JP2005027765A - 火災の消火方法及び消火設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】人体に影響を与えず、天井の高い空間あるいは屋外等天井のない空間において火災を消火する火災の消火方法及び消火設備を提供すること。
【解決手段】火災の消火設備において、霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成する気液混合装置17と、気液混合装置17から気液混合体を放出する放出口19とを備え、気液混合体を放出口19から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】火災の消火設備において、霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成する気液混合装置17と、気液混合装置17から気液混合体を放出する放出口19とを備え、気液混合体を放出口19から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火災の消火方法及び消火設備に関し、特に、天井が高いあるいは開放された空間に発生した火災に用いて好適な火災の消火方法及び消火設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、火災の消火設備においては、火災が発生した場合、水を噴射する装置を作動させて燃焼物を消火するという水系火災の消火設備が採用されている。ここで、水系消火設備に利用されている水は、冷却効果に優れ、入手が容易であり、低コストで毒性がなく、また環境に対する影響が少ない等の利点があるため、従来から最も有効な消火剤として利用されている。ただし、水は常温において液体であり、常に重力の影響を受けて沈降し流下するため、気体の消火剤のように、燃焼物を覆って消火することができない。したがって、水系消火設備を利用する場合、水噴射装置等の放水器具を燃焼物に近づけること及び放水器具と燃焼物との間に散水の妨げとなる障害物が存在しないことが消火の条件となる。
【0003】
しかしながら、火災の消火設備を作動させる場所がある空間内であって、その空間の床面積が大きく、奥行きがあり、あるいは内部の構造が複雑な空間内で火災が発生した場合、空間の外部から放水してもその空間の隅まで水が届きにくく、さらに、空間内が高温になりあるいは空間内に煙が充満した場合には、その状態が収束するまで消火を行うことができないおそれがある。
このような火災が発生した場合においては、水系消火設備を用いる代わりに、不燃性ガスを空間内に充満させ、その燃焼物を覆って消火する方法がある。
【0004】
しかしながら、既存のガス系消火設備のほとんどは、容器に貯蔵されるガスを消火剤として利用する固定消火設備であり、付加価値の高い場所にしか設置されないほどその設備費用が高価である。また、貯蔵容器より供給される消火剤の量が限られており、長時間にわたって継続的に供給できないので、区画された空間の開口部を閉鎖することができない場合には利用することができない。
【0005】
そこで、上述の消火設備が設置されていない空間内における火災に対する火災の消火方法及び消火設備として、気体分離膜を利用して一定の酸素濃度を持つ窒素富化空気を火災が発生した空間内に継続的に大量に注入し、空間内の火災を鎮火させるとともに、空間内の空気を人体に影響のない酸素濃度を有する雰囲気に置換する火災の消火方法及び消火設備が提案された(特許文献1参照)。
この火災の消火方法及び消火設備は、トンネルや地下街等、奥行きのある空間内の火災に対する消火に対して有効となる。
【0006】
このほか、閉鎖した空間内における従来の火災の消火設備としては、水噴霧ノズルから噴霧される微粒子水滴と、ガス噴射ノズルから噴射される安全濃度内の不燃性ガスとからなる混合消火雰囲気によって、被燃焼物が冷却されながら酸欠状態となり、消火あるいは燃焼抑制されるものがある(特許文献2参照)。
また、限られた空間内における従来の別の火災の消火設備としては、管オリフィス部、ノズル管、水容器、水供給管、及び窒素補給管等によって構成されており、窒素が流れると、管オリフィス部に設けられたオリフィスによって窒素出口がノズル管の水出口よりも高い圧力になり、水容器内の水が水出口から放出されるものがある(特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−276428号公報(第3−4頁、第2図)
【特許文献2】
特開平8−33730号公報(第3頁、第1図)
【特許文献3】
特開2000−237339号公報(第2頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の火災の消火設備においては、窒素富化空気は空気より軽く、火災となった空間に全域的に充満させなければならない。そのため、区画されていない屋外の火災に利用することができないという問題があった。また、アトリウムのような天井が高いことで内部容積が大きい空間においても、多量の消火ガスを注入しなければならないため、区画内の床面に発生した火災を消火することが困難であるという問題があった。
また、水を噴霧する火災の消火設備においては、微粒子水滴添加時の相乗効果によって不活性ガスの添加濃度を減らして人体に対する安全性を高めることを目的とするものであり、不活性ガスが空気より軽いため、閉鎖空間の固定消火設備を対象とするものである。
【0009】
なお、空気より重い気体として二酸化炭素が挙げられる。二酸化炭素は、空気より重い気体であるため、天井の高い空間あるいは天井のない空間において、その空間の底面に滞留でき、かつ、加圧することによって液化できることで、貯蔵および輸送を容易に行うことができるものである。実際に、固定消火設備以外に、移動式の消火設備として坑内火災の消火にも使用されている。しかし、消火に必要な二酸化炭素の濃度は人体に危険を及ぼすに十分な濃度であるため、有人の場所で使用できないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、人体に影響を与えず、天井の高い空間あるいは屋外等天井のない空間において火災を消火する火災の消火方法及び消火設備を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る火災の消火方法において、霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成し、前記気液混合体を用いて火災発生源を覆うことで火災を消火することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成し、その気液混合体を用いて火災発生源を覆うことで火災を消火することにより、気液混合体が自ら地面の方向に進行して火災発生源を覆うこととなる。これは、閉鎖した空間に気体あるいは気液混合体を充満させることでその閉鎖した空間内の火災発生源を覆って火災を消火する方法とは異なるものである。
【0013】
本発明に係る火災の消火設備において、霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成する気液混合装置と、前記気液混合装置から前記気液混合体を放出する放出口とを備え、前記気液混合体を前記放出口から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成する気液混合装置と、気液混合装置から気液混合体を放出する放出口とを備え、気液混合体を放出口から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることにより、気液混合装置によって生成された気液混合体が放出口から放出されて、気液混合体が自ら地面の方向に進行して火災発生源を覆うこととなる。これは、閉鎖した空間に気体あるいは気液混合体を充満させることでその閉鎖した空間内の火災発生源を覆って火災を消火するものとは異なるものである。
