JP2005026391A - Mos型半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の縦型MOS半導体装置では、ゲート電極の上端面の終端位置の調整が困難であり、ソース領域側にオフセット領域が形成され、ON抵抗値の増大を招くという問題があった。
【解決手段】本発明の縦型MOS半導体装置1では、ソース領域を不純物濃度の異なる二重拡散構造5、6により形成する。そして、不純物濃度の高い第2の拡散領域6は、P型の拡散領域4表面から浅く形成する。そのことで、本発明では、ゲート電極の上端面が、第2の拡散領域6よりも下方に位置しても第1の拡散領域5により、オフセット領域を形成することはない。その結果、縦型MOS半導体装置1では、ゲート電極の上端面の形成位置がばらつくソース領域側において、オフセット領域を低減し、ON抵抗値の増大を抑制できる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の縦型MOS半導体装置1では、ソース領域を不純物濃度の異なる二重拡散構造5、6により形成する。そして、不純物濃度の高い第2の拡散領域6は、P型の拡散領域4表面から浅く形成する。そのことで、本発明では、ゲート電極の上端面が、第2の拡散領域6よりも下方に位置しても第1の拡散領域5により、オフセット領域を形成することはない。その結果、縦型MOS半導体装置1では、ゲート電極の上端面の形成位置がばらつくソース領域側において、オフセット領域を低減し、ON抵抗値の増大を抑制できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレンチを用い、該トレンチに半導体材料を埋め込みゲート電極を形成するMOS型トランジスタに関し、ソース領域を拡散係数の異なる不純物を用いて二重拡散構造とし、ON抵抗値の改善を主たる目的とする。
【0002】
【従来の技術】
ディスクリート型のMOS半導体素子において、該半導体素子のON抵抗値の設計は、そのデバイス特性を決定する上で重要なパラメータの1つとして扱われている。これは、半導体素子のON抵抗値の低減を図り、そのデバイスの高速動作を実現する為であり、ON抵抗値の小さいデバイスは、市場においても需要が高い。
【0003】
そして、例えば、ウエハープロセス工程上においても、バリアメタル構造を採用することで、コンタクト抵抗を低減し、半導体素子のON抵抗値の低減を図っている。また、ウエハ表面に形成される金属層と半導体層との間をプラグを介して接続することでバリアハイトを下げ、コンタクト抵抗を低減し、半導体素子のON抵抗値の低減を図っている。また、MOS型トランジスタ素子では、ゲート電極とソース・ドレイン電極との低抵抗化を図るためにサリサイドプロセスを導入し、ON抵抗値の低減を図っている。
【0004】
一方、例えば、アセンブリ工程においては、ソース電極に対し、接続するボンディングワイヤーの本数を多くすることで、ON抵抗値の低減が図られる。更に、ON抵抗値の低減が要求される場合には、銅等の金属部材を、直接、ソース電極上に接続する、フェイスダウンボンディング技術が利用されることで、ON抵抗値の低減が図られる。
【0005】
従来のNチャンネル型のMOS半導体装置では、N+型のシリコン半導体基板上にN−型のエピタキシャル層から成るドレイン領域が形成され、そのエピタキシャル層にはP型の拡散領域が形成されている。そして、トレンチが、P型の拡散領域を貫通し、ドレイン領域まで到達するように形成され、そのトレンチにはポリシリコンが堆積され、ゲート電極が形成される。また、P型の拡散領域表面には、N+型のソース領域が形成される。そして、MOS半導体装置がON時には、トレンチ側面のP型の拡散領域にN型のチャンネル層が形成され、ドレイン領域からソース領域へと電流が流れる。一方、その製造方法において、ゲート電極は、ノンドープのポリシリコンがトレンチ内にCVD法により堆積され、リンをドープした後、エッチバックすることで形成される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−274397号公報(第4−6頁、第5図、第10図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のMOS型の半導体装置では、例えば、N型の半導体基板上にN型のエピタキシャル層を積層し、ドレイン領域、P型の拡散領域、ソース領域、ゲート電極を形成する為のトレンチを形成する。そして、トレンチ内を充填するように、P型の拡散領域上からノンドープのポリシリコンをトレンチ内にCVD法で堆積させる。そのため、トレンチが形成されていない領域のP型の拡散領域上面にもポリシリコンが堆積されるので、そのポリシリコンをエッチバックして取り除いている。
【0008】
しかしながら、半導体基板を成すウエハには、複数の素子形成領域があり、それぞれの形成領域においてトレンチが形成されている。そして、ポリシリコンを除去する工程において、エッチバックする際に全てのトレンチに対し、エッチング終端を管理し、均一に除去することが困難であった。そのため、従来のMOS型の半導体装置では、トレンチ内に充填されるポリシリコン表面が、P型の拡散領域表面に対して凹部を成すものがあった。この構造により、ゲート電極長さが設計長さよりも短くなり、ソース領域側にオフセット領域が形成され、ON抵抗が増大するという問題があった。また、1枚のウエハから形成される複数のMOS型の半導体装置において、そのデバイス特性にばらつきが生じ、安定性が得られないという問題もあった。
【0009】
