JP2005028690A - 印刷制御装置、印刷制御プログラムおよび印刷制御方法 - Google Patents

印刷制御装置、印刷制御プログラムおよび印刷制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吐出インク量が変動すると高品質での印刷が困難であった。
【解決手段】インクを吐出する複数のノズルを備えるヘッドを備えた印刷装置を制御するにあたり、インクの吐出後に上記ノズルのインク面が不安定な状態で再度インクを吐出するにあたり、当該インク面の不安定に起因して所定の基準インク吐出量からインク吐出量が変動することによって色彩値が基準インク吐出量での色彩値から変動する際に、当該色彩値の変動を補償したインク量でインク滴を吐出させる。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷制御装置、印刷制御プログラムおよび印刷制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンタの性能が向上し、高速印刷および高解像度が実現されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、インクジェットプリンタを制御する印刷制御装置においては、ヘッドを駆動制御して各ノズルからインクを飛翔させることによって印刷媒体上にドットを形成している。ノズルの開口部にはインク面が形成され、待機状態において当該開口部に形成されたインク面は安定しているが、インク滴の吐出直後にはその反作用によってインク面が所定期間振動し、不安定になる。高速印刷および高解像度を実現する場合、インク滴を吐出した後に次のインク滴を吐出するまでの待機時間が非常に短くなり、上述のようにインク面が不安定な状態であってもインク滴を吐出することにすれば、高速に高解像度の印刷を実現することができる。
【特許文献1】
特開2001−69358号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の印刷制御装置においては、高品質での印刷が困難であった。すなわち、インク面が安定な状態と不安定な状態とでは、同じ力でインク滴を吐出した場合でも吐出されるインク量が異なり、インク量変動に起因して印刷媒体上に記録される画像の色彩値に差が生じてしまう。また、インク量変動が印刷装置の機体間で一定でないため機体間で色彩値に差が生じてしまう。従って、意図通りの色で印刷させることが困難になり、高品質での印刷が困難であった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、高速および高解像度での印刷と高品質の印刷を両立させることが可能な印刷制御装置、印刷制御プログラムおよび印刷制御方法の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明では、ノズルのインク面が不安定な状態で再度インクを吐出するにあたり、当該インク面の不安定に起因して所定の基準インク吐出量と異なるインク吐出量となり、その結果、色彩値が基準と異なる場合にその色彩値変動を補償するインク量でヘッドを駆動する。すなわち、インク面が不安定な状態でインクを吐出すると、インク面が安定な状態でのインク吐出量やある特定の標準機等でのインク吐出量等と比較して吐出量が変動する。インク面が安定な状態と不安定な状態でのインク量変動を無視すると、同じ機体の同じ階調値であっても色彩値が変動してしまうし、標準機と他の機体とで生ずるインク量変動を無視すると同じ画像についての標準機での色彩値と他の機体での色彩値が異なってしまう。
【0005】
このため、インク量変動による色彩値変動を補償しないと印刷品質が低下してしまうが、本発明においてはこの色彩値変動を補償したインク量でインク滴を吐出するので、インク量変動の影響を受けずに高品質の印刷結果を得ることができる。インク吐出後には時間の経過とともにインク面が安定するので、インクを吐出した後に次のインクを吐出するにあたり、十分な時間が経過すれば安定状態でインクを吐出できるが、色彩値変動の補償をすることによりインク面が不安定な状態でもインクを吐出することができる。従って、連続的にインクを吐出する際の間隔が短い構成、すなわち、高速および高解像度の印刷と高品質印刷を同時に実現することができる。色彩値は明度,彩度,色相のいずれであっても良いが、人間の目は明度変化に敏感であるので、色彩値として明度を採用すれば本発明による画質向上効果が顕著に現れる。
【0006】
所定の基準インク吐出量としては、上述のように安定状態や標準機でのインク吐出量を所定の基準インク吐出量等種々の基準を採用可能であり、高品質印刷を実現する意味で種々の基準を採用することができる。インク面はノズル開口部にて表面張力によって形成されるインクの液面であり、インク面が不安定な状態はノズル内部のインク室内のインク量が変動する状態である。インク面が不安定であることに起因したインク量変動としては、インク面の振動に伴って種々の変動量となり得るが、不安定状態でのインク吐出タイミングで吐出インク量を計測したり、その計測結果を統計的に集計するなど、種々の手法によって決定することができる。
【0007】
また、このインク量変動に起因した色彩値の変動としても、インク面の振動に伴って種々の変動量となり得るが、不安定状態でのインク吐出タイミングでインクを吐出させ、得られた印刷物を測色したり、その測色結果を統計的に集計するなど、種々の手法によって決定することができる。この変動量はインク面の安定状態と非安定状態とを比較した場合の色彩値変動であり、両者を比較した場合の変動量は経時的に厳密に一定であるとは限らないが、再現性がある。すなわち、印刷装置の各ノズルにおいてインク滴を吐出する度に全く規則性がなく色彩値が変動するわけではなく、上記種々の手法によって変動量あるいはその統計的傾向を特定することができ、この結果、当該変動量を補償することができる。
【0008】
また、請求項2にかかる発明では、主走査方向にヘッドを駆動している場合に連続的にインクを吐出する際に色彩値変動を補償したインク量とする。すなわち、インクを吐出する際の周波数が最も高い状態は連続的にインクを吐出する状態であり、連続的にインクを吐出する際に、2回目以降に吐出されるインク量を補償することによってインク変動の影響を抑えて高品位に印刷することが可能になる。
【0009】
尚、連続的にインクを吐出すると言っても、インクを吐出した後に所定時間が経過してインク面が安定状態に到達した場合は色彩値変動の補償は不要である。この意味で、色彩値変動の補償が必要な典型例は主走査方向に連続してドットが形成される画素の双方に対してインクを吐出する場合に後から形成されるドットであるが、むろんこの例に限定されるわけではない。すなわち、インク面が不安定な状態でインクが吐出される限りにおいて、隣接する3以上のドットに対してインクを吐出する場合等、種々の場合が該当する。
【0010】
補償インク量を決定する手法としては、種々の手法を採用可能であるが、その好適な例として請求項3に記載の発明では、色彩値の変動を補償するインク量を特定するためのデータとインク変動の発生割合を示すデータとを乗じた量を上記所定の基準インク吐出量から増減することで補償インク量を決定している。すなわち、色彩値の変動を補償するインク量を示すデータは、上記インク面が不安定な状態でインクを吐出した場合にインク面が安定な状態でインクを吐出した場合の色彩値と略同一の色彩値とするために増減すべきインク量を特定するデータであり、このインク量を把握することで一回のインク吐出での色彩値補償量を把握する。
【0011】
従って、色彩値の変動を補償するインク量を特定するためのデータとしては、一回のインク吐出での色彩値変動を補償するためのインク量を把握させるデータであればよく、インク面が安定な状態と不安定な状態とのそれぞれにおいて同じ色彩値のインクを吐出させるような階調値からインク量を特定してもよいし、各状態の色彩値からインク量を特定してもよく、種々の構成を採用可能である。また、上述のようにインク変動の発生割合と乗じて補償量を算出するために定数を乗じるなどして調整を行ってもよい。尚、色彩値の変動を補償するインク量を特定するためのデータは、例えばインク面が安定な状態と不安定な状態とでインクを吐出し、印刷物を測色することによって把握することができる。
【0012】
