JP2005030839A - 水質測定方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】工場・事業排水、環境水(河川水、湖沼水、海域の水)などの試料水に関する少なくとも2つの異なる水質指標を、非接触、無試薬にて同時測定、更には連続測定することを可能とする水質測定方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明の水質測定方法は、試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射し、試料水が発する波長の異なる第1、第2の蛍光の強度を測定することに基づいて、試料水の第1、第2の水質指標を測定する。又、本発明によれば、水質測定方法は、試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射し、試料水が発する第1の蛍光の強度を測定することに基づいて試料水の第1の水質指標を測定するのに際し、更に、第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する、第1の蛍光とは波長が異なる第2の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の第2の水質指標の値に応じて第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する第1の蛍光の強度の測定値に含まれる誤差を補正するようにすることもできる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、工場・事業排水、環境水(河川水、湖沼水、海域の水など)などの試料水の油分量、陰イオン界面活性剤である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類量、更にはBODなどの少なくとも2つの水質指標を非接触、無試薬にて同時に、更には連続的に測定することを可能とする水質測定方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば公共用水域の水質保全などを目的として、或いは工場・事業排水や浄水場の取水の管理を目的として、環境水(河川水、湖沼水、海域の水)、工場・事業排水などの水質の測定が行われている。
【0003】
工場・事業排水、生活排水など、水質汚濁を引き起こす原因は様々であるが、汚濁の程度を判断し、又規制や基準を定めるための水質指標として、従来、油分量、界面活性剤量、BOD(生物化学的酸素消費量)がある。
【0004】
界面活性剤として一般に使用されている合成洗剤の大部分は、陰イオン界面活性剤の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類(以下「LAS」という。)であり、LASが環境に与える影響が指摘されている。このため、例えば環境水(河川水、湖沼水、海域の水)、或いは工場・事業排水中のLAS量、或いは下水処理施設におけるLASの除去率などを評価するために、LASを定量することは有意義である。又、工場・事業排水といった特定の排出源に限らず、広く日常生活に起因する油分(鉱物油、油脂類)、有機物(BODなど)などによる水質汚濁の程度や特性の測定、発生原因の究明のためには、これら水質指標を測定することが欠かせない。
【0005】
(1)従来、油分量は、一般に、日本工業規格(JIS K 0102の24.)に規定されたヘキサン(n−ヘキサン)抽出物質の測定方法に従って測定する。つまり、試料水を弱酸性とし、ヘキサン(n−ヘキサン)を加えて混合し、ヘキサン層に分配する物質を抽出、分離した後、約80℃でヘキサンを揮散させたときに残留する物質の質量を測定してヘキサン抽出物質の量とする。ヘキサン抽出物質には、主として揮散しにくい鉱物油及び動植物油脂類が含まれるが、これらの他ヘキサンに抽出された揮散しにくいものは定量値に含まれる。同様に抽出法であるが、水中の油分を四塩化炭素で抽出し赤外吸光光度法により定量する四塩化炭素抽出赤外吸光法(JIS参考法)がある。
【0006】
しかし、これら従来の油分量の測定方法は、有機溶媒を用いた抽出を行って対象成分を分析するものであり、抽出剤、添加剤による2次公害が懸念される。又、手分析であって、操作は煩雑且つ時間を要するものであり、連続測定に対応し得るものではない。
【0007】
この他、油分量の測定方法としては、油成分の混濁している水を超音波などにより乳化し、可視光の透過又は散乱によって測定する乳化濁度法、非抽出で紫外吸光方式を用いるものなどがある。しかし、乳化濁度法は、妨害成分の影響などにより精度の高い測定を行うことができず、非抽出による紫外吸光方式では、感度不足を吸光部のセル長を大きくして補うことが行われるが、セルの汚れなどの影響により測定精度が劣る。
【0008】
(2)陰イオン界面活性剤の測定方法としては、メチレンブルー吸光光度法が一般的である。その方法は、日本工業規格(JIS K 0102の30.1)に規定されており、陰イオン界面活性剤がメチレンブルー[3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン−5−イウムクロリド]と反応して生じるイオン対をクロロホルムで抽出し、波長650nm付近の吸光度を測定することにより、陰イオン界面活性剤はメチレンブルー活性物質として定量される。
【0009】
特に、陰イオン界面活性剤の主流であるLASなどのスルホン酸形陰イオン界面活性剤をメチレンブルー吸光光度法により定量するには、前処理として試料水中のアルコール系などの陰イオン界面活性剤を加水分解する必要がある。
【0010】
しかし、メチレンブルー吸光光度法は、メチレンブルー溶液、クロロホルムをはじめ、酸、アルカリなど多くの試薬を必要とする。又、例えば、有機溶媒層から完全に水分を除去するために抽出操作を繰り返し行う必要があるなど、測定に複雑な操作を伴い、時間がかかり、又相当の熟練を要するものである。しかも、最終的に有機溶媒の廃液が残ってしまうという問題もある。
【0011】
特に、メチレンブルー吸光光度法によりスルホン酸形陰イオン界面活性剤(LASなど)を測定するには、上述のように試料水を加水分解してから、対象物質を有機溶媒で抽出し、測定を行わなければならず、更に操作は煩雑となり、使用する試薬も増える。
【0012】
このように、一般に用いられるメチレンブルー吸光光度法は、非接触、無試薬による測定を行うことはできず、又連続測定に対応し得る方法ではない。
【0013】
(3)広く水質指標として取り扱われているBODの測定方法としては、日本工業規格(JIS K 0102の21.)に規定された標準希釈法が一般的である。この方法では、試料水を水で希釈し、20℃、5日間放置したとき、水中の好気性微生物によって消費された溶存酸素量でBODを表す(BOD値)。希釈水には一定の栄養塩類を添加し、試料水中に微生物が少ない場合には、適当な微生物を植種する必要がある。
【0014】
しかし、標準希釈法によるBODの測定は、測定開始から終了まで5日間を要する。そのうえ、適正なBOD測定値を得るための溶存酸素量の範囲があるため、希釈を要する試料水で満足いく結果が得られなかった場合、5日後の結果から希釈率を決定し、その後、再度5日かけて測定を行わなくてはならず、非常に時間がかかる。予め試料水の希釈率を予測することも行われるが、適当な希釈率を予測するには相当の熟練を要する。
【0015】
又、標準希釈法は、多くの試薬を必要とし、これらの試薬、又希釈水、植種希釈水の前処理などの操作は極めて煩雑である。測定値は、添加する試薬や植種の種類、濃度に左右され、その是非も5日後の結果を待たないと判断できない。
【0016】
更に、植種は微生物であるため定常的に一定の属性、活性、濃度を保つのが難しいという問題がある。このように、標準希釈法によるBODの測定は、非接触、無試薬による測定を行うことができず、又、到底連続測定に対応し得るものではない。
【0017】
【特許文献1】
特開2003−75348号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
(i)上述のような油分量の測定方法に対して、従来、油分量の測定方法として、試料水に波長300〜400nm(例えば、365nm)の紫外線を照射し、波長400nm以上(440nm以上で最も大きい蛍光強度を検出)の蛍光を検出して、蛍光強度から油分量を測定する紫外蛍光法がある。紫外蛍光方式を用いた油分計は、概略、測定槽の入口から連続的に流入した試料を測定槽上部からオーバーフローさせて水面を形成し、この水面に励起光源から紫外線を照射フードを通して照射し、試料中の油分が発する蛍光を上部の受光フードを通して光電子増倍管で光電変換し、増幅後メータで指示させる構成を有する。斯かる油分計は、抽出操作が不要で、連続測定が可能であり、しかも抽出剤や他の添加剤を用いないため2次公害の心配がなく、極めて有用である。
【0019】
しかしながら、励起波長300〜400nm、測定波長(蛍光波長)400nm以上を用いて油分量を測定する場合、主に油分中の不飽和及び芳香族炭化水素の含有量の多い重質系の油分の測定に対して良好な感度を示すが、動植物油には感度がない。又、この励起波長、測定波長を用いた油分量の測定は、本発明者の検討ではいまだ測定精度が満足いくものではなく、特に、試料水にLASが共存すると、測定値が影響を受け、精度の高い測定ができないことが分かった。更に、従来のこの油分計は、油分量を他の水質指標と同時測定するものではない。
【0020】
(ii)一方、本発明者は、水質指標としてLASを、非接触、無試薬にて測定することができ、連続測定への対応が可能な水質測定方法及び装置を特許文献1にて提案した。斯かる水質測定方法は、試料水に少なくとも2つの異なる波長の紫外線を照射し、各波長の紫外線によりそれぞれ試料水が発する特定波長の蛍光強度を測定し、各波長の紫外線に対するその特定波長の蛍光強度情報に基づいて試料水の特定の水質指標を測定する。LASの濃度を測定する場合は、励起波長210nm、230nm、測定波長290nmで試料水の発する蛍光を測定する。
【0021】
