JP2005031051A - 核酸塩基配列データベース、核酸塩基配列情報の記録方法及び核酸塩基配列決定方法 - Google Patents

核酸塩基配列データベース、核酸塩基配列情報の記録方法及び核酸塩基配列決定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 核酸断片を電気泳動して得られた蛍光強度波形データを解釈して、A,C,G,T (U)等の塩基配列を決定する際、マイクロサテライトを含む核酸試料に対しても、高精度な塩基配列決定を行えるようにする。
【構成】 マイクロサテライトを含む「塩基配列が既知である蛍光強度波形データ」をデータベース化し、所定の比較基準に基づいて、塩基配列の決定およびマイクロサテライトの繰り返し数の算出を行う。
【選択図】 図10

Description

本発明は、核酸試料を電気泳動して得られる蛍光強度波形データを解釈して、塩基配列決定やマイクロサテライトの検出を行う核酸塩基配列決定方法に関するものである。
30億塩基からなるヒトの遺伝子情報を解読するヒトゲノム計画がほぼ完了し、これと並行してヒトの様々な疾患が核酸(DNA)塩基配列の変異に起因することが解明されつつある。個人間においては、その身体的特徴が異なるのと同様に核酸塩基配列も多くの部位で異なっており、この違いは多型と呼ばれている。多型は、ある程度以上の集団において、或る塩基変異が1%以上の頻度で存在しているものと定義されており、一つの塩基が他の塩基に置き換わっているもの(Single Nucleotide Polymorphisms : SNPs)や、1〜数十塩基が欠失や挿入しているもの等がある。特に、「2〜5塩基対の反復単位が、数個から数十個繰り返した反復配列」をマイクロサテライトと呼び、これはゲノム中に偏りなく広く存在しているため、上記SNPsと共にゲノム解析マーカーとしての利用が期待されている。例えば、2塩基からなるGAという配列が…GAGAG…AGAGA…と繰り返したり、3塩基からなるATTという配列が…ATTATTA…TTATT…と繰り返したりする部分が、ゲノム中には無数に存在する。これらの繰り返し回数はそれぞれ様々な値をとり、個体識別を行うための優れた遺伝子マーカーとして利用することが可能である。
SNPsやマイクロサテライトの一部には、疾患の発生と大きく関わっていることが明らかにされているものもあり、例えば3塩基対(トリプレット)の繰り返し数が異常に増大することが原因で生じる病気(脆弱X症候群、ハンチントン病等)も報告されている。これら多型を指標とする遺伝子診断法は、疾患遺伝子の探索や医薬品の開発等でその利用が期待されている。
現在、マイクロサテライトを検出する方法が幾つか開発されているが、該当部位を直接検出したい場合には信頼度の高い塩基配列決定が行われる。この塩基配列を決定するためには、従来、核酸断片の蛍光標識技術、高解像度ゲル電気泳動技術、および高感度蛍光検出技術を組み合わせたDNAシーケンシング法が広く用いられてきた。
しかしながら上記DNAシーケンシング法では、しばしば塩基配列の決定が困難な蛍光強度波形が得られる場合があった。その原因としては、核酸断片の量が少なく信号強度が弱い場合や、核酸断片が自分自身で高次構造をとり余分な信号成分が発生する場合、塩基配列を決定すべき核酸試料の精製度が低いため余分な信号成分となる核酸断片が生成される場合、およびシーケンス反応時や電気泳動時の条件によって信号に歪みが生じる場合等が考えられる。また、一回の測定で決定可能な塩基長には限界があり、この限界はゲル電気泳動におけるDNA断片の分離限界塩基長によって決定される。すなわち、ゲル電気泳動においては、1塩基長だけ異なるDNA断片どうしのピーク分離が塩基長の増大とともに困難になってくる。これは、塩基長の増大に伴うピーク半値幅(サンプリング後の波形データにおけるピーク半値幅)の増大の度合いが、ピーク間隔(サンプリング後の波形データにおけるピーク間隔)の増大の度合いに比べて大きくなり、隣り合ったピークどうしの分離が困難になることによっている。
一般にこれらの問題に対しては、塩基配列を決定すべき核酸試料に対して相補な塩基配列(配列順序(前後)も反転している)を持つ核酸の塩基配列を決定し、互いに相補な2つの塩基配列を照らし合わせることにより配列を確定したり、熟練した作業者が経験を元に目視判別による配列決定を行ったりして、対応する場合が多い。しかし、2つの試料を用意して塩基配列を2回決定する場合も、熟練者による目視判別を行う場合も、多くの時間や費用を要してしまうという新たな問題が生じてしまい、また、試料によっては互いに相補な二つの塩基配列自体が得られない場合もある。以上の点は、全くの未知塩基配列を解読しようとする場合にしばしば問題となる。しかし、実際の核酸試料の塩基配列決定では、或る特定部位塩基の変異を調べる場合のように、塩基配列を決定すべき核酸試料の塩基配列の少なくとも一部が既知である場合も多い。このような参照できる既知の塩基配列が存在する場合、既知の塩基配列を何らかの方法により参照して、核酸断片検出データを解釈することが可能となる。即ち、既知の蛍光強度波形とその塩基配列を用意し、新規に取得した核酸断片の蛍光強度波形と比較参照することにより、塩基配列を決定することができる。
