JP2005030499A - アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】より低電圧で、推進力の大きなアクチュエータを提供すること。
【解決手段】アクチュエータは、流動体8に満たされる閉じた空間を囲む壁面の少なくとも一部を成す可撓性薄膜2と、該可撓性薄膜2を介して流動体8を部分的に押圧するとともに、所定の可動範囲を移動する流動体押圧部材3とを備え、可撓性薄膜2が有する導電性領域10に対向するように対向電極7−1〜7−6を配置する。そして、対向電極7−1〜7−6と導電性領域10との間に電位差を与え、静電気力を作用させ、可撓性薄膜2を変形させることで、可撓性薄膜2を介して流動体押圧部材3にかかる所定の方向における圧力分布を変化させ、流動体押圧部材3を可撓性薄膜2に対し所望の方向に相対移動させる。
【選択図】 図1
【解決手段】アクチュエータは、流動体8に満たされる閉じた空間を囲む壁面の少なくとも一部を成す可撓性薄膜2と、該可撓性薄膜2を介して流動体8を部分的に押圧するとともに、所定の可動範囲を移動する流動体押圧部材3とを備え、可撓性薄膜2が有する導電性領域10に対向するように対向電極7−1〜7−6を配置する。そして、対向電極7−1〜7−6と導電性領域10との間に電位差を与え、静電気力を作用させ、可撓性薄膜2を変形させることで、可撓性薄膜2を介して流動体押圧部材3にかかる所定の方向における圧力分布を変化させ、流動体押圧部材3を可撓性薄膜2に対し所望の方向に相対移動させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電気力等により可撓性薄膜の形状を変形させる事で推進力を得るアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
小型の携帯機器が普及し、さらに携帯機器に自動駆動部品を搭載する要望が高まるに連れ、小型且つ低消費電力のアクチュエータが望まれている。これに伴い、従来の電磁式アクチュエータに変えて静電式アクチュエータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。静電式アクチュエータは、比較的簡単な構成で、静電気力により駆動力と得る為、小型化、低消費電力化に向いている。
【0003】
特許文献1に開示されている静電アクチュエータについて図19を用いて説明する。
【0004】
この静電アクチュエータは、複数の電極103−1〜103−10が配列された固定子101と、この固定子101上に載置された可撓性の誘電体110と、各電極103−1〜103−10への電圧印加を走査する電源走査手段(105−1〜105−10、106)、例えば各電極103−1〜103−10に各スイッチ105−1〜105−10を介して電源106を接続したものを備え、固定子101に配列された各電極103−1〜103−10に対して各スイッチ105−1〜105−10をオン状態として電圧印加を走査する。このとき誘電体110は、電圧の印加による静電力によって電極に吸引され、電圧印加がなくなると誘電体110の弾性力により電極103−1〜103−10から剥離する。従って、誘電体110の剥離した部分は電圧印加の走査に応じて移動する。そして、この誘電体110の剥離した部分上に移動体112を配置しておけば、その移動体112を移動することができる。
【0005】
また、一般的に小型静電アクチュエータに求められる機能として、移動体(移動子)の位置保持能力があること、移動体の移動速度を任意に調整出来ること、複数の移動体を独立に駆動できること、移動体の位置検知手段を備えること、消費電力が小さいこと等が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−276766号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような静電アクチュエータでは、可撓性薄膜の形状変化を移動体の推進力に変換する為、可撓性薄膜はある程度の弾性力を持たなければならない。移動体の重量が増すとこの弾性力も増す事になる。つまり、この弾性力を上回る静電気力を発生させ、可撓性薄膜の形状を変化しなければならない。その為、ある程度の推進力を得る為には、比較的高電圧を印加しなければならない。
【0008】
また、このような静電アクチュエータでは、電圧を印加していない状態での可撓性薄膜の形状を規定する事が出来ず、不安定な状態となる。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、可撓性薄膜の変形と共に、流動体の移動を利用する事で、より低電圧で、推進力の大きなアクチュエータを提供する事ができると共に上記超小型アクチュエータに求められる機能を全てあわせ持つアクチュエータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明によるアクチュエータは、
流動体に満たされる閉じた空間と、
前記空間を囲む壁面の少なくとも一部を成す可撓性部材と、
前記可撓性部材を介して前記流動体を部分的に押圧するとともに、所定の可動範囲を移動する流動体押圧手段と、
前記可撓性部材を介して前記流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させる圧力分布変化手段と、
を有し、
前記圧力分布変化手段によって前記圧力分布を変化させることで、前記流動体押圧手段を前記可撓性部材に対して所望の方向に相対移動させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体が、粉体または粒体であることを特徴とする。
【0012】
また、請求3項に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体が、気体または液体であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体が、液体と粒体との混合物であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記流動体押圧手段の、該流動体押圧手段の移動方向と押圧方向とで定義される平面と平行な断面が楕円弧部を有し、
前記楕円弧部と前記可撓性部材とが接触していることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段の、該流動体押圧手段の移動方向と押圧方向とで定義される平面と平行な断面が円であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記圧力分布変化手段は、前記可撓性部材を変形させることで前記圧力分布を変化させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項8に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段は、前記空間を少なくとも第1の空間と第2の空間に分割することを特徴とする。
【0018】
また、請求項9に記載の発明によるアクチュエータは、請求項8に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記圧力分布変化手段は、前記可撓性部材を変形させることで前記第1または第2の空間の体積を変化させることを特徴とする。
【0019】
また、請求項10に記載の発明によるアクチュエータは、請求項7または9に記載の発明によるアクチュエータにおいて、静電気力を用いて、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする。
【0020】
また、請求項11に記載の発明によるアクチュエータは、請求項7または9に記載の発明によるアクチュエータにおいて、磁気力を用いて、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする。
【0021】
また、請求項12に記載の発明によるアクチュエータは、請求項8に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記圧力分布変化手段は、前記第1または第2の空間内に存在する流動体の体積を変化させることを特徴とする。
【0022】
また、請求項13に記載の発明によるアクチュエータは、請求項12に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記第1または第2の空間内に流動体を導入または排出することで、前記流動体の体積を変化させることを特徴とする。
【0023】
また、請求項14に記載の発明によるアクチュエータは、請求項12に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記第1または第2の空間内の流動体を加熱または冷却することで、前記流動体の体積を変化させることを特徴とする。
【0024】
また、請求項15に記載の発明によるアクチュエータは、請求項8に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記第1の空間と前記第2の空間とを結ぶように形成された流路をさらに有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項16に記載の発明によるアクチュエータは、請求項10に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記可撓性部材は導電領域を有しており、
前記導電領域と対向するように配置された対向電極をさらに有し、
前記導電領域と前記対向電極との間に電位差を与えることにより、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする。
【0026】
また、請求項17に記載の発明によるアクチュエータは、請求項16に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体は、誘電体であることを特徴とする。
【0027】
また、請求項18に記載の発明によるアクチュエータは、請求項16に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記導電領域または前記対向電極の表面に形成された絶縁体をさらに有することを特徴とする。
【0028】
また、請求項19に記載の発明によるアクチュエータは、請求項16に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記導電領域が複数存在することをさらに特徴とする。
【0029】
また、請求項20に記載の発明によるアクチュエータは、請求項16に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記対向電極が複数存在することをさらに特徴とする。
【0030】
また、請求項21に記載の発明によるアクチュエータは、請求項16または20に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記流動体押圧手段に抗する面を有する支持部材をさらに有し、
前記対向電極は前記支持部材に支持されていることを特徴とする。
【0031】
また、請求項22に記載の発明によるアクチュエータは、請求項19に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記複数の導電領域を1つ以上の導電領域からなる複数の群に分け、各群の導電領域と対向電極との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、前記流動体押圧手段を移動する。
【0032】
また、請求項23に記載の発明によるアクチュエータは、請求項20に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記複数の対向電極を1つ以上の対向電極からなる複数の群に分け、各群の対向電極と導電領域との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、前記流動体押圧手段を移動することを特徴とする。
【0033】
また、請求項24に記載の発明によるアクチュエータは、請求項22または23に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段の位置検出用電極をさらに有することを特徴とする。
【0034】
また、請求項25に記載の発明によるアクチュエータは、請求項19または20に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段を複数有し、各々の流動体押圧手段を互いに独立に移動することを特徴とする。
【0035】
また、請求項26に記載の発明によるアクチュエータは、請求項25に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記複数の流動体押圧手段各々の可動範囲を分割したことを特徴とする。
【0036】
また、請求項27に記載の発明によるアクチュエータは、請求項19に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記対向電極と前記導電領域との間の静電容量を測定することにより、前記流動体押圧手段の位置を検出することを特徴とする。
【0037】
また、請求項28に記載の発明によるアクチュエータは、請求項19に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記複数の導電領域のうち、前記流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に、一番目に前記対向電極との間の電位差を与えることを特徴とする。
【0038】
また、請求項29に記載の発明によるアクチュエータは、請求項28に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に与えられる電位差は、少なくとも当該導電領域が静電引力によって変形する電位差以上であり、前記複数の導電領域のうち対向電極と最も離れた部分が変形する電位差未満であることを特徴とする。
【0039】
また、請求項30に記載の発明によるアクチュエータは、請求項20に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記複数の対向電極のうち、前記流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に、一番目に前記導電領域との間の電位差を与えることを特徴とする。
【0040】
また、請求項31に記載の発明によるアクチュエータは、請求項30に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に与えられる電位差は、少なくとも前記導電領域の当該対向電極に対向する部分が静電引力によって変形する電位差以上であり、前記導電領域のうち当該対向電極と最も離れた部分が変形する電位差未満であることを特徴とする。
【0041】
また、請求項32に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段の移動可能な方向に延びて配置され、該流動体押圧手段を支持する枠をさらに有することを特徴とする。
【0042】
また、請求項33に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記流動体押圧手段に抗する面を有する第1の支持部材と、
前記抗する面とともに前記流動体押圧手段を挟むように配置され、該抗する面との相対位置が固定されている第2の支持部材と、
をさらに有することを特徴とする。
【0043】
また、請求項34に記載の発明によるアクチュエータは、請求項11に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記可撓性部材は少なくとも一部が磁性体で構成されており、
前記磁性体に磁気力を及ぼすように配置された電磁石をさらに有し、
前記電磁石によって前記磁性体に磁気力を及ぼすことにより、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする。
【0044】
また、請求項35に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記流動体は磁性流体であり、
前記磁性流体に磁気力を及ぼすように配置された電磁石をさらに有し、
前記電磁石から磁気力を発生し、磁性流体に分布を生じさせることで、前記可撓性部材を介して前記流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させることを特徴とする。
【0045】
また、請求項36に記載の発明によるアクチュエータは、請求項33に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記流動体押圧手段は、前記流動体押圧手段に抗する面の法線方向において、前記空間の長さより長いことを特徴とする。
【0046】
また、請求項37に記載の発明によるアクチュエータは、請求項19に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記複数の導電領域は、前記流動体押圧手段の移動方向において、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さを有することを特徴とする。
【0047】
また、請求項38に記載の発明によるアクチュエータは、請求項20に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記複数の対向電極は、前記流動体押圧手段の移動方向において、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さを有することを特徴とする。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0049】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を、図1の(A)および(B)を用いて説明する。
【0050】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を図1の(A)および(B)を用いて説明する。尚、図1の(A)は、本発明の第1の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を示した斜視図である。また、図1の(B)は、図1の(A)のA面における断面図を示している。
【0051】
少なくとも壁面の一部が可撓性部材である可撓性薄膜2で形成される閉じた空間内には、流動体8が満たされている。さらに、前記可撓性薄膜2上には流動体押圧手段としての流動体押圧部材3が配置され、前記閉じた空間を第1の空間と第2の空間とに分割している。また、可撓性薄膜2の弾性力および流動体押圧部材3の押圧により、流動体8にはある程度の圧力が働いている。
【0052】
可撓性薄膜2は、薄膜自体が導電性を持つか、導電性を有する別の層が形成されているなどして、導電領域としての導電性領域10を有しており、前記導電性領域10に対向するように対向電極7−1〜7−6が配置されている。なお、前記導電性領域10と前記対向電極7−1〜7−6とは図示されない外部リード電極5に接続されることで、所望の電位を与えることが可能になっている。
【0053】
ここで、対向電極7−1〜7−6と導電性領域10との間に電位差を与え、静電気力を作用させ、前記可撓性薄膜2を変形させることで、可撓性薄膜2を介して流動体押圧部材3にかかる所定の方向における圧力分布を変化させ、流動体押圧部材3を移動体(移動子)として、可撓性薄膜2に対し所望の方向に相対移動させることができる。
【0054】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る流動体アクチュエータの基本動作原理を図1の(A)及び(B)を用いて説明する。
【0055】
始めに、アクチュエータデバイスの停止状態または流動体押圧部材3の静止状態について説明する。ここでの停止状態とは、電源が投入されていない状態を表し、静止状態とは、電源が投入されており、流動体押圧部材3を静止させておく状態を示す。
【0056】
デバイスの停止状態では、対向電極7−1〜7−6と導電性領域10間には、電位差は生じない。また、流動体押圧部材3の静止状態では、デバイスの停止状態と同様に、対向電極7−1〜7−6と導電性領域10間に電位差を生じさせない。この状態では、流動体押圧部材3は、可撓性薄膜2の剛性および流動体8の粘性により、その場に保持される。
【0057】
次に、流動体押圧部材3の駆動状態について説明する。
【0058】
流動体押圧部材3の駆動状態では、圧力分布変化手段として機能する図示しない駆動制御部により、複数の対向電極7−1〜7−6のうち、流動体押圧部材3に最隣接する電極またはその隣の電極と、導電性領域10間に電位差を与える。例えば、図1の(B)において、流動体押圧部材3を右方向に移動させる場合、複数の対向電極7−1〜7−6のうち、対向電極7−4と導電性領域10間に電位差を与える。ここで、流動体8が誘電性の物質(誘電体)であるとすると、電位差により対向電極7−4と導電性領域10間に静電引力が発生する。この静電気力により、流動体押圧部材3の右側の可撓性薄膜2が対向電極側に引き付けられる。この可撓性薄膜2の形状変化により、流動体押圧部材3の可動方向である所定の方向において、流動体押圧部材3にかかる圧力の分布の変化(圧力の偏り)が生じる。したがって、ここでは流動体押圧部材3は図の右方向、対向電極7−4上に移動へ移動する。引き続き、対向電極7−4と導電性領域10の電位差を無くし、対向電極7−5と導電性領域10間に電位差を与えると、同様にして、流動体押圧部材3は対向電極7−5上に移動する。この動作を繰り返す事で、流動体押圧部材3は右方向へ移動する。このとき、対向電極7と導電性領域10との間に与えられる電位差は、少なくとも流動体押圧部材3に最隣接する対向電極またはその隣の対向電極に対向する部分の導電性領域10が静電引力によって変形する電位差以上であり、導電性領域10の対向電極7と最も離れた部分が変形する電位差未満である。
【0059】
また、流動体8は図示しない流路を通って、流動体押圧部材3により分割された第1の空間と第2の空間との間で移動可能になっていても良い。
【0060】
このような流路を設けることで、流動体押圧部村3が移動した結果として生じる流動体押圧部材3の移動した方向に存在する空間内の圧力の上昇を回避することができ、可撓性薄膜2を変形させために要求される力、導電性領域10と対向電極7−1〜7−6とに与えるべき電位差を一定に保つことが出来る。
【0061】
また、流動体押圧部材3の下の可撓性薄膜2と図示しない壁面との間に、流動体8が移動可能な微細な隙間が生じるように構成することで、流路を設けるようにしても良い。
【0062】
同様に、流動体押圧部材3を左方向に移動させる場合には、対向電極7−3、対向電極7−2と順次、導電性領域10との電位差を走査して行けば良い。尚、この静電引力は、流動体8の誘電率に比例するので、流動体8に誘電体、より望ましくは誘電率が真空より高い流動体を用いる事により、より大きな静電引力が発生する。
【0063】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る流動体アクチュエータの流動体押圧部材3の位置検出方法を図1の(B)を用いて説明する。
【0064】
各対向電極7−1〜7−6の縦及び横の長さに対して、各対向電極7−1〜7−6と導電性領域10間の距離が十分に短いとすると、この間の静電容量は、各対向電極7−1〜7−6の面積に比例し、各対向電極7−1〜7−6と導電性領域10の間の距離に反比例する。そこで、各対向電極7−1〜7−6の面積を全て等しくすると、静電容量は、各対向電極7−1〜7−6と導電性領域10間の距離に依存する事になる。そこで、図1の(B)の状態で、各対向電極7−1〜7−6と導電性領域10の静電容量を比較すると、各対向電極7−1、7−2、7−5、7−6に於ける静電容量はほぼ等しく、対向電極7−4に於ける静電容量は前記各対向電極7−1、7−2、7−5、7−6の静電容量よりも多少大きくなり、対向電極7−3に於ける静電容量は全ての対向電極7−1〜7−6の中で最も大きくなる。つまり、最も静電容量の大きい電極の近傍に流動体押圧部材3が存在する事になるので、複数の対向電極7−1〜7−6のそれぞれと導電性領域10間の静電容量を計測する事により、流動体押圧部材3の位置を検出する事が出来る。さらに言えば、隣接する2つの対向電極、ここでは対向電極7−3と7−4の静電容量の比に基づいて、より厳密に流動体押圧部材3の位置を検出することが可能になる。
【0065】
なお、対向電極7−1〜7−6は、所望の圧力分布の変化を生じさせることができれば、どこに配置されていてもよく、必ずしも複数存在していなくても良い。また、導電性領域10が複数存在していてもよい。導電性領域10または対向電極7−1〜7−6のいずれか一方の表面に、絶縁膜が形成されていても良い。
【0066】
また、複数の導電性領域または対向電極は、流動体押圧部材3の移動方向における長さが、流動体押圧部材3の所望の最小制御距離以上かつ流動体押圧部材3の該方向における長さ未満の長さであることが望ましい。ここで、最小制御距離とは、流動体押圧部材の制御可能な最小の移動距離である。
【0067】
さらに、流動体押圧部材3による押圧は、図1の(B)のような形態に限定されず、例えば、図の上下から閉じた空間を挟み込むように押圧するようにしても良い。
【0068】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を、図1の(A)および(B)を用いて説明する。本実施の形態は本発明の第1の実施の形態と全く同様の装置構成を有し、電位差を与える方法が異なる。
【0069】
即ち、図1の(B)において、流動体押圧部材3を右方向に移動させる場合、複数の対向電極7−1〜7−6のうち、最初に対向電極7−1と導電性領域10間に電位差を与える。
【0070】
すると、静電気力によって、可撓性薄膜2の導電性領域10が対向電極7−1に引き付けられる。この可撓性薄膜2の形状変化により、図の左側の空間の体積が変化(ここでは減少)し、当該空間内の流動体8の圧力が増加する。したがって、流動体押圧部材3の可動方向である所定の方向において、流動体押圧部材3にかかる圧力分布の変化(圧力の偏り)が生じる。ここでは、流動体押圧部材3は図の右方向、対向電極7−4上に移動へ移動する。このようにして、可撓性薄膜2を介して、流動体押圧部材3にかかる圧力の分布を変化させることで、流動体押圧部材3を可撓性薄膜2に対して所望の方向に移動させることができる。
