JP2005028382A - 超音波振動回転接合装置および方法 - Google Patents
超音波振動回転接合装置および方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】接合作業の効率向上を図る。
【解決手段】加圧昇降機構2のホルダ3の下降途中において、接合作用部11の下端面と搭載台4の上における複数の加工対象部品W1;W2の接合する部分の上面とが互いに接触し、接合作用部11と搭載台4とが複数の加工対象部品W1;W2の接合する部分を挟み付け、これと並行し、超音波振動回転駆動機構5の接合作用部11が超音波振動に共振する一方、超音波振動回転駆動機構5のモータ12が駆動し、接合作用部11が一方向に回転することによって、接合作用部11の上下方向に振動する超音波振動と、加圧昇降機構2の下降による加圧力と、モータ12による回転とが、複数の加工対象部品W1;W2の互い重ね合わされた部分に相乗的に作用し、接合作用部11が複数の加工対象部品W1;W2の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により短時間に接合する。
【選択図】 図1
【解決手段】加圧昇降機構2のホルダ3の下降途中において、接合作用部11の下端面と搭載台4の上における複数の加工対象部品W1;W2の接合する部分の上面とが互いに接触し、接合作用部11と搭載台4とが複数の加工対象部品W1;W2の接合する部分を挟み付け、これと並行し、超音波振動回転駆動機構5の接合作用部11が超音波振動に共振する一方、超音波振動回転駆動機構5のモータ12が駆動し、接合作用部11が一方向に回転することによって、接合作用部11の上下方向に振動する超音波振動と、加圧昇降機構2の下降による加圧力と、モータ12による回転とが、複数の加工対象部品W1;W2の互い重ね合わされた部分に相乗的に作用し、接合作用部11が複数の加工対象部品W1;W2の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により短時間に接合する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複数の加工対象部品の互いに重ね合わされた部分を接合する超音波振動回転接合装置およびその装置を用いた接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転接合装置には、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を搭載台と回転ツールとで挟み、回転ツールを回転させることで、回転ツールから伝達される摩擦撹拌で複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を接合するものが知られている(例えば、参考文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−292480号公報(第1頁、要約、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の回転接合装置は、回転ツールが回転された後に加工対象部品に押し当てられ、回転ツールの先端部が加工対象部品の内部に進入することで、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により接合するので、回転ツールの先端部が複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分の内部に進入してから、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を接合するまでの時間が長く、作業効率が悪い。
【0005】
そこで、本発明は、超音波振動と回転と加圧力との併用で作業効率のよい接合を行うことができる超音波振動回転接合装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超音波振動回転接合装置にあっては、複数の重ね合わされた加工対象部品を載せる搭載台、搭載台よりも上方に設けられた加圧昇降機構と、加圧昇降機構の加圧昇降出力部に取付けられた超音波振動回転駆動機構とを備えた超音波振動回転接合装置において、超音波振動回転駆動機構が、昇降出力部に取付けられた筒状の固定外殻と、固定外殻の内部に回転可能に装着された回転内殻と、回転内殻に格納された振動子と、振動子に同軸状に結合されて回転内殻と同軸状に配置された共振器と、共振器における固定外殻の一端及び回転内殻の一端より外側に突出された最大振動振幅点の存在する下端部に形成された接合作用部と、回転内殻を回転するための駆動源とを備えたことによって、接合作用部の上下方向に振動する超音波振動と、加圧昇降機構の下降による加圧力と、駆動源による回転とが、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分に相乗的に作用し、接合作用部が複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により短時間に接合するすることができる。また、本発明に係る超音波振動回転接合装置にあっては、共振器が、2つの最小振動振幅点を有する少なくとも1波長以上であって、2つの最小振動点のそれぞれに共振器を回転内殻の内部に取付けるための支持部を備えれば、回転内殻に対する共振器の支持間隔が長くなり、接合加工時における共振器の撓みを防止し、接合加工が適切となる。また、本発明に係る超音波振動回転接合装置にあっては、振動子及び駆動源への外部からの配線を中継するための端子基板が固定外殻に設けられれば、超音波振動回転駆動機構の構造が簡素となる。