JP2005031435A - 照明装置及びこれを備えたプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】色再現と輝度重視の状態の切り換え後にも、投射像のホワイトバランスの調整が簡易に達成されるプロジェクタ。
【解決手段】フィルタユニット28を光分割光学系23内に組み込んでいるので、スクリーン上に投影高輝度状態の画像と高色再現状態の画像とを切り換えて表示できる。つまり、フィルタ部材28aを光路上から退避させれば、G光及びB光の光路に十分な輝度の光源光を導くことができ、十分な照明輝度を確保することができる。一方、フィルタ部材28aを光路上に挿入した場合、第1フィルタFL1によって、G光及びB光の相対的な強度比を調整することができ、第2フィルタFL2によって、G光及びB光の光路に紛れ込んだ境界光をカットすることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】フィルタユニット28を光分割光学系23内に組み込んでいるので、スクリーン上に投影高輝度状態の画像と高色再現状態の画像とを切り換えて表示できる。つまり、フィルタ部材28aを光路上から退避させれば、G光及びB光の光路に十分な輝度の光源光を導くことができ、十分な照明輝度を確保することができる。一方、フィルタ部材28aを光路上に挿入した場合、第1フィルタFL1によって、G光及びB光の相対的な強度比を調整することができ、第2フィルタFL2によって、G光及びB光の光路に紛れ込んだ境界光をカットすることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネルその他の空間光変調装置を用いて画像を投射するプロジェクタ用の照明装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】
色再現性を重視した状態と明るさを重視した状態とを切り換えて画像表示を実現することができる投射型表示装置がこれまでに開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
この投射型表示装置では、特定色の光路上であって画像表示素子の前段に波長選択素子であるエッジフィルタを挿脱可能に配置して特定色の純度を調節するとともに、利用者がエッジフィルタの挿脱を確認できるようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−92419号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のようにエッジフィルタを挿脱可能に光路上に配置した場合、色純度を調整することができるだけであり、各色の比率すなわちホワイトバランスの調整は必ずしも達成されない。
【0005】
なお、上記のエッジフィルタとは別に、特定色を所望量だけ減衰させる透過率調整フィルタを光路上の適所に予め配置しておくことができ、色再現性重視のモードでエッジフィルタを光路上に挿入した場合に、投射像のホワイトバランスが適正に調整されるようにすることも考えられる。しかしながら、このような装置では、光学部品が増加して特性劣化の要因が増加するだけでなく、エッジフィルタを光路から退避させた輝度重視のモードにおいて、ホワイトバランスが劣化し或いは輝度減少が生じる可能性がある。一方、エッジフィルタと透過率調整フィルタとを同期して光路上に挿脱する構成も考えられるが、光学部品が増加するとともに装置構造が複雑化する。
【0006】
そこで、本発明は、色再現性を重視した状態と輝度を重視した状態とを切り換え可能なプロジェクタ用の照明装置等であって、状態の切り換え後(特に色再現性を重視した状態に切り換えた場合)にも、投射像のホワイトバランスの調整が簡易に達成されるプロジェクタ用の照明装置等を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクタ用の照明装置は、光源から射出された光源光から第1色の照明光を分岐するとともに、分岐後に残った光源光から第2及び第3色の各照明光を互いに分離する色分割光学系と、第1色の照明光を分岐した後であって第2及び第3色の各照明光に分離する前の光源光の光路上に配置されるとともに、第1面及び第2面を主面として有する基板部材と、第1面上に形成されて第2及び第3色の照明光を異なる透過率で透過させる光学薄膜からなる第1フィルタと、第2面上に形成されて第2及び第3色の照明光を透過させるとともに第1色若しくは当該第1色に近似する照明光を遮断する光学薄膜からなる第2フィルタとを有するフィルタ部材とを備える。
【0008】
上記照明装置では、第1色の照明光を分岐した後であって第2及び第3色の照明光に分離する前の光源光の光路上に配置されたフィルタ部材が、第1面上に形成されて第2及び第3色の照明光を異なる透過率で透過させる光学薄膜からなる第1フィルタと、第2面上に形成されて第2及び第3色の照明光を透過させるとともに第1色若しくは当該第1色に近似する照明光を遮断する光学薄膜からなる第2フィルタとを有する。したがって、第1フィルタによって、第2及び第3色の照明光の相対的な透過強度比を調整することができ、第2フィルタによって、第2及び第3色の照明光の光路に導かれた第1色照明光や境界光(具体的には、隣接する第1色と第2色との境界領域の照明光)をカットすることができるので、投射像のホワイトバランスを正確に調節することができる。なお、第1色の照明光と第2及び第3色の照明光との相対的な強度比は、第1フィルタの高透過率側の色(つまり、第2及び第3色)の上限透過率や、第2フィルタの透過波長側の上限透過率の設定を変更すること等によって適宜調節することができる。つまり、本発明のプロジェクタによれば、単一の光学部材を光路上に配置するだけの簡単な構成で、色再現性を損なうことなくホワイトバランスを調整することができ高品位の投射像を形成することができる。ここで、第1フィルタの透過比率調整機能と第2フィルタのカット機能とを単一の誘電体多層膜フィルタで実現することも考えられるが、誘電体多層膜フィルタで目標の特性を得ることは設計的にも極めて困難でコスト増加を招くだけでなく、特性を大きく変動させる境界領域等で特性曲線にリップルが発生し易なるので、必要な照明光が減衰したりホワイトバランスが劣化し或いは不安定になることもある。一方、本発明の照明装置のように第1フィルタと第2フィルタとに役割分担して光量調節を行えば、低コストでありながら全体として所望の特性を達成することができ、しかも単一の光学部品として取り扱うことができる。さらに、基板部材の両面に各フィルタを形成することで、反射防止膜を特別に形成する必要がなくなるという利点もある。
