JP2005028599A - ヘッドキャップ及びこれを備えた液滴吐出装置、並びに電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヘッドキャップ52のキャップパッキン341を、液滴吐出ヘッド231のノズル面233に密着させて、ノズル面233に形成したノズル234を封止するヘッドキャップ52であって、キャップパッキン341とノズル面に密着する環状凸部342とを、一体に形成し、環状凸部342の断面が環の外側に開いた略横V字形状に形成されているものである。
【選択図】 図9
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドに代表される液滴吐出ヘッドのノズル面を封止するヘッドキャップ及びこれを備えた液滴吐出装置、並びに電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液滴吐出ヘッドのノズルからワークに向けて機能液滴を吐出して描画するような液滴吐出装置においては、機能液を液滴吐出ヘッドに充填して吐出可能状態にする初期充填や、液滴吐出ヘッドの各ノズルのクリーニング(ヘッドクリーニング)をするために、液滴吐出ヘッドのノズルから機能液を吸引する吸引装置が設けられている。
また、液滴吐出装置は、非稼動状態のときに、液滴吐出ヘッドのノズルを封止して保護するとともに、機能液の乾燥を防止するヘッド保護装置も備えている。
これら吸引装置やヘッド保護装置に共通するキャップ機構は、液滴吐出ヘッドのノズル面に密接させて、液滴吐出ヘッドのノズルを封止するヘッドキャップを含むキャップユニットと、キャップユニットを支持するキャップ支持機構と、キャップユニットをキャップ支持機構を介して、液滴吐出ヘッドに対して離接させる離接機構と、を備えている。
【0003】
この場合、ヘッドキャップは、内側に吸収材を敷設した、カップ形状のキャップ本体と、弾性体材料で形成され、キャップ本体の開口部周縁に取付けられた断面略台形形状のシール部材とで、構成されている。ヘッドキャップをヘッドのノズル面に圧接すると、断面台形形状のシール部材が圧縮変形して、ヘッドキャップとノズル面とがなじむように密着する(例えば、特許文献1および2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−79697号公報
【特許文献2】
特開平11−179927号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、液滴吐出ヘッドのノズルからワークに向けて機能液滴を吐出して描画するような液滴吐出装置を用い、液晶表示装置や有機EL表示装置等を製造することが考えられている。かかる場合、ヘッドキャップを形成する材料は、機能液に対する耐蝕性を考慮する必要があり、例えば、有機EL装置の製造に用いる機能液に対して耐蝕性に優れるフッ素系ゴム等を用いる必要がある。しかし、フッ素系ゴムは、弾性率が低く、単純な圧縮変形ではノズル面への密着が不充分となり、ヘッドキャップとノズル面との間で空気のリークが生じ易い。このため、十分な吸引を実施するためには、空気のリークを考慮して、吸引時間を長く設定しなければならず、吸引作業に時間がかかるとともに、機能液の無駄な消費が多くなるという課題があった。また、空気のリークにより、ノズルの乾燥防止の効果も損なわれるという課題もあった。
【0006】
本発明は、キャップパッキンの形状をノズル面になじみやすい形状とすることで、空気のリークを抑制することができるヘッドキャップ及びこれを備えた液滴吐出装置、並びに電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のヘッドキャップは、液滴吐出ヘッドのノズル面に密着させて、ノズル面に形成した多数のノズルからなるノズル列を封止するヘッドキャップにおいて、キャップ凹部を形成したキャップ本体と、キャップ凹部の開口周縁部に設けられ、ノズル列を封止するキャップパッキンとを、備え、キャップパッキンは、開口周縁部に取付けられる環状基部と、環状基部から密着方向に延び、前記ノズル面に密着する環状凸部とを、有し、環状凸部は、先端側が外側に向かって拡開形成されていることを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、キャップパッキンの環状凸部が環の外側に傾いているため、キャップパッキンがノズル面に押付けられると、環状凸部の壁には、押付け方向の圧縮力と、傾いた方向に曲げる曲げ力(分力)とが加わる。環状凸部の壁は圧縮されるとともに、先端部が広げられるように変形するため、同じ圧接力でより大きな変形量を生ずることになる。従って、ヘッドキャップのノズル面への押付け量(変形ストローク)を大きくすることができ、環状凸部における周方向の各部を、対応するノズル面の各部に倣って変形させることができる。また、封止状態で内部を負圧にして吸引作業などを実施するが、環状凸部の傾いた壁にかかる外気圧は、壁の傾きを起こすように、すなわち壁の先端をノズル面に押付けるように作用するため、より好適なノズルの密封状態が維持される。
【0009】
本発明のヘッドキャップは、液滴吐出ヘッドのノズル面に密着させて、ノズル面に形成した多数のノズルからなるノズル列を封止するヘッドキャップにおいて、キャップ凹部を形成したキャップ本体と、キャップ凹部の開口周縁部に設けられ、ノズル列を封止するキャップパッキンとを、備え、キャップパッキンは、開口周縁部に取付けられる環状基部と、環状基部から密着方向に延び、前記ノズル面に密着する環状凸部とを、有し、環状凸部は、断面が環の外側に開いた略横V字形状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
これらの構成によれば、キャップパッキンの環状凸部は、断面が環の外側に開いた略横V字形状に構成されているため、キャップパッキンがノズル面に押付けられると、キャップパッキンの環状凸部の壁は曲げられて、V字の開口が閉じるように変形する。パッキンの壁が曲げられ、V字の開口が閉じるように変形するとともに、先端部が周方向に広げられるように変形するため、同じ圧接力で、より大きな離接方向の変形を生ずることになる。従って、ヘッドキャップのノズル面への押付け量(変形ストローク)を大きくすることができ、環状凸部における周方向の各部を、対応するノズル面の各部に倣って変形させることができる。また、封止状態で内部を負圧にして吸引作業などを実施するが、キャップパッキンの環状凸部の傾いた壁にかかる外気圧は、略横V字形状を押し広げ、壁の先端をノズル面に押付けるように作用するため、より好適なノズルの密封状態が維持される。
【0011】
本発明のヘッドキャップは、液滴吐出ヘッドのノズル面に密着させて、ノズル面に形成した多数のノズルからなるノズル列を封止するヘッドキャップにおいて、キャップ凹部を形成したキャップ本体と、キャップ凹部の開口周縁部に設けられ、ノズル列を封止するキャップパッキンとを、備え、キャップパッキンは、開口周縁部に取付けられる環状基部と、環状基部から密着方向に延び、前記ノズル面に密着する環状凸部とを、有し、環状凸部は、その先端面が、内向きに傾斜する斜面で形成されていることを特徴とする。
【0012】