また、本発明に係る超音波振動回転接合方法にあっては、複数の加工対象部品の接合する部分を互いに重ね合わせて搭載台に回転しないように搭載し、加圧昇降機構のホルダが下降することによって、接合作用部の下端面と搭載台の上における複数の加工対象部品の接合する部分の上面とが互いに接触し、接合作用部と搭載台とが複数の加工対象部品の接合する部分を挟み付け、超音波振動回転駆動機構の接合作用部が超音波振動に共振する一方、超音波振動回転駆動機構のモータが駆動し、接合作用部が一方向に回転することによって、接合作用部の上下方向に振動する超音波振動と、加圧昇降機構の下降による加圧力と、モータによる回転とが、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分に相乗的に作用し、接合作用部が複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により接合することによって、短時間に接合することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1−図5は本発明の第1実施の形態であって、図1は超音波振動回転接合装置の側面を示し、図2は超音波振動回転駆動機構5を図1のA−A線に沿い切断した断面を示し、図3は超音波振動回転駆動機構5を図2のB−B線に沿い切断した断面を示し、図4は共振器と振動波形との関係を示し、図5は固定外殻6とカバー53との周りを分解して示す。
【0008】
図1を参照し、超音波振動回転接合装置について説明する。1は装置本体、1aは装置本体1の底部、1bは底部1aの一端部より上方に立設された支持躯体、1cは支持躯体1bの上端部より底部1aと対向するように横方向に突出した取付部、2は装置本体1の取付部1cに設けられた加圧昇降機構、2aは加圧昇降機構2の昇降ヘッドであって、底部1aの側に向けられており、図外のステップモータ又はエアシリンダの何れか1つのアクチュエータにより装置本体1に対し回転せずに直線的に矢印Xで示す上下方向に昇降する。Gは超音波振動回転駆動機構5を支持躯体1bに対し上下方向に案内するガイド機構、3は昇降ヘッド2aに着脱自在に取付けられたホルダ、4は加工対象部品W1;W2を搭載するために装置本体1の底部1aの上に設けられた搭載台、5はホルダ3に着脱自在に取付けられた超音波振動回転駆動機構、W1;W2は加工対象部品である。加工対象部品W1;W2の個数は2個に限定されるものではなく、2個以上であればよい。
【0009】
図2と図3とを参照し、超音波振動回転駆動機構5について説明する。超音波振動回転駆動機構5は、大まかには、ホルダ3に着脱自在に取付けられた固定外殻6と、固定外殻6の内部に回転可能に装着された回転内殻7と、回転内殻7の内部に格納された振動子8と、振動子8に無頭ねじのようなねじで同軸状に結合されて回転内殻7の内部に同軸状に格納されたブースタ9と、ブースタ9に無頭ねじのようなねじで同軸状に結合されて固定外殻6及び回転内殻7の一端より外側に突出されたホーン10と、ホーン10に設けられた工具である接合作用部11と、固定外殻6の他端部に取付けられて回転内殻7を回転するための駆動源であるモータ12とを備える。接合作用部11は、共振器における固定外殻6の一端及び回転内殻7の一端より外側に突出された最大振動振幅点f7の存在する下端部に形成される。ブースタ9とホーン10とが共振器を構成する。ブースタ9とホーン10とを単一体に形成してもよいが、本実施形態のように、ブースタ9とホーン10とを別々に形成し、これらのブースタ9とホーン10とをねじで同軸状に結合すれば、ブースタ9を交換することで、振動子8からホーン10に伝達される超音波振動の振動振幅を変更することができる。
【0010】
固定外殻6は前後に貫通する格納室13を有する。格納室13の前半部に挿入された回転内殻7と固定外殻6との間には後側ベアリング14と前側ベアリング15とが配置される。後側ベアリング14のアウタリングが固定外殻6の格納室13に突出した段差部16で受止められ、後側ベアリング14のインナリングが回転内殻7の外周面に突出した段差部17で受止められ、後側ベアリング14と前側ベアリング15と間には筒状のベアリングシート18が配置される。ベアリングシート18の両端は後側ベアリング14のアウタリングと前側ベアリング15のアウタリングとのそれぞれに接触する。前側ベアリング15のアウタリングは固定外殻6の前端部内側にねじ嵌合装着された環状の外側ベアリング押え19により押えられる。前側ベアリング15のインナリングは回転内殻7の前端部外側にねじ嵌合装着された環状の内側ベアリング押え20により押えられる。そして、外側ベアリング押え19は内側ベアリング押え20と回転内殻7の前端とを冷媒の表面張力より小さな隙間を以って被覆し、係る隙間より冷媒が前側ベアリング15の側に進入することを防止する。外側ベアリング押え19は前面に締結工具を嵌め込むための図外の凹部を有し、係る凹部に締結工具を嵌めて締結操作することにより、外側ベアリング押え19と固定外殻6との結合が適切となる。
【0011】
固定外殻6は周壁に作業用孔21を有する。作業用孔21は固定外殻6をホルダ3に取付けた際にホルダ3で覆われない位置、例えば、ホルダ3に取付けられた固定外殻6の前面に位置する(図1参照)。ベアリングシート18は作業用孔21と対応する逃げ孔22を有する。回転内殻7は前後に貫通する収容室23と周壁の貫通孔24とを有する。貫通孔24は作業用孔21と対応する。ブースタ9は作業用孔21と対応する凹部25を外周面に有する。そして、振動子8とブースタ9とが回転内殻7の内部に装着される際に貫通孔24と凹部25との位置を合せておき、ベアリングシート18が固定外殻6の内部に装着される際に作業用孔21と逃げ孔22との位置を合せておく。それから、ホーン10を交換する場合、作業者がホーン10を手で回して作業用孔21と貫通孔24との整合を確認した後に図外の棒を作業用孔21より逃げ孔22と貫通孔24とを経て凹部25に差込むことにより、回転内殻7及びブースタ9の回り止めが図られ、ホーン10又は接合作用部11の何れかの交換がやりやすくなる。
【0012】