【0071】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態を、図2の(A)乃至図3の(D)を用いて説明する。尚、第1の実施の形態に示す部分と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。以降の実施の形態についても同様とする。
【0072】
まず、本発明の第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を図2の(A)および(B)を用いて説明する。尚、図2の(A)は、本発明の第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を示した斜視図である。また、図2の(B)は図2の(A)のA面における断面図を示している。
【0073】
第1の支持部材としての支持部材1と可撓性薄膜2とで形成される閉じた空間には、流動体8が満たされている。さらに、前記可撓性薄膜2上には流動体押圧部材3が配置され、前記閉じた空間を第1の空間と第2の空間とに分割している。また、可撓性薄膜2の弾性力および流動体押圧部材3の押圧により、流動体8にはある程度の圧力が働いている。
【0074】
可撓性薄膜2は、導電性領域10を有しており、前記導電性領域10に対向するように対向電極7−1〜7−6が配置されている。支持部材1は、前記流動体押圧部材3に抗する面を有しており、対向電極7−1〜7−6を支持している。また、第2の支持部材としての支持部材4が、前記支持部材1との相対位置を固定され、前記支持部材1の流動体押圧部材3に抗する面とともに前記流動体押圧部材3を挟むように配置されている。さらに、枠としての枠材6が流動体押圧部材3の移動可能な方向に延びて配置され、流動体押圧部材3を支持している。
【0075】
これら、支持部材4と枠材6とは、流動体押圧部材3の所定の方向以外への移動を規制している。
【0076】
また、前記導電性領域10と前記対向電極7−1〜7−6とは外部リード電極5に図示されない配線によって接続されることで、所望の電位を与えることが可能になっている。
【0077】
ここで、対向電極7と導電性領域10との間に電位差を与え、静電気力を作用させ前記可撓性薄膜2を変形させることで、可撓性薄膜2を介して流動体押圧部材3にかかる所定の方向における圧力分布を変化させ、流動体押圧部材3を可撓性薄膜2に対し所望の方向に相対移動させることができる。
【0078】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの基本動作原理を図2の(B)を用いて説明する。
【0079】
始めに、アクチュエータデバイスの停止状態または流動体押圧部材3の静止状態について説明する。ここでの停止状態とは、電源が投入されていない状態を表し、静止状態とは、電源が投入されており、流動体押圧部材3を静止させておく状態を示す。
【0080】
デバイスの停止状態では、対向電極7と導電性領域10間には、電位差は生じない。また、流動体押圧部材3の静止状態では、デバイスの停止状態と同様に、対向電極7と導電性領域10間に電位差を生じさせない。この状態では、流動体押圧部材3は、可撓性薄膜2の剛性および流動体8の粘性により、その場に保持される。
【0081】
次に、流動体押圧部材3の駆動状態について説明する。
【0082】
流動体押圧部材3の駆動状態では、複数の対向電極7−1〜7−6のうち、流動体押圧部材3に最隣接する対向電極またはその隣の対向電極と、導電性領域10間に電位差を与える。例えば、図2の(B)において、流動体押圧部材3を右方向に移動させる場合、複数の対向電極7−1〜7−6のうち、対向電極7−4と導電性領域10間に電位差を与える。ここで、流動体8が誘電性の物質であるとすると、電位差により対向電極7−4と導電性領域10間に静電引力が発生する。この静電気力により、可撓性薄膜2の流動体押圧部材3の右側部分が支持部材1側に引き付けられる。この可撓性薄膜2の形状変化により、流動体押圧部材3の可動方向である所定の方向において、流動体押圧部材3にかかる圧力の分布の変化(圧力の偏り)が生じる。この圧力の分布により、ここでは、流動体押圧部材3は図の右方向、即ち対向電極7−4上へ移動する。引き続き、対向電極7−4と導電性領域10の電位差を無くし、対向電極7−5と導電性領域10間に電位差を与えると、同様にして、流動体押圧部材3は対向電極7−5上に移動する。従って、この動作を繰り返す事で、流動体押圧部材3は右方向へ順次移動する。
【0083】
また、図示していないが、流動体8は、流路、または支持部材1上に設けられた溝等を介して、流動体押圧部材3により分割された第1の空間と第2の空間との間で移動可能になっていても良い。
【0084】
このような流路を設けることで、流動体押圧部材3が移動した結果として生じる流動体押圧部材3の移動した方向に存在する空間内の圧力の上昇を回避することができ、可撓性薄膜2を変形させたために要求される力、導電性領域10と対向電極7とに与えるべき電位差を一定に保つことができる。
【0085】
また、流動体押圧部材3の下の可撓性薄膜2と支持部材1との間に、流動体8が移動可能な微細な隙間が生じるように装置を構成することで、流路を設けるようにしても良い。
【0086】
同様に、図2の(A)の状態から流動体押圧部材3を左方向に移動させる場合には、対向電極7−3、対向電極7−2と順次導電性領域10との電位差を走査して行けば良い。尚、この静電引力は、流動体8の誘電率に比例するので、流動体8に誘電率の高い物質(誘電体)を用いる事により、より大きな静電引力が発生する。
【0087】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの作成手順の一例を図3の(A)乃至(D)を用いて説明する。
【0088】
まず、図3の(A)に示すように、周知の半導体のリソグラフィー技術を用いて、シリコン基板上にアルミをパターンニングして複数の対向電極7および外部リード電極5を、また、エッチングにより穴12を作成する。その上からシリコン酸化膜により絶縁膜9を成膜する。以上の工程により支持部材1を作成する。
【0089】
一方、シリコン基板上に導電性ペーストを含むシリコンゴム膜の様な導電性を持つ可撓性薄膜2を形成した後、シリコン基板をエッチングする事により枠材6に支持された、導電性領域10を含む可撓性薄膜2を形成する。
【0090】
次に、支持部材1と枠材6を接合部材11を介して接合する。この接合は、枠材6のエッチング部を取り囲む全周において行う。また、図示してはいないが、接合部材11の一部に切り欠きを設け、導電性ペーストを充填する事で導電性領域10と外部リード電極5の電気的接続をとる。
【0091】
こうして接合された状態を図3の(B)に示す。
【0092】
次に、穴12から、シリコンオイルや純水などの流体、液体、気体、粒体、粉体またはそれらの混合物である流動体8を注入し、可撓性薄膜2と支持部材1間を流動体8で満たす。この状態を図3の(C)に示す。
【0093】
次に、穴12を封止材13により封止する。この状態を図3の(D)に示す。
【0094】
そして、可撓性薄膜2上に流動体押圧部材3を配置し、支持部材4により、流動体押圧部材3を押圧した状態で支持部材4を固定する。この場合、流動体押圧部材3の、該流動体押圧部材3に抗する面の法線方向における長さは、前記閉じた空間の長さの該方向における長さより長くなる。
【0095】
以上の工程により、本実施の形態に係る流動体アクチュエータを作成する事が出来る。また、この作成手順は、本実施の形態に係る流動体アクチュエータを作成する一例に過ぎず、この手順以外にも作成可能である事は言うまでも無い。
【0096】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの流動体押圧部材3の位置検出方法を図2の(B)を用いて説明する。
【0097】
各対向電極7−1〜7−6の縦及び横の長さに対して、各対向電極と導電性領域10間の距離が十分に短いとすると、この間の静電容量は、各対向電極の面積に比例し、各対向電極と導電性領域10の間の距離に反比例する。よって、各対向電極7−1〜7−6の面積を全て等しくすると、静電容量は、各対向電極と導電性領域10間の距離に依存する事になる。
【0098】
そこで、図2の(B)に示す状態で、各対向電極7−1〜7−6と導電性領域10の静電容量を比較すると、対向電極7−1、7−2、7−5、7−6に関する静電容量はほぼ等しく、対向電極7−4に関する静電容量は前記対向電極7−1、7−2、7−5、7−6に関する静電容量よりも多少大きくなり、対向電極7−3に関する静電容量は全ての対向電極の中で最も大きくなる。つまり、最も静電容量の大きい対向電極の近傍に流動体押圧部材3が存在する事になるので、複数の対向電極7−1〜7−6の各対向電極と導電性領域10間の静電容量を計測する事により、流動体押圧部材3の位置を検出する事が出来る。また、前記第1の実施の形態と同様に、より詳細な位置を検出できるようにしても良いのは言うまでもない。
【0099】
なお、対向電極7は、所望の圧力分布の変化を生じさせることができれば、どこに配置されていても良く、必ずしも複数存在していなくても良い。また、導電性領域10が複数存在していても良い。また、支持部材1、支持部材4、枠材6は無くても良い。
【0100】
また、絶縁膜9は導電性領域10または対向電極7−1〜7−6の何れか一方の表面に形成されていれば良い。
【0101】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態を、図4を用いて説明する。
【0102】
図4は、図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図を示している。
【0103】
まず、流動体8の流路について説明する。本発明の第4の実施の形態に係る流動体アクチュエータは、上述の様に、流動体押圧部材3により、流動体8が分断された構造をしている。ここで、両側に分断された流動体8が第1の空間と第2の空間との間で移動可能なように流路を構成すれば、このような流路を設けることで、流動体押圧部材3が移動した結果として生じる流動体押圧部材3の移動した方向に存在する空間内の圧力の上昇を回避することができ、可撓性薄膜2を変形させるために要求される力、即ち導電性領域10と対向電極7とに与えられるべき電位差を一定に保つことができる。
【0104】
そこで、図4に示すように、支持部材1に溝を設ける事で流動体の流路14を構成する。
【0105】
この方法は、始めから支持部材1に用いる基板にエッチング等の方法で溝を形成して置けば良いので、制作上、比較的簡単な方法で構成する事が出来る。
【0106】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態を、図5を用いて説明する。
【0107】
図5は、図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図を示している。
【0108】
図5に示す様に、本第5の実施の形態では、可撓性薄膜2を支持する枠材6に切り欠きを設ける事により流動体8の流路14を構成する。
【0109】
この方法は、複数の対向電極7の面積を減らす事無く流動体8が移動する流路14を設ける事が出来るので、流動体押圧部材3を駆動する上では、比較的効率的な構成をしている。
【0110】
[第6の実施の形態]
本発明の第6の実施の形態を、図6を用いて説明する。
【0111】
図6は、図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図を示している。
【0112】
図6に示す様に、支持部材1及び可撓性薄膜2を支持する枠材6とを接合する接合部材11を、可撓性薄膜2と枠材6の境界端部より外側に設ける事で流動体8の流路14を構成する。
【0113】
この方法は、支持部材1にも枠材6にも、何ら加工する必要が無く、接合部材11の形状のみを規定すれば良いので、製作する上では比較的簡単な方法であり、また、流動体押圧部材3を駆動する上では比較的効率的な構成をしている。
【0114】
[第7の実施の形態]
本発明の第7の実施の形態を、図7を用いて説明する。
【0115】
図7は、図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図を示している。
【0116】
本発明の第7の実施の形態に係る流動体アクチュエータは、上述の様に、流動体押圧部材3が枠材6と接触している。しかし、流動体押圧部材3と枠材6の接点に生じる摩擦は、流動体押圧部材の移動の妨げとなる。
【0117】
そこで、図7に示す様に枠材6にレール状の突起15を設ける。このレール状の突起15により、流動体押圧部材3と枠材6の接する面積が減少する為、摩擦が低減される。
【0118】
[第8の実施の形態]
本発明の第8の実施の形態を、図8を用いて説明する。
【0119】
図8は、図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図を示している。
【0120】
まず、流動体8の粘性について説明する。本発明の各実施の形態に係る流動体アクチュエータに用いられる流動体8の粘度が高い場合、流動体押圧部材3の位置保持能力が向上し、静止状態の精度が良くなる。しかし、この事は流動体押圧部材3を移動させる場合に流動体8の流動速度が遅くなるので、高速駆動の妨げになる。その為、流動体8の粘度は、位置保持性と駆動性のトレードオフとなり、両性能を考慮して設定されなければならない。
【0121】
そこで、本発明の第8の実施の形態に係る流動体アクチュエータでは、図8に示す様に、流動体8を比較的粘度の低い材質とし、粒体である微小なビーズ23を混入する。このビーズ23の大きさ及び量を調整する事で、実質の流動体8の粘度を自由に設定する事が出来る。
【0122】
[第9の実施の形態]
本発明の第9の実施の形態を、図9の(A)乃至(C)を用いて説明する。
【0123】
図9の(A)乃至(C)は、可撓性薄膜2、流動体押圧部材3、支持部材4を示す図であり、特に、流動体押圧部材3の、移動方向と押圧方向で定義される平面と平行な断面形状が、図9の(A)は楕円の場合、図9の(B)は円の場合、図9の(C)は四角形の場合をそれぞれ示している。さらに、各図において、斜線のハッチングで示した領域は、可撓性薄膜2と流動体押圧部材3とが接触しており、流動体押圧部材3の駆動力を発生させるのに有効な領域を示している。
【0124】
図9の(A)または(B)に示す様に、流動体押圧部材3の断面形状を円または楕円とし、可撓性薄膜2と接触する部分が楕円弧または円弧とすることで、図9の(C)に示す様な四角形とする場合と比較し、流動体押圧部材3の駆動力を発生させるのに有効な領域を広く取ることが出来る。
【0125】
[第10の実施の形態]
本発明の第10の実施の形態を、図10を用いて説明する。
【0126】
図10は、図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図を示している。
【0127】
本発明の第10の実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図10に示す様に、流動体押圧部材3を複数(図では3−1及び3−2の2個)設けた構成とする。
【0128】
流動体押圧部材を移動させる場合、上述の様に、移動させる流動体押圧部材の最近傍に位置する対向電極に電圧を印加する。例えば、図10において、流動体押圧部材3−1を図中右方向へ移動させる場合、複数の対向電極7−1〜7−13の内、対向電極7−4に電圧を印加する。この場合、流動体押圧部材3−1の可動方向である所定の方向において、流動体押圧部材3−1にかかる圧力の分布の変化(圧力の偏り)が生じ、それに伴い流動体押圧部材3−1は移動する。一方、流動体押圧部材3−2については圧力平衡が取れている為、該流動体押圧部材3−2は移動することは無い。
【0129】
同様にして、流動体押圧部材3−2についても、単独で移動する事が出来る。
【0130】
また、複数の流動体押圧部材3−1、3−2を同時に移動させる場合には、それぞれの流動体押圧部材3−1、3−2に対して、各流動体押圧部材3−1、3−2の最近傍に位置する対向電極に電圧を印加する。例えば、図10において、流動体押圧部材3−1を図中左方向へ、流動体押圧部材3−2を図中右方向へ移動させる場合には、複数の対向電極7−1〜7−13の内、対向電極7−3および対向電極7−11に電圧を印加する。この場合、流動体押圧部材3−1及び流動体押圧部材3−2にかかる圧力の分布の変化が発生し、それに伴い流動体押圧部材3−1は図中左方向へ、流動体押圧部材3−2は図中右方向へ移動する。
【0131】
以上の様に、流動体押圧部材3を複数配置する事で、それぞれを独立に移動する事が出来る。尚、本実施の形態では、流動体押圧部材を2つで構成しているが、その数は2つに限定されるものでは無いことは勿論である。
【0132】
[第11の実施の形態]
本発明の第11の実施の形態を、図11の(A)を用いて説明する。
【0133】
図11の(A)は、図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図を示している。
【0134】
上述した本発明の第10の実施の形態に係る流動体アクチュエータのように、流動体押圧部材3を複数設けて各々を独立に移動させる場合、仮に2つの流動体押圧部材3−1、3−2が接近または接触すると、その後これらの流動体押圧部材3−1、3−2を離す事が極めて困難になる。
【0135】
そこで、本第11の実施の形態に係る流動体アクチュエータでは、流動体押圧部材3−1及び流動体押圧部材3−2が移動し得る範囲が重なる事が無い場合に限り、図11の(A)に示す様に、支持部材4に突起22を設ける事で、各々の流動体押圧部材3−1及び3−2が移動し得る範囲を限定するようにしている。
【0136】
この事により、誤動作により、2つの流動体押圧部材3−1、3−2が必要以上に接近または接触する事が無くなる。
【0137】
支持部材4に設ける突起22の幅は、各々の流動体押圧部材3−1、3−2が接近した場合に、その後、各流動体押圧部材3−1、3−2を引き離す事が可能な流動体8が両流動体押圧部材間に確保されるに十分な幅を必要とする。
【0138】
[第12の実施の形態]
本発明の第12の実施の形態を、図11の(B)を用いて説明する。
【0139】
図11の(B)は、図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図を示している。
【0140】
上述した本発明の第10の実施の形態に係る流動体アクチュエータのように、流動体押圧部材3を複数設けて各々を独立に移動させる場合、仮に2つの流動体押圧部材3−1、3−2が接近または接触すると、その後これらの流動体押圧部材3−1、3−2を離す事が出来なくなる。
【0141】
そこで、本第12の実施の形態に係る流動体アクチュエータでは、流動体押圧部材3−1及び流動体押圧部材3−2が移動し得る範囲が重なる事が無い場合に限り、図1の(B)に示す様に、複数の対向電極7を、各々の流動体押圧部材3−1及び3−2が移動し得る範囲に限定して形成するようにしている。
【0142】
この事により、誤動作により、2つの流動体押圧部材3−1、3−2が必要以上に接近または接触する事が無くなる。
【0143】
複数の対向電極7をそれぞれ一まとまりとして、それぞれのまとまりを形成する場合の間隔は、各々の流動体押圧部材3−1、3−2が接近した場合に、その後に、両流動体押圧部材を引き離す事が可能な流動体8が各流動体押圧部材間に確保されるに十分な幅を必要とする。
【0144】
[第13の実施の形態]
本発明の第13の実施の形態を、図12を用いて説明する。
【0145】
図12は、複数の対向電極を示す図である。
【0146】
本発明の各実施の形態で説明した様な流動体アクチュエータにおいて、複数の対向電極7または複数の導電性領域10と外部リード電極5をそれぞれ1対1で接続する場合、流動体押圧部材3の移動距離を長くしたり、移動分解能を上げる為に1ステップの間隔を短くすると、電極数が増大する。
【0147】
そこで、本発明の第13の実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図12に示す様に、複数の対向電極を周期的に接続し、少なくとも1つの対向電極から成る群とする。図12では、複数の対向電極7−1、7−4、7−n−2が接続され、7−2、7−5、7−n−1が接続され、7−3、7−6、7−nが接続されている。これらの各群を、A群、B群、C群とする。よって3群の対向電極が形成されている事になる。そして、各群は、それぞれ対応する1個の外部リード電極5−A、5−B、または5−Cに接続している。
【0148】
本実施の形態の流動体アクチュエータの駆動方法を説明する。
【0149】
仮に、流動体押圧部材3が対向電極7−4の場所に居る場合、流動体押圧部材3を図中上方に移動させるときには、C群に対応する外部リード電極5−Cに電圧を印加する。この場合、C群にあたる対向電極7−3、7−6及び7−nに同電圧が印加されることになる。このような印加がなされたとき、流動体押圧部材3の近傍にある対向電極7−3と導電性領域間10の距離は、対向電極7−6及び7−nと導電性領域間10の距離と比較して短い。複数の対向電極と導電性領域間に働く静電引力は、これらの距離の二乗に反比例する為、対向電極7−3と導電性領域間10に働く静電引力の方が、対向電極7−6及び7−nと導電性領域10に働く静電引力より大きくなる。そこで、C群に印加する電圧を、対向電極7−3に位置する可撓性薄膜2を支持部材1側に引き付ける電圧以上、かつ、対向電極7−6及び7−nに位置する可撓性薄膜2を支持部材1側に引き付ける電圧未満に設定する事で、対向電極7−3のみに電圧を印加している状態と同等になる。よって、流動体押圧部材3は対向電極7−3上へ移動する。さらに、B群、A群と電圧を印加する群を順次走査する事で、流動体押圧部材3は図中上方へ移動する。
【0150】
同様に、B群、C群、A群と電圧を印加する群を順次走査する事で、流動体押圧部材3は図中下方へ移動する。
【0151】
尚、本実施の形態では、3群による構成例を示したが、その群数は3群に限定されるものでは無い。
【0152】
次に、本実施の形態における流動体押圧部材3の初期位置の設定方法について説明する。
【0153】
本実施の形態では、第3の実施の形態で述べた流動体押圧部材3の位置検出方法を用いると、流動体押圧部材3が存在する対向電極の群を特定する事は出来るが、どの位置に存在するのか特定する事は出来ない。しかし、アクチュエータ自体が位置検出能力を有する事は非常に大きなメリットになる。そこで、常に流動体押圧部材3の位置を検出する事は出来ない場合でも、流動体押圧部材3の初期位置を設定し、駆動したステップ量を積算する事で、流動体押圧部材3の位置を特定する事は可能である。
【0154】
本実施の形態における流動体押圧部材3の初期位置の設定方法について図12を用いて説明する。
【0155】
即ち、本発明の第13の実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図12に示す様に、支持部材1上に、複数の対向電極7−1乃至7−nと共に、位置検出用電極17を設けている。そしてまず、初期状態において流動体押圧部材3を図中下方へ移動させ、その都度位置検出用電極17と導電性領域10間の静電容量を比較する。流動体押圧部材3がこの位置検出用電極17上に存在する時、第3の実施の形態で述べたように、位置検出用電極17と導電性領域10間の静電容量は最大の値となるので、この状態を流動体押圧部材3の初期状態とする。
【0156】
この動作を駆動開始時に行い、以降は流動体押圧部材3の移動したステップ量を積算する事で、流動体押圧部材3の位置を特定する事が出来る。
【0157】
なお、対向電極7ではなくて導電性領域10が複数存在する場合も同様に、それら複数の導電性領域を1つ以上の導電性領域からなる複数の群に分け、各群の導電性領域と対向電極との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで流動体押圧部材3を移動することが出来ることは勿論である。
【0158】
またその場合も同様にして、流動体押圧部材3の位置を特定する事が出来る。
【0159】
[第14の実施の形態]
本発明の第14の実施の形態を、図13を用いて説明する。
【0160】
図13は、複数の対向電極を示す図である。
【0161】
流動体押圧部材3を複数設け、各流動体押圧部材3−1、3−2が移動し得る範囲が重なる事が無い場合、各流動体押圧部材3−1、3−2が移動し得る範囲をエリアとして扱う事が出来る。さらに、各エリアに対して、複数の対向電極7を群として接続し、位置検出用電極17を設ける事で、各流動体押圧部材3−1、3−2の独立制御、配線の省線化、流動体押圧部材位置の特定をする事が可能となる。以上の構成について図13を用いて説明する。
【0162】
本実施の形態には、流動体押圧部材が3−1および3−2の2つ存在し、それぞれの移動し得る範囲はαのエリアとβのエリアで重なる事が無いとする。
【0163】
この場合、αのエリアに属する複数の対向電極を7α−1乃至7α−nとし、7α−1と7α−n−2、7α−2と7α−n−1、7α−3と7α−nをそれぞれ接続し、群となす。そして、各群は、それぞれ対応する1個の外部リード電極5α−A、5α−B、または5α−Cに接続している。さらに、位置検出用電極17αを設ける。これらの複数の対向電極7α−1乃至7α−nおよび位置検出用電極17αにより、流動体押圧部材3−1はαのエリア内で流動体押圧部材3−1の位置を特定しながら独立制御する事が出来る。
【0164】
また、βのエリアに属する複数の対向電極を7β−1乃至7β−nとし、7β−1と7β−n−2、7β−2と7β−n−1、7β−3と7β−nをそれぞれ接続し、群となす。そして、各群は、それぞれ対応する1個の外部リード電極5β−A、5β−B、または5β−Cに接続している。さらに、位置検出用電極17βを設ける。これらの複数の対向電極7β−2乃至7β−nおよび位置検出用電極17βにより、流動体押圧部材3−2はβのエリア内で流動体押圧部材3−2の位置を特定しながら独立制御する事が出来る。
【0165】
また、これら各エリアの境界部に対し、流動体押圧部材3−1、3−2の移動を妨げるように、壁または突起を設けるか、エリア毎の間隔を広くとる事で、流動体押圧部材3−1、3−2がエリアを越えて移動する誤動作を防ぐ事が出来る。