【0009】
また、本発明の具体的な態様における照明装置では、フィルタ部材が、光源光の光路上に退避可能に配置されている。この場合、フィルタ部材を光路上から退避させることによって、第2及び第3色の照明光の光路に境界光が導かれこの境界光によって色純度が多少低下するものの、全体としての照明光量が増加するので、色再現性を重視した状態から輝度を重視した状態への切り換えが達成される。
【0010】
また、本発明の別の具体的な態様では、フィルタ部材を当該光路上の動作位置と当該光路上から外れた退避位置との間で移動させるフィルタ駆動部材をさらに備える。この場合、フィルタ駆動部材の動作によって色再現性を重視した状態と輝度を重視した状態との間で簡易に状態を切り換えることができる。
【0011】
また、本発明の別の具体的な態様では、第1及び第2フィルタが、それぞれ誘電体多層膜からなる。この場合、精密でシャープな透過特性を実現することができるので、高い色再現性と正確なホワイトバランスを達成することができる。
【0012】
また、本発明に係るプロジェクタは、上述の照明装置と、第1乃至第3色の照明光によってそれぞれ照明されるとともに各色の照明光を個別に変調する3つの空間光変調装置と、3つの空間光変調装置からの各色の像光を合成して射出する光合成部材と、光合成部材を経て合成された像光を投射する投射光学系とを備える。ここで、「空間光変調装置」とは、例えば液晶ライトバルブ、デジタルミラーデバイス(DMD)等に代表される非発光型の表示デバイスである。この場合、空間光変調装置を利用した高精度の投射像を光合成部材及び投射光学系を介してスクリーン上に投射することができる。
【0013】
また、本発明の具体的な態様におけるプロジェクタでは、空間光変調装置によって形成される画像の特性に応じてフィルタ駆動部材を駆動することにより、フィルタ部材を動作位置及び退避位置のいずれか設定する制御手段をさらに備える。この場合、表示画像の特性に応じて色再現性を重視した状態と輝度を重視した状態とを自動的に切り換えるので、状況に応じた適切な画像を自動的に投射することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るプロジェクタの構造について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態のプロジェクタの光学系を説明する図である。このプロジェクタ10は、光源光を発生する光源装置21と、光源装置21からの光源光をRGBの3色に分割する光分割光学系23と、光分割光学系23から射出された各色の照明光によって照明される光変調部25と、光変調部25からの各色の像光を合成する光合成部材であるクロスダイクロイックミラー27と、クロスダイクロイックミラー27を経た像光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射レンズ29とを備える。さらに、プロジェクタ10は、光分割光学系23中の光路上に退避可能に配置されて色再現性を損なうことなくホワイトバランスを調整することができるフィルタユニット28と、光変調部25に組み込まれている各色の空間光変調装置(後に詳述)に対して駆動信号を出力する画像処理部40と、上述の光源装置21、フィルタユニット28、画像処理部40等を適宜動作させることにより装置全体を統括的に制御する制御装置50とを備える。
【0016】
光源装置21は、光源ランプ21aと、一対のフライアイ光学系21b,21cと、偏光変換部材21dと、重畳レンズ21eとを備える。ここで、光源ランプ21aは、例えば高圧水銀ランプからなり、光源光をコリメートするための凹面鏡を備える。また、一対のフライアイ光学系21b,21cは、マトリックス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって光源ランプ21aからの光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材21dは、フライアイ21cから射出した光源光を図1の紙面に垂直なS偏光成分のみに変換して次段光学系に供給する。重畳レンズ21eは、偏光変換部材21dを経た照明光を全体として適宜収束させて、各色の空間光変調装置に対する重畳照明を可能にする。つまり、両フライアイ光学系21b,21cと重畳レンズ21eとを経た照明光は、以下に詳述する光分割光学系23を経て、光変調部25に設けられた各色の空間光変調装置すなわち各色の液晶ライトバルブ25a〜25cを均一に重畳照明する。
【0017】
光分割光学系23は、第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bと、3つのフィールドレンズ23f〜23hと、反射ミラー23i,23j,23kとを備え、光源装置21とともに照明装置を構成する。第1ダイクロイックミラー23aは、RGBの3色のうちR光を反射しG光及びB光を透過させる。また、第2ダイクロイックミラー23bは、GBの2色のうちG光を反射しB光を透過させる。この光分割光学系23において、第1ダイクロイックミラー23aで反射されたR光は、S偏光のまま、反射ミラー23iを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ23fに入射する。また、第1ダイクロイックミラー23aを通過して第2ダイクロイックミラー23bで反射されたG光は、λ/2位相差板23dを経てS偏光からP偏光に変換されてフィールドレンズ23gに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー23bを通過したB光は、S偏光のまま、光路差を補償するためのリレーレンズLL1,LL2及び反射ミラー23j,23kを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ23hに入射する。
【0018】