【0015】
本発明に係る火災の消火設備において、前記気液混合体に混在された前記空気は、窒素富化空気であることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、気液混合体に混在された空気が窒素富化空気であることにより、例えば二酸化炭素のように消火に必要な濃度を供給すると人体に影響を及ぼしてしまうような気体を用いずに窒素を用いるため、人間の生命に危険を及ぼさない。
【0017】
本発明に係る火災の消火設備において、前記窒素富化空気に含まれる酸素濃度は、10〜17%であることを特徴とする。
【0018】
周知のように、大気中の酸素濃度は通常21%であるが、人間の生命に危険を及ぼさない酸素濃度は10%以上である。一方、通常の大気中の酸素濃度では、火災発生源となる可燃物は燃焼するが、酸素濃度が17%以下になると、マッチやろうそく等の可燃物は燃えなくなる。
そこで、本発明によれば、気液混合体に混在された空気が窒素富化空気であり、その窒素富化空気に含まれる酸素濃度が10〜17%であることにより、人間の生命に危険を及ぼさないままで可燃物を燃えなくさせる状態を生成させることとなる。
【0019】
本発明に係る火災の消火設備において、空気圧縮機と、前記空気圧縮機を駆動させるエンジンと、前記空気圧縮機によって圧縮された圧縮空気を冷却する冷却用熱交換器と、前記冷却用熱交換器によって冷却された圧縮空気に含まれる有害物を除去するフィルタと、前記フィルタを介して圧縮空気を加熱する加熱用熱交換器と、前記加熱用熱交換器によって加熱された圧縮空気を窒素富化空気および酸素富化空気に分離する気体分離膜とを備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、空気圧縮機と、空気圧縮機を駆動させるエンジンと、空気圧縮機によって圧縮された圧縮空気を冷却する冷却用熱交換器と、冷却用熱交換器によって冷却された圧縮空気に含まれる有害物を除去するフィルタと、フィルタを介して圧縮空気を加熱する加熱用熱交換器と、加熱用熱交換器によって適切な温度に加熱された圧縮空気を窒素富化空気および酸素富化空気に分離する気体分離膜とを備えていることにより、窒素富化空気を大気中の空気から生成することが可能となる。
【0021】
本発明に係る火災の消火設備において、前記エンジンから排出された排気ガスは、前記加熱用熱交換器の熱源の一部または全部に用いられていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、エンジンから排出された排気ガスが加熱用熱交換器の熱源の一部または全部に用いられていることにより、排気ガスの再利用ができるため、加熱用熱交換器を通過する空気がエンジンの排気から回収されるエネルギーで加熱されることとなる。
【0023】
本発明に係る火災の消火設備において、前記気体分離膜によって分離された酸素富化空気は、前記エンジンに供給される空気の一部または全部に用いられていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、気体分離膜によって分離された酸素富化空気がエンジンに供給される空気の一部または全部に用いられていることにより、酸素富化空気の再利用ができるため、エンジンの効率が向上されることとなる。
【0025】
本発明に係る火災の消火設備において、前記気体分離膜によって分離された窒素富化空気の流量あるいは酸素濃度を調整する流量調整弁を備え、前記流量調整弁によって分離された窒素富化空気は、前記冷却用熱交換器の冷却剤に用いられていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、気体分離膜によって分離された窒素富化空気の流量あるいは酸素濃度を調整する流量調整弁を備え、流量調整弁によって分離された窒素富化空気が冷却用熱交換器の冷却剤に用いられていることにより、窒素富化空気の圧縮エネルギーの再利用ができるため、冷却用熱交換器を通過する空気が回収されるエネルギーで冷却されることとなる。ここで、冷却剤は、冷却用熱交換器に供給され、断熱膨張により圧縮空気を冷やすものである。
【0027】
本発明に係る火災の消火設備において、前記放出口の周縁部には、上流側から下流側に空気を通過させる空隙部が設けられ、前記気液混合体が前記放出口から放出される際に、前記気液混合体を覆うように前記空隙部から空気を放出することを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、放出口の周縁部には、上流側から下流側に空気を通過させる空隙部が設けられ、気液混合体が放出口から放出される際に、気液混合体を覆うように空隙部から空気を放出することにより、その放出された空気が、放出口から放出された気液混合体を覆う一時的な外壁となるため、気液混合体を遠方に放出することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明はそれらによって限定されるものではない。
図1は、本発明における実施の形態を示す図であって、本発明を適用した火災の消火設備を示す図である。
【0030】
火災の消火設備10は、エンジン11、空気圧縮機12、冷却用熱交換器13、フィルタ14、加熱用熱交換器15、気体分離膜16、気液混合装置17、二流体ノズル18、放出口19、水タンク20、温度計21、流量計22、流量調整弁23、酸素濃度計24、排気ガス利用ライン25、空気供給ライン26、酸素富化空気供給ライン27、圧縮窒素富化空気供給ライン28、及び低圧窒素富化空気供給ライン29を備えている。この火災の消火設備10は、後述するように、エンジン11を最も上流側に、放出口19を最も下流側に配置して、大気中の空気を窒素富化空気に変化させながら上流側から下流側に送り出せるようになっている。
【0031】
エンジン11は、火災の消火設備10の最も上流側に配置され、空気圧縮機12を駆動できるように空気圧縮機12に接続されている。
空気圧縮機12は、エンジン11の下流側に配置されており、火災の消火設備10の空気供給源として圧縮空気を下流側へ放出するようになっている。
冷却用熱交換器13は、空気圧縮機12の下流側に配置されて空気圧縮機12に接続され、空気圧縮機12から放出された圧縮空気を冷却するようになっている。
【0032】
フィルタ14は、冷却用熱交換器13の下流側に配置され、空気圧縮機12から放出され冷却用熱交換器13によって冷却された圧縮空気に含まれている固形粒子、有機溶剤及び炭化水素等を除去するようになっている。
加熱用熱交換器15は、フィルタ14の下流側に配置されて冷却用熱交換器13にフィルタ14を介して接続され、フィルタ14を通過した圧縮空気を加熱するようになっている。
気体分離膜16は、加熱用熱交換器15の下流側に配置されて加熱用熱交換器15に接続され、加熱用熱交換器15によって適切な温度に加熱された圧縮空気を窒素富化空気と酸素富化空気とに分離するようになっている。ここで、この気体分離膜16は、例えばポリイミド樹脂製の中空糸膜を用いており、その適切な使用温度が25〜60℃とされている。
【0033】
気液混合装置17は、気体分離膜16の下流側に配置されて気体分離膜16に接続され、気体分離膜16によって圧縮空気から分離された窒素富化空気を霧状あるいは泡状の水と混合させて気液混合体を生成するようになっている。
二流体ノズル18は、気液混合装置17の内部に1あるいは複数個設けられ、気液混合装置17によって生成された気液混合体を下流側の外部に噴射できるように、その先端が下流側に向けられている。
【0034】
