JP2005025872A - 情報記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】情報記録媒体上に記録マークを安定して形成し、多値データを正確に再生できるようにする。
【解決手段】コントローラ9は、情報記録媒体12に消去パワーのレーザパワーで線速度を変化させてレーザ光をDC照射し、その反射光強度が最大反射光強度Rcから20%下がった転移線速度Vtのとき、情報記録媒体12上に記録線速度Vwが0.3Vt<Vw<0.7Vtを満たす値で多値データに応じた記録マークを記録セル単位で記録する。
【選択図】 図1
【解決手段】コントローラ9は、情報記録媒体12に消去パワーのレーザパワーで線速度を変化させてレーザ光をDC照射し、その反射光強度が最大反射光強度Rcから20%下がった転移線速度Vtのとき、情報記録媒体12上に記録線速度Vwが0.3Vt<Vw<0.7Vtを満たす値で多値データに応じた記録マークを記録セル単位で記録する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、書き換え可能型の光ディスク等の情報記録媒体へデータを記録する情報記録方法に係り、特に記録マーク面積を変調することによって多値データを光ディスク等の情報記録媒体上に記録する情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクを高密度化するための技術として、より小さいピットや記録マークを光ディスクに形成する技術が提案されている。
しかし、記録再生装置の光源の波長、対物レンズのNA(開口数)に限界があるため、形成できるピットおよび記録マークの大きさの限界は、自ずとそれらによって決まってしまう。
そこで、記録再生装置の光源,対物レンズのNAを変更することなく、さらに記録容量を増大するための技術として、従来の2値記録ではなく、3値以上の多値記録方式の光ディスク記録方法が開発されている。
【0003】
ここで、情報記録媒体への多値データ記録方式について、図10を用いて説明する。多値データに対応して再生信号レベルが変化するように、記録トラック上の一定の長さをもつ記録セル毎に多値データを記録する。
多値データの再生は、所定の周波数で再生信号をサンプリング(例えば記録セルの中心位置)し、サンプリングした信号レベルから多値データを判別する。
再生光のスポット径が、記録セルの円周方向の長さより長いために符号間干渉が生じる。
したがって、同じ多値データでもその信号レベルは、隣接セルに記録された多値データによって異なる。
【0004】
しかし、多値記録方式では、符号間干渉によって多値レベルの判定を誤りやすいという欠点がある。
そこで従来の情報記録方法では、多値記録したデータを確実に再生するために試し書きを行い、所望の再生信号が得られるまで試し書きを行うと共に、次の(1)〜(5)の手順の処理で符号間干渉を考慮して記録補正を行うことにより、正確に多値データを判定できるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
(1)試験用データを記録再生する
(2)理想波形と再生信号波形との比較
(3)収束しているならば終了
(4)レーザ照射条件を補正する
(5)(1)へ戻る
【0005】
【特許文献1】
特開平10−134353号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多値データを正確に再生するためには、煩雑な工程を要する記録補正を行う以前に解決すべき問題があった。
その問題について、表4に示す8値記録の実験結果を使って説明する。
表4の実験結果は、波長405nm,対物レンズのNA0.65,記録線速度6.0m/s,記録パワーPw8.4mW,消去パワー4.2mW,バイアスパワー0.1mW,記録セル長0.24μmで多値データ0から7の孤立マークを記録し、各多値データの再生信号レベルの平均値とσ/DRを測定した結果である。
【0007】
【表4】
【0008】
ここで、孤立マークとは、記録時において隣接マークを形成したときの熱干渉を受けない、かつ再生時に符号間干渉を受けないマークのことである(図10参照)。
また、σは各多値データの再生信号レベルの標準偏差、DRは多値データ0と多値データ7間の再生信号の振幅である。
表4から、熱干渉あるいは符号間干渉の影響がない場合においても、多値データ1〜3、すなわち小さい記録マーク(再生信号レベルが大きいほど記録マーク面積が小さい)の形成が不安定であることがわかる。
マーク形成が不安定な状態でいくら記録補正を行っても効果がないことは明らかである。
したがって、熱干渉,符号間干渉を考慮した記録補正を行う前に、まず小さい記録マークを安定して形成することが重要である。
【0009】
また、再生信号レベルが変動する原因として、再生信号をA/D変換するときのサンプリングずれが考えられる。
記録マークが所望の大きさに形成されていたとしても、記録媒体の偏芯等によってサンプリング位置がずれると検出される信号レベルは異なるものになる。
そこで記録方法を工夫することによって、サンプリングずれの影響を受け難くする必要もある。
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、情報記録媒体上に記録マークを安定して形成し、多値データを正確に再生できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、次の(1)〜(10)の情報記録方法を提供する。
(1)情報記録媒体に消去パワーのレーザパワーで線速度を変化させてレーザ光をDC照射し、上記情報記録媒体からの反射光強度が最大反射光強度から20%下がった転移線速度Vtであるとき、上記情報記録媒体上に記録線速度Vwが0.3Vt<Vw<0.7Vtを満たす値で多値データに応じた記録マークを記録セル単位で記録する情報記録方法。
