JP2005027523A - 微小コロニー形成細菌の単離方法 - Google Patents

微小コロニー形成細菌の単離方法 Download PDF

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博四郎 柴井
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明 平石
Kikuo Sen
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Abstract

【課題】自然界の微生物分離源から微小コロニー形成細菌を分離する微小コロニー形成細菌の単離方法を提供する。
【解決手段】自然界の微生物分離源を有機窒素源を含む栄養培地で好気的条件下で微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養し、この微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養して得られた培養液を、平板培地に接種し、平板培養することにより、平板培地上に微小コロニーを形成させ、この微小コロニーを採取することにより微小コロニー形成細菌を単離する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常の平板培養法では、分離・培養することが困難な微小コロニー形成細菌の単離に適した微小コロニー形成細菌の単離方法および微小コロニーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、自然界から微生物を分離・取得する方法としては、1876年にコッホが発明した平板培養法が良く知られている。この古くから知られている平板培養法は、多種多様な微生物が混在する試料を適当な濃度に希釈後、これを平板培地(プレート)に撒き一定時間培養後、プレート上に形成されるコロニーを単離する方法で、通常単離した微生物(コロニー)の中から目的にかなった微生物が単離される。また、ある特定の目的に対しては、採取した試料を直接平板培地で培養する前に一旦液体培地で培養して特定の目的にかなう微生物を生育させる集積培養(Enrichment culture)を行なった後、平板培養法で分離する方法も良く行なわれる。このような平板培養法をベースとして種々な方法が開発され、それらの方法により産業上有用な微生物が数多く分離され利用されている。
【0003】
ところが、1970年代後半に蛍光顕微鏡を用いる分離源中の全菌数を測定する技術が開発され、一方で分離源中の微生物に起因する生物活性を蛍光色素染色方法で検出する方法が開発され、これらの技術により従来の平板培養法では培養できない微生物が自然界に多く存在することが解明されてきた。
【0004】
例えば、別府らは、絶対好熱共生細菌の研究において、Symbiobacrerium属に属する細菌は、その生育に対し、共生する他の微生物の培養上清液中に存在する未知の栄養因子を必要とし、未知の栄養因子を含む平板培地上で微小コロニーを形成することを報告している(非特許文献1および非特許文献2)。
【0005】
また、原山らは、流出石油の微生物分解機構の研究において、石油の微生物分解が微小コロニーを形成する細菌によって行なわれることを報告している。更にその報告では、海洋等自然界における石油の微生物分解は石油資化細菌として実験室レベルで容易に分離できる大コロニー形成細菌が関与するのではなく、石油汚染された海洋で速やかに出現するような微小コロニー形成細菌が関与することをDNAレベルで証明している(Sugiura,K.et al; Environ. Sci. Technol. 31, 45−51, 1997及びHarayama, S.et al; J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 1, 63−70, 1999)。
【0006】
また、共存する他の微生物の代謝産物を利用して初めて生育してくる微生物が存在することも報告されている。例えば、土田らは活性汚泥の遠心分離上清液を平板培地に添加してはじめて生育が認められるような細菌を数株分離している。そしてこの遠心分離上清液中の細菌生育促進因子は活性汚泥中に存在する他の微生物の代謝産物である可能性があると報告している(非特許文献3)。
【0007】
さらに、Kaeberleinらは、従来は培養が困難であった海洋細菌が、ある種の他の細菌を共存させることによりはじめて培養が可能になったことを報告している(非特許文献4)。
【0008】
上述のように、自然界には従来の平板培養法では分離が困難な微小コロニー形成細菌やコロニーを全く形成できない細菌が数多く存在する。更に、深海などの極端な環境、またはヒト等の高等動物、昆虫、土壌原生動物もしくは海洋生物等の生物体内、活性汚泥等の人工的環境にも微小コロニー形成細菌の存在が推定される。
【0009】
平板培養法では分離が困難な微生物は、平板培地上では単一細胞のままか又は裸眼では検出されがたいほど微小なコロニーを形成している。このような微生物は、その微生物が採取された自然界の環境下においては生育しているが、極めて生育が遅いため、自然界から取得してきたような複数種の微生物を含む微生物分離源を前処理することなく単に平板培地に直接接種しただけでは他の生育旺盛な微生物のコロニーの発達により、識別し、単離することが困難な微生物である。このような生きてはいるが培養困難な微生物はVBNC(Viable But Non Culturable)状微生物として知られるようになった。
