JP2005025982A - 誘導加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘導加熱される加熱体の表面温度のばらつきを抑制することで加熱対象物の加熱ムラを緩和することができる誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】本発明の誘導加熱装置11は、誘導加熱コイル15と、この誘導加熱コイルと離隔して対向配置された加熱板14とを備えている。そして、誘導加熱コイル15として、加熱板14の表面温度を均一化すべく、導体15a、15bが疎密に配置されたものを用いるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の誘導加熱装置11は、誘導加熱コイル15と、この誘導加熱コイルと離隔して対向配置された加熱板14とを備えている。そして、誘導加熱コイル15として、加熱板14の表面温度を均一化すべく、導体15a、15bが疎密に配置されたものを用いるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体や液晶分野において、半導体ウエハや液晶パネル用ガラス基板等の熱処理に際し、加熱手段として誘導加熱方式を採用した誘導加熱装置を用いている(例えば、特許文献1参照)。この誘導加熱装置は、ハロゲンランプを用いるランプ加熱装置などに比べ、高効率で高速昇温が可能であるという利点を有している。
【0003】
図7は半導体ウエハ等の加熱処理に用いられる枚葉式の誘導加熱装置の一例を示す断面図である。この誘導加熱装置1は、アルミ製のハウジング2と、このハウジング2内に配置され半導体ウエハWなどの平板状の加熱対象物が1枚ずつ収容される横型のプロセスチャンバ(処理室)3と、このプロセスチャンバ3内に配置された円板状の加熱板4と、このプロセスチャンバ3の外壁面側に配置され導体5aが略同一面上において同心円状に等間隔に配置された誘導加熱コイル5と、この誘導加熱コイル5とプロセスチャンバ3との間に配置された断熱材6とを備えている。なお、図中、3aは半導体ウエハW等を搬出入するための開口であり、3bはプロセスガスの導入や脱気等のための通気口であり、3c、3dは加熱板4や加熱対象物としての半導体ウエハWを載置するための支持部である。
【0004】
【特許文献1】
特許第2628394号公報(第1頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の誘導加熱装置1において、誘導加熱コイル5は、導体5aが等間隔で整列配置されているため、この誘導加熱コイル5と対向配置される円板状の加熱板4の中心側と外周側において表面温度のばらつきが発生するという問題がある。具体的には、誘導加熱コイル5の中心に近い導体5aは外周に比べてその長さが短いこと、誘導加熱コイル5の中心には導体5aを配置できないことや、誘導加熱コイル5の中心付近においてはスペース上の制約から巻数をあまり多く増やせないこと、製作上の問題から太径の導体を使用できないことなどから、電流密度を大きくすることに対する制約が多いこと、などの理由により、誘導加熱コイル5の中心と対向した位置にある加熱板4の温度がそのほかの部分に比べて低くなりやすい。そのため、加熱板4の輻射熱で加熱される半導体ウエハWなどの加熱対象物に加熱ムラが生じ、その結果としてスリップなどが発生して品質に悪影響を及ぼす。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、誘導加熱される加熱体の表面温度のばらつきを抑制することで加熱対象物の加熱ムラを緩和することができる誘導加熱装置の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘導加熱装置は、導体が略同一面上において略同心円状または渦巻状に配置された誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルと離隔して対向配置され前記誘導加熱コイルにより誘導加熱される加熱体と、を備えた誘導加熱装置であって、前記誘導加熱コイルは、前記加熱体の表面温度を均一化すべく、前記導体が疎密に配置されたものであることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、導体が疎密に配置された誘導加熱コイルを用いているので、導体が密に配置された部分を加熱体の表面温度が低くなりやすい部分に対向させれば、その部分を貫通する磁束の磁束密度を大きくすることができる。そのため、加熱体の表面温度のばらつきを抑制することができ、その結果、加熱体からの輻射熱で加熱処理される加熱対象物の加熱ムラを緩和することができる。