(2)(1)の情報記録方法において、上記情報記録媒体は、上記転移線速度VtがVt>6.0m/sを満たす相変化型光ディスクである情報記録方法。
【0011】
(3)(1)又は(2)の情報記録方法において、上記情報記録媒体の最大反射光強度Rcと最小反射光強度Raとが、(Rc−Ra)/Rc>0.5を満たす情報記録方法。
(4)(1)乃至(3)のいずれかの情報記録方法において、上記情報記録媒体の反射率が10%以上である情報記録方法。
(5)(1)乃至(4)のいずれかの情報記録方法において、上記情報記録媒体への試し書きの際に、記録線速度を変化させてテストデータを記録し、各多値データにおける再生信号レベルの標準偏差の平均値が最小になる記録線速度を求める情報記録方法。
(6)(1)乃至(5)のいずれかの情報記録方法において、上記情報記録媒体への多値データの記録が可能な最低記録線速度VLと最高記録線速度VHとが、VH/VL≧2.5を満たす情報記録方法。
【0012】
(7)情報記録媒体上にm(mは2以上の整数)値の多値データに応じた記録マークを記録セル単位に記録する情報記録方法であって、上記情報記録媒体からの反射光強度Rをバイアスパワー照射時間Toffで制御し、m値の多値データを記録するときのバイアスパワー照射時間Toff_m近傍での曲線の傾きαm=ΔR(Toff_m)/ΔToff_mと、2〜4の実数βと、上記情報記録媒体の最大反射光強度Rcと、上記情報記録媒体の最小反射光強度Raと、上記情報記録媒体への記録セル長CL及び記録線速度Vwとが、全てのm値の多値データに対してαm>−β・(Rc−Ra)/(CL/Vw)を満たす情報記録方法。
【0013】
(8)(7)の情報記録方法において、上記傾きαmを記録パワー照射時間Tonで制御する情報記録方法。
(9)(7)の情報記録方法において、上記傾きαmを消去パワーと記録パワーとの比Pe/Pwで制御する情報記録方法。
(10)情報記録媒体上の記録セル内に複数個の記録マークを形成することによって多値データを記録する情報記録方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の情報記録方法を実行する一実施形態である情報記録再生装置の構成を示すブロック図である。
この情報記録再生装置は、DVD+RWディスク等のデータ記録及び再生が可能な情報記録媒体(光ディスク)にデータを記録するDVD+RWドライブ等の光ディスクドライブであり、情報記録媒体12を回転させるスピンドルモータ等のモータ1と、そのモータ1の回転を制御する回転制御系部4と、光ディスク12にデータ記録及び再生のためのレーザ光Lを照射する光ピックアップ2を備えている。
【0015】
また、その光ピックアップ2によるレーザ光Lの発光駆動等の制御を行う光ピックアップ制御系部6と、光ピックアップ2を光ディスク12の半径方向に移動させる粗動モータ3と、その粗動モータ3の回転駆動制御を行う粗動モータ制御系部5と、光ピックアップ2からの再生信号と光ピックアップ2への記録信号の入出力を制御する信号処理系部7と、CPU,ROM及びRAM等からなるマイクロコンピュータによって実現され、図示を省略したROMやRAM等のメモリにこの発明に係るプログラムも含む各種のプログラムを記録し、そのプログラムの手順を実行することによってこの発明に係る機能を実現するコントローラ9を備えている。そのコントローラ9により、後述のこの発明に係る情報記録方法の処理を行う。
【0016】
さらに、光ディスク12に記録するデータ及び光ディスク12から再生したデータ等のデータを一時的に格納すると共に、コントローラ9が各種の処理を実行する際にデータを一時的に記憶する領域として利用するキャッシュメモリ8と、外部に接続したホストコンピュータ11とデータのやり取りをするための外部インタフェース10も備えている。
ホストコンピュータ11は、CPU,ROM及びRAM等からなるマイクロコンピュータによって実現され、この情報記録再生装置に対するデータの記録及びデータの再生を指示する。また、記録データの生成や情報記録再生装置から取得した再生データを利用する処理も行う。
【0017】
〔構成1〕
CD−RWディスク,CD+RWディスク,DVD+RWディスク等の情報記録媒体12に短い記録マークを形成するには、アモルファス状態から結晶状態へ短時間で変化する記録媒体であることが必要とされる。
そこで、情報記録媒体12の転移線速度Vtと多値データの記録線速度Vwとの関係に着目して実験を行った結果、以下の関係式を満たすときに正確に多値データを再生できることがわかった。
関係式:0.3Vt<Vw<0.7Vt
【0018】
次に、転移線速度の測定方法について説明する。
この転移線速度(m/sec)とは、CLV(Constant Linear Velocity)で回転する相変化光ディスクに所定のレーザ光(例えば、波長780±15nm,対物レンズのNA=0.5、14mW)を照射したときに、相変化光ディスクの反射率が低下した場合の反射率対線速度の曲線の変曲点の値である。
図1に示した情報記録再生装置は、コントローラ9が以下の条件(1)と(2)で情報記録媒体12に対する情報の記録及び再生を行うと共に、この発明に係る情報記録方法を実行する。
(1)記録・再生波長:405nm
(2)対物レンズNA:0.65
【0019】
まず、コントローラ9は、線速度Vで情報記録媒体12をCLV(線速度一定)駆動し、パワーPeのレーザ光を情報記録媒体12にDC(光強度一定)照射する。そのとき、情報記録媒体12は予め初期化されているものとする。
次に、コントローラ9は情報記録媒体12のレーザ光の照射部の反射光量を再生パワーで測定する。
このようにして、線速度Vを変化させて順次上記測定を行ったときの結果を図2に示す。ここで、反射光量の大きいほうの飽和点から20%小さくなった(下がった)記録線速度を転移線速度Vtと定義する。