【0010】
【非特許文献1】
バイオサイエンス バイオテクノロジ バイオケミストリ(Biosci.Biotechnol.Biochem.)、1999年、63巻、1083〜1090頁
【非特許文献2】
アプライド アンド エンバイヤロンメンタル マイクロバイオロジ(Appl. Environ. Microbiol)、2001年、67巻、3779〜3784頁
【非特許文献3】
プログラム アンド アブストラクト オブ フィフス インターナショナルシンポジウム オン エンバイロメンタル バイオテクノロジ(Program and Abstract of Fifth International Symposiun on Environmental Biotechnology)、2000年、05−5
【非特許文献4】
サイエンス(Science)、2002年、296号、1127〜1129頁
【0011】
【本発明が解決しようとする課題】
VBNC状微生物を単離すべく、本発明者らは、微生物分離源を適当な濃度に希釈し、これを直接平板培地で培養し、コロニーが形成されていない部分を顕微鏡で検鏡して微小コロニーを分離することにより、微小コロニー形成細菌を単離できるのではないかと考え、検討を行った。
【0012】
本発明者らはこの考えに基づき、常法に従い平板培養を行い、平板培地上に生育した微小コロニーを多数分離した。しかしながら、これら微小コロニーをLB寒天培地で培養したところ、分離したすべての細菌が可視的な大コロニーを形成した。上記の方法で得られた微小コロニーは40倍検鏡下で観察される微小コロニーではあるが、容易に培養できることからいわゆるVBNC状微生物ではなく、上記の方法では目的とする微小コロニー形成細菌を取得することはできなかった(比較例1参照)。
【0013】
したがって、真の微小コロニー形成細菌、換言すればVBNC状の微小コロニー形成細菌を取得するには新規な技術の開発が必要であると考えられた。
【0014】
微小コロニー形成細菌はいまだかって平板培養法では単離されたことのない微生物であることから、この中にはいわゆる希少細菌と称されるような微生物、更には新種または新属と分類され得るような新規細菌の存在が想定される。
【0015】
微小コロニー形成細菌は生きている細胞であるから、その中に存在するDNA遺伝子についても未だ知られていない機能を有する未知の有用な遺伝子が存在する可能性が高いことが予想される。
【0016】
新規で有用な微生物又はDNA遺伝子の必要性は、食品産業、医薬品産業、水質等の環境保全、医療等において強く望まれている。微小コロニー形成細菌は自然界に多く存在しているにも拘わらず、微小コロニー形成細菌やそのDNA遺伝子を効率良く取得する方法は知られていないため、微小コロニー形成細菌を新たな微生物資源として利用するのは容易なことではない。
【0017】
更に、現状では微小コロニー形成細菌を培養する技術も知られていないため、培地の成分や組成、温度、pH、浸透圧等の物理的条件を種々変えて平板培養法を繰り返し行なわざるをえない。
【0018】
したがって、本発明は、微小コロニー形成細菌のほかに通常の微生物、換言すれば大コロニー形成細菌が混在する自然界の微生物分離源から微小コロニー形成細菌を効率よく分離・取得するのに適した微小コロニー形成細菌の単離方法を提供することを目的とする。
【0019】
さらに、本発明は、微小コロニーの製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記問題に鑑み、鋭意研究の結果、本発明者らは、自然界における微生物の相変化、即ち、自然界に有機化合物が新たに供給された後におこる微生物の相変化に着目し、相変化が進むに従い微小コロニー形成細菌の比率が増加するものと考え、自然界の微生物分離源を有機窒素源を含む栄養培地で微生物の相変化が認められなくなるまで好気的条件下で集積培養した後、この培養液を平板培養することにより、平板培地上に微小コロニーを形成できることを見出し、本発明に想到した。
【0021】
本発明の微小コロニー形成細菌の単離方法によって、複数種の微生物を含む微生物分離源を単に平板培地に直接接種し培養しただけでは単離することが困難であった微生物、特にVBNC状の微小コロニー形成細菌を効率的に単離することが可能となる。
【0022】
また、本発明者らは、微小コロニー形成細菌の培養条件について検討を重ねた結果、上述した微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養して得られる培養液に微小コロニー形成細菌の生育を促進する効果があることを見出した。
【0023】
すなわち、本発明に係る微小コロニー形成細菌の単離方法および微小コロニーの製造方法は、以下の通りである。
【0024】
〔1〕 自然界の微生物分離源を有機窒素源を含む栄養培地で好気的条件下で集積培養し、微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養した後、当該培養液を当該培養液を含む平板培地で培養して平板培地上に生育する微小コロニーを分離・採取することを特徴とする微小コロニー形成細菌の単離方法。