しかしながら、本願発明者の更なる検討により、特に、斯かる方法によってLASを測定する場合、試料水に油分が共存すると、測定値が影響を受け、精度が低下することが分かった。又、上記特許文献1に開示される水質測定方法及び装置は、2つ以上の水質指標を同時測定するものではない。
【0022】
(iii)又、本発明者は、上記特許文献1において、上記LASの場合と同様の手法により、BODを非接触、無試薬にて測定する方法を提案した。BODを測定する場合は、励起波長210nm、230nm、測定波長420nmで試料水の発する蛍光を測定する。
【0023】
しかしながら、斯かる方法は、BODを他の水質指標と同時測定するものではない。例えば油分、LAS量といった他の水質指標と共にBODをも簡易に同時測定することができれば、これら他の指標とBODとの関係を知ることができ、排水の管理などにおいて極めて有用であるが、本発明者の知る限りにおいて、この目的に適う水質測定方法及び装置は未だない。
【0024】
従って、本発明の第1の目的は、工場・事業排水、環境水(河川水、湖沼水、海域の水)などの試料水に関する少なくとも2つの異なる水質指標を、非接触、無試薬にて同時測定、更には連続測定することを可能とする水質測定方法及び装置を提供することである。
【0025】
本発明の第2の目的は、試料水の特定の水質指標を紫外蛍光方式により測定するに際し、試料水の他の水質指標が該特定の水質指標の測定値に与える影響を排除して、より正確に該特定の水質指標を測定することを可能とする水質測定方法及び装置を提供することである。
【0026】
本発明の第3の目的は、試料水の油分量、LAS量などといった他の水質指標と共にBODをも同時に測定することができ、BODと他の水質指標との関係を簡易に知ることを可能とする水質測定方法及び装置を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る水質測定方法及び装置にて達成される。要約すれば、第1の本発明は、試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射し、試料水が発する波長の異なる第1、第2の蛍光の強度を測定することに基づいて、試料水の第1、第2の水質指標を測定することを特徴とする水質測定方法である。第1の本発明の一実施態様では、前記第1、第2の水質指標を測定するに際し、いずれの水質指標の測定のためにも、前記第1、第2の励起光の照射、及び前記第1、第2の蛍光の強度の測定を行う。
【0028】
第1本発明の一実施態様によると、水質測定方法は、(i)前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光の強度を測定した値に基づいて、試料水の第2の水質指標の暫定測定値を求める段階;(ii)前記第1の水質指標を求めるための、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に、前記第2の水質指標の値に応じて含まれる誤差を、前記第2の水質指標の暫定測定値に基づいて求める段階;(iii)前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値から前記誤差を差し引き、何れか若しくは両方から前記誤差が差し引かれた、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の前記第1の水質指標の測定値を求める段階;(iv)求めた前記第1の水質指標の測定値と、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光の強度の測定値とに基づいて、試料水の前記第2の水質指標の測定値を求める段階;を含む。
【0029】
又、第1の本発明の一実施態様では、水質測定方法は更に、(a)前記段階(i)において、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光の強度の測定値を、試料水の第2の水質指標の値に関係付けるための第1の検量線情報と;(b)前記段階(ii)において、前記第2の水質指標の暫定測定値を、試料水の前記第2の水質指標の値に応じて前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に含まれる誤差の値に関係付けるための第2の検量線情報と;(c)前記段階(iii)において、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値を、試料水の前記第1の水質指標の値に関係付けるための第3の検量線情報と;(d)前記段階(iv)において、試料水の前記第1の水質指標の値に応じて、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光強度を、試料水の前記第2の水質指標の値に関係付けるための第4の検量線情報と;を求める段階を含む。
【0030】
第1の本発明の一実施態様では、前記第1の水質指標は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類量であり、前記第2の水質指標は油分量である。この場合、好ましくは、前記第1の励起光は中心波長が210nm〜240nmの紫外線であり、前記第2の励起光は中心波長が200nm〜220nmの紫外線であり、前記第1の蛍光の中心波長は270nm〜300nmであり、前記第2の蛍光の中心波長は330nm〜370nmである。より好ましくは、前記第1の励起光は中心波長が230nmの紫外線であり、前記第2の励起光は中心波長が210nmの紫外線であり、前記第1の蛍光の中心波長は290nmであり、前記第2の蛍光の中心波長は350nmである。
【0031】
第1の本発明の他の実施態様によると、水質測定方法は更に、試料水が発する前記第1、第2の蛍光とは波長が異なる第3の蛍光の強度を測定して、試料水の第3の水質指標を測定する。一実施態様では、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する前記第3の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の前記第3の水質指標の測定値を求める。又、この場合、水質測定方法は更に、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する前記第3の蛍光の強度の測定値を、試料水の前記第3の水質指標の値に関係付けるための第5の検量線情報を求める段階を含んでいてよい。一実施態様では、前記第3の水質指標は、生物化学的酸素消費量であり、この場合、前記第3の蛍光の中心波長は、390nm〜440nmである。より好ましくは、前記第3の蛍光の中心波長は、420nmである。
【0032】
第2の本発明によると、試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射し、試料水が発する第1の蛍光の強度を測定することに基づいて試料水の第1の水質指標を測定するのに際し、更に、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する、前記第1の蛍光とは波長が異なる第2の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の第2の水質指標の値に応じて前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に含まれる誤差を補正することを特徴とする水質測定方法が提供される。本発明の一実施態様では、前記第1の水質指標は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類量であり、前記第2の水質指標は油分量である。
【0033】
第3の本発明によると、試料水が供給される試料水収容部と、前記試料水収容部内の試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射する投光部と、試料水が発する波長の異なる第1、第2の蛍光を検出する蛍光検出部と、前記蛍光検出部が検出した蛍光強度情報に基づいて試料水の第1、第2の水質指標の値を算出する演算手段と、を有することを特徴とする水質測定装置が提供される。
【0034】
第3の本発明の水質測定装置は、上記第1の本発明の水質測定方法を実施することができ、その一実施態様では、前記演算手段は、前記段階(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を含む演算を行う。又、本発明の一実施態様では、水質測定装置は更に、前記第1の検量線情報と、前記第2の検量線情報と、前記第3の検量線情報と、前記第4の検量線情報と、が記憶される記憶手段を有する。
【0035】
又、第3の本発明の他の実施態様では、前記蛍光検出部は更に、試料水が発する前記第1、第2の蛍光とは波長が異なる第3の蛍光の強度を検出し、前記演算手段は更に、検出した蛍光強度に応じて前記蛍光検出部が発する信号に基づいて試料水の第1、第2の水質指標とは異なる第3の水質指標の値を算出する。この場合、水質測定装置は更に、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する前記第3の蛍光の強度の測定値を、試料水の前記第3の水質指標の値に関係付けるための第5の検量線情報が記憶される記憶手段を有する。
【0036】
第4の本発明によると、試料水が供給される試料水収容部と、前記試料水収容部内の試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射する投光部と、試料水が発する波長の異なる第1、第2の蛍光を検出する蛍光検出部と、前記蛍光検出部が検出した蛍光強度情報に基づいて試料水の第1の水質指標の値を算出する演算手段と、を有し、前記演算手段は、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する第1の蛍光の強度の測定値に基づいて試料水の第1の水質指標を測定するのに際し、更に、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する、前記第1の蛍光とは波長が異なる第2の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の第2の水質指標の値に応じて前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に含まれる誤差を補正することを特徴とする水質測定装置が提供される。本発明の水質測定装置は、上記第2の本発明の水質測定方法を実施する。
