JP2005027618A - 火炎による病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡便な設備で火炎による土壌の病害虫防除と雑草種子の殺種を同時に行う事の出来る病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置を提供する。
【解決手段】 本発明の基本的思想は、病害虫やその卵或いは雑草の種子を焼殺するのではなく火炎で傷を付けて活動能力を奪うものである。
その装置の構成は、トラクターに搭載される架台上(10)に、空気圧縮機(1)と燃料油タンク(2)と、バーナー(3)とを搭載し、バーナー(3)には該バーナーに形成された燃料油通路(L1,Li,L2)を通して加熱された燃料油を供給し、バーナーの燃料油噴出ノズル(4)やバーナーの火炎放射部(6)には前記圧縮機(1)からの圧縮空気を配管(A2〜A7)を通して供給し、燃焼の安定化を図る様にしている。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明の基本的思想は、病害虫やその卵或いは雑草の種子を焼殺するのではなく火炎で傷を付けて活動能力を奪うものである。
その装置の構成は、トラクターに搭載される架台上(10)に、空気圧縮機(1)と燃料油タンク(2)と、バーナー(3)とを搭載し、バーナー(3)には該バーナーに形成された燃料油通路(L1,Li,L2)を通して加熱された燃料油を供給し、バーナーの燃料油噴出ノズル(4)やバーナーの火炎放射部(6)には前記圧縮機(1)からの圧縮空気を配管(A2〜A7)を通して供給し、燃焼の安定化を図る様にしている。
【選択図】図1
Description
本発明は、田圃や畑等の収穫後、播種前、耕耘時等に土壌表面部,作物残滓或いは雑草に生息している病害虫を火炎により防除すると共に、雑草の種子を火炎によって殺種するための火炎による病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置に関するものである。
田圃や畑等において、農作物を収穫した後の作物残滓に病害虫やその卵が付着した状態で耕耘すると、病害虫や卵が土中に埋没し、その状態で越冬して春になると卵は孵化して再び活動を開始する事になる。
そこで、この病害虫を駆除するため、適宜殺虫剤を散布する方法が一般的に行われていたが、残留農薬の有害性の問題や植物の病害虫以外の益虫その他の虫や微生物までも駆除してしまう事から、安全面,健康面及び環境面から、農薬の使用に対する批判が高まり、同時に無農薬野菜の有機農法に関心が高まって来ている。
又、雑草に種子が生育した状態や地面に種子が落下している状態で田圃や畑の耕耘を行うと、その種子を土中に鋤込んで雑草が繁茂する原因となる。そこで、除草剤を散布して雑草を薬殺する方法や雑草を焼き払う方法が実施されていたが、近年の環境意識の高揚と共に、これらの方法は環境上の問題から禁止或いは抑制されている。
そこで、前記殺虫剤に代わる病害虫防除手段として、火炎により病害虫を駆除する装置が提案されている(例えば、特許文献1,2)。この特許文献1に記載の装置は、回転円筒内にバーナーから火炎を噴出させると共に、該回転円筒内に土壌を投入して土壌中の殺菌を行うものであり、換言すると、火炎が吹き抜けているロータリキルン内に土壌を投入して土壌を加熱する事により、大規模に土壌を殺菌処理する装置である。一方、特許文献2に記載の装置は、耕耘機と一体で使用するもので、耕耘ローターによって跳ね上げた土に向けて、火炎が吹き抜ける様に火炎を放射する事によって、土壌中の病害虫や細菌を焼き殺そうとするものである。
特開2000−300145号公報(特許請求の範囲及び図1〜3参照)
特開2001−292685号公報(特許請求の範囲及び図1〜5参照)
上記特許文献1に記載の装置は、定置式の大型装置であり、処理しようとする土壌を、その処理装置の場所まで搬送する必要があり、実際の田畑における病害虫防除処理には不向きであるのみならず、設備コストが多額になる事は避けられない。又、現場の田畑における雑草の繁茂の抑制には全く効果がない。