【0025】
〔2〕 前記微小コロニー形成細菌が、直径1mm以上のコロニーを形成することができない微生物であることを特徴とする〔1〕に記載の微小コロニー形成細菌の単離方法。
【0026】
〔3〕 前記平板培地から分離・採取した微小コロニーを、さらに平板培養し、直径1mm以上のコロニーを形成するか否かを確認することによって、単離した微小コロニーが微小コロニー形成細菌であるかを判定する判定工程を含むことを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の微小コロニー形成細菌の単離方法。
【0027】
〔4〕 前記微生物分離源を少なくとも84時間以上集積培養することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の微小コロニー形成細菌の単離方法。
【0028】
〔5〕 前記平板培地は、前記微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養して得られた培養液またはその上清液を10wt%以上含有することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の微小コロニー形成細菌の単離方法。
【0029】
〔6〕 自然界の微生物分離源を有機窒素源を含む栄養培地で好気的条件下で集積培養し、微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養した後、当該培養液を当該培養液を含む平板培地で培養することにより、平板培地上に微小コロニーを形成させることを特徴とする微小コロニーの製造方法。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明に係る微小コロニー形成細菌の単離方法は、自然界から採取した微生物分離源を微生物の相変化が認められなくなるまで好気的条件下で集積培養し、得られた培養液を平板培地に接種して平板培養し、平板培地上に微小コロニー形成細菌の微小コロニーを形成させることにより微小コロニー形成細菌を単離することを特徴とする。
【0031】
本明細書において、「微小コロニー形成細菌」とは、極めて生育が遅いことなどが原因となり、培養して形成されるコロニーが微小な状態に留まる傾向が強い細菌のことをいう。微小コロニー形成細菌であることの一つの指標として、平板培養法で培養した場合、培地や培養条件を種々変化させて生育させても、直径1mm以上のコロニーを形成することができない微生物であることを挙げることができる。微小コロニー形成細菌は、直径0.5mm以上のコロニーを形成することができない微生物であることが好ましい。自然界には前述したように微小コロニーを形成する細菌であっても、培地や培養条件を変化させることにより可視的な大コロニーを形成する細菌群が存在するが、このような細菌群は本発明でいう微小コロニー形成細菌とは区別される。
【0032】
このような微小コロニー形成細菌は、自然界においては生きているが、極めて生育が遅いため、自然界から取得してきたような複数種の微生物を含む微生物分離源を前処理することなく単に平板培地に直接接種しただけでは他の生育旺盛な微生物のコロニーの発達により、識別し、単離することが困難な微生物である。すなわち、微小コロニー形成細菌は、生育が早い他の微生物との共存条件下にある平板培地で培養しても単離することが困難であった。
【0033】
本発明の微小コロニー形成細菌の単離方法の特徴は、集積培養工程において、自然界における微生物の相変化を人工的に再現することにより、大コロニー形成細菌を排除し、微小コロニー形成細菌の存在比を高めた状態で平板培地に接種するため、従来の平板培養法では単離することが困難であった微小コロニー形成細菌を効率よく単離できる点にある。
【0034】
以下、本発明に係る微小コロニー形成細菌の単離方法の各工程について詳述する。
【0035】
〔A〕微生物分離源の取得
「微生物分離源」は、微小コロニー形成細菌を含む多種の微生物と、これら微生物が生育している環境を構成する成分とが混在する混合物である。
【0036】
本発明では、微生物分離源として、自然界から取得された試料を用いることが好ましい。本発明でいう「自然界」とは、いろいろな微生物種が生息する自然環境であって、例えば土壌、泥、湖水、河水、沼水、温泉、植物および動物等の温和な自然環境、又は深海、深地下、高温多湿地、極寒地、火山地、強酸性地、強アルカリ性地、高塩地又は乾燥地等極端な天然環境を意味する。又、病院、食品工場における空気および活性汚泥、風味付け汁、果汁等の食品加工産業原料および腐敗物など、更に金属表面等の人工的環境も自然界に含める。
【0037】
微生物分離源の採取は通常の採取方法に従って行なえばよく、これら自然界から採取した試料を微生物分離源として利用できる。
【0038】
〔B〕集積培養工程
本発明においては、自然界の微生物分離源を、有機窒素源を含む栄養培地で好気的条件下で微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養することにより、自然界に有機化合物が新たに供給された後におこる微生物の相変化を人工的に再現する。
【0039】