上記のように既知の蛍光強度波形との比較参照を行う方法として、特開2002−55080号公報に記載された方法が提案されている。この方法では、塩基配列が既知である蛍光強度波形データを元にデータベース波形を作成し、このデータベース波形と新規計測した蛍光強度波形を、所定の基準に従って比較することにより、塩基配列の決定を行っている。
上記のデータベース波形を用いた核酸塩基配列決定方法によって上記マイクロサテライトを含む核酸試料の計測を行った場合、マイクロサテライトが生じているピーク以降の塩基配列を正しく解析することが困難となる。何故なら、マイクロサテライトを含む核酸試料の解析では、マイクロサテライトの繰り返し数によってその総塩基長が変化するのに対し、データベース波形(および配列)が含む塩基の数(総塩基長)は定数であるため、マイクロサテライトを含む波形(および配列)とデータベース波形(および配列)とを先頭から順に対応づける際、両者の総塩基長が異なる場合にはマイクロサテライト以降で両者がずれてしまい、正しい比較参照ができなくなるからである。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、マイクロサテライトを含む核酸試料の解析においても、その塩基配列を正しく決定し、且つマイクロサテライトの繰り返し数を容易に判定することのできる方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明による核酸塩基配列決定方法では、核酸試料から作製した種々の長さの核酸断片を電気泳動して得られた蛍光強度波形データと、該蛍光強度波形データから決定される塩基配列情報とをデータ格納部に記録する処理の中に、マイクロサテライトの発生情報を保存する処理を含ませる。蛍光強度波形データ及び塩基配列情報は、マイクロサテライトを含む複数の蛍光強度波形データを統計処理して作成した蛍光強度データベース波形及びそれに対応するデータベース配列とするのが好ましい。マイクロサテライトの発生情報には、マイクロサテライトの発生開始ピーク番号および発生終了ピーク番号を含ませることができる。
また、保存されたマイクロサテライトの発生情報を用いて、新規に計測した蛍光強度波形データに含まれるマイクロサテライトの発生状況を判定し、新規に計測した蛍光強度波形データの塩基配列を決定する。その際、マイクロサテライトの発生情報をデータ表示部に表示するのが好ましい。
すなわち、本発明による核酸塩基配列データベースは、核酸試料から得た種々の長さの蛍光標識した核酸断片を電気泳動して得られた4種類の塩基の蛍光強度波形データと、当該蛍光強度波形データから決定された塩基配列と、マイクロサテライト発生情報とを保持する核酸塩基配列データベースであって、マイクロサテライト発生情報はマイクロサテライトの開始位置情報及び最小繰り返し単位に関する情報を含み、マイクロサテライト領域に対応する4種類の蛍光強度波形データ及び塩基配列は、最小繰り返し単位の蛍光強度波形データ及び塩基配列からなることを特徴とする。
最小繰り返し単位に関する情報としては、最小繰り返し単位の終了位置(終了波形ピーク番号)、最小繰り返し単位の塩基数、最小繰り返し単位の塩基配列等、種々の情報を用いることができる。
4種類の塩基の蛍光強度波形データは複数の核酸試料の蛍光強度波形データを統計処理して得た蛍光強度データベース波形、塩基配列は当該蛍光強度データベース波形に対応するデータベース配列とすることができる。
本発明による核酸塩基配列情報の記録方法は、核酸試料から得た種々の長さの蛍光標識した核酸断片を電気泳動して得られた4種類の塩基の蛍光強度波形データを読み込むステップと、前記4種類の蛍光強度波形データから塩基配列を決定するステップと、マイクロサテライトの有無を判定するステップと、マイクロサテライトがあると判定された場合、当該マイクロサテライトの開始位置及び最小繰り返し単位に関する情報を取得するステップと、マイクロサテライトに関し、最小繰り返し単位以外の蛍光強度波形データと塩基配列の情報を消去する処理を行うステップと、処理後の前記4種類の塩基の蛍光強度波形データと、それに対応する塩基配列と、マイクロサテライトの発生情報と、マイクロサテライトの開始位置及び最小繰り返し単位に関する情報を記録する処理とを含むことを特徴とする。
また、本発明による核酸塩基配列決定方法は、核酸試料から得た種々の長さの蛍光標識した核酸断片を電気泳動して得られた4種類の塩基の蛍光強度波形データから仮決定された塩基配列と核酸塩基配列データベースに保持された塩基配列とを比較して核酸試料の塩基配列を決定する方法において、前記核酸塩基配列データベースは、マイクロサテライトの開始位置情報及び最小繰り返し単位に関する情報を有し、マイクロサテライト領域には前記最小繰り返し単位の塩基配列のみを保持するものであり、前記仮決定された核酸試料の塩基配列に前記核酸塩基配列データベースに保持された塩基配列のうちの相同性が高い塩基配列を並置するステップと、並置された2つの塩基配列を比較し前記仮決定された塩基配列中におけるマイクロサテライトの有無を判定するステップと、マイクロサテライトが検出された場合、前記最小繰り返し単位の繰り返し回数を求めるステップとを含むことを特徴とする。