一方、特許文献2に記載の装置は、耕耘機と一体で使用する構造になっているので、実用的ではあるが、処理すべき土壌を耕耘機で跳ね上げる必要があり、耕耘が不要な場合でも耕耘しながら火炎処理する必要がある。このため、畝建てした後の畑においては使用不可能であり、汎用性に欠ける点が問題である。
又、これら特許文献1,2に共通する思想として、土壌の地表面に火炎を噴射させた程度では土壌の温度を殺菌できる程度に上げられないので、土壌を砕いて流動状態となし、この流動状態の土壌に向けて火炎を放射する事によって、確実に土壌を高温化して病害虫や細菌を焼殺しようとするものである。ところが、実際の田畑において、耕耘深さの全ての土壌を高温に加熱するには、莫大な燃料と時間が必要となる事は不可避であり、実用面で大きな問題となる。
又、火炎で土壌を高温にして病害虫の駆除や殺菌を行う事は、土壌の表面近傍に生息している好気性醗酵菌の如き有用な細菌類も焼殺してしまう事になり、土壌の地力を低下させる事にもなっていた。
本発明は、係る従来の火炎による病害虫防除装置の持つ欠点を解消し、設備費用も低廉で燃料費も少なく、且つ畝建てした後でも使用可能な汎用性を有し、土壌に有用な好気性醗酵菌を殺す事のなく、しかもその場に生えている雑草の種子や地面に落下している雑草の種子の殺種をも行う事のできる新規な火炎による病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置の提供を目的とするものである。
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであって、基本的な思想は、病害虫やその卵(以下単に「病害虫」と記載する)を焼殺するのではなく、傷を付ける、換言すると火傷させる事によって活動能力を奪い、経時的に死に至らしめるものである。同様に雑草の種子についても、火炎によって種子を焼却するのではなく、火炎によって種子表面を部分的に加熱して火傷を生じさせて発芽を阻害する事によって事実上の殺種を行うものである。即ち、従来の病害虫や種子を焼殺する方式とは明らかに概念を異にするものである。
具体的には、トラクターに搭載されて土壌表面又は雑草或いは作物残滓に向けて火炎を放射する事により、これらに生息する植物の病害虫を防除すると共に雑草の殺種を行う装置であって、
前記トラクターに搭載される架台上に、空気圧縮機(以下単に「圧縮機」という)と燃料油タンクと、バーナーとを搭載し、
前記燃料油タンクと前記バーナーとを液体油配管によって連結し、且つ、前記圧縮機と前記バーナーとを空気配管によって連結すると共に、前記圧縮機からの圧縮空気の一部を前記燃料油タンク内に供給して、該タンク内の燃料油を圧縮空気の圧力によって前記バーナーに圧送する様になし、
前記バーナーは、前記燃料油の噴射ノズル部と、該噴射ノズル部の前方に配置されて該ノズル部から噴射される火炎に空気を巻き込ませつつ前方にガイドする中空火炎ガイド部と、該中空火炎ガイド部の前方に配置されて火炎を先端部から噴出させる中空筒状の火炎放射部とを有しており、
該中空筒状の火炎放射部に前記燃料油の通路を形成し、前記燃料油タンクから圧送された燃料油を、該火炎放射部内の燃料油通路を通して加熱した後、前記噴射ノズル部から噴射する様になし、
前記空気圧縮機からの圧縮空気の一部を少なくとも前記バーナーの火炎放射部の先端部から噴出させる様になし、
この噴出火炎によって植物の病害虫又はその卵に傷を付けて防除すると共に雑草の種子を殺種する様にした事を特徴とするものである。
前記トラクターに搭載される架台上に、空気圧縮機(以下単に「圧縮機」という)と燃料油タンクと、バーナーとを搭載し、
前記燃料油タンクと前記バーナーとを液体油配管によって連結し、且つ、前記圧縮機と前記バーナーとを空気配管によって連結すると共に、前記圧縮機からの圧縮空気の一部を前記燃料油タンク内に供給して、該タンク内の燃料油を圧縮空気の圧力によって前記バーナーに圧送する様になし、
前記バーナーは、前記燃料油の噴射ノズル部と、該噴射ノズル部の前方に配置されて該ノズル部から噴射される火炎に空気を巻き込ませつつ前方にガイドする中空火炎ガイド部と、該中空火炎ガイド部の前方に配置されて火炎を先端部から噴出させる中空筒状の火炎放射部とを有しており、