これらの構成によれば、キャップパッキンの環状凸部の頂部が内側に傾いた斜面であるため、キャップパッキンがノズル面に押付けられると、環状凸部の頂部には、押付け方向の圧縮力と、押付け方向と直角な外側向きの力とが加わる。環状凸部は圧縮されるとともに、先端部が周方向に広げられるように変形するため、同じ圧接力でより大きな変形量を生ずることになる。従って、ヘッドキャップのノズル面への押付け量(変形ストローク)を大きくすることができ、環状凸部における周方向の各部を、対応するノズル面の各部に倣って変形させることができる。また、封止状態で内部を負圧にして吸引作業などを実施するが、環状凸部の傾いた壁にかかる外気圧は、パッキンの壁の先端をノズル面に押付けるように作用するため、より好適なノズルの密封状態が維持される。
【0013】
本発明のヘッドキャップは、液滴吐出ヘッドのノズル面に密着させて、ノズル面に形成した多数のノズルからなるノズル列を封止するヘッドキャップにおいて、キャップ凹部を形成したキャップ本体と、キャップ凹部の開口周縁部に設けられ、ノズル列を封止するキャップパッキンとを、備え、キャップパッキンは、開口周縁部に取付けられる環状基部と、環状基部から密着方向に延び、前記ノズル面に密着する環状凸部とを、有し、環状凸部は、環状基部から密着方向に傾くように内側に張出す凸基部と、凸基部の先端部に突設された密着部で形成されていることを特徴とする。
【0014】
これらの構成によれば、キャップパッキンがノズル面に押付けられると、環状基部から密着方向に傾くように内側側に張出す凸基部には、先端側を反密着方向に曲げる曲げ応力が働き、大きな変形量が得られる。その大きな変形量が得られる凸基部の先端に支えられた凸先部は、押付け方向の柔軟性に富み、ノズル面になじみ易い。さらに、ノズル面と接触する凸先部の頂部の幅をとって、キャップパッキンとノズル面との接触面積を大きくすることが容易であり、キャップパッキンとノズル面の密着状態を維持することができる。
【0015】
この場合、キャップパッキンの環状凸部は、平面視略トラック形状に形成されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、環状凸部の平面視コーナー部分のアールを最も大きくできる。上記したように、キャッピング時にキャップパッキンの環状凸部は大きく変形するが、コーナー部分が大きなアールとなるため、環状凸部の内側と外側の伸び量の内外差を小さくすることができる。従って、キャップパッキンの周方向において、比較的均一に変形させることができる。
【0017】
この場合、キャップパッキンは、フッ素系ゴムで形成されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、耐蝕性に優れ、機能液などの溶媒に侵される可能性が小さくなり、各種の機能液に対し、汎用的に使用できる。
【0019】
本発明による液滴吐出装置は、上記したヘッドキャップと、液滴吐出ヘッドを搭載するとともに、液滴吐出ヘッドをワークに対向させ、ワークに対し、液滴吐出ヘッドを相対移動させながら機能液滴を選択的に吐出する描画手段と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、キャッピング時の空気のリークを極力少なくすることができるため、適切なキャッピング(封止)を実現することができ、好適な初期充填やヘッドクリーニングを実施でき、液滴吐出ヘッドの状態を好適に保って、良好な液滴吐出ができる液滴吐出装置が実現できる。
【0021】
本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、液滴吐出ヘッドからワーク上に機能液滴を吐出して成膜部を形成したことを特徴とする。
【0022】
同様に、本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、液滴吐出ヘッドからワーク上に機能液滴を吐出して成膜部を形成することを特徴とする。
【0023】
これらの構成によれば、適切なキャッピングを実現することができ、好適な初期充填やヘッドクリーニングを実施でき、液滴吐出ヘッドの状態を好適に保って、良好な液滴吐出が実現できる液滴吐出装置を用いて製造されるため、信頼性の高い電気光学装置を製造することが可能となる。
なお、電気光学装置としては、液晶表示装置、有機EL(Electro−Luminescence)装置、電子放出装置、PDP(Plasma Display Panel)装置および電気泳動表示装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface−conduction Electoron−Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、各種表示装置に用いるカラーフィルタは元より、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。
【0024】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置または上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、適切なキャッピングを実現することができ、好適な初期充填やヘッドクリーニングを実施でき、液滴吐出ヘッドの状態を好適に保って、良好な液滴吐出が実現できる液滴吐出装置を用いて製造される信頼性の高い電気光学装置を搭載したため、信頼性の高い電子機器を実現できる。
電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータの他、各種の電気製品がこれに該当する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明のヘッドキャップ52を適用して構成した液滴吐出装置1について説明する。本実施形態の液滴吐出装置1は、いわゆるフラットパネルディスプレイの一種である有機EL装置の製造ラインに組み込まれるものであり、有機EL装置の各画素となる発光素子を形成するものである。
【0027】
液滴吐出装置1は、搭載した液滴吐出ヘッド231により、基板(ワーク)W上に、発光材料(機能液)を吐出して有機EL装置のEL発光層および正孔注入層を形成する。この液滴吐出ヘッド231の吐出動作を含む一連の製造工程は、チャンバ装置(図示省略)で構成するドライエアーの雰囲気中で行うようにしている。図1および図2に示すように、液滴吐出装置1は、液滴吐出ヘッド231を搭載した描画装置2と、液滴吐出ヘッド231の保守等に用いる各種の装置から成るメンテナンス装置3とを備えている。
【0028】
描画装置2は、床上に設置した架台21と、架台21上に設置した石定盤22と、石定盤22上に設置したX軸テーブル25およびこれに直交するY軸テーブル26と、Y軸テーブル26に吊設するように設けたメインキャリッジ261と、メインキャリッジ261に搭載したヘッドユニット23とを備えている。描画装置2には、この他にも、ヘッドユニット(液滴吐出ヘッド231)23の位置認識を行うヘッド認識カメラ28や、ワークWの位置認識を行うためのワーク認識カメラ29、ワーク(基板)Wに吐出した機能液滴の描画結果を観察するための描画観察カメラ30、後述する真空ポンプ33を駆動させるための吸引用スイッチユニット9等の各種の装置が備えられている。