【0166】
尚、本実施の形態では、流動体押圧部材を2つで構成しているが、その数は2つに限定されるものでは無い。
【0167】
[第15の実施の形態]
本発明の第15の実施の形態を図14の(A)を用いて説明する。
【0168】
まず、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成について説明する。
【0169】
即ち、本実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図14の(A)に示す様に、支持部材1上に可撓性薄膜2が形成されており、支持部材1と可撓性薄膜2間には流動体8が満たされている。そして、支持部材1の両端を結ぶ流路14上に双方向ポンプ31が設けられており、該双方向ポンプ31の動作により流動体8は、流路14を通してその一端側と他端側とで双方向の移動が可能となっている。
【0170】
また、流動体押圧部材3は自重により、または支持部材4等の図示しない押圧部材により、可撓性薄膜2を押圧する形で、流動体8を分割している。
【0171】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの動作について説明する。
【0172】
流動体押圧部材3を図中右方向へ移動させる場合、双方向ポンプ31により流動体8を右端の空間から排出し左端の空間へ導入する。この事により、それぞれの空間における流動体8の体積が変化し、ここでは流動体押圧部材右側の圧力が低減し、左側の圧力が増加する。したがって、所定の方向において流動体押圧部材3にかかる圧力分布が変化する。ここでは、流動体押圧部材3は右方向へ移動し、圧力の均衡が取れた場所で停止する。よって、双方向ポンプ31により流動体8の移動量を制御することで、流動体押圧部材3の移動量を制御する事ができる。双方向ポンプ31は流動体8を双方向に移動する事が出来るので、流動体押圧部材3も双方向に移動する事が可能である。
【0173】
また、双方向に流動体を移動させる双方向ポンプ31を用いる代わりに、図14の(B)に示す様に、単方向に流動体8を移動させる単方向ポンプ32を互いに逆方向に設け、流動体押圧部材3の移動方向によって、単方向ポンプ32を使い分ける事で、流動体押圧部材3を双方向に移動する事も可能である。
【0174】
また、双方向移動を考えないならば、ポンプは単方向のもの一つでも良い。
【0175】
また、相互に流体を移動させるのではなく、それぞれ装置の外から流動体8を導入または排出するようにしても良いことは勿論である。
【0176】
[第16の実施の形態]
本発明の第16の実施の形態を図15を用いて説明する。
【0177】
まず、本第16の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成について説明する。
【0178】
即ち、本実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図15に示す様に、支持部材1上に少なくとも一部が磁性体で構成された可撓性薄膜2、ここでは、磁性体膜2Mが形成されており、支持部材1と磁性体膜2Mとの間には、非磁性の流動体8が満たされている。
【0179】
また、前記磁性体膜2Mに磁気力を及ぼすように、複数の電磁石33が配置されており、それぞれの電磁石33に対して独立に磁性を持たせる事が出来るようになっている。
【0180】
そして、流動体押圧部材3は磁性体膜2Mである可撓性薄膜2を押圧する形で、閉じた空間内の流動体8を分割している。
【0181】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの動作について説明する。
【0182】
流動体押圧部材3を図中右方向へ移動させる場合、流動体押圧部材3の右近傍に位置する電磁石33に対して通電し、磁性を持たせる。この電磁石33に生じた磁力により、対向する部分の磁性体膜2M(可撓性薄膜2)が支持部材1側に引き付けられる。この可撓性薄膜2の形状変化により、流動体押圧部材3の可動方向である所定の方向において、流動体押圧部材3にかかる圧力の分布(圧力の偏り)が変化する。従って、本発明の第3または第7の実施の形態と同様にして、所望の方向に流動体押圧部材3を移動させる事が出来る。
【0183】
[第17の実施の形態]
本発明の第17の実施の形態を図16を用いて説明する。
【0184】
まず、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成について説明する。
【0185】
即ち、本実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図16に示す様に、支持部材1上に可撓性薄膜2が形成されており、支持部材1と可撓性薄膜2によって形成される閉じた空間に非磁性の磁性流体8Mが満たされている。
【0186】
また、支持部材1上には、複数の電磁石33が配置されており、それぞれの電磁石33に対して独立に磁性を持たせる事が出来るようになっている。
【0187】
そして、流動体押圧部材3は可撓性薄膜2を押圧する形で、磁性流体8Mを分割している。
【0188】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの動作について説明する。
【0189】
流動体押圧部材3を図中右方向へ移動させる場合、流動体押圧部材3の左側に位置する電磁石33に対して通電し、磁性を持たせる。この電磁石33に生じた磁力により、磁性流体8Mは全体として流動体押圧部材3の左側に引き付けられる。この事により、所定の方向における流動体押圧部材3にかかる圧力分布が変化する。結果的に、流動体押圧部材3の左側面の可撓性薄膜2が流動体押圧部材3を押す事になり、流動体押圧部材3は右方向へ移動し、圧力の均衡が取れた位置で流動体押圧部材3の移動が停止する。
【0190】
この、磁性流体8Mの圧力の均衡が保たれている場所は、磁性を持たせた電磁石33が磁性流体8Mを引き付ける力と、可撓性薄膜2が磁性流体8Mへ与える圧力とが釣り合う時であるので、磁性を持たせる電磁石33の位置および磁力により流動体押圧部材3の位置を制御する事が出来る。
【0191】
[第18の実施の形態]
本発明の第18の実施の形態を図17を用いて説明する。
【0192】
まず、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成について説明する。
【0193】
即ち、本実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図17に示す様に、支持部材1上に可撓性薄膜2が形成されており、支持部材1と可撓性薄膜2によって形成される閉じた空間には熱膨張係数の高い流動体8が満たされている。
【0194】
また、支持部材1上には、複数の流動体加熱手段(例えばヒーター34)または流動体冷却手段が配置されており、それぞれを独立に制御する事が出来るようになっている。
【0195】
そして、流動体押圧部材3は可撓性薄膜2を押圧する形で、流動体8を分割している。
【0196】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの動作について説明する。ここでは、例として流動体加熱手段であるヒーター34を用いた場合で説明する。
【0197】
流動体押圧部材3を図中右方向へ移動させる場合、流動体押圧部材3の左側に位置するヒーター34を動作させて、流動体押圧部材3の左側に位置する空間内の流動体8を加熱する。この事により、加熱された流動体8は膨張し、流動体押圧部材3の左側の圧力が増加する。よって、所定の方向における流動体押圧部材3にかかる圧力分布が変化する。結果的に、流動体押圧部材3の左側面の可撓性薄膜2が流動体押圧部材3を押す事になり、流動体押圧部材3は右方向へ移動し、圧力の均衡が取れた位置で流動体押圧部材3の移動が停止する。
【0198】
また、流動体冷却手段を用いる場合には、流動体押圧部材3を図中右方向へ移動させる場合、流動体押圧部材3の右側に位置する流動体冷却手段を動作させ、流動体押圧部材3の右側に位置する空間内の流動体8を冷却する。この事により、冷却された流動体8は凝縮し、流動体押圧部材3の右側の圧力が低減する。よって、所定の方向における流動体押圧部材3にかかる圧力分布が変化する。結果的に、流動体押圧部材3の左側面の可撓性薄膜2が流動体押圧部材3を押す事になり、流動体押圧部材3は右方向へ移動し、圧力の均衡が取れた位置で流動体押圧部材3の移動が停止する。
【0199】
[第19の実施の形態]
本発明の第19の実施の形態を図18を用いて説明する。
【0200】
まず、本第19の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成について説明する。
【0201】
即ち、本実施の形態に係る流動体アクチュエータにおいては、図18に示す様に、少なくとも壁面の一部が可撓性薄膜2で形成される閉じた空間には、流動体8が満たされている。さらに、前記可撓性薄膜2上には、可撓性薄膜2を押圧するように、流動体押圧部材3が配置されている。また、前記支持部材1は、この押圧力に抗する面を有している。従って、可撓性薄膜2の弾性力及び流動体押圧部材3の押圧により、流動体8にはある程度の圧力が働いている。
【0202】
可撓性薄膜2は、図示されない導電性領域10を有しており、前記導電性領域10に対向するように対向電極7が配置されている。そして特に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータにおいては、前記対向電極7は支持部材1上に格子状に配置され、支持されている。なお、前記可撓性薄膜2の導電性領域10と前記支持部材1上の各対向電極7とは図示されない外部リード電極5に接続されることで、所望の電位を与えることが可能になっている。
【0203】
ここで、対向電極7と導電性領域10との間に電位差を与え、静電気力を作用させることで、可撓性薄膜2を介して流動体押圧部材3にかかる所定の方向における圧力分布を変化させ、流動体押圧部材3を可撓性薄膜2に対し所望の方向に相対移動させることができる。
【0204】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの動作について説明する。
【0205】
流動体押圧部材3を移動させる所望の方向に対して、流動体押圧部材3の最近傍に位置する対向電極7またはその隣の対向電極7に対して電圧を印加する。このとき対向電極7と導電性領域10間の電位差により発生した静電引力により、可撓性薄膜2が支持部材1側に引き付けられる。この事により、流動体押圧部材3近傍で流動体8に圧力の分布の変化(圧力の偏り)が生じる。結果的に、流動体8が可撓性薄膜2を介して流動体押圧部材3を押す事になり、流動体押圧部材3が移動し、圧力の均衡が取れた位置で移動が停止する。
【0206】
本実施の形態においては、流動体押圧部材3にかかる圧力の分布の変化が生じない(圧力の偏りがない)場所は、流動体押圧部材3が電圧を印加した対向電極7上へ移動した時である。よって、時系列的かつ選択的に前記対向電極7に導電性領域10との間で電位差を与える事で、流動体押圧部材3を所望の方向に移動する事が出来る。
【0207】
以上、本発明の実施の形態として第1乃至第14の実施の形態及び第19の実施の形態では圧力分布を変化させる圧力分布変化手段として静電気力を用いた圧力分布変化手段、第15の実施の形態乃至第18の実施の形態ではその他様々な圧力変化手段を例に挙げて説明をした。しかしながら、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や組み合わせ、応用が可能なことは勿論である。
【0208】
(付記)
前記の具体的実施の形態から、以下のような構成の発明を抽出することができる。
【0209】
(1) 流動体に満たされる閉じた空間と、
前記空間を囲む壁面の少なくとも一部を成す可撓性部材と、
前記可撓性部材を介して前記流動体を部分的に押圧するとともに、所定の可動範囲を移動する流動体押圧手段と、
前記可撓性部材を介して前記流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させる圧力分布変化手段と、
を有し、
前記圧力分布変化手段によって前記圧力分布を変化させることで、前記流動体押圧手段を前記可撓性部材に対して所望の方向に相対移動させることを特徴とするアクチュエータ。
【0210】
(対応する実施の形態)
この(1)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1乃至第19の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(1)に記載のアクチュエータは、圧力分布変化手段によって、可撓性部材を介して流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させることで、流動体押圧手段を可撓性部材に対して所望の方向に相対移動させる。
従って、この(1)に記載のアクチュエータによれば、可撓性部材を介して流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布の変化により流動体押圧手段の推進力を得る事が出来るので、より低電圧で、推進力の大きなアクチュエータを提供する事が出来る。
【0211】
(2) 前記流動体が、粉体または粒体であることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0212】
(対応する実施の形態)
この(2)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(2)に記載のアクチュエータは、流動体として粉体または粒体を用いている。
従って、この(2)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段の静止状態において、粉体または粒体が持つ粘性により、流動体押圧手段をその場に保持できる。
【0213】
(3) 前記流動体が、気体または液体であることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0214】
(対応する実施の形態)
この(3)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(3)に記載のアクチュエータは、流動体として気体または液体を用いている。
従って、この(3)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段の静止状態において、気体または液体が持つ粘性により、流動体押圧手段をその場に保持できる。
【0215】
(4) 前記流動体が、液体と粒体との混合物であることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0216】
(対応する実施の形態)
この(4)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3及び第8の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(4)に記載のアクチュエータは、流動体として液体と粒体との混合物を用いている。
従って、この(4)に記載のアクチュエータによれば、保持性能と駆動性能を考慮した粘性の流動体により、所望の性能のアクチュエータとすることができる。
【0217】
(5) 前記流動体押圧手段の、該流動体押圧手段の移動方向と押圧方向とで定義される平面と平行な断面が楕円弧部を有し、
前記楕円弧部と前記可撓性部材とが接触していることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0218】
(対応する実施の形態)
この(5)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第9の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(5)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段をその断面形状を楕円として形成し、その楕円の楕円弧部と可撓性部材とが接触するようにしている。
従って、この(5)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段と可撓性部材の摩擦が低減する。さらに、可撓性薄膜が流動体押圧手段を押圧する力の進行方向成分が増大する。よって、流動体押圧手段を容易に移動する事が出来、強いては、消費電力は低減され、流動体押圧手段の移動速度は向上する。
【0219】
(6) 前記流動体押圧手段の、該流動体押圧手段の移動方向と押圧方向とで定義される平面と平行な断面が円であることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0220】
(対応する実施の形態)
この(6)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第9の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(6)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段をその断面形状を円として形成し、その円の円弧部と可撓性部材とが接触するようにしている。
従って、この(6)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段と可撓性部材の摩擦が低減する。さらに、可撓性薄膜が流動体押圧手段を押圧する力の進行方向成分が増大する。よって、流動体押圧手段を容易に移動する事が出来、強いては、消費電力は低減され、流動体押圧手段の移動速度は向上する。また、流動体押圧手段が、滑りまたは回転のどちらで移動しても構わなくなる。
【0221】
(7) 前記圧力分布変化手段は、前記可撓性部材を変形させることで前記圧力分布を変化させることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0222】
(対応する実施の形態)
この(7)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(7)に記載のアクチュエータは、可撓性部材を変形させることで圧力分布を変化させ、流動体押圧手段を可撓性部材に対して所望の方向に相対移動させる。
従って、この(7)に記載のアクチュエータによれば、可撓性薄膜の変形により流動体押圧手段の推進力を得る事が出来るので、より低電圧で、推進力の大きなアクチュエータを提供する事が出来る。
【0223】
(8) 前記流動体押圧手段は、前記空間を少なくとも第1の空間と第2の空間に分割することを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0224】
(対応する実施の形態)
この(8)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(8)に記載のアクチュエータは、流動体に満たされる閉じた空間を、流動体押圧手段によって少なくとも2つの空間に分割している。
従って、この(8)に記載のアクチュエータによれば、圧力分布変化手段は、1つの空間に圧力変化を生じさせることでも、流動体押圧手段にかかる圧力の分布の変化を生じさせることが出来る。
【0225】
(9) 前記圧力分布変化手段は、前記可撓性部材を変形させることで前記第1または第2の空間の体積を変化させることを特徴とする(8)に記載のアクチュエータ。
【0226】
(対応する実施の形態)
この(9)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(9)に記載のアクチュエータは、可撓性部材を変形させることで第1または第2の空間の体積を変化させる。
従って、この(9)に記載のアクチュエータによれば、可撓性部材を変形させることで圧力分布の変化を1つの空間に生じさせることが出来る。
【0227】
(10) 静電気力を用いて、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする(7)または(9)に記載のアクチュエータ。
【0228】
(対応する実施の形態)
この(10)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(10)に記載のアクチュエータは、静電気力を用いて可撓性部材を変形させる。
従って、この(10)に記載のアクチュエータによれば、静電気力により駆動力を得るため、小型で、低消費電力なアクチュエータを提供できる。
【0229】
(11) 磁気力を用いて、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする(7)または(9)に記載のアクチュエータ。
【0230】
(対応する実施の形態)
この(11)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第16の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(11)に記載のアクチュエータは、磁気力を用いて可撓性部材を変形させる。
従って、この(11)に記載のアクチュエータによれば、磁気力により駆動力を得ることが出来る。
【0231】
(12) 前記圧力分布変化手段は、前記第1または第2の空間内に存在する流動体の体積を変化させることを特徴とする(8)に記載のアクチュエータ。
【0232】
(対応する実施の形態)
この(12)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第15の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(12)に記載のアクチュエータは、第1または第2の空間内に存在する流動体の体積を変化させる。
従って、この(12)に記載のアクチュエータによれば、流動体の体積を変化させることで圧力分布の変化を1つの空間に生じさせることが出来る。
【0233】
(13) 前記第1または第2の空間内に流動体を導入または排出することで、前記流動体の体積を変化させることを特徴とする(12)に記載のアクチュエータ。
【0234】
(対応する実施の形態)
この(13)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第15の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(13)に記載のアクチュエータは、第1または第2の空間内に流動体を導入または排出することで、その空間内の流動体の体積を変化させる。
従って、この(13)に記載のアクチュエータによれば、第1または第2の空間内の流動体の体積を容易に変化させることができる。
【0235】
(14) 前記第1または第2の空間内の流動体を加熱または冷却することで、前記流動体の体積を変化させることを特徴とする(12)に記載のアクチュエータ。
【0236】
(対応する実施の形態)
この(14)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第18の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(14)に記載のアクチュエータは、第1または第2の空間内の流動体を加熱または冷却することで、その空間内の流動体の体積を変化させる。
従って、この(14)に記載のアクチュエータによれば、第1または第2の空間内の流動体の体積を容易に変化させることができる。
【0237】
(15) 前記第1の空間と前記第2の空間とを結ぶように形成された流路をさらに有することを特徴とする(8)に記載のアクチュエータ。
【0238】
(対応する実施の形態)
この(15)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第4乃至第6の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(15)に記載のアクチュエータは、第1の空間と前記第2の空間とを結ぶように流路を形成とている。
従って、この(15)に記載のアクチュエータによれば、流動体が流路を通って流動させる事により、圧力分布をより変化させることが出来、流動体押圧手段の推進力を効率的に得る事が出来る。
【0239】
(16) 前記可撓性部材は導電領域を有しており、
前記導電領域と対向するように配置された対向電極をさらに有し、
前記導電領域と前記対向電極との間に電位差を与えることにより、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする(10)に記載のアクチュエータ。
【0240】
(対応する実施の形態)
この(16)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(16)に記載のアクチュエータは、可撓性部材が有する導電領域と、それに対向するように配置された対向電極と、の間に電位差を与えることにより、可撓性部材を変形させる。
従って、この(16)に記載のアクチュエータによれば、容易に可撓性部材を変形できる。
【0241】
(17) 前記流動体は、誘電体であることを特徴とする(16)に記載のアクチュエータ。
【0242】
(対応する実施の形態)
この(17)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(17)に記載のアクチュエータは、流動体として誘電体を用いる。
従って、この(17)に記載のアクチュエータによれば、流動体を誘電体とすることで、対向電極と導電領域との間に同じ電位差を与えても、静電引力は増加する。よって、対向電極と導電領域に与える電位差を基準とした場合、可撓性部材を変形させる力が増加し、また、可撓性部材を変形させる力を基準とした場合、対向電極と導電領域に与える電位差を小さくする事が出来る。
【0243】
(18) 前記導電領域または前記対向電極の表面に形成された絶縁体をさらに有することを特徴とする(16)に記載のアクチュエータ。
【0244】
(対応する実施の形態)
この(18)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(18)に記載のアクチュエータは、導電領域または対向電極の表面に絶縁体を形成している。
従って、この(18)に記載のアクチュエータによれば、可撓性部材が変形した際に導電領域と対向電極とが接触するような場合でも、その間に絶縁体が介在するので、ショートが起こることがない。