該中空筒状の火炎放射部に前記燃料油の通路を形成し、前記燃料油タンクから圧送された燃料油を、該火炎放射部内の燃料油通路を通して加熱した後、前記噴射ノズル部から噴射する様になし、
前記空気圧縮機からの圧縮空気の一部を少なくとも前記バーナーの火炎放射部の先端部から噴出させる様になし、
この噴出火炎によって植物の病害虫又はその卵に傷を付けて防除すると共に雑草の種子を殺種する様にした事を特徴とするものである。
前記火炎放射部の構造としては、燃料油通路を有する二重管構造のものが好ましい態様である。
又、前記バーナーは、前記架台の端部に一列に複数個配置されており、且つ、火炎の対地角度を可変に構成してなるのが好ましく、この場合には、両端部のバーナーは、前記架台の側方下方に指向可能にしておくのが特に好ましい。
本発明の火炎による病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置によると、地表面や地表面に露出している作物残滓や雑草に向けてバーナーからの火炎を噴射する事により、前記地表面や作物残滓や雑草に生息したり付着したりしている病害虫やその卵或いは雑草の種子を、該火炎で炙る事によって、焼殺するのではなく火傷させるものであるので、従来の流動状態の土壌に火炎を放射する設備に比べて、燃料使用料は大幅に低下する事になる。
又、圧縮機や燃料油タンクやバーナー等の設備一式を架台に載置し、これをトラクターに搭載する構造にしているので、一般農家においても容易に使用可能となり、有機農法や減農薬農法の普及が促進される。
又、燃料油タンクに圧縮空気を供給し、この空気圧によって燃料油をバーナーに圧送する様にしているので、燃料油のバーナーへの供給が安定し、バーナーから噴出する火炎も安定している。
更に、バーナーの構造を、燃料油の噴射ノズル部と、該噴射ノズル部の前方に配置されて空気を巻き込みつつ火炎をガイドする中空の火炎ガイド部と、該中空火炎ガイド部の前方に配置されて火炎を先端部から噴出させる中空筒状の火炎放射部とを有する構造のものとなし、該火炎放射部に前記燃料油通路を形成して、前記燃料油タンクから圧送された燃料油を加熱して、燃料油の流動性を高めて前記噴射ノズル部から噴射する様にしているので、燃料油が微粒子となって噴射ノズル部から噴射され、空気と充分に混合して燃焼し、高温の火炎を形成する事が容易となる。
同時に、前記バーナーの火炎放射部先端部にも圧縮空気を噴射する様にしているので、長い火炎となって、雑草や作物残滓の間にも火炎が回り込むと共に地表面にも火炎が達するので、地表面に存在する病害虫その卵、及び地面に落下している雑草の種子にも火炎障害を確実に与える事が可能となる。又、前記噴射ノズル部にも、圧縮空気の噴出部を形成しておけば、該ノズル部から噴射された燃料油の微細粒子と噴出した圧縮空気とを前記中空火炎ガイド部で均一に混合して前記火炎放射部から噴出させるので、火炎の一層の高温化と長い火炎の形成に有効である。
以下に図面を用いて、本発明の火炎による病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置を詳細に説明する。先ず、図1は、本発明装置における主要機器の構成と液体油及び圧縮空気の流れを示すフロー図である。同図に示す様に、本発明装置の構成機器は、圧縮機1と燃料油タンク2とバーナー3とからなり、これらが後述する架台(図示せず)に載置された構成となっている。圧縮機1からの圧縮空気の一部は、ポート1cに接続された圧縮空気配管A1から前記燃料油タンク2に送給され、該燃料油タンク2内を加圧する事により、内部の燃料油を加圧して燃料油配管を通して前記バーナーに圧送する様になっている。
前記バーナー3は、後部より、前記燃料油を微粒子状態にして噴射する噴射ノズル部4と、内側に通路5iを有する中空の火炎ガイド部5と、先端部の火炎放射部6とから構成されており、これらがバーナー3内に固定して組み込まれている。尚、火炎放射部6は燃料油通路6iが形成された二重管構造となっている。