回転内殻7の収容室23には振動子8とブースタ9とが配置される。振動子8とブースタ9とが結合された状態において、振動子8とブースタ9とが収容室23に回転内殻7の前側より挿入されることにより、振動子8が収容室23に非接触に配置され、ブースタ9の前側支持部26の外周面と後側支持部27の外周面とが収容室23の内周面に接触しつつ挿入され、後側支持部27が収容室23に突出した段差部28で受止められる。前側支持部26の外周面と後側支持部27の外周面と収容室23の内周面との接触により、振動子8とブースタ9とが収容室23に径方向にがたつきなく配置される。前側支持部26は回転内殻7の前端部内側にねじ嵌合装着された環状の締結具29により押えられる。これにより、振動子8とブースタ9とが回転内殻7に前後方向にがたつきなく同軸状に組付けられる。締結具29は内側縁部にゴム又は合成樹脂より成る環状のシール部材30を有する。シール部材30はブースタ9の外周面に接触して、締結具29とブースタ9との間の隙間に対する防水や防塵を図る。締結具29は外側ベアリング押え19を水の表面張力より小さな隙間を以って被覆し、係る隙間より水が回転内殻7の側に進入することを防止する。締結具29は前面に締結工具を嵌め込むための図外の凹部を有し、係る凹部に締結工具を嵌めて締結操作することにより、締結具29と回転内殻7との結合が適切となる。
【0013】
振動子8への電気系統は次のようになっている。振動子8は導電性の有る覆体31を外嵌装着し、振動子8の負極電極と覆体31とが接続される。覆体31の後端中央には正極振動子端子32を電気絶縁固定し、正極振動子端子32と振動子8の正極端子とが接続される。回転内殻7の後端には電気絶縁材製の回転接続部33がねじで固定される。回転接続部33は、内部に埋設された正極回転端子34と、周面に装着されたスリップリングと称呼される負極・正極環状回転端子35;36と、前面より突出した負極回転端子37と、負極・正極環状回転端子35;36相互を隔てるように周面より突出した電気絶縁材よる成る環状の隔壁38とを有する。正極回転端子34と正極環状回転端子36とが回転接続部33に埋設された図外の導体により接続され、正極回転端子34の前面が正極振動子端子32に接触する。負極環状回転端子35と負極回転端子37とが回転接続部33に埋設された導体により接続され、負極回転端子37が覆体31の外周面に接触する。回転接続部33と対応する位置において、固定外殻6は電気絶縁材よる成る複数の固定接続部39を有する。各固定接続部39は、ブラシと称呼される負極・正極摺接端子40;41と、負極・正極摺接端子40;41を負極・正極環状回転端子35;36側に付勢する導電性材料より成る負極・正極弾性部材42;43と、負極・正極配線端子44;45と、電気絶縁材製のキャップ46;47と、負極・正極摺接端子40;41間に位置した環状の溝48とを個別に有する。負極摺接端子40が負極弾性部材42により押されて負極環状回転端子35に接触し、正極摺接端子41が正極弾性部材43により押されて正極環状回転端子36に接触する。
【0014】
よって、正極配線端子45が図外の配線により超音波発生器の正極出力端子に配線されることにより、振動子8に対する正極経路が正極配線端子45、正極弾性部材43、正極摺接端子41、正極環状回転端子36、正極回転端子34、正極振動子端子32により形成される。各負極配線端子44が図外の配線により超音波発生器の負極出力端子に配線されることにより、負極配線端子44、負極弾性部材42、負極摺接端子40、負極環状回転端子35、負極回転端子37、覆体31により形成される。正極経路と負極経路とが形成された状態において、超音波発生器から振動子8に電力が供給されることにより、振動子8が所定周波数の縦波の超音波振動を発生して出力する。又、隔壁38は、負極・正極環状回転端子35;36と負極・正極摺接端子40;41との摺接により発生した粉末が負極・正極環状回転端子35;36相互を短絡するような、粉塵短絡を防止する。又、溝48は、負極・正極環状回転端子35;36と負極・正極摺接端子40;41との摺接により発生した粉末が負極・正極摺接端子40;41相互を短絡するような、粉塵短絡を防止する。又、隔壁38と溝48との嵌合により、上記粉塵短絡の防止性能が最適となる。
【0015】
回転内殻7とモータ12との連結構造は次のようになっている。回転接続部33の後部には電気絶縁材製の軸部材49がボルトで締結される。軸部材49には前側カップリング50が一緒に回転するように装着される。モータ12が固定外殻6の後部に装着された後部外殻51にボルトで締結される。モータ12の出力端には後側カップリング52が一緒に回転するように装着される。前側カップリング50と後側カップリング52とが相互に前後方向への嵌め合いにより一緒に回転するような凹凸を有する。そして、前側・後側カップリング50;52が嵌合した状態おいて、モータ12が回転駆動すると、その回転動力がモータ12の出力端より前側・後側カップリング50;52、軸部材49、回転接続部33を経て回転内殻7に伝達し、回転内殻7が回転する。
【0016】
後部外殻51には箱形のカバー53がねじで固定される。カバー53は後部外殻51より固定接続部39を非接触に被覆しつつ固定外殻6の中間部を非接触に被覆する。カバー53の前部は固定外殻6の外側面に立設された図外の支柱にねじで固定される。要するに、図2に示すように、超音波振動回転駆動機構5は回転内殻7の内部にブースタ9と振動子8とが同軸状に組込まれ、ブースタ9に同軸状に結合された接合作用部11を有するホーン10が回転内殻7と固定外殻6との前外側に配置され、固定外殻6の後部に取付けられたモータ12が回転内殻7に同軸状に連結された簡素な構造である。
【0017】