【0245】
(19) 前記導電領域が複数存在することをさらに特徴とする(16)に記載のアクチュエータ。
【0246】
(対応する実施の形態)
この(19)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(19)に記載のアクチュエータは、導電領域を複数設けている。
従って、この(19)に記載のアクチュエータによれば、複数の位置で選択的に可撓性部材を変形させることが出来るようになる。
【0247】
(20) 前記対向電極が複数存在することをさらに特徴とする(16)に記載のアクチュエータ。
【0248】
(対応する実施の形態)
この(20)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(20)に記載のアクチュエータは、対向電極を複数設けている。
従って、この(20)に記載のアクチュエータによれば、複数の位置で選択的に可撓性部材を変形させることが出来るようになる。
【0249】
(21) 前記流動体押圧手段に抗する面を有する支持部材をさらに有し、
前記対向電極は前記支持部材に支持されていることを特徴とする(16)または(20)に記載のアクチュエータ。
【0250】
(対応する実施の形態)
この(21)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(21)に記載のアクチュエータは、対向電極を、流動体押圧手段に抗する面を有する支持部材によって支持している。
従って、この(21)に記載のアクチュエータによれば、支持部材によって対向電極を支持するようにしているので、対向電極の位置を精度良く固定できる。
【0251】
(22) 前記複数の導電領域を1つ以上の導電領域からなる複数の群に分け、各群の導電領域と対向電極との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、前記流動体押圧手段を移動することを特徴とする(19)に記載のアクチュエータ。
【0252】
(対応する実施の形態)
この(22)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第13の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(22)に記載のアクチュエータは、複数の導電領域を1つ以上の導電領域からなる複数の群に分け、各群の導電領域と対向電極との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、流動体押圧手段を移動するようにしている。
従って、この(22)に記載のアクチュエータによれば、各群の導電領域に接続する配線およびリード電極と対向電極間に与える電位差を順次切り替える機構が共通となる。よって、省スペース、小型化が可能となり、さらに制御機構が簡単になる。
【0253】
(23) 前記複数の対向電極を1つ以上の対向電極からなる複数の群に分け、各群の対向電極と導電領域との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、前記流動体押圧手段を移動することを特徴とする(20)に記載のアクチュエータ。
【0254】
(対応する実施の形態)
この(23)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第13の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(23)に記載のアクチュエータは、複数の対向電極を1つ以上の対向電極からなる複数の群に分け、各群の対向電極と導電領域との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、流動体押圧手段を移動するようにしている。
従って、この(23)に記載のアクチュエータによれば、各群の対向電極に接続する配線およびリード電極と導電領域間に与える電位差を順次切り替える機構が共通となる。よって、省スペース、小型化が可能となり、さらに制御機構が簡単になる。
【0255】
(24) 前記流動体押圧手段の位置検出用電極をさらに有することを特徴とする(22)または(23)に記載のアクチュエータ。
【0256】
(対応する実施の形態)
この(24)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第13の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(24)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段の位置検出用電極をさらに設けている。
従って、この(24)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段を駆動する最初の動作として、流動体押圧手段を駆動しつつ位置検出用電極と導電領域間の静電容量を測定し、流動体押圧手段を位置検出電極上に移動する事により、流動体押圧手段の初期位置を設定する事が出来る。また、流動体押圧手段が駆動したステップ量を積算することで、流動体押圧手段の位置を検出することが出来る。
【0257】
(25) 前記流動体押圧手段を複数有し、各々の流動体押圧手段を互いに独立に移動することを特徴とする(19)または(20)に記載のアクチュエータ。
【0258】
(対応する実施の形態)
この(25)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第10の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(25)に記載のアクチュエータは、複数の流動体押圧手段をそれぞれ互いに独立に移動する。
【0259】
従って、この(25)に記載のアクチュエータによれば、独立制御可能な流動体押圧手段が複数になり、アクチュエータの応用範囲が広がる。
【0260】
(26) 前記複数の流動体押圧手段各々の可動範囲を分割したことを特徴とする(25)に記載のアクチュエータ。
【0261】
(対応する実施の形態)
この(26)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第11及び第12の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(26)に記載のアクチュエータは、複数の流動体押圧手段各々の可動範囲が重ならないようにしている。
従って、この(26)に記載のアクチュエータによれば、複数の流動体押圧手段が接近または接触して離す事が出来なくなるようなことがない。
【0262】
(27) 前記対向電極と前記導電領域との間の静電容量を測定することにより、前記流動体押圧手段の位置を検出することを特徴とする(19)または(20)に記載のアクチュエータ。
【0263】
(対応する実施の形態)
この(27)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
流動体押圧手段が存在する場所は、可撓性部材が対向電極と近接している為、対向電極と導電領域間の静電容量が、他の場所に比べて大きな値となる。よって、この(27)に記載のアクチュエータは、対向電極と導電領域との間の静電容量を測定することにより、流動体押圧手段の位置を検出する。
従って、この(27)に記載のアクチュエータによれば、複数の対向電極に対して、順次各対向電極と導電領域との静電容量を比較する事で、流動体押圧手段の位置を検出する事が出来る。
【0264】
(28) 前記複数の導電領域のうち、前記流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に、一番目に前記対向電極との間の電位差を与えることを特徴とする(19)に記載のアクチュエータ。
【0265】
(対応する実施の形態)
この(28)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(28)に記載のアクチュエータは、複数の導電領域のうち、流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に、一番目に対向電極との間の電位差を与える。
従って、この(28)に記載のアクチュエータによれば、対向電極との電位差を与える導電領域を、流動体押圧手段に近い側から順次走査することで、それに対応して可撓性部材に順次形状変化を起させることが出来、よって、流動体押圧手段を移動させることが出来る。
【0266】
(29) 前記流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に与えられる電位差は、少なくとも当該導電領域が静電引力によって変形する電位差以上であり、前記複数の導電領域のうち対向電極と最も離れた部分が変形する電位差未満であることを特徴とする(28)に記載のアクチュエータ。
【0267】
(対応する実施の形態)
この(29)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1及び第13の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(29)に記載のアクチュエータは、導電領域に与える電位差として、流動体押圧手段と最も離れた導電領域と対向電極とが吸着してしまうような電位差未満としてある。
従って、この(29)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段が存在する近傍のみの可撓性薄膜が対向電極側に張り付き、その領域以外の可撓性薄膜は対向電極に張り付くことはなく、よって、不必要な可撓性薄膜の変形が無くなり、安定して流動体押圧手段を移動する事が出来る。
【0268】
(30) 前記複数の対向電極のうち、前記流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に、一番目に前記導電領域との間の電位差を与えることを特徴とする(20)に記載のアクチュエータ。
【0269】
(対応する実施の形態)
この(30)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(30)に記載のアクチュエータは、複数の対向電極のうち、流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に、一番目に誘導領域との間の電位差を与える。
従って、この(30)に記載のアクチュエータによれば、誘導領域との電位差を与える対向電極を、流動体押圧手段に近い側から順次走査することで、それに対応して可撓性部材に順次形状変化を起させることが出来、よって、流動体押圧手段を移動させることが出来る。
【0270】
(31) 前記流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に与えられる電位差は、少なくとも前記導電領域の当該対向電極に対向する部分が静電引力によって変形する電位差以上であり、前記導電領域のうち当該対向電極と最も離れた部分が変形する電位差未満であることを特徴とする(30)に記載のアクチュエータ。
【0271】
(対応する実施の形態)
この(31)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1及び第13の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(31)に記載のアクチュエータは、対向電極に与える電位差として、流動体押圧手段と最も離れた対向電極と導電領域とが吸着してしまうような電位差未満としてある。
従って、この(31)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段が存在する近傍のみの可撓性薄膜が導電領域側に張り付き、その領域以外の可撓性薄膜は導電領域に張り付くことはなく、よって、不必要な可撓性薄膜の変形が無くなり、安定して流動体押圧手段を移動する事が出来る。
【0272】
(32) 前記流動体押圧手段の移動可能な方向に延びて配置され、該流動体押圧手段を支持する枠をさらに有することを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0273】
(対応する実施の形態)
この(32)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(32)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段の移動可能な方向に延びて配置された枠によって、流動体押圧手段を支持する。
従って、この(32)に記載のアクチュエータによれば、枠によって、流動体押圧手段の所定の方向以外への移動を規制することができる。
【0274】
(33) 前記流動体押圧手段に抗する面を有する第1の支持部材と、
前記抗する面とともに前記流動体押圧手段を挟むように配置され、該抗する面との相対位置が固定されている第2の支持部材と、
をさらに有することを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0275】
(対応する実施の形態)
この(33)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(33)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段に抗する面を有する第1の支持部材と、該抗する面との相対位置が固定されている第2の支持部材とで、流動体押圧手段を挟みこんでいる。
【0276】
従って、この(33)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段の所定の方向以外への移動を規制することができ、また、流動体押圧手段の押圧力を自重や重力の方向に関係なく確保することが出来る。
【0277】
(34) 前記可撓性部材は少なくとも一部が磁性体で構成されており、
前記磁性体に磁気力を及ぼすように配置された電磁石をさらに有し、
前記電磁石によって前記磁性体に磁気力を及ぼすことにより、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする(11)に記載のアクチュエータ。
【0278】
(対応する実施の形態)
この(34)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第16の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(34)に記載のアクチュエータは、可撓性部材の少なくとも一部を磁性体で構成し、電磁石によってその磁性体に磁気力を及ぼすことにより、可撓性部材を変形させる。
従って、この(34)に記載のアクチュエータによれば、磁気力によって駆動力を得ることが出来、所望の方向に流動体押圧手段を移動させる事が出来る。
【0279】
(35) 前記流動体は磁性流体であり、
前記磁性流体に磁気力を及ぼすように配置された電磁石をさらに有し、
前記電磁石から磁気力を発生し、磁性流体に分布を生じさせることで、前記可撓性部材を介して前記流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0280】
(対応する実施の形態)
この(35)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第17の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(35)に記載のアクチュエータは、流動体として磁性流体を用い、電磁石から磁気力を発生してその磁性流体に分布を生じさせることで、可撓性部材を介して流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させる。
従って、この(35)に記載のアクチュエータによれば、磁性を持たせる電磁石の位置および磁力により流動体押圧手段の位置を制御する事が出来る。
【0281】
(36) 前記流動体押圧手段は、前記流動体押圧手段に抗する面の法線方向において、前記空間の長さより長いことを特徴とする(33)に記載のアクチュエータ。
【0282】
(対応する実施の形態)
この(36)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(36)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段の、前記流動体押圧手段に抗する面の法線方向における長さを、前記空間の長さの該方向における長さより長くしている。
従って、この(36)に記載のアクチュエータによれば、第2の支持部材と可撓性部材との間の距離を取ることが出来るので、第2の支持部材と可撓性部材の接触することで、圧力の分布に対する影響を与えたり、可撓性部材の変形を妨げたりするようなことが無い。
【0283】
(37) 前記複数の導電領域は、前記流動体押圧手段の移動方向において、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さを有することを特徴とする(19)に記載のアクチュエータ。
【0284】
(対応する実施の形態)
この(37)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(37)に記載のアクチュエータは、複数の導電領域の前記流動体押圧手段の移動方向における長さを、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さとしている。
従って、この(37)に記載のアクチュエータによれば、所望の最小制御距離を持ちながら、より大きな導電領域でアクチュエータを駆動することが出来るので、導電領域が作成し易い。
【0285】
(38) 前記複数の対向電極は、前記流動体押圧手段の移動方向において、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さを有することを特徴とする(20)に記載のアクチュエータ。
【0286】
(対応する実施の形態)
この(38)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(38)に記載のアクチュエータは、複数の対向電極の前記流動体押圧手段の移動方向における長さを、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さとしている。
従って、この(38)に記載のアクチュエータによれば、所望の最小制御距離を持ちながら、より大きな対向電極でアクチュエータを駆動することが出来るので、対向電極が作成し易い。
【0287】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、可撓性薄膜の変形と共に、流動体の移動を利用する事で、より低電圧で、推進力の大きなアクチュエータを提供する事ができると共に超小型アクチュエータに求められる機能を全てあわせ持つアクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための斜視図であり、(B)は(A)のA面における断面図である。
【図2】(A)は本発明の第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための斜視図であり、(B)は(A)のA面における断面図である。
【図3】第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの作成手順を説明するための図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図である。
【図7】本発明の第7の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図である。
【図8】本発明の第8の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図9】本発明の第9の実施の形態を説明するための可撓性薄膜、流動体押圧部材、及び支持部材を示す図であり、特に、流動体押圧部材の、移動方向と押圧方向で定義される平面と平行な断面形状が、(A)は楕円の場合、(B)は円の場合、(C)は四角形の場合をそれぞれ示している。
【図10】本発明の第10の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図11】(A)は本発明の第11の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図であり、(B)は本発明の第12の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図12】本発明の第13の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための支持部材の平面図である。
【図13】本発明の第14の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための支持部材の平面図である。
【図14】(A)は本発明の第15の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図であり、(B)は変形例を示す図である。
【図15】本発明の第16の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図16】本発明の第17の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図17】本発明の第18の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図18】本発明の第19の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図である。
【図19】従来の静電アクチュエータの構成を示す図である。
【符号の説明】
1…支持部材、 2…可撓性薄膜、 2M…磁性体膜、 3,3−1,3−2…流動体押圧部材、 4…支持部材、 5,5−A,5−B,5−C,5α−A,5α−B,5α−C,5β−A,5β−B,5β−C…外部リード電極、 6…枠材、 7,7−1〜7−13,7−n−2,7−n−1,7−n,7α−1〜7α−3,7α−n−2,7α−n−1,7α−n,7β−1〜7β−3,7β−n−2,7β−n−1,7β−n…対向電極、 8…流動体、 8M…磁性流体、 9…絶縁膜、 10…導電性領域、 11…接合部材、 12…穴、13…封止材、 14…流路、 15…突起、 17,17α,17β…位置検出用電極、 22…突起、 23…ビーズ、 31…双方向ポンプ、 32…単方向ポンプ、 33…電磁石、 34…ヒーター。
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電気力等により可撓性薄膜の形状を変形させる事で推進力を得るアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
小型の携帯機器が普及し、さらに携帯機器に自動駆動部品を搭載する要望が高まるに連れ、小型且つ低消費電力のアクチュエータが望まれている。これに伴い、従来の電磁式アクチュエータに変えて静電式アクチュエータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。静電式アクチュエータは、比較的簡単な構成で、静電気力により駆動力と得る為、小型化、低消費電力化に向いている。
【0003】
特許文献1に開示されている静電アクチュエータについて図19を用いて説明する。
【0004】
この静電アクチュエータは、複数の電極103−1〜103−10が配列された固定子101と、この固定子101上に載置された可撓性の誘電体110と、各電極103−1〜103−10への電圧印加を走査する電源走査手段(105−1〜105−10、106)、例えば各電極103−1〜103−10に各スイッチ105−1〜105−10を介して電源106を接続したものを備え、固定子101に配列された各電極103−1〜103−10に対して各スイッチ105−1〜105−10をオン状態として電圧印加を走査する。このとき誘電体110は、電圧の印加による静電力によって電極に吸引され、電圧印加がなくなると誘電体110の弾性力により電極103−1〜103−10から剥離する。従って、誘電体110の剥離した部分は電圧印加の走査に応じて移動する。そして、この誘電体110の剥離した部分上に移動体112を配置しておけば、その移動体112を移動することができる。
【0005】
また、一般的に小型静電アクチュエータに求められる機能として、移動体(移動子)の位置保持能力があること、移動体の移動速度を任意に調整出来ること、複数の移動体を独立に駆動できること、移動体の位置検知手段を備えること、消費電力が小さいこと等が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−276766号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような静電アクチュエータでは、可撓性薄膜の形状変化を移動体の推進力に変換する為、可撓性薄膜はある程度の弾性力を持たなければならない。移動体の重量が増すとこの弾性力も増す事になる。つまり、この弾性力を上回る静電気力を発生させ、可撓性薄膜の形状を変化しなければならない。その為、ある程度の推進力を得る為には、比較的高電圧を印加しなければならない。
【0008】
また、このような静電アクチュエータでは、電圧を印加していない状態での可撓性薄膜の形状を規定する事が出来ず、不安定な状態となる。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、可撓性薄膜の変形と共に、流動体の移動を利用する事で、より低電圧で、推進力の大きなアクチュエータを提供する事ができると共に上記超小型アクチュエータに求められる機能を全てあわせ持つアクチュエータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明によるアクチュエータは、
流動体に満たされる閉じた空間と、
前記空間を囲む壁面の少なくとも一部を成す可撓性部材と、
前記可撓性部材を介して前記流動体を部分的に押圧するとともに、所定の可動範囲を移動する流動体押圧手段と、
前記可撓性部材を介して前記流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させる圧力分布変化手段と、