放出口19は、気液混合装置17の下流側に配置されて気液混合装置17に接続されている。この放出口19は、気液混合装置17の内部に設けられた二流体ノズル18から噴射された気液混合体が外部に放出できるように筒状に形成され、かつ上流側から下流側に向かって次第に内径が広がるように形成されている。この放出口19の周縁部には、図2に示すように空隙部19aが設けられており、上流側から下流側に向けて空隙部19aから空気が放出できるようになっている。
ここで、この空隙部19aから放出される空気は、図示しない低圧かつ大流量の送風機により供給される。
気液混合装置17には、気液混合装置17に隣接して設けられ、気液混合装置17に水を供給する水タンク20が接続されている。
【0035】
冷却用熱交換器13とフィルタ14との間及び加熱用熱交換器15と気体分離膜16との間には、温度計21が設置されている。
気体分離膜16と気液混合装置17との間には、気体分離膜16によって圧縮空気から分離された窒素富化空気の流量を測定する流量計22が設置されている。その流量計22と気液混合装置17との間には、窒素富化空気の流量及び酸素濃度を調整する流量調整弁23が設置されている。また、流量調整弁23と気液混合装置17との間には、流量調整弁23によって調整された窒素富化空気の酸素濃度を測定する酸素濃度計24が設置されている。
【0036】
エンジン11が駆動することによって発生する排熱の一部または全部を加熱用熱交換器15に利用できるように、エンジン11と加熱用熱交換器15とを接続する排気ガス利用ライン25が設けられている。
水タンク20から気液混合装置17に水を供給する際、空気圧縮機12からの圧縮空気による圧力を利用して水タンク20から気液混合装置17に水を供給できるように、空気圧縮機12と水タンク20とを接続する空気供給ライン26が設けられている。
気体分離膜16によって圧縮空気から分離された酸素富化空気をエンジン11に供給する空気として利用できるように、気体分離膜16とエンジン11とを接続する酸素富化空気供給ライン27が設けられている。
【0037】
流量調整弁23によって放出された一定の圧力を持つ窒素富化空気を、図示しない断熱膨張弁を通して冷却用熱交換器13内で断熱膨張して再利用できるように、流量調整弁23と冷却用熱交換器13とを接続する圧縮窒素富化空気供給ライン28が設けられている。
冷却用熱交換器13から出た断熱膨張後の低圧窒素富化空気が低圧窒素富化空気供給ライン29を通過して放出口19または気液混合装置17に導入され、気液混合体に加えられる。
【0038】
次に、上記の構成からなる火災の消火設備の機能および作用について説明する。
この火災の消火設備10を用いて火災を消火する場合には、大気中からの空気を窒素富化空気に変化させ、その窒素富化空気に水を混合させることで空気より比重の重い気液混合体にして、火災発生源を覆うようにして気液混合体を放出口19から継続的に放出することで火災を消火する。
【0039】
すなわち、火災の消火設備10が起動すると、エンジン11が駆動するとともに、そのエンジン11の駆動によって空気圧縮機12が駆動する。そして、大気中の空気を空気圧縮機12によって必要に応じて約2〜8気圧に圧縮して、その圧縮空気を冷却用熱交換器13に供給する。ここで、気体分離膜16を保護するため、圧縮空気の温度を温度計21で測定し、冷却用熱交換器13に供給された圧縮空気の温度が高すぎる場合、例えば60℃を超える場合には、冷却用熱交換器13による断熱膨張によって圧縮空気を冷却する。
【0040】
冷却された圧縮空気をフィルタ14に通して気体分離膜16に有害な固形粒子、有機溶剤及び炭化水素等を圧縮空気から除去した後、その圧縮空気を加熱用熱交換器15に供給する。ここで、気体分離膜16の分離効率を確保するため、圧縮空気の温度を温度計21で測定し、加熱用熱交換器15に供給された圧縮空気の温度が低すぎる場合、例えば25℃以下となる場合には、エンジン11と加熱用熱交換器15とを接続する排気ガス利用ライン25から供給されるエンジン11の排ガスの一部あるいは全部を導入しながら、加熱用熱交換器15によって圧縮空気を適切な温度まで加熱する。
【0041】
そして、フィルタ14によって有害な固形粒子、有機溶剤及び炭化水素等を圧縮空気から除去し、冷却用熱交換器13及び加熱用熱交換器15によって圧縮空気を適温にした後、その圧縮空気を気体分離膜16に通して窒素富化空気と酸素富化空気とに分離する。気体分離膜16によって圧縮空気から分離された酸素富化空気は、気体分離膜16とエンジン11とを接続する酸素富化空気供給ライン27を通ってその一部または全部がエンジン11に供給される。
【0042】
気体分離膜16によって圧縮空気から分離された窒素富化空気を、窒素富化空気の流量及び酸素濃度を調整する流量調整弁23を介して気液混合装置17に供給する。このとき、気体分離膜16によって圧縮空気から分離された窒素富化空気の流量を測定する流量計22、及び流量調整弁23によって調整された窒素富化空気の酸素濃度を測定する酸素濃度計24を見ながら流量調整弁23を調整して、気液混合装置17に適切な流量及び酸素濃度を有する窒素富化空気を供給する。
【0043】
ここで、窒素富化空気の酸素濃度は、10〜17%であることが適当である。なぜなら、周知のように、大気中の酸素濃度は通常21%であるが、人間の生命に危険を及ぼさない酸素濃度は10%以上である。一方、通常の大気中の酸素濃度では、火災発生源となる可燃物は燃焼するが、酸素濃度が17%以下になると、マッチやろうそく等の可燃物は燃えなくなるからである。そこで、気液混合体に混在された空気が窒素富化空気であり、その窒素富化空気に含まれる酸素濃度を10〜17%とすることにより、人間の生命に危険を及ぼさないままで可燃物を燃えなくさせる状態を生成させることとなる。
【0044】
窒素富化空気が流量調整弁23によって調整されると、その窒素富化空気の一部または全部を、流量調整弁23と冷却用熱交換器13とを接続する圧縮窒素富化空気供給ライン28を一定の圧力を保持しながら通過して冷却用熱交換器13に供給する。その窒素富化空気は、断熱膨張弁を通して冷却用熱交換器13内で断熱膨張してエネルギーが再利用される。
【0045】
気液混合装置17に供給した窒素富化空気と、水タンク20から供給する水とを気液混合装置17によって混合して、窒素富化空気と霧状あるいは泡状の水とからなる気液混合体を生成する。このとき、空気圧縮機12と水タンク20とを接続する空気供給ライン26を通って空気圧縮機12によって圧縮空気を供給し、その圧力を利用して水タンク20から気液混合装置17に水を供給する。窒素富化空気と水とを混合させることで、生成された気液混合体は空気より比重が重くなる。
【0046】
そして、気液混合装置17によって生成された気液混合体を、気液混合装置17内に設けられた二流体ノズル18を用いて放出口19の外部に放出する。このとき、放出口19の外部に放出された気液混合体は、放出口19から放出されると、空気より比重が重いため、放出口19の下方にある火災発生源に対して、その火災発生源を覆うように広がりながら火災を消火する。
【0047】
この場合、窒素富化空気と霧状あるいは泡状の水とを混合させて、空気よりも比重を重くした気液混合体を生成して、気液混合体を放出口19から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることにより、気液混合体が自ら地面の方向に進行して火災発生源を覆うこととなる。これは、閉鎖した空間に空気より軽い気体あるいは気液混合体を充満させることでその閉鎖した空間内の火災発生源を覆って火災を消火するものとは異なるものである。
【0048】
また、気液混合体に混合された空気が窒素富化空気であることにより、例えば二酸化炭素のように消火に必要な濃度を供給すると人体に影響を及ぼしてしまうような気体を用いずに窒素を用いるため、人間の生命に危険を及ぼさない。