発生割合は、上記インク面が不安定な状態で吐出されるインクの発生割合であり、この発生割合を把握することで必要な補償回数等を把握することができる。発生割合は、一回の主走査で集計しても良いし、一枚の画像を印刷することを想定して集計しても良い。いずれにしても、印刷装置にてある画像を印刷するための印刷データを生成するアルゴリズムが決定した段階で上記発生割合を集計することができる。以上のようにして色彩値の変動を補償するインク量と発生割合とを把握することができれば、これらを乗じることによって適切な量で補償を行いつつ印刷を実行させるように印刷装置を制御することができる。
【0013】
ここで、上記色彩値の変動を補償するインク量と発生割合とは所定の記憶媒体に記憶されていれば良く、種々の態様を採用可能である。色彩値の変動を補償するインク量は上述のようにインク面の不安定性に依存しているため印刷装置の各機体毎に異なることが考えられ、印刷装置内の記憶媒体に記憶しておき、印刷制御装置が当該記憶媒体から色彩値の変動を補償するインク量を取得する構成とすると好ましい。発生割合は上述のように印刷データ生成のアルゴリズムに依存しているため同じアルゴリズムを使用する限りにおいて印刷装置の各機体毎に差異はない。そこで、印刷装置内の記録媒体に記憶しておいても良いし、印刷制御装置が印刷装置と別体のコンピュータにて形成される場合等は当該別体のコンピュータ内の記憶媒体に記憶しておけばよい。むろん、これらは一例であり、印刷制御装置が記憶媒体に記憶された色彩値の変動を補償するインク量と発生割合とを取得可能である限りにおいてこれらの態様に限定されるわけではない。
【0014】
以上のようにして決定したインク量での補償を実際に適用する構成としては種々の手法が採用可能である。かかる構成の例として請求項4にかかる発明では、一連の印刷制御処理にて印刷装置以外の他の画像機器で使用する画像データを印刷装置でのインク吐出量を特定するインク量データに色変換する処理を行う場合に、このインク量データを補正することで色彩値変動を補償する構成としてある。
【0015】
通常の印刷装置においては上記色変換の後にハーフトーン処理を行っており、上記インク量データを印刷装置が各画素ごとに表現可能な階調値に変換して1ドットにつき2階調や4階調で印刷を実行する。2階調は一定の力でインクを吐出する場合とインクを吐出しない場合とで階調表現をしており、4階調は3段階の力でインクを吐出する場合とインクを吐出しない場合とで階調表現をしている。本発明において階調変換後の階調値が限定されるわけではないが、いずれにしても印刷装置においてインクを吐出する力は一定である方が印刷装置の制御処理が単純である。
【0016】
そこで、インク量データ自体を補正すれば色彩値を補償した状態でハーフトーン処理を実行することができ、印刷装置においてインクを吐出する力を変動させる必要がない。具体的には、上記ハーフトーン処理のアルゴリズムおよび印刷装置で表現可能な1ドットあたりの階調が様々であるにしても、あるインク量データを想定したときにハーフトーン処理後の1ドットあたりの階調が特定されるので、当該インク量データに対してインク面が不安定な状態でのインク吐出の発生割合を把握することができる。この発生割合を所定の記憶媒体に記憶しておけば、色変換部による色変換後にインク量データを上記色彩値の変動を補償するインク量と発生割合とを乗じた値で補正することによって色彩値変動を補償をすることができる。
【0017】
この補正においては、色彩値の変動を補償するインク量と発生割合とを乗じた値をインク量から増減する。すなわち、インク面が不安定なときの色彩値が上記所定の基準インク吐出量での色彩値に対して変動するときに、色彩値をその変動の逆に変動させるようにインク量を増減する。例えば、色彩値として明度を採用したとき、インク面が不安定になることによって安定状態よりインク量が増大すると、安定状態と比較して明度が小さくなる。この場合、明度が大きくなるようにインク量を減じる補正を行う。つまり、不安定状態にて安定状態よりインク量が増大するのであればインク量を減少させる補正を行い、不安定状態にて安定状態よりインク量が減少するのであればインク量を増大させる補正を行う。以上の構成によって、インクを吐出させる力を特定の力としつつ色彩値補償をすることができるが、むろん、かかる構成に限定されるわけではなく、インクを吐出させる力を変動させて色彩値を補償しても良い。
【0018】
さらに、請求項5にかかる発明では、一連の印刷制御処理にて参照カラー画像データを参照することによって印刷装置以外の他の画像機器で使用する画像データを印刷装置でのインク吐出量を特定するインク量データに色変換する処理を行う場合に、色彩値を補償したインク量となるようにインク量を特定するインク量データを参照する構成としている。すなわち、色変換によって色彩値の補償を実施する。
【0019】
かかる構成においても、あるインク量データを想定したときにハーフトーン処理後の1ドットあたりの階調が特定されるので、当該インク量データに対してインク面が不安定な状態でのインク吐出の発生割合を把握することができ、上記色彩値の変動を補償するインク量と発生割合とを乗じた値で参照カラー画像データを参照すればよい。ここで、参照カラー画像データは、上記画像データとインク量データとの対応関係を規定するデータであればよく、いわゆる色補正ルックアップテーブルや所定の関数でこの対応関係を規定したプロファイル等種々の態様を採用可能である。色補正ルックアップテーブルを参照して色変換を実施する構成において、任意のインク量データは補間によって生成する。しかし、補間によって生成されるとしても、補償した色彩値を与えるインク量データを参照することで、任意のインク量データについて色彩値の補償が考慮されていると考えることができる。
【0020】
ヘッド駆動手段においては、色彩値変動を補償することができれば良く、基準インク吐出量を補正して色彩値を補償する構成としては種々の構成を採用可能である。すなわち、請求項6に記載した発明のように吐出するインク滴数の増減によって補償しても良いし、請求項7に記載した発明のように単位インク吐出回数毎の吐出量を調整して補償しても良い。
【0021】
前者の場合は、単位インク吐出回数毎の吐出量は一定としつつ、上述のようにデータ自体を補正する構成等によって単位面積あたりに記録されるインク滴の数を変動させ、実効的に補償がなされた色彩値を与えるインク量でインク滴を吐出する構成を採用可能である。後者の場合は、ピエゾ素子等によってインク室の体積を変動させる構成において当該ピエゾ素子等に対する印加電圧レベルを変動させることによって単位インク吐出回数毎の吐出量を変動させて色彩値を補償する構成を採用可能である。
【0022】
本発明においては、上記所定の基準インク吐出量として種々のインク吐出量を採用可能であり、請求項8に記載の発明のようにインク面が安定な状態でインクを吐出したときのインク量を基準とすれば、同じ機体で色彩値が変動することを防止することができる。請求項9に記載の発明のように特定の標準機においてインク面が不安定な状態でインクを吐出したときのインク量を基準とすれば、各機体間の差異を低減して標準機の発色に準拠させることができる。
【0023】
さらに、インク面の不安定に起因したインク変動を補償するに際して種々の変動要因を加味することができ、その構成例として請求項10に記載の発明では、インクの温度情報を取得することでインクの温度毎に異なる補償量としている。すなわち、温度が異なるとインクの粘度等が異なり、インクの吐出量を変動させる要因となる。そこで、温度毎に異なる補償量とすることでインク面の不安定状態および温度による色彩値変動に的確に対応し、安定的に高品質印刷を実行することができる。
【0024】
ここで、インクの温度情報を取得する構成としては種々のセンサ等によって実現可能であり、例えば、ヘッドにセンサを取り付けることによって直接または間接にインク温度を取得する構成であっても良い。むろん、温度変動による色彩値変動を補償することができればよいので、温度の値自体を検出することは必須ではなく、温度変化を段階的に把握することができればよい。温度情報を参照してインク量に反映させる手法も種々の手法が存在し、例えば、上記色彩値の変動を補償するインク量を温度別に計測するとともに温度別に色彩値の変動を補償するインク量を記憶しておき、上記取得した温度情報に基づいて適切な色彩値の変動を補償するインク量を選択するように構成すればよい。
【0025】