また、上述したように、従来のMOS型の半導体装置では、アセンブリ工程において、ON抵抗値の低減を図っていたが、例えば、ソース電極に対して多数のボンディングワイヤを接続する方法がある。この場合には、材料コストが嵩み、作業時間の短縮が図れず、また、素子上の保護膜の形成領域を十分に確保できずコンタミネーションに曝される危険性があり、デバイスの信頼性を低下させるという問題があった。一方、フェイスダウンボンディング技術を利用して、金属部材をソース電極上に接続する場合、素子表面に機械的負荷が加わり、デバイスの信頼性を低下させるという問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のMOS半導体装置では、上述した各事情に鑑みて成されたものであり、一導電型の半導体基板から成るドレイン領域と、該基板表面に積層された逆導電型のエピタキシャル層から成るチャンネル形成領域と、該チャンネル形成領域の表面から前記基板に到達するトレンチを介し、該トレンチの内壁を被覆するゲート酸化膜と、前記トレンチ内に充填された半導体材料から成るゲート電極と、前記トレンチに隣接し、前記チャンネル形成領域の表面から形成される一導電型の拡散領域から成るソース領域とを具備するMOS半導体装置において、前記拡散領域は、拡散係数の異なる2種の不純物がそれぞれ拡散して成る第1の拡散領域と第2の拡散領域とから形成されており、少なくとも前記ゲート電極の上端面は前記第1の拡散領域の底面より前記チャンネル形成領域の表面側に位置していることを特徴とする。従って、本発明のMOS半導体装置では、ソース領域は、拡散係数の異なる2種類の一導電型の不純物を拡散し、二重拡散構造により形成されている。そして、MOS半導体装置のゲート電極の上端面とソース領域の形成領域とは、その形成領域を深さ方向において重なるように形成されることで、オフセット領域を無くし、ON抵抗値の増大を防ぐことができる。
【0011】
また、本発明のMOS半導体装置では、前記第2の拡散領域は、前記第1の拡散領域よりも高濃度拡散領域であることを特徴とする。従って、本発明のMOS半導体装置では、ソース領域となる第2の拡散領域は、ソース領域の形成されるエピタキシャル層に対し、その表面から浅い領域に一導電型の高濃度拡散領域として形成されている。そして、本発明のMOS半導体装置では、深さ方向における微細化を実現しつつ、ON抵抗値の低減を図れ、また、短チャンネル効果の抑制、しきい値電圧の低減による低電圧駆動を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図1から図7を参照として詳細に説明する。図1は本発明であるNチャンネル型の縦型MOSトランジスタの構造の一実施の形態を示す図である。
【0013】
図示の如く、本実施の形態における縦型MOSトランジスタ1では、N+型の半導体基板2上にはN−型のエピタキシャル層3が堆積されている。そして、基板2及びエピタキシャル層3はドレイン領域として用いられ、その不純物濃度の違いを利用して2重ドレイン構造を形成し、電界緩和を実現している。
【0014】
エピタキシャル層3には、ON時には、ソース領域とドレイン領域とを導通させるチャンネル層が形成されるP型の拡散領域4が形成されている。そして、P型の拡散領域4には、その表面から、ソース領域として用いられるN−型の第1の拡散領域5が形成されている。更に、第1の拡散領域5の表面から、N+型の第2の拡散領域6が、二重拡散構造により形成されている。尚、本実施の形態では、エピタキシャル層3に形成されるP型の拡散領域4はチャンネル形成領域として用いる。
【0015】
P型の拡散領域4には、その表面からエピタキシャル層3まで到達するトレンチ7が形成されている。そして、トレンチ7は、ソース領域として用いられる第1及び第2の拡散領域5、6をも貫通している。また、トレンチ7はP型の拡散領域4表面から側壁がほぼ垂直に掘られ、その内壁にはシリコン酸化膜8が形成されている。更に、トレンチ7には、N型不純物が注入された多結晶シリコン9(ポリシリコン)が堆積されている。そして、本実施の形態では、このポリシリコン9はゲート電極として、シリコン酸化膜8はゲート酸化膜として用いられる。
【0016】
P型の拡散領域4表面には、絶縁層10が形成されている。シリコン酸化膜8及び絶縁層10にはコンタクトホール11が形成され、このコンタクトホール11を介してソース電極12が、例えば、アルミニウム(Al)により形成されている。このとき、トレンチ7内のゲート電極はシリコン酸化膜8及び絶縁層10によりソース電極12とは絶縁されている。そして、ドレイン領域として用いるN+型の基板2の裏面には、図示していないが、例えば、金(Au)層がオーミックコンタクトしており、このAu層を介してドレイン電極Dが形成されている。この構造により、図示の如き、Nチャンネル型の縦型MOSトランジスタ1が完成する。
【0017】
次に、図2〜図5を参照にして、本発明の1実施の形態であるNチャンネル型の縦型MOSトランジスタの製造方法について、以下に説明する。尚、以下の説明では、図1に示した縦型MOSトランジスタの構造で説明した各構成要素と同じ構成要素には同じ符番を付すこととする。
【0018】
先ず、図2に示す如く、N+型の単結晶シリコン基板2を準備し、その基板2をエピタキシャル成長装置のサセプタ上に配置する。そして、ランプ加熱によって基板2に、例えば、1000℃程度の高温を与えると共に反応管内にSiH2Cl2ガスとH2ガスを導入する。そのことにより、基板2上にN−型のエピタキシャル層3を成長させる。その後、公知のフォトリソグラフィ技術により、P型の拡散領域4を形成する領域に、P型不純物、例えば、ホウ素(B)を加速電圧50〜100keV、導入量2.0〜4.0×1013/cm2程度でイオン注入し、拡散する。
【0019】
次に、図3に示す如く、P型の拡散領域4の表面からエピタキシャル層3へと到達するようにトレンチ7を形成する。先ず、P型の拡散領域4の表面にシリコン窒化膜(図示せず)を全面に堆積する。そして、公知のフォトリソグラフィ技術によりトレンチ7を形成する部分に開口部が設けられるよう選択的にシリコン窒化膜を除去する。そして、例えば、完全異方性のドライエッチングにより、P型の拡散領域4を貫通するトレンチ7を形成する。その後、トレンチ7の内壁表面を熱酸化し、トレンチ7の内壁を含めシリコン酸化膜8を形成する。
【0020】