フィルタユニット28は、光分割光学系23内に組み込まれるものであり、R光、G光及びB光のそれぞれに対して透過率が異なるフィルタ部材28aと、フィルタ部材28aを一端で枢支して光路上の動作位置と光路上から外れた退避位置との間で可動に保持する支持部材28bと、フィルタ部材28aを駆動してその姿勢を調節することによってフィルタ部材28aを適宜動作させるためのアクチュエータ28cとを備える。ここで、アクチュエータ28cは、フィルタ部材28aを実線で示す動作位置と点線で示す待避位置との間で移動させるフィルタ駆動部材を構成する。
【0019】
図2は、フィルタ部材28aの構造を説明する断面図である。このフィルタ部材28aは、透明で薄板状のガラス基板GPの一対の主面すなわち対向する表面に第1及び第2フィルタFL1,FL2を形成したものである。ガラス基板GPは、可視光領域において高い透過特性を有するものとする。一方の第1フィルタFL1は、透過損失に関する分光特性の設定によって波長ごとの透過率調整を行うべく光学設計された誘電体多層膜からなり、他方の第2フィルタFL2は、長波長カット型のエッジフィルタとして光学設計された誘電体多層膜からなる。
【0020】
図3(a)は第1フィルタFL1の分光透過率の一実施例を示すグラフであり、図3(b)は第2フィルタFL2の分光透過率の一実施例を示すグラフである。図3(a)からも明らかなように、第1フィルタFL1は、波長400nm〜480nmのB光を約75%透過させ、波長480nm〜570nmのG光を約55%透過させるので、B光とG光とを75:55の比率で減衰して透過させることができる。一方、図3(b)からも明らかなように、第2フィルタFL2は、波長570nm以下のB光及びG光をほぼ完全に透過させるが、波長580nm以上のR光やGとの境界光を遮断する。
【0021】
図4は、フィルタ部材28a全体としての分光透過率を示すグラフである。実線で示すように、第1フィルタFL1の分光透過率(二点鎖線)と第2フィルタFL2の分光透過率(一点鎖線)とを重ね合わせること、つまり透過率の積算によって、G、Bの両色で平坦であるが異なる透過率を有する透過特性を達成することができる。具体的には、第1及び第2フィルタFL1,FL2からなるフィルタ部材28aを通過させることで、B光を25%減衰させ、G光を35%減衰させ、境界光である波長575nm〜600nmの光をほぼ90%減衰させることができる。なお、点線で囲んだ一対の領域AG,ABは、色再現性を確保する観点で重要な領域であるが、両領域AG,ABともに平坦な分光透過特性を達成しており、照明光に関して所望のカラーバランスを安定して実現することができ、高品位の画像を投射することができることが分かる。
【0022】
図5は、比較のための図であり、フィルタ部材の片面にのみ誘電体多層膜を積層して図4と等価な分光透過率を達成しようとした場合を示す。この場合も、B光を25%減衰させ、G光を35%減衰させ、境界光である波長575nm〜600nmのR光をほぼ90%減衰させる分光透過特性を持たせるが、点線で囲んだ一対の領域AG,ABでリップルがかなり目立つ特性となっている。この結果、照明光に関して所望のカラーバランスを実現することが困難となり、高品位の画像を投射する上で障害となる。しかも、比較例のような誘電体多層膜は、高度の設計技術及び製造技術を要するので、一般にあまり量産に向かず高価なものとなる。
【0023】
図1に戻って、光変調部25は、それぞれが空間光変調装置である3つの液晶ライトバルブ25a〜25cと、各液晶ライトバルブ25a〜25cを挟むように配置される3組の偏光フィルタ25e〜25gとを備える。第1ダイクロイックミラー23aで反射されたR光は、フィールドレンズ23fを介して液晶ライトバルブ25aに入射する。第1ダイクロイックミラー23aやフィルタ部材28aを透過して第2ダイクロイックミラー23bで反射されたG光は、λ/2位相差板23d及びフィールドレンズ23gを介して液晶ライトバルブ25bに入射する。第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bの双方を透過したB光は、中間を省略するがフィールドレンズ23hを介して液晶ライトバルブ25cに入射する。各液晶ライトバルブ25a〜25cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調する非発光型の空間光変調装置であり、各液晶ライトバルブ25a〜25cにそれぞれ入射した3色の光は、各液晶ライトバルブ25a〜25cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて変調される。その際、偏光フィルタ25e〜25gによって、各液晶ライトバルブ25a〜25cに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、各液晶ライトバルブ25a〜25cから射出される変調光から所定の偏光方向の変調光が取り出される。
【0024】
クロスダイクロイックプリズム27は、光合成部材であり、R光反射用の誘電体多層膜27aとB光反射用の誘電体多層膜27bとを直交させた状態で内蔵するものであり、液晶ライトバルブ25aからのR光を誘電体多層膜27aで反射して進行方向右側に射出させ、液晶ライトバルブ25bからのG光を誘電体多層膜27a,27bを介して直進・射出させ、液晶ライトバルブ25cからのB光を誘電体多層膜27bで反射して進行方向左側に射出させる。このようにして、クロスダイクロイックプリズム27で重ね合わされた合成光はスクリーンに所望のサイズの画像を投射するための投射レンズ29に入射する。この際、液晶ライトバルブ25a,25cから射出される像光を両誘電体多層膜27a,27bに垂直な入射面に対して垂直方向に振動するS偏光とし、液晶ライトバルブ25bから射出される像光を上記入射面内で振動するP偏光とすることによって、各誘電体多層膜27a,27bによる各R,B光の反射効率を高めつつ、両誘電体多層膜27a,27bによるG光の透過効率を高めている。
【0025】