図4を参照し、ブースタ9とホーン10とより構成される共振器について説明する。ブースタ9は、チタン、アルミニウム、焼き入れされた鉄等の何れかの音響特性の良い材料より成り、振動子8より伝達された超音波振動に共振する1波長の長さを有する形態により、半波長の長さに比較し、回転内殻7と振動子8とへの同軸状となる芯出しと接合加工時の撓み防止とが良くなる。ブースタ9の両端部には振動子8からの超音波振動に共振する振動波形Wの最大振動振幅点f1;f5が存在し、ブースタ9の前側支持部26と後側支持部27とには最小振動振幅点f2;f4が存在する。振動波形Wは共振による超音波振動の瞬間的な変位(振動振幅)を表す。
【0018】
前側支持部26は、振動波形Wの最小振動振幅点f4より径方向外側に突出する環状の付根部26aと、付根部26aの周縁よりホーン10側に延設した筒状の肉薄部26bと、肉薄部26bの先端より径方向外側に突出する環状の肉厚部26cとを有する。後側支持部27は、最小振動振幅点f2より径方向外側に突出する環状の付根部27aと、付根部27aの周縁より振動子8側に延設した筒状の肉薄部27bと、肉薄部27bの先端より径方向外側に突出する環状の肉厚部27cとを有する。肉厚部26c;27cの外周面が回転内殻7の収容室23の内周面に全体的に接触することにより、ブースタ9の回転内殻7に対する前後方向の支持間隔(スパン)が長くなり、接合加工時の撓み防止がより良くなる。付根部26a;27aの厚さ>肉薄部26b;27b、肉厚部26c;27c>肉薄部26b;27bに形成されている。
【0019】
ホーン10はチタン、アルミニウム、焼き入れされた鉄等の何れかの音響特性の良い材料より成り、振動子8より伝達された超音波振動に共振する1/2波長の長さを有する。ホーン10の両端部には振動波形Wの最大振動振幅点f5;f7が存在する。ホーン10の最大振動振幅点f7には接合作用部11が存在する。ホーン10と接合作用部11とは同一材料により単一体として形成されている。接合作用部11は、ホーン10の回転中心を中心とするホーン10よりも小さな直径の短円柱であって、ホーン10が軸方向に共振することにより、ホーン10と同一の振動モードで同方向(矢印Xで示す軸方向と平行な方向)に振動する。
【0020】
又、ブースタ9の前側・後側支持部26;27を避けた外周面、及び、ホーン10の接合作用部11を避けた外周面のそれぞれには、ブースタ9と振動子8との結合や解除、ブースタ9とホーン10との結合や解除それぞれに際し工具を挿入する工具用凹部54;55;56を個別に有する。
【0021】
図5を参照し、固定外殻6とカバー53との周りについて説明する。カバー53は底面前部の開口部60と底面後部の端子基板61とを有する。端子基板61は合成樹脂製基部に振動子用正極端子62と振動子用負極端子63とモータ用正極端子64とモータ用負極端子65とを有する。そして、カバー53が固定外殻6に装着された状態において、振動子用正極端子62と固定接続部39の正極配線端子45とが、振動子用負極端子63と固定接続部39の負極配線端子44とが、モータ用正極端子64とモータ12の正極端子とが、モータ用負極端子65とモータ12の負極端子とが、カバー53で覆われた内部空間を利用して配線された図外のそれぞれの電線を介して接続される。又、振動子用正極端子62と振動子用負極端子63とには図外の超音波発生器の正極出力端子と負極出力端子とがそれぞれの電線を介してカバー53の外部より接続される。モータ用正極端子64とモータ用負極端子65とには図外のモータドライブ回路の正極出力端子と負極出力端子とがそれぞれの電線を介してカバー53の外部より接続される。上記各端子と電線との配線作業終了後に、蓋66が固定外殻6に複数の支柱67を介してねじで固定されて開口部60を閉じる。よって、開放された開口部60を利用して上記配線を行うことにより、配線作業がやりやすくなる。又、蓋66で開口部60を閉じることにより、感電等の事故が防止できる。なお、固定外殻6の側面に突出した複数の支柱68は反対側面にも同様に存在し、固定接続部39と干渉しないようにカバー53を固定外殻6にねじで取付けるための部材である。
【0022】
第1実施形態の動作について説明する。図1において、複数の加工対象部品W1;W2の接合する部分を互いに重ね合わせて搭載台4に搭載する。このように搭載台4に搭載された複数の加工対象部品W1;W2は回転しないように図外の支持機構で支持される。そして、作業者が装置本体1に設けられた図外の操作盤を操作することにより、加圧昇降機構2のホルダ3が下降する。その下降途中において、接合作用部11の下端面と搭載台4の上における複数の加工対象部品W1;W2の接合する部分の上面とが互いに接触し、接合作用部11と搭載台4とが複数の加工対象部品W1;W2の接合する部分を挟み付ける。これと並行し、超音波振動回転駆動機構5の接合作用部11が超音波振動に共振する一方、超音波振動回転駆動機構5のモータ12が駆動し、接合作用部11が一方向に回転する。これによって、接合作用部11の上下方向に振動する超音波振動と、加圧昇降機構2の下降による加圧力と、モータ12による回転とが、複数の加工対象部品W1;W2の互い重ね合わされた部分に相乗的に作用し、接合作用部11が複数の加工対象部品W1;W2の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により短時間に接合することができる。このように短時間に接合することができることにより、加工対象部品W1;W2の熱劣化、熱歪、接合跡を低減することができ、装置や接合作用部11の長寿命化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の超音波振動回転接合装置を示す側面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図2のB−B線断面に相当する断面図。
【図4】同第1実施形態の共振器と振動波形との関係を示す模式図。
【図5】同第1実施形態の固定外殻と後部外殻とを分解した斜視図。
【符号の説明】
1 装置本体、2 加圧昇降機構、3 ホルダ、5 超音波振動回転駆動機構、6 固定外殻、7 回転内殻、8 振動子、9 ブースタ、10 ホーン、11 接合作用部、12 モータ、61 端子基板