次に、図4に示す如く、トレンチ7内には、例えば、N型不純物が導入されたポリシリコンを充填する。先ず、シリコン窒化膜を除去した後、例えば、CVD法により、P型の拡散領域4の上面及びトレンチ7内に、例えば、ポリシリコン9を堆積する。この工程では、ポリシリコン9をトレンチ7内に堆積した後、ポリシリコン9内の不純物濃度が、1.0×1018〜1.0×1020/cm3となるように多量のN型不純物、例えば、リン(P)をドーピングする。そして、後工程の熱拡散工程を利用して、ポリシリコン9内の濃度分布を均一化する。その後、図示の如く、ポリシリコン9をエッチバックし、トレンチ7内に埋設されたゲート電極を形成する。
【0021】
次に、図5に示す如く、P型の拡散領域4表面からN−型の第1の拡散領域5及び第2の拡散領域6を形成する。先ず、公知のフォトリソグラフィ技術により、N−型の第1の拡散領域5を形成する部分に開口部が設けられたフォトレジストを選択マスクとして形成する。そして、N型不純物、例えば、リン(P)を加速電圧120〜130keV、導入量5.0×1013/cm2程度でイオン注入する。
【0022】
次に、N+型の第2の拡散領域6を形成するため、N型不純物、例えば、ヒ素(As)を加速電圧130〜160keV、導入量5.0×1015/cm2程度でイオン注入する。その後、フォトレジストが除去され、N−型の第1及び第2の拡散領域5、6が拡散され、N−型の第1の拡散領域5とN+型の第2の拡散領域6との二重拡散構造が形成される。尚、図5では、N型不純物をイオン注入する領域のみ示しているので、フォトレジストは図示していない。
【0023】
その後、シリコン酸化膜8上等に、例えば、全面に絶縁層10としてBPSG(Boron Phospho Silicate Glass)膜、SOG(Spin On Glass)膜等を堆積する。その後、公知のフォトリソグラフィ技術により外部電極形成用のコンタクトホール11を形成する。このとき、トレンチ7内に形成されたゲート電極はシリコン酸化膜8及び絶縁層10により完全に被覆される。そして、絶縁層10に形成したコンタクトホール11を介して、例えば、Alから成るソース電極12を形成し、図1に示したNチャンネル型の縦型MOSトランジスタ1が完成する。
【0024】
尚、本実施の形態では、トレンチ7を形成しゲート電極を形成した後に、ソース領域として用いるN型の第1及び第2の拡散領域5、6を形成する場合について説明したが、先に、ソース領域を形成した後に、トレンチ7を形成し、ゲート電極を形成する製法でも良い。
【0025】
本実施の形態では、1枚のウエハに対し、マトリックス状に、複数の縦型MOSトランジスタ1の形成領域を有し、それぞれの形成領域において、同時に、縦型MOSトランジスタ1を形成している。そして、ゲート電極を形成する工程では、ゲート電極として用いるポリシリコンをウエハ上に全面に堆積する。そして、ウエハの表面側よりドライエッチングし、不要な領域のポリシリコンを除去する。このとき、この除去工程は、ウエハ全面に対して同一工程で行われる。そのため、ウエハ上の全てのトレンチ7において、トレンチ7の上端面13を、P型の拡散領域4の表面と、ほぼ同一平面を形成するようにドライエッチグをコントロールすることが困難であった。
【0026】
そして、例えば、図4に示す断面の真中及び左側のトレンチ7では、ポリシリコン9が削り込まれ、P型の拡散領域4表面よりも窪んで形成されている。そのため、従来の構造のように、第1の拡散領域5が形成されていない場合、トレンチ7内でポリシリコン9が未充填の領域に対応するP型の拡散領域には、ON時にチャンネルが形成されない。その結果、従来のように第1の拡散領域5が形成されない構造では、ソース領域である第2の拡散領域6に対して、オフセット領域が形成される。しかしながら、本実施の形態では、上述したように、ソース領域が二重拡散構造により形成されているので、N−型の第1の拡散領域5が、上記オフセット領域を補うことができる。
【0027】
つまり、本実施の形態の縦型MOSトランジスタ1では、ソース領域側において、P型の拡散領域4の表面から、第1の拡散領域5よりも高濃度の不純物領域であるN+型の第2の拡散領域6を形成する。一方、N−型の第1の拡散領域5は、その形成領域を第2の拡散領域6と重畳させ、且つ、その形成領域は少なくともオフセット領域を構成しない領域まで形成している。そのことで、縦型MOSトランジスタ1では、オフセット領域によるON抵抗値の増大を抑制し、所望のデバイス特性を満たすことができる。そして、本実施の形態の製造方法においても、トレンチ7内のポリシリコン9のエッチング終端の統一は困難であるが、ソース領域の二重拡散構造により対処することで、以下の効果を得ることができる。
【0028】
従来の縦型MOSトランジスタでは、上記オフセット領域に伴うON抵抗値の増大により、不良となる素子があり、その歩留まり向上は困難であった。しかし、本実施の形態では、上述したソース領域における二重拡散構造を実現することで、その不良素子を大幅に低減することができる。そして、本実施の形態の製造方法においても、ウエハ上の全てのトレンチ7に対し、ドライエッチングを一度に行うことができるので、その生産性を悪化させることはない。
【0029】
更に、本実施の形態における縦型MOSトランジスタでは、ソース領域をN型の二重拡散構造として形成する。このとき、拡散係数の小さいヒ素を第2の拡散領域6の構成材料として用いることで、不純物濃度の高い第2の拡散領域6をP型の拡散領域4表面に浅く形成することができる。一般に、縦型MOSトランジスタのON抵抗値の低減を実現する場合、チャンネル長を短くすることで対処することができる。この構造を本実施の形態において採用すると、素子の微細化、特に、厚み方向での微細化を実現させようとすると、短チャンネル効果の発生が問題となる。しかしながら、本実施の形態では、上述の如く、N−型の第1の拡散領域5を形成することで、P型の拡散領域4表面に浅くN+型の第2の拡散領域6を形成できるので、ON抵抗値の低減及び厚み方向での素子の微細化の両者を実現することができる。尚、Pチャンネル型の縦型MOSトランジスタでは、第2の拡散領域6の構成材料として、フッ化ボロン(BF2)を用いることで、同様な効果を得ることができる。