を有し、
前記圧力分布変化手段によって前記圧力分布を変化させることで、前記流動体押圧手段を前記可撓性部材に対して所望の方向に相対移動させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体が、粉体または粒体であることを特徴とする。
【0012】
また、請求3項に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体が、気体または液体であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体が、液体と粒体との混合物であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記流動体押圧手段の、該流動体押圧手段の移動方向と押圧方向とで定義される平面と平行な断面が楕円弧部を有し、
前記楕円弧部と前記可撓性部材とが接触していることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段の、該流動体押圧手段の移動方向と押圧方向とで定義される平面と平行な断面が円であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記圧力分布変化手段は、前記可撓性部材を変形させることで前記圧力分布を変化させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項8に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段は、前記空間を少なくとも第1の空間と第2の空間に分割することを特徴とする。
【0018】
また、請求項9に記載の発明によるアクチュエータは、請求項8に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記圧力分布変化手段は、前記可撓性部材を変形させることで前記第1または第2の空間の体積を変化させることを特徴とする。
【0019】
また、請求項10に記載の発明によるアクチュエータは、請求項7または9に記載の発明によるアクチュエータにおいて、静電気力を用いて、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする。
【0020】
また、請求項11に記載の発明によるアクチュエータは、請求項7または9に記載の発明によるアクチュエータにおいて、磁気力を用いて、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする。
【0021】
また、請求項12に記載の発明によるアクチュエータは、請求項8に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記圧力分布変化手段は、前記第1または第2の空間内に存在する流動体の体積を変化させることを特徴とする。
【0022】
また、請求項13に記載の発明によるアクチュエータは、請求項12に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記第1または第2の空間内に流動体を導入または排出することで、前記流動体の体積を変化させることを特徴とする。
【0023】
また、請求項14に記載の発明によるアクチュエータは、請求項12に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記第1または第2の空間内の流動体を加熱または冷却することで、前記流動体の体積を変化させることを特徴とする。
【0024】
また、請求項15に記載の発明によるアクチュエータは、請求項8に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記第1の空間と前記第2の空間とを結ぶように形成された流路をさらに有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項16に記載の発明によるアクチュエータは、請求項10に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記可撓性部材は導電領域を有しており、
前記導電領域と対向するように配置された対向電極をさらに有し、
前記導電領域と前記対向電極との間に電位差を与えることにより、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする。
【0026】
また、請求項17に記載の発明によるアクチュエータは、請求項16に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体は、誘電体であることを特徴とする。
【0027】
また、請求項18に記載の発明によるアクチュエータは、請求項16に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記導電領域または前記対向電極の表面に形成された絶縁体をさらに有することを特徴とする。
【0028】
また、請求項19に記載の発明によるアクチュエータは、請求項16に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記導電領域が複数存在することをさらに特徴とする。
【0029】
また、請求項20に記載の発明によるアクチュエータは、請求項16に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記対向電極が複数存在することをさらに特徴とする。
【0030】
また、請求項21に記載の発明によるアクチュエータは、請求項16または20に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記流動体押圧手段に抗する面を有する支持部材をさらに有し、
前記対向電極は前記支持部材に支持されていることを特徴とする。
【0031】
また、請求項22に記載の発明によるアクチュエータは、請求項19に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記複数の導電領域を1つ以上の導電領域からなる複数の群に分け、各群の導電領域と対向電極との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、前記流動体押圧手段を移動する。
【0032】
また、請求項23に記載の発明によるアクチュエータは、請求項20に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記複数の対向電極を1つ以上の対向電極からなる複数の群に分け、各群の対向電極と導電領域との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、前記流動体押圧手段を移動することを特徴とする。
【0033】
また、請求項24に記載の発明によるアクチュエータは、請求項22または23に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段の位置検出用電極をさらに有することを特徴とする。
【0034】
また、請求項25に記載の発明によるアクチュエータは、請求項19または20に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段を複数有し、各々の流動体押圧手段を互いに独立に移動することを特徴とする。
【0035】
また、請求項26に記載の発明によるアクチュエータは、請求項25に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記複数の流動体押圧手段各々の可動範囲を分割したことを特徴とする。
【0036】
また、請求項27に記載の発明によるアクチュエータは、請求項19に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記対向電極と前記導電領域との間の静電容量を測定することにより、前記流動体押圧手段の位置を検出することを特徴とする。
【0037】
また、請求項28に記載の発明によるアクチュエータは、請求項19に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記複数の導電領域のうち、前記流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に、一番目に前記対向電極との間の電位差を与えることを特徴とする。
【0038】
また、請求項29に記載の発明によるアクチュエータは、請求項28に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に与えられる電位差は、少なくとも当該導電領域が静電引力によって変形する電位差以上であり、前記複数の導電領域のうち対向電極と最も離れた部分が変形する電位差未満であることを特徴とする。
【0039】
また、請求項30に記載の発明によるアクチュエータは、請求項20に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記複数の対向電極のうち、前記流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に、一番目に前記導電領域との間の電位差を与えることを特徴とする。
【0040】
また、請求項31に記載の発明によるアクチュエータは、請求項30に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に与えられる電位差は、少なくとも前記導電領域の当該対向電極に対向する部分が静電引力によって変形する電位差以上であり、前記導電領域のうち当該対向電極と最も離れた部分が変形する電位差未満であることを特徴とする。
【0041】
また、請求項32に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、前記流動体押圧手段の移動可能な方向に延びて配置され、該流動体押圧手段を支持する枠をさらに有することを特徴とする。
【0042】
また、請求項33に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記流動体押圧手段に抗する面を有する第1の支持部材と、
前記抗する面とともに前記流動体押圧手段を挟むように配置され、該抗する面との相対位置が固定されている第2の支持部材と、
をさらに有することを特徴とする。
【0043】
また、請求項34に記載の発明によるアクチュエータは、請求項11に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記可撓性部材は少なくとも一部が磁性体で構成されており、
前記磁性体に磁気力を及ぼすように配置された電磁石をさらに有し、
前記電磁石によって前記磁性体に磁気力を及ぼすことにより、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする。
【0044】
また、請求項35に記載の発明によるアクチュエータは、請求項1に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記流動体は磁性流体であり、
前記磁性流体に磁気力を及ぼすように配置された電磁石をさらに有し、
前記電磁石から磁気力を発生し、磁性流体に分布を生じさせることで、前記可撓性部材を介して前記流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させることを特徴とする。
【0045】
また、請求項36に記載の発明によるアクチュエータは、請求項33に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記流動体押圧手段は、前記流動体押圧手段に抗する面の法線方向において、前記空間の長さより長いことを特徴とする。
【0046】
また、請求項37に記載の発明によるアクチュエータは、請求項19に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記複数の導電領域は、前記流動体押圧手段の移動方向において、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さを有することを特徴とする。
【0047】
また、請求項38に記載の発明によるアクチュエータは、請求項20に記載の発明によるアクチュエータにおいて、
前記複数の対向電極は、前記流動体押圧手段の移動方向において、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さを有することを特徴とする。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0049】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を、図1の(A)および(B)を用いて説明する。
【0050】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を図1の(A)および(B)を用いて説明する。尚、図1の(A)は、本発明の第1の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を示した斜視図である。また、図1の(B)は、図1の(A)のA面における断面図を示している。
【0051】
少なくとも壁面の一部が可撓性部材である可撓性薄膜2で形成される閉じた空間内には、流動体8が満たされている。さらに、前記可撓性薄膜2上には流動体押圧手段としての流動体押圧部材3が配置され、前記閉じた空間を第1の空間と第2の空間とに分割している。また、可撓性薄膜2の弾性力および流動体押圧部材3の押圧により、流動体8にはある程度の圧力が働いている。
【0052】
可撓性薄膜2は、薄膜自体が導電性を持つか、導電性を有する別の層が形成されているなどして、導電領域としての導電性領域10を有しており、前記導電性領域10に対向するように対向電極7−1〜7−6が配置されている。なお、前記導電性領域10と前記対向電極7−1〜7−6とは図示されない外部リード電極5に接続されることで、所望の電位を与えることが可能になっている。
【0053】
ここで、対向電極7−1〜7−6と導電性領域10との間に電位差を与え、静電気力を作用させ、前記可撓性薄膜2を変形させることで、可撓性薄膜2を介して流動体押圧部材3にかかる所定の方向における圧力分布を変化させ、流動体押圧部材3を移動体(移動子)として、可撓性薄膜2に対し所望の方向に相対移動させることができる。
【0054】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る流動体アクチュエータの基本動作原理を図1の(A)及び(B)を用いて説明する。
【0055】
始めに、アクチュエータデバイスの停止状態または流動体押圧部材3の静止状態について説明する。ここでの停止状態とは、電源が投入されていない状態を表し、静止状態とは、電源が投入されており、流動体押圧部材3を静止させておく状態を示す。
【0056】
デバイスの停止状態では、対向電極7−1〜7−6と導電性領域10間には、電位差は生じない。また、流動体押圧部材3の静止状態では、デバイスの停止状態と同様に、対向電極7−1〜7−6と導電性領域10間に電位差を生じさせない。この状態では、流動体押圧部材3は、可撓性薄膜2の剛性および流動体8の粘性により、その場に保持される。
【0057】
次に、流動体押圧部材3の駆動状態について説明する。
【0058】
流動体押圧部材3の駆動状態では、圧力分布変化手段として機能する図示しない駆動制御部により、複数の対向電極7−1〜7−6のうち、流動体押圧部材3に最隣接する電極またはその隣の電極と、導電性領域10間に電位差を与える。例えば、図1の(B)において、流動体押圧部材3を右方向に移動させる場合、複数の対向電極7−1〜7−6のうち、対向電極7−4と導電性領域10間に電位差を与える。ここで、流動体8が誘電性の物質(誘電体)であるとすると、電位差により対向電極7−4と導電性領域10間に静電引力が発生する。この静電気力により、流動体押圧部材3の右側の可撓性薄膜2が対向電極側に引き付けられる。この可撓性薄膜2の形状変化により、流動体押圧部材3の可動方向である所定の方向において、流動体押圧部材3にかかる圧力の分布の変化(圧力の偏り)が生じる。したがって、ここでは流動体押圧部材3は図の右方向、対向電極7−4上に移動へ移動する。引き続き、対向電極7−4と導電性領域10の電位差を無くし、対向電極7−5と導電性領域10間に電位差を与えると、同様にして、流動体押圧部材3は対向電極7−5上に移動する。この動作を繰り返す事で、流動体押圧部材3は右方向へ移動する。このとき、対向電極7と導電性領域10との間に与えられる電位差は、少なくとも流動体押圧部材3に最隣接する対向電極またはその隣の対向電極に対向する部分の導電性領域10が静電引力によって変形する電位差以上であり、導電性領域10の対向電極7と最も離れた部分が変形する電位差未満である。
【0059】
また、流動体8は図示しない流路を通って、流動体押圧部材3により分割された第1の空間と第2の空間との間で移動可能になっていても良い。
【0060】
このような流路を設けることで、流動体押圧部村3が移動した結果として生じる流動体押圧部材3の移動した方向に存在する空間内の圧力の上昇を回避することができ、可撓性薄膜2を変形させために要求される力、導電性領域10と対向電極7−1〜7−6とに与えるべき電位差を一定に保つことが出来る。
【0061】
また、流動体押圧部材3の下の可撓性薄膜2と図示しない壁面との間に、流動体8が移動可能な微細な隙間が生じるように構成することで、流路を設けるようにしても良い。
【0062】
同様に、流動体押圧部材3を左方向に移動させる場合には、対向電極7−3、対向電極7−2と順次、導電性領域10との電位差を走査して行けば良い。尚、この静電引力は、流動体8の誘電率に比例するので、流動体8に誘電体、より望ましくは誘電率が真空より高い流動体を用いる事により、より大きな静電引力が発生する。
【0063】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る流動体アクチュエータの流動体押圧部材3の位置検出方法を図1の(B)を用いて説明する。
【0064】
各対向電極7−1〜7−6の縦及び横の長さに対して、各対向電極7−1〜7−6と導電性領域10間の距離が十分に短いとすると、この間の静電容量は、各対向電極7−1〜7−6の面積に比例し、各対向電極7−1〜7−6と導電性領域10の間の距離に反比例する。そこで、各対向電極7−1〜7−6の面積を全て等しくすると、静電容量は、各対向電極7−1〜7−6と導電性領域10間の距離に依存する事になる。そこで、図1の(B)の状態で、各対向電極7−1〜7−6と導電性領域10の静電容量を比較すると、各対向電極7−1、7−2、7−5、7−6に於ける静電容量はほぼ等しく、対向電極7−4に於ける静電容量は前記各対向電極7−1、7−2、7−5、7−6の静電容量よりも多少大きくなり、対向電極7−3に於ける静電容量は全ての対向電極7−1〜7−6の中で最も大きくなる。つまり、最も静電容量の大きい電極の近傍に流動体押圧部材3が存在する事になるので、複数の対向電極7−1〜7−6のそれぞれと導電性領域10間の静電容量を計測する事により、流動体押圧部材3の位置を検出する事が出来る。さらに言えば、隣接する2つの対向電極、ここでは対向電極7−3と7−4の静電容量の比に基づいて、より厳密に流動体押圧部材3の位置を検出することが可能になる。
【0065】
なお、対向電極7−1〜7−6は、所望の圧力分布の変化を生じさせることができれば、どこに配置されていてもよく、必ずしも複数存在していなくても良い。また、導電性領域10が複数存在していてもよい。導電性領域10または対向電極7−1〜7−6のいずれか一方の表面に、絶縁膜が形成されていても良い。
【0066】
また、複数の導電性領域または対向電極は、流動体押圧部材3の移動方向における長さが、流動体押圧部材3の所望の最小制御距離以上かつ流動体押圧部材3の該方向における長さ未満の長さであることが望ましい。ここで、最小制御距離とは、流動体押圧部材の制御可能な最小の移動距離である。
【0067】
さらに、流動体押圧部材3による押圧は、図1の(B)のような形態に限定されず、例えば、図の上下から閉じた空間を挟み込むように押圧するようにしても良い。
【0068】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を、図1の(A)および(B)を用いて説明する。本実施の形態は本発明の第1の実施の形態と全く同様の装置構成を有し、電位差を与える方法が異なる。
【0069】
即ち、図1の(B)において、流動体押圧部材3を右方向に移動させる場合、複数の対向電極7−1〜7−6のうち、最初に対向電極7−1と導電性領域10間に電位差を与える。
【0070】
すると、静電気力によって、可撓性薄膜2の導電性領域10が対向電極7−1に引き付けられる。この可撓性薄膜2の形状変化により、図の左側の空間の体積が変化(ここでは減少)し、当該空間内の流動体8の圧力が増加する。したがって、流動体押圧部材3の可動方向である所定の方向において、流動体押圧部材3にかかる圧力分布の変化(圧力の偏り)が生じる。ここでは、流動体押圧部材3は図の右方向、対向電極7−4上に移動へ移動する。このようにして、可撓性薄膜2を介して、流動体押圧部材3にかかる圧力の分布を変化させることで、流動体押圧部材3を可撓性薄膜2に対して所望の方向に移動させることができる。
【0071】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態を、図2の(A)乃至図3の(D)を用いて説明する。尚、第1の実施の形態に示す部分と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。以降の実施の形態についても同様とする。
【0072】
まず、本発明の第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を図2の(A)および(B)を用いて説明する。尚、図2の(A)は、本発明の第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を示した斜視図である。また、図2の(B)は図2の(A)のA面における断面図を示している。
【0073】
第1の支持部材としての支持部材1と可撓性薄膜2とで形成される閉じた空間には、流動体8が満たされている。さらに、前記可撓性薄膜2上には流動体押圧部材3が配置され、前記閉じた空間を第1の空間と第2の空間とに分割している。また、可撓性薄膜2の弾性力および流動体押圧部材3の押圧により、流動体8にはある程度の圧力が働いている。
【0074】
可撓性薄膜2は、導電性領域10を有しており、前記導電性領域10に対向するように対向電極7−1〜7−6が配置されている。支持部材1は、前記流動体押圧部材3に抗する面を有しており、対向電極7−1〜7−6を支持している。また、第2の支持部材としての支持部材4が、前記支持部材1との相対位置を固定され、前記支持部材1の流動体押圧部材3に抗する面とともに前記流動体押圧部材3を挟むように配置されている。さらに、枠としての枠材6が流動体押圧部材3の移動可能な方向に延びて配置され、流動体押圧部材3を支持している。
【0075】
これら、支持部材4と枠材6とは、流動体押圧部材3の所定の方向以外への移動を規制している。
【0076】
また、前記導電性領域10と前記対向電極7−1〜7−6とは外部リード電極5に図示されない配線によって接続されることで、所望の電位を与えることが可能になっている。
【0077】
ここで、対向電極7と導電性領域10との間に電位差を与え、静電気力を作用させ前記可撓性薄膜2を変形させることで、可撓性薄膜2を介して流動体押圧部材3にかかる所定の方向における圧力分布を変化させ、流動体押圧部材3を可撓性薄膜2に対し所望の方向に相対移動させることができる。
【0078】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの基本動作原理を図2の(B)を用いて説明する。
【0079】
始めに、アクチュエータデバイスの停止状態または流動体押圧部材3の静止状態について説明する。ここでの停止状態とは、電源が投入されていない状態を表し、静止状態とは、電源が投入されており、流動体押圧部材3を静止させておく状態を示す。
【0080】
デバイスの停止状態では、対向電極7と導電性領域10間には、電位差は生じない。また、流動体押圧部材3の静止状態では、デバイスの停止状態と同様に、対向電極7と導電性領域10間に電位差を生じさせない。この状態では、流動体押圧部材3は、可撓性薄膜2の剛性および流動体8の粘性により、その場に保持される。
【0081】
次に、流動体押圧部材3の駆動状態について説明する。
【0082】
流動体押圧部材3の駆動状態では、複数の対向電極7−1〜7−6のうち、流動体押圧部材3に最隣接する対向電極またはその隣の対向電極と、導電性領域10間に電位差を与える。例えば、図2の(B)において、流動体押圧部材3を右方向に移動させる場合、複数の対向電極7−1〜7−6のうち、対向電極7−4と導電性領域10間に電位差を与える。ここで、流動体8が誘電性の物質であるとすると、電位差により対向電極7−4と導電性領域10間に静電引力が発生する。この静電気力により、可撓性薄膜2の流動体押圧部材3の右側部分が支持部材1側に引き付けられる。この可撓性薄膜2の形状変化により、流動体押圧部材3の可動方向である所定の方向において、流動体押圧部材3にかかる圧力の分布の変化(圧力の偏り)が生じる。この圧力の分布により、ここでは、流動体押圧部材3は図の右方向、即ち対向電極7−4上へ移動する。引き続き、対向電極7−4と導電性領域10の電位差を無くし、対向電極7−5と導電性領域10間に電位差を与えると、同様にして、流動体押圧部材3は対向電極7−5上に移動する。従って、この動作を繰り返す事で、流動体押圧部材3は右方向へ順次移動する。
【0083】
また、図示していないが、流動体8は、流路、または支持部材1上に設けられた溝等を介して、流動体押圧部材3により分割された第1の空間と第2の空間との間で移動可能になっていても良い。
【0084】
このような流路を設けることで、流動体押圧部材3が移動した結果として生じる流動体押圧部材3の移動した方向に存在する空間内の圧力の上昇を回避することができ、可撓性薄膜2を変形させたために要求される力、導電性領域10と対向電極7とに与えるべき電位差を一定に保つことができる。