【0020】
〔実施例1〕
本実施例1では、情報記録媒体12は、波長405nmのレーザ光で記録が可能な相変化型光ディスクである。その基板は、直径120mm,厚さ0.6mmのポリカーボネートからなり、基板表面上には射出成形によってグルーブが形成されている。グルーブは、幅約0.22μm,深さ約20nm,トラックピッチ0.46μmで記録面の内周から外周まで連続したスパイラルとして形成されている。その基板上に、誘電体膜,Ag−In−Sb−Teからなる相変化記録膜,誘電体膜,反射膜を順次積層して相変化型光ディスクを作製した。
【0021】
上記表4と同様の実験(波長405nm,対物レンズのNA0.65,記録線速度6.0m/s,記録パワーPw8.4mW,消去パワーPe4.2mW,バイアスパワーPb0.1mW,記録セル長0.24μmで多値データ0から7の孤立マークを記録し、各多値データの再生信号レベルの平均値とσ/DRを測定する)を、記録線速度3.0及び4.5m/sで行った結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
この情報記録媒体12の転移線速度は、9.0m/sである。
表1から、記録線速度6.0m/sでは、多値データ1〜3のσ/DRが大きく、多値データ4〜7のそれは小さかったのに対して、記録線速度を3.0m/sに下げた場合では、この傾向が逆点している。
また、これらの中間の記録線速度4.5m/sでは、多値データによるσ/DRの差及び多値データ0から7の平均値が小さくなる。
表1の結果をグラフにしたものが図3である。
コントローラ9によるデータ記録時、最適記録線速度は、上の実験のように記録線速度を数水準設定し、それぞれの記録線速度でσ/DRを測定し、多値データ間の差が最小になる記録線速度(図3中の矢印)を最適記録線速度として設定すればよい。
【0024】
次に、転移線速度Vtの異なる情報記録媒体を準備し、σ/DRの記録線速度依存性について調べる。ここでは、記録データとして多値のランダムパターンを用いた。図4にその結果を示す。図4の横軸は記録線速度Vwを転移線速度Vtで規格化した値にしている。転移線速度が7.0〜12.0m/sの情報記録媒体では、0.3<Vw/Vt<0.7の範囲で、多値データを正確に再生できる目安σ/DR<3.0%が得られる。
しかし、転移線速度が遅いVt=6.0m/sでは、σ/DR<3.0%が得られない。これはアモルファス相から結晶相への変化に時間がかかるために、小さい(短い)マークが形成できないと考えられる。
【0025】
2値記録と比べて最短記録マーク長が短い多値記録方式では、転移線速度Vt>6.0m/sの情報記録媒体が必要となる。
また、図4に示すように、転移線速度Vtが大きくなるとσ/DRが最小となるVw/Vtが左側にシフトし、σ/DR<3.0%となる記録線速度の範囲が広くなる。すなわち、転移線速度が速い情報記録媒体のほうが、記録線速の変動、あるいは記録レーザパワーの変動の影響を受け難いことを意味している。
さらに、記録線速度のマージンが大きいということは、CLV(線速度一定)記録だけでなく、高速シークが可能なCAV(角速度一定)記録にも適応できるというメリットもある。
【0026】
σ/DR<3.0%が得られる最低記録線速度VLと最高記録線速度VHとがVH/VL≧2.5であれば、直径120mmの情報記録媒体の内周から外周まで記録できる。
多値データ記録方式に用いる情報記録媒体としては、記録線速度マージンが大きくとれる転移線速度Vtが速い記録媒体のほうがより好ましい。
【0027】
これまでは、σ/DRのσを小さくすることで多値データを正確に再生できる記録方法について説明してきた。
さらに、σ/DRを低減するために、DRを大きくすることを検討する。
(RC−Ra)/Rc,反射率が異なる情報記録媒体12を準備し、それぞれのσ/DRを測定した結果を表2,表3に示す。
表2,表3から、σ/DR<3%を満足するには、(RC−Ra)/Rc>0.5、情報記録媒体12の反射率は10%以上が必要であることがわかる。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
〔構成2〕
本発明に係る情報記録方法の処理では、コントローラ9が図5に示すレーザ照射パターンを用いて多値データを記録しており、記録マークの面積は、記録パワーPw,消去パワーPe,バイアスパワーPbのレーザ照射パワー及びそれぞれの照射パワーの照射時間(Pwの照射時間Ton,バイアスパワーの照射時間Toff)によって制御している。バイアスパワー照射時間Toffと反射光強度Rとの関係を図6に示す。
【0031】
図6に示すように、反射光量が多い領域、すなわちマーク面積が小さい領域では曲線の傾きが大きいため、情報記録媒体12のばらつき,レーザ発光時間の変動等の外乱によって反射光強度Rが大きく変化することが予想される。
そこで、この曲線の傾きを小さくして外乱による反射光強度Rの変動を抑えるようにする。その曲線の傾きを変化させるパラメータとしては、レーザ照射パワー,消去パワー,バイアスパワー等のレーザ照射パワー,パルス時間Tonのレーザ照射時間,あるいはレーザ照射パワーとレーザ照射時間とを組合せても可能である。
【0032】
〔実施例2〕
図6は、3水準(0ns,4.4ns,15ns)のパルス時間Tonについて反射光強度Rのバイアスパワー照射時間Toff依存性について調べた結果を示す図である。
パルス時間Tonを短くしていくと、バイアスパワー照射時間Toff=0〜15nsの範囲における曲線の傾きα=ΔR(Toff)/ΔToffが小さくなる。
そこで、多値データ1におけるσ/DRのα依存性について調べた。
記録データはランダムパタンで、多値データ1以外のデータはパルス時間Ton=4.4nsで記録した。
【0033】
図7に示すように、傾きαによりσ/DRは変化し、α>−10mV/nsでσ/DRが3.0%以下となる。