ここで、「微生物相」とは、培養液中における微生物の種類、量および混合比を意味する。また、「微生物の相変化が認められなくなる」とは、微生物相の変化が実質的に観測されなくなることを意味し、具体的には、培養液中の溶存酸素レベルを観察することにより、微生物の相変化が生じなくなったかどうかを判断することができる。
【0040】
図1を参照しながら、微生物の相変化について説明する。自然界においては、動物や植物起源の多種多様な有機物が絶え間なく供給されている。そしてこれらの有機物を利用してある種の微生物群が生育をし、種々の有機化合物(代謝産物)を生産する。自然界から取得した微生物分離源を集積培養すると、最初の微生物群、いわゆる第一相(フェーズ)の微生物群の生育・増殖が終わるとこれらの微生物は衰え死滅して分解され新たな有機物が自然界に供給されることになる。すると、次にこれら有機化合物を利用できる微生物が第二相(フェーズ)の微生物として生育し、以下同様に第三相、第四相の微生物群が生育してくるものと考えられている。
【0041】
最初に生育してくる微生物は、従来の平板培養方法によりコロニー形成細菌として分離されるものと考えられる。これに対し、第二相(フェーズ)以降の微生物群は培養が困難な微生物が多く平板培地上では微小コロニーを形成するか又は全く生育が認められない場合が多いものと考えられる。
【0042】
自然界から取得した微生物分離源は、微小コロニー形成細菌以外にも多種多様の微生物を含むため、この微生物分離源をそのまま平板培養した場合、平板培地上で単離可能な大きさのコロニーを形成するのは通常の微生物、換言すれば、大コロニー形成細菌のみであり、微小コロニー形成細菌は微小コロニーを形成するか又は全く生育が認めらない。
【0043】
これに対し、本発明の微小コロニー形成細菌の単離方法では、平板培養する前の工程で、自然界から取得した微生物分離源を、微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養することを特徴とする。集積培養の過程で、培養液中では、第一相(フェーズ)の微生物群が生育した後、衰え死滅して分解されるとともに、次に第一相(フェーズ)の微生物群が分解して得られる有機化合物を利用できる第二相(フェーズ)以降の微生物が生育し、これもまた死滅し、以下同様にして第三相以降の微生物群が順次生育、死滅していくものと考えられる。このため、微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養した後の培養液中の微生物相は、培養開始時点の微生物相と比較して、培養液中に存在する微生物全体に対する微小コロニー形成細菌の菌体数が高められた状態となっていると推察される。
【0044】
本発明においては、上述の微生物の相変化、すなわち、自然界に有機化合物が新たに供給された後におこる微生物の相変化を人工的に再現するため、微生物分離源を有機窒素源を含む栄養培地で好気的条件下で集積培養する。
【0045】
本明細書において、栄養培地とは、微生物や高等生物の細胞、組織、器官などを生育、増殖させるための栄養成分と支持体のことをいう。栄養培地はその支持体の状態によって、固形培地、半固形培地、液体培地などに分類され、単に栄養培地というときは、特に支持体の状態には限定されないが、本発明の集積培養工程においては、栄養培地として有機窒素源を含む液体培地を用いる。
【0046】
集積培養工程で使用する栄養培地は、微生物分離法で一般的に使用される有機窒素源を含む栄養培地であればよい。有機窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物等、或いはこれらの混合物など、通常の微生物培養に使用される有機窒素化合物を用いることができる。
【0047】
例えば、温和な環境から採取された微生物分離源を集積培養する場合は、LB培地(カゼイン加水分解物1%、酵母エキス0.5%、食塩0.5%(pH7.0))や、NUTRIENT BROTH (DIFCO社)等の完全培地を適当な濃度に希釈して使用することができる。LB培地を使用する場合には1/10程度に希釈して使用することが望ましい。
【0048】
また、極端な環境から採取した微生物分離源を培養する場合には、採取した微生物分離源の存在する環境を考慮し、その環境にあった培地を使用することが望ましい。例えば活性汚泥から採取した試料の場合には活性汚泥を培地の構成成分として加えたり、海洋微生物を分離する際には、海水又は人工海水を培地成分として使用する等、培地についての配慮することが好ましい。
【0049】
集積培養工程においては、微生物分離源を、上記栄養培地(液体培地)に添加して集積培養液を調整し、好気的条件下で集積培養する。この際、自然界から採取した試料を微生物分離源として直接栄養培地に添加してもよいし、自然界から採取した試料の希釈液や、この希釈液を遠心分離して得られる上清を微生物分離源として栄養培地に添加してもよい。
【0050】
好気的条件とは、発酵槽を使用する場合は通気攪拌培養法を、フラスコや試験管を使用する場合には振とう培養法をいう。
【0051】
集積培養中の溶存酸素レベルは、ゼロ(0)以上(酸素電極で測定)に維持されることが望ましい。微生物の生育時には、酸素消費量が高まるため、溶存酸素レベルをゼロ(0)以上に維持するためには通気攪拌の場合攪拌速度を高く維持する必要がある。
【0052】