画像処理部40は、光変調部25に設けた各液晶ライトバルブ25a〜25cに対して駆動信号を出力する。画像処理部40には、パーソナルコンピュータ等からのデジタル画像信号とビデオ再生装置等からのビデオ画像信号とが切替え装置61を介して選択的に入力される。画像処理部40では、画像信号の内容を判断して各液晶ライトバルブ25a〜25cに出力する駆動信号を生成するが、この際、画像信号の内容すなわち画像信号がデジタル画像信号であるかビデオ画像信号であるかに応じてアクチュエータ28cを適宜動作させることによって色再現性を重視した状態と輝度を重視した状態とを自動的に切り換える。例えば、デジタル画像信号が入力されている場合、制御手段である制御装置50は、アクチュエータ28cを適宜動作させてフィルタ部材28aを光路上から退避させ、フィルタユニット28を高輝度状態の設定とする。これにより、クッキリとした高輝度画像の投射が可能になる。一方、ビデオ画像信号が入力されている場合、制御手段である制御装置50は、アクチュエータ28cを適宜動作させてフィルタ部材28aを光路上に挿入し、フィルタユニット28を色再現性重視状態の設定とする。これにより、自然な発色で色の濁りの少ない高画質画像の投射が可能になる。なお、フィルタユニット28を高輝度状態と色再現性重視状態とのいずれの設定に切り換えるかの判断は、入力信号がデジタル及びビデオのいずれの画像信号であるか否かに限らず、画像の種類(例えば白が支配的な画像であるか否かや、スライド的な画像であるか否か等)その他の条件に応じたものとすることができる。さらに、プロジェクタ10の周囲に設けられた操作パネル62を利用してフィルタユニット28を高輝度状態と高色再現状態との間で切り換えて設定することもできる。この場合、ユーザが自らの意思で、色再現性を多少犠牲にしても高輝度画像をスクリーン上に投射したり、輝度を多少犠牲にしても自然な発色の高画質画像をスクリーン上に投射したりすることができる。
【0026】
以下、本実施形態に係るプロジェクタ10の動作について説明する。光源装置21からの光源光は、光分割光学系23に設けた第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bによって色分割され、対応する液晶ライトバルブ25a〜25cに照明光としてそれぞれ入射する。各液晶ライトバルブ25a〜25cは、外部からの画像信号によって変調されて2次元的屈折率分布を有しており、照明光を2次元空間的に画素単位で変調する。このように、各液晶ライトバルブ25a〜25cで変調された照明光すなわち像光は、クロスダイクロイックプリズム27で合成された後投射レンズ29に入射する。投射レンズ29に入射した像光は、不図示のスクリーンに投影される。この際、上述のフィルタユニット28を光分割光学系23内に組み込んでいるので、スクリーン上に高輝度状態の画像と高色再現状態の画像とを切り換えて表示できる。つまり、フィルタ部材28aを光路上から退避させれば、G光及びB光の光路に十分な輝度の光源光を導くことができ、高い照明輝度を確保することができる。一方、フィルタ部材28aを光路上に挿入した場合、第1フィルタFL1によってG光及びB光の相対的な強度比及び全体強度を調整することができ、第2フィルタFL2によってG光及びB光の光路に紛れ込んだ境界光(具体的には、波長575nm〜600nmの光)をカットすることができる。
【0027】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、フィルタ部材28aを構成する第1及び第2フィルタFL1,FL2の順番(入射面側と射出面側とのいずれに配置するか)は入れ換えることができ、このように入れ換えた場合にも全体の特性は変化しない。
【0028】
また、上記実施形態では、G光及びB光の2色が通過する光路上にフィルタ部材28aを挿脱可能に設置しているが、R光或いはB光等の特定色のみが通過する光路に、上記フィルタ部材28aと同一構造を有し適当な特性の一対のフィルタを備えるフィルタ部材を設置することもできる。この場合、単色内の複数の異なる波長の出力ピークの比率を調整することができる。
【0029】
また、上記実施形態では、G光及びB光の共通光路上にフィルタ部材28aを配置しているが、例えば予めB光を分岐してその後にR光及びG光を分離する光分割方式では、R光及びG光の共通光路上に上記フィルタ部材28aと同一構造を有し分光透過率の特性が異なるフィルタ部材を設置することになる。
【0030】
また、上記実施形態では、第1フィルタFL1等をエッジフィルタとしているがこれを、境界光を含む広い意味でのR光を遮断することができるバンドカットフィルタ等に置き換えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のプロジェクタの光学系を説明する図である。
【図2】フィルタ部材の構造を説明する断面図である。
【図3】(a)、(b)は第1及び第2フィルタの分光透過率を示すグラフ。
【図4】フィルタ部材全体としての分光透過率を示すグラフ。
【図5】比較例のフィルタ部材の分光透過率を示す図である。
【符号の説明】
21 光源装置、 21a 光源ランプ、 21d 偏光変換部材、 23 光分割光学系、 23a 第1ダイクロイックミラー、 23b 第2ダイクロイックミラー、 23c 第3ダイクロイックミラー、 23d(λ/2)板、 25 光変調部、 25a〜25c 液晶ライトバルブ、 25e〜56g 偏光フィルタ、 27 クロスダイクロイックプリズム、 28 フィルタユニット、 28a フィルタ部材、 28c アクチュエータ 29 投射レンズ、 FL1 第1フィルタ、 FL1,FL2 第2フィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネルその他の空間光変調装置を用いて画像を投射するプロジェクタ用の照明装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】
色再現性を重視した状態と明るさを重視した状態とを切り換えて画像表示を実現することができる投射型表示装置がこれまでに開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
この投射型表示装置では、特定色の光路上であって画像表示素子の前段に波長選択素子であるエッジフィルタを挿脱可能に配置して特定色の純度を調節するとともに、利用者がエッジフィルタの挿脱を確認できるようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−92419号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のようにエッジフィルタを挿脱可能に光路上に配置した場合、色純度を調整することができるだけであり、各色の比率すなわちホワイトバランスの調整は必ずしも達成されない。
【0005】