α>−10mV/nsにすることにより、記録補正を行う際の調整マージンが広くなるので、より細かい信号レベルの調整が可能となる。
また、消去パワーPeと記録パワーPwとの比Pe/Pwを変更することにより、傾きαを制御することが可能である。Pe/Pw比を大きくすることで傾きαを小さくすることができる。
ただし、消去パワーを大きくすると繰返し記録特性等に影響するので、情報記録媒体の特性に合わせて好適な方法を選択すればよい。
【0034】
〔構成3〕
情報記録媒体12の記録セル内に1個及び複数個の記録マークを形成したときの再生信号波形を図8に示す。
セル内に1個のマークを記録した場合では、その再生信号波形は鋭い(幅の狭い)ピークになり、サンプリング位置がずれると信号レベルは大きく変動することになる。一方、セル内に複数個(図8に示す例では2個)の記録マークを形成した場合、その再生信号はセル内にある個々のマークの再生信号を重ね合せた波形になる。
したがって、図8に示すように、再生信号波形先端に平らな部分できるので、サンプリング位置がずれても信号レベル変動は抑えることができる。
【0035】
図9は、セル内に複数個の記録マークを形成する時のレーザ照射パターンを示す波形図である。このように、セル内に1個のマークを形成するときと同様に,再生信号レベルはそれぞれのToffで制御する。
また、記録セル内に複数個の記録マークを形成する記録方法は、記録マーク幅の広がりを抑えることができるので、クロストークあるいはクロスイレースによる信号レベルの変動を低減できるというメリットもある。
【0036】
このようにして、この実施形態の情報記録再生装置は、記録線速度Vwを0.3Vt<Vw<0.7Vtとして記録するので、再生スポット径の1/2以下の記録マークでも安定して形成することができるため、多値データを正確に再生することができる。
また、転移線速度Vtが6.0m/s以上の情報記録媒体を用いれば、再生スポット径の1/2以下の記録マークでも安定して形成することができるため、多値データを正確に再生することができる。
さらに、再生信号における振幅マージンが十分にとれるように(Rc−Ra)/Rc>0.5である情報記録媒体を用いるようにすれば、多値データを正確に再生することができる。
【0037】
また、再生信号における振幅マージンが十分にとれるように反射率が10%以上である情報記録媒体を用いれば、多値データを正確に再生することができる。
さらに、記録線速度を変化させてテストデータを記録し、その再生結果においてσ/DRが最小になる記録線速度を求めてから実際のデータを記録するようにすれば、多値データを正確に再生することができる。
また、VH/VL≧2.5である情報記録媒体を用いれば、CAV記録時においても多値データを正確に再生することができる。
【0038】
さらに、傾きαmを記録パワー照射時間で制御するようにすれば、容易に再生スポット径の1/2以下の記録マークでも安定して形成することができる。
また、傾きαmをPe/Pwで制御するようにすれば、容易に再生スポット径の1/2以下の記録マークでも安定して形成することができる。
さらに、記録セル内に複数個のマークを形成し、クロックジッタの影響を小さくすれば、多値データを正確に再生することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の情報記録方法によれば、情報記録媒体上に記録マークを安定して形成し、多値データを正確に再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の情報記録方法の処理を実行する一実施形態である情報記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】線速度Vを変化させて順次上記測定を行ったときの反射高強度の結果を示す線図である。
【図3】情報記録媒体に記録線速度3.0及び4.5m/sで多値データ記録した結果を示す線図である。
【図4】転移線速度Vtの異なる記録媒体に基づいてσ/DRの記録線速度依存性について調べた結果を示す線図である。
【図5】この発明に係る情報記録方法で多値データを記録するときのレーザ照射パターンの一例を示す波形図である。
【図6】バイアスパワー照射時間Toffと反射光強度との関係を示す線図である。
【図7】傾きαとσ/DRの関係を示す線図である。
【図8】情報記録媒体の記録セル内に1個及び複数個の記録マークを形成したときの再生信号波形の一例を示す波形図である。
【図9】セル内に複数個の記録マークを形成する時のレーザ照射パターンを示す波形図である。
【図10】情報記録媒体への多値データ記録方法の説明に供する図である。
【符号の説明】
1:モータ 2:光ピックアップ
3:粗動モータ 4:回転制御系部
5:粗動モータ制御系部 6:光ピックアップ制御系部
7:信号処理系部 8:キャッシュメモリ
9:コントローラ 10:外部インタフェース
11:ホストコンピュータ
【発明の属する技術分野】
この発明は、書き換え可能型の光ディスク等の情報記録媒体へデータを記録する情報記録方法に係り、特に記録マーク面積を変調することによって多値データを光ディスク等の情報記録媒体上に記録する情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクを高密度化するための技術として、より小さいピットや記録マークを光ディスクに形成する技術が提案されている。
しかし、記録再生装置の光源の波長、対物レンズのNA(開口数)に限界があるため、形成できるピットおよび記録マークの大きさの限界は、自ずとそれらによって決まってしまう。
そこで、記録再生装置の光源,対物レンズのNAを変更することなく、さらに記録容量を増大するための技術として、従来の2値記録ではなく、3値以上の多値記録方式の光ディスク記録方法が開発されている。
【0003】