【0009】
上記の誘導加熱装置において、前記誘導加熱コイルは、断面形状が長方形の複数の導体が略同一面上において同心円状に配置されたものであり、かつ、前記導体が密に配置された部分は、前記導体の短辺が前記誘導加熱コイルの径方向と一致するよう配置されている部分であり、前記導体が疎に配置された部分は、前記導体の長辺が前記誘導加熱コイルの径方向と一致するよう配置されている部分であるのが好ましい。この場合、導体が疎密に配置された誘導加熱コイルを非常に簡単に製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る枚葉式の誘導加熱装置の構成を示す断面図である。本形態に係る枚葉式の誘導加熱装置11は、例えば半導体ウエハWの加熱処理に用いられ、アルミ製のハウジング12と、このハウジング12内に配置され半導体ウエハWが1枚ずつ収容される横型のプロセスチャンバ(処理室)13と、このプロセスチャンバ13内に配置された加熱体としての円板状の加熱板14と、前記プロセスチャンバ13の外壁面側に配置され同一平面上(または同一曲面上)において同心円状に配置された誘導加熱コイル15と、この誘導加熱コイル15とプロセスチャンバ13との間に配置された断熱材16とを備えている。
【0011】
プロセスチャンバ13は、耐熱性を有する石英材で形成されたものであり、全体が筒状で、その一端側(図1では左側)に半導体ウエハWを搬出入するための開口13aを有し、他端側(図1では右側)にプロセスガスの導入や脱気等のための小径の通気口13bを有している。なお、図示しないが、開口13aや通気口13bには、プロセスチャンバ13を密閉空間にすべく、蓋体や弁体などが適宜配設される。また、プロセスチャンバ13内には、加熱板14や加熱対象物としての半導体ウエハWを載置できるように、支持部13c、13dが設けられている。
【0012】
加熱板14は、カーボン基体などの熱伝導率及び輻射率が大きい導電性材料により形成されたものであり、加熱対象物である半導体ウエハWよりも大きい直径を有する円板形状をしている。この加熱板14は、その中心が誘導加熱コイル15の中心と略一致した状態で誘導加熱コイル15の上方に平行に対向配置されており、誘導加熱コイル15からの磁束(磁力線)が貫通すると渦電流が発生し、この渦電流と加熱板14自体の電気抵抗とによりジュール熱が生じて発熱するものである。そして、このように発熱した加熱板14の輻射熱により加熱対象物としての半導体ウエハWを加熱する。なお、加熱板14としては、半導体ウエハWの汚染を防止すべく、炭化珪素(SiC)をCVD(Chemical Vapor Deposition)等により被覆したものを用いてもよい。
【0013】
誘導加熱コイル15は、複数(例えば12本)の環状の導体15a、15bが同一平面上(または同一曲面上)において同心円状に配置されて構成されている。各導体15a、15bは、それぞれ銅等で構成されたものであり、断面形状が長方形(例えば7mm×11mm)の中空管で、管内に冷却水が流れるよう構成されている。なお、図示しないが、誘導加熱コイル15には高周波電流供給手段が接続されている。この高周波電流供給手段は、高周波(30〜50kHz程度)の交流電源を備える他、誘導加熱コイル15の出力制御が行えるよう構成される。
【0014】
そして、誘導加熱コイル15は、図2に示すように、中心側において導体15aが密に配置された部分Xと、外周側において導体15bが疎に配置された部分Yとに区分けされている。詳細には、導体15aが密に配置された部分Xでは、中心側の5本の導体15aを縦にして配置、すなわち断面形状が長方形の導体15aの短辺が誘導加熱コイル15の径方向と一致するように配置することで、ピッチが小さく(例えば11mm)なるようにしている。一方、導体15aが疎に配置された部分Yでは、外周側の7本の導体15aを横にして配置、すなわち断面形状が長方形の導体15bの長辺が誘導加熱コイル15の径方向と一致するように配置することで、ピッチが大きく(例えば17mm)なるようにしている。このような誘導加熱コイル15を用いることにより、導体15aが密に配置された部分と対向した位置にある加熱板14を貫通する磁束の磁束密度が大きくなる。そのため、表面温度が低くなりやすい加熱板14の中心付近の表面温度を、その他の部分の表面温度と同等にすることが可能となる。