なお、上記のエッジフィルタとは別に、特定色を所望量だけ減衰させる透過率調整フィルタを光路上の適所に予め配置しておくことができ、色再現性重視のモードでエッジフィルタを光路上に挿入した場合に、投射像のホワイトバランスが適正に調整されるようにすることも考えられる。しかしながら、このような装置では、光学部品が増加して特性劣化の要因が増加するだけでなく、エッジフィルタを光路から退避させた輝度重視のモードにおいて、ホワイトバランスが劣化し或いは輝度減少が生じる可能性がある。一方、エッジフィルタと透過率調整フィルタとを同期して光路上に挿脱する構成も考えられるが、光学部品が増加するとともに装置構造が複雑化する。
【0006】
そこで、本発明は、色再現性を重視した状態と輝度を重視した状態とを切り換え可能なプロジェクタ用の照明装置等であって、状態の切り換え後(特に色再現性を重視した状態に切り換えた場合)にも、投射像のホワイトバランスの調整が簡易に達成されるプロジェクタ用の照明装置等を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクタ用の照明装置は、光源から射出された光源光から第1色の照明光を分岐するとともに、分岐後に残った光源光から第2及び第3色の各照明光を互いに分離する色分割光学系と、第1色の照明光を分岐した後であって第2及び第3色の各照明光に分離する前の光源光の光路上に配置されるとともに、第1面及び第2面を主面として有する基板部材と、第1面上に形成されて第2及び第3色の照明光を異なる透過率で透過させる光学薄膜からなる第1フィルタと、第2面上に形成されて第2及び第3色の照明光を透過させるとともに第1色若しくは当該第1色に近似する照明光を遮断する光学薄膜からなる第2フィルタとを有するフィルタ部材とを備える。
【0008】
上記照明装置では、第1色の照明光を分岐した後であって第2及び第3色の照明光に分離する前の光源光の光路上に配置されたフィルタ部材が、第1面上に形成されて第2及び第3色の照明光を異なる透過率で透過させる光学薄膜からなる第1フィルタと、第2面上に形成されて第2及び第3色の照明光を透過させるとともに第1色若しくは当該第1色に近似する照明光を遮断する光学薄膜からなる第2フィルタとを有する。したがって、第1フィルタによって、第2及び第3色の照明光の相対的な透過強度比を調整することができ、第2フィルタによって、第2及び第3色の照明光の光路に導かれた第1色照明光や境界光(具体的には、隣接する第1色と第2色との境界領域の照明光)をカットすることができるので、投射像のホワイトバランスを正確に調節することができる。なお、第1色の照明光と第2及び第3色の照明光との相対的な強度比は、第1フィルタの高透過率側の色(つまり、第2及び第3色)の上限透過率や、第2フィルタの透過波長側の上限透過率の設定を変更すること等によって適宜調節することができる。つまり、本発明のプロジェクタによれば、単一の光学部材を光路上に配置するだけの簡単な構成で、色再現性を損なうことなくホワイトバランスを調整することができ高品位の投射像を形成することができる。ここで、第1フィルタの透過比率調整機能と第2フィルタのカット機能とを単一の誘電体多層膜フィルタで実現することも考えられるが、誘電体多層膜フィルタで目標の特性を得ることは設計的にも極めて困難でコスト増加を招くだけでなく、特性を大きく変動させる境界領域等で特性曲線にリップルが発生し易なるので、必要な照明光が減衰したりホワイトバランスが劣化し或いは不安定になることもある。一方、本発明の照明装置のように第1フィルタと第2フィルタとに役割分担して光量調節を行えば、低コストでありながら全体として所望の特性を達成することができ、しかも単一の光学部品として取り扱うことができる。さらに、基板部材の両面に各フィルタを形成することで、反射防止膜を特別に形成する必要がなくなるという利点もある。
【0009】
また、本発明の具体的な態様における照明装置では、フィルタ部材が、光源光の光路上に退避可能に配置されている。この場合、フィルタ部材を光路上から退避させることによって、第2及び第3色の照明光の光路に境界光が導かれこの境界光によって色純度が多少低下するものの、全体としての照明光量が増加するので、色再現性を重視した状態から輝度を重視した状態への切り換えが達成される。
【0010】
また、本発明の別の具体的な態様では、フィルタ部材を当該光路上の動作位置と当該光路上から外れた退避位置との間で移動させるフィルタ駆動部材をさらに備える。この場合、フィルタ駆動部材の動作によって色再現性を重視した状態と輝度を重視した状態との間で簡易に状態を切り換えることができる。
【0011】
また、本発明の別の具体的な態様では、第1及び第2フィルタが、それぞれ誘電体多層膜からなる。この場合、精密でシャープな透過特性を実現することができるので、高い色再現性と正確なホワイトバランスを達成することができる。
【0012】
また、本発明に係るプロジェクタは、上述の照明装置と、第1乃至第3色の照明光によってそれぞれ照明されるとともに各色の照明光を個別に変調する3つの空間光変調装置と、3つの空間光変調装置からの各色の像光を合成して射出する光合成部材と、光合成部材を経て合成された像光を投射する投射光学系とを備える。ここで、「空間光変調装置」とは、例えば液晶ライトバルブ、デジタルミラーデバイス(DMD)等に代表される非発光型の表示デバイスである。この場合、空間光変調装置を利用した高精度の投射像を光合成部材及び投射光学系を介してスクリーン上に投射することができる。
【0013】
また、本発明の具体的な態様におけるプロジェクタでは、空間光変調装置によって形成される画像の特性に応じてフィルタ駆動部材を駆動することにより、フィルタ部材を動作位置及び退避位置のいずれか設定する制御手段をさらに備える。この場合、表示画像の特性に応じて色再現性を重視した状態と輝度を重視した状態とを自動的に切り換えるので、状況に応じた適切な画像を自動的に投射することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るプロジェクタの構造について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態のプロジェクタの光学系を説明する図である。このプロジェクタ10は、光源光を発生する光源装置21と、光源装置21からの光源光をRGBの3色に分割する光分割光学系23と、光分割光学系23から射出された各色の照明光によって照明される光変調部25と、光変調部25からの各色の像光を合成する光合成部材であるクロスダイクロイックミラー27と、クロスダイクロイックミラー27を経た像光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射レンズ29とを備える。さらに、プロジェクタ10は、光分割光学系23中の光路上に退避可能に配置されて色再現性を損なうことなくホワイトバランスを調整することができるフィルタユニット28と、光変調部25に組み込まれている各色の空間光変調装置(後に詳述)に対して駆動信号を出力する画像処理部40と、上述の光源装置21、フィルタユニット28、画像処理部40等を適宜動作させることにより装置全体を統括的に制御する制御装置50とを備える。