本発明によれば、核酸断片を測定して得られた蛍光強度波形データを解釈して、A,C,G,T(U)等の塩基配列を決定する際に、マイクロサテライトを含む核酸試料に対しても、高精度に塩基配列を決定することができ、またマイクロサテライトの繰り返し回数の検出を容易に行うことが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に、本発明が適用される核酸塩基配列決定装置の構成例を示す。この装置は、核酸断片泳動部11、蛍光信号計測部12、蛍光信号演算部13、データ表示部14、データ格納部15、各部を制御する装置制御部16を備える。
核酸断片泳動部11は、蛍光標識した核酸断片群を電気泳動し塩基長の違いにより分離する。蛍光信号計測部12は、分離した核酸断片にレーザーを照射する光学機器及び発生する蛍光を検出する検出器等からなる。蛍光信号演算部13は、計測した蛍光強度波形データを信号処理し塩基配列の決定等を行う。データ表示部14は、蛍光強度波形データ及び決定した塩基配列に関連する情報の表示を行う。データ格納部15は、蛍光強度波形データ及び決定した塩基配列等の記録を行う。装置制御部16は、核酸断片泳動部11の電源の制御、蛍光信号計測部12の光源制御と検出器のサンプリング条件の制御、蛍光信号演算部13とデータ表示部14及びデータ格納部15間のデータ転送の制御、蛍光信号演算部13におけるデータ処理内容の制御等を行う。
データ格納部15において蛍光強度波形データや決定した塩基配列及びピーク位置等を記録する際の形式(フォーマット)としては既に様々なものが提案されているが、一例としてSCFフォーマットと呼ばれる形式について、簡単に説明する。SCFフォーマット(version 3.00)では、以下の項目に対応する値を順次ファイルに記録する。本実施の形態においては、電気泳動で得られた各塩基の蛍光強度波形データ、決定した塩基配列、ピーク位置等をこのSCFフォーマットにてデータ格納部15に記録する場合について説明するが、勿論他のフォーマットによって記録しても構わない。
項目 内容
magic_number = フォーマット識別数(文字列".SCF"を数値化したもの)
samples = 波形点数
samples_offset = 波形強度が記録されている最初の番地(バイトオフセット)
bases = 塩基数
bases_left_clip = 不使用(No. bases in left clip)
bases_right_clip= 不使用(No. bases in right clip)
bases_offset = 塩基配列が記録されている最初の番地(バイトオフセット)
comments_size = コメントの大きさ
comments_offset = コメントが記録されている最初の番地(バイトオフセット)
version = バージョン
sample_size = 波形強度値のビットサイズ(1=8ビット、2=16ビット)
code_set = 使用されているコードセット
private_size = プライベートデータの大きさ
private_offset = プライベート値が記録されている最初の番地(バイトオフセット)
spare = 予備
Samples for A trace = アデニン(A)塩基の波形データ
Samples for C trace = シトシン(C)塩基の波形データ
Samples for G trace = グアニン(G)塩基の波形データ
Samples for T trace = チミン(T)塩基の波形データ
Offset into peak index for each base= 各塩基のピーク位置
Accuracy estimate bases being 'A' = A塩基の同定信頼性
Accuracy estimate bases being 'C' = C塩基の同定信頼性
Accuracy estimate bases being 'G' = G塩基の同定信頼性
Accuracy estimate bases being 'T' = T塩基の同定信頼性
The called bases = 同定された塩基種(決定塩基配列)
Reserved for future use = 予備
Comments = コメント
Private data = プライベートデータ
図1に示した塩基配列決定装置を用いて塩基配列を決定(仮決定)するためには、核酸断片泳動部11において、サンガー法等を用いて塩基配列を決定すべき核酸試料を元に様々な長さの核酸断片群を調製する。反応には、蛍光色素により標識したプライマー、または蛍光色素により標識したddNTPを用い、核酸断片群に蛍光色素を標識する。まず初めに、塩基配列を知りたいDNA(テンプレートDNA)を用意する。通常、未知の配列を持ったDNAをプラスミド(細菌等の細胞内にある核以外の細胞質中のDNAで、主に複製開始情報のみを有する)に組み込んだものか、ポリメラーゼ連鎖増幅反応(PCR)法で塩基配列を直接増幅した核酸断片を用いる。次に、テンプレートDNAとプライマー(テンプレートDNAの特定部分の配列と相補的な塩基配列を有するもので、PCR法を用いた場合は反応で利用した片側のものに相当する)を試験管内の溶液中で混合し、温度をコントロールすることでプライマーとテンプレートが相補的な二本鎖を形成するようにする(アニーリング)。更に、このプライマーを起点としてDNAを複製する過程に進み、複製はDNAポリメラーゼと呼ばれる酵素を触媒として行われる。そして、この反応液中にはDNAの合成に必要なdNTP(各種塩基:アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)(もしくはウラシル(U))のモノマー)と、4種類のddNTP(A,C,G,T(U)のターミネーター)を所定の割合で混合し所定の濃度で入れておく。すると、DNAが合成されていく時、ddNTPが取り込まれるとDNAの合成がそれ以上進まなくなる(伸長反応の停止)。ここで、ddNTPにそれぞれの塩基に応じて色の異なる蛍光色素を標識しておく。その結果、末端にddNTPを持つ様々な長さ(塩基長)で合成が止まった核酸断片が生成され、各断片はその末端塩基に応じた蛍光色で標識されることになる。