【0085】
また、流動体押圧部材3の下の可撓性薄膜2と支持部材1との間に、流動体8が移動可能な微細な隙間が生じるように装置を構成することで、流路を設けるようにしても良い。
【0086】
同様に、図2の(A)の状態から流動体押圧部材3を左方向に移動させる場合には、対向電極7−3、対向電極7−2と順次導電性領域10との電位差を走査して行けば良い。尚、この静電引力は、流動体8の誘電率に比例するので、流動体8に誘電率の高い物質(誘電体)を用いる事により、より大きな静電引力が発生する。
【0087】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの作成手順の一例を図3の(A)乃至(D)を用いて説明する。
【0088】
まず、図3の(A)に示すように、周知の半導体のリソグラフィー技術を用いて、シリコン基板上にアルミをパターンニングして複数の対向電極7および外部リード電極5を、また、エッチングにより穴12を作成する。その上からシリコン酸化膜により絶縁膜9を成膜する。以上の工程により支持部材1を作成する。
【0089】
一方、シリコン基板上に導電性ペーストを含むシリコンゴム膜の様な導電性を持つ可撓性薄膜2を形成した後、シリコン基板をエッチングする事により枠材6に支持された、導電性領域10を含む可撓性薄膜2を形成する。
【0090】
次に、支持部材1と枠材6を接合部材11を介して接合する。この接合は、枠材6のエッチング部を取り囲む全周において行う。また、図示してはいないが、接合部材11の一部に切り欠きを設け、導電性ペーストを充填する事で導電性領域10と外部リード電極5の電気的接続をとる。
【0091】
こうして接合された状態を図3の(B)に示す。
【0092】
次に、穴12から、シリコンオイルや純水などの流体、液体、気体、粒体、粉体またはそれらの混合物である流動体8を注入し、可撓性薄膜2と支持部材1間を流動体8で満たす。この状態を図3の(C)に示す。
【0093】
次に、穴12を封止材13により封止する。この状態を図3の(D)に示す。
【0094】
そして、可撓性薄膜2上に流動体押圧部材3を配置し、支持部材4により、流動体押圧部材3を押圧した状態で支持部材4を固定する。この場合、流動体押圧部材3の、該流動体押圧部材3に抗する面の法線方向における長さは、前記閉じた空間の長さの該方向における長さより長くなる。
【0095】
以上の工程により、本実施の形態に係る流動体アクチュエータを作成する事が出来る。また、この作成手順は、本実施の形態に係る流動体アクチュエータを作成する一例に過ぎず、この手順以外にも作成可能である事は言うまでも無い。
【0096】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの流動体押圧部材3の位置検出方法を図2の(B)を用いて説明する。
【0097】
各対向電極7−1〜7−6の縦及び横の長さに対して、各対向電極と導電性領域10間の距離が十分に短いとすると、この間の静電容量は、各対向電極の面積に比例し、各対向電極と導電性領域10の間の距離に反比例する。よって、各対向電極7−1〜7−6の面積を全て等しくすると、静電容量は、各対向電極と導電性領域10間の距離に依存する事になる。
【0098】
そこで、図2の(B)に示す状態で、各対向電極7−1〜7−6と導電性領域10の静電容量を比較すると、対向電極7−1、7−2、7−5、7−6に関する静電容量はほぼ等しく、対向電極7−4に関する静電容量は前記対向電極7−1、7−2、7−5、7−6に関する静電容量よりも多少大きくなり、対向電極7−3に関する静電容量は全ての対向電極の中で最も大きくなる。つまり、最も静電容量の大きい対向電極の近傍に流動体押圧部材3が存在する事になるので、複数の対向電極7−1〜7−6の各対向電極と導電性領域10間の静電容量を計測する事により、流動体押圧部材3の位置を検出する事が出来る。また、前記第1の実施の形態と同様に、より詳細な位置を検出できるようにしても良いのは言うまでもない。
【0099】
なお、対向電極7は、所望の圧力分布の変化を生じさせることができれば、どこに配置されていても良く、必ずしも複数存在していなくても良い。また、導電性領域10が複数存在していても良い。また、支持部材1、支持部材4、枠材6は無くても良い。
【0100】
また、絶縁膜9は導電性領域10または対向電極7−1〜7−6の何れか一方の表面に形成されていれば良い。
【0101】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態を、図4を用いて説明する。
【0102】
図4は、図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図を示している。
【0103】
まず、流動体8の流路について説明する。本発明の第4の実施の形態に係る流動体アクチュエータは、上述の様に、流動体押圧部材3により、流動体8が分断された構造をしている。ここで、両側に分断された流動体8が第1の空間と第2の空間との間で移動可能なように流路を構成すれば、このような流路を設けることで、流動体押圧部材3が移動した結果として生じる流動体押圧部材3の移動した方向に存在する空間内の圧力の上昇を回避することができ、可撓性薄膜2を変形させるために要求される力、即ち導電性領域10と対向電極7とに与えられるべき電位差を一定に保つことができる。
【0104】
そこで、図4に示すように、支持部材1に溝を設ける事で流動体の流路14を構成する。
【0105】
この方法は、始めから支持部材1に用いる基板にエッチング等の方法で溝を形成して置けば良いので、制作上、比較的簡単な方法で構成する事が出来る。
【0106】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態を、図5を用いて説明する。
【0107】
図5は、図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図を示している。
【0108】
図5に示す様に、本第5の実施の形態では、可撓性薄膜2を支持する枠材6に切り欠きを設ける事により流動体8の流路14を構成する。
【0109】
この方法は、複数の対向電極7の面積を減らす事無く流動体8が移動する流路14を設ける事が出来るので、流動体押圧部材3を駆動する上では、比較的効率的な構成をしている。
【0110】
[第6の実施の形態]
本発明の第6の実施の形態を、図6を用いて説明する。
【0111】
図6は、図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図を示している。
【0112】
図6に示す様に、支持部材1及び可撓性薄膜2を支持する枠材6とを接合する接合部材11を、可撓性薄膜2と枠材6の境界端部より外側に設ける事で流動体8の流路14を構成する。
【0113】
この方法は、支持部材1にも枠材6にも、何ら加工する必要が無く、接合部材11の形状のみを規定すれば良いので、製作する上では比較的簡単な方法であり、また、流動体押圧部材3を駆動する上では比較的効率的な構成をしている。
【0114】
[第7の実施の形態]
本発明の第7の実施の形態を、図7を用いて説明する。
【0115】
図7は、図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図を示している。
【0116】
本発明の第7の実施の形態に係る流動体アクチュエータは、上述の様に、流動体押圧部材3が枠材6と接触している。しかし、流動体押圧部材3と枠材6の接点に生じる摩擦は、流動体押圧部材の移動の妨げとなる。
【0117】
そこで、図7に示す様に枠材6にレール状の突起15を設ける。このレール状の突起15により、流動体押圧部材3と枠材6の接する面積が減少する為、摩擦が低減される。
【0118】
[第8の実施の形態]
本発明の第8の実施の形態を、図8を用いて説明する。
【0119】
図8は、図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図を示している。
【0120】
まず、流動体8の粘性について説明する。本発明の各実施の形態に係る流動体アクチュエータに用いられる流動体8の粘度が高い場合、流動体押圧部材3の位置保持能力が向上し、静止状態の精度が良くなる。しかし、この事は流動体押圧部材3を移動させる場合に流動体8の流動速度が遅くなるので、高速駆動の妨げになる。その為、流動体8の粘度は、位置保持性と駆動性のトレードオフとなり、両性能を考慮して設定されなければならない。
【0121】
そこで、本発明の第8の実施の形態に係る流動体アクチュエータでは、図8に示す様に、流動体8を比較的粘度の低い材質とし、粒体である微小なビーズ23を混入する。このビーズ23の大きさ及び量を調整する事で、実質の流動体8の粘度を自由に設定する事が出来る。
【0122】
[第9の実施の形態]
本発明の第9の実施の形態を、図9の(A)乃至(C)を用いて説明する。
【0123】
図9の(A)乃至(C)は、可撓性薄膜2、流動体押圧部材3、支持部材4を示す図であり、特に、流動体押圧部材3の、移動方向と押圧方向で定義される平面と平行な断面形状が、図9の(A)は楕円の場合、図9の(B)は円の場合、図9の(C)は四角形の場合をそれぞれ示している。さらに、各図において、斜線のハッチングで示した領域は、可撓性薄膜2と流動体押圧部材3とが接触しており、流動体押圧部材3の駆動力を発生させるのに有効な領域を示している。
【0124】
図9の(A)または(B)に示す様に、流動体押圧部材3の断面形状を円または楕円とし、可撓性薄膜2と接触する部分が楕円弧または円弧とすることで、図9の(C)に示す様な四角形とする場合と比較し、流動体押圧部材3の駆動力を発生させるのに有効な領域を広く取ることが出来る。
【0125】
[第10の実施の形態]
本発明の第10の実施の形態を、図10を用いて説明する。
【0126】
図10は、図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図を示している。
【0127】
本発明の第10の実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図10に示す様に、流動体押圧部材3を複数(図では3−1及び3−2の2個)設けた構成とする。
【0128】
流動体押圧部材を移動させる場合、上述の様に、移動させる流動体押圧部材の最近傍に位置する対向電極に電圧を印加する。例えば、図10において、流動体押圧部材3−1を図中右方向へ移動させる場合、複数の対向電極7−1〜7−13の内、対向電極7−4に電圧を印加する。この場合、流動体押圧部材3−1の可動方向である所定の方向において、流動体押圧部材3−1にかかる圧力の分布の変化(圧力の偏り)が生じ、それに伴い流動体押圧部材3−1は移動する。一方、流動体押圧部材3−2については圧力平衡が取れている為、該流動体押圧部材3−2は移動することは無い。
【0129】
同様にして、流動体押圧部材3−2についても、単独で移動する事が出来る。
【0130】
また、複数の流動体押圧部材3−1、3−2を同時に移動させる場合には、それぞれの流動体押圧部材3−1、3−2に対して、各流動体押圧部材3−1、3−2の最近傍に位置する対向電極に電圧を印加する。例えば、図10において、流動体押圧部材3−1を図中左方向へ、流動体押圧部材3−2を図中右方向へ移動させる場合には、複数の対向電極7−1〜7−13の内、対向電極7−3および対向電極7−11に電圧を印加する。この場合、流動体押圧部材3−1及び流動体押圧部材3−2にかかる圧力の分布の変化が発生し、それに伴い流動体押圧部材3−1は図中左方向へ、流動体押圧部材3−2は図中右方向へ移動する。
【0131】
以上の様に、流動体押圧部材3を複数配置する事で、それぞれを独立に移動する事が出来る。尚、本実施の形態では、流動体押圧部材を2つで構成しているが、その数は2つに限定されるものでは無いことは勿論である。
【0132】
[第11の実施の形態]
本発明の第11の実施の形態を、図11の(A)を用いて説明する。
【0133】
図11の(A)は、図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図を示している。
【0134】
上述した本発明の第10の実施の形態に係る流動体アクチュエータのように、流動体押圧部材3を複数設けて各々を独立に移動させる場合、仮に2つの流動体押圧部材3−1、3−2が接近または接触すると、その後これらの流動体押圧部材3−1、3−2を離す事が極めて困難になる。
【0135】
そこで、本第11の実施の形態に係る流動体アクチュエータでは、流動体押圧部材3−1及び流動体押圧部材3−2が移動し得る範囲が重なる事が無い場合に限り、図11の(A)に示す様に、支持部材4に突起22を設ける事で、各々の流動体押圧部材3−1及び3−2が移動し得る範囲を限定するようにしている。
【0136】
この事により、誤動作により、2つの流動体押圧部材3−1、3−2が必要以上に接近または接触する事が無くなる。
【0137】
支持部材4に設ける突起22の幅は、各々の流動体押圧部材3−1、3−2が接近した場合に、その後、各流動体押圧部材3−1、3−2を引き離す事が可能な流動体8が両流動体押圧部材間に確保されるに十分な幅を必要とする。
【0138】
[第12の実施の形態]
本発明の第12の実施の形態を、図11の(B)を用いて説明する。
【0139】
図11の(B)は、図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図を示している。
【0140】
上述した本発明の第10の実施の形態に係る流動体アクチュエータのように、流動体押圧部材3を複数設けて各々を独立に移動させる場合、仮に2つの流動体押圧部材3−1、3−2が接近または接触すると、その後これらの流動体押圧部材3−1、3−2を離す事が出来なくなる。
【0141】
そこで、本第12の実施の形態に係る流動体アクチュエータでは、流動体押圧部材3−1及び流動体押圧部材3−2が移動し得る範囲が重なる事が無い場合に限り、図1の(B)に示す様に、複数の対向電極7を、各々の流動体押圧部材3−1及び3−2が移動し得る範囲に限定して形成するようにしている。
【0142】
この事により、誤動作により、2つの流動体押圧部材3−1、3−2が必要以上に接近または接触する事が無くなる。
【0143】
複数の対向電極7をそれぞれ一まとまりとして、それぞれのまとまりを形成する場合の間隔は、各々の流動体押圧部材3−1、3−2が接近した場合に、その後に、両流動体押圧部材を引き離す事が可能な流動体8が各流動体押圧部材間に確保されるに十分な幅を必要とする。
【0144】
[第13の実施の形態]
本発明の第13の実施の形態を、図12を用いて説明する。
【0145】
図12は、複数の対向電極を示す図である。
【0146】
本発明の各実施の形態で説明した様な流動体アクチュエータにおいて、複数の対向電極7または複数の導電性領域10と外部リード電極5をそれぞれ1対1で接続する場合、流動体押圧部材3の移動距離を長くしたり、移動分解能を上げる為に1ステップの間隔を短くすると、電極数が増大する。
【0147】
そこで、本発明の第13の実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図12に示す様に、複数の対向電極を周期的に接続し、少なくとも1つの対向電極から成る群とする。図12では、複数の対向電極7−1、7−4、7−n−2が接続され、7−2、7−5、7−n−1が接続され、7−3、7−6、7−nが接続されている。これらの各群を、A群、B群、C群とする。よって3群の対向電極が形成されている事になる。そして、各群は、それぞれ対応する1個の外部リード電極5−A、5−B、または5−Cに接続している。
【0148】
本実施の形態の流動体アクチュエータの駆動方法を説明する。
【0149】
仮に、流動体押圧部材3が対向電極7−4の場所に居る場合、流動体押圧部材3を図中上方に移動させるときには、C群に対応する外部リード電極5−Cに電圧を印加する。この場合、C群にあたる対向電極7−3、7−6及び7−nに同電圧が印加されることになる。このような印加がなされたとき、流動体押圧部材3の近傍にある対向電極7−3と導電性領域間10の距離は、対向電極7−6及び7−nと導電性領域間10の距離と比較して短い。複数の対向電極と導電性領域間に働く静電引力は、これらの距離の二乗に反比例する為、対向電極7−3と導電性領域間10に働く静電引力の方が、対向電極7−6及び7−nと導電性領域10に働く静電引力より大きくなる。そこで、C群に印加する電圧を、対向電極7−3に位置する可撓性薄膜2を支持部材1側に引き付ける電圧以上、かつ、対向電極7−6及び7−nに位置する可撓性薄膜2を支持部材1側に引き付ける電圧未満に設定する事で、対向電極7−3のみに電圧を印加している状態と同等になる。よって、流動体押圧部材3は対向電極7−3上へ移動する。さらに、B群、A群と電圧を印加する群を順次走査する事で、流動体押圧部材3は図中上方へ移動する。
【0150】
同様に、B群、C群、A群と電圧を印加する群を順次走査する事で、流動体押圧部材3は図中下方へ移動する。
【0151】
尚、本実施の形態では、3群による構成例を示したが、その群数は3群に限定されるものでは無い。
【0152】
次に、本実施の形態における流動体押圧部材3の初期位置の設定方法について説明する。
【0153】
本実施の形態では、第3の実施の形態で述べた流動体押圧部材3の位置検出方法を用いると、流動体押圧部材3が存在する対向電極の群を特定する事は出来るが、どの位置に存在するのか特定する事は出来ない。しかし、アクチュエータ自体が位置検出能力を有する事は非常に大きなメリットになる。そこで、常に流動体押圧部材3の位置を検出する事は出来ない場合でも、流動体押圧部材3の初期位置を設定し、駆動したステップ量を積算する事で、流動体押圧部材3の位置を特定する事は可能である。
【0154】
本実施の形態における流動体押圧部材3の初期位置の設定方法について図12を用いて説明する。
【0155】
即ち、本発明の第13の実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図12に示す様に、支持部材1上に、複数の対向電極7−1乃至7−nと共に、位置検出用電極17を設けている。そしてまず、初期状態において流動体押圧部材3を図中下方へ移動させ、その都度位置検出用電極17と導電性領域10間の静電容量を比較する。流動体押圧部材3がこの位置検出用電極17上に存在する時、第3の実施の形態で述べたように、位置検出用電極17と導電性領域10間の静電容量は最大の値となるので、この状態を流動体押圧部材3の初期状態とする。
【0156】
この動作を駆動開始時に行い、以降は流動体押圧部材3の移動したステップ量を積算する事で、流動体押圧部材3の位置を特定する事が出来る。
【0157】
なお、対向電極7ではなくて導電性領域10が複数存在する場合も同様に、それら複数の導電性領域を1つ以上の導電性領域からなる複数の群に分け、各群の導電性領域と対向電極との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで流動体押圧部材3を移動することが出来ることは勿論である。
【0158】
またその場合も同様にして、流動体押圧部材3の位置を特定する事が出来る。
【0159】
[第14の実施の形態]
本発明の第14の実施の形態を、図13を用いて説明する。
【0160】
図13は、複数の対向電極を示す図である。
【0161】
流動体押圧部材3を複数設け、各流動体押圧部材3−1、3−2が移動し得る範囲が重なる事が無い場合、各流動体押圧部材3−1、3−2が移動し得る範囲をエリアとして扱う事が出来る。さらに、各エリアに対して、複数の対向電極7を群として接続し、位置検出用電極17を設ける事で、各流動体押圧部材3−1、3−2の独立制御、配線の省線化、流動体押圧部材位置の特定をする事が可能となる。以上の構成について図13を用いて説明する。
【0162】
本実施の形態には、流動体押圧部材が3−1および3−2の2つ存在し、それぞれの移動し得る範囲はαのエリアとβのエリアで重なる事が無いとする。
【0163】
この場合、αのエリアに属する複数の対向電極を7α−1乃至7α−nとし、7α−1と7α−n−2、7α−2と7α−n−1、7α−3と7α−nをそれぞれ接続し、群となす。そして、各群は、それぞれ対応する1個の外部リード電極5α−A、5α−B、または5α−Cに接続している。さらに、位置検出用電極17αを設ける。これらの複数の対向電極7α−1乃至7α−nおよび位置検出用電極17αにより、流動体押圧部材3−1はαのエリア内で流動体押圧部材3−1の位置を特定しながら独立制御する事が出来る。
【0164】
また、βのエリアに属する複数の対向電極を7β−1乃至7β−nとし、7β−1と7β−n−2、7β−2と7β−n−1、7β−3と7β−nをそれぞれ接続し、群となす。そして、各群は、それぞれ対応する1個の外部リード電極5β−A、5β−B、または5β−Cに接続している。さらに、位置検出用電極17βを設ける。これらの複数の対向電極7β−2乃至7β−nおよび位置検出用電極17βにより、流動体押圧部材3−2はβのエリア内で流動体押圧部材3−2の位置を特定しながら独立制御する事が出来る。
【0165】
また、これら各エリアの境界部に対し、流動体押圧部材3−1、3−2の移動を妨げるように、壁または突起を設けるか、エリア毎の間隔を広くとる事で、流動体押圧部材3−1、3−2がエリアを越えて移動する誤動作を防ぐ事が出来る。
【0166】
尚、本実施の形態では、流動体押圧部材を2つで構成しているが、その数は2つに限定されるものでは無い。
【0167】
[第15の実施の形態]
本発明の第15の実施の形態を図14の(A)を用いて説明する。
【0168】
まず、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成について説明する。
【0169】
即ち、本実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図14の(A)に示す様に、支持部材1上に可撓性薄膜2が形成されており、支持部材1と可撓性薄膜2間には流動体8が満たされている。そして、支持部材1の両端を結ぶ流路14上に双方向ポンプ31が設けられており、該双方向ポンプ31の動作により流動体8は、流路14を通してその一端側と他端側とで双方向の移動が可能となっている。
【0170】
また、流動体押圧部材3は自重により、または支持部材4等の図示しない押圧部材により、可撓性薄膜2を押圧する形で、流動体8を分割している。
【0171】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの動作について説明する。
【0172】
流動体押圧部材3を図中右方向へ移動させる場合、双方向ポンプ31により流動体8を右端の空間から排出し左端の空間へ導入する。この事により、それぞれの空間における流動体8の体積が変化し、ここでは流動体押圧部材右側の圧力が低減し、左側の圧力が増加する。したがって、所定の方向において流動体押圧部材3にかかる圧力分布が変化する。ここでは、流動体押圧部材3は右方向へ移動し、圧力の均衡が取れた場所で停止する。よって、双方向ポンプ31により流動体8の移動量を制御することで、流動体押圧部材3の移動量を制御する事ができる。双方向ポンプ31は流動体8を双方向に移動する事が出来るので、流動体押圧部材3も双方向に移動する事が可能である。
【0173】
また、双方向に流動体を移動させる双方向ポンプ31を用いる代わりに、図14の(B)に示す様に、単方向に流動体8を移動させる単方向ポンプ32を互いに逆方向に設け、流動体押圧部材3の移動方向によって、単方向ポンプ32を使い分ける事で、流動体押圧部材3を双方向に移動する事も可能である。
【0174】
また、双方向移動を考えないならば、ポンプは単方向のもの一つでも良い。
【0175】
また、相互に流体を移動させるのではなく、それぞれ装置の外から流動体8を導入または排出するようにしても良いことは勿論である。
【0176】
[第16の実施の形態]
本発明の第16の実施の形態を図15を用いて説明する。
【0177】
まず、本第16の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成について説明する。
【0178】
即ち、本実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図15に示す様に、支持部材1上に少なくとも一部が磁性体で構成された可撓性薄膜2、ここでは、磁性体膜2Mが形成されており、支持部材1と磁性体膜2Mとの間には、非磁性の流動体8が満たされている。
【0179】
また、前記磁性体膜2Mに磁気力を及ぼすように、複数の電磁石33が配置されており、それぞれの電磁石33に対して独立に磁性を持たせる事が出来るようになっている。
【0180】
そして、流動体押圧部材3は磁性体膜2Mである可撓性薄膜2を押圧する形で、閉じた空間内の流動体8を分割している。
【0181】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの動作について説明する。
【0182】
流動体押圧部材3を図中右方向へ移動させる場合、流動体押圧部材3の右近傍に位置する電磁石33に対して通電し、磁性を持たせる。この電磁石33に生じた磁力により、対向する部分の磁性体膜2M(可撓性薄膜2)が支持部材1側に引き付けられる。この可撓性薄膜2の形状変化により、流動体押圧部材3の可動方向である所定の方向において、流動体押圧部材3にかかる圧力の分布(圧力の偏り)が変化する。従って、本発明の第3または第7の実施の形態と同様にして、所望の方向に流動体押圧部材3を移動させる事が出来る。
【0183】
[第17の実施の形態]
本発明の第17の実施の形態を図16を用いて説明する。
【0184】
まず、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成について説明する。
【0185】
即ち、本実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図16に示す様に、支持部材1上に可撓性薄膜2が形成されており、支持部材1と可撓性薄膜2によって形成される閉じた空間に非磁性の磁性流体8Mが満たされている。
【0186】
また、支持部材1上には、複数の電磁石33が配置されており、それぞれの電磁石33に対して独立に磁性を持たせる事が出来るようになっている。
【0187】
そして、流動体押圧部材3は可撓性薄膜2を押圧する形で、磁性流体8Mを分割している。
【0188】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの動作について説明する。