【0016】
光源装置21は、光源ランプ21aと、一対のフライアイ光学系21b,21cと、偏光変換部材21dと、重畳レンズ21eとを備える。ここで、光源ランプ21aは、例えば高圧水銀ランプからなり、光源光をコリメートするための凹面鏡を備える。また、一対のフライアイ光学系21b,21cは、マトリックス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって光源ランプ21aからの光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材21dは、フライアイ21cから射出した光源光を図1の紙面に垂直なS偏光成分のみに変換して次段光学系に供給する。重畳レンズ21eは、偏光変換部材21dを経た照明光を全体として適宜収束させて、各色の空間光変調装置に対する重畳照明を可能にする。つまり、両フライアイ光学系21b,21cと重畳レンズ21eとを経た照明光は、以下に詳述する光分割光学系23を経て、光変調部25に設けられた各色の空間光変調装置すなわち各色の液晶ライトバルブ25a〜25cを均一に重畳照明する。
【0017】
光分割光学系23は、第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bと、3つのフィールドレンズ23f〜23hと、反射ミラー23i,23j,23kとを備え、光源装置21とともに照明装置を構成する。第1ダイクロイックミラー23aは、RGBの3色のうちR光を反射しG光及びB光を透過させる。また、第2ダイクロイックミラー23bは、GBの2色のうちG光を反射しB光を透過させる。この光分割光学系23において、第1ダイクロイックミラー23aで反射されたR光は、S偏光のまま、反射ミラー23iを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ23fに入射する。また、第1ダイクロイックミラー23aを通過して第2ダイクロイックミラー23bで反射されたG光は、λ/2位相差板23dを経てS偏光からP偏光に変換されてフィールドレンズ23gに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー23bを通過したB光は、S偏光のまま、光路差を補償するためのリレーレンズLL1,LL2及び反射ミラー23j,23kを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ23hに入射する。
【0018】
フィルタユニット28は、光分割光学系23内に組み込まれるものであり、R光、G光及びB光のそれぞれに対して透過率が異なるフィルタ部材28aと、フィルタ部材28aを一端で枢支して光路上の動作位置と光路上から外れた退避位置との間で可動に保持する支持部材28bと、フィルタ部材28aを駆動してその姿勢を調節することによってフィルタ部材28aを適宜動作させるためのアクチュエータ28cとを備える。ここで、アクチュエータ28cは、フィルタ部材28aを実線で示す動作位置と点線で示す待避位置との間で移動させるフィルタ駆動部材を構成する。
【0019】
図2は、フィルタ部材28aの構造を説明する断面図である。このフィルタ部材28aは、透明で薄板状のガラス基板GPの一対の主面すなわち対向する表面に第1及び第2フィルタFL1,FL2を形成したものである。ガラス基板GPは、可視光領域において高い透過特性を有するものとする。一方の第1フィルタFL1は、透過損失に関する分光特性の設定によって波長ごとの透過率調整を行うべく光学設計された誘電体多層膜からなり、他方の第2フィルタFL2は、長波長カット型のエッジフィルタとして光学設計された誘電体多層膜からなる。
【0020】
図3(a)は第1フィルタFL1の分光透過率の一実施例を示すグラフであり、図3(b)は第2フィルタFL2の分光透過率の一実施例を示すグラフである。図3(a)からも明らかなように、第1フィルタFL1は、波長400nm〜480nmのB光を約75%透過させ、波長480nm〜570nmのG光を約55%透過させるので、B光とG光とを75:55の比率で減衰して透過させることができる。一方、図3(b)からも明らかなように、第2フィルタFL2は、波長570nm以下のB光及びG光をほぼ完全に透過させるが、波長580nm以上のR光やGとの境界光を遮断する。
【0021】
図4は、フィルタ部材28a全体としての分光透過率を示すグラフである。実線で示すように、第1フィルタFL1の分光透過率(二点鎖線)と第2フィルタFL2の分光透過率(一点鎖線)とを重ね合わせること、つまり透過率の積算によって、G、Bの両色で平坦であるが異なる透過率を有する透過特性を達成することができる。具体的には、第1及び第2フィルタFL1,FL2からなるフィルタ部材28aを通過させることで、B光を25%減衰させ、G光を35%減衰させ、境界光である波長575nm〜600nmの光をほぼ90%減衰させることができる。なお、点線で囲んだ一対の領域AG,ABは、色再現性を確保する観点で重要な領域であるが、両領域AG,ABともに平坦な分光透過特性を達成しており、照明光に関して所望のカラーバランスを安定して実現することができ、高品位の画像を投射することができることが分かる。
【0022】
図5は、比較のための図であり、フィルタ部材の片面にのみ誘電体多層膜を積層して図4と等価な分光透過率を達成しようとした場合を示す。この場合も、B光を25%減衰させ、G光を35%減衰させ、境界光である波長575nm〜600nmのR光をほぼ90%減衰させる分光透過特性を持たせるが、点線で囲んだ一対の領域AG,ABでリップルがかなり目立つ特性となっている。この結果、照明光に関して所望のカラーバランスを実現することが困難となり、高品位の画像を投射する上で障害となる。しかも、比較例のような誘電体多層膜は、高度の設計技術及び製造技術を要するので、一般にあまり量産に向かず高価なものとなる。