【0029】
また、描画装置2は、描画装置2に機能液を供給する機能液供給装置31、および後述する吸着テーブル251に連なるワークW吸着用の真空ポンプ33を備えている。そして、液滴吐出装置1には、制御装置が接続されており(図示省略)、制御装置により、描画装置2およびメンテナンス装置3の統括制御が行われている。
【0030】
機能液供給装置31は、3個の液滴吐出ヘッド231に、それぞれR・G・B3色の機能液を供給するものであり、ケース311内に、R・G・B3色の機能液タンクを有している(図示省略)。また、ケース311の下側には、これらを支持する装置架台312が設けられており、装置架台312には、圧縮エアー供給装置32が組み込まれている。なお、3個の機能液タンクから延びる機能液チューブや、圧縮エアー供給装置32から延びるエアーチューブは、一箇所に纏められ、チャンバルーム(図示省略)の後部から描画装置2に取り込まれる(図示省略)。
【0031】
X軸テーブル25は、石定盤22上に直接設置されており、ワークWをセットするための吸着テーブル251と、吸着テーブル251を支持するθテーブル252と、θテーブル252をX軸方向にスライド自在に支持するX軸エアースライダ(図示省略)と、θテーブル252および吸着テーブル251を介して、ワークWをX軸方向に移動させるX軸リニアモータ(図示省略)と、X軸エアースライダに併設したX軸リニアスケール(図示省略)と、を備えている。X軸テーブル25では、X軸リニアモータの駆動により、θテーブル252とワークWを吸着セットした吸着テーブル251とが、X軸エアースライダを案内にしてX軸方向に移動する。
【0032】
なお、X軸リニアモータ、X軸エアースライダ、およびX軸リニアスケールは、X軸に対して平行に配設されており、X軸ボックス253内に収容されている。また、θテーブル252には、上記したヘッド認識カメラ28が固定されており、吸着テーブル251に対して、ヘッドユニット23の位置を補正可能となっている。
【0033】
Y軸テーブル26は、石定盤22に立設されたスタンド付のY軸フレーム(図示省略)に載置されており、X軸テーブル25を跨ぎ、X軸テーブル25に直交する方向に延在している。Y軸テーブル26は、ヘッドユニット23を搭載したメインキャリッジ261と、Y軸フレームにスライド自在に支持され、メインキャリッジ261を支持するY軸エアースライダ(図示省略)と、Y軸エアースライダを介して、ヘッドユニット23をY軸方向に移動させるY軸リニアモータ(図示省略)と、Y軸エアースライダに併設したY軸リニアスケール(図示省略)と、を有している。
【0034】
また、Y軸フレームには、Y軸エアースライダの他に、エアースライダ(図示省略)がスライド自在に支持されており、エアースライダには、上記したワーク認識カメラ29が固定されている。そして、Y軸リニアモータの駆動により、ワーク認識カメラ29もY軸方向へ移動するようになっている。なお、描画観察カメラ30は、吐出処理されたワークWに、機能液が適切に塗布(着弾)されているか否かの観察にも用いられる。
【0035】
そして、ヘッドユニット23は、ヘッドユニット23を支持し、ヘッドユニット23の高さを調整可能なヘッド昇降機構24を介してメインキャリッジ261に搭載されている。ヘッドユニット23には、サブキャリッジ(図示省略)を介して、複数(3個)の液滴吐出ヘッド231が搭載されている。特に詳細は図示しないが、液滴吐出ヘッド231は、液滴を吐出するノズル234を形成したノズルプレート232を備え、ノズル234が開口しているノズル面233が吸着テーブル251に臨むように、サブキャリッジに配設されている。また、サブキャリッジには、R・G・B3色の機能液に対応して3個の液滴吐出ヘッド231が搭載されており、これら液滴吐出ヘッド231は、主走査方向に対し所定の角度傾けて相互に平行に配設されている。
【0036】
本実施形態の液滴吐出装置1では、液滴吐出ヘッド231の駆動(機能液滴の選択的吐出)に同期してワークWが移動する構成であり、液滴吐出ヘッド231のいわゆる主走査は、X軸テーブル25のX軸方向への往復動作により行われる。また、これに対応して、いわゆる副走査は、Y軸テーブル26により液滴吐出ヘッド231のY軸方向への往動動作により行われる。
【0037】
次に、メンテナンス装置3について説明する。メンテナンス装置3は、液滴吐出ヘッド231の保守を行うと共に、液滴吐出ヘッド231から適切に機能液が吐出されているか否かの検査を行い、液滴吐出ヘッド231による機能液の吐出を安定させるためのものである。
【0038】
メンテナンス装置3は、図1の右側から順に、液滴吐出ヘッド231から吐出された機能液の重量を測定する重量測定ユニット7と、液滴吐出ヘッド231から予備吐出された機能液を受けるためのフラッシングユニット4と、液滴吐出ヘッド231の吸引を行う吸引ユニット5と、液滴吐出ヘッド231のノズル面233に付着する汚れを払拭するためのワイピングユニット6と、液滴吐出ヘッド231から吐出される機能液の吐出状態を検査するための吐出検査ユニット8とを、備えており、これら各ユニットは、吸着テーブル251の周囲に集約的に配設されている。なお、上記フラッシングユニット4は、試験用に用いるものであり、実稼動時には、吸引ユニット5のキャップユニット51が、フラッシングユニット4の機能液受を兼ねている。また、フラッシングを効率良く行うために、吸着テーブル251の前後には、描画時のフラッシングを受ける一対の描画時フラッシングボックス255が配設されている(図1参照)。
【0039】
吸引ユニット5は、液滴吐出ヘッド231を吸引することにより、液滴吐出ヘッド231のノズル234から機能液を強制的に排出させるものである。例えば、交換した液滴吐出ヘッド231に新たに機能液の充填(初期充填)を行う場合や、液滴吐出ヘッド231内で増粘した機能液を除去するための吸引(クリーニング)を行う場合に、吸引ユニット5は用いられる。また、吸引ユニット5は、吐出検査ユニット8における、吐出された機能液の受けとしても用いられる。このため、吐出検査ユニット8は、吸引ユニット5に併設するようにして設けられている(図3参照)。
【0040】
図3および図4に示すように、吸引ユニット5は、ヘッドユニット23に搭載された液滴吐出ヘッド231に密着させる3個のヘッドキャップ52と、3個のヘッドキャップ52を支持するトレイ状のキャップベース53とからなるキャップユニット51を備えるとともに、各ヘッドキャップ52を介して液滴吐出ヘッド231の吸引を行う吸引ポンプ(図示省略)と、キャップユニット51を支持するキャップスタンド55と、を備えている。また、図2に示すように、キャップユニット51は、Y軸方向を移動するヘッドユニット23に下側から臨むように、ヘッドユニット23の移動軌跡上に配設されている。そして、ヘッドユニット23をキャップユニット51に臨ませた後、上記したヘッド昇降機構24を駆動してヘッドユニット23を下降させて、液滴吐出ヘッド231をヘッドキャップ52に密着させるようになっている。
【0041】