培養温度と培養pHは、採取した試料の環境を考慮して設定することが望ましく、通常の自然環境から採取した試料を培養する場合には、通常の微生物が生育できる範囲内、即ち10〜45℃で行われるが、好ましくは20℃〜40℃、更に好ましくは25〜37℃の範囲である。また、培地のpH値については、好ましくは2〜12、より好ましくは4〜8、更に好ましくは5〜7の範囲で調節される。特殊な環境から採取した試料の場合には、その特殊な環境に合わせて温度やpHを設定することが望ましい。
【0053】
本発明においては、微生物の相変化を進行させるために集積培養液中の栄養分が微生物によって消費され栄養が欠乏した状態を作ることが重要であるため、集積培養の途中で、新たな栄養成分を培養液中に追加しないことが好ましい。
【0054】
微生物の相変化を観察するためには分光光度計を用いて培養液の濁度(吸光度)を測定して吸光度の変化を観察する方法や酸素電極を用いて溶存酸素の変化を測定して観察する方法等がある。ガラス製の発酵槽や培養器具を用いる場合、微生物の相変化は培養液中の溶存酸素の推移で観察すればよく、集積培養液中の溶存酸素レベルが極小となるまで培養を行う。
【0055】
培養液中の微生物が生育を開始し、増殖を始めると微生物の呼吸により酸素が消費され、培養液中の溶存酸素レベルが低下する。酸素電極を用いて溶存酸素の変化を測定する方法は、微生物の呼吸量を測定し、もって微生物の生育量を観察する方法であり継続的に観察できるので便利である。
【0056】
微生物の相変化が生じなくなったことを厳密に定義するのは難しいが、微生物の相変化が生じなくなったことを示す指標の一例として、集積培養を継続しても溶存酸素の変化が以後実質的に観察されなくなった時点を例示することができる。
【0057】
本発明においては、微生物の相変化が実質的に観察されなくなった時点の培養液を次工程における平板培養に用いることもできるが、当該時点からさらに培養を継続することにより得られる培養液を用いる方が好ましい。好ましくは、微生物の相変化が実質的に観察されなくなった時点から12時間以上、より好ましくは1日以上、さらに好ましくは3日以上、特に好ましくは1週間以上培養を継続することによって得られた培養液を用いることが好ましい。
【0058】
上記の観点から、集積培養の培養期間は、培養条件等にもよるが、84時間以上であることが好ましく、1週間以上であることがより好ましく、場合によっては1〜2ヶ月の長時間の培養が必要な場合もある。要は、微生物の相変化を観察し、微生物相の変化が認められなくなるまで培養することが必要である。
【0059】
〔C〕平板培養工程
微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養して得られた培養液を平板培地に接種し、平板培養することにより、平板培地上に微小コロニーを形成させることができる。
【0060】
本明細書において、「微小コロニー」とは、直径1mm以下のコロニー、好ましくは直径0.5mm以下のコロニーを意味し、平板上に裸眼では観察できず40倍〜100倍の検鏡下ではじめて微小コロニーとして観察されるコロニーである。
【0061】
平板培地とは、平板形状を有する固形状の栄養培地のことをいう。微小コロニー形成細菌を培養するための平板培地としては、微小コロニー形成細菌を培養できる栄養分を含む培地であれば特に限定なく使用することができる。具体的には、LB培地、NB培地、Shaeffer培地、Albumin培地、YS培地、R培地等の通常の培地を使用することができるが、特に好ましい平板培地としては、上記〔B〕で説明した集積培養工程で、微生物の相変化が認められなくなるまで培養して得られた培養液を培地成分として含有する培地(以下CL培地と称する)が挙げられる。
【0062】
CL培地は、微生物の相変化が認められなくなるまで培養した培養液またはその上清液を10wt%以上、特に30wt%以上含有することが好ましい。好ましいCL培地の組成の具体例としては、1Liter中に集積培養液又はその遠心分離上清液を500ml含有し、pH7.0に調節し、寒天を1〜1.5%含有する平板培地を挙げることができる。
【0063】
LB培地等の通常の栄養培地も使用できるが、CL培地を用いたほうが出現する微小コロニーの数が多く、より多様な形態と色調を有する微小コロニーが分離できる。これは、微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養した培養液中に、微小コロニー形成細菌の生育を促進させる因子が含まれるためと推察される。
【0064】
LB培地等の通常の栄養培地を使用する場合、微小コロニー形成細菌の生育には多くの栄養素を必要としないため、培地の濃度は通常の濃度より希薄な培地、例えば1/10程度に希釈して使用することが望ましい。
【0065】
微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養して得られる培養液を採取し、これを直接又は遠心分離法で濃縮した後、平板培養法で培養すると平板培地上には培養後数日〜数十日、およその目安としては、8〜39日で、微小コロニーが多く出現する。
【0066】
〔D〕微小コロニー形成細菌の単離
平板培地上に生育した微小コロニーを40〜100倍の顕微鏡を用いて観察すると、微小コロニーの中には大きさが0.01mm〜0.5mmで、40倍程度の顕微鏡で観察される比較的生育の良いグループが多く観察されるほか、少数ではあるが100倍程度の顕微鏡ではじめて観察される生育の極めて遅い、微小コロニーの大きさが0.1mm以下の極微小なグループが観察される。