なお、気液混合体は、その中に含まれる水の粒子と窒素富化空気の粘性とを利用して形成されている。そのため、水の粒子径が一定以上大きくなってしまうと気液混合体を形成できなくなる。ここで、レイノルズ数Re<1の制限に対応する水の粒子の直径は390μmであることから、水の粒子の直径を390μmより小さくする必要がある。
【0049】
さらに、図3には、水の粒子の半径と空気中での沈降速度との関係が示されている。すなわち、気液混合体に含まれる水の粒子の半径を調整することによって、水の粒子の空気中での沈降速度が調整され、水の粒子の気液混合体中での滞留時間が調整されることとなる。したがって、気液混合体に含まれる水の粒子の半径が10μm以下であれば、寿命を長く持つことができるため、遠方まで搬送可能となる。
【0050】
また、エンジン11から排出された排気ガスが加熱用熱交換器13の熱源の一部または全部に用いられていることにより、排気ガスの再利用ができるため、加熱用熱交換器13を通過する空気がエンジン11の排気から回収されるエネルギーで加熱されることとなる。
また、気体分離膜16によって分離された酸素富化空気がエンジン11に供給される空気の一部または全部に用いられていることにより、酸素富化空気の再利用ができるため、エンジン11の効率が向上することとなる。
【0051】
さらに、気体分離膜16によって分離された窒素富化空気の流量あるいは酸素濃度を調整する流量調整弁23を備え、流量調整弁23によって分離された窒素富化空気が冷却用熱交換器13に供給される空気の一部または全部に用いられていることにより、窒素富化空気の圧縮エネルギーの再利用ができるため、冷却用熱交換器13を通過する空気が回収される圧縮エネルギーで冷却されることとなる。
【0052】
火災の消火設備10が火災発生源に対して遠方にある場合には、図示しない低圧かつ大流量の送風機より放出口19の空隙部19aに低圧の圧縮空気を供給し、その空隙部19aから外部に圧縮空気を放出して、放出口19の外部に放出される気液混合体を覆うように圧縮空気による外壁を形成することで、気液混合体が放出口19の外部に放出された後、気液混合体の重力による落下を軽減されながら、気液混合体が遠方にある火災発生源に到達して、火災を消火することとなる。
【0053】
上記の構成によれば、窒素富化空気と霧状あるいは泡状の水とを混合させて、空気よりも比重を重くした気液混合体を生成して、気液混合体を放出口19から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることにより、天井の高い空間あるいは屋外等天井のない空間において火災を消火することができる。
また、気液混合体に混合された空気が適切な酸素濃度を持つ窒素富化空気であることにより、人体に影響を与えずに火災を消火することができる。
【0054】
また、エンジン11から排出された排気ガスが加熱用熱交換器13の熱源の一部または全部に用いられていることにより、排気ガスの再利用ができるため、加熱用熱交換器13を通過する空気がエンジン11の排気から回収されるエネルギーで加熱されることとなるので、火災の消火設備10の効率向上を図ることができる。
また、気体分離膜16によって分離された酸素富化空気がエンジン11に供給される空気の一部または全部に用いられていることにより、酸素富化空気の再利用ができるため、エンジン11の効率が向上することとなるので、火災の消火設備10の効率向上を図ることができる。
【0055】
さらに、気体分離膜16によって分離された窒素富化空気の流量あるいは酸素濃度を調整する流量調整弁23を備え、流量調整弁23によって分離された窒素富化空気が冷却用熱交換器13に供給される空気の一部または全部に用いられていることにより、窒素富化空気の圧縮エネルギーの再利用ができるため、冷却用熱交換器13を通過する空気が回収される圧縮エネルギーで冷却されることとなるので、火災の消火設備10の効率向上を図ることができる。
【0056】
火災の消火設備10が火災発生源に対して遠方にある場合には、図示しない送風機から放出口19の空隙部19aに圧縮空気を供給し、その空隙部19aから外部に圧縮空気を放出して、放出口19の外部に放出される気液混合体を覆うように圧縮空気による外壁を形成することで、気液混合体が放出口19の外部に放出された後、気液混合体の重力による落下を軽減されながら、気液混合体が遠方にある火災発生源に到達して、火災を消火することとなるので、火災の消火設備10の効率向上を図ることができる。
【0057】
なお、この火災の消火設備10は、例えば、廃棄物処理施設のゴミピットの火災に応用する実施されているものであるが、この用途に限らないことは言うまでもない。
また、この火災の消火設備10は、例えば、自動車のように地上で移動可能な移動手段あるいはヘリコプタのように空中で移動可能な移動手段に搭載されてもよい。
さらに、これらの移動手段に火災の消火設備10が搭載された場合、火災の消火設備10に設けられたエンジン11を移動手段の駆動部と併用してもよい。
【0058】
また、窒素富化空気と水とから気液混合体を生成する装置として、上記実施の形態のように圧縮空気によって水タンク20から水を気液混合装置17に送り出す装置に限らず、例えば、気液混合装置17内に超音波振動子を備え、その超音波振動子を起動させて水を霧状にして圧縮空気と水とを混合させる装置、あるいは、気液混合装置17内に遠心分離機を備え、窒素富化空気と水とを遠心力を利用して混合させる装置であってもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明した本発明の火災の消火方法及び消火設備においては、以下の効果を奏する。
本発明によれば、窒素富化空気と霧状あるいは泡状の水とを混合させて、空気よりも比重を重くした気液混合体を生成して、気液混合体を放出口から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることにより、天井の高い空間あるいは屋外等天井のない空間において火災を消火することができる。
また、気液混合体に混合された空気が適切な酸素濃度を持つ窒素富化空気であることにより、人体に影響を与えずに火災を消火することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施の形態に係る火災の消火設備を示す概念図である。
【図2】本発明における実施の形態に係る火災の消火設備の放出口の断面図である。
【図3】空気中に含まれる水の粒子の半径と沈降速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 火災の消火設備
11 エンジン
12 空気圧縮機
13 冷却用熱交換器
14 フィルタ
15 加熱用熱交換器
16 気体分離膜
17 気液混合装置
18 二流体ノズル
19 放出口
20 水タンク
23 流量調整弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、火災の消火方法及び消火設備に関し、特に、天井が高いあるいは開放された空間に発生した火災に用いて好適な火災の消火方法及び消火設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、火災の消火設備においては、火災が発生した場合、水を噴射する装置を作動させて燃焼物を消火するという水系火災の消火設備が採用されている。ここで、水系消火設備に利用されている水は、冷却効果に優れ、入手が容易であり、低コストで毒性がなく、また環境に対する影響が少ない等の利点があるため、従来から最も有効な消火剤として利用されている。ただし、水は常温において液体であり、常に重力の影響を受けて沈降し流下するため、気体の消火剤のように、燃焼物を覆って消火することができない。したがって、水系消火設備を利用する場合、水噴射装置等の放水器具を燃焼物に近づけること及び放水器具と燃焼物との間に散水の妨げとなる障害物が存在しないことが消火の条件となる。
【0003】
しかしながら、火災の消火設備を作動させる場所がある空間内であって、その空間の床面積が大きく、奥行きがあり、あるいは内部の構造が複雑な空間内で火災が発生した場合、空間の外部から放水してもその空間の隅まで水が届きにくく、さらに、空間内が高温になりあるいは空間内に煙が充満した場合には、その状態が収束するまで消火を行うことができないおそれがある。
このような火災が発生した場合においては、水系消火設備を用いる代わりに、不燃性ガスを空間内に充満させ、その燃焼物を覆って消火する方法がある。
【0004】
しかしながら、既存のガス系消火設備のほとんどは、容器に貯蔵されるガスを消火剤として利用する固定消火設備であり、付加価値の高い場所にしか設置されないほどその設備費用が高価である。また、貯蔵容器より供給される消火剤の量が限られており、長時間にわたって継続的に供給できないので、区画された空間の開口部を閉鎖することができない場合には利用することができない。
【0005】
そこで、上述の消火設備が設置されていない空間内における火災に対する火災の消火方法及び消火設備として、気体分離膜を利用して一定の酸素濃度を持つ窒素富化空気を火災が発生した空間内に継続的に大量に注入し、空間内の火災を鎮火させるとともに、空間内の空気を人体に影響のない酸素濃度を有する雰囲気に置換する火災の消火方法及び消火設備が提案された(特許文献1参照)。
この火災の消火方法及び消火設備は、トンネルや地下街等、奥行きのある空間内の火災に対する消火に対して有効となる。
【0006】
このほか、閉鎖した空間内における従来の火災の消火設備としては、水噴霧ノズルから噴霧される微粒子水滴と、ガス噴射ノズルから噴射される安全濃度内の不燃性ガスとからなる混合消火雰囲気によって、被燃焼物が冷却されながら酸欠状態となり、消火あるいは燃焼抑制されるものがある(特許文献2参照)。
また、限られた空間内における従来の別の火災の消火設備としては、管オリフィス部、ノズル管、水容器、水供給管、及び窒素補給管等によって構成されており、窒素が流れると、管オリフィス部に設けられたオリフィスによって窒素出口がノズル管の水出口よりも高い圧力になり、水容器内の水が水出口から放出されるものがある(特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−276428号公報(第3−4頁、第2図)
【特許文献2】
特開平8−33730号公報(第3頁、第1図)
【特許文献3】
特開2000−237339号公報(第2頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の火災の消火設備においては、窒素富化空気は空気より軽く、火災となった空間に全域的に充満させなければならない。そのため、区画されていない屋外の火災に利用することができないという問題があった。また、アトリウムのような天井が高いことで内部容積が大きい空間においても、多量の消火ガスを注入しなければならないため、区画内の床面に発生した火災を消火することが困難であるという問題があった。
また、水を噴霧する火災の消火設備においては、微粒子水滴添加時の相乗効果によって不活性ガスの添加濃度を減らして人体に対する安全性を高めることを目的とするものであり、不活性ガスが空気より軽いため、閉鎖空間の固定消火設備を対象とするものである。
【0009】
なお、空気より重い気体として二酸化炭素が挙げられる。二酸化炭素は、空気より重い気体であるため、天井の高い空間あるいは天井のない空間において、その空間の底面に滞留でき、かつ、加圧することによって液化できることで、貯蔵および輸送を容易に行うことができるものである。実際に、固定消火設備以外に、移動式の消火設備として坑内火災の消火にも使用されている。しかし、消火に必要な二酸化炭素の濃度は人体に危険を及ぼすに十分な濃度であるため、有人の場所で使用できないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、人体に影響を与えず、天井の高い空間あるいは屋外等天井のない空間において火災を消火する火災の消火方法及び消火設備を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る火災の消火方法において、霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成し、前記気液混合体を用いて火災発生源を覆うことで火災を消火することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成し、その気液混合体を用いて火災発生源を覆うことで火災を消火することにより、気液混合体が自ら地面の方向に進行して火災発生源を覆うこととなる。これは、閉鎖した空間に気体あるいは気液混合体を充満させることでその閉鎖した空間内の火災発生源を覆って火災を消火する方法とは異なるものである。
【0013】
本発明に係る火災の消火設備において、霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成する気液混合装置と、前記気液混合装置から前記気液混合体を放出する放出口とを備え、前記気液混合体を前記放出口から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成する気液混合装置と、気液混合装置から気液混合体を放出する放出口とを備え、気液混合体を放出口から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることにより、気液混合装置によって生成された気液混合体が放出口から放出されて、気液混合体が自ら地面の方向に進行して火災発生源を覆うこととなる。これは、閉鎖した空間に気体あるいは気液混合体を充満させることでその閉鎖した空間内の火災発生源を覆って火災を消火するものとは異なるものである。
【0015】
本発明に係る火災の消火設備において、前記気液混合体に混在された前記空気は、窒素富化空気であることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、気液混合体に混在された空気が窒素富化空気であることにより、例えば二酸化炭素のように消火に必要な濃度を供給すると人体に影響を及ぼしてしまうような気体を用いずに窒素を用いるため、人間の生命に危険を及ぼさない。
【0017】
本発明に係る火災の消火設備において、前記窒素富化空気に含まれる酸素濃度は、10〜17%であることを特徴とする。
【0018】
周知のように、大気中の酸素濃度は通常21%であるが、人間の生命に危険を及ぼさない酸素濃度は10%以上である。一方、通常の大気中の酸素濃度では、火災発生源となる可燃物は燃焼するが、酸素濃度が17%以下になると、マッチやろうそく等の可燃物は燃えなくなる。
そこで、本発明によれば、気液混合体に混在された空気が窒素富化空気であり、その窒素富化空気に含まれる酸素濃度が10〜17%であることにより、人間の生命に危険を及ぼさないままで可燃物を燃えなくさせる状態を生成させることとなる。
【0019】