さらに、本発明においてインクの吐出後に上記ノズルのインク面が不安定な状態で再度インクを吐出する際に、基準インク吐出量からの色彩値の変動を補償する構成として、請求項11のようにインクを連続的に吐出する際の時間間隔が所定の時間以下であるときに、その場合の色彩値と所定の基準インク吐出量での色彩値との変動を補償するインク量を示すデータを参照することで、色彩値変動を補償する構成としても良い。すなわち、インクを連続的に吐出する際の時間間隔が短く、基準インク吐出量と比較して色彩値に変動が生じる場合に、本発明にかかる色彩値の補償を実施する。むろん、本発明においては、上述のように色変換の段階で補正を終えてしまうような構成を含むので、インクを連続的に吐出する際の時間間隔が所定の時間以下であるか否かを判別することは必須ではなく、インクを連続的に吐出する際の時間間隔が所定の時間以下である場合に実効的に補正がなされている構成であればよい。
【0026】
本発明にかかる印刷制御装置は単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。発明の思想の具現化例として印刷制御装置を制御するためのソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利用されるし、当該ソフトウェア自体としても発明は成立する。
【0027】
このため、請求項12,請求項13にかかる構成を採用しても良い。このとき、隣接する画素に対して連続的にインク滴を吐出する際の2回目以降のインク吐出での色彩値と所定の基準インク吐出量での色彩値との変動を補償するインク量示す色彩値補償情報と、画像データの各階調値において連続的に吐出されるインク滴が発生する割合を示す発生割合情報とを記憶しておき、当該色彩値補償情報と発生割合情報とから画像データの各階調値でのインク量変動の補償量を算出し、この算出値でインク量を変動させる構成を採用しても良い。この結果、高速および高解像度での色彩値量変動を補償したインク量での印刷が実行可能であり、高品質での印刷が可能である。むろん、請求項2〜請求項10に対応させた機能をコンピュータに実現させる構成も実現可能である。
【0028】
むろん、このプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。上記媒体とは異なるが、供給方法として通信回線を利用して行なう場合であれば通信回線が伝送媒体となって本発明が利用されることになる。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。
【0029】
また、このような印刷制御装置の制御においては各手段が所定の制御手順で処理を進めていく上で、その根底にはその手順に発明が存在するということは当然であり、方法としても適用可能である。このため、請求項14,請求項15のように構成しても良い。むろん、この場合も請求項2〜請求項10に対応させた工程からなる構成も実現可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)本発明の構成:
(1−1)インク面の不安定に起因した色彩値変動の割合:
(1−2)インク面の不安定に起因したインク量変動の発生割合:
(1−3)印刷制御処理:
(2)色彩値変動を補償した場合と補償しない場合の比較:
(3)他の実施形態:
【0031】
(1)本発明の構成:
図1は本発明にかかる印刷制御装置を構成するシステムの概略ハードウェア構成を示しており、図2はプリンタの概略ハードウェア構成を示している。コンピュータ10はROM13やRAM14からなるプログラム実行環境を備えており、システムバス12を介しデータを授受して所定のプログラムを実行可能である。システムバス12には外部記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)15とフレキシブルディスクドライブ16とCD−ROMドライブ17とが接続されており、HDD15に記憶されたOS20やアプリケーションプログラム(APL)25等がRAM14に転送され上記プログラムが実行される。
【0032】
本実施形態においては、このプログラム実行環境にて後述のプリンタドライバが実行されることによりコンピュータ10が印刷制御装置を構成する。従って、このプリンタドライバが印刷制御プログラムにも該当する。むろん、プリンタ本体にプログラム実行環境を構築し、プリンタ単体で印刷制御装置を形成しても良く、この場合は印刷制御装置および印刷制御プログラムがプリンタに内蔵される。
【0033】
コンピュータ10にはシリアル通信用I/O19aを介してキーボード31やマウス32等の操作用入力機器が接続されており、図示しないビデオボードを介して表示用のディスプレイ18も接続されている。さらに、プリンタ40とはUSB用I/O19bを介して接続が可能である。尚、本コンピュータ10としては、いわゆるデスクトップ型コンピュータであるが、ノート型であるとか、モバイル対応のものであっても良く種々の形態で実現可能である。また、コンピュータ10とプリンタ40の接続インタフェースも上述のものに限る必要はなくシリアルインタフェースやSCSI接続など種々の接続態様を採用可能であるし、今後開発されるいかなる接続態様であっても同様である。
【0034】
この例では各プログラムの類はHDD15に記憶されているが、記録媒体はこれに限定されるものではない。例えば、フレキシブルディスク16aであるとか、CD−ROM17aであってもよい。これらの記録媒体に記録されたプログラムはコンピュータ10にて読み込まれ、HDD15にインストールされる。インストール後にはHDD15を介してRAM14上に読み込まれてコンピュータを制御することになる。また、記録媒体はこれに限らず、光磁気ディスクなどであってもよい。また、半導体デバイスとしてフラッシュカードなどの不揮発性メモリなどを利用することも可能であるし、モデムや通信回線を介して外部のファイルサーバにアクセスしてダウンロードする場合には通信回線が伝送媒体となって本発明が利用される。
【0035】
一方、図2に示すように、プリンタ40内部に設けられたバス40aには、CPU41、ROM42、RAM43、ASIC44、コントロールIC45、USB用I/O46、イメージデータや駆動信号などを送信するためのインターフェイス(I/F)47、等が接続されている。そして、CPU41が、RAM43をワークエリアとして利用しながらROM42に書き込まれたプログラムに従って各部を制御する。ASIC44は図示しない印刷ヘッドを駆動するためにカスタマイズされたICであり、CPU41と所定の信号を送受信しつつ印刷ヘッド駆動のための処理を行う。また、ヘッド駆動部49に対して印加電圧データを出力する。
【0036】
コントロールIC45は、各インクカートリッジ48a〜48fに搭載された不揮発性メモリであるカートリッジメモリを制御するICであり、CPU41の制御によって、カートリッジメモリに記録されたインクの色や残量の情報の読み出しや、インク残量の情報の更新等がなされる。USB用I/O46はコンピュータ10のUSB用I/O19bと接続されており、プリンタ40はUSB用I/O46を介してコンピュータ10から送信されるデータを受信する。I/F47には、キャリッジ機構47aと紙送り機構47bとが接続されている。紙送り機構47bは、紙送りモータや紙送りローラなどからなり、印刷用紙などの印刷記録媒体を順次送り出して副走査を行う。キャリッジ機構47aは、印刷ヘッドを搭載するキャリッジを備え、キャリッジを往復動させて印刷ヘッドを主走査させる。
【0037】
ヘッド駆動部49は、専用ICと駆動用トランジスタ等からなる回路である。同ヘッド駆動部49は、ASIC44から入力される印加電圧データに基づいて印刷ヘッドに内蔵されたピエゾ素子への印加電圧パターンを生成する。印刷ヘッドは、KCMYlclm(順にブラック,シアン,マゼンタ,イエロー,ライトシアン,ライトマゼンタ)の6色のインクが充填されたインクカートリッジ48a〜48fを搭載可能なカートリッジホルダ48とインク別のチューブで接続されており、各インクの供給を受けるようになっている。
【0038】
印刷ヘッドのインク吐出部には、6色のインクのそれぞれを吐出する6組のノズル列が印刷ヘッドの主走査方向に並ぶように形成され、ノズル列のそれぞれでは複数のノズルが副走査方向に一定の間隔で配置されている。図3は、ノズルおよびその内部構造を拡大して示す図である。同図に示すように上記インクカートリッジ48a〜48f内のインクとインク室48gとは上記チューブを介して連通され、ヘッドの下側で開口したノズルNzの開口部にまでインクが供給されている。
【0039】
ピエゾ素子PEは上記ヘッド駆動部49が生成する印加電圧によって伸張/収縮し、インク室48gの容積を変動させる。この結果、上記ノズルNzの開口部からインク滴Ipが吐出され、当該インク滴Ipが印刷媒体に付着することによって印刷がなされる。このインク滴Ipが吐出された後には、インク滴Ipとして飛翔しないインクがインク室48gに残るが、その際にノズルNzの開口部付近でインク面が振動する。すなわち、ピエゾ素子PEに対して電圧が印加されていない通常の状態ではノズルNz開口部のインク面は安定的にヘッドの下面と略同一面を形成しているが、インク滴が吐出された直後にはインク面が振動する不安定状態になり、所定時間経過後に安定状態に戻る。