【0015】
ここで、本発明者らが行った検証試験について説明する。この検証試験では、略同一平面上において等間隔に導体を配置した誘導加熱コイル(従来例品)と、略同一平面上において中心側が密で外周側が疎となるよう導体を配置した誘導加熱コイル(実施例品)とを用いて、円板状の加熱板の表面温度を経時的に測定した。
【0016】
具体的には、まず、誘導加熱コイルを12mmの等間隔ピッチで配置した誘導加熱コイル(従来例品)を準備した。また、中心側の5本の誘導加熱コイルを11mmの等間隔ピッチで配置し、それより外側の7本の誘導加熱コイルを17mmの等間隔ピッチで配置した誘導加熱コイル(実施例品)を準備した。そして、従来例品及び実施例品の誘導加熱コイルをそれぞれ誘導加熱装置に設置するとともに、直径が350mmの円板状の加熱板を、その中心が誘導加熱コイルの中心と一致するように配設した。そして、これら誘導加熱装置を用い、図3に示すように、加熱板14の6点、具体的にはA点(中心点)、B点(中心点から35mm離れた位置)、C点(中心点から75mm離れた位置)、D点(中心点から110mm離れた位置)、E点(中心点から140mm離れた位置)、F点(中心点から170mm離れた位置)の表面温度をそれぞれ経時的に測定した。
【0017】
図4は従来例品の誘導加熱コイルを用いた場合の結果であり、図5は実施例品の誘導加熱コイルを用いた場合の結果である。図4から明らかなように、導体を等間隔に配置した誘導加熱コイル(従来例品)では、加熱板14の中心点であるA点の表面温度と最外測定点であるF点等の表面温度との間には、200秒の時点で約150℃の温度差があり、表面温度のばらつきが大きいことが確認された。一方、図5から明らかなように、導体を疎密に配置した誘導加熱コイル(実施例品)では、中心点であるA点の温度が若干低いが、それ以外の測定点では殆ど温度差がなく、加熱板14の表面温度のばらつきが抑制されていることが確認された。
【0018】
上記のように構成された本形態に係る枚葉式の誘導加熱装置11は、導体15a、15bを疎密に配置した誘導加熱コイル15を用い、導体15aを密に配置した部分Xと加熱板14の中心付近とを対向させているので、加熱板14の中心付近を貫通する磁束の磁束密度を高めることができる。このため、導体を等間隔で配置した誘導加熱コイルを用いる場合に比べて、加熱板14の表面温度のばらつきを抑制することができ、その結果として半導体ウエハWの加熱ムラを緩和することができる。また、上記の誘導加熱コイル15は導体15a、15bを疎密に配置すればよいので、非常に簡単な方法で加熱体14の表面温度のばらつきを抑制できるという利点がある。さらに、上記の誘導加熱装置11において各導体15a、15bに流れる電流量を制御した場合には、加熱板14の表面温度のばらつきをより一層抑制することができるという利点がある。
【0019】
図6は本発明の第2の実施形態に係る枚葉式の誘導加熱装置の構成を示す断面図である。本形態に係る誘導加熱装置21は、第1の実施形態に比べ、加熱板14がプロセスチャンバ(処理室)13の外側に配置されている点で異なる。このような構成であっても、導体15a、15bを疎密に配置した誘導加熱コイル15(図1及び図2参照)を設置すれば、加熱板14の表面温度のばらつきを抑制することができ、その結果として半導体ウエハW等の加熱対象物の加熱ムラを緩和することができる。
【0020】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、加熱板の寸法等によっては外周側の放熱効果が大きくなって外周側の温度が中心側の温度に比べて低くなるので、その場合には、誘導加熱コイルの外周側を導体が密に配置された部分とし、中心側を導体が疎に配置された部分としてもよい。また、外周側及び中心側の表面温度が両者間の表面温度よりも低くなる場合には、誘導加熱コイルの外周側及び中心側を導体が密に配置された部分とし、両者間を導体が疎に配置された部分としてもよい。
また、本発明は複数の環状の導体が略同心円状に配置された誘導加熱コイルに限らず、一本の導体を渦巻状に巻回した誘導加熱コイルにおいて導体を疎密に配置するようにしてもよい。
