JP2005024720A - スクリーン及びスクリーンの製造方法 - Google Patents

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Hiroshi Hayashi
弘志 林
Masayasu Kakinuma
正康 柿沼
Hideya Nakabachi
秀弥 中鉢
Kazuto Shimoda
和人 下田
Shina Kuriki
科 栗木
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Abstract

【課題】輝度ムラを発生することなく高輝度、高コントラストを実現し、大型化も可能なスクリーンを提供する。
【解決手段】垂直方向に湾曲されたスクリーン基板上に、プロジェクター光の波長領域の光に対する反射率が高く、プロジェクター光以外の可視波長領域の光に対する吸収率の高い選択反射膜を貼り合わせ、選択反射膜の表面に、垂直方向の拡散角が水平方向の拡散角より小さい拡散板を低屈折率の粘着剤又は接着剤を用いて貼り合わせる。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、明光下において高コントラストの画像を輝度ムラもなく鮮明に見ることができるスクリーン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、会議等において発言者が資料を提示する方法としてオーバヘッドプロジェクターやフロントプロジェクターが広く用いられている。また、一般家庭においても液晶を用いたビデオプロジェクターや動画フィルムプロジェクターが普及しつつある。
【0003】
この種のプロジェクターとしては、例えば、光源から出射された光線を赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の光線に分離して所定の光路に収束させる照明光学系と、RGB各色の光束をそれぞれ光変調する液晶パネル(ライトバルブ)と、光変調されたRGB各色の光束を合成する光合成部とを備え、光合成部により合成されたカラー画像を投射レンズによりスクリーンに拡大投影するものがある。
【0004】
また、最近では、光源に狭帯域三原色光源、例えばRGB各色の狭帯域光を発するレーザー発振器を使用し、液晶パネルの代わりにグレーティングライトバルブ(GLV:Grating Light Valve)を用いてRGB各色の光束を空間的に変調するプロジェクターも開発されている。
【0005】
このようなプロジェクターに適用されるスクリーンには、プロジェクターから投射される画像光を反射して反射光により投影画像を見ることができるようにした反射型スクリーンがあり、このような反射型スクリーンとしては、例えばホワイトスクリーンが挙げられる。このホワイトスクリーンは、反射光の拡散角が大きく広視野角の特性を有するが、反射光を全方位に散乱させるためスクリーンゲインが小さく、また画像光以外の光(外光)も反射するため白色映像輝度(白レベル)と黒色映像輝度(黒レベル)との比で表されるコントラスト(=白レベル/黒レベル)の良好な映像を得るためには、部屋を暗くして黒レベルを下げる必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の問題を解決し明光下でもコントラストの高い映像を表示するスクリーンとして、本出願人と同一の出願人により、プロジェクターから投射される画像光を主に反射し、外光は反射しないようにしたスクリーン(特願2002−070799号等)が提案されている。図10(a)は、このスクリーン100の構成例を示すもので、スクリーン基板101上に、図10(b)に示すようなRGB各色光に対して高反射特性を有する選択反射層102が形成され、選択反射層102の前面に反射光を散乱させる拡散層103が、さらに選択反射層102の背後に透過光を吸収する吸収層104が設けられている。このスクリーン100においては、外光の影響を大幅に低減することができるため、部屋が明るい状態でも黒レベルを下げることができ、コントラストの高い鮮明な映像を表示することができる。
【0007】
ただし、このスクリーンにおいても、視野角を広げるためには表面の拡散層の拡散角を大きくする必要がある。一般的にスクリーンのゲインと視野角は相反する関係にあり、拡散層の拡散角を大きくするとゲインが低下し輝度が減少する。さらに、照明等の上方から入射する外光は、拡散層の拡散角が大きくすると拡散層を透過し視聴者方向に散乱する割合が多くなるため、黒レベルを上げることになって結果的にコントラストを低下させてしまう。逆に、拡散層の拡散角を小さくして指向性を高めた場合には、スクリーンゲイン(輝度)及びコントラストを高めることが可能であるが、水平方向の視野範囲が狭くなるうえ、図11に示すように、視聴者Aから見てプロジェクターPからの投射光Lpの正反射領域Bをピークとする輝度ムラが発生し、スクリーン100面内で均一な反射をさせることが難しい。なお、図11(a)は、スクリーン垂直方向の視聴者Aから見た輝度分布を示し、図11(b)は、プロジェクターPからの投射光Lpがスクリーン100面で反射し散乱する状態を、光の方向と強さを矢印の向きと長さで表した散乱角度分布Cで示している。このような輝度ムラの問題は、スクリーンが大型になるにしたがってより顕著となる。
【0008】