【0023】
図1に戻って、光変調部25は、それぞれが空間光変調装置である3つの液晶ライトバルブ25a〜25cと、各液晶ライトバルブ25a〜25cを挟むように配置される3組の偏光フィルタ25e〜25gとを備える。第1ダイクロイックミラー23aで反射されたR光は、フィールドレンズ23fを介して液晶ライトバルブ25aに入射する。第1ダイクロイックミラー23aやフィルタ部材28aを透過して第2ダイクロイックミラー23bで反射されたG光は、λ/2位相差板23d及びフィールドレンズ23gを介して液晶ライトバルブ25bに入射する。第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bの双方を透過したB光は、中間を省略するがフィールドレンズ23hを介して液晶ライトバルブ25cに入射する。各液晶ライトバルブ25a〜25cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調する非発光型の空間光変調装置であり、各液晶ライトバルブ25a〜25cにそれぞれ入射した3色の光は、各液晶ライトバルブ25a〜25cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて変調される。その際、偏光フィルタ25e〜25gによって、各液晶ライトバルブ25a〜25cに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、各液晶ライトバルブ25a〜25cから射出される変調光から所定の偏光方向の変調光が取り出される。
【0024】
クロスダイクロイックプリズム27は、光合成部材であり、R光反射用の誘電体多層膜27aとB光反射用の誘電体多層膜27bとを直交させた状態で内蔵するものであり、液晶ライトバルブ25aからのR光を誘電体多層膜27aで反射して進行方向右側に射出させ、液晶ライトバルブ25bからのG光を誘電体多層膜27a,27bを介して直進・射出させ、液晶ライトバルブ25cからのB光を誘電体多層膜27bで反射して進行方向左側に射出させる。このようにして、クロスダイクロイックプリズム27で重ね合わされた合成光はスクリーンに所望のサイズの画像を投射するための投射レンズ29に入射する。この際、液晶ライトバルブ25a,25cから射出される像光を両誘電体多層膜27a,27bに垂直な入射面に対して垂直方向に振動するS偏光とし、液晶ライトバルブ25bから射出される像光を上記入射面内で振動するP偏光とすることによって、各誘電体多層膜27a,27bによる各R,B光の反射効率を高めつつ、両誘電体多層膜27a,27bによるG光の透過効率を高めている。
【0025】
画像処理部40は、光変調部25に設けた各液晶ライトバルブ25a〜25cに対して駆動信号を出力する。画像処理部40には、パーソナルコンピュータ等からのデジタル画像信号とビデオ再生装置等からのビデオ画像信号とが切替え装置61を介して選択的に入力される。画像処理部40では、画像信号の内容を判断して各液晶ライトバルブ25a〜25cに出力する駆動信号を生成するが、この際、画像信号の内容すなわち画像信号がデジタル画像信号であるかビデオ画像信号であるかに応じてアクチュエータ28cを適宜動作させることによって色再現性を重視した状態と輝度を重視した状態とを自動的に切り換える。例えば、デジタル画像信号が入力されている場合、制御手段である制御装置50は、アクチュエータ28cを適宜動作させてフィルタ部材28aを光路上から退避させ、フィルタユニット28を高輝度状態の設定とする。これにより、クッキリとした高輝度画像の投射が可能になる。一方、ビデオ画像信号が入力されている場合、制御手段である制御装置50は、アクチュエータ28cを適宜動作させてフィルタ部材28aを光路上に挿入し、フィルタユニット28を色再現性重視状態の設定とする。これにより、自然な発色で色の濁りの少ない高画質画像の投射が可能になる。なお、フィルタユニット28を高輝度状態と色再現性重視状態とのいずれの設定に切り換えるかの判断は、入力信号がデジタル及びビデオのいずれの画像信号であるか否かに限らず、画像の種類(例えば白が支配的な画像であるか否かや、スライド的な画像であるか否か等)その他の条件に応じたものとすることができる。さらに、プロジェクタ10の周囲に設けられた操作パネル62を利用してフィルタユニット28を高輝度状態と高色再現状態との間で切り換えて設定することもできる。この場合、ユーザが自らの意思で、色再現性を多少犠牲にしても高輝度画像をスクリーン上に投射したり、輝度を多少犠牲にしても自然な発色の高画質画像をスクリーン上に投射したりすることができる。
【0026】
以下、本実施形態に係るプロジェクタ10の動作について説明する。光源装置21からの光源光は、光分割光学系23に設けた第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bによって色分割され、対応する液晶ライトバルブ25a〜25cに照明光としてそれぞれ入射する。各液晶ライトバルブ25a〜25cは、外部からの画像信号によって変調されて2次元的屈折率分布を有しており、照明光を2次元空間的に画素単位で変調する。このように、各液晶ライトバルブ25a〜25cで変調された照明光すなわち像光は、クロスダイクロイックプリズム27で合成された後投射レンズ29に入射する。投射レンズ29に入射した像光は、不図示のスクリーンに投影される。この際、上述のフィルタユニット28を光分割光学系23内に組み込んでいるので、スクリーン上に高輝度状態の画像と高色再現状態の画像とを切り換えて表示できる。つまり、フィルタ部材28aを光路上から退避させれば、G光及びB光の光路に十分な輝度の光源光を導くことができ、高い照明輝度を確保することができる。一方、フィルタ部材28aを光路上に挿入した場合、第1フィルタFL1によってG光及びB光の相対的な強度比及び全体強度を調整することができ、第2フィルタFL2によってG光及びB光の光路に紛れ込んだ境界光(具体的には、波長575nm〜600nmの光)をカットすることができる。