【0067】
平板培地上に生育した微小コロニーを分離することにより微小コロニー形成細菌を採取することができる。この際、平板培地上に生育した微小コロニーを40〜100倍(実体顕微鏡)を用い、検鏡下で微小コロニーを分離することが好ましい。
【0068】
平板培地上に生育した微小コロニーには、微小コロニー形成細菌によって形成されたコロニーの他、培地や培養条件を変化させることによっては可視的な大コロニーを形成し得る細菌群によって形成された微小コロニーも含まれる。
【0069】
単離した微小コロニーが、微小コロニー形成細菌のコロニーであるかどうかは、平板培地から分離した微小コロニーをLB寒天平板培地等の通常の平板培地に接種して平板培養し、可視的な大コロニーを形成するかどうかで判断することができる。
【0070】
目的とする微小コロニー形成細菌は、培地や培養条件を種々変化させて生育を観察しても、依然として生育は極めて遅く10日間程度平板培養してもコロニーの大きさは直径0.5mm程度にしか生育しない性質のものである。微小コロニー形成細菌は、いわゆる希少細菌の範疇に属し、未だかって分離されたことのない微生物である可能性が期待される微生物群と考えられる。
【0071】
単離された微小コロニー形成細菌を平板培養する場合、微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養して得られた培養液またはその上清液にその微小コロニー形成細菌の生育を促進させる因子が含まれる場合があるため、培地にこの培養液またはその上清液を添加することも好ましい。
【0072】
これら微小コロニー形成細菌は、依然培養が困難な微生物であり、直接産業上の利用性を検討できるものではないが、従来の平板培養法では単離されたことのない微生物であることから、これを新たな微生物資源や微生物遺伝子資源として利用することができる。
【0073】
【実施例】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0074】
<実施例1>
実施例1では、培養液中の溶存酸素の変化を酸素電極を用いて測定し、培養液中の土壌微生物の微生物相(フローラ)を動的に観察した集積培養例を説明する。
【0075】
集積培養の培地としてLB(Luria−Bertani Broth、DIFCO社製)培地を調製した。LB培地の組成はカゼイン加水分解物 1.0%、酵母エキス0.5%、食塩0.5%(pH7.0)である。調製したLB培地を水で1/10に希釈し、600ml容のガラス製発酵槽に400ml張り込んだ。120℃で20分間滅菌後、土壌サンプル0.1gを摂取し、25℃、回転数150rpmの条件で通気攪拌培養を開始した。7時間のラグタイム(lag time)の後に微生物の生育に伴って微生物の呼吸が始まり同時に溶存酸素レベルは顕著に減少した。微生物の高い呼吸活性に対応しかつ溶存酸素レベルをゼロ以上に保持するため攪拌速度を1,500〜1,850rpmに高めた。
【0076】
培養20時間後に溶存酸素レベルが急激に高くなり最初のレベルに戻った。これは培養液中の栄養分が消費され栄養が欠乏してきたため微生物の呼吸活性が低下したことを意味する。培養開始後7〜20時間を微生物生育の第一相とし、この相では試料中の微生物がLB培地中の栄養素を資化して急速に増殖する時期と言える。
【0077】
第一相の終わりにはLB培地中の栄養素が消費されてしまうが、第一相微生物細胞よりなる新しい栄養素や第一相微生物の代謝産物などが新しい栄養素として培養液中に供給されるものと考えられる。次に第二相の微生物として、これらの新しい有機化合物を資化し利用できる微生物群の生育が予想される。そこで攪拌速度を150rpmに戻したところ、予期したように溶存酸素の急激な減少が始まり第二相微生物の生育が認められた。1〜2時間後には溶存酸素レベルは再び低下した。これ以降は、溶存酸素レベルを、培養開始時の溶存酸素レベルを100として約25〜30%に維持し以後に起こることが予想される溶存酸素レベルの上昇に備えた。
【0078】
更に培養を続け、培養25時間目に第三相、76時間目に第四相と培養84時間の間に第四相まで4つの微生物相の変化が観察された。84時間培養した後の培養液は透明となり微生物のフロックが観察された。実施例1は、自然界の微生物分離源を有機窒素源を含む栄養培地で好気的条件下で集積培養することにより、自然界における微生物の相変化が人工的に再現されることを示している。
【0079】
<実施例2>
集積培養の培地としてLB(Luria−Bertani Broth、DIFCO社製)培地を調製した。LB培地の組成はカゼイン加水分解物 1.0%、酵母エキス0.5%、食塩0.5%(pH7.0)である。LB培地を水で1/10に希釈し、その100mlを滅菌処理した500ml容の振盪フラスコに張り込み、120℃、10分間加熱殺菌を行なった。これに長野県上伊那郡南蓑輪村から採取したの土壌サンプルを0.05g加え、25℃で振盪培養を開始した。
【0080】
2ヶ月間培養を行うことにより徐々に微小コロニー形成細菌の存在比率を高めた。2ヶ月間集積培養して得られた培養液の濁度を直接肉眼で観察したところ、透明に近かった。この培養液を目的とする微小コロニー形成細菌の分離源および、分離用平板培地調製に使用した。