【0037】
尚、本明細書において、紫外線とは波長190nm〜400nmの光線のことをいう。又、本明細書にて蛍光とは、所定の励起波長の光線を照射した際に試料水が発する任意の光を包含する。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る水質測定方法及び装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0039】
実施例1
本実施例では、本発明の水質測定方法を、水質指標として試料水中の陰イオン界面活性剤(特に、スルホン酸形陰イオン界面活性剤である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類(LAS))の濃度(第1の水質指標)、及び油分(特に、A重油)の濃度(第2の水質指標)の同時測定に適用する。
【0040】
(LAS濃度の測定)
図1は、LAS(和光純薬(株)製:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)を純水に添加混合した(0.5mg/L)試料水(以下「LAS標準液」という。)の励起波長210nm、230nmのそれぞれにおける蛍光スペクトルを示す。
【0041】
上記特許文献1に開示されるように、本発明者は、励起波長210nm、230nmでのLAS標準液の蛍光スペクトルにおいては何れも波長290nm付近に蛍光ピークが存在し、その蛍光強度がLAS濃度に比例して変化することを見出した。
【0042】
つまり、図10に示すように、LAS標準液の濃度(約0.1mg/L〜3mg/L)と、励起波長210nm、測定波長290nmでの蛍光強度とには略線形の相関がある(相関1)。又、同様に、励起波長230nm、測定波長290nmでの蛍光強度も略線形の関係にある(相関2)。従って、原理的には、励起波長として210nm又は230nmを用い、測定波長として290nmを用いて蛍光強度を測定することで、試料水中のLASの定量が可能である。
【0043】
しかし、例えば環境水の水系毎の水質の違いなどにより、紫外線により励起されて試料水が発する蛍光が大きく異なり、ブランク(ベース)にバラツキが生じる。そして、上記励起波長の何れか1つにおける波長290nmの蛍光強度の測定によりLASの濃度を求めると、このバラツキの影響が測定値に大きく現れ、より低濃度(例えば、0.2mg/L以下)の測定を精度良く行うことは極めて困難であった。
【0044】
そこで、上記特許文献1において本発明者が提案したように、励起波長230nm、210nmのそれぞれを照射した際の、測定波長290nmにおける蛍光強度の差を求め、これとLAS濃度との相関(図10中の相関3、或いは後述する図4に示す関係。)を検量線として用いる。即ち、測定時には、励起波長230nm、210nmのそれぞれにおける試料水の波長290nmの蛍光を検出する。そして、これらの差を求めて、上記検量線を用いて試料水中のLAS濃度を求める。
【0045】
又、励起波長230nm、210nmのそれぞれでの波長290nmの蛍光強度に、LAS濃度に応じた差が生じることにより、この差の存在により試料水中のLASの存否を評価することができる。
【0046】
このように、試料水を2波長の紫外線で励起させ、発光した特定波長(測定波長)の蛍光強度の差を測定して対象成分の濃度を求めることによって、例えば環境水など、ブランクが一定ではない試料水中のLASの濃度を非接触、無試薬にて測定することができる。つまり、2波長の励起波長のうち1波長を対象成分の検出用、残りの1波長をブランクの検出用として、試料水を2波長の紫外線で励起させた際の、特定波長の蛍光強度の差を求めることによって、試料水毎にブランクを測定、補正する。これにより、水質の異なる試料水によってブランクが変化する場合にも、その影響を軽減或いは除外することが可能であり、より低濃度(例えば、0.2mg/L以下)の測定も極めて高精度に行うことができる。又、斯かる方法によれば、試料水に応じてブランクが補正されるので、任意の試料水に対する連続測定にも対応し得る。
【0047】
尚、上記手法において、2波長の励起波長、測定波長は、一般的には次のようにして選択する。即ち、対象物質を含まない試料水を測定した場合に、2種類の励起波長によって検出される蛍光強度に差がないこと、又、対象物質を含む試料水を測定した場合に、2種類の励起波長によって検出される蛍光強度が対象物質の濃度に応じた差を生じることを基準として2波長の励起波長及び測定波長を選定する。
【0048】
LASの定量の場合、2つの異なる波長の励起光のうち1つとしては、LASの検出用として波長域210nm〜240nmの範囲に中心波長を有する紫外線を用いることができるが、好ましくは、上述の通り中心波長230nmの紫外線を用いる。他の1つの励起光としては、ブランクの検出用として波長域200nm〜220nmの範囲に中心波長を有する紫外線を用いることができるが、好ましくは、上述の通り中心波長210nmの紫外線を用いる。又、測定波長として、波長域270nm〜300nmの範囲に中心波長を有する蛍光の強度を測定することができるが、好ましくは、上述の通り中心波長290nmの蛍光の強度を測定する。
【0049】
(油分濃度の測定)
一方、図2は、A重油を純水に添加混合した(10mg/L)試料水(以下「A重油標準液」という。)の励起波長210nm、230nmのそれぞれにおける蛍光スペクトルを示す。
【0050】
本発明者は、励起波長230nmによるA重油標準液の蛍光スペクトルにおいて、波長350nm付近に蛍光ピークが存在し、しかも、その蛍光強度がA重油標準液の濃度に比例して変化することを見出した。
【0051】
つまり、図5に示すように、A重油標準液の濃度(約0.5〜10mg/L)と、励起波長230nm、測定波長350nmでの蛍光強度とには略線形の相関がある。従って、励起波長として230nmを用い、測定波長として350nmを用いて蛍光強度を測定することで、試料水中のA重油の定量が可能である。
【0052】
又、励起波長210nmでのA重油標準液の蛍光スペクトルを見ると、波長350nmに蛍光ピークがあるが、励起波長230nmでの波長350nmの蛍光強度との間には、A重油の濃度に応じた差が生じる。励起波長230nm、210nmのそれぞれにおける波長350nmの蛍光強度に差が生じることにより、この差の存在により試料水中のA重油の存否を評価することができる。
【0053】
このように、試料水に少なくとも特定波長の紫外線を照射し、試料水が発する特定の測定波長の蛍光を測定することで、試料水中のA重油の濃度を、非接触、無試薬にて測定することができる。
【0054】
尚、本願発明者の検討によれば、励起波長230nm、測定波長350nmでの蛍光強度の測定によりA重油の濃度を測定する場合、通常、例えば環境水の水質の違いなどによるブランク(ベース)のバラツキの影響は、上記LASの場合のように大きく現れない。従って、検量線として、図5に示すような、特定の油分(ここでは、A重油)の濃度と、励起波長230nm、測定波長350nmでの蛍光強度との相関を検量線として用いることで、試料水中の油分の濃度を連続的に測定することができる。
【0055】
或いは、例えば工場・事業排水などの測定対象において、励起波長230nm、測定波長350nmにおけるブランク(ベース)の蛍光はほぼ一定であるか、或いはバラツキ範囲が分かっていることが多い。このため、後述するように、例えば現場の排水及び排水より採取した油分を用いて上記検量線を作製することで、所望の測定精度に対し問題ない程度にブランク(ベース)の変動の影響は除去できる。
【0056】
上述のような方法によれば、油分(ここでは、A重油)の測定に際し抽出操作が不要で、連続測定が可能であり、しかも抽出剤や他の添加剤を用いないため2次公害の心配がない。
【0057】
油分の定量のためには、測定波長として、波長域330nm〜370nmの範囲に中心波長を有する蛍光の強度を測定することができるが、好ましくは、上述の通り中心波長350nmの蛍光の強度を測定する。一方、励起光としては、油分の検出用として波長域210nm〜240nmの範囲に中心波長を有する紫外線を用いることができるが、好ましくは、LAS濃度の測定に用いるものと同じ、中心波長230nmの紫外線を用いる。又、油分の存否を評価するための、他の1つの励起光としては、波長域200nm〜220nmの範囲に中心波長を有する紫外線を用いることができるが、好ましくはLAS濃度の測定においてブランク検出用として用いるものと同じ、中心波長210nmの紫外線を用いる。
【0058】
尚、上記LAS濃度の測定の場合と同様に、励起波長230nm、210nmによる波長230nmの蛍光強度の差を測定することにより、即ち、2波長の励起波長のうち1波長を油分の検出用、残りの1波長をブランクの検出用として、油分の濃度を測定することもできる。又、場合によっては、油分の検出用として、励起波長230nm、測定波長350nmでの蛍光強度に代えて、励起波長210nm、測定波長350nmでの蛍光強度に基づいてA重油の濃度を測定してもよい。
【0059】
(LAS濃度及び油分濃度の同時測定)
さて、次に、LASとA重油が共存する場合について説明する。図3は、LAS(0.5mg/L)とA重油(10mg/L)とを純水に添加混合した試料水(以下「混合標準液」という。)の励起波長210nm、230nmのそれぞれにおける蛍光スペクトルを示す。
【0060】