【0030】
また、図6では、本実施の形態における縦型MOSトランジスタのソース領域における濃度プロファイルを示している。上述の如く、本実施の形態では、ソース領域が、N−型の第1の拡散領域5とN+型の第2の拡散領域6との二重拡散構造により形成されている。図示したように、実線で示すラインはリン(P)とヒ素(As)との濃度とを加えた濃度プロファイルであり、点線で示すラインはリンの濃度プロファイルであり、一点鎖線で示すラインはヒ素の濃度プロファイルであり、二点鎖線で示すラインはP型の拡散領域4を構成するホウ素(B)の濃度プロファイルである。図5を参照して説明したように、P型の拡散領域4表面からより深部まで形成する第1の拡散領域5は、リン(P)をイオン注入し、拡散し形成される。一方、P型の拡散領域4表面に浅く形成する第2の拡散領域6は、ヒ素(As)をイオン注入し、拡散し形成される。
【0031】
図示の如く、本実施の形態では、ソース領域は比較的浅い拡散領域であり、その領域に不純物濃度の異なる第1及び第2の拡散領域5、6を形成するが、線形傾斜接合効果が得られるように形成される。そのことで、本実施の形態では、ソース領域が緩やかな濃度プロファイルを実現し、上述の如く、短チャンネル効果を抑制し、低しきい値電圧の設定が可能となる。また、本実施の形態では、ソース領域は比較的浅い拡散領域であるが、高耐圧効果を得ることができる。
【0032】
尚、本実施の形態では、図7に示すように、半導体基板22上にP−型のエピタキシャル層23を堆積し、縦型MOSトランジスタ21を形成する場合においても、適用することができる。この場合、N−型の第1拡散領域24、N+型の第2の拡散領域25、トレンチ26、シリコン酸化膜27、多結晶シリコン(ポリシリコン)28、絶縁層29、コンタクトホール30、ソース電極31は、上述した構造と同一であり、その製法も同一であるので、ここでは、その説明を参照することとし、説明を割愛する。
【0033】
また、本実施の形態では、Nチャンネル型の縦型MOSトランジスタ1、21を用いて説明したが、この場合に限定する必要はなく、Pチャンネル型の縦型MOSトランジスタにも適用することができる。そして、Pチャンネル型の縦型MOSトランジスタの場合には、第1の拡散領域24は、P型不純物、例えば、ホウ素(B)を加速電圧30〜40keV、導入量3.0〜5.0×1013/cm2程度でイオン注入し、拡散する。そして、第2の拡散領域25は、P型不純物、例えば、フッ化ホウ素(BF2)を加速電圧50〜100keV、導入量3.0×1015/cm2程度でイオン注入し、拡散する。この製法により形成されたソース領域における二重拡散構造により、上述した効果を得ることができる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0034】
【発明の効果】
上述したように、第1に、本発明のMOS型半導体装置では、ソース領域が不純物濃度の異なる二重拡散構造により形成されることに特徴を有する。そのことで、本発明のMOS型半導体装置では、トレンチ内に多結晶シリコンを堆積して形成するゲート電極の上端面の終端位置に多少の誤差を生じた場合においても、オフセット領域を形成することはない。その結果、MOS型半導体装置では、そのON抵抗値の増大を抑制し、そのデバイス特性を維持し、また、安定化を図ることができる。
【0035】
第2に、本発明のMOS型半導体装置では、二重拡散構造より成るソース領域において、高濃度の不純物領域からなる拡散領域を、エピタキシャル層表面に浅く形成することに特徴を有する。そのことで、本発明のMOS型半導体装置では、ソース領域が、P型の拡散領域表面から比較的に浅い拡散領域になることで、高耐圧特性を得ることが出来、微細化に伴う短チャンネル効果の発生も抑制することができる。
【0036】
第3に、本発明のMOS型半導体装置では、ソース領域を不純物濃度の異なる二重拡散構造により形成することに特徴を有する。そして、ゲート電極を形成する多結晶シリコンは、ウエハ上に同一工程で一度に堆積され、ドライエッチングにより除去される。本発明では、第1の効果に上述したように、ドライエッチングによるゲート電極の終端位置に多少の誤差を生じた場合でも、ソース領域の構造により対処できる。その結果、本発明のMOS型半導体装置では、デバイス特性を向上させ、且つ、その生産性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における縦型MOS半導体装置の一実施の形態を説明するための断面図である。
【図2】本発明における縦型MOS半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】本発明における縦型MOS半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】本発明における縦型MOS半導体装置の製造方法を説明するための断図面である。
【図5】本発明における縦型MOS半導体装置の製造方法を説明するための断図面である。
【図6】本発明における縦型MOS半導体装置のソース領域における濃度プロファイルを説明するための特性図である。
【図7】本発明における縦型MOS半導体装置の一実施の形態を説明するための断面図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレンチを用い、該トレンチに半導体材料を埋め込みゲート電極を形成するMOS型トランジスタに関し、ソース領域を拡散係数の異なる不純物を用いて二重拡散構造とし、ON抵抗値の改善を主たる目的とする。
【0002】
【従来の技術】
ディスクリート型のMOS半導体素子において、該半導体素子のON抵抗値の設計は、そのデバイス特性を決定する上で重要なパラメータの1つとして扱われている。これは、半導体素子のON抵抗値の低減を図り、そのデバイスの高速動作を実現する為であり、ON抵抗値の小さいデバイスは、市場においても需要が高い。