次に、燃料油及び圧縮空気の流れについて説明する。先ず、燃料油配管L1に設けられた開閉弁V2を手動で開けると、燃料油は燃料油タンク2内で前記圧縮空気配管A1から供給される圧縮空気によって加圧されているので、該タンク2の底部近傍に設けられたポート2aから燃料油配管L1に圧送される。この配管L1に送出された燃料油は、前記バーナー3の火炎放射部6を構成する二重管6a,6b内に形成された燃料油通路Liを流通する間に、中央部の火炎流路6iを流れる火炎によって加熱され、続いて、燃料油配管L2から前記噴射ノズル部4に送給される。尚、前記二重管6a,6bの燃料油通路Liは、両管の接続部6cにおいて連通する様に形成されている。前記噴射ノズル部4に送給された燃料油は、該ノズル部4の保持板4aに所定間隔で配置されている2つのノズル4b,4cから、保持板5aに所定間隔で配置された一対の中空火炎ガイド筒5b,5cの中空部5iの中心部に向けて微細な粒子となって噴出され、同時に周囲の空気を巻き込んで前記中空火炎ガイド筒5b,5cの中空部5iに流れ込んで周囲の空気と混合される。尚、既にバーナーに点火されている状態では、前記ノズル4b,4cから噴出された時点で燃焼を開始する事は言うまでもない。従って点火状態では、中空火炎ガイド部材5の中空部5i内で空気の混合と共に燃焼が生じている。この燃料(燃焼時は火炎)の流れは、前記圧縮機1から圧縮空気配管A4,A5を経て前記ノズル4b,4cの先端部において前記中空火炎ガイド部5に向けて噴出される圧縮空気と混合しながら、図中符号F1で示されている様に加速されて前方に噴出される。
続いて、筒状の火炎放射部6では、中央部の火炎流路6iを通って、先端部から地面や雑草或いは作物残滓に向けて火炎が放射される。この火炎放射部6も、前記一対の中空火炎ガイド筒5b,5cに対応して一対の二重管で形成されている。ここでも、前記圧縮機1からの圧縮空気を圧縮空気配管A3から分岐管A6,A7を経て、前記火炎放射部6の先端部から噴出させている。これにより、図中矢印F2で示す様に、火炎の前方に向かう勢いを増加させて該火炎を長くして遠方まで届く様に配慮されている。この様に、火炎の放射方向に圧縮空気を噴出させる事により、火炎中の残留燃料成分を完全燃焼させる事が可能となると共に、火炎に勢いを持たせる事ができるので、バーナー先端部が地面に近づき過ぎた場合に、従来装置において頻発していた失火現象が皆無となり、安定した燃焼が得られる事になる。特に、失火した場合には、直前には不完全燃焼により煤が発生し、その煤が土壌にばらまかれる事になるが、煤自体は分解しない成分であるので、土壌には好ましくない成分と言える。加えて、失火した場合には、燃料油自体が土壌に散布される事になり、これも土壌には好ましくないものである。バーナー先端部からの圧縮空気の噴出は、これら失火に起因する問題を解決するのみならず、圧縮空気によって火炎に勢いを持たせているので、多少の風でバーナーが失火することはなく、又、逆風でも使用可能となる。この逆風下でも使用可能であるという事は、畝に沿って往復しつつ火炎を放射して病害虫防除や殺種を行う為には極めて重要な要素であり、風向きを考慮する事なく火炎放射により病害虫防除や雑草種子の殺種作業が行える事は、農作業の効率を著しく向上させる事になる。
尚、装置の運転初期においては、バーナー3には点火していないので、微粒子化された燃料油が圧縮空気の噴出によって該バーナー3の先端部から噴出している状態となるが、この状態で該バーナー3の先端部に配置された点火具7から、火花或いはパイロット炎を出して着火する。着火されると、前述の通り火炎は火炎放射部6から前方に放射されると共に、火炎伝播によって後部の燃料油噴射ノズル部4から噴射された微粒子状の燃料油にも着火し、前述の通り火炎となって火炎ガイド筒5内に流入する事になる。放射される火炎の大きさの調整は、開閉弁V2の開度を手動で調整して燃料油の供給量を調整する事によって行うが、この開閉弁V2とは別に流量調整弁を設けて行う事も可能である。
尚、異常燃焼時の火炎の燃料油配管Lや燃料油タンク2内への伝播を防止するため、図示の装置では、燃料油配管L1に2つの逆止弁V1,V3が配置されており、燃料油タンへの引火を確実に防止する様になっている。
又、図1の装置では、バーナー3が1つしか示されていないが、圧縮機1及び燃料油タンク2には、複数のポート1a〜1c,2a〜2cが形成されており、各ポートから複数のバーナーに燃料油と圧縮空気を供給して、同時に複数のバーナーから火炎を噴射できる様になっている。