次に、標識された核酸断片群に対して電気泳動を行い、蛍光信号計測部12において、蛍光信号を検出して蛍光強度波形データを作成する。具体的には、上記のようにしてできた核酸断片を含む溶液を濃縮精製した後、一本鎖に変性して、ゲル電気泳動装置を用いて塩基長毎に核酸断片を分離する。以下では、ゲル電気泳動装置の一例として、キャピラリ泳動装置を用いた場合について説明する。まず、粘性のある高分子ポリマーをキャピラリ(ガラス細管)に充填しておき、その両端に電圧を印加することにより、負の電荷を有する核酸断片をキャピラリの片側から導入・泳動させる。この時、核酸断片は鎖状の重合体高分子であるため、ポリマー中を分子量に反比例した速度で移動し、短い(分子量が小さい)核酸断片ほど速く、長い(分子量が大きい)核酸断片ほどゆっくり移動するため、塩基長毎に核酸断片を分離することができる。そしてキャピラリの終端付近(各核酸断片を1塩基の長さの差異で分離可能となった位置)で核酸断片にレーザー光を照射し、各断片末端塩基から発生する蛍光を検出器により測定する。上記の通り、短い核酸断片から順番に蛍光を発生していくので、4塩基種毎の蛍光強度曲線が得られ、各ピーク位置での4種類の蛍光強度等を比較することにより、塩基種(A,C,G,T(U))の配列決定が可能となる。
図2は、蛍光強度波形データの例21と、それを解釈して決定される塩基配列の例22を示す図である。実際には、1度の計測で数百塩基分のデータが得られるが、ここでは説明のためにその一部を示している。縦軸は蛍光強度を表し、横軸は泳動時間を表している。波形データ21に現れるピークの高さは、或る長さの核酸断片の量を反映したものである。通常、長い核酸断片ほど泳動時間が遅いところにピークが現れ、ピーク間隔は核酸断片が長くなるにつれて大きくなる傾向がある。そこで、表示の時間軸が塩基長に比例するように、泳動電圧等の泳動条件で決まるパラメータを用いて補正するのも有効である。
図3は、未知核酸断片の塩基配列を仮決定するために蛍光強度波形データに対して通常行う処理を示す図である。この処理は、図1の蛍光信号演算部13によって行われる。蛍光信号演算部13は、未知核酸断片の蛍光強度波形データに対して、スムージング処理(S31)及びバックグラウンド補正(S32)を行う。その後、ピークの検出(S33)及びピーク間隔の決定(S34)を行う。また、電気泳動時の泳動むら(スマイリング)によりピーク間隔は常に一定になるとは限らないため、得られたピーク間隔の大きさから必要に応じてピーク位置の補正(スマイリング補正)を行う(S35)。次に、各ピーク位置での各塩基種の信号強度(あるいは各ピークの面積等)を比較して、所定の同定基準に従い塩基種を順次決定する(塩基配列の仮決定)(S36)。
上記所定の同定基準の例としては、或るピーク位置において或る塩基種(例えばA)の信号強度が一番大きく、残る3つの塩基種の中で最も大きな塩基種(例えばC)の信号強度が最大塩基種(ここではA)の信号値のT%未満であった場合(Tは閾値、例えば50%)、最大塩基種(ここではA)として同定する。また、二番目の塩基種(ここではC)がT%(例えば50%)以上であり、かつ三番目の塩基種(例えばG)の強度が最大塩基種(ここではA)の信号値のT%(例えば50%)未満であった場合、最大塩基種(ここではA)と二番目の塩基種(ここではC)のヘテロ(混合塩基=同一ピーク位置に複数の塩基が含まれていると同定された部位)として決定される(ここではM(=A+C))。同様にして全ての組み合わせに応じて混合塩基の表示方法(IUB規格の混合塩基表示法)が決められているが、その判定基準としては明確な値は示されていない。
図4は、既知情報の比較・参照の際に用いるデータベース波形(以下、データベースをDBと略記することがある)及びその付随情報を取得する処理の一例を示すものである。DB波形及びその付随情報は、図1の蛍光信号演算部13で取得して図1のデータ格納部15に格納してもよいし、他の装置によって取得されたものを図1のデータ格納部15に格納して利用してもよい。
図4の処理では、まず初めにDBの構築に使用する元データとして、「既に配列が決定された複数のシーケンスファイル」を用意する。シーケンスファイルのフォーマットには、上述のSCFフォーマット等を用いる。そして、このSCFフォーマットで記録された複数のシーケンスファイル(DNA自動シーケンサーの出力ファイル)を順次読み込み(S401)、各シーケンスの同定塩基種、ピーク位置および全泳動時刻における蛍光強度波形データの各値を抽出して(S402,S403,S404)、以下の処理手順を実施する。