先ず、励起波長230nmでの混合標準液の蛍光スペクトルを見ると、波長290nm、350nm付近に蛍光ピークが存在することが分かる。上述のように、励起波長230nmでのLAS標準液の蛍光スペクトルは、波長290nm付近に蛍光ピークを有する(図1)。従って、励起波長230nmでの混合標準液の波長290nm付近の蛍光ピークには、第1にLASによる蛍光が寄与していると考えられる。又、上述のように、励起波長230nmでのA重油標準液の蛍光スペクトルは、波長350nm付近に蛍光ピークを有する(図2)。従って、励起波長230nmでの混合標準液の波長350nm付近の蛍光ピークには、第1にA重油による蛍光が寄与していると考えられる。
【0061】
一方、励起波長210nmでの混合標準液の蛍光スペクトルを見ると、波長290nmに蛍光ピークが存在することが分かる。上述のように、励起波長210nmでのLAS標準液の蛍光スペクトルは、波長290nmに蛍光ピークを有する(図1)。従って、励起波長210nmでの混合標準液の波長290nmの蛍光ピークには、第1にLASによる蛍光が寄与していると考えられる。
【0062】
以上のことより、混合標準液のLAS濃度を、上述のようなLASを単独で含有する場合と同様にして、つまり、励起波長230nm、210nmのそれぞれにおける混合標準液の波長290nmの蛍光強度の差を求めて、予め求められた図4に示すような検量線を用いてLAS濃度を求めることが考えられる。一方、混合標準液のA重油濃度を、上述のようなA重油を単独で含有する場合と同様にして、つまり、励起波長230nmでの混合標準液の波長350nmの蛍光強度を測定して、予め求められた図5に示すような検量線を用いてA重油濃度を求めることが考えられる。
【0063】
しかしながら、本発明者の検討により、斯かる方法により求めた混合標準液のLAS濃度、A重油濃度は、実際の濃度とは異なり、大きな誤差を含むことが分かった。
【0064】
更に説明すると、図1を参照すると、励起波長230nmでのLAS標準液の蛍光スペクトルには、350nm付近に蛍光ピークがあることが分かる。即ち、この蛍光ピークは、励起波長230nmでのA重油標準液の350nm付近の蛍光ピーク(図2)と重なる。一方、図2を参照すると、励起波長210nmによるA重油標準液の蛍光スペクトルには、290nm付近に蛍光ピークがあることが分かる。即ち、この蛍光ピークは、励起波長210nmでのLAS標準液の290nm付近の蛍光ピーク(図1)と重なる。
【0065】
上記のような蛍光ピークの重なりの要因のみに限定されるものではないが、本発明者の検討によれば、LAS、A重油が共存すると、互いに影響し合って、それぞれの蛍光スペクトルが変化する。本発明者の検討によると、LASとA重油が共存すると、特に、励起波長210nmでの混合溶液の波長290nm付近の蛍光強度、励起波長230nmでの混合溶液の350nmの蛍光強度が大きく変動する。そして、この変動の影響により、上述のように、LAS、A重油をそれぞれ単独で含む標準液に関して求めた検量線を用いて混合標準液中のLAS、A重油の濃度を求めるのみでは、正確な測定値が得られない。
【0066】
そこで、本実施例では、励起光として少なくとも2つの異なる波長の紫外線を用い、少なくとも2つの異なる測定波長において試料水の発する蛍光を測定することに基づいて、試料水の少なくとも2つの異なる水質指標、ここでは第1、第2の水質指標としてのLASの濃度、油分(特に、A重油)の濃度を測定する水質測定方法は、試料水中の油分がLAS濃度の測定値に与える影響、試料水中のLASが油分濃度の測定値に与える影響を互いに補正するようにする。以下、更に詳しく説明する。
【0067】
−検量線の準備−
本発明に従うA重油濃度及びLAS濃度の同時測定方法は、予め以下の各検量線を求める段階の全て若しくはいくつかの組合せを含んで成る。
【0068】
(1)LAS濃度測定用の検量線を求める:
所定の濃度範囲(例えば、0mg/L〜3mg/L)のLAS標準液のLAS濃度と、励起波長230nm、210nmのそれぞれにおけるLAS標準液の波長290nmの蛍光強度の差との相関を検量線(第3の検量線)(以下「LAS検量線」という。)として求める。LAS検量線の一例を式1、図4に示す。尚、以下、「EX」は励起波長、「EM」は測定波長(蛍光波長)を示す。
LAS濃度(mg/L)=0.2445×蛍光強度(EX230:EM290−EX210:EM290) ・・・(1)
【0069】
(2)A重油濃度測定用の検量線を求める:
所定の濃度範囲(例えば、0mg/L〜10mg/L)のA重油標準液のA重油濃度と、励起波長230nmにおけるA重油標準液の波長350nmの蛍光強度との相関を検量線(第1の検量線)(以下「A重油検量線」という。)として求める。A重油検量線の一例を式2、図5に示す。
A重油濃度(mg/L)=4.5615×蛍光強度(EX230:EM350)−1.1663 ・・・(2)
【0070】
(3)LAS濃度補正用の検量線を求める:
LAS濃度補正用の検量線(第2の検量線)(以下「LAS補正検量線」という。)を求める。ここでは、後述するように、特に、励起波長210nmでの試料水の波長290nmの蛍光強度への、A重油の存在による寄与量を求め、LAS濃度の測定に用いられる励起波長210nm、測定波長290nmでの蛍光強度、即ち、LAS濃度測定に用いる2波長の励起波長のうち、ブランク検出用の蛍光強度を補正する。従って、LAS補正検量線は、所定の濃度範囲(例えば、0mg/L〜10mg/L)のA重油標準液のA重油濃度と、励起波長210nmでのA重油標準液の波長290nmにおける蛍光強度との相関(当該蛍光強度をA重油濃度の関数として表す。)を、LAS補正検量線として求める。LAS補正検量線の一例を式3、図6に示す。
補正強度(EX210:EM290)=0.0602×A重油(mg/L)+0.1243 ・・・(3)
【0071】
(4)A重油濃度補正用の検量線を求める:
A重油濃度補正用の検量線(群)(第4の検量線)(以下「A重油補正検量線(群)」という。)を求める。ここでは、所定濃度のLASが存在する時の、所定の濃度範囲(例えば、0mg/L〜10mg/L)のA重油標準液のA重油濃度と、励起波長230nmでの該A重油標準液の波長350nmの蛍光強度との相関をA重油補正検量線として求める。そして、LAS濃度を所定の濃度範囲において所定の幅で変更したA重油補正検量線を複数求め、A重油補正検量線群として準備する。例えば、0mg/L〜3mg/Lの範囲で任意の濃度毎に増加するLASの存在下で、それぞれA重油補正検量線を求める。このLAS濃度の刻み幅は、A重油濃度の要求測定精度において許容されるように適宜設定すればよい。A重油補正検量線の一例を式4、A重油補正検量線群の一例を図7に示す。LAS(0.5mg/L)存在下でのA重油濃度(mg/L)=8.5714×蛍光強度(EX230:EM350)−8.5744 ・・・(4)
【0072】
−油分濃度及びLAS濃度の同時測定−
本発明に従うA重油濃度及びLAS濃度の同時測定手順は、以下の段階の全て若しくはいくつかの組合せを含んで成る。
【0073】
(5)LAS濃度の暫定測定値を求める:
励起波長230nm、210nmのそれぞれにおける、試料水の波長290nmの蛍光強度を測定する。励起波長210nmでの試料水の波長290nmの蛍光強度との励起波長230nmによる試料水の波長290nmの蛍光強度と、励起波長210nmによる試料水の波長290nmの蛍光強度との間に差があれば、試料水中にLASが存在すると仮定する。この時、この差について予め閾値を設定し、この閾値以上の差があるか否かを判断して、LASの存否を評価することができる。そして、LASが存在すると判断した場合は、上記段階1で求めたLAS検量線(式1、図4)からLAS濃度を暫定的に求める。即ち、この測定値は、試料水中にA重油が存在する場合には誤差を含んでいる。
【0074】
尚、試料水中のLASの存在を評価することは、A重油の測定値を後述するようにして補正する必要があるか否かを判断する上で重要である。しかし、LAS濃度の暫定測定値自体を求めることは必須ではない。後述するように、A重油による影響を補正したLAS濃度の確定測定値は、この暫定測定値とは独立して、蛍光強度(EX230:EM290)及び蛍光強度(EX210:EM290)の測定値に基づいて求めることができる。
【0075】
(6)A重油濃度の暫定測定値を求める:
励起波長230nm、210nmのそれぞれにおける、試料水の波長350nmの蛍光強度を測定する。励起波長230nmによる試料水の波長350nmの蛍光強度と、励起波長210nmによる試料水の波長350nmの蛍光強度とに差があれば、試料水中にA重油が存在すると仮定する。この時、この差について予め閾値を設定し、この閾値以上の差があるか否かを判断して、A重油の存否を評価することができる。そして、A重油が存在すると判断した場合は、上記段階2で求めたA重油検量線(式2、図5)からA重油濃度を暫定的に求める。即ち、この測定値は、試料水中にLASが存在する場合には誤差を含んでいる。
【0076】
(7)LAS濃度の暫定測定値に対するA重油の影響を求める:
上記段階6で求めたA重油濃度の暫定測定値から、その濃度のA重油を単独で含む場合の、励起波長210nm、測定波長290nmでの蛍光強度を求める。つまり、上記段階3で求めたLAS補正検量線に、上記A重油濃度の暫定測定値を適用することにより、補正強度(EX210:EM290)、即ち、励起波長210nmでの試料水の波長290nmの蛍光強度に対する、試料水中のA重油の寄与量(補正量)を求める。
【0077】
(8)LAS濃度の暫定測定値に対するA重油の影響を補正する:
上記段階5で測定した、励起波長210nmによる試料水の波長290nmの蛍光強度を、その値から、上記段階7で求めた補正量(補正強度(EX210:EM290))を差し引くことで補正する。そして、補正後の励起波長210nmでの試料水の波長290nmの蛍光強度と、上記段階5で測定した励起波長230nmでの試料水の波長290nmの蛍光強度との差を求め、上記段階1で求めたLAS検量線(式1、図4)からLAS濃度の確定測定値を求める。この測定値は、試料水中のA重油の存在による影響が補正されている。
【0078】
(9)A重油濃度の暫定測定値に対するLASの影響を補正する:
上記段階8で求めたLAS濃度の確定測定値に基づいて、上記段階4で求めたA重油補正検量線群からA重油濃度の確定測定値を求める。つまり、求めたLAS濃度の確定測定値と等量(若しくは要求測定精度などとの関係で許容される範囲で最も近い量)のLASの存在下で求めたA重油補正検量線を選択する。この時、LAS濃度の所定刻み幅毎に求めたA重油補正検量線から、上記段階8で求めたLAS濃度に最も近いLAS濃度におけるA重油補正検量線を選択して用いるようにすることができる。
【0079】
そして、選択したA重油補正検量線と、上記段階6で測定した励起波長230nmでの試料水の波長350nmの蛍光強度とから、A重油濃度の確定測定値を求める。この測定値は、試料水中のLASの存在による影響が補正されている。
【0080】
以上のように、本実施例では、第1、第2の水質指標としてのLAS濃度、油分濃度のいずれの測定のためにも、第1、第2の励起光(230nm、210nm)の照射、及び試料水が発する第1、第2の蛍光(290nm、350nm)の強度の測定を行う。こうして、第1、第2の水質指標としてのLAS濃度、油分濃度を測定する水質測定方法は、試料水中の油分がLAS濃度の測定値に与える影響、試料水中のLASが油分濃度の測定値に与える影響を互いに補正し、LAS濃度、油分濃度のそれぞれを正確に求めることができる。
【0081】
(具体例1)
(i)表1に、各励起波長、各測定波長における蛍光強度の実際の測定値を示す。ここでは、試料水としてA重油10mg/L、LAS0.5mg/Lを純水に添加混合した混合標準液を用いた。
【0082】
【表1】
Figure 2005030839
【0083】
(ii)上記段階5の通りにLAS濃度の暫定測定値を求める。
LAS濃度(mg/L)
=0.2445×(3.2928−1.9168)
=0.34
(iii)次に、上記段階6の通りにA重油濃度の暫定測定値を求める。
A重油濃度(mg/L)
=4.5615×2.1696−1.1663
=8.73
(iv)次に、LAS濃度の暫定測定値に対するA重油の影響を、上記段階7の通りに求める。
補正強度(EX210:EM290)
=0.0602×8.73+0.1243
=0.649
(v)次に、LAS濃度の暫定測定値に対するA重油の影響を、上記段階8の通りに補正する。
LAS濃度の確定測定値(mg/L)
=0.2445×[3.2928−(1.9168−0.649)]
=0.50
(vi)次に、A重油濃度の暫定測定値に対するLASの影響を、上記段階9の通りに補正する。
A重油濃度の確定測定値(mg/L)
=8.5714×2.1696−8.5744
=10.02
【0084】
【表2】
Figure 2005030839
【0085】
上述のように、本発明に従って、A重油濃度及びLAS濃度を測定することにより、混合標準液中の既知のA重油濃度及びLAS濃度と適合する測定値を得ることができた。
【0086】
尚、上述では、LAS濃度及び油分濃度の両者について確定測定値まで求めるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0087】
例えば、上記段階6においてA重油が存在しないと判断した場合には、励起波長230nm、210nmのそれぞれにおいて試料水の波長290nmの蛍光強度を測定すれば、LAS検量線(式1、図4)からLAS濃度を求めることができる。
【0088】
又、上記段階5において試料水中にLASが存在しないと判断した場合には、励起波長230nm、測定波長350nmで試料水の蛍光強度を測定すれば、A重油検量線(式2、図5)からA重油濃度を求めることができる。即ち、本発明は、試料水に波長230nmの紫外線を照射して、波長350nmの蛍光を測定することに基づいて試料水中の油分濃度を測定する水質測定方法を包含する。
【0089】
更に、本発明は、LAS及びA重油が共存する場合であっても、必ずしもこれらの双方を確定測定値まで求めることに制限されない。上記説明から明らかなように、本発明によれば、試料中のA重油がLAS濃度の測定値に与える影響、試料水中のLASがA重油濃度の測定値に与える影響を互いに補正することができる。従って、例えば、A重油濃度については暫定測定値まで求め、その値を用いて補正することで、LAS濃度を極めて精度良く、非接触、無試薬にてしかも連続的に測定することができる。即ち、本発明は、励起光として少なくとも2つの異なる波長の紫外線を用い、少なくとも2つの異なる測定波長において試料水の発する蛍光を測定することに基づいて、試料水の第1の水質指標を測定する水質測定方法をも包含する。この場合、水質測定方法は、この第1の水質指標とは異なる第2の水質指標を、少なくともこの第2の水質指標に応じて第1の水質指標の測定値に含まれる誤差を、許容しうる測定精度まで補正し得る程度(例えば、上記暫定測定値)まで求めることを含む。特に、この方法により、油分の共存により測定値が影響を受けるLAS濃度を測定することができる。
【0090】
又、以上では、LAS濃度測定値の補正に関し、励起波長210nm、測定波長290nmでの蛍光強度の測定値を補正する場合について説明したが、次のようにしてもよい。つまり、上記段階3において、励起波長210nm、測定波長290nmでの蛍光強度(ブランク検出用)に代えて、或いは加えて、励起波長230nmでの試料水の波長290nmの蛍光強度への、A重油の存在による寄与量を求め、LAS濃度の測定に用いられる励起波長230nm、測定波長290nmでの蛍光強度、即ち、LAS濃度測定に用いる2波長の励起波長のうち、LAS検出用の蛍光強度を補正するようにしてもよい。この場合、上記LAS補正検量線(式3)に代えて、或いは加えて、所定の濃度範囲(例えば、0mg/L〜10mg/L)のA重油標準液のA重油濃度と、励起波長230nmでのA重油標準液の波長290nmにおける蛍光強度との相関(当該蛍光強度をA重油濃度の関数として表す。)を検量線として求める。そして、この検量線を、上記段階7、8において上記LAS補正検量線(式3)に代えて、或いは加えて用いることにより、励起波長230nmでの試料水の波長290nmの蛍光強度の測定値を補正する。
【0091】
ところで、上述では、試料水中の油分としてA重油の濃度を測定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。A重油の他、サラダ油、原油、B重油、C重油、機械油、エンジンオイル、スピンドル油、軽油、灯油、についても、同様に本発明を適用することができる。本発明者の検討によると、これら他の油分についても、励起波長230nm、210nmでの蛍光スペクトルは、上記A重油濃度の測定に適用した濃度測定手法を適用し得る類似の特性を示す。従って、これらの他の油分についても、実施例1にて説明したものに相当する諸検量線情報を予め求めておくことで、A重油の場合と同様にして、その濃度を、特に、LASが共存する場合であっても測定することができる。
【0092】
つまり、本発明は、炭化水素とその誘導体(鉱物油)、高級脂肪酸とグリセリド(動植物油)を含む油分に広く適用し得るものである。但し、本発明においては、陰イオン界面活性剤、特に、スルホン酸形陰イオン界面活性剤であるLASは、油分とは区別された独立した測定値を与える。
【0093】
例えば、予め対象の試料水に含まれる油分が既知若しくは推定可能であれば、その油分に対して検量線を作成しておけば、上記A重油と同様にしてその濃度を測定することができる。或いは、例えば本発明の方法を工場・事業排水に適用する場合などにおいて、現場の排水及び排水より採取した油分を用いて上記検量線を作製することによっても、その現場に特定の油分の濃度を測定することができる。
【0094】
更には、使用目的、要求測定精度によっては、特定の油分について作成した検量線を用いて求めた測定値に含まれる誤差が、ある範囲内になることが分かっているような場合などに、異なる油分について作成した検量線を用いて濃度を求めることができる。
【0095】
例えば、油分がサラダ油(植物油(食用油))である場合に、油分の基準を実施例1にて説明したA重油にすることでも、即ち、A重油に関して求めた検量線を使用することによっても、サラダ油の濃度を測定(推定)することは可能である。本発明者の検討によれば、A重油に関して求めた検量線を用いてサラダ油濃度(LAS濃度と同時測定の場合も同様。)を測定すると、測定値は約1/10の濃度になる。
【0096】
以上説明したように、本発明によれば、2つの異なる水質指標を、非接触、無試薬にて同時に、更には連続的に測定することが可能となった。又、本発明に従って、試料水の特定の水質指標を紫外蛍光方式により測定するに際し、試料水の他の水質指標が該特定の水質指標の測定値に与える影響を排除して、より正確に該特定の水質指標を測定することが可能となった。
【0097】
実施例2
本発明者は、上記特許文献1において、水質指標としてBODを紫外線蛍光法により測定する方法を提案した。斯かる方法を用いて、本発明によれば、実施例1にて説明した油分、LASに加えて、BODをも同時測定することができる。
【0098】
(BODの測定)
本発明者は、上記特許文献1において開示したように、LASに適用したものと同様の手法を適用して、2つの励起波長による特定の測定波長における試料水の蛍光強度を測定することによって、水質の違いなどによりベースの蛍光強度が変化する場合にも、蛍光強度と手分析によるBODとの良好な相関が得られることを見出した。
【0099】
つまり、励起波長210nm、230nmのそれぞれにおける波長420nmの蛍光強度を測定し、その差を求めることにより、例えば環境水など水系により水質が異なる場合であっても、手分析によるBOD測定値と極めて良好な直線的な相関が得られることが分かった(図11)。
【0100】
従って、予め環境水など、種々の試料水について、手分析(例えば、JIS K 0102の21.)によるBOD測定値と、励起波長230nm、210nmのそれぞれにおける波長420nmの蛍光強度の差との相関を検量線(第5の検量線)として求めておくことによって、これを用いて任意の試料水のBODを測定することができる。
【0101】