次に、図2は本発明装置のレイアウト図であり、図3はその正面図である。これらの図に示されている様に、前記圧縮機1,燃料油タンク2及び複数のバーナー3(図示の例では6本)が、架台10の上に配置されており、これらは図1に示した圧縮空気配管A及び燃料油配管Lによって連結されている。各バーナー3の後端部は、保持フレーム9a,9bによって各保持部材9に保持されており、該保持部材9は、図示していないが駆動軸8に回動自在に取り付けられており、該駆動軸8の回転によって各保持部材9の上下方向の角度が変化し、これによって各バーナー3の地面に対する角度、即ち対地角度が変化する様に構成されている。この対地角度を変化させる事によって、地面に垂直方向に火炎を放射したり、斜めに放射したりする事が可能となっている。
又、左右両端のバーナーは、詳細な機構は省略しているが、夫々図中点線で示したバーナー3’で示している様に、架台の側方に向けて火炎放射が行える構造になっている。これは、畝建てしている場合にも畝の側面に向けて火炎を放射して畝側面の病害虫防除や雑草の殺種を行える様にするためのものである。
実際の使用に当たっては、序機架台10をトラクター(図示せず)に搭載して走行させつつ、火炎を土壌や土壌に露出している作物残滓や雑草に向けて放射すると、これらに生息したり付着している病害虫やその卵は火炎に接する事により直ちに焼殺される事はないが、表面に火傷を負い、時間が経過すると次第に死滅していく事になる。同様に、雑草の種子も、表面に火炎による熱傷が生じて発芽機能が抑制されて事実上の殺種が行われる事になる。因みに、青く繁っている雑草に火炎を放射しながらトラクターを走行させると、その直後は、雑草に何の変化もない様に見えるが、数時間もすると色が変わり始め、数日もすると枯れてしまっている。この雑草を目に見える様に焼き払おうとすると、膨大な熱量の火炎を放射しなければならないが、本発明では、焼殺するのではなく、火炎で炙って火傷を負わせるものであるので、遙に少ない熱量の火炎で充分な病害虫防除や雑草種子の殺種効果を上げ得る事が実験により確認されている。
又、火炎を地表面に向けて放射しても、地表の極表層のみが火炎で炙られるが、病害虫は地表面に生息しているので、火炎で炙られて火傷を負い、生存能力を奪われて短時間で死に至る事になる。同様に地面に落下している雑草の種子も熱傷により発芽機能が失われて事実上の殺種がなされる事になる。一方、土壌の表面近傍に存在する好気性醗酵菌等の有益な微生物は、一部は火炎を受けて焼殺されるものもあるが、地中内に存在する微生物は、殆ど損傷を受ける事なく生存し続けるので、土壌の地力低下は全くないと言える。
又、枯れ草が存在する場合には、枯れ草を焼却する事が目的ではなく、枯れ草に付着している病害虫の卵の殻を炙って内部の生命体に損傷を与えて孵化し難くすると共に、種子も火炎で炙って発芽を抑制する事を目的とする。
上記説明においては、バーナー3の数は、6つの場合について例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1本のバーナーでも原理的には適用可能であるが、複数個のバーナーを使用するのが好ましい。又、燃料油としては、安価な灯油の使用が好ましい。
本発明の装置の使用時期は、農作物の収穫を終えた直後、種まき直前、畝建ての前又は後、耕耘前後等々、作付けが行われる以前であれば何時でも可能であるが、病害虫が雑草や作物残滓に産卵した直後が最も好ましいと言える。
本発明の装置は、火炎により病害虫を防除すると共に雑草種子の殺種を行う装置であるので、稲刈り後や水張り前の水田、耕耘前や耕耘後及び畝建てした播種直前の畑等々、田圃や畑において、畝の有無に拘らず、適時に病害虫防除又は雑草種子の殺種を行うことができ、露地栽培は勿論、ハウス栽培にも適用可能である。又、火炎による殺種効果に着目して、河川の土手の雑草刈りをした後に或いは雑草刈りをする前に、本装置によって火炎放射処理を行えば、地面に落ちた種子も火炎によって傷付いているので、その発芽による雑草の繁茂を抑止する事が可能である。
1 圧縮機
2 燃料油タンク
3,3’ バーナー
4 燃料噴射ノズル部
5 中空火炎ガイド部
5i 中空部(火炎流路)
6 火炎放射部
6i 中空部(火炎流路)
10 架台
A1〜A8 圧縮空気配管