キャップベース53には、3個の液滴吐出ヘッド231に対応した3個のヘッドキャップ52を取付けるための3つの取付け開口(図示省略)が、相互に平行に形成されている。ヘッドキャップ52は、下部を取付け開口に挿入し、キャップベース53にねじ止めすることにより、キャップベース53に固定されている。また、3つの取付け開口の周囲は、浅溝となっており、キャップベース53は、フラッシングで飛散した機能液滴を受けるべく、全体としてトレイ状に形成されている。キャップスタンド55は、共通支持フレーム58に立説したスタンド部59に支持されている。さらに、キャップスタンド55には、キャップベース53から漏れ出した機能液を受ける廃液パン393が、キャップベース53の直下に臨んで配設されている。
【0042】
次に、ヘッドキャップ52の詳細な構成について、説明する。図5は、ヘッドキャップ52の外観斜視図であり、図6は、ヘッドキャップ52の断面図である。各ヘッドキャップ52は、液滴吐出ヘッド231のノズル面233に密着させるキャップ部321と、2本のキャップばね391を介して、キャップ部321を離接方向に摺動自在に保持するキャップホルダ部371と、で構成されている。
【0043】
キャップホルダ部371は、平面視略長方形のキャップホルダベース572と、キャップホルダベース372の上面に立設した一対のスプリングガイドピン374と、キャップホルダベース372の長辺方向両端部の上面に取り付けた一対のキャップ押え377とで、構成されている。各スプリングガイドピン374には、上記のキャップばね391が装着されている。
【0044】
キャップホルダベース372は、長辺方向両端が高くなった側面視凹字形状をしており、低い部分の中間位置には、後述するL字継手337が遊嵌する逃がし穴373が形成され、また、逃がし穴373の両側には上記のスプリングガイドピン374が立設されている。各キャップ押え377は、キャップホルダベース372に直交するように延在しており、平面視長方形の押え本体378と、押え本体378の外側の側面から張り出した固定用突起部379と、内側の側面に形成され、後述するキャップ本体331の係合突起部335と係合する係合部380と、で断面クランク形状に形成されている。係合部380の内部側面には、後述する係合突起部335の係合凹部336と係合する係合凸部381が、一体に形成されている。すなわち、係合部380は、その係合凸部381により、キャップ部321の離接方向の摺動をガイドし、かつその天面により、キャップ部321の突出端位置を位置規制している。
【0045】
キャップ部321は、上面に液滴吐出ヘッド231のノズル面233を包含するキャップ凹部333を一体に形成したキャップ本体331と、キャップ凹部333の周縁部に取り付けられ、上記したノズル列235を包含するようにノズル面233に密着するように形成されたキャップパッキン341と、キャップパッキン541をキャップ本体331に固定しているキャップパッキン押え351と、キャップ凹部333の底部に形成された吸引孔334に接続され、吸引用の接続チューブ(図示省略)を介して吸引ポンプ(図示省略)に接続されるL字継手337とで、構成されている。また、キャップ凹部333には、吸収材366が2枚敷設されており、吸収材366は吸収材押え枠367によって押え付けられている。
【0046】
キャップ本体331の上面には、環状略方形の突起である凹部縁突起332がキャップ本体331と一体に形成されており、凹部縁突起332で囲まれる凹部が、キャップ凹部333に相当する。キャップ本体331の下面には、上記スプリングガイドピン374に臨んで、キャップばね391が当接する一対の窪み部338が、形成されている。また、キャップ本体331の長辺方向両端下部からは、一対の係合突起部335が張り出すように一体に形成されている。係合突起部335の上面は、上記したキャップ押え377の係合部380の天面に下側から当接し、キャップばね391に抗してその突出端位置が規制されるようになっている。また、各係合突起部335の外側端面には上下方向に延在する凹部である係合凹部336が形成され、係合凹部336は、上記したキャップ押え377に一体に形成されている係合凸部381と上下方向摺動自在に係合し、キャップ部321の摺動を案内している。なお、キャップ部321の平面長辺方向の位置は、キャップ本体331が一対のキャップ押え377の間に挟まれて、規定されている。
【0047】
キャップパッキン押え351は、方形形状で、中央に形成した方形のパッキン開口353と、パッキン開口353の周囲に薄肉に形成したパッキン押え片354と、上面のパッキン開口353と外周の間を凹ませて形成した機能液受け部352とで、一体に形成されている。後述するキャップパッキン341の基部本体347を、パッキン押え片354の下面で押えて、キャップパッキン341をキャップ本体331に押圧固定している。機能液受け部352は、上記したフラッシング時などに、機能液がキャップパッキン341から溢れたり、機能液滴が飛散したりした場合に、機能液を受けて、液垂れなどを防止するのに用いられる。
【0048】
図7と図8は、それぞれキャップパッキン341の外観図と、断面図である。キャップパッキン341は、機能液に対する耐蝕性を考慮し、シリコンゴムやフッ素系ゴムで構成されており、ノズル面233に密着する環状凸部342と、環状凸部342を支える環状基部346とで、一体に形成されている。環状基部346は、鍔状に形成した基部本体347と、基部本体347の上端内周側から立ち上がった突出部348とで、断面L字状に形成されている。環状凸部342は、突出部348の上端から内向きに延在する内向き片部343と、内向き片部343の先端から立ち上がった先端接触片部344とから成り、この先端接触片部344が外側向かって拡開形成されている。
【0049】
この場合、環状凸部342の平面視形状は、凹部縁突起332の形状に合わせて、略長方形に形成されている。一方、環状凸部342(先端接触片部344)の平面視形状は、一対の直線部位と、両直線部位を結ぶ一対の円弧部位とでトラック形状(略長円形)に形成されている。より詳細には、先端接触片部344で構成される各円弧部位は、大きな曲率半径の2つのコーナーアールを短い直線部で連結した形状となっている。
【0050】
キャップパッキン341は、突出部348と内向き片部343とで、キャップ本体331の凹部縁突起332を覆うように取付けられ、基部本体347をキャップパッキン押え351のパッキン押え片354で押えて、キャップ本体331に固定されている。
【0051】
キャッピング状態のキャップパッキン341は、内向き片部343が撓んで、その先端部が、吸収材押え枠367に当接し基端側が幾分盛り上がるように変形する。それとともに、拡開形成されている先端接触片部344が、さらに外側に広がるように深く撓む(図9参照)。このように変形することで、キャップパッキン341とノズル面233とが周方向に亘って隙間なく密着する。これにより、キャップパッキン341とノズル面233とキャップ凹部333とで、ノズル234を密閉する空間が形成される。
【0052】
先端接触片部544の端部が広げられるように変形するため、圧接力でより大きな変形量を生ずる。また、内向き片部343も、圧接力を受けて変形する。従って、ヘッドキャップ52のノズル面233への押付け量(変形ストローク)を大きくすることができ、押付け量が変動しても、キャップパッキン341とノズル面233との密着状態を維持することができる。