ここで、情報記録媒体への多値データ記録方式について、図10を用いて説明する。多値データに対応して再生信号レベルが変化するように、記録トラック上の一定の長さをもつ記録セル毎に多値データを記録する。
多値データの再生は、所定の周波数で再生信号をサンプリング(例えば記録セルの中心位置)し、サンプリングした信号レベルから多値データを判別する。
再生光のスポット径が、記録セルの円周方向の長さより長いために符号間干渉が生じる。
したがって、同じ多値データでもその信号レベルは、隣接セルに記録された多値データによって異なる。
【0004】
しかし、多値記録方式では、符号間干渉によって多値レベルの判定を誤りやすいという欠点がある。
そこで従来の情報記録方法では、多値記録したデータを確実に再生するために試し書きを行い、所望の再生信号が得られるまで試し書きを行うと共に、次の(1)〜(5)の手順の処理で符号間干渉を考慮して記録補正を行うことにより、正確に多値データを判定できるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
(1)試験用データを記録再生する
(2)理想波形と再生信号波形との比較
(3)収束しているならば終了
(4)レーザ照射条件を補正する
(5)(1)へ戻る
【0005】
【特許文献1】
特開平10−134353号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多値データを正確に再生するためには、煩雑な工程を要する記録補正を行う以前に解決すべき問題があった。
その問題について、表4に示す8値記録の実験結果を使って説明する。
表4の実験結果は、波長405nm,対物レンズのNA0.65,記録線速度6.0m/s,記録パワーPw8.4mW,消去パワー4.2mW,バイアスパワー0.1mW,記録セル長0.24μmで多値データ0から7の孤立マークを記録し、各多値データの再生信号レベルの平均値とσ/DRを測定した結果である。
【0007】
【表4】
【0008】
ここで、孤立マークとは、記録時において隣接マークを形成したときの熱干渉を受けない、かつ再生時に符号間干渉を受けないマークのことである(図10参照)。
また、σは各多値データの再生信号レベルの標準偏差、DRは多値データ0と多値データ7間の再生信号の振幅である。
表4から、熱干渉あるいは符号間干渉の影響がない場合においても、多値データ1〜3、すなわち小さい記録マーク(再生信号レベルが大きいほど記録マーク面積が小さい)の形成が不安定であることがわかる。
マーク形成が不安定な状態でいくら記録補正を行っても効果がないことは明らかである。
したがって、熱干渉,符号間干渉を考慮した記録補正を行う前に、まず小さい記録マークを安定して形成することが重要である。
【0009】
また、再生信号レベルが変動する原因として、再生信号をA/D変換するときのサンプリングずれが考えられる。
記録マークが所望の大きさに形成されていたとしても、記録媒体の偏芯等によってサンプリング位置がずれると検出される信号レベルは異なるものになる。
そこで記録方法を工夫することによって、サンプリングずれの影響を受け難くする必要もある。
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、情報記録媒体上に記録マークを安定して形成し、多値データを正確に再生できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、次の(1)〜(10)の情報記録方法を提供する。
(1)情報記録媒体に消去パワーのレーザパワーで線速度を変化させてレーザ光をDC照射し、上記情報記録媒体からの反射光強度が最大反射光強度から20%下がった転移線速度Vtであるとき、上記情報記録媒体上に記録線速度Vwが0.3Vt<Vw<0.7Vtを満たす値で多値データに応じた記録マークを記録セル単位で記録する情報記録方法。
(2)(1)の情報記録方法において、上記情報記録媒体は、上記転移線速度VtがVt>6.0m/sを満たす相変化型光ディスクである情報記録方法。
【0011】
(3)(1)又は(2)の情報記録方法において、上記情報記録媒体の最大反射光強度Rcと最小反射光強度Raとが、(Rc−Ra)/Rc>0.5を満たす情報記録方法。
(4)(1)乃至(3)のいずれかの情報記録方法において、上記情報記録媒体の反射率が10%以上である情報記録方法。
(5)(1)乃至(4)のいずれかの情報記録方法において、上記情報記録媒体への試し書きの際に、記録線速度を変化させてテストデータを記録し、各多値データにおける再生信号レベルの標準偏差の平均値が最小になる記録線速度を求める情報記録方法。
(6)(1)乃至(5)のいずれかの情報記録方法において、上記情報記録媒体への多値データの記録が可能な最低記録線速度VLと最高記録線速度VHとが、VH/VL≧2.5を満たす情報記録方法。
【0012】
(7)情報記録媒体上にm(mは2以上の整数)値の多値データに応じた記録マークを記録セル単位に記録する情報記録方法であって、上記情報記録媒体からの反射光強度Rをバイアスパワー照射時間Toffで制御し、m値の多値データを記録するときのバイアスパワー照射時間Toff_m近傍での曲線の傾きαm=ΔR(Toff_m)/ΔToff_mと、2〜4の実数βと、上記情報記録媒体の最大反射光強度Rcと、上記情報記録媒体の最小反射光強度Raと、上記情報記録媒体への記録セル長CL及び記録線速度Vwとが、全てのm値の多値データに対してαm>−β・(Rc−Ra)/(CL/Vw)を満たす情報記録方法。
【0013】
(8)(7)の情報記録方法において、上記傾きαmを記録パワー照射時間Tonで制御する情報記録方法。
(9)(7)の情報記録方法において、上記傾きαmを消去パワーと記録パワーとの比Pe/Pwで制御する情報記録方法。