L1〜L4 燃料油配管
Li 火炎放射部内の燃料油通路
2 燃料油タンク
3,3’ バーナー
4 燃料噴射ノズル部
5 中空火炎ガイド部
5i 中空部(火炎流路)
6 火炎放射部
6i 中空部(火炎流路)
10 架台
A1〜A8 圧縮空気配管
L1〜L4 燃料油配管
Li 火炎放射部内の燃料油通路
Claims (5)
- トラクターに搭載されて土壌表面又は雑草或いは作物残滓に向けて火炎を放射する事により、これらに生息する植物の病害虫を防除すると共に雑草の種子を殺種する病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置であって、
前記トラクターに搭載される架台(10)上に、空気圧縮機(1)と、燃料油タンク
(2)と、バーナー(3)とを搭載し、
前記燃料油タンク(2)と前記バーナー(3)とを燃料油配管(L1〜L4)によって連結し、且つ、前記空気圧縮機(1)と前記バーナー(3)とを圧縮空気配管(A1〜A8)によって連結すると共に、
前記空気圧縮機(1)からの圧縮空気の一部を、前記燃料油タンク(2)内に供給して該タンク(2)内の燃料油を圧縮空気の圧力によって前記バーナー(3)に圧送する様になし、
前記バーナー(3)は、前記燃料油の噴射ノズル部(4)と、該噴射ノズル部(4)の前方に配置されて空気を巻き込みつつ該噴射ノズル部(4)から噴射される火炎を案内する中空の火炎ガイド部(5)と、該中空火炎ガイド部(5)の前方に配置されて火炎を先端部から噴出させる中空筒状の火炎放射部(6)とを有しており、
該中空筒状の火炎放射部(6)に前記燃料油通路(Li)を形成し、前記燃料油タンク(2)から圧送された燃料油を該火炎放射部(6)内の燃料油通路(6i)を通して加熱した後、前記噴射ノズル部(4)から噴射する様になし、
前記空気圧縮機(1)からの圧縮空気の一部を、少なくとも前記バーナー(3)の火炎放射部(6)の先端部から噴出させる様になし、
この噴出火炎によって植物の病害虫の防除と雑草の殺種とを行う様にした事を特徴とする火炎による病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置 - 前記火炎放射部(6)が、燃料油通路(Li)を有する二重管構造のものである請求項1に記載の火炎による病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置
- 前記バーナー(3)は、前記架台(10)の端部に一列に複数個配置されており且つ火炎の対地角度を可変に構成してなる請求項1又は2に記載の火炎による病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置
- 前記架台(10)の端部に一列に複数個配置された前記バーナー(3)の内の両端部のバーナー(3’)は、前記架台(10)の側方下方に指向可能に構成されてなる請求項3に記載の火炎による病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置
- 前記空気圧縮機(1)からの圧縮空気の一部を、前記バーナー(3)の前記噴射ノズル部(4)の近傍から、前記中空火炎ガイド部(5)の中空部(5i)に向けて噴出させる様にしてなる請求項1乃至4のいずれかに記載の火炎による病害虫防除装置兼雑草種子の殺種装置
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- 2003-07-11 JP JP2003273416A patent/JP2005027618A/ja active Pending
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Legal Events
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Effective date: 20050719 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20051115 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |