、半径の設定が行われる(ステップS203)。より具体的には、CPU101は、後述の処理で抽出すべき円環状画素データの半径を複数設定する。例えば、1mm,2mm,3mm,4mm,5mmという5つの半径を設定する。なお、複数の半径間のインターバルはいくつでも構わないが、このインターバルをより小さくし、より多くの半径を設定することで、テンプレートの精度を向上させることができる。
【0038】
次いで、円環状画素データの抽出が行われる(ステップS204)。より具体的には、CPU101の指令を受けたデータ処理部101bは、ステップS201によって記憶部101cに記憶された光学画像を読み出し、ステップS202において求めた硬貨の中心位置を基準として、ステップS203において設定された複数の半径のうちのいずれか1つを用いて硬貨の光学画像からリング形状をした円環状画素データを抽出する。例えば、データ処理部101bは、図3に示すように硬貨中心の位置Cを基準として、切出位置半径rを画素抽出位置として、リング形状をした円環状画素データを抽出する(切り出す)。
【0039】
次いで、巡回自己相関演算処理が行われる(ステップS205)。より具体的には、CPU101の指令を受けたデータ処理部101bは、ステップS204において抽出された円環状画素データに対して巡回自己相関演算を行う。
【0040】
例えば、ステップS204で抽出された円環状画素データの半径をra、データ点数をNとし、このN点の円環状画素データ(Pa[1],Pa[2],Pa[3],・・・,Pa[N−1],Pa[N])の巡回自己相関演算は次式によって表すことができる。
【0041】
【数2】
【0042】
そして、上式に従って巡回自己相関演算を行えば、半径raの円環状画素データに対するN点の自己相関演算値(Ca(1),Ca(2),Ca(3),・・・,Ca(N−1),Ca(N))を得ることができる。
【0043】
なお、巡回自己相関演算のより具体的な計算過程については後述する。また、自己相関演算値は対称性を有することから、実際は、Ca(N/2+1)まで求めれば足りる。そうすることで、N点の自己相関演算値を求めるのに必要な演算量と比較して、約半分の演算量で済むことから、テンプレート作成の高速処理に資することとなる。さらに、上式では正規化を考慮していないが、正規化を行うことで、自己相関演算値を相対的に評価することが可能になる。
【0044】
次いで、CPU101は、ステップS205の巡回自己相関演算処理によって得られた自己相関演算値(上述の具体例でいえばCa(1),Ca(2),Ca(3),・・・,Ca(N−1),Ca(N))の中の最小値を記憶部101cに記憶する(ステップS206)。なお、後述する処理のために、ここでは自己相関演算値の中の最小値を記憶部101cに記憶することとしたが、本発明はこれに限られず、例えば、自己相関演算値が示す相関波形のピーク値、或いはピーク数等を併せて記憶部101cに記憶することとしてもよい。
【0045】
次いで、CPU101は、ステップS203において設定された半径の全てについて、自己相関演算値の中の最小値を記憶部101cに記憶したか否かを判断する(ステップS207)。設定された半径の全てについて、自己相関演算値の中の最小値を記憶部101cに記憶していないと判別した場合には、処理をステップS204に戻し、再び円環状画素データの抽出が行われる。より具体的には、データ処理部101bは、ステップS202において求めた硬貨の中心位置を基準として、ステップS203において設定された複数の半径のうち、未だステップS205〜ステップS206の処理が行われていない半径を用いて、硬貨の光学画像からリング形状をした円環状画素データを抽出する(ステップS204)。その後、上述したステップS205,ステップS206の処理が行われ、最小値が記憶部101cに順次記憶される。
【0046】
一方で、設定された半径の全てについて、自己相関演算値の中の最小値を記憶部101cに記憶したと判別した場合には、最小値検出処理が行われる(ステップS208)。より具体的には、CPU101は、ステップS204〜ステップS207の処理によって記憶部101cに記憶された複数の最小値の中から最も小さいものを検出する。
【0047】
次いで、テンプレート保存処理が行われる(ステップS209)。より具体的には、CPU101は、ステップS208により検出された最小値が算出された円環状画素データの半径を、テンプレートの半径として記憶部101cに記憶するとともに、ステップS208により検出された最小値が算出された円環状画素データそのものをテンプレートの円環状画素データとして記憶部101cに記憶する。
【0048】
以上説明したような処理によれば、このテンプレートの円環状画素データは、他の半径に係る円環状画素データと比較して、最も小さい自己相関演算値をもつデータとなる。そのため、画素値の変動が最も多いデータ、すなわち硬貨表面の特徴部分を最も多く含むデータとなる結果、テンプレートとして最適であることが分かる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態においては、ステップS208により検出された最小値が算出された円環状画素データそのものをテンプレートの円環状画素データとして保存しているが、本発明はこれに限られず、例えば、複数の光学画像に対して上述のテンプレート作成処理を行い、その処理結果を順次蓄積し、蓄積されたテンプレートの円環状画素データを比較しつつ最適なテンプレートを作成することとしてもよい。また、一旦テンプレートを作成した後に、実際の硬貨の識別過程の中で上述のテンプレート作成処理を行い、その結果に基づいて新たなテンプレートを作成することとしてもよい。
【0050】
また、本発明の実施の形態においては、1枚の光学画像を用いてテンプレートの作成を行っているが、本発明はこれに限られず、複数枚の光学画像を用いてテンプレートの作成を行ってもよい。これにより、1枚の光学画像を用いて作成する場合に比べてテンプレートの質をより向上させることができ、ひいては円形物識別の鑑別性能を向上させることができる。さらに、本発明の実施の形態においては、識別対象として硬貨を採用したが、本発明はこれに限られず、例えばゲームトークン、指紋、或いは虹彩といった他の識別対象のテンプレートを作成する際にも適用できる。
【0051】
[巡回自己相関演算]