本発明に係る火災の消火設備において、空気圧縮機と、前記空気圧縮機を駆動させるエンジンと、前記空気圧縮機によって圧縮された圧縮空気を冷却する冷却用熱交換器と、前記冷却用熱交換器によって冷却された圧縮空気に含まれる有害物を除去するフィルタと、前記フィルタを介して圧縮空気を加熱する加熱用熱交換器と、前記加熱用熱交換器によって加熱された圧縮空気を窒素富化空気および酸素富化空気に分離する気体分離膜とを備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、空気圧縮機と、空気圧縮機を駆動させるエンジンと、空気圧縮機によって圧縮された圧縮空気を冷却する冷却用熱交換器と、冷却用熱交換器によって冷却された圧縮空気に含まれる有害物を除去するフィルタと、フィルタを介して圧縮空気を加熱する加熱用熱交換器と、加熱用熱交換器によって適切な温度に加熱された圧縮空気を窒素富化空気および酸素富化空気に分離する気体分離膜とを備えていることにより、窒素富化空気を大気中の空気から生成することが可能となる。
【0021】
本発明に係る火災の消火設備において、前記エンジンから排出された排気ガスは、前記加熱用熱交換器の熱源の一部または全部に用いられていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、エンジンから排出された排気ガスが加熱用熱交換器の熱源の一部または全部に用いられていることにより、排気ガスの再利用ができるため、加熱用熱交換器を通過する空気がエンジンの排気から回収されるエネルギーで加熱されることとなる。
【0023】
本発明に係る火災の消火設備において、前記気体分離膜によって分離された酸素富化空気は、前記エンジンに供給される空気の一部または全部に用いられていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、気体分離膜によって分離された酸素富化空気がエンジンに供給される空気の一部または全部に用いられていることにより、酸素富化空気の再利用ができるため、エンジンの効率が向上されることとなる。
【0025】
本発明に係る火災の消火設備において、前記気体分離膜によって分離された窒素富化空気の流量あるいは酸素濃度を調整する流量調整弁を備え、前記流量調整弁によって分離された窒素富化空気は、前記冷却用熱交換器の冷却剤に用いられていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、気体分離膜によって分離された窒素富化空気の流量あるいは酸素濃度を調整する流量調整弁を備え、流量調整弁によって分離された窒素富化空気が冷却用熱交換器の冷却剤に用いられていることにより、窒素富化空気の圧縮エネルギーの再利用ができるため、冷却用熱交換器を通過する空気が回収されるエネルギーで冷却されることとなる。ここで、冷却剤は、冷却用熱交換器に供給され、断熱膨張により圧縮空気を冷やすものである。
【0027】
本発明に係る火災の消火設備において、前記放出口の周縁部には、上流側から下流側に空気を通過させる空隙部が設けられ、前記気液混合体が前記放出口から放出される際に、前記気液混合体を覆うように前記空隙部から空気を放出することを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、放出口の周縁部には、上流側から下流側に空気を通過させる空隙部が設けられ、気液混合体が放出口から放出される際に、気液混合体を覆うように空隙部から空気を放出することにより、その放出された空気が、放出口から放出された気液混合体を覆う一時的な外壁となるため、気液混合体を遠方に放出することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明はそれらによって限定されるものではない。
図1は、本発明における実施の形態を示す図であって、本発明を適用した火災の消火設備を示す図である。
【0030】
火災の消火設備10は、エンジン11、空気圧縮機12、冷却用熱交換器13、フィルタ14、加熱用熱交換器15、気体分離膜16、気液混合装置17、二流体ノズル18、放出口19、水タンク20、温度計21、流量計22、流量調整弁23、酸素濃度計24、排気ガス利用ライン25、空気供給ライン26、酸素富化空気供給ライン27、圧縮窒素富化空気供給ライン28、及び低圧窒素富化空気供給ライン29を備えている。この火災の消火設備10は、後述するように、エンジン11を最も上流側に、放出口19を最も下流側に配置して、大気中の空気を窒素富化空気に変化させながら上流側から下流側に送り出せるようになっている。
【0031】
エンジン11は、火災の消火設備10の最も上流側に配置され、空気圧縮機12を駆動できるように空気圧縮機12に接続されている。
空気圧縮機12は、エンジン11の下流側に配置されており、火災の消火設備10の空気供給源として圧縮空気を下流側へ放出するようになっている。
冷却用熱交換器13は、空気圧縮機12の下流側に配置されて空気圧縮機12に接続され、空気圧縮機12から放出された圧縮空気を冷却するようになっている。
【0032】
フィルタ14は、冷却用熱交換器13の下流側に配置され、空気圧縮機12から放出され冷却用熱交換器13によって冷却された圧縮空気に含まれている固形粒子、有機溶剤及び炭化水素等を除去するようになっている。
加熱用熱交換器15は、フィルタ14の下流側に配置されて冷却用熱交換器13にフィルタ14を介して接続され、フィルタ14を通過した圧縮空気を加熱するようになっている。
気体分離膜16は、加熱用熱交換器15の下流側に配置されて加熱用熱交換器15に接続され、加熱用熱交換器15によって適切な温度に加熱された圧縮空気を窒素富化空気と酸素富化空気とに分離するようになっている。ここで、この気体分離膜16は、例えばポリイミド樹脂製の中空糸膜を用いており、その適切な使用温度が25〜60℃とされている。
【0033】
気液混合装置17は、気体分離膜16の下流側に配置されて気体分離膜16に接続され、気体分離膜16によって圧縮空気から分離された窒素富化空気を霧状あるいは泡状の水と混合させて気液混合体を生成するようになっている。
二流体ノズル18は、気液混合装置17の内部に1あるいは複数個設けられ、気液混合装置17によって生成された気液混合体を下流側の外部に噴射できるように、その先端が下流側に向けられている。
【0034】
放出口19は、気液混合装置17の下流側に配置されて気液混合装置17に接続されている。この放出口19は、気液混合装置17の内部に設けられた二流体ノズル18から噴射された気液混合体が外部に放出できるように筒状に形成され、かつ上流側から下流側に向かって次第に内径が広がるように形成されている。この放出口19の周縁部には、図2に示すように空隙部19aが設けられており、上流側から下流側に向けて空隙部19aから空気が放出できるようになっている。
ここで、この空隙部19aから放出される空気は、図示しない低圧かつ大流量の送風機により供給される。
気液混合装置17には、気液混合装置17に隣接して設けられ、気液混合装置17に水を供給する水タンク20が接続されている。
【0035】
冷却用熱交換器13とフィルタ14との間及び加熱用熱交換器15と気体分離膜16との間には、温度計21が設置されている。
気体分離膜16と気液混合装置17との間には、気体分離膜16によって圧縮空気から分離された窒素富化空気の流量を測定する流量計22が設置されている。その流量計22と気液混合装置17との間には、窒素富化空気の流量及び酸素濃度を調整する流量調整弁23が設置されている。また、流量調整弁23と気液混合装置17との間には、流量調整弁23によって調整された窒素富化空気の酸素濃度を測定する酸素濃度計24が設置されている。
【0036】
エンジン11が駆動することによって発生する排熱の一部または全部を加熱用熱交換器15に利用できるように、エンジン11と加熱用熱交換器15とを接続する排気ガス利用ライン25が設けられている。
水タンク20から気液混合装置17に水を供給する際、空気圧縮機12からの圧縮空気による圧力を利用して水タンク20から気液混合装置17に水を供給できるように、空気圧縮機12と水タンク20とを接続する空気供給ライン26が設けられている。
気体分離膜16によって圧縮空気から分離された酸素富化空気をエンジン11に供給する空気として利用できるように、気体分離膜16とエンジン11とを接続する酸素富化空気供給ライン27が設けられている。
【0037】
流量調整弁23によって放出された一定の圧力を持つ窒素富化空気を、図示しない断熱膨張弁を通して冷却用熱交換器13内で断熱膨張して再利用できるように、流量調整弁23と冷却用熱交換器13とを接続する圧縮窒素富化空気供給ライン28が設けられている。
冷却用熱交換器13から出た断熱膨張後の低圧窒素富化空気が低圧窒素富化空気供給ライン29を通過して放出口19または気液混合装置17に導入され、気液混合体に加えられる。
【0038】
次に、上記の構成からなる火災の消火設備の機能および作用について説明する。
この火災の消火設備10を用いて火災を消火する場合には、大気中からの空気を窒素富化空気に変化させ、その窒素富化空気に水を混合させることで空気より比重の重い気液混合体にして、火災発生源を覆うようにして気液混合体を放出口19から継続的に放出することで火災を消火する。
【0039】
すなわち、火災の消火設備10が起動すると、エンジン11が駆動するとともに、そのエンジン11の駆動によって空気圧縮機12が駆動する。そして、大気中の空気を空気圧縮機12によって必要に応じて約2〜8気圧に圧縮して、その圧縮空気を冷却用熱交換器13に供給する。ここで、気体分離膜16を保護するため、圧縮空気の温度を温度計21で測定し、冷却用熱交換器13に供給された圧縮空気の温度が高すぎる場合、例えば60℃を超える場合には、冷却用熱交換器13による断熱膨張によって圧縮空気を冷却する。
【0040】
冷却された圧縮空気をフィルタ14に通して気体分離膜16に有害な固形粒子、有機溶剤及び炭化水素等を圧縮空気から除去した後、その圧縮空気を加熱用熱交換器15に供給する。ここで、気体分離膜16の分離効率を確保するため、圧縮空気の温度を温度計21で測定し、加熱用熱交換器15に供給された圧縮空気の温度が低すぎる場合、例えば25℃以下となる場合には、エンジン11と加熱用熱交換器15とを接続する排気ガス利用ライン25から供給されるエンジン11の排ガスの一部あるいは全部を導入しながら、加熱用熱交換器15によって圧縮空気を適切な温度まで加熱する。
【0041】
そして、フィルタ14によって有害な固形粒子、有機溶剤及び炭化水素等を圧縮空気から除去し、冷却用熱交換器13及び加熱用熱交換器15によって圧縮空気を適温にした後、その圧縮空気を気体分離膜16に通して窒素富化空気と酸素富化空気とに分離する。気体分離膜16によって圧縮空気から分離された酸素富化空気は、気体分離膜16とエンジン11とを接続する酸素富化空気供給ライン27を通ってその一部または全部がエンジン11に供給される。
【0042】
気体分離膜16によって圧縮空気から分離された窒素富化空気を、窒素富化空気の流量及び酸素濃度を調整する流量調整弁23を介して気液混合装置17に供給する。このとき、気体分離膜16によって圧縮空気から分離された窒素富化空気の流量を測定する流量計22、及び流量調整弁23によって調整された窒素富化空気の酸素濃度を測定する酸素濃度計24を見ながら流量調整弁23を調整して、気液混合装置17に適切な流量及び酸素濃度を有する窒素富化空気を供給する。
【0043】
ここで、窒素富化空気の酸素濃度は、10〜17%であることが適当である。なぜなら、周知のように、大気中の酸素濃度は通常21%であるが、人間の生命に危険を及ぼさない酸素濃度は10%以上である。一方、通常の大気中の酸素濃度では、火災発生源となる可燃物は燃焼するが、酸素濃度が17%以下になると、マッチやろうそく等の可燃物は燃えなくなるからである。そこで、気液混合体に混在された空気が窒素富化空気であり、その窒素富化空気に含まれる酸素濃度を10〜17%とすることにより、人間の生命に危険を及ぼさないままで可燃物を燃えなくさせる状態を生成させることとなる。
【0044】
窒素富化空気が流量調整弁23によって調整されると、その窒素富化空気の一部または全部を、流量調整弁23と冷却用熱交換器13とを接続する圧縮窒素富化空気供給ライン28を一定の圧力を保持しながら通過して冷却用熱交換器13に供給する。その窒素富化空気は、断熱膨張弁を通して冷却用熱交換器13内で断熱膨張してエネルギーが再利用される。
【0045】
気液混合装置17に供給した窒素富化空気と、水タンク20から供給する水とを気液混合装置17によって混合して、窒素富化空気と霧状あるいは泡状の水とからなる気液混合体を生成する。このとき、空気圧縮機12と水タンク20とを接続する空気供給ライン26を通って空気圧縮機12によって圧縮空気を供給し、その圧力を利用して水タンク20から気液混合装置17に水を供給する。窒素富化空気と水とを混合させることで、生成された気液混合体は空気より比重が重くなる。
【0046】
そして、気液混合装置17によって生成された気液混合体を、気液混合装置17内に設けられた二流体ノズル18を用いて放出口19の外部に放出する。このとき、放出口19の外部に放出された気液混合体は、放出口19から放出されると、空気より比重が重いため、放出口19の下方にある火災発生源に対して、その火災発生源を覆うように広がりながら火災を消火する。
【0047】
この場合、窒素富化空気と霧状あるいは泡状の水とを混合させて、空気よりも比重を重くした気液混合体を生成して、気液混合体を放出口19から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることにより、気液混合体が自ら地面の方向に進行して火災発生源を覆うこととなる。これは、閉鎖した空間に空気より軽い気体あるいは気液混合体を充満させることでその閉鎖した空間内の火災発生源を覆って火災を消火するものとは異なるものである。
【0048】
また、気液混合体に混合された空気が窒素富化空気であることにより、例えば二酸化炭素のように消火に必要な濃度を供給すると人体に影響を及ぼしてしまうような気体を用いずに窒素を用いるため、人間の生命に危険を及ぼさない。
なお、気液混合体は、その中に含まれる水の粒子と窒素富化空気の粘性とを利用して形成されている。そのため、水の粒子径が一定以上大きくなってしまうと気液混合体を形成できなくなる。ここで、レイノルズ数Re<1の制限に対応する水の粒子の直径は390μmであることから、水の粒子の直径を390μmより小さくする必要がある。
【0049】
さらに、図3には、水の粒子の半径と空気中での沈降速度との関係が示されている。すなわち、気液混合体に含まれる水の粒子の半径を調整することによって、水の粒子の空気中での沈降速度が調整され、水の粒子の気液混合体中での滞留時間が調整されることとなる。したがって、気液混合体に含まれる水の粒子の半径が10μm以下であれば、寿命を長く持つことができるため、遠方まで搬送可能となる。
【0050】
また、エンジン11から排出された排気ガスが加熱用熱交換器13の熱源の一部または全部に用いられていることにより、排気ガスの再利用ができるため、加熱用熱交換器13を通過する空気がエンジン11の排気から回収されるエネルギーで加熱されることとなる。
また、気体分離膜16によって分離された酸素富化空気がエンジン11に供給される空気の一部または全部に用いられていることにより、酸素富化空気の再利用ができるため、エンジン11の効率が向上することとなる。
【0051】
さらに、気体分離膜16によって分離された窒素富化空気の流量あるいは酸素濃度を調整する流量調整弁23を備え、流量調整弁23によって分離された窒素富化空気が冷却用熱交換器13に供給される空気の一部または全部に用いられていることにより、窒素富化空気の圧縮エネルギーの再利用ができるため、冷却用熱交換器13を通過する空気が回収される圧縮エネルギーで冷却されることとなる。
【0052】