【0003】
そして、例えば、ウエハープロセス工程上においても、バリアメタル構造を採用することで、コンタクト抵抗を低減し、半導体素子のON抵抗値の低減を図っている。また、ウエハ表面に形成される金属層と半導体層との間をプラグを介して接続することでバリアハイトを下げ、コンタクト抵抗を低減し、半導体素子のON抵抗値の低減を図っている。また、MOS型トランジスタ素子では、ゲート電極とソース・ドレイン電極との低抵抗化を図るためにサリサイドプロセスを導入し、ON抵抗値の低減を図っている。
【0004】
一方、例えば、アセンブリ工程においては、ソース電極に対し、接続するボンディングワイヤーの本数を多くすることで、ON抵抗値の低減が図られる。更に、ON抵抗値の低減が要求される場合には、銅等の金属部材を、直接、ソース電極上に接続する、フェイスダウンボンディング技術が利用されることで、ON抵抗値の低減が図られる。
【0005】
従来のNチャンネル型のMOS半導体装置では、N+型のシリコン半導体基板上にN−型のエピタキシャル層から成るドレイン領域が形成され、そのエピタキシャル層にはP型の拡散領域が形成されている。そして、トレンチが、P型の拡散領域を貫通し、ドレイン領域まで到達するように形成され、そのトレンチにはポリシリコンが堆積され、ゲート電極が形成される。また、P型の拡散領域表面には、N+型のソース領域が形成される。そして、MOS半導体装置がON時には、トレンチ側面のP型の拡散領域にN型のチャンネル層が形成され、ドレイン領域からソース領域へと電流が流れる。一方、その製造方法において、ゲート電極は、ノンドープのポリシリコンがトレンチ内にCVD法により堆積され、リンをドープした後、エッチバックすることで形成される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−274397号公報(第4−6頁、第5図、第10図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のMOS型の半導体装置では、例えば、N型の半導体基板上にN型のエピタキシャル層を積層し、ドレイン領域、P型の拡散領域、ソース領域、ゲート電極を形成する為のトレンチを形成する。そして、トレンチ内を充填するように、P型の拡散領域上からノンドープのポリシリコンをトレンチ内にCVD法で堆積させる。そのため、トレンチが形成されていない領域のP型の拡散領域上面にもポリシリコンが堆積されるので、そのポリシリコンをエッチバックして取り除いている。
【0008】
しかしながら、半導体基板を成すウエハには、複数の素子形成領域があり、それぞれの形成領域においてトレンチが形成されている。そして、ポリシリコンを除去する工程において、エッチバックする際に全てのトレンチに対し、エッチング終端を管理し、均一に除去することが困難であった。そのため、従来のMOS型の半導体装置では、トレンチ内に充填されるポリシリコン表面が、P型の拡散領域表面に対して凹部を成すものがあった。この構造により、ゲート電極長さが設計長さよりも短くなり、ソース領域側にオフセット領域が形成され、ON抵抗が増大するという問題があった。また、1枚のウエハから形成される複数のMOS型の半導体装置において、そのデバイス特性にばらつきが生じ、安定性が得られないという問題もあった。
【0009】
また、上述したように、従来のMOS型の半導体装置では、アセンブリ工程において、ON抵抗値の低減を図っていたが、例えば、ソース電極に対して多数のボンディングワイヤを接続する方法がある。この場合には、材料コストが嵩み、作業時間の短縮が図れず、また、素子上の保護膜の形成領域を十分に確保できずコンタミネーションに曝される危険性があり、デバイスの信頼性を低下させるという問題があった。一方、フェイスダウンボンディング技術を利用して、金属部材をソース電極上に接続する場合、素子表面に機械的負荷が加わり、デバイスの信頼性を低下させるという問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のMOS半導体装置では、上述した各事情に鑑みて成されたものであり、一導電型の半導体基板から成るドレイン領域と、該基板表面に積層された逆導電型のエピタキシャル層から成るチャンネル形成領域と、該チャンネル形成領域の表面から前記基板に到達するトレンチを介し、該トレンチの内壁を被覆するゲート酸化膜と、前記トレンチ内に充填された半導体材料から成るゲート電極と、前記トレンチに隣接し、前記チャンネル形成領域の表面から形成される一導電型の拡散領域から成るソース領域とを具備するMOS半導体装置において、前記拡散領域は、拡散係数の異なる2種の不純物がそれぞれ拡散して成る第1の拡散領域と第2の拡散領域とから形成されており、少なくとも前記ゲート電極の上端面は前記第1の拡散領域の底面より前記チャンネル形成領域の表面側に位置していることを特徴とする。従って、本発明のMOS半導体装置では、ソース領域は、拡散係数の異なる2種類の一導電型の不純物を拡散し、二重拡散構造により形成されている。そして、MOS半導体装置のゲート電極の上端面とソース領域の形成領域とは、その形成領域を深さ方向において重なるように形成されることで、オフセット領域を無くし、ON抵抗値の増大を防ぐことができる。
【0011】
また、本発明のMOS半導体装置では、前記第2の拡散領域は、前記第1の拡散領域よりも高濃度拡散領域であることを特徴とする。従って、本発明のMOS半導体装置では、ソース領域となる第2の拡散領域は、ソース領域の形成されるエピタキシャル層に対し、その表面から浅い領域に一導電型の高濃度拡散領域として形成されている。そして、本発明のMOS半導体装置では、深さ方向における微細化を実現しつつ、ON抵抗値の低減を図れ、また、短チャンネル効果の抑制、しきい値電圧の低減による低電圧駆動を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図1から図7を参照として詳細に説明する。図1は本発明であるNチャンネル型の縦型MOSトランジスタの構造の一実施の形態を示す図である。