ここで、図11に示すように、BODの測定において、種々のBOD値の種々の試料水を標準液として検量線を作成する場合、(i)励起波長230nmでの試料水の波長420nmの蛍光強度と、(ii)励起波長210nmでの試料水の420nmの蛍光強度から励起波長210nmでの純水の蛍光強度を差し引いてブランク補正したものとの差を求める。そして、この差と手分析によるBOD値との相関を検量線とするのが好ましい。
【0102】
尚、BODの測定の場合、概して、実施例1にて説明したLAS濃度の測定におけるブランクそのものを測定することに相当すると考えられる。そこで、例えば環境水の水系などの試料水の違いにより蛍光強度が大きく変化する蛍光ピークを避けて測定波長を選定するのが望ましい。測定波長として、波長域390nm〜440nmの範囲内の蛍光の強度を測定することができるが、好ましくは、上述のように中心波長420nmの蛍光の強度を測定する。又、2つの異なる波長の励起光のうち1つとしては、BODの検出用として、波長域210nm〜240nmの範囲に中心波長を有する紫外線を用いることができるが、好ましくはLAS濃度の測定に用いるものと同じ、中心波長230nmの紫外線を用いる。他の1つの励起光としては、ブランクの検出用として、波長域200nm〜220nmの範囲に中心波長を有する紫外線を用いることができるが、好ましくはLAS濃度の測定に用いるものと同じ、中心波長210nmの紫外線を用いる。
【0103】
上述のようなBODの測定方法によれば、非接触、無試薬にて、連続的に試料水のBODを測定することができる。又、試料水のBODの予測が可能となり、標準希釈法によりBODを測定する際の希釈率の指標とすることができる。
【0104】
そして、斯かる方法によるBODの測定を、実施例1にて説明したLAS濃度及び油分濃度の同時測定に加えて行うことで、即ち、励起波長230nm、210nmのそれぞれにおける試料水の波長420nmの蛍光強度を測定することにより、第3の水質指標としてBODをも同時測定することができる。
【0105】
これにより、試料水の油分量、LAS量と共にBODをも同時に測定することができ、BODとこれら試料水の油分量、LAS量との関係を簡易に知ることが可能となる。
【0106】
実施例3
次に、図8及び図9を参照して、本発明の水質測定装置の一実施例について説明する。
【0107】
本実施例の水質測定装置1は、実施例1にて説明した方法に従い、試料水のLAS、油分(特に、A重油)の濃度を連続的に同時測定(モニター)することができる。
【0108】
図8に模式的に示すように、水質測定装置1は、検出部2、制御部3、試料水収容部としての試料槽4、操作部5を有し、試料槽4に所定の流量にて連続的に導入される試料水中のLAS及びA重油の濃度を連続的に同時測定する。
【0109】
試料水は、ポンプ61により、所望の試料水供給源、例えば、河川から流入口41に接続された管路62を介して試料槽4に流入する。又、試料槽4に導入された試料水は、オーバーフローして液面を形成すると共に、流出口42から、これに接続された管路63を介して所定の排出先、例えば試料水供給源に排出される。又、試料水供給源から管路62への試料水の導入、管路63から試料水の排水は、弁64、65によってそれぞれ制御される。更に、試料槽4は、後述する検出部2の光路16に連結された測定用開口部43を備えている。
【0110】
検出部2は、試料槽4に導入された試料水に所定の励起光、即ち、本実施例では、2つの異なる波長(230nm、210nm)の紫外線を照射し、又試料水が発した2つの異なる測定波長(290nm、350nm)の蛍光を検出して、その強度に応じた電気信号を制御部3へ出力する。
【0111】
図9は、水質測定装置1の検出部2をより詳しく示す。検出部2の投光部10は、光源10a、レンズ系12、励起波長選択手段13などを備えている。本実施例では、光源10aとして、波長200nm〜800nmの光を発するXeフラッシュランプ(キセノン放電管)を用いた。光源10aから出射された光は、レンズ系12によって励起波長選択手段13に導かれ、更にダイクロイックミラー14へと向けられる。レンズ系12は、光源10aからの励起光を略平行光としてダイクロイックミラー14へと差し向ける。
【0112】
本実施例では、励起波長選択手段13は、分光手段として中心波長230nmの光を透過させる干渉膜帯域透過フィルタなどとされる第1の光学フィルタ13aと、中心波長210nmの光を透過させる第2の光学フィルタ13bとを備えている。又、励起波長選択手段13は、第1、第2の光学フィルタ13a、13bを、回転体であるフィルタ支持体13cに支持している。フィルタ支持体13cは、後述する制御部3の指示により回転駆動され、順次所望の光学フィルタを、光源10aからの光束が通過する位置に配置する。これにより、所望のタイミングで所望の励起光を試料水に照射する。
【0113】
ダイクロイックミラー14は、波長260nm以上の光を透過し、それより短い波長の光を反射する。従って、波長230nm、210nmの紫外線はダイクロイックミラー14によって反射される。ダイクロイックミラー14で反射された励起光は、略直角に光軸を曲げられ、本実施例では略鉛直下方に差し向けられる。そして、この励起光は、光路16を導かれて試料槽4中の試料水に照射される。光路16にはレンズ系15が配置されており、励起光はほぼ試料水の液面に集束される。
【0114】
一方、上述のようにして励起光が照射された試料水が発する蛍光は、レンズ系15を介してダイクロックミラー14へと導かれ、更にダイクロイックミラー14を透過して蛍光検出部21に向かう。
【0115】
蛍光検出部21は、光検出器21a、測定波長選択手段19、レンズ系20などを備えている。本実施例では、測定波長選択手段19は、分光手段として中心波長290nmの光を透過させる干渉膜帯域透過フィルタなどとされる第3の光学フィルタ19aと、中心波長350nmの光を透過させる第4の光学フィルタ19bとを備えている。又、測定波長選択手段19は、第3、第4の光学フィルタ19a、19bを、回転体であるフィルタ支持体19cに支持している。フィルタ支持体19cは、後述する制御部3の支持により回転駆動され、順次所望の光学フィルタを、ダイクロイックミラー14からの光束が通過する位置に配置する。これにより、所望のタイミングで所望の測定波長の蛍光を光検出器21aで検出する。測定波長選択手段19において所望の光学フィルタを透過した蛍光は、レンズ系20により、光検出器21aに集束される。本実施例では、光検出器21aとして光電子増倍管を用いた。
【0116】
光検出器21aは、感知した蛍光強度に応じた電気信号を発する。この信号は電流−電圧変器(アンプ)、A/D変換器などを備えた検出回路(図示せず)を介して、制御部3に入力される(図8)。
【0117】
尚、投光部10から発され、ダイクロイックミラー14を透過した光は、参照用受光部18において、レンズ系17により参照用光検出器18aに集束される。参照用光検出器18aは受光量に応じた信号を発し、この信号は光源10aの光量制御のためにフィードバックされる。これにより、光源10aの光量安定化が図られている。又、検出部2における光学部品は全て遮光ケース22内に収められており、遮光ケース22と連結された光路16及び試料槽4も外光から遮光されている。
【0118】
制御部3は、演算手段31、記憶手段32などを備えており、記録手段32に格納されたプログラムに従って装置動作を統括的に制御すると共に、検出部2の出力、及び記憶手段32に格納された情報に基づいて演算処理し、試料水中のLAS濃度、油分濃度に応じた信号を生成する。
【0119】
つまり、制御部3は、所定のタイミングで光源10aを点灯させると共に、励起波長選択手段13の第1の光学フィルタ13a、第2の光学フィルタ13bを光透過位置に移動させ、順次、励起波長230nm、210nmの紫外線を、試料槽4に導入された試料水に照射する。又、制御部3は、所定のタイミングで、測定波長選択手段19の第3の光学フィルタ19a、第4の光学フィルタ19bを光透過位置に移動させ、順次、所望の測定波長(290nm、350nm)の蛍光を光検出器21aに入射させる。そして、光検出器21aが感知した蛍光の強度に応じた信号が制御部3に入力されると、演算手段31は、励起波長選択手段13の回転体13cの動作、及び測定波長選択手段19の回転体19cの動作と同期して、何れの励起波長による、いずれの測定波長の蛍光の強度であるかを認識し、記憶手段32或いは演算手段31に内蔵の記憶部に記憶する。
【0120】
演算手段31は、上述のようにして得た蛍光強度の情報に基づいて、実施例1にて説明したようにしてLAS、A重油の存否を判断する。又、記憶手段32には、予め実施例1において式1〜4(図4〜図7)に例示したようなLAS検量線、A重油検量線、LAS補正検量線、A重油補正検量線群の情報が格納されている。演算手段31は、上述のようにして得た蛍光強度の検出値情報と、予め記憶手段32に記憶された上記検量線の情報とに基づいて実施例1にて説明したようにして演算して、試料水中のLAS濃度、A重油濃度に対応した情報を生成する。
【0121】
又、制御部3には、操作部5が接続されており、この操作部5は、測定値、各種設定値などを表示する表示手段51、装置の緒設定、測定の開始及び停止、所望のデータの入力などを行う入力手段52を備えている。
【0122】
演算手段31は、上述のようにして生成した、試料水中のLAS濃度、A重油濃度に対応した情報に基づいて、操作部5の液晶ディスプレイなどとされる表示手段51に、所望の表示形態にてLAS濃度、A重油濃度の測定値情報を表示する信号を送信する。測定値は、装置に接続されたプリンタにて出力することも当然可能である。
【0123】
上述の検量線の情報は、例えば、水質測定装置1の工場出荷時など、実試料水の測定前に、所定の標準試料水を用いた測定を行うことにより、或いは操作部5から入力することによって、テーブル、演算式などの任意の形態にて記憶させることができる。所望時に操作部5から校正ステップを指定して、所定の標準液を用いて測定開始前に検量線を作成(記憶)させるモードを持たせてもよい。
【0124】
制御部3としては、検出部2と通信可能に接続された、パーソナルコンピュータなどとされる外部機器を使用してもよい。この場合、表示手段51、入力手段52は、このコンピュータに付属のものであってよい。又、測定値などを、このコンピュータに接続さプリンタにて出力することも当然可能である。