また、加熱対象物としては半導体ウエハWに限らず、例えば、ガラス基板等の絶縁性基板と、その表面に形成された各種の薄膜を含むものでもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明の誘導加熱装置によれば、加熱体の表面温度を均一化すべく導体が疎密に配置された誘導加熱コイルを用いるので、加熱体の表面温度のばらつきを抑制することができ、その結果として半導体ウエハなどの加熱対象物の加熱ムラを緩和することができる。したがって、スリップなどの発生が抑制された高品質な半導体ウエハ等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱装置を示す断面図である。
【図2】誘導加熱コイルの中心から外周までを示す拡大断面図である。
【図3】加熱板の表面温度の測定点を説明するための平面図である。
【図4】従来の誘導加熱装置を用いた場合の加熱板の表面温度を経時的に測定した結果を示すグラフ図である。
【図5】本発明の誘導加熱装置を用いた場合の加熱板の表面温度を経時的に測定した結果を示すグラフ図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る誘導加熱装置を示す断面図である。
【図7】従来の誘導加熱装置を示す断面図である。
【符号の説明】
11 誘導加熱装置
14 加熱板
15 誘導加熱コイル
15a 15b 導体
X 導体が密に配置された部分
Y 導体が疎に配置された部分
W 半導体ウエハ(加熱対象物)
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体や液晶分野において、半導体ウエハや液晶パネル用ガラス基板等の熱処理に際し、加熱手段として誘導加熱方式を採用した誘導加熱装置を用いている(例えば、特許文献1参照)。この誘導加熱装置は、ハロゲンランプを用いるランプ加熱装置などに比べ、高効率で高速昇温が可能であるという利点を有している。
【0003】
図7は半導体ウエハ等の加熱処理に用いられる枚葉式の誘導加熱装置の一例を示す断面図である。この誘導加熱装置1は、アルミ製のハウジング2と、このハウジング2内に配置され半導体ウエハWなどの平板状の加熱対象物が1枚ずつ収容される横型のプロセスチャンバ(処理室)3と、このプロセスチャンバ3内に配置された円板状の加熱板4と、このプロセスチャンバ3の外壁面側に配置され導体5aが略同一面上において同心円状に等間隔に配置された誘導加熱コイル5と、この誘導加熱コイル5とプロセスチャンバ3との間に配置された断熱材6とを備えている。なお、図中、3aは半導体ウエハW等を搬出入するための開口であり、3bはプロセスガスの導入や脱気等のための通気口であり、3c、3dは加熱板4や加熱対象物としての半導体ウエハWを載置するための支持部である。
【0004】
【特許文献1】
特許第2628394号公報(第1頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の誘導加熱装置1において、誘導加熱コイル5は、導体5aが等間隔で整列配置されているため、この誘導加熱コイル5と対向配置される円板状の加熱板4の中心側と外周側において表面温度のばらつきが発生するという問題がある。具体的には、誘導加熱コイル5の中心に近い導体5aは外周に比べてその長さが短いこと、誘導加熱コイル5の中心には導体5aを配置できないことや、誘導加熱コイル5の中心付近においてはスペース上の制約から巻数をあまり多く増やせないこと、製作上の問題から太径の導体を使用できないことなどから、電流密度を大きくすることに対する制約が多いこと、などの理由により、誘導加熱コイル5の中心と対向した位置にある加熱板4の温度がそのほかの部分に比べて低くなりやすい。そのため、加熱板4の輻射熱で加熱される半導体ウエハWなどの加熱対象物に加熱ムラが生じ、その結果としてスリップなどが発生して品質に悪影響を及ぼす。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、誘導加熱される加熱体の表面温度のばらつきを抑制することで加熱対象物の加熱ムラを緩和することができる誘導加熱装置の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘導加熱装置は、導体が略同一面上において略同心円状または渦巻状に配置された誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルと離隔して対向配置され前記誘導加熱コイルにより誘導加熱される加熱体と、を備えた誘導加熱装置であって、前記誘導加熱コイルは、前記加熱体の表面温度を均一化すべく、前記導体が疎密に配置されたものであることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、導体が疎密に配置された誘導加熱コイルを用いているので、導体が密に配置された部分を加熱体の表面温度が低くなりやすい部分に対向させれば、その部分を貫通する磁束の磁束密度を大きくすることができる。そのため、加熱体の表面温度のばらつきを抑制することができ、その結果、加熱体からの輻射熱で加熱処理される加熱対象物の加熱ムラを緩和することができる。