【0013】
図示の如く、本実施の形態における縦型MOSトランジスタ1では、N+型の半導体基板2上にはN−型のエピタキシャル層3が堆積されている。そして、基板2及びエピタキシャル層3はドレイン領域として用いられ、その不純物濃度の違いを利用して2重ドレイン構造を形成し、電界緩和を実現している。
【0014】
エピタキシャル層3には、ON時には、ソース領域とドレイン領域とを導通させるチャンネル層が形成されるP型の拡散領域4が形成されている。そして、P型の拡散領域4には、その表面から、ソース領域として用いられるN−型の第1の拡散領域5が形成されている。更に、第1の拡散領域5の表面から、N+型の第2の拡散領域6が、二重拡散構造により形成されている。尚、本実施の形態では、エピタキシャル層3に形成されるP型の拡散領域4はチャンネル形成領域として用いる。
【0015】
P型の拡散領域4には、その表面からエピタキシャル層3まで到達するトレンチ7が形成されている。そして、トレンチ7は、ソース領域として用いられる第1及び第2の拡散領域5、6をも貫通している。また、トレンチ7はP型の拡散領域4表面から側壁がほぼ垂直に掘られ、その内壁にはシリコン酸化膜8が形成されている。更に、トレンチ7には、N型不純物が注入された多結晶シリコン9(ポリシリコン)が堆積されている。そして、本実施の形態では、このポリシリコン9はゲート電極として、シリコン酸化膜8はゲート酸化膜として用いられる。
【0016】
P型の拡散領域4表面には、絶縁層10が形成されている。シリコン酸化膜8及び絶縁層10にはコンタクトホール11が形成され、このコンタクトホール11を介してソース電極12が、例えば、アルミニウム(Al)により形成されている。このとき、トレンチ7内のゲート電極はシリコン酸化膜8及び絶縁層10によりソース電極12とは絶縁されている。そして、ドレイン領域として用いるN+型の基板2の裏面には、図示していないが、例えば、金(Au)層がオーミックコンタクトしており、このAu層を介してドレイン電極Dが形成されている。この構造により、図示の如き、Nチャンネル型の縦型MOSトランジスタ1が完成する。
【0017】
次に、図2〜図5を参照にして、本発明の1実施の形態であるNチャンネル型の縦型MOSトランジスタの製造方法について、以下に説明する。尚、以下の説明では、図1に示した縦型MOSトランジスタの構造で説明した各構成要素と同じ構成要素には同じ符番を付すこととする。
【0018】
先ず、図2に示す如く、N+型の単結晶シリコン基板2を準備し、その基板2をエピタキシャル成長装置のサセプタ上に配置する。そして、ランプ加熱によって基板2に、例えば、1000℃程度の高温を与えると共に反応管内にSiH2Cl2ガスとH2ガスを導入する。そのことにより、基板2上にN−型のエピタキシャル層3を成長させる。その後、公知のフォトリソグラフィ技術により、P型の拡散領域4を形成する領域に、P型不純物、例えば、ホウ素(B)を加速電圧50〜100keV、導入量2.0〜4.0×1013/cm2程度でイオン注入し、拡散する。
【0019】
次に、図3に示す如く、P型の拡散領域4の表面からエピタキシャル層3へと到達するようにトレンチ7を形成する。先ず、P型の拡散領域4の表面にシリコン窒化膜(図示せず)を全面に堆積する。そして、公知のフォトリソグラフィ技術によりトレンチ7を形成する部分に開口部が設けられるよう選択的にシリコン窒化膜を除去する。そして、例えば、完全異方性のドライエッチングにより、P型の拡散領域4を貫通するトレンチ7を形成する。その後、トレンチ7の内壁表面を熱酸化し、トレンチ7の内壁を含めシリコン酸化膜8を形成する。
【0020】
次に、図4に示す如く、トレンチ7内には、例えば、N型不純物が導入されたポリシリコンを充填する。先ず、シリコン窒化膜を除去した後、例えば、CVD法により、P型の拡散領域4の上面及びトレンチ7内に、例えば、ポリシリコン9を堆積する。この工程では、ポリシリコン9をトレンチ7内に堆積した後、ポリシリコン9内の不純物濃度が、1.0×1018〜1.0×1020/cm3となるように多量のN型不純物、例えば、リン(P)をドーピングする。そして、後工程の熱拡散工程を利用して、ポリシリコン9内の濃度分布を均一化する。その後、図示の如く、ポリシリコン9をエッチバックし、トレンチ7内に埋設されたゲート電極を形成する。
【0021】
次に、図5に示す如く、P型の拡散領域4表面からN−型の第1の拡散領域5及び第2の拡散領域6を形成する。先ず、公知のフォトリソグラフィ技術により、N−型の第1の拡散領域5を形成する部分に開口部が設けられたフォトレジストを選択マスクとして形成する。そして、N型不純物、例えば、リン(P)を加速電圧120〜130keV、導入量5.0×1013/cm2程度でイオン注入する。
【0022】
次に、N+型の第2の拡散領域6を形成するため、N型不純物、例えば、ヒ素(As)を加速電圧130〜160keV、導入量5.0×1015/cm2程度でイオン注入する。その後、フォトレジストが除去され、N−型の第1及び第2の拡散領域5、6が拡散され、N−型の第1の拡散領域5とN+型の第2の拡散領域6との二重拡散構造が形成される。尚、図5では、N型不純物をイオン注入する領域のみ示しているので、フォトレジストは図示していない。
【0023】
その後、シリコン酸化膜8上等に、例えば、全面に絶縁層10としてBPSG(Boron Phospho Silicate Glass)膜、SOG(Spin On Glass)膜等を堆積する。その後、公知のフォトリソグラフィ技術により外部電極形成用のコンタクトホール11を形成する。このとき、トレンチ7内に形成されたゲート電極はシリコン酸化膜8及び絶縁層10により完全に被覆される。そして、絶縁層10に形成したコンタクトホール11を介して、例えば、Alから成るソース電極12を形成し、図1に示したNチャンネル型の縦型MOSトランジスタ1が完成する。