【0053】
さらに、上記したように、本実施形態においては、環状凸部342の平面視形状が、トラック形状をしており、環状形状を形成する円弧の曲率半径を大きくして、周方向の伸びの内外周差を小さくし、上記変形量の周方向の均一化を図っている。
【0054】
キャッピング状態で、吸引ポンプを駆動すると、上記の密封空間を介して、ノズル234から機能液を吸引することができる。初期充填やヘッドクリーニングなどの目的に応じて、適宜吸引量を定めて吸引ポンプの駆動を制御することにより、初期充填やヘッドクリーニングを適切に実施することができる。また、ノズル234が臨む密封空間は小容積であり、キャッピング状態のノズル234からの機能液溶剤の蒸発が抑制できる。
【0055】
環状凸部342の断面形状は、上記した形状の他に、図10に示したような形状のものでもよい。図10(a)に示した環状凸部442は、先端接触片部444が突出部348の先端から立ち上がり、この先端接触片部444が外側向かって拡開形成されている。キャップパッキン341がノズル面233に押付けられると先端接触片部444の端部が広げられるように変形するため、同じ圧接力でより大きな変形量を生ずることができる(図10(a)二点鎖線形状参照)。従って、ヘッドキャップ52のノズル面233への押付け量(変形ストローク)を大きくすることができ、押付け量が変動しても、キャップパッキン341とノズル面233との密着状態を維持することができる。また、封止状態で内部を負圧にして吸引作業などを実施すると、キャップパッキン341の先端接触片部444の傾いた壁にかかる外気圧は、先端接触片部444の頂部をノズル面233に押付けるように作用するため、より好適なノズル234の密封状態が維持される。
【0056】
環状凸部342の断面形状は、上記した形状の他に、図10(b)に示したような形状のものでもよい。図10(b)に示した環状凸部452は、先端接触片部454が突出部348の先端から立ち上がり、この先端接触片部454の頂部が、内向きに傾斜する斜面455で形成されている。キャップパッキン341がノズル面233に押付けられると、先端接触片部454の頂部には、押付け方向の圧縮力と、押付け方向と直角な外側向きの分力とが加わる。先端接触片部454は圧縮されるとともに、先端部が広げられるように変形するため、同じ圧接力でより大きな変形量を生ずることができる(図10(b)二点鎖線形状参照)。従って、ヘッドキャップ52のノズル面233への押付け量(変形ストローク)を大きくすることができ、押付け量が変動しても、キャップパッキン341とノズル面233との密着状態を維持することができる。また、封止状態で内部を負圧にして吸引作業などを実施するが、先端接触片部454の傾いた壁にかかる外気圧は、先端接触片部454の頂部をノズル面233に押付けるように作用するため、より好適なノズル234の密封状態が維持される。
【0057】
環状凸部342の断面形状は、上記した形状の他に、図10(c)に示したような形状のものでもよい。図10(c)に示した環状凸部462は、突出部348の上端から内向きに且つ密着方向に傾くように延在する傾斜内向き片部443と、傾斜内向き片部443の先端の密着方向に突設された断面半円状の密着突起445とで形成されている。キャップパッキン341がノズル面233に押付けられると、傾斜内向き片部443には、先端側を反密着方向に曲げる曲げ応力が働き、大きな変形量が得られる(図10(c)二点鎖線形状参照)。従って、ヘッドキャップ52のノズル面233への押付け量(変形ストローク)を大きくすることができ、押付け量が変動しても、キャップパッキン341とノズル面233との密着状態を維持することができる。また、大きな変形量が得られる傾斜内向き片部443の先端に形成された密着突起445は、押付け方向の高さが小さいため、押付け方向の柔軟性に富み、ノズル面233になじみ易い。さらに、ノズル面233と接触する密着突起445の先端は断面半円状であり、傾斜内向き片部443の傾き如何によらず、密着突起445とノズル面233との接触状態は一定であり,キャップパッキン341とノズル面233の密着状態を維持することができる。
【0058】
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置(FED装置、SED装置)等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。
【0059】
先ず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図11は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図12は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S1)では、図12(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0060】
続いて、バンク形成工程(S2)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図12(b)に示すように、基板501及びブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図12(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において液滴吐出ヘッド231により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0061】
以上のブラックマトリクス形成工程及びバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置精度が向上する。
【0062】
次に、着色層形成工程(S3)では、図12(d)に示すように、液滴吐出ヘッド231によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、液滴吐出ヘッド231を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライブ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0063】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S4)に移り、図12(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、基板501を個々の有効画素領域毎に切断することによって、カラーフィルタ500が得られる。
【0064】
図13は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図12に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0065】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、及び、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0066】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図13において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料により形成されている。