【発明の属する技術分野】
本発明は複数の加工対象部品の互いに重ね合わされた部分を接合する超音波振動回転接合装置およびその装置を用いた接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転接合装置には、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を搭載台と回転ツールとで挟み、回転ツールを回転させることで、回転ツールから伝達される摩擦撹拌で複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を接合するものが知られている(例えば、参考文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−292480号公報(第1頁、要約、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の回転接合装置は、回転ツールが回転された後に加工対象部品に押し当てられ、回転ツールの先端部が加工対象部品の内部に進入することで、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により接合するので、回転ツールの先端部が複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分の内部に進入してから、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を接合するまでの時間が長く、作業効率が悪い。
【0005】
そこで、本発明は、超音波振動と回転と加圧力との併用で作業効率のよい接合を行うことができる超音波振動回転接合装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超音波振動回転接合装置にあっては、複数の重ね合わされた加工対象部品を載せる搭載台、搭載台よりも上方に設けられた加圧昇降機構と、加圧昇降機構の加圧昇降出力部に取付けられた超音波振動回転駆動機構とを備えた超音波振動回転接合装置において、超音波振動回転駆動機構が、昇降出力部に取付けられた筒状の固定外殻と、固定外殻の内部に回転可能に装着された回転内殻と、回転内殻に格納された振動子と、振動子に同軸状に結合されて回転内殻と同軸状に配置された共振器と、共振器における固定外殻の一端及び回転内殻の一端より外側に突出された最大振動振幅点の存在する下端部に形成された接合作用部と、回転内殻を回転するための駆動源とを備えたことによって、接合作用部の上下方向に振動する超音波振動と、加圧昇降機構の下降による加圧力と、駆動源による回転とが、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分に相乗的に作用し、接合作用部が複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により短時間に接合するすることができる。また、本発明に係る超音波振動回転接合装置にあっては、共振器が、2つの最小振動振幅点を有する少なくとも1波長以上であって、2つの最小振動点のそれぞれに共振器を回転内殻の内部に取付けるための支持部を備えれば、回転内殻に対する共振器の支持間隔が長くなり、接合加工時における共振器の撓みを防止し、接合加工が適切となる。また、本発明に係る超音波振動回転接合装置にあっては、振動子及び駆動源への外部からの配線を中継するための端子基板が固定外殻に設けられれば、超音波振動回転駆動機構の構造が簡素となる。また、本発明に係る超音波振動回転接合方法にあっては、複数の加工対象部品の接合する部分を互いに重ね合わせて搭載台に回転しないように搭載し、加圧昇降機構のホルダが下降することによって、接合作用部の下端面と搭載台の上における複数の加工対象部品の接合する部分の上面とが互いに接触し、接合作用部と搭載台とが複数の加工対象部品の接合する部分を挟み付け、超音波振動回転駆動機構の接合作用部が超音波振動に共振する一方、超音波振動回転駆動機構のモータが駆動し、接合作用部が一方向に回転することによって、接合作用部の上下方向に振動する超音波振動と、加圧昇降機構の下降による加圧力と、モータによる回転とが、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分に相乗的に作用し、接合作用部が複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により接合することによって、短時間に接合することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1−図5は本発明の第1実施の形態であって、図1は超音波振動回転接合装置の側面を示し、図2は超音波振動回転駆動機構5を図1のA−A線に沿い切断した断面を示し、図3は超音波振動回転駆動機構5を図2のB−B線に沿い切断した断面を示し、図4は共振器と振動波形との関係を示し、図5は固定外殻6とカバー53との周りを分解して示す。
【0008】
図1を参照し、超音波振動回転接合装置について説明する。1は装置本体、1aは装置本体1の底部、1bは底部1aの一端部より上方に立設された支持躯体、1cは支持躯体1bの上端部より底部1aと対向するように横方向に突出した取付部、2は装置本体1の取付部1cに設けられた加圧昇降機構、2aは加圧昇降機構2の昇降ヘッドであって、底部1aの側に向けられており、図外のステップモータ又はエアシリンダの何れか1つのアクチュエータにより装置本体1に対し回転せずに直線的に矢印Xで示す上下方向に昇降する。Gは超音波振動回転駆動機構5を支持躯体1bに対し上下方向に案内するガイド機構、3は昇降ヘッド2aに着脱自在に取付けられたホルダ、4は加工対象部品W1;W2を搭載するために装置本体1の底部1aの上に設けられた搭載台、5はホルダ3に着脱自在に取付けられた超音波振動回転駆動機構、W1;W2は加工対象部品である。加工対象部品W1;W2の個数は2個に限定されるものではなく、2個以上であればよい。