(10)情報記録媒体上の記録セル内に複数個の記録マークを形成することによって多値データを記録する情報記録方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の情報記録方法を実行する一実施形態である情報記録再生装置の構成を示すブロック図である。
この情報記録再生装置は、DVD+RWディスク等のデータ記録及び再生が可能な情報記録媒体(光ディスク)にデータを記録するDVD+RWドライブ等の光ディスクドライブであり、情報記録媒体12を回転させるスピンドルモータ等のモータ1と、そのモータ1の回転を制御する回転制御系部4と、光ディスク12にデータ記録及び再生のためのレーザ光Lを照射する光ピックアップ2を備えている。
【0015】
また、その光ピックアップ2によるレーザ光Lの発光駆動等の制御を行う光ピックアップ制御系部6と、光ピックアップ2を光ディスク12の半径方向に移動させる粗動モータ3と、その粗動モータ3の回転駆動制御を行う粗動モータ制御系部5と、光ピックアップ2からの再生信号と光ピックアップ2への記録信号の入出力を制御する信号処理系部7と、CPU,ROM及びRAM等からなるマイクロコンピュータによって実現され、図示を省略したROMやRAM等のメモリにこの発明に係るプログラムも含む各種のプログラムを記録し、そのプログラムの手順を実行することによってこの発明に係る機能を実現するコントローラ9を備えている。そのコントローラ9により、後述のこの発明に係る情報記録方法の処理を行う。
【0016】
さらに、光ディスク12に記録するデータ及び光ディスク12から再生したデータ等のデータを一時的に格納すると共に、コントローラ9が各種の処理を実行する際にデータを一時的に記憶する領域として利用するキャッシュメモリ8と、外部に接続したホストコンピュータ11とデータのやり取りをするための外部インタフェース10も備えている。
ホストコンピュータ11は、CPU,ROM及びRAM等からなるマイクロコンピュータによって実現され、この情報記録再生装置に対するデータの記録及びデータの再生を指示する。また、記録データの生成や情報記録再生装置から取得した再生データを利用する処理も行う。
【0017】
〔構成1〕
CD−RWディスク,CD+RWディスク,DVD+RWディスク等の情報記録媒体12に短い記録マークを形成するには、アモルファス状態から結晶状態へ短時間で変化する記録媒体であることが必要とされる。
そこで、情報記録媒体12の転移線速度Vtと多値データの記録線速度Vwとの関係に着目して実験を行った結果、以下の関係式を満たすときに正確に多値データを再生できることがわかった。
関係式:0.3Vt<Vw<0.7Vt
【0018】
次に、転移線速度の測定方法について説明する。
この転移線速度(m/sec)とは、CLV(Constant Linear Velocity)で回転する相変化光ディスクに所定のレーザ光(例えば、波長780±15nm,対物レンズのNA=0.5、14mW)を照射したときに、相変化光ディスクの反射率が低下した場合の反射率対線速度の曲線の変曲点の値である。
図1に示した情報記録再生装置は、コントローラ9が以下の条件(1)と(2)で情報記録媒体12に対する情報の記録及び再生を行うと共に、この発明に係る情報記録方法を実行する。
(1)記録・再生波長:405nm
(2)対物レンズNA:0.65
【0019】
まず、コントローラ9は、線速度Vで情報記録媒体12をCLV(線速度一定)駆動し、パワーPeのレーザ光を情報記録媒体12にDC(光強度一定)照射する。そのとき、情報記録媒体12は予め初期化されているものとする。
次に、コントローラ9は情報記録媒体12のレーザ光の照射部の反射光量を再生パワーで測定する。
このようにして、線速度Vを変化させて順次上記測定を行ったときの結果を図2に示す。ここで、反射光量の大きいほうの飽和点から20%小さくなった(下がった)記録線速度を転移線速度Vtと定義する。
【0020】
〔実施例1〕
本実施例1では、情報記録媒体12は、波長405nmのレーザ光で記録が可能な相変化型光ディスクである。その基板は、直径120mm,厚さ0.6mmのポリカーボネートからなり、基板表面上には射出成形によってグルーブが形成されている。グルーブは、幅約0.22μm,深さ約20nm,トラックピッチ0.46μmで記録面の内周から外周まで連続したスパイラルとして形成されている。その基板上に、誘電体膜,Ag−In−Sb−Teからなる相変化記録膜,誘電体膜,反射膜を順次積層して相変化型光ディスクを作製した。
【0021】
上記表4と同様の実験(波長405nm,対物レンズのNA0.65,記録線速度6.0m/s,記録パワーPw8.4mW,消去パワーPe4.2mW,バイアスパワーPb0.1mW,記録セル長0.24μmで多値データ0から7の孤立マークを記録し、各多値データの再生信号レベルの平均値とσ/DRを測定する)を、記録線速度3.0及び4.5m/sで行った結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
この情報記録媒体12の転移線速度は、9.0m/sである。
表1から、記録線速度6.0m/sでは、多値データ1〜3のσ/DRが大きく、多値データ4〜7のそれは小さかったのに対して、記録線速度を3.0m/sに下げた場合では、この傾向が逆点している。
また、これらの中間の記録線速度4.5m/sでは、多値データによるσ/DRの差及び多値データ0から7の平均値が小さくなる。
表1の結果をグラフにしたものが図3である。
コントローラ9によるデータ記録時、最適記録線速度は、上の実験のように記録線速度を数水準設定し、それぞれの記録線速度でσ/DRを測定し、多値データ間の差が最小になる記録線速度(図3中の矢印)を最適記録線速度として設定すればよい。
【0024】