【0040】
図4は、この様子を示す図である。同図において横軸は時間であり、縦軸はインク面の変位量である。横軸の原点はピエゾ素子PEに対して電圧印加を開始した時間であり、縦軸の原点は上記安定状態でのインク面の位置を示している。すなわち、インク面がノズル下端面よりさらに下側にあるときを縦軸の負の値で示しており、ノズル下端面より上側にあるときは縦軸の正の値で示している。同図に示す時間Tbではインク面は安定しているので、主走査方向に連続的にインク滴Ipを吐出する場合であっても当該時間Tbに達してから次のインク滴Ipを吐出するように構成すれば、インク滴Ipの吐出量は安定する。
【0041】
(1−1)インク面の不安定に起因した色彩値変動の割合:
しかし、この安定状態のみを利用するためにはあるインク滴Ipを吐出してから次のインク滴を吐出するまでに時間Tbの待機が必要になる。高速印刷を実現するためには、インク滴の連続吐出に際してなるべく待機時間が短い方がよい。また、高解像度の印刷を実現するためには1主走査あたりにインクを吐出する回数が増加するので、待機時間を一定にするとその分印刷速度が低下してしまう。そこで、本実施形態においては、上記時間Tb以降においてのみインク滴を吐出するのではなく、例えば、時間Taにおいてもインク滴を吐出するように構成して高速印刷と高解像度とを実現している。図4に示す時間Taは時間Tbの1/4の時間間隔であるから、解像度としては4倍になる。
【0042】
時間Taにおいてインク滴を吐出すると、インク面が不安定であることに起因して時間Tbでのインク滴と比較して吐出量が変動してしまう。この結果、同じ画像データに基づいて印刷を実行するのであっても時間Taと時間Tbとで印刷物の色彩値が変動してしまう。そこで、本発明にかかる色彩値変動の補償を適用することによって、各インク滴それぞれにおいてのインク量が変動することは許容しつつも、最終的に得られる印刷結果としては上記時間Tb以降においてのみインクを吐出した場合と同等の色彩値になるようにインク量を調整し、印刷品質を低下させないようにしている。
【0043】
このために、本実施形態においては上記ROM42に対して色彩値補償データ42aが書き込まれており、後述するプリンタドライバでの処理にて利用できるようにしてある。色彩値補償データ42aは上記時間Tbでのインク吐出量における色彩値と時間Taでのインク吐出量における色彩値との変動を補償するためのデータであり、階調値の変動割合Dを示す値である。ROM42には後述するインク量データI毎の変動割合Dをコンピュータにて認識可能なデータが上記色彩値補償データ42aとして記憶されいている。
【0044】
図5はこの変動割合Dを説明するための説明図であり、横軸は階調値、縦軸は明度である。この図に示す曲線は、あるインク色について階調値を変化させて印刷を実施したときに得られる印刷物の明度である。この曲線は上から順に基準インク量(時間Tbでのインク量)と比較して重量が少なくなる場合、基準インク量の場合、基準インク量と比較して重量が多くなる場合について明度変化を示している。すなわち、階調値の増大とともにインク量が増大し、得られる印刷物の明度は低下する。インク量の増大に伴って印刷物の明度が低下するので、時間Taでインクを吐出することによって基準インク量よりインク量が少なくなると、同じ階調値でも得られる印刷物の明度が高くなる。時間Taでインクを吐出することによって基準インク量よりインク量が多くなると、同じ階調値でも得られる印刷物の明度が低くなる。
【0045】
そこで、本実施形態では色彩値として明度を考え、この明度変動を補償するために階調値の変動割合Dを考える。ある階調値Iにおける変動割合Dは、基準インク量にて明度Lを与える階調値Bと、変動したインク量にてこの明度Lを与える階調値AとからD=(A−B)/Bにて算出される。つまり、変動割合Dは色彩値に影響を与えるパラメータについて、変動による差分を基準インク量でのパラメータ値で除したものであり、この変動割合Dを階調値Iに乗じた値に階調値Iを加え、得られる階調値にて不安定状態でのインク吐出をさせると、安定状態で得られる明度と一致する。すなわち、一回のインク吐出当たりで安定状態と不安定状態との双方の明度を一致させることができる。従って、この変動割合Dは色彩値の変動を補償するインク量を示すデータであると言える。
【0046】
尚、本実施形態における補正は後述のように式I+I・C・Dによって行っており、階調値Bは階調値Iと等しいため相殺されるので、変動割合として(A−B)と定義し、式I+C・Dによって補正を行っても良いが、パラメータとして階調値以外の量、例えば、明度等の色彩値自体を採用した場合には、変動割合Dの分母は相殺されないので、本実施形態では上述のようにDを定義している。
【0047】
本実施形態において各階調値毎に変動割合Dを算出するためには、図5に示すような基準インク量での明度変化とインク量が増減した状態での明度変化を各階調値毎に把握する必要がある。このためには種々の手法を採用可能であるが、例えば、基準インク量およびインク量が増減した状態で単位面積当たりにインクを記録しない状態からデューティ制限の上限まで記録する状態まで、総ての状態で印刷を実行する構成を採用可能である。
【0048】
この場合、インクを記録しない状態を階調値”0”、デューティ制限の上限まで記録する状態を階調値”255”とし、各状態での明度値を測色することによって図5に示す関係を取得することができる。むろん、総ての状態について印刷を実行せずに、一部の状態について印刷を実行し、他の状態については補間演算等によって算出しても良い。また、本実施形態において、変動割合Dは階調値自体を使用しているが、後述の発生割合Cと乗じることによって階調値の補償量を得ることができればよく、変動割合Dや階調値に対して所定の係数を乗じて補償量を得られるようにするなど、種々の調整を実施可能である。
【0049】
ROM42は当該色彩値補償データ42aを記憶しておき、読み出し可能に提供できればよいので、種々のROMを適用可能であるが、上述のようにインク量を計測してから書き込むという意味では、プリンタ40の組み上げ後にデータを書き込むことが可能なEEPROM等を利用するのが好ましい。尚、上記図4に示すグラフは一例であり、ノズル形やピエゾ素子への電圧パターンによってインク面は種々の変化をする。また、インク吐出タイミングとして時間Ta以外の時間でインクが吐出されることもありうる。すなわち、このインク吐出タイミングは解像度に依存している。
【0050】
図6はコンピュータ10にて実現される印刷装置の主な制御系の概略構成図を示している。上記プリンタ40はコンピュータ10にインストールされたプリンタドライバに制御されて印刷を実行するようになっており、プリンタドライバはコンピュータ10を印刷制御装置として機能させる。具体的には、プリンタドライバ(PRTDRV)21と入力機器ドライバ(DRV)22とディスプレイドライバ(DRV)23とがOS20に組み込まれている。ディスプレイDRV23はディスプレイ18における画像データ等の表示を制御するドライバであり、入力機器DRV22はシリアル通信用I/O19aを介して入力される上記キーボード31やマウス32からのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付ける。
【0051】
APL25は、カラー画像のレタッチ等を実行可能なアプリケーションプログラムであり、利用者は当該APL25の実行下において上記操作用入力機器を操作し、画像データ15aが示す画像をレタッチするなどして印刷指示を行うことができる。APL25にて印刷指示がなされると上記PRTDRV21が駆動され、後述するLUT15bを参照して色変換を実行し、さらにハーフトーン処理等を実行しつつ印刷データを作成し、上記プリンタ40に印刷データを送出することによって印刷を実行する。
【0052】
すなわち、LUT15bは、RGBデータとKCMYlclmデータとの対応関係を規定するテーブルであり、所定数の参照点についてRGBデータとKCMYlclmデータとの各色階調値の組み合わせが規定されている。例えば、RGBデータについて、RGBの各要素色毎に256階調の階調値域を16分割して参照点を形成し、RGB各色について階調値「0,16,32,、、、255」の総ての組み合わせを規定するなどして参照点を規定する。