【0009】
図2と図3とを参照し、超音波振動回転駆動機構5について説明する。超音波振動回転駆動機構5は、大まかには、ホルダ3に着脱自在に取付けられた固定外殻6と、固定外殻6の内部に回転可能に装着された回転内殻7と、回転内殻7の内部に格納された振動子8と、振動子8に無頭ねじのようなねじで同軸状に結合されて回転内殻7の内部に同軸状に格納されたブースタ9と、ブースタ9に無頭ねじのようなねじで同軸状に結合されて固定外殻6及び回転内殻7の一端より外側に突出されたホーン10と、ホーン10に設けられた工具である接合作用部11と、固定外殻6の他端部に取付けられて回転内殻7を回転するための駆動源であるモータ12とを備える。接合作用部11は、共振器における固定外殻6の一端及び回転内殻7の一端より外側に突出された最大振動振幅点f7の存在する下端部に形成される。ブースタ9とホーン10とが共振器を構成する。ブースタ9とホーン10とを単一体に形成してもよいが、本実施形態のように、ブースタ9とホーン10とを別々に形成し、これらのブースタ9とホーン10とをねじで同軸状に結合すれば、ブースタ9を交換することで、振動子8からホーン10に伝達される超音波振動の振動振幅を変更することができる。
【0010】
固定外殻6は前後に貫通する格納室13を有する。格納室13の前半部に挿入された回転内殻7と固定外殻6との間には後側ベアリング14と前側ベアリング15とが配置される。後側ベアリング14のアウタリングが固定外殻6の格納室13に突出した段差部16で受止められ、後側ベアリング14のインナリングが回転内殻7の外周面に突出した段差部17で受止められ、後側ベアリング14と前側ベアリング15と間には筒状のベアリングシート18が配置される。ベアリングシート18の両端は後側ベアリング14のアウタリングと前側ベアリング15のアウタリングとのそれぞれに接触する。前側ベアリング15のアウタリングは固定外殻6の前端部内側にねじ嵌合装着された環状の外側ベアリング押え19により押えられる。前側ベアリング15のインナリングは回転内殻7の前端部外側にねじ嵌合装着された環状の内側ベアリング押え20により押えられる。そして、外側ベアリング押え19は内側ベアリング押え20と回転内殻7の前端とを冷媒の表面張力より小さな隙間を以って被覆し、係る隙間より冷媒が前側ベアリング15の側に進入することを防止する。外側ベアリング押え19は前面に締結工具を嵌め込むための図外の凹部を有し、係る凹部に締結工具を嵌めて締結操作することにより、外側ベアリング押え19と固定外殻6との結合が適切となる。
【0011】
固定外殻6は周壁に作業用孔21を有する。作業用孔21は固定外殻6をホルダ3に取付けた際にホルダ3で覆われない位置、例えば、ホルダ3に取付けられた固定外殻6の前面に位置する(図1参照)。ベアリングシート18は作業用孔21と対応する逃げ孔22を有する。回転内殻7は前後に貫通する収容室23と周壁の貫通孔24とを有する。貫通孔24は作業用孔21と対応する。ブースタ9は作業用孔21と対応する凹部25を外周面に有する。そして、振動子8とブースタ9とが回転内殻7の内部に装着される際に貫通孔24と凹部25との位置を合せておき、ベアリングシート18が固定外殻6の内部に装着される際に作業用孔21と逃げ孔22との位置を合せておく。それから、ホーン10を交換する場合、作業者がホーン10を手で回して作業用孔21と貫通孔24との整合を確認した後に図外の棒を作業用孔21より逃げ孔22と貫通孔24とを経て凹部25に差込むことにより、回転内殻7及びブースタ9の回り止めが図られ、ホーン10又は接合作用部11の何れかの交換がやりやすくなる。
【0012】
回転内殻7の収容室23には振動子8とブースタ9とが配置される。振動子8とブースタ9とが結合された状態において、振動子8とブースタ9とが収容室23に回転内殻7の前側より挿入されることにより、振動子8が収容室23に非接触に配置され、ブースタ9の前側支持部26の外周面と後側支持部27の外周面とが収容室23の内周面に接触しつつ挿入され、後側支持部27が収容室23に突出した段差部28で受止められる。前側支持部26の外周面と後側支持部27の外周面と収容室23の内周面との接触により、振動子8とブースタ9とが収容室23に径方向にがたつきなく配置される。前側支持部26は回転内殻7の前端部内側にねじ嵌合装着された環状の締結具29により押えられる。これにより、振動子8とブースタ9とが回転内殻7に前後方向にがたつきなく同軸状に組付けられる。締結具29は内側縁部にゴム又は合成樹脂より成る環状のシール部材30を有する。シール部材30はブースタ9の外周面に接触して、締結具29とブースタ9との間の隙間に対する防水や防塵を図る。締結具29は外側ベアリング押え19を水の表面張力より小さな隙間を以って被覆し、係る隙間より水が回転内殻7の側に進入することを防止する。締結具29は前面に締結工具を嵌め込むための図外の凹部を有し、係る凹部に締結工具を嵌めて締結操作することにより、締結具29と回転内殻7との結合が適切となる。
【0013】
振動子8への電気系統は次のようになっている。振動子8は導電性の有る覆体31を外嵌装着し、振動子8の負極電極と覆体31とが接続される。覆体31の後端中央には正極振動子端子32を電気絶縁固定し、正極振動子端子32と振動子8の正極端子とが接続される。回転内殻7の後端には電気絶縁材製の回転接続部33がねじで固定される。回転接続部33は、内部に埋設された正極回転端子34と、周面に装着されたスリップリングと称呼される負極・正極環状回転端子35;36と、前面より突出した負極回転端子37と、負極・正極環状回転端子35;36相互を隔てるように周面より突出した電気絶縁材よる成る環状の隔壁38とを有する。正極回転端子34と正極環状回転端子36とが回転接続部33に埋設された図外の導体により接続され、正極回転端子34の前面が正極振動子端子32に接触する。負極環状回転端子35と負極回転端子37とが回転接続部33に埋設された導体により接続され、負極回転端子37が覆体31の外周面に接触する。回転接続部33と対応する位置において、固定外殻6は電気絶縁材よる成る複数の固定接続部39を有する。各固定接続部39は、ブラシと称呼される負極・正極摺接端子40;41と、負極・正極摺接端子40;41を負極・正極環状回転端子35;36側に付勢する導電性材料より成る負極・正極弾性部材42;43と、負極・正極配線端子44;45と、電気絶縁材製のキャップ46;47と、負極・正極摺接端子40;41間に位置した環状の溝48とを個別に有する。負極摺接端子40が負極弾性部材42により押されて負極環状回転端子35に接触し、正極摺接端子41が正極弾性部材43により押されて正極環状回転端子36に接触する。