【0067】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0068】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0069】
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、液滴吐出ヘッド231で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を液滴吐出ヘッド231で行うことも可能である。
【0070】
図14は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0071】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0072】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0073】
図15は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0074】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0075】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561及び信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0076】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0077】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0078】
次に、図16は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0079】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603及び陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602及び基板601を透過して観測者側に出射されるとともに、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602及び基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0080】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607a及びドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0081】
また、回路素子部602には、下地保護膜606及び半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609及びゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0082】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0083】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0084】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613及び機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、及び、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0085】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0086】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層を更に形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成する事も可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物を用いる。
【0087】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、又は青色(B)の何れかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。
また、第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層120aに対して不溶なものが好ましく、例えば、シクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることができる。このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0088】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0089】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0090】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図17〜図25を参照して説明する。
この表示装置600は、図17に示すように、バンク部形成工程(S21)、表面処理工程(S22)、正孔注入/輸送層形成工程(S23)、発光層形成工程(S24)、及び対向電極形成工程(S25)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0091】
まず、バンク部形成工程(S21)では、図18に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図19に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0092】
表面処理工程(S22)では、親液化処理及び撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aa及び画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618s及び有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、液滴吐出ヘッド231を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0093】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置1のX軸テーブル25に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S23)及び発光層形成工程(S24)が行われる。