【0053】
色変換時には、色変換モジュール21bが各参照点を参照して補間演算を行い、より多数の参照点を有する中間テーブルに展開するとともに、当該中間テーブルの参照点を参照した補間演算によって上記画像データ15aの各画素についてRGBデータをKCMYlclmデータに変換する。むろん、LUTとしては、プリンタ40にて使用可能なメディアやインクセット毎に異なるテーブルを作成し、適宜選択可能に構成することもできる。尚、本実施形態において上記画像データ15aはRGBの各要素色を階調表現したドットマトリクス状のデータであり、sRGB規格に準拠したデータである。むろん、LUT15bにおいてはsRGBデータの具体的な値をデータとして有する構成の他、予め決められた順番に特定のRGBデータの組について色を規定することとし、RGBデータの具体的な値を省いても良い。
【0054】
色変換モジュール21bが色変換を実施すると画像は各ドットについてKCMYlclmの各色について256階調で色成分を表現したデータとなっている。本実施形態にかかるプリンタ40においては各ドットについてインク滴を付着させる、あるいは付着させないという2階調で階調表現しており、ハーフトーン処理モジュール21cは各ドットのKCMYlclm階調値を各色成分毎に変換してインク滴の記録密度で表現するためのハーフトーン処理を行う。尚、各色成分毎に階調値を変換してハーフトーン処理を実行するためのアルゴリズムは種々のものが存在し、本実施形態においては、ディザ法を利用しているが、むろん誤差拡散等種々の手法を採用することができるし、利用者選択等によって適宜アルゴリズムを選択しても良い。
【0055】
いずれにしても、ハーフトーン処理後には画像を構成するドットマトリクスの各ドットについて、インク滴を吐出するか否かを特定するデータとなっており、本実施形態においては、各画素1ビットのデータで表現するとともに当該データが”0”のときはインク滴非吐出、当該データが”1”のときはインク滴吐出を示している。この後、印刷データ生成モジュール21dはノズルデータ変換処理を行う。すなわち、プリンタ40においては上記ヘッドに上記吐出ノズルNzが列状に形成されており、当該ノズル列では副走査方向に複数の吐出ノズルが並設されるため、副走査方向に数ドット分離れたデータが同時に使用される。
【0056】
そこで、主走査方向に並ぶデータのうち同時に使用されるべきものがプリンタ40にて同時にバッファリングされるように順番に並べ替えるノズルデータ変換処理を行う。この変換処理の後、画像の解像度などの所定の情報を付加して印刷データを生成し、上記USB用I/O19bを介してプリンタ40に出力すると、プリンタ40においては当該印刷データに基づいて上記ディスプレイ18に表示された画像を印刷する。このプリンタ40においては、この印刷データに基づいて印刷を実行する。
【0057】
(1−2)インク面の不安定に起因したインク量変動の発生割合:
以上のようにノズルデータ変換処理が行われたデータについて各主走査線毎に見てみると、各主走査線においてインク滴の吐出/非吐出を特定するデータが、例えば”0011101100...”などのように順番に現れることになり、このデータにおいて”1”が連続していると上記不安定状態でのインク吐出が発生しうるか否かを判定することができる。すなわち、隣接するドットの双方でインク滴Ipを吐出する場合に、上記図4に示す時間Tbより早いタイミングで連続ドットのインク滴Ipを吐出する必要があるか否かは、上記各主走査線毎のデータビット列および印刷解像度や印刷モードを特定した段階で決定することができる。
【0058】
従って、上記プリンタドライバ21の各モジュールにて実行されるアルゴリズムが決定されれば、特定の解像度や特定のモードでの印刷時に上記不安定状態でのインク吐出が実行されるか否かを特定することができ、本実施形態においては、色彩値補償のために予め不安定状態でのインク吐出の発生割合をデータ化しておく。図7は、この発生割合の例を示す図である。同図においては、上記色変換後のKCMYlclmデータの各階調値(階調値0〜255)について、不安定状態でのインク吐出が発生する割合を示している。本実施形態では、上記ビット列にて”1”が2個以上連続している場合に不安定状態が発生するとしており、同図は2個目以降の”1”が全体に対して占める割合である。尚、同図の縦軸は発生割合Cを%単位で表しており、横軸はKCMYlclmデータの各階調値である。
【0059】
同図において、波線で示した曲線は解像度が1440×720dpiの場合の発生割合Cである。実線で示した曲線は解像度が720×720dpiであって、1ラインのドットを二回の走査で完成させるいわゆるフルオーバーラップ処理を行う場合の発生割合Cである。同図に示すように解像度や印刷モードによって発生割合Cは異なってくるので、予め各解像度および印刷モードにおいて上記KCMYlclmデータの各階調値について上記色変換モジュール21b,ハーフトーン処理モジュール21c,印刷データ生成モジュール21dでの処理を行っておき、図7に示すデータを把握しておく。そして、発生割合データ15cとしてHDD15に保存する。
【0060】
この発生割合データ15cは、予めプリンタ40の製造者が作成しておき、プリンタドライバ21のインストール時等にHDD15に書き込むのが好ましい。いずれにしても、上記図7に示す、各階調値と発生割合Cとの対応関係を把握できるような発生割合データ15cを解像度や印刷モード毎に保存しておき、プリンタドライバ21によって印刷を実行する際の解像度や印刷モードに応じて適切な発生割合データ15cを適宜取得するようになっている。尚、解像度等によって連続吐出時の吐出時間Taを変化させる場合には、上記プリンタ40に示す色彩値補償データ42aも異なるので、各解像度毎に色彩値補償データ42aを記憶して、適宜利用する等の構成を採用しても良い。
【0061】
(1−3)印刷制御処理:
本発明においては、上記色変換モジュール21b,ハーフトーン処理モジュール21c,印刷データ生成モジュール21dで実行するアルゴリズムが決定した時点で上述の発生割合データ15cを特定することができ、プリンタ40における上記インク吐出量の測定によって上記色彩値補償データ42aを特定することができる。そこで、予めこれらのデータを上記HDD15およびROM42に記憶させておき、上記色変換モジュール21b,ハーフトーン処理モジュール21c,印刷データ生成モジュール21dで実行する一連の処理に対して補正処理を付加することによって色彩値補償を実現することができる。
【0062】
以下、フローチャートに沿って色彩値補償を実現するための処理を説明する。利用者が上記APL25にて印刷実行を指示すると、図8に示すフローに従って印刷処理を実行する。印刷処理が開始されるとステップS100において上記画像データ取得モジュール21aは上記RAM14に格納された画像データ15aを取得する。ステップS110においては、上記画像データ15aの画素数と印刷に必要な画素数が整合しない場合に両者を整合させるための解像度変換を実行する。
【0063】
すなわち、APL25にて印刷実行するときには、利用者の指示に応じて解像度や印刷モードを予め決定することができ、決定された解像度での印刷に必要な画素数と画像データ15aの画素数とが一致していない場合には、補間処理等によって画像データ15aの画素数を増減する。むろん、解像度が一致しているときには、このステップS110をスキップして良い。
【0064】
解像度変換処理が行われると、画像データ取得モジュール21aが上記色変換モジュール21bを起動する。色変換モジュール21bは、ステップS120にて上記HDD15に記憶されたLUT15bを取得し、補間処理によってLUTを上記中間テーブルに展開して、上記RAM14に記憶する。色変換モジュール21bは階調値補正モジュール21b1を備えており、ステップS130にて上記中間テーブルの階調データであってインク量を特定するKCMYlclmデータを補正する。
【0065】
すなわち、上記中間テーブルに規定された参照点はRGBデータとKCMYlclmデータとの対応関係を規定しており、このKCMYlclmデータの各階調値IをI+I・C・Dで置換する。すなわち、上記USB用I/O19bを介して所定の命令を出力することによってプリンタ40が出力する色彩値補償データ42aを取得し、HDD15から印刷中の解像度および印刷モードに対応した発生割合データ15cを取得する。本実施形態において、発生割合Cおよび変動割合Dは上述のように階調値Iの各値によって異なるので、KCMYlclmデータの階調値ごとに対応する発生割合Cおよび変動割合Dの値を代入する。
【0066】
上述のように変動割合Dは(A−B)/Bで規定されるので、上記図4の時間Taでのインク吐出のように時間Tbでのインク吐出より吐出量が増大する場合には上記階調値A<Bとなって変動割合Dは負の値となる。従って、インク量データとしての階調値Iを減じる補正を行う。基準インク量より吐出量が減少する場合には上記階調値B<Aとなって変動割合Dは正の値となる。従って、インク量データとしての階調値Iを増大させる補正を行う。
【0067】
本実施形態においては、上述のように中間テーブルに規定されたKCMYlclmデータのそれぞれについて上記発生割合Cと変動割合Dとを乗じた値を基のデータ値に加えることによって、KCMYlclmデータの各値についてインク量が補償されているとし、ステップS140以降の処理を実行する。ステップS140では、上記中間テーブルを参照して上記ステップS100にて取得したRGBデータをKCMYlclmデータのドットデータに変換する。従って、この変換後のデータは既に色彩値補償が施されたデータである。
【0068】
色変換モジュール21bが色変換を行って色彩値補償されたKCMYlclmデータを生成すると、ステップS150にて上記ハーフトーン処理モジュール21cが起動され、当該KCMYlclmデータがハーフトーン処理モジュール21cに受け渡される。ハーフトーン処理モジュール21cは、ディザ法によって当該KCMYlclmデータを変換し、変換後の記録密度でインクを付着させるためのヘッド駆動データを生成する。印刷データ生成モジュール21dはかかるヘッド駆動データを受け取って、ステップS160にてプリンタ40で使用される順番に並べ替える。そして、この並べ替えられたデータを印刷データとして出力する。
【0069】
(2)色彩値変動を補償した場合と補償しない場合の比較:
以上のようにして、印刷を実行した場合の印刷結果においては、上記インク面が不安定であることに起因する色彩値の変動が補償されており、以下、この補償の様子を色彩値変動補償を行わない場合と比較して説明する。図9は、色彩値変動を補償した場合と補償しない場合とを説明するための説明図である。同図においては、左から右に向けてデータが処理される時系列的な流れを示しており、上側に色彩値補償をしない場合、下側に色彩値補償をした場合を示している。
【0070】
色彩値補償をしない場合には、同図上側に示すように、RGBデータはLUT15bから生成される中間テーブルを参照することによってKCMYlclmデータに変換され、ハーフトーン処理およびノズルデータ変換処理によって各主走査線については”0””1”のデータが連続したビット列Rになる。このビット列Rにおいて、特定の解像度では”1”が2個以上連続する場合にインク面が不安定な状況でインクが吐出される。従って、インク面が安定するまで待つことによって印刷速度を遅くして印刷を行った場合と比較してインク吐出量が変動し、色彩値が変動してしまう。
【0071】
一方、インク量を補償する場合には、上記LUT15bが中間テーブルに展開される際に、発生割合データ15cと色彩値補償データ42aとを利用してKCMYlclmデータがK’C’M’Y’lc’lm’データに補正される。従って、入力画像を構成するRGBデータはこの補正後の中間テーブルを参照した色変換によって上記KCMYlclmデータと異なるK’C’M’Y’lc’lm’データに変換される。このK’C’M’Y’lc’lm’データは色彩値補償がなされたデータであり、このデータに対してハーフトーン処理およびノズルデータ変換処理を行うことによって各主走査線につき”0””1”のデータが連続したビット列R’になる。
【0072】
ここで、色彩値補償をする場合としない場合との双方を比較すると、同じRGBデータについて処理を行っても最終的に生成されるビット列は異なっている。前者においても、ビット列R’にて”1”が連続したビット列を含むので、このデータによって印刷を行った場合、”1”が連続している場合とそうでない場合とでインク量が異なってくる。しかし、このデータはLUT15bを補正した後に色変換処理等を実行することによって生成されているので、色彩値変動を加味し、それを補償したデータとなっている。すなわち、本実施形態の場合、図9の右上に示すビット列Rと右下に示すビット列R’とでは後者の方が、全体としてインク量が多くあるいは少なくなっており、このインク量変動は色彩値変動を解消するような変動量である。従って、色彩値変動が補償された印刷結果を得ることができる。
【0073】
本発明においては、インク面の不安定に起因する色彩値変動を補償することができればよいので、上記印加電圧パターンを変更することによってインク滴の容量を一回ごとに調整しても良い。しかし、本実施形態のようにインク滴の容量を変動させないものの、KCMYlclmデータの時点で補正を行う構成を採用すれば、従来と同様の一連の印刷処理およびプリンタの構成を踏襲しつつもわずかなデータの補正のみで補償を実施することができ、印加電圧パターンを変更するなどの微妙な調整が不要であり、非常に簡単に高品質印刷を実行可能である。
【0074】
(3)他の実施形態:
本発明においては、インク面が不安定であることに起因して変動する色彩値変動を補償することができればよく、上記第1実施形態にかかる構成が必須というわけではなく、他にも種々の構成を採用することができる。
例えば、上記ハーフトーン処理モジュール21cではディザ法を利用してハーフトーン処理を行っていたが、このディザ法において各種ディザマトリクスを利用することができるし、ディザ法以外においても誤差拡散等、種々の手法を利用することができる。いずれにしても、ハーフトーン処理の手法を決定すれば、色変換モジュール21bでの変換結果としてのKCMYlclmデータの各値についてハーフトーン処理やノズルデータ変換処理後のビット列を特定することができるので、上記発生割合データ15cを特定することができる。
【0075】
むろん、プリンタドライバ21のプロパティ画面等によってハーフトーン処理の手法を選択可能に構成しておき、選択された手法に対応した発生割合データ15cを利用するようにしても良い。また、ハーフトーン処理モジュール21cにて各ドットについて2値に変換することが必須ではない。例えば、4値に変換しても良い。すなわち、各ドットについてインクを吐出しない状態と大中小の各ドット径(インク量の差異)でインクを吐出する状態との4つの状態で階調表現する場合に適用しても良い。
【0076】
この場合、ハーフトーン処理後のデータとして例えば1ドットにつき2ビットを割り当て、”00””01””10”11”の各ドットにてインク非吐出,小中大ドット吐出を表現する構成を採用可能である。かかる構成において、隣接するドットについて連続的にインクを吐出する際にインク面が不安定な状態でのインク吐出が発生する場合、”01””10”11”が2回以上連続するか否かによって色彩値補償をするか否かを決定することができる。
【0077】
吐出されるインクのドット径に応じてインク面振動が異なるので、各ドット径での連続吐出時の色彩値変動を計測し、その変動を補償する色彩値補償データ42aとすれば、各ドット径での吐出の発生割合データ15cを記録しておくことによって、連続するドットの径に応じてインク量を補償することができる。むろん、ドット径によって振動が異なり、小ドットの場合にはインク面が不安定な状態で吐出しないが、大ドットの場合にはインク面が不安定な状態で吐出するという状況もあり得るので、この場合は、連続吐出時にインク面が不安定な状態で吐出されるインクについてのみインク量を補償するように構成しても良い。
【0078】
上述の第1実施形態では、印刷モードとしてフルオーバーラップ処理を行う場合と行わない場合とを示したが、本発明はインク面が不安定な状態での吐出インク量に影響を与えうる総ての印刷モードに適用することができる。すなわち、印刷モードの差異によって上記色彩値補償データ42aや発生割合データ15cが変動する場合、各印刷モード毎にこれらの色彩値補償データ42aや発生割合データ15cを記憶しておき、印刷モードに対応した色彩値補償を行っても良い。
【0079】
さらに、上記第1実施形態では、色変換モジュール21bにおいてLUT15bを展開して中間テーブルにした段階で階調値補正モジュール21b1による補正を行っていたが、この段階で補正を行うことが必須となるわけではない。例えば、中間テーブルの段階では補正を行わず、色変換モジュール21bでの色変換を行った後の各画像データをIとして、上記I+I・C・Dを適用しても良い。この例においては、色変換後の画素のそれぞれについて色彩値補償を行うので各画素について正確な補償量でインク量を特定することができる。一方、上記第1実施形態においては、中間テーブルの段階で補正を行うので、画像データの全画素数分の補正を行う必要が無く、中間テーブルの参照点数分の補正を行うことによって実効的に全画素についての色彩値補償をも行っており、高速な処理が可能である。
【0080】
さらに、上記プリンタ40においては、KCMYlclmの6色のインクを使用可能であったが、4色や7色などであってもよく色数は限定されない。また、上記第1実施形態ではコンピュータ10にて色彩値補償のための処理を行っていたが、むろん、プリンタ40内で行っても良いし、各種コンピュータによって分散処理を行っても良い。また、上記色彩値補償データ42aや発生割合データ15cについても、補正の際に取得できれば良く、その保存場所も特に限定されない。
【0081】
さらに、上記第1実施形態においては、インク面が安定な状態での吐出インク量における色彩値とインク面が不安定な状態での吐出インク量における色彩値とを計測することにより、両者の色彩値が一致する階調値に基づいて色彩値を補償するための値を算出していたが、他の構成も採用可能である。図10は他の算出例を示す図である。この例では、上記第1実施形態と同様に中間テーブルの階調値Iを置換する構成であるが、その式が異なっており、I+C・D・Dで置換する。
【0082】
すなわち、発生割合Cについても上記第1実施形態と同様であるが、インク量変動に起因する色彩値の補償量を定義する項がD・Dであり、上記第1実施形態と異なっている。Dは安定状態で吐出されたインク量と不安定状態で吐出されたインク量との変動割合であり、上記図4に示す時間Tbでのインク吐出量Bと時間Taでのインク吐出量Aとから、D=(A−B)/Bにて算出される値である。
【0083】
項Dは、式I+C・D・Dの第二項が色彩値変動の補償量に相当する階調値になるように種々の構成を採用可能であり、図10に示す色彩値補償データ42a1は変動させるべき階調値をインクの変動量および階調値毎に記述したデータである。すなわち、インク変動量がDである場合の色彩値変動は元の階調値(上記式のI)に依存し得るので、変動させるべき階調値をインクの変動量Dおよび階調値I毎に規定している。
【0084】
上記発生割合Cは各階調値におけるインク変動の発生割合を示すので、インクの変動量Dに対して乗じることにより、階調値Iについてハーフトーン処理を行った場合のインク変動量に相当する。そこで、C・D・Dを算出することにより、階調値Iについて補正すべき階調値を算出することが可能になる。このように、色彩値変動補償を行うための色彩値補償データ42a1として、インク量の変動を考慮したデータを採用することも可能であり、かかる構成においても高速および高解像度での印刷と高品質の印刷を両立させることが可能である。
【0085】
尚、色彩値補償データ42a1がインク量の変動に依存する状況にすることで、経時的な変動に応じることが可能になる。すなわち、プリンタ40の出荷時点では、上記安定状態と不安定状態とのインク変動量は一定であるが、プリンタ40の運用に従って、その変動量が変わることもあり得る。色彩値補償データ42a1がインク量の変動に依存していれば、インク変動量が変わったとしてもその変動量に対応した色彩値補償データ42a1を取得することができる。従って、プリンタ40にて経時的な変動が生じた場合であっても、高品質の印刷を実施することができる。
【0086】
さらに、色彩値補償データ42a1をより単純に構成することも可能である。例えば、色彩値変動が元の階調値(上記式のI)に依存する程度が小さい場合には各階調値について一定とすることとし、図10の42a2,42a3に示すように色彩値補償データが上記ドット毎のインク量変動Dや階調値Iに対するインク量変動C・Dに依存する構成としても良い。
【0087】
さらに、上記第1実施形態ではインク面が安定な状態でのインク吐出量を所定の基準インク吐出量としていたが、基準としてはこの他にも種々の基準を採用可能である。例えば、ある特定の機体を標準機とし、この標準機と色彩値補償対象となる機体とでの色彩値変動を補償する構成としても良い。この場合、標準機においてインクの連続吐出(インク面不安定に起因する色彩値変動)を加味してLUT15b等を作成しておく。また、このLUT15b等を利用して色彩値補償対象となる機体においてインクの連続吐出および非連続吐出により印刷を行って色彩値補償のための階調値補償割合を把握する。そして、インクの連続吐出時にその発生割合と当該階調値補償割合とを乗じることによって上記と同様に色彩値を補償することができる。むろん、標準機において、上記第1実施形態と同様の色彩値補償を行い、さらに他の機体において標準機との吐出量の差異を計測しておくことにより、標準機との差異の補償をも実行するように構成しても良い。
【0088】
さらに、インクの粘度は温度依存性があるので、インク面の不安定性は温度の影響を受けると考えられ、このような温度の影響を加味した補償を行っても良い。例えば、インクの温度を変動させつつインクを吐出させ、インクの温度毎に上記色彩値補償データ42aを記憶しておき、上記ノズルが形成されたヘッドに対して温度センサを配設することによってインクの温度を取得し、当該取得したインクの温度に対応した色彩値補償データ42aを利用して色彩値補償を実施する構成等を採用可能である。むろん、上記温度センサはインクの温度を直接的あるいは間接的に取得可能であればどのようなセンサであっても良い。
【0089】
さらに、上記第1実施形態のようなデータの補正ではなく、上述の印加電圧パターンを変更することによってインク量を補償する構成を採用することもむろん可能である。この場合、上記コンピュータ10において、階調値補正モジュール21b1を構成せず、発生割合データ15cと色彩値補償データ42aとによる補正を行わないで色変換モジュール21b,ハーフトーン処理モジュール21c,印刷データ生成モジュール21dとによる処理を行い、色彩値変動を補償しない状態でプリンタ40に印刷データを転送する。
【0090】
プリンタ40においては、やはりROM42に変動割合Dを示す色彩値補償データ42aを保存しておく。そして、上記転送される印刷データをRAM43にバッファリングし、バッファリングしたデータを参照して全ノズル列あるいは各色ノズル列毎について連続的にインク吐出を行う割合Nrを計測する。そして、色彩値補償データ42aを参照してインク変動量D・Nrを計算するとともにASIC44に当該インク変動量D・Nrを示すデータを出力する。
【0091】
ASIC44では、当該インク変動量D・Nrを補償した量のインク滴を吐出するようにピエゾ素子PEを駆動する印加電圧パターンを発生する。この結果、ヘッド駆動部49は色彩値変動を補償したインク量でインク滴を発生させることができる。ASIC44においては、予め変動量D・Nrを補償した量のインク滴を吐出するための印加電圧パターンを記憶しておいても良いし、代表的な変動量とその変動量を補償した印加電圧パターンとの対応関係を規定したテーブルやプロファイル等を記憶しておいて逐次適切な印加電圧パターンを算出しても良い。
【0092】
むろん、かかる構成において上記割合Nrを全ノズル列について算出する場合には、全ノズル列における色彩値変動の平均値を予め取得しておき、変動割合Dを示す色彩値補償データ42aとすればよいし、各色ノズル列毎に割合Nrを算出する場合には各色ノズル列毎に変動割合Dを示す色彩値補償データ42aを記憶しておく構成を採用可能である。また、この構成において、駆動電圧を全ノズル毎あるいはノズル列毎に調整するので、各ノズルから吐出される個々のインク滴の量が個別に補償されるわけではないが、多数のインク滴について平均的に見ればインク量が補償されていることになる。
【0093】
このように、ピエゾ素子PEに対する印加電圧パターンを調整する構成としては他にも種々の構成を採用可能である。例えば、ASIC44においてインク面が安定的な状態でインクを吐出する場合の印加電圧パターンと、インク面が不安定な状態でインクを吐出する場合にインク面が安定的な状態でのインク吐出量と同量の吐出を行う印加電圧パターンとを生成可能に構成しておき、プリンタ40にてバッファリングしたデータから各ドットでの吐出が連続的な吐出であるか否かを判別する。そして、非連続であれば前者の印加電圧パターンでピエゾ素子を駆動し、連続していれば後者の印加電圧パターンでピエゾ素子を駆動する。かかる構成によれば、各ノズルから吐出される各インク滴毎に色彩値変動を補償した状態で吐出を行うことができる。むろん、この構成において、印刷モードや条件に応じて色彩値変動が異なる場合は、さらに多くの印加電圧パターンを生成可能に構成しておいて、適宜対応する印加電圧パターンにてインク吐出を実行するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷制御装置の概略ハードウェア構成を示す図である。
【図2】プリンタの概略ハードウェア構成を示す図である。
【図3】印刷ヘッドのインク吐出部を示す図である。
【図4】インク面が振動する状態を示す図である。
【図5】変動割合の例を示す図である。
【図6】印刷装置の主な制御系の概略構成図を示す図である。
【図7】発生割合の例を示す図である。
【図8】印刷制御処理のフローチャートである。
【図9】色彩値変動を補償した場合と補償しない場合とを説明する説明図である。
【図10】他の実施形態における補正を説明する説明図である。
【符号の説明】
10…コンピュータ、11…CPU、12…システムバス、13…ROM、14…RAM、15…ハードディスクドライブ(HDD)、15a…画像データ、15b…LUT、15c…発生割合データ、16…フレキシブルディスクドライブ、17…CD−ROMドライブ、18…ディスプレイ、20…OS、21…プリンタドライバ(PRTDRV)、21a…画像データ取得モジュール、21b…色変換モジュール、21b1…階調値補正モジュール、21c…ハーフトーン処理モジュール、21d…印刷データ生成モジュール、22…入力機器ドライバ(DRV)、23…ディスプレイドライバ(DRV)、25…アプリケーションプログラム(APL)、31…キーボード、32…マウス、40…プリンタ、41…CPU、42…ROM、42a…色彩値補償データ、43…RAM、44…ASIC、45…コントロールIC、47a…キャリッジ機構、47b…紙送り機構、48a〜48f…インクカートリッジ、48g…インク室、49…ヘッド駆動部

Claims (15)

  1. インクを吐出する複数のノズルを備えるヘッドを備えた印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
    インクの吐出後に上記ノズルのインク面が不安定な状態で再度インクを吐出するにあたり、当該インク面の不安定に起因して所定の基準インク吐出量からインク吐出量が変動することによって色彩値が基準インク吐出量での色彩値から変動する際に、当該色彩値の変動を補償したインク量でインク滴を吐出させるヘッド駆動手段を備えることを特徴とする印刷制御装置。
  2. 上記ヘッド駆動手段は、主走査方向にヘッドを駆動しているときに連続してインクを吐出する際に上記補償したインク量でインク滴を吐出させることを特徴とする上記請求項1に記載の印刷制御装置。
  3. 上記インク面が安定な状態でインクを吐出したときの色彩値と上記インク面が不安定な状態でインクを吐出したときの色彩値との変動を補償するインク量を示すデータおよび上記インク面が不安定な状態で吐出されるインクの発生割合とを示すデータが所定の記憶媒体に記憶されており、上記ヘッド駆動手段は上記色彩値の変動を補償するインク量と発生割合とを乗じた量を上記所定の基準インク吐出量から増減することによって上記補償したインク量を決定することを特徴とする上記請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷制御装置。
  4. 上記ヘッド駆動手段は、他の画像機器で使用する画像データを印刷装置に搭載されたインク量を特定するインク量データに色変換する色変換部を備え、上記色変換部によって色変換して得られるインク量データから上記色彩値の変動を補償するインク量と発生割合とを乗じた量を増減することを特徴とする上記請求項3に記載の印刷制御装置。
  5. 上記ヘッド駆動手段は、他の画像機器で使用する画像データを印刷装置に搭載されたインク量を特定するインク量データに色変換する色変換部を備え、当該色変換部は上記画像データと上記補償したインク量を特定するインク量データとの対応関係を規定した参照カラー画像データを参照して色変換を実行することを特徴とする上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷制御装置。
  6. 上記ヘッド駆動手段は、上記基準インク吐出量での色彩値からの変動を吐出インク滴数の増減によって補償することを特徴とする上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷制御装置。
  7. 上記ヘッドは印加電圧によってインク室の体積変化を生じさせるマイクロポンプ機構を備え、上記ヘッド駆動手段は上記印加電圧を制御することによって上記ノズルからインク滴を吐出させることが可能であり、当該印加電圧レベルを調整することで吐出インク滴の量を増減させて上記所定の基準インク吐出量での色彩値からの変動を補償することを特徴とする上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷制御装置。
  8. 上記所定の基準インク吐出量は、インク面が安定な状態でインクを吐出したときのインク量であることを特徴とする上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の印刷制御装置。
  9. 上記所定の基準インク吐出量は、特定の標準機においてインク面が不安定な状態でインクを吐出したときのインク量であることを特徴とする上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の印刷制御装置。
  10. 上記インクの温度情報を取得する温度情報取得手段を備え、上記ヘッド駆動手段は当該温度情報取得手段によって取得した温度情報を参照し、温度毎に異なるインク量でインク滴を吐出させることを特徴とする上請求項1〜請求項9のいずれかに記載の印刷制御装置。
  11. インクを吐出する複数のノズルを備えるヘッドを備えた印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
    インクを連続的に吐出する際の時間間隔が所定の時間以下であるときに、その場合の色彩値と所定の基準インク吐出量での色彩値との変動を補償するインク量を示すデータを参照し、当該色彩値からのずれを補償したインク量でインク滴を吐出させるヘッド駆動手段を備えることを特徴とする印刷制御装置。
  12. インクを吐出する複数のノズルを備えるヘッドを備えた印刷装置を制御する印刷制御プログラムであって、
    インクの吐出後に上記ノズルのインク面が不安定な状態で再度インクを吐出するにあたり、当該インク面の不安定に起因して所定の基準インク吐出量からインク吐出量が変動することによって色彩値が基準インク吐出量での色彩値から変動する際に、当該色彩値の変動を補償したインク量でインク滴を吐出させるヘッド駆動機能をコンピュータに実現させることを特徴とする印刷制御プログラム。
  13. インクを吐出する複数のノズルを備えるヘッドを備えた印刷装置を制御する印刷制御プログラムであって、
    インクを連続的に吐出する際の時間間隔が所定の時間以下であるときに、その場合の色彩値と所定の基準インク吐出量での色彩値との変動を補償するインク量を示すデータを参照し、当該色彩値からのずれを補償したインク量でインク滴を吐出させるヘッド駆動機能をコンピュータに実現させることを特徴とする印刷制御プログラム。
  14. インクを吐出する複数のノズルを備えるヘッドを備えた印刷装置を制御する印刷制御方法であって、
    インクの吐出後に上記ノズルのインク面が不安定な状態で再度インクを吐出するにあたり、当該インク面の不安定に起因して所定の基準インク吐出量からインク吐出量が変動することによって色彩値が基準インク吐出量での色彩値から変動する際に、当該色彩値の変動を補償したインク量でインク滴を吐出させることを特徴とする印刷制御方法。
  15. インクを吐出する複数のノズルを備えるヘッドを備えた印刷装置を制御する印刷制御方法であって、
    インクを連続的に吐出する際の時間間隔が所定の時間以下であるときに、その場合の色彩値と所定の基準インク吐出量での色彩値との変動を補償するインク量を示すデータを参照し、当該色彩値からのずれを補償したインク量でインク滴を吐出させることを特徴とする印刷制御方法。
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JP2006341608A (ja) * 2005-06-09 2006-12-21 Xerox Corp インクジェットプリンタ性能調整

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