【0081】
微小コロニー形成細菌の分離用平板培地として、表2に示す組成のCL寒天平板培地、LB寒天平板培地及び1/10希釈LB寒天平板培地を調製した。この平板培地に2ヶ月間培養後の集積培養液を微生物分離源として播菌し、25℃で培養した。
【0082】
培養開始後、8日から39日にかけて40倍の検鏡下で平板培地上に生育した微小コロニーを分離・採取した。その結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
Figure 2005027523
【0084】
表1に示すようにCL寒天平板培地を用いた場合、得られる微小コロニーは数が多く、且つその形態や色調も他の培地の場合と比較して多様性を示した。
【0085】
CL寒天平板培地から分離した148株の微小コロニーについて更にこれらを表2に示す組成のLB寒天平板培地で平板培養を行なった。その結果、148株中144株は大きなコロニーを形成した。このLB寒天平板培地での培養1週間後でもコロニーの直径が0.5mm以下の微小コロニーを形成した4株を分離した。
【0086】
これら4株に共通する培養上の性質として、LB寒天平板培地上で培養したときにコロニーの大きさが培養1週間後でも0.5mm以下の微小コロニーを形成する。これらの4菌株をShinshu−ah1、Shinshu−ah2、Shinshu−ah3及びShinshu−ah4株と命名した。
【0087】
これら4株についてLB培地の他にCL培地、NB培地、Shaeffer培地、Albumin培地、YS培地、R培地、1/10希釈LB培地、および1/100希釈LB培地を用いて平板培養し生育の状況を観察したが、いずれの平板培地でもコロニーの大きさは変わらず生育の極めて遅い菌株であることが確認された。ここで、使用した培地の組成を表2に示す。
【0088】
【表2】
Figure 2005027523
【0089】
培養が遅い原因として酸素毒の可能性が考えられるので、嫌気培養キット”anaerobic pack”(三菱ガス化学社製)を使用して低酸素条件で平板培養を試みたが、低酸素条件下ではいずれの菌株とも逆にコロニー形成速度は抑制された。
【0090】
Shinshu−ah1,ah2及びah4について、平板培養のほかにLB培地を用いて液体培養を行い生育度(570nmにおける吸光度)を測定した。E.coliと比較すると、3株とも生育が遅いが、培養時間を長くすればE.coliの1/3程度の生育度を示した。
【0091】
次に、これら4菌株の菌学的性質を調べた。表3にコロニーの形態学的特徴を示す。
【0092】
【表3】
Figure 2005027523
【0093】
Shinshu−ah1、Shinshu−ah2、Shinshu−ah4に共通な性質として、生育至適温度は25〜30℃であり、37℃では生育が抑制され、カタラーゼ活性はE.coli等に比較して著しく弱かった。
【0094】
4菌株の16SrDNAの約700から1,450塩基について塩基解析を行ない、系統学的解析を行なった。なお、ここでの相同性は、市販のソフトウェア(「CLUSTAL W」:プログラム集「Phylogeny Programs」(http://evolution.genetics.washington.edu/phylip/software.htmlから入手可能)に含まれている。Tompson, D. J., et al., Nucleic Acids Res., 22, 4673−4680 (1994)参照)を用いて算出した値である。その結果を表4に示す。
【0095】
【表4】
Figure 2005027523
【0096】
表4に示す結果から、Shinshu−ah1、Shinshu−ah2、及びShinshu−ah4株は、夫々の近縁種に対して97%以下の塩基相同性を示すことから、系統学的に新規な微生物であると判断される。一方、Shinshu−ah3はMethylobacterium sp.strain F18(D32233)に対する相同性が99%であることから、これとほぼ同一であることが分かった。
【0097】
分子生物学に基づく微生物分類の概念から、夫々の近縁種との塩基相同性を比較するとShinshu−ah1はUncultured alpha proteobacterium及びBradyrhizobium sp.Pp3a−10と97%の塩基相同性を示し、Shinshu−ah4はAgromyces ramosum DSM 43045と95%の塩基相同性を示すことから新種と判断され、Shinshu−ah2はRasbo bacterium、Alpha proteobacterium 34619、Unidentified bacteria、Bradyrhizobium genosp.Pと91%の塩基相同性を示すことから新属の微生物に属すると判断される。
【0098】