【0189】
流動体押圧部材3を図中右方向へ移動させる場合、流動体押圧部材3の左側に位置する電磁石33に対して通電し、磁性を持たせる。この電磁石33に生じた磁力により、磁性流体8Mは全体として流動体押圧部材3の左側に引き付けられる。この事により、所定の方向における流動体押圧部材3にかかる圧力分布が変化する。結果的に、流動体押圧部材3の左側面の可撓性薄膜2が流動体押圧部材3を押す事になり、流動体押圧部材3は右方向へ移動し、圧力の均衡が取れた位置で流動体押圧部材3の移動が停止する。
【0190】
この、磁性流体8Mの圧力の均衡が保たれている場所は、磁性を持たせた電磁石33が磁性流体8Mを引き付ける力と、可撓性薄膜2が磁性流体8Mへ与える圧力とが釣り合う時であるので、磁性を持たせる電磁石33の位置および磁力により流動体押圧部材3の位置を制御する事が出来る。
【0191】
[第18の実施の形態]
本発明の第18の実施の形態を図17を用いて説明する。
【0192】
まず、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成について説明する。
【0193】
即ち、本実施の形態に係る流動体アクチュエータは、図17に示す様に、支持部材1上に可撓性薄膜2が形成されており、支持部材1と可撓性薄膜2によって形成される閉じた空間には熱膨張係数の高い流動体8が満たされている。
【0194】
また、支持部材1上には、複数の流動体加熱手段(例えばヒーター34)または流動体冷却手段が配置されており、それぞれを独立に制御する事が出来るようになっている。
【0195】
そして、流動体押圧部材3は可撓性薄膜2を押圧する形で、流動体8を分割している。
【0196】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの動作について説明する。ここでは、例として流動体加熱手段であるヒーター34を用いた場合で説明する。
【0197】
流動体押圧部材3を図中右方向へ移動させる場合、流動体押圧部材3の左側に位置するヒーター34を動作させて、流動体押圧部材3の左側に位置する空間内の流動体8を加熱する。この事により、加熱された流動体8は膨張し、流動体押圧部材3の左側の圧力が増加する。よって、所定の方向における流動体押圧部材3にかかる圧力分布が変化する。結果的に、流動体押圧部材3の左側面の可撓性薄膜2が流動体押圧部材3を押す事になり、流動体押圧部材3は右方向へ移動し、圧力の均衡が取れた位置で流動体押圧部材3の移動が停止する。
【0198】
また、流動体冷却手段を用いる場合には、流動体押圧部材3を図中右方向へ移動させる場合、流動体押圧部材3の右側に位置する流動体冷却手段を動作させ、流動体押圧部材3の右側に位置する空間内の流動体8を冷却する。この事により、冷却された流動体8は凝縮し、流動体押圧部材3の右側の圧力が低減する。よって、所定の方向における流動体押圧部材3にかかる圧力分布が変化する。結果的に、流動体押圧部材3の左側面の可撓性薄膜2が流動体押圧部材3を押す事になり、流動体押圧部材3は右方向へ移動し、圧力の均衡が取れた位置で流動体押圧部材3の移動が停止する。
【0199】
[第19の実施の形態]
本発明の第19の実施の形態を図18を用いて説明する。
【0200】
まず、本第19の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成について説明する。
【0201】
即ち、本実施の形態に係る流動体アクチュエータにおいては、図18に示す様に、少なくとも壁面の一部が可撓性薄膜2で形成される閉じた空間には、流動体8が満たされている。さらに、前記可撓性薄膜2上には、可撓性薄膜2を押圧するように、流動体押圧部材3が配置されている。また、前記支持部材1は、この押圧力に抗する面を有している。従って、可撓性薄膜2の弾性力及び流動体押圧部材3の押圧により、流動体8にはある程度の圧力が働いている。
【0202】
可撓性薄膜2は、図示されない導電性領域10を有しており、前記導電性領域10に対向するように対向電極7が配置されている。そして特に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータにおいては、前記対向電極7は支持部材1上に格子状に配置され、支持されている。なお、前記可撓性薄膜2の導電性領域10と前記支持部材1上の各対向電極7とは図示されない外部リード電極5に接続されることで、所望の電位を与えることが可能になっている。
【0203】
ここで、対向電極7と導電性領域10との間に電位差を与え、静電気力を作用させることで、可撓性薄膜2を介して流動体押圧部材3にかかる所定の方向における圧力分布を変化させ、流動体押圧部材3を可撓性薄膜2に対し所望の方向に相対移動させることができる。
【0204】
次に、本実施の形態に係る流動体アクチュエータの動作について説明する。
【0205】
流動体押圧部材3を移動させる所望の方向に対して、流動体押圧部材3の最近傍に位置する対向電極7またはその隣の対向電極7に対して電圧を印加する。このとき対向電極7と導電性領域10間の電位差により発生した静電引力により、可撓性薄膜2が支持部材1側に引き付けられる。この事により、流動体押圧部材3近傍で流動体8に圧力の分布の変化(圧力の偏り)が生じる。結果的に、流動体8が可撓性薄膜2を介して流動体押圧部材3を押す事になり、流動体押圧部材3が移動し、圧力の均衡が取れた位置で移動が停止する。
【0206】
本実施の形態においては、流動体押圧部材3にかかる圧力の分布の変化が生じない(圧力の偏りがない)場所は、流動体押圧部材3が電圧を印加した対向電極7上へ移動した時である。よって、時系列的かつ選択的に前記対向電極7に導電性領域10との間で電位差を与える事で、流動体押圧部材3を所望の方向に移動する事が出来る。
【0207】
以上、本発明の実施の形態として第1乃至第14の実施の形態及び第19の実施の形態では圧力分布を変化させる圧力分布変化手段として静電気力を用いた圧力分布変化手段、第15の実施の形態乃至第18の実施の形態ではその他様々な圧力変化手段を例に挙げて説明をした。しかしながら、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や組み合わせ、応用が可能なことは勿論である。
【0208】
(付記)
前記の具体的実施の形態から、以下のような構成の発明を抽出することができる。
【0209】
(1) 流動体に満たされる閉じた空間と、
前記空間を囲む壁面の少なくとも一部を成す可撓性部材と、
前記可撓性部材を介して前記流動体を部分的に押圧するとともに、所定の可動範囲を移動する流動体押圧手段と、
前記可撓性部材を介して前記流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させる圧力分布変化手段と、
を有し、
前記圧力分布変化手段によって前記圧力分布を変化させることで、前記流動体押圧手段を前記可撓性部材に対して所望の方向に相対移動させることを特徴とするアクチュエータ。
【0210】
(対応する実施の形態)
この(1)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1乃至第19の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(1)に記載のアクチュエータは、圧力分布変化手段によって、可撓性部材を介して流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させることで、流動体押圧手段を可撓性部材に対して所望の方向に相対移動させる。
従って、この(1)に記載のアクチュエータによれば、可撓性部材を介して流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布の変化により流動体押圧手段の推進力を得る事が出来るので、より低電圧で、推進力の大きなアクチュエータを提供する事が出来る。
【0211】
(2) 前記流動体が、粉体または粒体であることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0212】
(対応する実施の形態)
この(2)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(2)に記載のアクチュエータは、流動体として粉体または粒体を用いている。
従って、この(2)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段の静止状態において、粉体または粒体が持つ粘性により、流動体押圧手段をその場に保持できる。
【0213】
(3) 前記流動体が、気体または液体であることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0214】
(対応する実施の形態)
この(3)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(3)に記載のアクチュエータは、流動体として気体または液体を用いている。
従って、この(3)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段の静止状態において、気体または液体が持つ粘性により、流動体押圧手段をその場に保持できる。
【0215】
(4) 前記流動体が、液体と粒体との混合物であることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0216】
(対応する実施の形態)
この(4)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3及び第8の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(4)に記載のアクチュエータは、流動体として液体と粒体との混合物を用いている。
従って、この(4)に記載のアクチュエータによれば、保持性能と駆動性能を考慮した粘性の流動体により、所望の性能のアクチュエータとすることができる。
【0217】
(5) 前記流動体押圧手段の、該流動体押圧手段の移動方向と押圧方向とで定義される平面と平行な断面が楕円弧部を有し、
前記楕円弧部と前記可撓性部材とが接触していることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0218】
(対応する実施の形態)
この(5)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第9の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(5)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段をその断面形状を楕円として形成し、その楕円の楕円弧部と可撓性部材とが接触するようにしている。
従って、この(5)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段と可撓性部材の摩擦が低減する。さらに、可撓性薄膜が流動体押圧手段を押圧する力の進行方向成分が増大する。よって、流動体押圧手段を容易に移動する事が出来、強いては、消費電力は低減され、流動体押圧手段の移動速度は向上する。
【0219】
(6) 前記流動体押圧手段の、該流動体押圧手段の移動方向と押圧方向とで定義される平面と平行な断面が円であることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0220】
(対応する実施の形態)
この(6)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第9の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(6)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段をその断面形状を円として形成し、その円の円弧部と可撓性部材とが接触するようにしている。
従って、この(6)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段と可撓性部材の摩擦が低減する。さらに、可撓性薄膜が流動体押圧手段を押圧する力の進行方向成分が増大する。よって、流動体押圧手段を容易に移動する事が出来、強いては、消費電力は低減され、流動体押圧手段の移動速度は向上する。また、流動体押圧手段が、滑りまたは回転のどちらで移動しても構わなくなる。
【0221】
(7) 前記圧力分布変化手段は、前記可撓性部材を変形させることで前記圧力分布を変化させることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0222】
(対応する実施の形態)
この(7)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(7)に記載のアクチュエータは、可撓性部材を変形させることで圧力分布を変化させ、流動体押圧手段を可撓性部材に対して所望の方向に相対移動させる。
従って、この(7)に記載のアクチュエータによれば、可撓性薄膜の変形により流動体押圧手段の推進力を得る事が出来るので、より低電圧で、推進力の大きなアクチュエータを提供する事が出来る。
【0223】
(8) 前記流動体押圧手段は、前記空間を少なくとも第1の空間と第2の空間に分割することを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0224】
(対応する実施の形態)
この(8)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(8)に記載のアクチュエータは、流動体に満たされる閉じた空間を、流動体押圧手段によって少なくとも2つの空間に分割している。
従って、この(8)に記載のアクチュエータによれば、圧力分布変化手段は、1つの空間に圧力変化を生じさせることでも、流動体押圧手段にかかる圧力の分布の変化を生じさせることが出来る。
【0225】
(9) 前記圧力分布変化手段は、前記可撓性部材を変形させることで前記第1または第2の空間の体積を変化させることを特徴とする(8)に記載のアクチュエータ。
【0226】
(対応する実施の形態)
この(9)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(9)に記載のアクチュエータは、可撓性部材を変形させることで第1または第2の空間の体積を変化させる。
従って、この(9)に記載のアクチュエータによれば、可撓性部材を変形させることで圧力分布の変化を1つの空間に生じさせることが出来る。
【0227】
(10) 静電気力を用いて、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする(7)または(9)に記載のアクチュエータ。
【0228】
(対応する実施の形態)
この(10)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(10)に記載のアクチュエータは、静電気力を用いて可撓性部材を変形させる。
従って、この(10)に記載のアクチュエータによれば、静電気力により駆動力を得るため、小型で、低消費電力なアクチュエータを提供できる。
【0229】
(11) 磁気力を用いて、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする(7)または(9)に記載のアクチュエータ。
【0230】
(対応する実施の形態)
この(11)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第16の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(11)に記載のアクチュエータは、磁気力を用いて可撓性部材を変形させる。
従って、この(11)に記載のアクチュエータによれば、磁気力により駆動力を得ることが出来る。
【0231】
(12) 前記圧力分布変化手段は、前記第1または第2の空間内に存在する流動体の体積を変化させることを特徴とする(8)に記載のアクチュエータ。
【0232】
(対応する実施の形態)
この(12)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第15の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(12)に記載のアクチュエータは、第1または第2の空間内に存在する流動体の体積を変化させる。
従って、この(12)に記載のアクチュエータによれば、流動体の体積を変化させることで圧力分布の変化を1つの空間に生じさせることが出来る。
【0233】
(13) 前記第1または第2の空間内に流動体を導入または排出することで、前記流動体の体積を変化させることを特徴とする(12)に記載のアクチュエータ。
【0234】
(対応する実施の形態)
この(13)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第15の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(13)に記載のアクチュエータは、第1または第2の空間内に流動体を導入または排出することで、その空間内の流動体の体積を変化させる。
従って、この(13)に記載のアクチュエータによれば、第1または第2の空間内の流動体の体積を容易に変化させることができる。
【0235】
(14) 前記第1または第2の空間内の流動体を加熱または冷却することで、前記流動体の体積を変化させることを特徴とする(12)に記載のアクチュエータ。
【0236】
(対応する実施の形態)
この(14)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第18の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(14)に記載のアクチュエータは、第1または第2の空間内の流動体を加熱または冷却することで、その空間内の流動体の体積を変化させる。
従って、この(14)に記載のアクチュエータによれば、第1または第2の空間内の流動体の体積を容易に変化させることができる。
【0237】
(15) 前記第1の空間と前記第2の空間とを結ぶように形成された流路をさらに有することを特徴とする(8)に記載のアクチュエータ。
【0238】
(対応する実施の形態)
この(15)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第4乃至第6の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(15)に記載のアクチュエータは、第1の空間と前記第2の空間とを結ぶように流路を形成とている。
従って、この(15)に記載のアクチュエータによれば、流動体が流路を通って流動させる事により、圧力分布をより変化させることが出来、流動体押圧手段の推進力を効率的に得る事が出来る。
【0239】
(16) 前記可撓性部材は導電領域を有しており、
前記導電領域と対向するように配置された対向電極をさらに有し、
前記導電領域と前記対向電極との間に電位差を与えることにより、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする(10)に記載のアクチュエータ。
【0240】
(対応する実施の形態)
この(16)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(16)に記載のアクチュエータは、可撓性部材が有する導電領域と、それに対向するように配置された対向電極と、の間に電位差を与えることにより、可撓性部材を変形させる。
従って、この(16)に記載のアクチュエータによれば、容易に可撓性部材を変形できる。
【0241】
(17) 前記流動体は、誘電体であることを特徴とする(16)に記載のアクチュエータ。
【0242】
(対応する実施の形態)
この(17)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(17)に記載のアクチュエータは、流動体として誘電体を用いる。
従って、この(17)に記載のアクチュエータによれば、流動体を誘電体とすることで、対向電極と導電領域との間に同じ電位差を与えても、静電引力は増加する。よって、対向電極と導電領域に与える電位差を基準とした場合、可撓性部材を変形させる力が増加し、また、可撓性部材を変形させる力を基準とした場合、対向電極と導電領域に与える電位差を小さくする事が出来る。
【0243】
(18) 前記導電領域または前記対向電極の表面に形成された絶縁体をさらに有することを特徴とする(16)に記載のアクチュエータ。
【0244】
(対応する実施の形態)
この(18)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(18)に記載のアクチュエータは、導電領域または対向電極の表面に絶縁体を形成している。
従って、この(18)に記載のアクチュエータによれば、可撓性部材が変形した際に導電領域と対向電極とが接触するような場合でも、その間に絶縁体が介在するので、ショートが起こることがない。
【0245】
(19) 前記導電領域が複数存在することをさらに特徴とする(16)に記載のアクチュエータ。
【0246】
(対応する実施の形態)
この(19)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(19)に記載のアクチュエータは、導電領域を複数設けている。
従って、この(19)に記載のアクチュエータによれば、複数の位置で選択的に可撓性部材を変形させることが出来るようになる。
【0247】
(20) 前記対向電極が複数存在することをさらに特徴とする(16)に記載のアクチュエータ。
【0248】
(対応する実施の形態)
この(20)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(20)に記載のアクチュエータは、対向電極を複数設けている。
従って、この(20)に記載のアクチュエータによれば、複数の位置で選択的に可撓性部材を変形させることが出来るようになる。
【0249】
(21) 前記流動体押圧手段に抗する面を有する支持部材をさらに有し、
前記対向電極は前記支持部材に支持されていることを特徴とする(16)または(20)に記載のアクチュエータ。
【0250】
(対応する実施の形態)
この(21)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(21)に記載のアクチュエータは、対向電極を、流動体押圧手段に抗する面を有する支持部材によって支持している。
従って、この(21)に記載のアクチュエータによれば、支持部材によって対向電極を支持するようにしているので、対向電極の位置を精度良く固定できる。
【0251】
(22) 前記複数の導電領域を1つ以上の導電領域からなる複数の群に分け、各群の導電領域と対向電極との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、前記流動体押圧手段を移動することを特徴とする(19)に記載のアクチュエータ。
【0252】
(対応する実施の形態)
この(22)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第13の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(22)に記載のアクチュエータは、複数の導電領域を1つ以上の導電領域からなる複数の群に分け、各群の導電領域と対向電極との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、流動体押圧手段を移動するようにしている。
従って、この(22)に記載のアクチュエータによれば、各群の導電領域に接続する配線およびリード電極と対向電極間に与える電位差を順次切り替える機構が共通となる。よって、省スペース、小型化が可能となり、さらに制御機構が簡単になる。
【0253】
(23) 前記複数の対向電極を1つ以上の対向電極からなる複数の群に分け、各群の対向電極と導電領域との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、前記流動体押圧手段を移動することを特徴とする(20)に記載のアクチュエータ。
【0254】
(対応する実施の形態)
この(23)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第13の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(23)に記載のアクチュエータは、複数の対向電極を1つ以上の対向電極からなる複数の群に分け、各群の対向電極と導電領域との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、流動体押圧手段を移動するようにしている。
従って、この(23)に記載のアクチュエータによれば、各群の対向電極に接続する配線およびリード電極と導電領域間に与える電位差を順次切り替える機構が共通となる。よって、省スペース、小型化が可能となり、さらに制御機構が簡単になる。
【0255】
(24) 前記流動体押圧手段の位置検出用電極をさらに有することを特徴とする(22)または(23)に記載のアクチュエータ。
【0256】
(対応する実施の形態)
この(24)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第13の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(24)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段の位置検出用電極をさらに設けている。
従って、この(24)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段を駆動する最初の動作として、流動体押圧手段を駆動しつつ位置検出用電極と導電領域間の静電容量を測定し、流動体押圧手段を位置検出電極上に移動する事により、流動体押圧手段の初期位置を設定する事が出来る。また、流動体押圧手段が駆動したステップ量を積算することで、流動体押圧手段の位置を検出することが出来る。
【0257】
(25) 前記流動体押圧手段を複数有し、各々の流動体押圧手段を互いに独立に移動することを特徴とする(19)または(20)に記載のアクチュエータ。