【0024】
尚、本実施の形態では、トレンチ7を形成しゲート電極を形成した後に、ソース領域として用いるN型の第1及び第2の拡散領域5、6を形成する場合について説明したが、先に、ソース領域を形成した後に、トレンチ7を形成し、ゲート電極を形成する製法でも良い。
【0025】
本実施の形態では、1枚のウエハに対し、マトリックス状に、複数の縦型MOSトランジスタ1の形成領域を有し、それぞれの形成領域において、同時に、縦型MOSトランジスタ1を形成している。そして、ゲート電極を形成する工程では、ゲート電極として用いるポリシリコンをウエハ上に全面に堆積する。そして、ウエハの表面側よりドライエッチングし、不要な領域のポリシリコンを除去する。このとき、この除去工程は、ウエハ全面に対して同一工程で行われる。そのため、ウエハ上の全てのトレンチ7において、トレンチ7の上端面13を、P型の拡散領域4の表面と、ほぼ同一平面を形成するようにドライエッチグをコントロールすることが困難であった。
【0026】
そして、例えば、図4に示す断面の真中及び左側のトレンチ7では、ポリシリコン9が削り込まれ、P型の拡散領域4表面よりも窪んで形成されている。そのため、従来の構造のように、第1の拡散領域5が形成されていない場合、トレンチ7内でポリシリコン9が未充填の領域に対応するP型の拡散領域には、ON時にチャンネルが形成されない。その結果、従来のように第1の拡散領域5が形成されない構造では、ソース領域である第2の拡散領域6に対して、オフセット領域が形成される。しかしながら、本実施の形態では、上述したように、ソース領域が二重拡散構造により形成されているので、N−型の第1の拡散領域5が、上記オフセット領域を補うことができる。
【0027】
つまり、本実施の形態の縦型MOSトランジスタ1では、ソース領域側において、P型の拡散領域4の表面から、第1の拡散領域5よりも高濃度の不純物領域であるN+型の第2の拡散領域6を形成する。一方、N−型の第1の拡散領域5は、その形成領域を第2の拡散領域6と重畳させ、且つ、その形成領域は少なくともオフセット領域を構成しない領域まで形成している。そのことで、縦型MOSトランジスタ1では、オフセット領域によるON抵抗値の増大を抑制し、所望のデバイス特性を満たすことができる。そして、本実施の形態の製造方法においても、トレンチ7内のポリシリコン9のエッチング終端の統一は困難であるが、ソース領域の二重拡散構造により対処することで、以下の効果を得ることができる。
【0028】
従来の縦型MOSトランジスタでは、上記オフセット領域に伴うON抵抗値の増大により、不良となる素子があり、その歩留まり向上は困難であった。しかし、本実施の形態では、上述したソース領域における二重拡散構造を実現することで、その不良素子を大幅に低減することができる。そして、本実施の形態の製造方法においても、ウエハ上の全てのトレンチ7に対し、ドライエッチングを一度に行うことができるので、その生産性を悪化させることはない。
【0029】
更に、本実施の形態における縦型MOSトランジスタでは、ソース領域をN型の二重拡散構造として形成する。このとき、拡散係数の小さいヒ素を第2の拡散領域6の構成材料として用いることで、不純物濃度の高い第2の拡散領域6をP型の拡散領域4表面に浅く形成することができる。一般に、縦型MOSトランジスタのON抵抗値の低減を実現する場合、チャンネル長を短くすることで対処することができる。この構造を本実施の形態において採用すると、素子の微細化、特に、厚み方向での微細化を実現させようとすると、短チャンネル効果の発生が問題となる。しかしながら、本実施の形態では、上述の如く、N−型の第1の拡散領域5を形成することで、P型の拡散領域4表面に浅くN+型の第2の拡散領域6を形成できるので、ON抵抗値の低減及び厚み方向での素子の微細化の両者を実現することができる。尚、Pチャンネル型の縦型MOSトランジスタでは、第2の拡散領域6の構成材料として、フッ化ボロン(BF2)を用いることで、同様な効果を得ることができる。
【0030】
また、図6では、本実施の形態における縦型MOSトランジスタのソース領域における濃度プロファイルを示している。上述の如く、本実施の形態では、ソース領域が、N−型の第1の拡散領域5とN+型の第2の拡散領域6との二重拡散構造により形成されている。図示したように、実線で示すラインはリン(P)とヒ素(As)との濃度とを加えた濃度プロファイルであり、点線で示すラインはリンの濃度プロファイルであり、一点鎖線で示すラインはヒ素の濃度プロファイルであり、二点鎖線で示すラインはP型の拡散領域4を構成するホウ素(B)の濃度プロファイルである。図5を参照して説明したように、P型の拡散領域4表面からより深部まで形成する第1の拡散領域5は、リン(P)をイオン注入し、拡散し形成される。一方、P型の拡散領域4表面に浅く形成する第2の拡散領域6は、ヒ素(As)をイオン注入し、拡散し形成される。
【0031】
図示の如く、本実施の形態では、ソース領域は比較的浅い拡散領域であり、その領域に不純物濃度の異なる第1及び第2の拡散領域5、6を形成するが、線形傾斜接合効果が得られるように形成される。そのことで、本実施の形態では、ソース領域が緩やかな濃度プロファイルを実現し、上述の如く、短チャンネル効果を抑制し、低しきい値電圧の設定が可能となる。また、本実施の形態では、ソース領域は比較的浅い拡散領域であるが、高耐圧効果を得ることができる。
【0032】
尚、本実施の形態では、図7に示すように、半導体基板22上にP−型のエピタキシャル層23を堆積し、縦型MOSトランジスタ21を形成する場合においても、適用することができる。この場合、N−型の第1拡散領域24、N+型の第2の拡散領域25、トレンチ26、シリコン酸化膜27、多結晶シリコン(ポリシリコン)28、絶縁層29、コンタクトホール30、ソース電極31は、上述した構造と同一であり、その製法も同一であるので、ここでは、その説明を参照することとし、説明を割愛する。
【0033】