一例として、図5に示す既知の塩基配列「CAAGGAC」に同定された3組の蛍光強度波形セットからDBを構築する場合について説明する。或るピーク位置(例えば1番目のピーク)において、同定された塩基種(この場合は塩基種C)に対応した蛍光強度波形の各ピーク(ピーク(1)〜(3))の中で、信号強度が最も小さいピーク(ピーク(2)およびピーク(3))の信号値900を、「このピーク位置(1番目のピーク)で該当塩基(C)に判定するための基準値(以下、判定基準値と略す)とする。そして同様の手順を繰り返し、全てのピークにおける判定基準値の算出(S406)を行う(各同定塩基種と算出した各判定基準値は、下述するDB波形作成後に、SCFフォーマットのプライベートデータとしてDBファイルに保存する)。
次に、DB波形の作成方法について説明する。同種の複数のDNA断片に同一の化学処理を施し同一のDNAシーケンサーにおいて同等の条件の下で電気泳動させた場合でも、僅かな条件の差異や断片固有の特性等により、得られる蛍光強度波形間にはピーク間隔やピーク強度の相違が生じる。この相違を減じ且つ各波形間の相似性を出来る限り保って平均化を行うために、図4の手順に従って前処理および平均化処理を行う。
第1の前処理として、全シーケンスにおける平均ピーク強度を規格化基準とするピーク強度の標準化処理(S405)を行う。この処理では、まず各シーケンスを対象に全ピークでの平均ピーク強度([シーケンスの数]個分の値)の計算を行い、この[シーケンス数]個分の平均ピーク強度から全シーケンスでの平均ピーク強度(1個の値)を算出する。そして、各波形データセットの全ピークでの平均ピーク強度が、上記の全シーケンスでの平均ピーク強度と同一になるように各波形データに対して係数(=[全シーケンスでの平均ピーク強度]/[各シーケンスでの平均ピーク強度])を乗じる処理を行う。続いて第2の前処理として、線型補間によるピーク間隔の標準化処理(S407)を行う。この処理では、まず全シーケンスの波形データセット(4塩基種分の波形を1組にしたもの)を対象に、全ピークのピーク間隔([シーケンスの数]×[ピークの数−1]個分の値)の計算を行い、この各ピーク間隔の全シーケンスにおける平均ピーク間隔([ピークの数−1]個分の値)を算出する。そして、全波形データセットの各ピーク間隔が、上記の各平均ピーク間隔と同一になるように、各波形データに対して内挿処理および間引き処理を行う。上記2つの前処理後、全シーケンス波形を足し合わせてシーケンス数で割ることにより、平均波形が得られる(S408)。
全波形データの加算平均を行う際には、上記2つの前処理により横軸および縦軸が揃った「同一の塩基配列に同定された」n個の蛍光強度波形データセット(4塩基種分の蛍光強度波形データを1セットとする)を用意し、i番目(1≦i≦n)のデータセットのA塩基の波形データをAi(t)とした場合(tは泳動時刻に相当する横軸変数)、Aのデータベース波形Ab(t)は、下記(式1)で算出する。
Figure 2005031051
同様にして残るC,G,Tに対しても、それぞれのデータベース波形Cb(t),Gb(t),Tb(t)は、下記(式2)〜(式4)で算出される。
Figure 2005031051
このようにして作成した平均波形をDB波形として保存する際には、ピーク位置・同定塩基配列・判定基準値等と共に、上述のSCFフォーマットに従いDBファイルに記録する((S409),(S410),(S411),(S412))。
上記ピーク間隔の標準化処理(S407)において、既知塩基波形データ群がマイクロサテライトを含まない場合は、上述した「線型補間によるピーク間隔の標準化処理」を直接行うことが出来るが、既知塩基波形データ群がマイクロサテライトを含む場合には、更に図6に示す手順を追加する必要がある。
例えば図7に示すように、マイクロサテライトの繰り返し数が異なる3つの既知配列シーケンスに対してDB作成処理を行う場合、まず初めに、各シーケンスにおいて「繰り返しの最小単位(何番目のピークから何番目のピークまで/もしくは繰り返している塩基配列文字数)」と「マイクロサテライトが生じている範囲(何番目のピークから何番目のピークまで/もしくは繰り返し回数)」の情報を予め取得しておく(S61)。そしてこれらの情報を用いて、マイクロサテライトの繰り返し回数が1のシーケンスを基準とし、他シーケンスの2回目以降の繰り返し部分を除去することにより3つのシーケンスの塩基長を揃え(S62〜S64)、その後この3つのシーケンスに対して上述の「線型補間によるピーク間隔の標準化処理」および「全ピークにおける判定基準値の算出処理」等を行う(図4のS402〜S412)。そして、上記「線型補間によるピーク間隔の標準化処理」後のシーケンスから作成した平均波形をDB波形として保存する際に、ピーク位置・同定塩基配列・判定基準値等と共に、「DB波形におけるマイクロサテライトの開始ピーク番号および終了ピーク番号」を上述のSCFフォーマットに従いDBファイルに記録する(S65)。例えば上記図7の場合には、"MS001","7","9"という3つのデータ(マイクロサテライト番号(2つ目のマイクロサテライトであれば"MS002"となる)、開始ピーク番号、終了ピーク番号)を順次記録しておけば良い。なお、上記マイクロサテライト情報を、テキストデータとして記録する際には、上記各値をカンマ等で区切って順次記録しておけば良い。判定基準値、マイクロサテライトの開始ピーク番号および終了ピーク番号は、SCFフォーマットのプライベートデータとしてDBファイルに保存する。