【0014】
よって、正極配線端子45が図外の配線により超音波発生器の正極出力端子に配線されることにより、振動子8に対する正極経路が正極配線端子45、正極弾性部材43、正極摺接端子41、正極環状回転端子36、正極回転端子34、正極振動子端子32により形成される。各負極配線端子44が図外の配線により超音波発生器の負極出力端子に配線されることにより、負極配線端子44、負極弾性部材42、負極摺接端子40、負極環状回転端子35、負極回転端子37、覆体31により形成される。正極経路と負極経路とが形成された状態において、超音波発生器から振動子8に電力が供給されることにより、振動子8が所定周波数の縦波の超音波振動を発生して出力する。又、隔壁38は、負極・正極環状回転端子35;36と負極・正極摺接端子40;41との摺接により発生した粉末が負極・正極環状回転端子35;36相互を短絡するような、粉塵短絡を防止する。又、溝48は、負極・正極環状回転端子35;36と負極・正極摺接端子40;41との摺接により発生した粉末が負極・正極摺接端子40;41相互を短絡するような、粉塵短絡を防止する。又、隔壁38と溝48との嵌合により、上記粉塵短絡の防止性能が最適となる。
【0015】
回転内殻7とモータ12との連結構造は次のようになっている。回転接続部33の後部には電気絶縁材製の軸部材49がボルトで締結される。軸部材49には前側カップリング50が一緒に回転するように装着される。モータ12が固定外殻6の後部に装着された後部外殻51にボルトで締結される。モータ12の出力端には後側カップリング52が一緒に回転するように装着される。前側カップリング50と後側カップリング52とが相互に前後方向への嵌め合いにより一緒に回転するような凹凸を有する。そして、前側・後側カップリング50;52が嵌合した状態おいて、モータ12が回転駆動すると、その回転動力がモータ12の出力端より前側・後側カップリング50;52、軸部材49、回転接続部33を経て回転内殻7に伝達し、回転内殻7が回転する。
【0016】
後部外殻51には箱形のカバー53がねじで固定される。カバー53は後部外殻51より固定接続部39を非接触に被覆しつつ固定外殻6の中間部を非接触に被覆する。カバー53の前部は固定外殻6の外側面に立設された図外の支柱にねじで固定される。要するに、図2に示すように、超音波振動回転駆動機構5は回転内殻7の内部にブースタ9と振動子8とが同軸状に組込まれ、ブースタ9に同軸状に結合された接合作用部11を有するホーン10が回転内殻7と固定外殻6との前外側に配置され、固定外殻6の後部に取付けられたモータ12が回転内殻7に同軸状に連結された簡素な構造である。
【0017】
図4を参照し、ブースタ9とホーン10とより構成される共振器について説明する。ブースタ9は、チタン、アルミニウム、焼き入れされた鉄等の何れかの音響特性の良い材料より成り、振動子8より伝達された超音波振動に共振する1波長の長さを有する形態により、半波長の長さに比較し、回転内殻7と振動子8とへの同軸状となる芯出しと接合加工時の撓み防止とが良くなる。ブースタ9の両端部には振動子8からの超音波振動に共振する振動波形Wの最大振動振幅点f1;f5が存在し、ブースタ9の前側支持部26と後側支持部27とには最小振動振幅点f2;f4が存在する。振動波形Wは共振による超音波振動の瞬間的な変位(振動振幅)を表す。
【0018】
前側支持部26は、振動波形Wの最小振動振幅点f4より径方向外側に突出する環状の付根部26aと、付根部26aの周縁よりホーン10側に延設した筒状の肉薄部26bと、肉薄部26bの先端より径方向外側に突出する環状の肉厚部26cとを有する。後側支持部27は、最小振動振幅点f2より径方向外側に突出する環状の付根部27aと、付根部27aの周縁より振動子8側に延設した筒状の肉薄部27bと、肉薄部27bの先端より径方向外側に突出する環状の肉厚部27cとを有する。肉厚部26c;27cの外周面が回転内殻7の収容室23の内周面に全体的に接触することにより、ブースタ9の回転内殻7に対する前後方向の支持間隔(スパン)が長くなり、接合加工時の撓み防止がより良くなる。付根部26a;27aの厚さ>肉薄部26b;27b、肉厚部26c;27c>肉薄部26b;27bに形成されている。
【0019】
ホーン10はチタン、アルミニウム、焼き入れされた鉄等の何れかの音響特性の良い材料より成り、振動子8より伝達された超音波振動に共振する1/2波長の長さを有する。ホーン10の両端部には振動波形Wの最大振動振幅点f5;f7が存在する。ホーン10の最大振動振幅点f7には接合作用部11が存在する。ホーン10と接合作用部11とは同一材料により単一体として形成されている。接合作用部11は、ホーン10の回転中心を中心とするホーン10よりも小さな直径の短円柱であって、ホーン10が軸方向に共振することにより、ホーン10と同一の振動モードで同方向(矢印Xで示す軸方向と平行な方向)に振動する。
【0020】
又、ブースタ9の前側・後側支持部26;27を避けた外周面、及び、ホーン10の接合作用部11を避けた外周面のそれぞれには、ブースタ9と振動子8との結合や解除、ブースタ9とホーン10との結合や解除それぞれに際し工具を挿入する工具用凹部54;55;56を個別に有する。