【0009】
上記の誘導加熱装置において、前記誘導加熱コイルは、断面形状が長方形の複数の導体が略同一面上において同心円状に配置されたものであり、かつ、前記導体が密に配置された部分は、前記導体の短辺が前記誘導加熱コイルの径方向と一致するよう配置されている部分であり、前記導体が疎に配置された部分は、前記導体の長辺が前記誘導加熱コイルの径方向と一致するよう配置されている部分であるのが好ましい。この場合、導体が疎密に配置された誘導加熱コイルを非常に簡単に製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る枚葉式の誘導加熱装置の構成を示す断面図である。本形態に係る枚葉式の誘導加熱装置11は、例えば半導体ウエハWの加熱処理に用いられ、アルミ製のハウジング12と、このハウジング12内に配置され半導体ウエハWが1枚ずつ収容される横型のプロセスチャンバ(処理室)13と、このプロセスチャンバ13内に配置された加熱体としての円板状の加熱板14と、前記プロセスチャンバ13の外壁面側に配置され同一平面上(または同一曲面上)において同心円状に配置された誘導加熱コイル15と、この誘導加熱コイル15とプロセスチャンバ13との間に配置された断熱材16とを備えている。
【0011】
プロセスチャンバ13は、耐熱性を有する石英材で形成されたものであり、全体が筒状で、その一端側(図1では左側)に半導体ウエハWを搬出入するための開口13aを有し、他端側(図1では右側)にプロセスガスの導入や脱気等のための小径の通気口13bを有している。なお、図示しないが、開口13aや通気口13bには、プロセスチャンバ13を密閉空間にすべく、蓋体や弁体などが適宜配設される。また、プロセスチャンバ13内には、加熱板14や加熱対象物としての半導体ウエハWを載置できるように、支持部13c、13dが設けられている。
【0012】
加熱板14は、カーボン基体などの熱伝導率及び輻射率が大きい導電性材料により形成されたものであり、加熱対象物である半導体ウエハWよりも大きい直径を有する円板形状をしている。この加熱板14は、その中心が誘導加熱コイル15の中心と略一致した状態で誘導加熱コイル15の上方に平行に対向配置されており、誘導加熱コイル15からの磁束(磁力線)が貫通すると渦電流が発生し、この渦電流と加熱板14自体の電気抵抗とによりジュール熱が生じて発熱するものである。そして、このように発熱した加熱板14の輻射熱により加熱対象物としての半導体ウエハWを加熱する。なお、加熱板14としては、半導体ウエハWの汚染を防止すべく、炭化珪素(SiC)をCVD(Chemical Vapor Deposition)等により被覆したものを用いてもよい。
【0013】
誘導加熱コイル15は、複数(例えば12本)の環状の導体15a、15bが同一平面上(または同一曲面上)において同心円状に配置されて構成されている。各導体15a、15bは、それぞれ銅等で構成されたものであり、断面形状が長方形(例えば7mm×11mm)の中空管で、管内に冷却水が流れるよう構成されている。なお、図示しないが、誘導加熱コイル15には高周波電流供給手段が接続されている。この高周波電流供給手段は、高周波(30〜50kHz程度)の交流電源を備える他、誘導加熱コイル15の出力制御が行えるよう構成される。
【0014】
そして、誘導加熱コイル15は、図2に示すように、中心側において導体15aが密に配置された部分Xと、外周側において導体15bが疎に配置された部分Yとに区分けされている。詳細には、導体15aが密に配置された部分Xでは、中心側の5本の導体15aを縦にして配置、すなわち断面形状が長方形の導体15aの短辺が誘導加熱コイル15の径方向と一致するように配置することで、ピッチが小さく(例えば11mm)なるようにしている。一方、導体15aが疎に配置された部分Yでは、外周側の7本の導体15aを横にして配置、すなわち断面形状が長方形の導体15bの長辺が誘導加熱コイル15の径方向と一致するように配置することで、ピッチが大きく(例えば17mm)なるようにしている。このような誘導加熱コイル15を用いることにより、導体15aが密に配置された部分と対向した位置にある加熱板14を貫通する磁束の磁束密度が大きくなる。そのため、表面温度が低くなりやすい加熱板14の中心付近の表面温度を、その他の部分の表面温度と同等にすることが可能となる。