次に、上記の手順で作成したマイクロサテライト情報を含むDBを参照して、マイクロサテライトを含む塩基波形の配列を決定する際の手順を図8に示す。図1の蛍光信号演算部13は、図1のデータ格納部15にデータベースとして格納されている既知塩基配列と、マイクロサテライトを含む未知の核酸試料に対して図3の処理を経て仮決定した塩基配列とを比較することにより、未知核酸断片の塩基配列の確定とマイクロサテライトの有無の判定を行う。即ち図8に示すように、仮決定した塩基配列とデータベース中の既知塩基配列に対してホモロジー検索を実施し、仮決定した塩基配列の各々の部位について既知の塩基配列との関連付けを行い、相同性が高い既知の塩基配列を並置する(S81)。その後、仮決定塩基配列と既知塩基配列の比較を行い(S82)、所定の比較基準に基づいてマイクロサテライトの有無の判定を行う(S83)。マイクロサテライトが検出された場合には、マイクロサテライトの繰り返し回数の算出を行う(S84)。こうしてマイクロサテライトを含む塩基配列が決定される(S85)。
上記のホモロジー検索による並置に際しては、スミス・ウォーターマンの方法(ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー、第147巻、195頁〜197頁)等に記載された並置方法等を用いる。そして、既知塩基配列と仮決定塩基配列の並置後/もしくは並置と並行して、先頭のピーク位置から順に二つの配列が一致しているかどうかを調べていく。マイクロサテライトが含まれていない場合には、仮決定時の判定誤りや実際に生じている塩基変異(SNPs等)により、既知塩基配列と仮決定塩基配列の間に多少の相違は生じるものの、最終ピーク位置までの殆どのピーク位置で塩基種が一致し、不一致が多数生じることはない。これに対して、マイクロサテライトが含まれている場合には、マイクロサテライト以降のピークで、既知塩基配列と仮決定配列の間に多くの相違が生じる。
図9は、或る核酸試料の100番目のピークから108番目のピークまでの範囲で、3塩基「ATT」の繰り返しが3回生じるマイクロサテライトを含むシーケンスに対する解析例である。図の上段に塩基配列が既知である蛍光強度波形(DB波形)を、下段にマイクロサテライトを含む未知波形(ターゲット(TG)波形)を、縦に並べて表示している。
図9では、表示範囲の既知配列(DB配列)は「…GGAGAGGAATGTATTGGA…」であり、TG波形の仮決定配列は「…GGAGAGATTATTATTGAATGT…」と仮決定されている。ここで上記DB配列内の「」の二つの下線は、DBに記録されている「マイクロサテライトの開始ピーク番号と終了ピーク番号」をそれぞれ表している。これら2つの配列は、先頭から102番目のピークまでは、DB配列およびTG配列ともに「…GGAGAGATT」と完全に一致しているが、103番目以降は、DB配列が「GAATGTATTGGA…」であるのに対し、TG配列は「ATTATTGAATGT…」と多くのピーク位置で一致していない。このように、DBに記録されている「マイクロサテライトの終了ピーク番号」以降でDB配列とTG配列の不一致が生じ、その不一致ピーク数が所定のピーク数以上(例えば12ピーク中4ピーク以上)発生している場合、「マイクロサテライトの繰り返し数の相違により不一致が発生している可能性が高い」と判定することができる。
なお上記の例では、TG波形の仮決定配列に含まれているマイクロサテライトの有無の判定に、「マイクロサテライトの終了ピーク番号以降でDB配列とTG配列の不一致が生じ、その不一致ピーク数が12ピーク中4ピーク以上発生している場合、マイクロサテライトが有ると判定する」という基準を用いる場合について述べたが、これ以外の基準を用いた場合にも、同等の判定結果を得ることができる(例えば「6ピーク中3ピーク以上」等の基準でも同様の判定が可能)。
上記の判定条件で「マイクロサテライトの繰り返し数の相違により不一致が発生している可能性が高い」と判定された場合には、さらに、TG配列の最終一致ピークの次ピーク以降(図9では103番目以降)の配列と、DB配列の最終一致ピークの次ピーク以降(図9では103番目以降)の配列(図9では[GAATGTATTGGA…])が一致し始めるピーク位置を調べることにより、TG波形におけるマイクロサテライトの終了ピーク位置を決定することができる。上記「TG配列とDB配列が再一致し始めるピーク位置」を調べる際には、ホモロジー検索を用いて、不一致ピーク以降のDB配列の数塩基(例えば6塩基、図9では「GAATGT」の配列)が、不一致ピーク以降のTG配列(図8では「ATTATTGAATGT…」の配列)のどの部分に対して、最も高い一致度(ホモロジー値)を示すかを決定すればよい。そして上記の再一致し始めるピーク位置以降で、再度、DB配列とTG配列のホモロジー検索を行うことにより、上記2配列の最も適切な並置を得ることが可能となる。
なお上記の例では、再一致ピーク位置を検索する際に、「6塩基分のDB配列でホモロジー検索」を行っているが、これ以外の塩基数のDB配列でホモロジー検索を行った場合にも、同等の結果を得ることができる(例えば「3塩基分のDB配列」等でホモロジー検索を行った場合にも、同じ再一致ピーク位置を選定することが可能)。