次に、転移線速度Vtの異なる情報記録媒体を準備し、σ/DRの記録線速度依存性について調べる。ここでは、記録データとして多値のランダムパターンを用いた。図4にその結果を示す。図4の横軸は記録線速度Vwを転移線速度Vtで規格化した値にしている。転移線速度が7.0〜12.0m/sの情報記録媒体では、0.3<Vw/Vt<0.7の範囲で、多値データを正確に再生できる目安σ/DR<3.0%が得られる。
しかし、転移線速度が遅いVt=6.0m/sでは、σ/DR<3.0%が得られない。これはアモルファス相から結晶相への変化に時間がかかるために、小さい(短い)マークが形成できないと考えられる。
【0025】
2値記録と比べて最短記録マーク長が短い多値記録方式では、転移線速度Vt>6.0m/sの情報記録媒体が必要となる。
また、図4に示すように、転移線速度Vtが大きくなるとσ/DRが最小となるVw/Vtが左側にシフトし、σ/DR<3.0%となる記録線速度の範囲が広くなる。すなわち、転移線速度が速い情報記録媒体のほうが、記録線速の変動、あるいは記録レーザパワーの変動の影響を受け難いことを意味している。
さらに、記録線速度のマージンが大きいということは、CLV(線速度一定)記録だけでなく、高速シークが可能なCAV(角速度一定)記録にも適応できるというメリットもある。
【0026】
σ/DR<3.0%が得られる最低記録線速度VLと最高記録線速度VHとがVH/VL≧2.5であれば、直径120mmの情報記録媒体の内周から外周まで記録できる。
多値データ記録方式に用いる情報記録媒体としては、記録線速度マージンが大きくとれる転移線速度Vtが速い記録媒体のほうがより好ましい。
【0027】
これまでは、σ/DRのσを小さくすることで多値データを正確に再生できる記録方法について説明してきた。
さらに、σ/DRを低減するために、DRを大きくすることを検討する。
(RC−Ra)/Rc,反射率が異なる情報記録媒体12を準備し、それぞれのσ/DRを測定した結果を表2,表3に示す。
表2,表3から、σ/DR<3%を満足するには、(RC−Ra)/Rc>0.5、情報記録媒体12の反射率は10%以上が必要であることがわかる。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
〔構成2〕
本発明に係る情報記録方法の処理では、コントローラ9が図5に示すレーザ照射パターンを用いて多値データを記録しており、記録マークの面積は、記録パワーPw,消去パワーPe,バイアスパワーPbのレーザ照射パワー及びそれぞれの照射パワーの照射時間(Pwの照射時間Ton,バイアスパワーの照射時間Toff)によって制御している。バイアスパワー照射時間Toffと反射光強度Rとの関係を図6に示す。
【0031】
図6に示すように、反射光量が多い領域、すなわちマーク面積が小さい領域では曲線の傾きが大きいため、情報記録媒体12のばらつき,レーザ発光時間の変動等の外乱によって反射光強度Rが大きく変化することが予想される。
そこで、この曲線の傾きを小さくして外乱による反射光強度Rの変動を抑えるようにする。その曲線の傾きを変化させるパラメータとしては、レーザ照射パワー,消去パワー,バイアスパワー等のレーザ照射パワー,パルス時間Tonのレーザ照射時間,あるいはレーザ照射パワーとレーザ照射時間とを組合せても可能である。
【0032】
〔実施例2〕
図6は、3水準(0ns,4.4ns,15ns)のパルス時間Tonについて反射光強度Rのバイアスパワー照射時間Toff依存性について調べた結果を示す図である。
パルス時間Tonを短くしていくと、バイアスパワー照射時間Toff=0〜15nsの範囲における曲線の傾きα=ΔR(Toff)/ΔToffが小さくなる。
そこで、多値データ1におけるσ/DRのα依存性について調べた。
記録データはランダムパタンで、多値データ1以外のデータはパルス時間Ton=4.4nsで記録した。
【0033】
図7に示すように、傾きαによりσ/DRは変化し、α>−10mV/nsでσ/DRが3.0%以下となる。
α>−10mV/nsにすることにより、記録補正を行う際の調整マージンが広くなるので、より細かい信号レベルの調整が可能となる。
また、消去パワーPeと記録パワーPwとの比Pe/Pwを変更することにより、傾きαを制御することが可能である。Pe/Pw比を大きくすることで傾きαを小さくすることができる。
ただし、消去パワーを大きくすると繰返し記録特性等に影響するので、情報記録媒体の特性に合わせて好適な方法を選択すればよい。
【0034】
〔構成3〕
情報記録媒体12の記録セル内に1個及び複数個の記録マークを形成したときの再生信号波形を図8に示す。
セル内に1個のマークを記録した場合では、その再生信号波形は鋭い(幅の狭い)ピークになり、サンプリング位置がずれると信号レベルは大きく変動することになる。一方、セル内に複数個(図8に示す例では2個)の記録マークを形成した場合、その再生信号はセル内にある個々のマークの再生信号を重ね合せた波形になる。
したがって、図8に示すように、再生信号波形先端に平らな部分できるので、サンプリング位置がずれても信号レベル変動は抑えることができる。
【0035】
図9は、セル内に複数個の記録マークを形成する時のレーザ照射パターンを示す波形図である。このように、セル内に1個のマークを形成するときと同様に,再生信号レベルはそれぞれのToffで制御する。
また、記録セル内に複数個の記録マークを形成する記録方法は、記録マーク幅の広がりを抑えることができるので、クロストークあるいはクロスイレースによる信号レベルの変動を低減できるというメリットもある。
【0036】
このようにして、この実施形態の情報記録再生装置は、記録線速度Vwを0.3Vt<Vw<0.7Vtとして記録するので、再生スポット径の1/2以下の記録マークでも安定して形成することができるため、多値データを正確に再生することができる。
また、転移線速度Vtが6.0m/s以上の情報記録媒体を用いれば、再生スポット径の1/2以下の記録マークでも安定して形成することができるため、多値データを正確に再生することができる。