本発明は、このような点に対処してなされたもので、輝度ムラを発生することなく高輝度、高コントラストを実現し、大型化も可能なスクリーンを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、スクリーンにおいて、スクリーン基板上に、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性又は高吸収特性を有する選択反射膜と、この選択反射膜によって反射した光を拡散する拡散層とを備え、前面形状が垂直方向に凹状に湾曲していることを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明においては、前方から投射される特定波長領域の画像光は選択反射膜によって反射され、拡散層によって所定の散乱角度範囲に拡散される。その際、スクリーンが垂直方向に湾曲していることによって、画像反射光の垂直方向の拡散範囲がスクリーンのどの箇所においても視聴者方向に向くよう制御することが可能となる。一方、特定波長領域外の外光成分は選択反射膜を介してほとんどスクリーンに吸収され、一部反射する外光成分も画像光と異なる方向から入射するため視聴者方向とは別の方向に逸れて拡散される。したがって、外光が存在する明るい環境下でも、また垂直方向に幅のある大型のスクリーンであっても、視聴者から見て輝度の均一な、高コントラストの映像を表示することが可能となる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、前面形状が水平方向にも凹状に湾曲していることを特徴とする。
この発明においては、画像反射光の水平方向の拡散範囲もスクリーンの全面で視聴者方向に向くよう制御することが可能となり、水平方向に幅のある大型スクリーンであっても、拡散角の大きい拡散層を用いてスクリーンゲインを犠牲にすることなく、視聴者から見て輝度の均一な、高コントラストの映像を表示することが可能となる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、拡散層は、垂直方向の拡散角が水平方向の拡散角より小さい拡散特性を有することを特徴とする。
この発明においては、水平方向の拡散角を大とすることによって広視野角を実現し、垂直方向の拡散角を小とすることによって、垂直方向に湾曲しているため輝度ムラを発生することなく、スクリーンゲインを高くすることが可能となる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、選択反射膜が、基材上に高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層してなることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4のスクリーンにおいて、高屈折率層が酸化ニオブ、酸化タンタル又は酸化チタンからなり、低屈折率層が酸化ケイ素又はフッ化マグネシウムからなることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項4のスクリーンにおいて、基材が光吸収機能を有することを特徴とする。
【0014】
請求項4〜6の発明においては、高屈折率層及び低屈折率層の膜厚設計により、特定波長領域の光を反射し、それ以外の波長領域の可視光を透過する光学多層膜が基材上に形成される。また、この基材に光吸収機能を持たせることにより、特定波長領域の光を反射し、それ以外の波長領域の可視光を吸収する選択反射膜が得られる。基材に光吸収機能を持たせる方法としては、基材面に黒色塗料の塗布又は黒色フィルムの貼着等により吸収層を形成する方法、あるいは基材中に黒色粒子を含有させる方法などがある。基材に光吸収機能を持たせない場合には、選択反射膜は特定波長領域以外の光を透過する透過特性を有することになるが、その場合にはスクリーン基板に光吸収機能を持たせることが好ましい。これにより、画像光以外の光を吸収して黒レベルを沈めることができ、高コントラストのスクリーンが実現する。
【0015】
高屈折率層は、酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(Ta)等の高屈折率材料を用いて、低屈折率層は、酸化ケイ素(SiO)、フッ化マグネシウム(MgF)等の低屈折率材料を用いて、蒸着やスパッタリング等により成膜することができる。また、屈折率の異なる熱硬化性樹脂等の材料を用いて塗布法により形成することができる。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、選択反射膜が、基材上に金属膜と誘電体膜を交互に積層してなることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7のスクリーンにおいて、金属膜が、アルミニウム又は銀からなり、誘電体膜が酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素からなることを特徴とする。
【0017】
請求項7、8の発明においては、基材上にアルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銀(Ag)等の金属膜と酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(Ta)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)等の誘電体膜をスパッタリング法等により交互に積層することによって、特定波長領域の光を反射し、それ以外の波長領域の可視光を吸収する選択反射膜が得られる。
【0018】
請求項9の発明は、請求項1のスクリーンにおいて、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする。