また、本実施の形態では、Nチャンネル型の縦型MOSトランジスタ1、21を用いて説明したが、この場合に限定する必要はなく、Pチャンネル型の縦型MOSトランジスタにも適用することができる。そして、Pチャンネル型の縦型MOSトランジスタの場合には、第1の拡散領域24は、P型不純物、例えば、ホウ素(B)を加速電圧30〜40keV、導入量3.0〜5.0×1013/cm2程度でイオン注入し、拡散する。そして、第2の拡散領域25は、P型不純物、例えば、フッ化ホウ素(BF2)を加速電圧50〜100keV、導入量3.0×1015/cm2程度でイオン注入し、拡散する。この製法により形成されたソース領域における二重拡散構造により、上述した効果を得ることができる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0034】
【発明の効果】
上述したように、第1に、本発明のMOS型半導体装置では、ソース領域が不純物濃度の異なる二重拡散構造により形成されることに特徴を有する。そのことで、本発明のMOS型半導体装置では、トレンチ内に多結晶シリコンを堆積して形成するゲート電極の上端面の終端位置に多少の誤差を生じた場合においても、オフセット領域を形成することはない。その結果、MOS型半導体装置では、そのON抵抗値の増大を抑制し、そのデバイス特性を維持し、また、安定化を図ることができる。
【0035】
第2に、本発明のMOS型半導体装置では、二重拡散構造より成るソース領域において、高濃度の不純物領域からなる拡散領域を、エピタキシャル層表面に浅く形成することに特徴を有する。そのことで、本発明のMOS型半導体装置では、ソース領域が、P型の拡散領域表面から比較的に浅い拡散領域になることで、高耐圧特性を得ることが出来、微細化に伴う短チャンネル効果の発生も抑制することができる。
【0036】
第3に、本発明のMOS型半導体装置では、ソース領域を不純物濃度の異なる二重拡散構造により形成することに特徴を有する。そして、ゲート電極を形成する多結晶シリコンは、ウエハ上に同一工程で一度に堆積され、ドライエッチングにより除去される。本発明では、第1の効果に上述したように、ドライエッチングによるゲート電極の終端位置に多少の誤差を生じた場合でも、ソース領域の構造により対処できる。その結果、本発明のMOS型半導体装置では、デバイス特性を向上させ、且つ、その生産性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における縦型MOS半導体装置の一実施の形態を説明するための断面図である。
【図2】本発明における縦型MOS半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】本発明における縦型MOS半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】本発明における縦型MOS半導体装置の製造方法を説明するための断図面である。
【図5】本発明における縦型MOS半導体装置の製造方法を説明するための断図面である。
【図6】本発明における縦型MOS半導体装置のソース領域における濃度プロファイルを説明するための特性図である。
【図7】本発明における縦型MOS半導体装置の一実施の形態を説明するための断面図である。
Claims (6)
- 一導電型の半導体基板から成るドレイン領域と、
該基板表面に積層された逆導電型のエピタキシャル層から成るチャンネル形成領域と、
該チャンネル形成領域の表面から前記基板に到達するトレンチを介し、該トレンチの内壁を被覆するゲート酸化膜と、
前記トレンチ内に充填された半導体材料から成るゲート電極と、
前記トレンチに隣接し、前記チャンネル形成領域の表面から形成される一導電型の拡散領域から成るソース領域とを具備するMOS型半導体装置において、
前記拡散領域は、拡散係数の異なる2種の不純物がそれぞれ拡散して成る第1の拡散領域と第2の拡散領域とから形成されており、少なくとも前記ゲート電極の上端面は前記第1の拡散領域の底面より前記チャンネル形成領域の表面側に位置していることを特徴とするMOS型半導体装置。 - 前記第1の拡散領域は、前記第2の拡散領域よりも深部まで拡散して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のMOS型半導体装置。
- 前記第2の拡散領域は、前記第1の拡散領域よりも高濃度拡散領域であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のMOS型半導体装置。
- 一導電型の半導体基板及び該半導体基板上に積層された一導電型のエピタキシャル層から成るドレイン領域と、
前記エピタキシャル層表面から形成される逆導電型の拡散領域から成るチャンネル形成領域と、
該チャンネル形成領域の表面から該チャンネル形成領域を貫通するトレンチを介し、前記トレンチの内壁を被覆するゲート酸化膜と、
前記トレンチ内に充填された半導体材料から成るゲート電極と、
前記トレンチに隣接し、前記チャンネル形成領域の表面から形成される一導電型の拡散領域から成るソース領域とを具備するMOS型半導体装置において、
前記一導電型の拡散領域は、拡散係数の異なる2種の不純物がそれぞれ拡散して成る第1の拡散領域と第2の拡散領域とから形成されており、少なくとも前記ゲート電極の上端面は前記第1の拡散領域の底面より前記チャンネル形成領域の表面側に位置していることを特徴とするMOS型半導体装置。 - 前記第1の拡散領域は、前記第2の拡散領域よりも深部まで拡散して形成されていることを特徴とする請求項4に記載のMOS型半導体装置。
- 前記第2の拡散領域は、前記第1の拡散領域よりも高濃度拡散領域であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のMOS型半導体装置。
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2003
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