【0258】
(対応する実施の形態)
この(25)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第10の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(25)に記載のアクチュエータは、複数の流動体押圧手段をそれぞれ互いに独立に移動する。
【0259】
従って、この(25)に記載のアクチュエータによれば、独立制御可能な流動体押圧手段が複数になり、アクチュエータの応用範囲が広がる。
【0260】
(26) 前記複数の流動体押圧手段各々の可動範囲を分割したことを特徴とする(25)に記載のアクチュエータ。
【0261】
(対応する実施の形態)
この(26)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第11及び第12の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(26)に記載のアクチュエータは、複数の流動体押圧手段各々の可動範囲が重ならないようにしている。
従って、この(26)に記載のアクチュエータによれば、複数の流動体押圧手段が接近または接触して離す事が出来なくなるようなことがない。
【0262】
(27) 前記対向電極と前記導電領域との間の静電容量を測定することにより、前記流動体押圧手段の位置を検出することを特徴とする(19)または(20)に記載のアクチュエータ。
【0263】
(対応する実施の形態)
この(27)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
流動体押圧手段が存在する場所は、可撓性部材が対向電極と近接している為、対向電極と導電領域間の静電容量が、他の場所に比べて大きな値となる。よって、この(27)に記載のアクチュエータは、対向電極と導電領域との間の静電容量を測定することにより、流動体押圧手段の位置を検出する。
従って、この(27)に記載のアクチュエータによれば、複数の対向電極に対して、順次各対向電極と導電領域との静電容量を比較する事で、流動体押圧手段の位置を検出する事が出来る。
【0264】
(28) 前記複数の導電領域のうち、前記流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に、一番目に前記対向電極との間の電位差を与えることを特徴とする(19)に記載のアクチュエータ。
【0265】
(対応する実施の形態)
この(28)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(28)に記載のアクチュエータは、複数の導電領域のうち、流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に、一番目に対向電極との間の電位差を与える。
従って、この(28)に記載のアクチュエータによれば、対向電極との電位差を与える導電領域を、流動体押圧手段に近い側から順次走査することで、それに対応して可撓性部材に順次形状変化を起させることが出来、よって、流動体押圧手段を移動させることが出来る。
【0266】
(29) 前記流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に与えられる電位差は、少なくとも当該導電領域が静電引力によって変形する電位差以上であり、前記複数の導電領域のうち対向電極と最も離れた部分が変形する電位差未満であることを特徴とする(28)に記載のアクチュエータ。
【0267】
(対応する実施の形態)
この(29)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1及び第13の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(29)に記載のアクチュエータは、導電領域に与える電位差として、流動体押圧手段と最も離れた導電領域と対向電極とが吸着してしまうような電位差未満としてある。
従って、この(29)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段が存在する近傍のみの可撓性薄膜が対向電極側に張り付き、その領域以外の可撓性薄膜は対向電極に張り付くことはなく、よって、不必要な可撓性薄膜の変形が無くなり、安定して流動体押圧手段を移動する事が出来る。
【0268】
(30) 前記複数の対向電極のうち、前記流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に、一番目に前記導電領域との間の電位差を与えることを特徴とする(20)に記載のアクチュエータ。
【0269】
(対応する実施の形態)
この(30)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(30)に記載のアクチュエータは、複数の対向電極のうち、流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に、一番目に誘導領域との間の電位差を与える。
従って、この(30)に記載のアクチュエータによれば、誘導領域との電位差を与える対向電極を、流動体押圧手段に近い側から順次走査することで、それに対応して可撓性部材に順次形状変化を起させることが出来、よって、流動体押圧手段を移動させることが出来る。
【0270】
(31) 前記流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に与えられる電位差は、少なくとも前記導電領域の当該対向電極に対向する部分が静電引力によって変形する電位差以上であり、前記導電領域のうち当該対向電極と最も離れた部分が変形する電位差未満であることを特徴とする(30)に記載のアクチュエータ。
【0271】
(対応する実施の形態)
この(31)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1及び第13の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(31)に記載のアクチュエータは、対向電極に与える電位差として、流動体押圧手段と最も離れた対向電極と導電領域とが吸着してしまうような電位差未満としてある。
従って、この(31)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段が存在する近傍のみの可撓性薄膜が導電領域側に張り付き、その領域以外の可撓性薄膜は導電領域に張り付くことはなく、よって、不必要な可撓性薄膜の変形が無くなり、安定して流動体押圧手段を移動する事が出来る。
【0272】
(32) 前記流動体押圧手段の移動可能な方向に延びて配置され、該流動体押圧手段を支持する枠をさらに有することを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0273】
(対応する実施の形態)
この(32)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(32)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段の移動可能な方向に延びて配置された枠によって、流動体押圧手段を支持する。
従って、この(32)に記載のアクチュエータによれば、枠によって、流動体押圧手段の所定の方向以外への移動を規制することができる。
【0274】
(33) 前記流動体押圧手段に抗する面を有する第1の支持部材と、
前記抗する面とともに前記流動体押圧手段を挟むように配置され、該抗する面との相対位置が固定されている第2の支持部材と、
をさらに有することを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0275】
(対応する実施の形態)
この(33)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(33)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段に抗する面を有する第1の支持部材と、該抗する面との相対位置が固定されている第2の支持部材とで、流動体押圧手段を挟みこんでいる。
【0276】
従って、この(33)に記載のアクチュエータによれば、流動体押圧手段の所定の方向以外への移動を規制することができ、また、流動体押圧手段の押圧力を自重や重力の方向に関係なく確保することが出来る。
【0277】
(34) 前記可撓性部材は少なくとも一部が磁性体で構成されており、
前記磁性体に磁気力を及ぼすように配置された電磁石をさらに有し、
前記電磁石によって前記磁性体に磁気力を及ぼすことにより、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする(11)に記載のアクチュエータ。
【0278】
(対応する実施の形態)
この(34)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第16の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(34)に記載のアクチュエータは、可撓性部材の少なくとも一部を磁性体で構成し、電磁石によってその磁性体に磁気力を及ぼすことにより、可撓性部材を変形させる。
従って、この(34)に記載のアクチュエータによれば、磁気力によって駆動力を得ることが出来、所望の方向に流動体押圧手段を移動させる事が出来る。
【0279】
(35) 前記流動体は磁性流体であり、
前記磁性流体に磁気力を及ぼすように配置された電磁石をさらに有し、
前記電磁石から磁気力を発生し、磁性流体に分布を生じさせることで、前記可撓性部材を介して前記流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させることを特徴とする(1)に記載のアクチュエータ。
【0280】
(対応する実施の形態)
この(35)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第17の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(35)に記載のアクチュエータは、流動体として磁性流体を用い、電磁石から磁気力を発生してその磁性流体に分布を生じさせることで、可撓性部材を介して流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させる。
従って、この(35)に記載のアクチュエータによれば、磁性を持たせる電磁石の位置および磁力により流動体押圧手段の位置を制御する事が出来る。
【0281】
(36) 前記流動体押圧手段は、前記流動体押圧手段に抗する面の法線方向において、前記空間の長さより長いことを特徴とする(33)に記載のアクチュエータ。
【0282】
(対応する実施の形態)
この(36)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第3の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(36)に記載のアクチュエータは、流動体押圧手段の、前記流動体押圧手段に抗する面の法線方向における長さを、前記空間の長さの該方向における長さより長くしている。
従って、この(36)に記載のアクチュエータによれば、第2の支持部材と可撓性部材との間の距離を取ることが出来るので、第2の支持部材と可撓性部材の接触することで、圧力の分布に対する影響を与えたり、可撓性部材の変形を妨げたりするようなことが無い。
【0283】
(37) 前記複数の導電領域は、前記流動体押圧手段の移動方向において、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さを有することを特徴とする(19)に記載のアクチュエータ。
【0284】
(対応する実施の形態)
この(37)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(37)に記載のアクチュエータは、複数の導電領域の前記流動体押圧手段の移動方向における長さを、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さとしている。
従って、この(37)に記載のアクチュエータによれば、所望の最小制御距離を持ちながら、より大きな導電領域でアクチュエータを駆動することが出来るので、導電領域が作成し易い。
【0285】
(38) 前記複数の対向電極は、前記流動体押圧手段の移動方向において、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さを有することを特徴とする(20)に記載のアクチュエータ。
【0286】
(対応する実施の形態)
この(38)に記載のアクチュエータに関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
(作用効果)
この(38)に記載のアクチュエータは、複数の対向電極の前記流動体押圧手段の移動方向における長さを、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さとしている。
従って、この(38)に記載のアクチュエータによれば、所望の最小制御距離を持ちながら、より大きな対向電極でアクチュエータを駆動することが出来るので、対向電極が作成し易い。
【0287】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、可撓性薄膜の変形と共に、流動体の移動を利用する事で、より低電圧で、推進力の大きなアクチュエータを提供する事ができると共に超小型アクチュエータに求められる機能を全てあわせ持つアクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための斜視図であり、(B)は(A)のA面における断面図である。
【図2】(A)は本発明の第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための斜視図であり、(B)は(A)のA面における断面図である。
【図3】第3の実施の形態に係る流動体アクチュエータの作成手順を説明するための図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図である。
【図7】本発明の第7の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のB面における断面図である。
【図8】本発明の第8の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図9】本発明の第9の実施の形態を説明するための可撓性薄膜、流動体押圧部材、及び支持部材を示す図であり、特に、流動体押圧部材の、移動方向と押圧方向で定義される平面と平行な断面形状が、(A)は楕円の場合、(B)は円の場合、(C)は四角形の場合をそれぞれ示している。
【図10】本発明の第10の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図11】(A)は本発明の第11の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図であり、(B)は本発明の第12の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図12】本発明の第13の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための支持部材の平面図である。
【図13】本発明の第14の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための支持部材の平面図である。
【図14】(A)は本発明の第15の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図であり、(B)は変形例を示す図である。
【図15】本発明の第16の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図16】本発明の第17の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図17】本発明の第18の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図2の(A)に示した斜視図のA面における断面図である。
【図18】本発明の第19の実施の形態に係る流動体アクチュエータの構成を説明するための図である。
【図19】従来の静電アクチュエータの構成を示す図である。
【符号の説明】
1…支持部材、 2…可撓性薄膜、 2M…磁性体膜、 3,3−1,3−2…流動体押圧部材、 4…支持部材、 5,5−A,5−B,5−C,5α−A,5α−B,5α−C,5β−A,5β−B,5β−C…外部リード電極、 6…枠材、 7,7−1〜7−13,7−n−2,7−n−1,7−n,7α−1〜7α−3,7α−n−2,7α−n−1,7α−n,7β−1〜7β−3,7β−n−2,7β−n−1,7β−n…対向電極、 8…流動体、 8M…磁性流体、 9…絶縁膜、 10…導電性領域、 11…接合部材、 12…穴、13…封止材、 14…流路、 15…突起、 17,17α,17β…位置検出用電極、 22…突起、 23…ビーズ、 31…双方向ポンプ、 32…単方向ポンプ、 33…電磁石、 34…ヒーター。
Claims (38)
- 流動体に満たされる閉じた空間と、
前記空間を囲む壁面の少なくとも一部を成す可撓性部材と、
前記可撓性部材を介して前記流動体を部分的に押圧するとともに、所定の可動範囲を移動する流動体押圧手段と、
前記可撓性部材を介して前記流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させる圧力分布変化手段と、
を有し、
前記圧力分布変化手段によって前記圧力分布を変化させることで、前記流動体押圧手段を前記可撓性部材に対して所望の方向に相対移動させることを特徴とするアクチュエータ。 - 前記流動体が、粉体または粒体であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体が、気体または液体であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体が、液体と粒体との混合物であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体押圧手段の、該流動体押圧手段の移動方向と押圧方向とで定義される平面と平行な断面が楕円弧部を有し、
前記楕円弧部と前記可撓性部材とが接触していることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。 - 前記流動体押圧手段の、該流動体押圧手段の移動方向と押圧方向とで定義される平面と平行な断面が円であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記圧力分布変化手段は、前記可撓性部材を変形させることで前記圧力分布を変化させることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体押圧手段は、前記空間を少なくとも第1の空間と第2の空間に分割することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記圧力分布変化手段は、前記可撓性部材を変形させることで前記第1または第2の空間の体積を変化させることを特徴とする請求項8に記載のアクチュエータ。
- 静電気力を用いて、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする請求項7または9に記載のアクチュエータ。
- 磁気力を用いて、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする請求項7または9に記載のアクチュエータ。
- 前記圧力分布変化手段は、前記第1または第2の空間内に存在する流動体の体積を変化させることを特徴とする請求項8に記載のアクチュエータ。
- 前記第1または第2の空間内に流動体を導入または排出することで、前記流動体の体積を変化させることを特徴とする請求項12に記載のアクチュエータ。
- 前記第1または第2の空間内の流動体を加熱または冷却することで、前記流動体の体積を変化させることを特徴とする請求項12に記載のアクチュエータ。
- 前記第1の空間と前記第2の空間とを結ぶように形成された流路をさらに有することを特徴とする請求項8に記載のアクチュエータ。
- 前記可撓性部材は導電領域を有しており、
前記導電領域と対向するように配置された対向電極をさらに有し、
前記導電領域と前記対向電極との間に電位差を与えることにより、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする請求項10に記載のアクチュエータ。 - 前記流動体は、誘電体であることを特徴とする請求項16に記載のアクチュエータ。
- 前記導電領域または前記対向電極の表面に形成された絶縁体をさらに有することを特徴とする請求項16に記載のアクチュエータ。
- 前記導電領域が複数存在することをさらに特徴とする請求項16に記載のアクチュエータ。
- 前記対向電極が複数存在することをさらに特徴とする請求項16に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体押圧手段に抗する面を有する支持部材をさらに有し、
前記対向電極は前記支持部材に支持されていることを特徴とする請求項16または20に記載のアクチュエータ。 - 前記複数の導電領域を1つ以上の導電領域からなる複数の群に分け、各群の導電領域と対向電極との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、前記流動体押圧手段を移動することを特徴とする請求項19に記載のアクチュエータ。
- 前記複数の対向電極を1つ以上の対向電極からなる複数の群に分け、各群の対向電極と導電領域との間に時系列的かつ選択的に所定の電位差を与えることで、前記流動体押圧手段を移動することを特徴とする請求項20に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体押圧手段の位置検出用電極をさらに有することを特徴とする請求項22または23に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体押圧手段を複数有し、各々の流動体押圧手段を互いに独立に移動することを特徴とする請求項19または20に記載のアクチュエータ。
- 前記複数の流動体押圧手段各々の可動範囲を分割したことを特徴とする請求項25に記載のアクチュエータ。
- 前記対向電極と前記導電領域との間の静電容量を測定することにより、前記流動体押圧手段の位置を検出することを特徴とする請求項19または20に記載のアクチュエータ。
- 前記複数の導電領域のうち、前記流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に、一番目に前記対向電極との間の電位差を与えることを特徴とする請求項19に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体押圧手段に最も近接する導電領域または該導電領域の隣の導電領域に与えられる電位差は、少なくとも当該導電領域が静電引力によって変形する電位差以上であり、前記複数の導電領域のうち対向電極と最も離れた部分が変形する電位差未満であることを特徴とする請求項28に記載のアクチュエータ。
- 前記複数の対向電極のうち、前記流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に、一番目に前記導電領域との間の電位差を与えることを特徴とする請求項20に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体押圧手段に最も近接する対向電極または該対向電極の隣の対向電極に与えられる電位差は、少なくとも前記導電領域の当該対向電極に対向する部分が静電引力によって変形する電位差以上であり、前記導電領域のうち当該対向電極と最も離れた部分が変形する電位差未満であることを特徴とする請求項30に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体押圧手段の移動可能な方向に延びて配置され、該流動体押圧手段を支持する枠をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記流動体押圧手段に抗する面を有する第1の支持部材と、
前記抗する面とともに前記流動体押圧手段を挟むように配置され、該抗する面との相対位置が固定されている第2の支持部材と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。 - 前記可撓性部材は少なくとも一部が磁性体で構成されており、
前記磁性体に磁気力を及ぼすように配置された電磁石をさらに有し、
前記電磁石によって前記磁性体に磁気力を及ぼすことにより、前記可撓性部材を変形させることを特徴とする請求項11に記載のアクチュエータ。 - 前記流動体は磁性流体であり、
前記磁性流体に磁気力を及ぼすように配置された電磁石をさらに有し、
前記電磁石から磁気力を発生し、磁性流体に分布を生じさせることで、前記可撓性部材を介して前記流動体押圧手段にかかる所定の方向における圧力分布を変化させることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。 - 前記流動体押圧手段は、前記流動体押圧手段に抗する面の法線方向において、前記空間の長さより長いことを特徴とする請求項33に記載のアクチュエータ。
- 前記複数の導電領域は、前記流動体押圧手段の移動方向において、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さを有することを特徴とする請求項19に記載のアクチュエータ。
- 前記複数の対向電極は、前記流動体押圧手段の移動方向において、前記流動体押圧手段の所望の最小制御距離以上かつ前記流動体押圧手段の該方向における長さ未満の長さを有することを特徴とする請求項20に記載のアクチュエータ。
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