火災の消火設備10が火災発生源に対して遠方にある場合には、図示しない低圧かつ大流量の送風機より放出口19の空隙部19aに低圧の圧縮空気を供給し、その空隙部19aから外部に圧縮空気を放出して、放出口19の外部に放出される気液混合体を覆うように圧縮空気による外壁を形成することで、気液混合体が放出口19の外部に放出された後、気液混合体の重力による落下を軽減されながら、気液混合体が遠方にある火災発生源に到達して、火災を消火することとなる。
【0053】
上記の構成によれば、窒素富化空気と霧状あるいは泡状の水とを混合させて、空気よりも比重を重くした気液混合体を生成して、気液混合体を放出口19から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることにより、天井の高い空間あるいは屋外等天井のない空間において火災を消火することができる。
また、気液混合体に混合された空気が適切な酸素濃度を持つ窒素富化空気であることにより、人体に影響を与えずに火災を消火することができる。
【0054】
また、エンジン11から排出された排気ガスが加熱用熱交換器13の熱源の一部または全部に用いられていることにより、排気ガスの再利用ができるため、加熱用熱交換器13を通過する空気がエンジン11の排気から回収されるエネルギーで加熱されることとなるので、火災の消火設備10の効率向上を図ることができる。
また、気体分離膜16によって分離された酸素富化空気がエンジン11に供給される空気の一部または全部に用いられていることにより、酸素富化空気の再利用ができるため、エンジン11の効率が向上することとなるので、火災の消火設備10の効率向上を図ることができる。
【0055】
さらに、気体分離膜16によって分離された窒素富化空気の流量あるいは酸素濃度を調整する流量調整弁23を備え、流量調整弁23によって分離された窒素富化空気が冷却用熱交換器13に供給される空気の一部または全部に用いられていることにより、窒素富化空気の圧縮エネルギーの再利用ができるため、冷却用熱交換器13を通過する空気が回収される圧縮エネルギーで冷却されることとなるので、火災の消火設備10の効率向上を図ることができる。
【0056】
火災の消火設備10が火災発生源に対して遠方にある場合には、図示しない送風機から放出口19の空隙部19aに圧縮空気を供給し、その空隙部19aから外部に圧縮空気を放出して、放出口19の外部に放出される気液混合体を覆うように圧縮空気による外壁を形成することで、気液混合体が放出口19の外部に放出された後、気液混合体の重力による落下を軽減されながら、気液混合体が遠方にある火災発生源に到達して、火災を消火することとなるので、火災の消火設備10の効率向上を図ることができる。
【0057】
なお、この火災の消火設備10は、例えば、廃棄物処理施設のゴミピットの火災に応用する実施されているものであるが、この用途に限らないことは言うまでもない。
また、この火災の消火設備10は、例えば、自動車のように地上で移動可能な移動手段あるいはヘリコプタのように空中で移動可能な移動手段に搭載されてもよい。
さらに、これらの移動手段に火災の消火設備10が搭載された場合、火災の消火設備10に設けられたエンジン11を移動手段の駆動部と併用してもよい。
【0058】
また、窒素富化空気と水とから気液混合体を生成する装置として、上記実施の形態のように圧縮空気によって水タンク20から水を気液混合装置17に送り出す装置に限らず、例えば、気液混合装置17内に超音波振動子を備え、その超音波振動子を起動させて水を霧状にして圧縮空気と水とを混合させる装置、あるいは、気液混合装置17内に遠心分離機を備え、窒素富化空気と水とを遠心力を利用して混合させる装置であってもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明した本発明の火災の消火方法及び消火設備においては、以下の効果を奏する。
本発明によれば、窒素富化空気と霧状あるいは泡状の水とを混合させて、空気よりも比重を重くした気液混合体を生成して、気液混合体を放出口から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させることにより、天井の高い空間あるいは屋外等天井のない空間において火災を消火することができる。
また、気液混合体に混合された空気が適切な酸素濃度を持つ窒素富化空気であることにより、人体に影響を与えずに火災を消火することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施の形態に係る火災の消火設備を示す概念図である。
【図2】本発明における実施の形態に係る火災の消火設備の放出口の断面図である。
【図3】空気中に含まれる水の粒子の半径と沈降速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 火災の消火設備
11 エンジン
12 空気圧縮機
13 冷却用熱交換器
14 フィルタ
15 加熱用熱交換器
16 気体分離膜
17 気液混合装置
18 二流体ノズル
19 放出口
20 水タンク
23 流量調整弁
Claims (9)
- 霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成し、前記気液混合体を用いて火災発生源を覆うことで火災を消火する火災の消火方法。
- 霧状あるいは泡状の水を空気に混在させて空気よりも比重を重くした気液混合体を生成する気液混合装置と、前記気液混合装置から前記気液混合体を放出する放出口とを備え、前記気液混合体を前記放出口から火災発生源を覆うように放出させて火災を消火させる火災の消火設備。
- 前記気液混合体に混在された前記空気は、窒素富化空気である請求項2記載の火災の消火設備。
- 前記窒素富化空気に含まれる酸素濃度は、10〜17%である請求項3記載の火災の消火設備。
- 空気圧縮機と、前記空気圧縮機を駆動させるエンジンと、前記空気圧縮機によって圧縮された圧縮空気を冷却する冷却用熱交換器と、前記冷却用熱交換器によって冷却された圧縮空気に含まれる有害物を除去するフィルタと、前記フィルタを介して圧縮空気を加熱する加熱用熱交換器と、前記加熱用熱交換器によって加熱された圧縮空気を窒素富化空気および酸素富化空気に分離する気体分離膜とを備えている請求項3または4に記載の火災の消火設備。
- 前記エンジンから排出された排気ガスは、前記加熱用熱交換器の熱源の一部または全部に用いられている請求項5記載の火災の消火設備。
- 前記気体分離膜によって分離された酸素富化空気は、前記エンジンに供給される空気の一部または全部に用いられている請求項5または6に記載の火災の消火設備。
- 前記気体分離膜によって分離された窒素富化空気の流量あるいは酸素濃度を調整する流量調整弁を備え、
前記流量調整弁によって分離された窒素富化空気は、前記冷却用熱交換器の冷却剤に用いられている請求項5から7のいずれか1項に記載の火災の消火設備。 - 前記放出口の周縁部には、上流側から下流側に空気を通過させる空隙部が設けられ、前記気液混合体が前記放出口から放出される際に、前記気液混合体を覆うように前記空隙部から空気を放出する請求項2から8のいずれか1項に記載の火災の消火設備。
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JP2007222534A (ja) * | 2006-02-27 | 2007-09-06 | Fire-Defence Agancy | 消火・防火装置及び消火・防火方法 |
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-
2003
- 2003-07-09 JP JP2003194279A patent/JP2005027765A/ja active Pending
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