【0094】
図20に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S23)では、液滴吐出ヘッド231から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図21に示すように、乾燥処理及び熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0095】
次に発光層形成工程(S24)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒ならびに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0096】
そして次に、図22に示すように、各色のうちの何れか(図22の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0097】
その後、乾燥工程等を行う事により、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図23に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0098】
同様に、液滴吐出ヘッド231を用い、図24に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)及び緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決める事も可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライブ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0099】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617a及び発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S25)に移行する。
【0100】
対向電極形成工程(S25)では、図25に示すように、発光層617b及び有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0101】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0102】
次に、図26は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、及びこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0103】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0104】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0105】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、及びMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0106】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、及び蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置1のX軸テーブル25に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、液滴吐出ヘッド231により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、又はニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0107】
補充対象となる全てのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0108】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711及び蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を液滴吐出ヘッド231から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0109】
次に、図27は、電子放出装置(FED装置:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面斜視図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、及びこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0110】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した素子膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび素子膜807により複数の電子放出部805が構成されている。素子膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、素子膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0111】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)の何れかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、所定のパターンで配置されている。
【0112】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、素子膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0113】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよびアノード電極809を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
【0114】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の他、プレパラート形成を包含する装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【0115】
【発明の効果】
上記したように、本発明のヘッドキャップは、そのキャップパッキンが、形状に基づいて大きく変形するため、ノズル面に倣って、これに確実に密着する。このため、キャップパッキンからの空気のリークが抑制され、好適な圧接状態すなわちノズルの好適な密封状態を、容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の液滴吐出装置の平面図である。
【図2】本実施形態の液滴吐出装置の正面図である。