図2は、Shinshu−ah2の16SrDNA塩基解析に基づく分子系統学的解析結果から得られたShinshu−ah2株及びその近縁微生物の発生系統樹を示す図である。系統学的解析は、市販のソフトウェア(「CLUSTAL W」:プログラム集「Phylogeny Programs」)で計算された多重アラインメント及び進化距離(相同性)を、PHLYPフォーマットデータで出力し、これを系統樹作成ソフト「TreeView」(Tree drawing software for Apple Machintosh: by Roderic D., Page 1995, Institute of Biomedical and Life sciences, University of Glasgow, UK)に読み込ませることによって行った。PHLYP(Felsenstein J. (1995) Phylogenetic inference package, version 3.5.7., Department of Genetics, University of Washington, Seatle WA, USA)は、上記Phylogeny Programsに含まれている。図2において、縦棒は各微生物種の系統樹上の位置関係を示す。横棒は、各微生物種間の16SrDNA塩基配列の相同性を示す。目盛り(0.01)は、16SrDNA遺伝子の塩基配列の相同性について100個の塩基中1個が相違した時の横棒の長さ(1.0cm)を示す。また、数字[1000]は、相同性が同一とでた計算結果が1000回の内、1000回でたことを示す。
【0099】
図2に示すように、Shinshu−ah2は窒素固定細菌であるSinorhizobium saheliに近縁な新属の微生物と考えられる。
【0100】
<比較例1>
比較例1では、微生物分離源を適当な濃度に希釈し、これを平板培地で培養し、コロニーが形成されていない部分を顕微鏡で検鏡して微小コロニーを分離できるか検討した。
【0101】
まず、微小コロニー分離用の培地としてLB寒天培地を準備した。LB(Luria−Bertani−broth)培地の組成は、カゼイン加水分解物1.0%、酵母エキス0.5%、食塩0.5%、(pH7.0)である。これに土壌を希釈して塗布し常法に従い平板培養を行った。次いで、40倍検鏡下で平板培地上に生育した微小コロニーを多数分離した。これらの微小コロニーは本発明者らが目的とする微小コロニー形成細菌であろうと期待した。しかしながら、これら微小コロニーをLB寒天培地で培養したところ分離したすべての細菌が可視的な大コロニーを形成し、目的とする微小コロニー形成細菌を取得することは出来なかった。
【0102】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の微小コロニー形成細菌の単離方法は、平板培養工程の前に、自然界の微生物分離源を微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養することにより、大コロニー形成細菌を排除し、微小コロニー形成細菌の存在比を高めた状態で平板培地に接種するので、平板培地上に微小コロニー形成細菌だけ選択的にコロニー形成させることができる。
【0103】
本発明の微小コロニー形成細菌の単離方法によって、従来の平板培養法では単離されたことのない微生物を取得することが可能となり、この微生物は新規なDNA遺伝子取得源として、食品産業、医薬品産業、水質等の環境保全、医療等の幅広い分野への応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微生物相の経時変化を示すグラフである。
【図2】微小コロニー形成細菌Shinshu−ah2株の及びその近縁微生物の発生系統樹を示す図である。

Claims (6)

  1. 自然界の微生物分離源を有機窒素源を含む栄養培地で好気的条件下で集積培養し、微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養した後、当該培養液を当該培養液を含む平板培地で培養して平板培地上に生育する微小コロニーを分離・採取することを特徴とする微小コロニー形成細菌の単離方法。
  2. 前記微小コロニー形成細菌が、直径1mm以上のコロニーを形成することができない微生物であることを特徴とする請求項1に記載の微小コロニー形成細菌の単離方法。
  3. 前記平板培地から分離・採取した微小コロニーを、さらに平板培養し、直径1mm以上のコロニーを形成するか否かを確認することによって、単離した微小コロニーが微小コロニー形成細菌であるかを判定する判定工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の微小コロニー形成細菌の単離方法。
  4. 前記微生物分離源を少なくとも84時間以上集積培養することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微小コロニー形成細菌の単離方法。
  5. 前記平板培地は、前記微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養して得られた培養液またはその上清液を10wt%以上含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微小コロニー形成細菌の単離方法。
  6. 自然界の微生物分離源を有機窒素源を含む栄養培地で好気的条件下で集積培養し、微生物の相変化が認められなくなるまで集積培養した後、当該培養液を当該培養液を含む平板培地で培養することにより、平板培地上に微小コロニーを形成させることを特徴とする微小コロニーの製造方法。
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