図4は、上記の数式2によって表される巡回自己相関演算についての補足説明図である。
【0052】
図4において、(a)は、ステップS204で抽出されたN点の円環状画素データをベクトル表現(N次元)したものである。また、(b)は、(a)のベクトル表現に関する巡回自己相関演算の計算過程を示したものである。
【0053】
図4(b)において、最上段は、τ回目の自己相関演算を行ったときの自己相関演算値Ca(τ)の計算式を示す。なお、この式は上記の数式2に他ならない。1回目の自己相関演算を行ったとき(τ=1のとき)、自己相関演算値Ca(1)は、最上段から2段目の右欄に示す計算式(最上段の式にτ=1,k=1〜Nを代入し、オメガ展開したもの)によって求めることができる。このCa(1)は、その性質上、自己相関演算値Ca(1)〜Ca(N)の中で最も大きい値となる。
【0054】
次いで、2回目の自己相関演算を行ったとき(τ=2のとき)、自己相関演算値Ca(2)は、最上段から3段目の右欄に示す計算式によって求めることができる。ここで、この計算式の右辺の最終項(下線部参照)は、最上段に示した自己相関演算値の計算式によれば、本来Pa[N]×Pa[N+1]となるはずである。しかし、最上段の但書にあるように、Pa[k]=Pa[k+N]なる条件式を設定していることから、このPa[N+1]はPa[1]で表せる。これより、巡回自己相関演算は、N点の円環状画素データが巡回的にシフトしながら実行されることとなる。
【0055】
次いで、3回目の自己相関演算を行ったとき(τ=3のとき)、自己相関演算値Ca(3)は、最上段から4段目の右欄に示す計算式によって求めることができる。このようにして、Ca(1)からCa(N)まで求めると、図4(b)のような一覧表が完成する。
【0056】
ここで、Ca(2)とCa(N)に着目すれば、Ca(N)の計算式の右辺は、Ca(2)の計算式の右辺の各項を巡回的に1つ右にシフトしたに過ぎないものであることが分かる(例えば、Ca(N)の計算式の右辺第2項であるPa[2]×Pa[1]は、Ca(2)の計算式の右辺第1項であるPa[1]×Pa[2]と同じ値となる)。同様に、Ca(3)とCa(N−1)に着目すれば、Ca(N−1)の計算式の右辺は、Ca(3)の計算式の右辺の各項を巡回的に2つ右にシフトしたに過ぎないものであることが分かる(例えば、Ca(N−1)の計算式の右辺第3項であるPa[3]×Pa[1]は、Ca(3)の計算式の右辺第1項であるPa[1]×Pa[3]と同じ値となる)。すなわち、自己相関演算値(Ca(1),Ca(2),Ca(3),・・・,Ca(N−1),Ca(N))の間で、次式のような関係式が成立していることが分かる。
【0057】
【数3】
【0058】
この数式3によれば、自己相関演算値は一定の対称性を有しているといえ、自己相関演算値Ca(N)まで求めなくても、自己相関演算値Ca(N/2+1)まで求めれば足りることとなる。これより、巡回自己相関演算の演算量として約半分になることから、テンプレート作成の高速処理に資することができる。なお、上述したとおり、巡回自己相関演算によって得られた自己相関演算値(Ca(1),Ca(2),Ca(3),・・・,Ca(N/2),Ca(N/2+1))は、必要に応じて正規化を行っておくとよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、煩雑なテンプレート作成作業を自動化できることから、テンプレート作成に要する時間を大幅に削減できるのみならず、従来の手作業に起因して発生していた人的誤差を排除することでテンプレートの質を均一に保つことができ、ひいては円形物の鑑別性能の向上に資することができるテンプレートの作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るテンプレートの作成方法を実行するコンピュータの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るテンプレートの作成方法を示すフロー図である。
【図3】硬貨の光学画像からリング形状の円環状画素データを抽出した一例を示す図である。
【図4】巡回自己相関演算に関する補足説明図である。
【図5】被識別円形物の光学画像から抽出した円環状画素データを用いて硬貨種の識別を行う円形物識別方法の概略フロー図である。
【符号の説明】
101 CPU
101a 画像取込制御部
101b データ処理部
101c 記憶部
101d 照明制御部
102 画像撮像部
103 照明部
Claims (5)
- 識別対象となる被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別するために用いられ、この正規円形物の表面を撮像することによって得られた光学画像から、正規円形物の特徴的な模様部分を含み、正規円形物と同心の円環状画素データを抽出することで作成されるテンプレートの作成方法において、
前記円環状画素データを、その抽出位置を半径方向に変えながら複数抽出し、
抽出した複数の円環状画素データの各々について巡回自己相関演算を行い、
この巡回自己相関演算によって得られる複数の自己相関演算値の各々から極値を求め、
この極値に基づく円環状画像データと、その円環状画像データの半径値と、からテンプレートを作成することを特徴とするテンプレートの作成方法。 - 請求項1記載のテンプレートの作成方法において、
前記極値の中の最も小さい値となる最小値を求め、
この最小値のうち最も小さい値に対応する円環状画素データと、その円環状画素データの半径値と、からテンプレートを作成することを特徴とするテンプレートの作成方法。 - 請求項1又は2記載のテンプレートの作成方法において作成されたテンプレートと被識別円形物との比較を行い、比較によって生じる円環状画素データの誤差量を前記テンプレートに反映して、新たなテンプレートを作成することを特徴とするテンプレートの作成方法。
- 請求項1から3のいずれか記載のテンプレートの作成方法において作成されたテンプレート。
- 請求項4記載のテンプレートを用いて、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする円形物の識別方法。
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