【図3】本実施形態の吸引ユニット及び吐出検査ユニットの側面図である。
【図4】本実施形態のキャップユニットの外観斜視図である。
【図5】本実施形態のヘッドキャップの外観斜視図である。
【図6】本実施形態のヘッドキャップの断面図である。
【図7】本実施形態のキャップパッキンの外観斜視図ある。
【図8】本実施形態のキャップパッキン断面図である。
【図9】本実施形態のキャップパッキンのパッキング状態の断面図である。
【図10】本発明のキャップパッキンの他の実施形態の断面図である。
【図11】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図12】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図13】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図14】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図15】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図16】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図17】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図18】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図19】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図20】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図21】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図22】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図23】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図24】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図25】陰極の形成を説明する工程図である。
【図26】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図27】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【符号の説明】
1 液滴吐出装置 3 メンテナンス装置
5 吸引ユニット 8 吐出検査ユニット
23 ヘッドユニット 51 キャップユニット
52 ヘッドキャップ 53 キャップベース
231 液滴吐出ヘッド 232 ノズルプレート
233 ノズル面 234 ノズル
321 キャップ部 331 キャップ本体
341 キャップパッキン 351 キャップパッキン押え
371 キャップホルダ部 372 キャップホルダベース
377 キャップ押え
Claims (10)
- 液滴吐出ヘッドのノズル面に密着させて、前記ノズル面に形成した多数のノズルからなるノズル列を封止するヘッドキャップにおいて、
キャップ凹部を形成したキャップ本体と、前記キャップ凹部の開口周縁部に設けられ、前記ノズル列を封止するキャップパッキンとを、備え、
前記キャップパッキンは、前記開口周縁部に取付けられる環状基部と、前記環状基部から密着方向に延び、前記ノズル面に密着する環状凸部とを、有し、
当該環状凸部は、先端側が外側に向かって拡開形成されていることを特徴とするヘッドキャップ。 - 液滴吐出ヘッドのノズル面に密着させて、前記ノズル面に形成した多数のノズルからなるノズル列を封止するヘッドキャップにおいて、
キャップ凹部を形成したキャップ本体と、前記キャップ凹部の開口周縁部に設けられ、前記ノズル列を封止するキャップパッキンとを、備え、
前記キャップパッキンは、前記開口周縁部に取付けられる環状基部と、前記環状基部から密着方向に延び、前記ノズル面に密着する環状凸部とを、有し、
当該環状凸部は、断面が環の外側に開いた略横V字形状に形成されていることを特徴とするヘッドキャップ。 - 液滴吐出ヘッドのノズル面に密着させて、前記ノズル面に形成した多数のノズルからなるノズル列を封止するヘッドキャップにおいて、
キャップ凹部を形成したキャップ本体と、前記キャップ凹部の開口周縁部に設けられ、前記ノズル列を封止するキャップパッキンとを、備え、
前記キャップパッキンは、前記開口周縁部に取付けられる環状基部と、前記環状基部から密着方向に延び、前記ノズル面に密着する環状凸部とを、有し、
当該環状凸部は、その先端面が、内向きに傾斜する斜面で形成されていることを特徴とするヘッドキャップ。 - 液滴吐出ヘッドのノズル面に密着させて、前記ノズル面に形成した多数のノズルからなるノズル列を封止するヘッドキャップにおいて、
キャップ凹部を形成したキャップ本体と、前記キャップ凹部の開口周縁部に設けられ、前記ノズル列を封止するキャップパッキンとを、備え、
前記キャップパッキンは、前記開口周縁部に取付けられる環状基部と、前記環状基部から延び、前記ノズル面に密着する環状凸部とを、有し、
当該環状凸部は、前記環状基部から密着方向に傾くように内側に張出す凸基部と、前記凸基部の先端部に突設された密着部で形成されていることを特徴とするヘッドキャップ。 - 前記キャップパッキンの前記環状凸部は、平面視略トラック形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のヘッドキャップ。
- 前記キャップパッキンは、フッ素系ゴムで形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のヘッドキャップ。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載のヘッドキャップと、
前記液滴吐出ヘッドを搭載するとともに、前記液滴吐出ヘッドをワークに対向させ、当該ワークに対し、前記液滴吐出ヘッドを相対移動させながら機能液滴を選択的に吐出する描画手段と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項7に記載の液滴吐出装置を用い、前記液滴吐出ヘッドから前記ワーク上に液滴を吐出して成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
- 請求項7に記載の液滴吐出装置を用い、前記液滴吐出ヘッドから前記ワーク上に液滴を吐出して成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
- 請求項8に記載の電気光学装置または請求項9に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
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-
2003
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