【0027】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、フィルタ部材28aを構成する第1及び第2フィルタFL1,FL2の順番(入射面側と射出面側とのいずれに配置するか)は入れ換えることができ、このように入れ換えた場合にも全体の特性は変化しない。
【0028】
また、上記実施形態では、G光及びB光の2色が通過する光路上にフィルタ部材28aを挿脱可能に設置しているが、R光或いはB光等の特定色のみが通過する光路に、上記フィルタ部材28aと同一構造を有し適当な特性の一対のフィルタを備えるフィルタ部材を設置することもできる。この場合、単色内の複数の異なる波長の出力ピークの比率を調整することができる。
【0029】
また、上記実施形態では、G光及びB光の共通光路上にフィルタ部材28aを配置しているが、例えば予めB光を分岐してその後にR光及びG光を分離する光分割方式では、R光及びG光の共通光路上に上記フィルタ部材28aと同一構造を有し分光透過率の特性が異なるフィルタ部材を設置することになる。
【0030】
また、上記実施形態では、第1フィルタFL1等をエッジフィルタとしているがこれを、境界光を含む広い意味でのR光を遮断することができるバンドカットフィルタ等に置き換えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のプロジェクタの光学系を説明する図である。
【図2】フィルタ部材の構造を説明する断面図である。
【図3】(a)、(b)は第1及び第2フィルタの分光透過率を示すグラフ。
【図4】フィルタ部材全体としての分光透過率を示すグラフ。
【図5】比較例のフィルタ部材の分光透過率を示す図である。
【符号の説明】
21 光源装置、 21a 光源ランプ、 21d 偏光変換部材、 23 光分割光学系、 23a 第1ダイクロイックミラー、 23b 第2ダイクロイックミラー、 23c 第3ダイクロイックミラー、 23d(λ/2)板、 25 光変調部、 25a〜25c 液晶ライトバルブ、 25e〜56g 偏光フィルタ、 27 クロスダイクロイックプリズム、 28 フィルタユニット、 28a フィルタ部材、 28c アクチュエータ 29 投射レンズ、 FL1 第1フィルタ、 FL1,FL2 第2フィルタ
Claims (6)
- 光源から射出された光源光から第1色の照明光を分岐するとともに、分岐後に残った前記光源光から第2及び第3色の照明光を互いに分離する色分割光学系と、
前記第1色の照明光を分岐した後であって前記第2及び第3色の各照明光に分離する前の前記光源光の光路上に配置されるとともに、第1面及び第2面を主面として有する基板部材と、前記第1面上に形成されて前記第2及び第3色の照明光を異なる透過率で透過させる光学薄膜からなる第1フィルタと、前記第2面上に形成されて前記第2及び第3色の照明光を透過させるとともに前記第1色若しくは当該第1色に近似する照明光を遮断する光学薄膜からなる第2フィルタとを有するフィルタ部材と
を備えるプロジェクタ用の照明装置。 - 前記フィルタ部材は、前記光源光の光路上に退避可能に配置されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
- 前記フィルタ部材を前記光路上の動作位置と当該光路上から外れた退避位置との間で移動させるフィルタ駆動部材をさらに備えることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか一項記載の照明装置。
- 前記第1及び第2フィルタは、それぞれ誘電体多層膜からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項記載の照明装置。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項記載の照明装置と、
前記第1乃至第3色の照明光によってそれぞれ照明されるとともに各色の照明光を個別に変調する3つの空間光変調装置と、
前記3つの空間光変調装置からの各色の像光を合成して射出する光合成部材と、
前記光合成部材を経て合成された像光を投射する投射光学系と
を備えるプロジェクタ。 - 前記空間光変調装置によって形成される画像の特性に応じて前記フィルタ駆動部材を駆動することにより、前記フィルタ部材を前記動作位置及び前記退避位置のいずれか設定する制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項5記載のプロジェクタ。
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JP2003196682A JP2005031435A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 照明装置及びこれを備えたプロジェクタ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003196682A JP2005031435A (ja) | 2003-07-14 | 2003-07-14 | 照明装置及びこれを備えたプロジェクタ |
Publications (1)
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JP (1) | JP2005031435A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9693026B2 (en) | 2014-01-15 | 2017-06-27 | Seiko Epson Corporation | Projection type display apparatus and lighting device |
-
2003
- 2003-07-14 JP JP2003196682A patent/JP2005031435A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9693026B2 (en) | 2014-01-15 | 2017-06-27 | Seiko Epson Corporation | Projection type display apparatus and lighting device |
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