【0125】
尚、実施例2にて説明したように、LAS及びA重油に加えて、更にBODをも同時測定し得る水質測定装置を構成することができる。この場合、例えば、蛍光検出部21の測定波長選択手段19が、更に分光手段として中心波長420nmの光を透過させる第5のフィルタを有し、所定のタイミングで第5のフィルタを透過した光を光検出器21aで検出すればよい。そして、演算手段31が、予め記憶手段32に格納された図11に示すような検量線の情報と、蛍光強度の検出値情報とに基づいて実施例2にて説明したようにして演算して、試料水のBODに対応した情報を生成し、上記同様にして表示などすることができる。
【0126】
励起波長を、LAS濃度、油分濃度、更にはBODの測定について共通とすることにより、構成の簡易化、低コスト化を図ることができる。
【0127】
以上、本実施例によれば、本発明の水質測定方法を好適に実施し、LAS及びA重油の濃度(更にはBOD)を、非接触、無試薬にて連続的に同時測定することができる。
【0128】
尚、水質測定装置は、実施例1にて説明したように、LAS、A重油の濃度の双方を確定測定値まで求める態様に限定されるものではない。例えば、A重油濃度については暫定測定値まで求め、その値を用いて補正することで、LAS濃度を極めて精度良く、非接触、無試薬にてしかも連続的に測定することができる。即ち、演算手段が、第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する第1の蛍光の強度の測定値に基づいて試料水の第1の水質指標を測定するのに際し、更に、第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する、第1の蛍光とは波長が異なる第2の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の第2の水質指標の値に応じて第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する第1の蛍光の強度の測定値に含まれる誤差を補正するようにしてもよい。
【0129】
本発明に従う水質測定装置は、上記実施例における正確な構成、配置などに限定されるものではないことを理解されたい。
【0130】
例えば、本実施例では投光部10は、1つの光源10からの光を複数の分光手段を備えた励起波長選択手段13により選択し、試料水に照射するとして説明したが、本発明は何らこの構成に限定されるものではない。上述のような光源、レンズ系、分光手段などを備えた投光部を複数設け、選択的に所定の励起波長の紫外線を所望の光学部材(ミラー系、レンズ系、スプリッター、チョッパーなど)を用いて試料水への同一光路上に導入し、同じ蛍光検出部21にて試料水の蛍光を検出することができる。同様に、所望の光学部材(ミラー系、レンズ系、スプリッター、チョッパーなど)を用いて、試料水から発された蛍光を異なる蛍光検出部に差し向け、これらの蛍光検出部にて試料水の蛍光を検出することができる。或いは、投光部及び蛍光検出部を備えたユニット(励起波長選択手段、測定波長選択手段を有していても、いなくても良い。)を複数有し、全体として所望数の励起光を試料水に照射し、又所望数の測定波長の蛍光を検出するようにしてもよい。
【0131】
又、光源10aとしては、Xeフラッシュランプ(キセノン放電管)の他、Dランプ(重水素放電管)を用いることもできる。又、本発明は、光源10aからの光を分光手段で分光し、所定の励起波長の紫外線を試料水に照射することに限定されるものではなく、所望の中心波長の紫外線を放射する光源、例えばレーザー光源などが入手可能であれば、それを用いることによって分光手段を省くことができる。光検出器21aとしては、光電子増倍管他、フォトダイオード、フォトトランジスタ、アバランシャルフォトダイオードなどを適宜用いることができる。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、水質測定方法は、試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射し、試料水が発する波長の異なる第1、第2の蛍光の強度を測定することに基づいて、試料水の第1、第2の水質指標を測定する構成とされるので、工場・事業排水、環境水(河川水、湖沼水、海域の水)などの試料水に関する少なくとも2つの異なる水質指標を、非接触、無試薬にて同時測定、更には連続測定することが可能である。
【0133】
又、本発明によれば、試料水の特定の水質指標を紫外蛍光方式により測定するに際し、試料水の他の水質指標が該特定の水質指標の測定値に与える影響を排除して、より正確に該特定の水質指標を測定することが可能となる。
【0134】
更に、本発明によれば、試料水の油分量、LAS量などといった他の水質指標と共にBODをも同時に測定することができ、BODと他の水質指標との関係を簡易に知ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類(LAS)を含有する標準液の蛍光スペクトルを示すグラフ図である。
【図2】A重油を含有する標準液の蛍光スペクトルを示すグラフ図である。
【図3】A重油及びLASを含有する標準液の蛍光スペクトルを示すグラフ図である。
【図4】LAS濃度と蛍光強度(励起波長230nm:測定波長290nm−励起波長210nm:測定波長290nm)との相関(LAS検量線)を示すグラフ図である。
【図5】A重油濃度と蛍光強度(励起波長230nm:測定波長350nm)との相関(A重有検量線)を示すグラフ図である。
【図6】蛍光強度(励起波長210nm:測定波長290nm)とA重油濃度との相関(LAS濃度補正用の検量線)を示すグラフ図である。
【図7】LAS存在下におけるA重油濃度と蛍光強度(励起波長230nm:測定波長350nm)との相関(A重油濃度補正用の検量線)を示すグラフ図である。
【図8】本発明に係る水質測定装置の一実施例の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図9】図8の水質測定装置の検出部の一実施例を説明するための概略断面図である。
【図10】LAS濃度測定原理を説明するためのグラフ図である。
【図11】種々の試料水の蛍光強度と手分析によるBOD測定値との相関(BOD検量線)を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 水質測定装置
2 検出部
3 制御部
4 試料槽(試料水収容部)
10 投光部
10a 光源
13a、13b 第1、第2の光学フィルタ(分光手段)
19 測定波長選択手段
19a、19b 第3、第4の光学フィルタ(分光手段)
21 蛍光検出部
21a 光検出器
31 演算手段
32 記憶手段

Claims (31)

  1. 試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射し、試料水が発する波長の異なる第1、第2の蛍光の強度を測定することに基づいて、試料水の第1、第2の水質指標を測定することを特徴とする水質測定方法。
  2. 前記第1、第2の水質指標を測定するに際し、いずれの水質指標の測定のためにも、前記第1、第2の励起光の照射、及び前記第1、第2の蛍光の強度の測定を行うことを特徴とする請求項1の水質測定方法。
  3. (i)前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光の強度を測定した値に基づいて、試料水の第2の水質指標の暫定測定値を求める段階、
    (ii)前記第1の水質指標を求めるための、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に、前記第2の水質指標の値に応じて含まれる誤差を、前記第2の水質指標の暫定測定値に基づいて求める段階、
    (iii)前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値から前記誤差を差し引き、何れか若しくは両方から前記誤差が差し引かれた、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の前記第1の水質指標の測定値を求める段階、
    (iv)求めた前記第1の水質指標の測定値と、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光の強度の測定値とに基づいて、試料水の前記第2の水質指標の測定値を求める段階、
    を含むことを特徴とする請求項1又は2の水質測定方法。
  4. 更に、
    (a)前記段階(i)において、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光の強度の測定値を、試料水の第2の水質指標の値に関係付けるための第1の検量線情報と、
    (b)前記段階(ii)において、前記第2の水質指標の暫定測定値を、試料水の前記第2の水質指標の値に応じて前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に含まれる誤差の値に関係付けるための第2の検量線情報と、
    (c)前記段階(iii)において、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値を、試料水の前記第1の水質指標の値に関係付けるための第3の検量線情報と、
    (d)前記段階(iv)において、試料水の前記第1の水質指標の値に応じて、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光強度を、試料水の前記第2の水質指標の値に関係付けるための第4の検量線情報と、
    を求める段階を含むことを特徴とする請求項3の水質測定方法。
  5. 前記第1の水質指標は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類量であり、前記第2の水質指標は油分量であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の水質測定方法。