【0015】
ここで、本発明者らが行った検証試験について説明する。この検証試験では、略同一平面上において等間隔に導体を配置した誘導加熱コイル(従来例品)と、略同一平面上において中心側が密で外周側が疎となるよう導体を配置した誘導加熱コイル(実施例品)とを用いて、円板状の加熱板の表面温度を経時的に測定した。
【0016】
具体的には、まず、誘導加熱コイルを12mmの等間隔ピッチで配置した誘導加熱コイル(従来例品)を準備した。また、中心側の5本の誘導加熱コイルを11mmの等間隔ピッチで配置し、それより外側の7本の誘導加熱コイルを17mmの等間隔ピッチで配置した誘導加熱コイル(実施例品)を準備した。そして、従来例品及び実施例品の誘導加熱コイルをそれぞれ誘導加熱装置に設置するとともに、直径が350mmの円板状の加熱板を、その中心が誘導加熱コイルの中心と一致するように配設した。そして、これら誘導加熱装置を用い、図3に示すように、加熱板14の6点、具体的にはA点(中心点)、B点(中心点から35mm離れた位置)、C点(中心点から75mm離れた位置)、D点(中心点から110mm離れた位置)、E点(中心点から140mm離れた位置)、F点(中心点から170mm離れた位置)の表面温度をそれぞれ経時的に測定した。
【0017】
図4は従来例品の誘導加熱コイルを用いた場合の結果であり、図5は実施例品の誘導加熱コイルを用いた場合の結果である。図4から明らかなように、導体を等間隔に配置した誘導加熱コイル(従来例品)では、加熱板14の中心点であるA点の表面温度と最外測定点であるF点等の表面温度との間には、200秒の時点で約150℃の温度差があり、表面温度のばらつきが大きいことが確認された。一方、図5から明らかなように、導体を疎密に配置した誘導加熱コイル(実施例品)では、中心点であるA点の温度が若干低いが、それ以外の測定点では殆ど温度差がなく、加熱板14の表面温度のばらつきが抑制されていることが確認された。
【0018】
上記のように構成された本形態に係る枚葉式の誘導加熱装置11は、導体15a、15bを疎密に配置した誘導加熱コイル15を用い、導体15aを密に配置した部分Xと加熱板14の中心付近とを対向させているので、加熱板14の中心付近を貫通する磁束の磁束密度を高めることができる。このため、導体を等間隔で配置した誘導加熱コイルを用いる場合に比べて、加熱板14の表面温度のばらつきを抑制することができ、その結果として半導体ウエハWの加熱ムラを緩和することができる。また、上記の誘導加熱コイル15は導体15a、15bを疎密に配置すればよいので、非常に簡単な方法で加熱体14の表面温度のばらつきを抑制できるという利点がある。さらに、上記の誘導加熱装置11において各導体15a、15bに流れる電流量を制御した場合には、加熱板14の表面温度のばらつきをより一層抑制することができるという利点がある。
【0019】
図6は本発明の第2の実施形態に係る枚葉式の誘導加熱装置の構成を示す断面図である。本形態に係る誘導加熱装置21は、第1の実施形態に比べ、加熱板14がプロセスチャンバ(処理室)13の外側に配置されている点で異なる。このような構成であっても、導体15a、15bを疎密に配置した誘導加熱コイル15(図1及び図2参照)を設置すれば、加熱板14の表面温度のばらつきを抑制することができ、その結果として半導体ウエハW等の加熱対象物の加熱ムラを緩和することができる。
【0020】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、加熱板の寸法等によっては外周側の放熱効果が大きくなって外周側の温度が中心側の温度に比べて低くなるので、その場合には、誘導加熱コイルの外周側を導体が密に配置された部分とし、中心側を導体が疎に配置された部分としてもよい。また、外周側及び中心側の表面温度が両者間の表面温度よりも低くなる場合には、誘導加熱コイルの外周側及び中心側を導体が密に配置された部分とし、両者間を導体が疎に配置された部分としてもよい。
また、本発明は複数の環状の導体が略同心円状に配置された誘導加熱コイルに限らず、一本の導体を渦巻状に巻回した誘導加熱コイルにおいて導体を疎密に配置するようにしてもよい。