【0021】
図5を参照し、固定外殻6とカバー53との周りについて説明する。カバー53は底面前部の開口部60と底面後部の端子基板61とを有する。端子基板61は合成樹脂製基部に振動子用正極端子62と振動子用負極端子63とモータ用正極端子64とモータ用負極端子65とを有する。そして、カバー53が固定外殻6に装着された状態において、振動子用正極端子62と固定接続部39の正極配線端子45とが、振動子用負極端子63と固定接続部39の負極配線端子44とが、モータ用正極端子64とモータ12の正極端子とが、モータ用負極端子65とモータ12の負極端子とが、カバー53で覆われた内部空間を利用して配線された図外のそれぞれの電線を介して接続される。又、振動子用正極端子62と振動子用負極端子63とには図外の超音波発生器の正極出力端子と負極出力端子とがそれぞれの電線を介してカバー53の外部より接続される。モータ用正極端子64とモータ用負極端子65とには図外のモータドライブ回路の正極出力端子と負極出力端子とがそれぞれの電線を介してカバー53の外部より接続される。上記各端子と電線との配線作業終了後に、蓋66が固定外殻6に複数の支柱67を介してねじで固定されて開口部60を閉じる。よって、開放された開口部60を利用して上記配線を行うことにより、配線作業がやりやすくなる。又、蓋66で開口部60を閉じることにより、感電等の事故が防止できる。なお、固定外殻6の側面に突出した複数の支柱68は反対側面にも同様に存在し、固定接続部39と干渉しないようにカバー53を固定外殻6にねじで取付けるための部材である。
【0022】
第1実施形態の動作について説明する。図1において、複数の加工対象部品W1;W2の接合する部分を互いに重ね合わせて搭載台4に搭載する。このように搭載台4に搭載された複数の加工対象部品W1;W2は回転しないように図外の支持機構で支持される。そして、作業者が装置本体1に設けられた図外の操作盤を操作することにより、加圧昇降機構2のホルダ3が下降する。その下降途中において、接合作用部11の下端面と搭載台4の上における複数の加工対象部品W1;W2の接合する部分の上面とが互いに接触し、接合作用部11と搭載台4とが複数の加工対象部品W1;W2の接合する部分を挟み付ける。これと並行し、超音波振動回転駆動機構5の接合作用部11が超音波振動に共振する一方、超音波振動回転駆動機構5のモータ12が駆動し、接合作用部11が一方向に回転する。これによって、接合作用部11の上下方向に振動する超音波振動と、加圧昇降機構2の下降による加圧力と、モータ12による回転とが、複数の加工対象部品W1;W2の互い重ね合わされた部分に相乗的に作用し、接合作用部11が複数の加工対象部品W1;W2の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により短時間に接合することができる。このように短時間に接合することができることにより、加工対象部品W1;W2の熱劣化、熱歪、接合跡を低減することができ、装置や接合作用部11の長寿命化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の超音波振動回転接合装置を示す側面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図2のB−B線断面に相当する断面図。
【図4】同第1実施形態の共振器と振動波形との関係を示す模式図。
【図5】同第1実施形態の固定外殻と後部外殻とを分解した斜視図。
【符号の説明】
1 装置本体、2 加圧昇降機構、3 ホルダ、5 超音波振動回転駆動機構、6 固定外殻、7 回転内殻、8 振動子、9 ブースタ、10 ホーン、11 接合作用部、12 モータ、61 端子基板
Claims (4)
- 複数の重ね合わされた加工対象部品を載せる搭載台、搭載台よりも上方に設けられた加圧昇降機構と、加圧昇降機構の加圧昇降出力部に取付けられた超音波振動回転駆動機構とを備えた超音波振動回転接合装置において、超音波振動回転駆動機構が、昇降出力部に取付けられた筒状の固定外殻と、固定外殻の内部に回転可能に装着された回転内殻と、回転内殻に格納された振動子と、振動子に同軸状に結合されて回転内殻と同軸状に配置された共振器と、共振器における固定外殻の一端及び回転内殻の一端より外側に突出された最大振動振幅点の存在する下端部に形成された接合作用部と、回転内殻を回転するための駆動源とを備えたことを特徴とする超音波振動回転接合装置。
- 共振器が、2つの最小振動振幅点を有する少なくとも1波長以上であって、2つの最小振動点のそれぞれに共振器を回転内殻の内部に取付けるための支持部を備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波振動回転接合装置。
- 振動子及び駆動源への外部からの配線を中継するための端子基板が固定外殻に設けられたことを特徴とする請求項1記載の超音波振動回転接合装置。
- 複数の加工対象部品の接合する部分を互いに重ね合わせて搭載台に回転しないように搭載し、加圧昇降機構のホルダが下降することによって、接合作用部の下端面と搭載台の上における複数の加工対象部品の接合する部分の上面とが互いに接触し、接合作用部と搭載台とが複数の加工対象部品の接合する部分を挟み付け、超音波振動回転駆動機構の接合作用部が超音波振動に共振する一方、超音波振動回転駆動機構のモータが駆動し、接合作用部が一方向に回転することによって、接合作用部の上下方向に振動する超音波振動と、加圧昇降機構の下降による加圧力と、モータによる回転とが、複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分に相乗的に作用し、接合作用部が複数の加工対象部品の互い重ね合わされた部分を摩擦撹拌により接合する超音波振動回転接合方法。
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