最後に、上記の手順で得られた最適な並置結果により対応付けられたDB波形ピークとTG波形ピークとを、所定の基準に従って比較することにより塩基配列の最終決定を行う。この塩基配列の最終決定を行う際の比較判定手順としては、特開2002−55080号公報に記載された方法等を用いる。
なお、TG波形のマイクロサテライト発生部分(図9では、TG波形の100番目のピークから108番目のピークまでの範囲)については、下記の手順により塩基配列を決定する。まず、DBに記録されている「マイクロサテライトの開始ピーク番号と終了ピーク番号」を参照して、DB配列からマイクロサテライトの最小繰り返し配列(図9では「ATT」)を抽出する。次に、TG波形のマイクロサテライト発生部分の仮決定配列(図9では「ATTATTATT」)中に、上記最小繰り返し配列(図9では「ATT」)が何セット含まれているかを算出する。算出する際には、最小繰り返し配列2セット分(図9では「ATTATT」)とTG波形のマイクロサテライト発生部分の仮決定配列(図9では「ATTATTATT」)のホモロジー比較により算出される一致度(ホモロジー値)、最小繰り返し配列3セット分(図9では「ATTATTATT」)とTG波形のマイクロサテライト発生部分の仮決定配列(図9では「ATTATTATT」)のホモロジー比較により算出される一致度(ホモロジー値)、最小繰り返し配列4セット分(図9では「ATTATTATTATT」)とTG波形のマイクロサテライト発生部分の仮決定配列(図9では「ATTATTATT」)のホモロジー比較により算出される一致度(ホモロジー値)、…と、順次、最小繰り返し配列のセット数を増加させて一致度(ホモロジー値)を算出し、最も一致度(ホモロジー値)が大きくなる場合のセット数をマイクロサテライトの繰り返し数と決定する(図9では、3セットの場合のホモロジー値が最大となり、マイクロサテライト発生部分の配列は、「ATTATTATT」と決定できる)。
なお図9の解析例では、マイクロサテライトの有無判定やマイクロサテライトの繰り返し回数の算出、およびマイクロサテライト発生部分の塩基配列決定の処理を行う前に、二つの波形の表示を行っているが、図10のように、マイクロサテライトの有無判定やマイクロサテライトの繰り返し回数の算出、およびマイクロサテライト発生部分の塩基配列決定の処理を行った後に、DB波形とTG波形の信号強度およびピーク間隔を揃えて表示しても良い。図10では、DB波形とTG波形を並べて表示する際に、両者の対応する各ピークが正確に一直線上に並ぶように(上下で比較しやすいように)、予め各ピーク間隔が両者で同一となるような前処理(横軸を揃える為の内挿処理や間引き処理)、および両者の対応する各ピークの強度基準が一致するように(上下で比較しやすいように)、予め全ピーク強度の基準が両者で同等となるような前処理(縦軸を揃える前処理)を行っている。なお図10では、TG波形でマイクロサテライトが生じている範囲で、対応するDB波形が存在しない部分では、全塩基の信号強度をゼロとしている(もしくは、この部分の信号表示を全く行わないようしても良い)。
上記の前処理の際には、TG波形のピーク間隔およびピーク強度を補正してDB波形に合わせても良いし、反対にDB波形のピーク間隔およびピーク強度を補正してTG波形に合わせても良い。
なお上記の「縦軸を揃える前処理」の際には、両者の全ピーク強度の平均値を算出し、その平均値の比を一方の蛍光強度波形全体に乗じることにより、実施することができる。即ち、比較を行う一方の蛍光強度波形セット1(A,C,G,Tの4波形分で1セット)の全ピーク位置での信号値の平均値がA1、他方の蛍光強度波形セット2の全ピーク位置での信号値の平均値がA2であった場合、A1/A2を蛍光強度波形セット2の波形全体に乗じるか、A2/A1を蛍光強度波形セット1の波形全体に乗じれば良い。また、全ピーク位置での信号値の平均値を用いずに、所定の(注目している)ピークを含む前後の数ピーク(例えば、前後20ピーク)の平均信号値を用いても良い。
計測毎の電気泳動時の泳動速度や泳動むらが一定で「DB波形とTG波形のピーク間隔が常に同等」の場合には、「横軸の前処理」を行わずに表示しても構わない。また、計測毎の電気泳動時の検出感度や蛍光強度自体が一定で「DB波形とTG波形のピーク強度が常に同等」の場合には、「縦軸の前処理」を行わずに表示しても構わない。
上記マイクロサテライト発生部分の配列決定後、「マイクロサテライトの開始ピーク番号」、「マイクロサテライトの終了ピーク番号」、「マイクロサテライトの繰り返し回数」、「マイクロサテライトの最小繰り返し配列」等を、図10の解析結果表示例(上部)のように文字表示しても良いし、上記SCFフォーマット等の解析結果保存用ファイルにコメントやプライベートデータとして、図1のデータ格納部15に記録しておいても良い。
図9および図10の解析例では、マイクロサテライトの有無判定やマイクロサテライトの繰り返し回数の算出、およびマイクロサテライト発生部分の塩基配列決定の前後に、二つの波形の表示を行っているが、波形表示を行わずにそれらを自動的に行い、その結果を記録(保存)するようにしても良い。
また上記の例では、波形比較を行う際の基準波形として「塩基配列が既知である複数の蛍光強度波形を統計処理して作成した蛍光強度データベース波形」を用いる場合について述べたが、「塩基配列が既知である一つの蛍光強度波形」を基準波形として用いても構わない。