  6. 前記第1の励起光は中心波長が210nm〜240nmの紫外線であり、前記第2の励起光は中心波長が200nm〜220nmの紫外線であり、前記第1の蛍光の中心波長は270nm〜300nmであり、前記第2の蛍光の中心波長は330nm〜370nmであることを特徴とする請求項5の水質測定方法。
  7. 前記第1の励起光は中心波長が230nmの紫外線であり、前記第2の励起光は中心波長が210nmの紫外線であり、前記第1の蛍光の中心波長は290nmであり、前記第2の蛍光の中心波長は350nmであることを特徴とする請求項6の水質測定方法。
  8. 更に、試料水が発する前記第1、第2の蛍光とは波長が異なる第3の蛍光の強度を測定して、試料水の第3の水質指標を測定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の水質測定方法。
  9. 前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する前記第3の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の前記第3の水質指標の測定値を求めることを特徴とする請求項8の水質測定方法。
  10. 更に、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する前記第3の蛍光の強度の測定値を、試料水の前記第3の水質指標の値に関係付けるための第5の検量線情報を求める段階を含むことを特徴とする請求項9の水質測定方法。
  11. 前記第3の水質指標は、生物化学的酸素消費量であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかの項に記載の水質測定方法。
  12. 前記第3の蛍光の中心波長は、390nm〜440nmであることを特徴とする請求項11の水質測定方法。
  13. 前記第3の蛍光の中心波長は、420nmであることを特徴とする請求項12の水質測定方法。
  14. 試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射し、試料水が発する第1の蛍光の強度を測定することに基づいて試料水の第1の水質指標を測定するのに際し、更に、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する、前記第1の蛍光とは波長が異なる第2の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の第2の水質指標の値に応じて前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に含まれる誤差を補正することを特徴とする水質測定方法。
  15. 前記第1の水質指標は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類量であり、前記第2の水質指標は油分量であることを特徴とする請求項14の水質測定方法。
  16. 試料水が供給される試料水収容部と、前記試料水収容部内の試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射する投光部と、試料水が発する波長の異なる第1、第2の蛍光を検出する蛍光検出部と、前記蛍光検出部が検出した蛍光強度情報に基づいて試料水の第1、第2の水質指標の値を算出する演算手段と、を有することを特徴とする水質測定装置。
  17. 前記第1、第2の水質指標のいずれの測定のためにも、前記第、第2の励起光の照射、及び前記第1、第2の蛍光の強度の測定を行うことを特徴とする請求項16の水質測定装置。
  18. 前記演算手段は、
    (i)前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光の強度を測定した値に基づいて、試料水の第2の水質指標の暫定測定値を求める段階、
    (ii)前記第1の水質指標を求めるための、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に、前記第2の水質指標の値に応じて含まれる誤差を、前記第2の水質指標の暫定測定値に基づいて求める段階、
    (iii)前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値から前記誤差を差し引き、何れか若しくは両方から前記誤差が差し引かれた、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の前記第1の水質指標の測定値を求める段階、
    (iv)求めた前記第1の水質指標の測定値と、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光の強度の測定値とに基づいて、試料水の前記第2の水質指標の測定値を求める段階、
    を含む演算を行うことを特徴とする請求項16又は17の水質測定装置。
  19. 更に、
    (a)前記段階(i)において、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光の強度の測定値を、試料水の第2の水質指標の値に関係付けるための第1の検量線情報と、
    (b)前記段階(ii)において、前記第2の水質指標の暫定測定値を、試料水の前記第2の水質指標の値に応じて前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に含まれる誤差の値に関係付けるための第2の検量線情報と、
    (c)前記段階(iii)において、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値を、試料水の前記第1の水質指標の値に関係付けるための第3の検量線情報と、
    (d)前記段階(iv)において、試料水の前記第1の水質指標の値に応じて、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第2の蛍光強度を、試料水の前記第2の水質指標の値に関係付けるための第4の検量線情報と、
    が記憶される記憶手段を有することを特徴とする請求項18の水質測定装置。
  20. 前記第1の水質指標は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類量であり、前記第2の水質指標は油分量であることを特徴とする請求項16〜19のいずれかの項に記載の水質測定装置。
  21. 前記第1の励起光は中心波長が210nm〜240nmの紫外線であり、前記第2の励起光は中心波長が200nm〜220nmの紫外線であり、前記第1の蛍光の中心波長は270nm〜300nmであり、前記第2の蛍光の中心波長は330nm〜370nmであることを特徴とする請求項20の水質測定装置。
  22. 前記第1の励起光は中心波長が230nmの紫外線であり、前記第2の励起光は中心波長が210nmの紫外線であり、前記第1の蛍光の中心波長は290nmであり、前記第2の蛍光の中心波長は350nmであることを特徴とする請求項21の水質測定装置。
  23. 前記蛍光検出部は更に、試料水が発する前記第1、第2の蛍光とは波長が異なる第3の蛍光の強度を検出し、前記演算手段は更に、検出した蛍光強度に応じて前記蛍光検出部が発する信号に基づいて試料水の第1、第2の水質指標とは異なる第3の水質指標の値を算出することを特徴とする請求項16〜22のいずれかの項に記載の水質測定装置。
  24. 前記演算手段は、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する前記第3の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の前記第3の水質指標の測定値を求める演算を行うことを特徴とする請求項23の水質測定装置。
  25. 更に、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する前記第3の蛍光の強度の測定値を、試料水の前記第3の水質指標の値に関係付けるための第5の検量線情報が記憶される記憶手段を有することを特徴とする請求項24の水質測定装置。
  26. 前記第3の水質指標は、生物化学的酸素消費量であることを特徴とする請求項23〜25のいずれかの項に記載の水質測定装置。
  27. 前記第3の蛍光の中心波長は、390nm〜440nmであることを特徴とする請求項26の水質測定装置。
  28. 前記第3の蛍光の中心波長は、420nmであることを特徴とする請求項の水質測定装置。
  29. 前記試料水収容部には連続的に試料水が供給され、連続的に試料水の水質指標の測定を行うことを特徴とする請求項16〜28の水質測定装置。
  30. 試料水が供給される試料水収容部と、前記試料水収容部内の試料水に波長の異なる第1、第2の励起光を照射する投光部と、試料水が発する波長の異なる第1、第2の蛍光を検出する蛍光検出部と、前記蛍光検出部が検出した蛍光強度情報に基づいて試料水の第1の水質指標の値を算出する演算手段と、を有し、前記演算手段は、前記第1、第2の励起光でそれぞれ試料水が発する第1の蛍光の強度の測定値に基づいて試料水の第1の水質指標を測定するのに際し、更に、前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する、前記第1の蛍光とは波長が異なる第2の蛍光の強度の測定値に基づいて、試料水の第2の水質指標の値に応じて前記第1及び/又は第2の励起光で試料水が発する前記第1の蛍光の強度の測定値に含まれる誤差を補正することを特徴とする水質測定装置。
  31. 前記第1の水質指標は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類量であり、前記第2の水質指標は油分量であることを特徴とする請求項30の水質測定装置。
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