さらに、再生信号における振幅マージンが十分にとれるように(Rc−Ra)/Rc>0.5である情報記録媒体を用いるようにすれば、多値データを正確に再生することができる。
【0037】
また、再生信号における振幅マージンが十分にとれるように反射率が10%以上である情報記録媒体を用いれば、多値データを正確に再生することができる。
さらに、記録線速度を変化させてテストデータを記録し、その再生結果においてσ/DRが最小になる記録線速度を求めてから実際のデータを記録するようにすれば、多値データを正確に再生することができる。
また、VH/VL≧2.5である情報記録媒体を用いれば、CAV記録時においても多値データを正確に再生することができる。
【0038】
さらに、傾きαmを記録パワー照射時間で制御するようにすれば、容易に再生スポット径の1/2以下の記録マークでも安定して形成することができる。
また、傾きαmをPe/Pwで制御するようにすれば、容易に再生スポット径の1/2以下の記録マークでも安定して形成することができる。
さらに、記録セル内に複数個のマークを形成し、クロックジッタの影響を小さくすれば、多値データを正確に再生することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の情報記録方法によれば、情報記録媒体上に記録マークを安定して形成し、多値データを正確に再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の情報記録方法の処理を実行する一実施形態である情報記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】線速度Vを変化させて順次上記測定を行ったときの反射高強度の結果を示す線図である。
【図3】情報記録媒体に記録線速度3.0及び4.5m/sで多値データ記録した結果を示す線図である。
【図4】転移線速度Vtの異なる記録媒体に基づいてσ/DRの記録線速度依存性について調べた結果を示す線図である。
【図5】この発明に係る情報記録方法で多値データを記録するときのレーザ照射パターンの一例を示す波形図である。
【図6】バイアスパワー照射時間Toffと反射光強度との関係を示す線図である。
【図7】傾きαとσ/DRの関係を示す線図である。
【図8】情報記録媒体の記録セル内に1個及び複数個の記録マークを形成したときの再生信号波形の一例を示す波形図である。
【図9】セル内に複数個の記録マークを形成する時のレーザ照射パターンを示す波形図である。
【図10】情報記録媒体への多値データ記録方法の説明に供する図である。
【符号の説明】
1:モータ 2:光ピックアップ
3:粗動モータ 4:回転制御系部
5:粗動モータ制御系部 6:光ピックアップ制御系部
7:信号処理系部 8:キャッシュメモリ
9:コントローラ 10:外部インタフェース
11:ホストコンピュータ
Claims (10)
- 情報記録媒体に消去パワーのレーザパワーで線速度を変化させてレーザ光をDC照射し、前記情報記録媒体からの反射光強度が最大反射光強度から20%下がった転移線速度Vtであるとき、前記情報記録媒体上に記録線速度Vwが0.3Vt<Vw<0.7Vtを満たす値で多値データに応じた記録マークを記録セル単位で記録することを特徴とする情報記録方法。
- 請求項1記載の情報記録方法において、前記情報記録媒体は、前記転移線速度VtがVt>6.0m/sを満たす相変化型光ディスクであることを特徴とする情報記録方法。
- 請求項1又は2記載の情報記録方法において、前記情報記録媒体の最大反射光強度Rcと最小反射光強度Raとが、(Rc−Ra)/Rc>0.5を満たすことを特徴とする情報記録方法。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報記録方法において、前記情報記録媒体の反射率が10%以上であることを特徴とする情報記録方法。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報記録方法において、前記情報記録媒体への試し書きの際に、記録線速度を変化させてテストデータを記録し、各多値データにおける再生信号レベルの標準偏差の平均値が最小になる記録線速度を求めることを特徴とする情報記録方法。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報記録方法において、前記情報記録媒体への多値データの記録が可能な最低記録線速度VLと最高記録線速度VHとが、VH/VL≧2.5を満たすことを特徴とする情報記録方法。
- 情報記録媒体上にm(mは2以上の整数)値の多値データに応じた記録マークを記録セル単位に記録する情報記録方法であって、前記情報記録媒体からの反射光強度Rをバイアスパワー照射時間Toffで制御し、m値の多値データを記録するときのバイアスパワー照射時間Toff_m近傍での曲線の傾きαm=ΔR(Toff_m)/ΔToff_mと、2〜4の実数βと、前記情報記録媒体の最大反射光強度Rcと、前記情報記録媒体の最小反射光強度Raと、前記情報記録媒体への記録セル長CL及び記録線速度Vwとが、全てのm値の多値データに対してαm>−β・(Rc−Ra)/(CL/Vw)を満たすことを特徴とする情報記録方法。
- 請求項7記載の情報記録方法において、前記傾きαmを記録パワー照射時間Tonで制御することを特徴とする情報記録方法。
- 請求項7記載の情報記録方法において、前記傾きαmを消去パワーと記録パワーとの比Pe/Pwで制御することを特徴とする情報記録方法。
- 情報記録媒体上の記録セル内に複数個の記録マークを形成することによって多値データを記録することを特徴とする情報記録方法。
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