また上記の例では、マイクロサテライトの発生情報をDBファイルに記録する際、「マイクロサテライトの開始ピーク番号と終了ピーク番号」を保存する場合の例について述べたが、「マイクロサテライトの開始ピーク番号とマイクロサテライトを構成する全ピーク数」、もしくは「マイクロサテライトの開始ピーク番号とマイクロサテライトの最小繰り返しピーク数(もしくは配列文字列)、および繰り返し回数」を保存しても、同様の効果を得ることができる。
また上記の例では、1つのシーケンス中の或る1ケ所にマイクロサテライトが発生している場合の例について述べたが、1つのシーケンス中に複数のマイクロサテライトが発生している場合にも、発生箇所毎に上記と同様の処理を繰り返すことにより、複数のマイクロサテライトに対しても対応することが可能である。
また、図1には、核酸断片泳動部11及び蛍光信号計測部12を含む装置構成例が示されているが、これらの構成部分は必ずしも必要ではなく、別の蛍光強度波形計測装置等で測定された蛍光強度波形データを読み込む機能を、蛍光信号演算部13に持たせた場合にも、同様の効果を得ることができる。なお、上記データの読み込み方法には、フロッピーディスクや光ディスク等の記録媒体を用いる情報伝達方法や、通信回線を用いる方法等がある。
本発明が適用される核酸塩基配列決定装置の構成例を示す図。 蛍光強度波形データの例と、それを解釈して決定される塩基配列の例を示す図。 未知核酸断片の塩基配列を仮決定するために蛍光強度波形データに対して行う処理を示す図。 データベース波形及びその付随情報を取得する処理の一例を示す図。 塩基種判定基準値を算出する処理の一例を示す図。 既知塩基波形データ群がマイクロサテライトを含む場合に追加する処理の説明図。 異なる繰り返し数のマイクロサテライトが生じている3つのシーケンスの例を示す図。 本発明におけるマイクロサテライトの検出および繰り返し数算出処理フローの例を示す図。 データベース波形とマイクロサテライトを含むターゲット波形とを比較した一例を示す図。 本発明を、マイクロサテライトを含むシーケンスデータに適用した例を示す図。
符号の説明
TG…ターゲット、DB…データベース、11…核酸断片泳動部、12…蛍光信号計測部、13…蛍光信号演算部、14…データ表示部、15…データ格納部、21…蛍光強度波形データの例、22…塩基配列の例

Claims (5)

  1. 核酸試料から得た種々の長さの蛍光標識した核酸断片を電気泳動して得られた4種類の塩基の蛍光強度波形データと、当該蛍光強度波形データから決定された塩基配列と、マイクロサテライト発生情報とを保持する核酸塩基配列データベースであって、
    前記マイクロサテライト発生情報はマイクロサテライトの開始位置情報及び最小繰り返し単位に関する情報を含み、
    マイクロサテライトに対応する前記4種類の蛍光強度波形データ及び塩基配列は、最小繰り返し単位の蛍光強度波形データ及び塩基配列からなることを特徴とする核酸塩基配列データベース。
  2. 請求項1記載の核酸塩基配列データベースにおいて、前記4種類の塩基の蛍光強度波形データは複数の核酸試料の蛍光強度波形データを統計処理して得た蛍光強度データベース波形であり、前記塩基配列は当該蛍光強度データベース波形に対応するデータベース配列であることを特徴とする核酸塩基配列データベース。
  3. 核酸試料から得た種々の長さの蛍光標識した核酸断片を電気泳動して得られた4種類の塩基の蛍光強度波形データを読み込むステップと、
    前記4種類の蛍光強度波形データから塩基配列を決定するステップと、
    マイクロサテライトの有無を判定するステップと、
    マイクロサテライトがあると判定された場合、当該マイクロサテライトの開始位置及び最小繰り返し単位に関する情報を取得するステップと、
    マイクロサテライトに関し、最小繰り返し単位以外の蛍光強度波形データと塩基配列の情報を消去する処理を行うステップと、
    処理後の前記4種類の塩基の蛍光強度波形データと、それに対応する塩基配列情報と、マイクロサテライトの発生情報と、マイクロサテライトの開始位置及び最小繰り返し単位に関する情報を記録する処理と
    を含むことを特徴とする核酸塩基配列情報の記録方法。
  4. 核酸試料から得た種々の長さの蛍光標識した核酸断片を電気泳動して得られた4種類の塩基の蛍光強度波形データから仮決定された塩基配列と核酸塩基配列データベースに保持された塩基配列とを比較して核酸試料の塩基配列を決定する方法において、
    前記核酸塩基配列データベースは、マイクロサテライトの開始位置情報及び最小繰り返し単位に関する情報を有し、マイクロサテライト領域には前記最小繰り返し単位の塩基配列のみを保持するものであり、
    前記仮決定された核酸試料の塩基配列に前記核酸塩基配列データベースに保持された塩基配列のうちの相同性が高い塩基配列を並置するステップと、
    並置された2つの塩基配列を比較し前記仮決定された塩基配列中におけるマイクロサテライトの有無を判定するステップと、
    マイクロサテライトが検出された場合、前記最小繰り返し単位の繰り返し回数を求めるステップとを含むことを特徴とする核酸塩基配列決定方法。
  5. 請求項4記載の核酸塩基配列決定方法において、マイクロサテライトの発生情報をデータ表示部に表示するステップを含むことを特徴とする核酸塩基配列決定方法。
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