また、加熱対象物としては半導体ウエハWに限らず、例えば、ガラス基板等の絶縁性基板と、その表面に形成された各種の薄膜を含むものでもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明の誘導加熱装置によれば、加熱体の表面温度を均一化すべく導体が疎密に配置された誘導加熱コイルを用いるので、加熱体の表面温度のばらつきを抑制することができ、その結果として半導体ウエハなどの加熱対象物の加熱ムラを緩和することができる。したがって、スリップなどの発生が抑制された高品質な半導体ウエハ等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る誘導加熱装置を示す断面図である。
【図2】誘導加熱コイルの中心から外周までを示す拡大断面図である。
【図3】加熱板の表面温度の測定点を説明するための平面図である。
【図4】従来の誘導加熱装置を用いた場合の加熱板の表面温度を経時的に測定した結果を示すグラフ図である。
【図5】本発明の誘導加熱装置を用いた場合の加熱板の表面温度を経時的に測定した結果を示すグラフ図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る誘導加熱装置を示す断面図である。
【図7】従来の誘導加熱装置を示す断面図である。
【符号の説明】
11 誘導加熱装置
14 加熱板
15 誘導加熱コイル
15a 15b 導体
X 導体が密に配置された部分
Y 導体が疎に配置された部分
W 半導体ウエハ(加熱対象物)
Claims (2)
- 導体が略同一面上において略同心円状または渦巻状に配置された誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルと離隔して対向配置され前記誘導加熱コイルにより誘導加熱される加熱体と、を備えた誘導加熱装置であって、
前記誘導加熱コイルは、前記加熱体の表面温度を均一化すべく、前記導体が疎密に配置されたものであることを特徴とする誘導加熱装置。 - 前記誘導加熱コイルは、断面形状が長方形の複数の導体が略同一面上において略同心円状に配置されたものであり、
かつ、前記導体が密に配置された部分は、前記導体の短辺が前記誘導加熱コイルの径方向と一致するよう配置されている部分であり、
前記導体が疎に配置された部分は、前記導体の長辺が前記誘導加熱コイルの径方向と一致するよう配置されている部分である請求項1記載の誘導加熱装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003187857A JP2005025982A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 誘導加熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003187857A JP2005025982A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 誘導加熱装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005025982A true JP2005025982A (ja) | 2005-01-27 |
Family
ID=34186569
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003187857A Pending JP2005025982A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 誘導加熱装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005025982A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101554931B1 (ko) * | 2015-03-24 | 2015-09-23 | 주식회사 다온시스 | 유도가열을 이용한 프로브카드 예열장치 및 이를 이용한 프로브 검사장치 |
-
2003
- 2003-06-30 JP JP2003187857A patent/JP2005025982A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101554931B1 (ko) * | 2015-03-24 | 2015-09-23 | 주식회사 다온시스 | 유도가열을 이용한 프로브카드 예열장치 및 이를 이용한 프로브 검사장치 |
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