この発明においては、選択反射膜により三原色波長領域の光を主に反射することで、カラーの再現性に優れた映像を表示することが可能となる。
【0019】
請求項10の発明は、スクリーンの製造方法において、前面が垂直方向に凹状に湾曲したスクリーン基板を作成する工程と、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性又は高吸収特性を有する光学膜を基材上に形成し選択反射膜を作成する工程と、
選択反射膜の表面に所定の拡散特性を有する拡散板を低屈折率の粘着剤又は接着剤を介して貼着する工程と、スクリーン基板の前面に前記選択反射膜を貼着する工程とを有することを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明においては、特定波長領域の光を反射し、それ以外の領域の光を吸収する特性を有し、形状が垂直方向に湾曲したスクリーン、すなわち明光下においても輝度の均質な高コントラストの映像を表示するスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0021】
請求項11の発明は、請求項10のスクリーンの製造方法において、スクリーン基板が水平方向にも凹状に湾曲したスクリーン基板であることを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項11のスクリーンの製造方法において、選択反射膜を貼着する工程が、スクリーン基板の前面にそれよりサイズの小さい選択反射膜を継ぎ目の間隙が最小となるように複数配列して貼着する工程を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項11、12の発明においては、特定波長領域の光を反射し、それ以外の領域の光を吸収する特性を有し、形状が垂直方向及び水平方向に湾曲したスクリーン、すなわち大型化しても明光下において輝度の均質な高コントラストの映像を表示できるスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0023】
請求項13の発明は、請求項10のスクリーンの製造方法において、拡散板は垂直方向の拡散角が水平方向の拡散角より小さい拡散特性を有することを特徴とする。
この発明においては、垂直方向と水平方向で拡散角の異なる拡散板を用いることにより、明光下において高コントラストで、かつ輝度が高く均一で広視野角のスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0024】
請求項14の発明は、請求項10のスクリーンの製造方法において、選択反射膜を作成する工程が、基材上に高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層する工程を含むことを特徴とする。
この発明においては、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有する光学多層膜を備えた選択反射膜を容易に作成することが可能となる。
【0025】
請求項15の発明は、請求項14のスクリーンの製造方法において、基材が光吸収機能を有することを特徴とする。
この発明においては、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有する選択反射膜を容易に作成することが可能となる。
【0026】
請求項16の発明は、請求項10のスクリーンの製造方法において、選択反射膜を作成する工程が、基材上に金属膜と誘電体膜を交互に積層する工程を含むことを特徴とする。
この発明においては、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有する選択反射膜を容易に作成することが可能となる。
【0027】
請求項17の発明は、請求項10のスクリーンの製造方法において、特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする。
この発明においては、明光下の高コントラストを実現し、輝度の均一性及びカラーの再現性に優れたスクリーンを容易に製造することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜5に、本発明のスクリーンの第1の実施の形態を示す。なお、図1はスクリーン1の積層構成例を示す断面図、図2はスクリーン1の反射特性を概略的に示すスペクトル図、図3はスクリーン1の視野角特性を示す図、図4はスクリーン1とプロジェクターPと視聴者Aの位置関係を概略的に示す図、図5はスクリーン1の作用を説明する図である。
【0029】
図1において、スクリーン1は、スクリーン形状を保持するスクリーン基板2と、スクリーン基板2上に形成され、プロジェクター光の波長領域の光に対する反射率が高く、プロジェクター光以外の可視波長領域の光に対する反射率が低い選択反射膜3と、選択反射膜3の反射光を拡散する拡散層4とで構成されている。
【0030】
スクリーン基板2は、例えばプラスチック、金属等の材料を用いて、図4に示すようにスクリーン垂直方向に視聴者Aから見て凹となるような湾曲した形状に形成される。厚さは0.1〜数mm程度で、湾曲の半径寸法は、プロジェクター位置、視聴者位置、スクリーンサイズ等によって適切に設計されるが、スクリーン1の縦寸法の1〜10倍程度となることが望ましい。
【0031】
選択反射膜3は、図2に示すように、プロジェクター光に対応した特定波長領域光、例えばRGB三原色波長域光を選択的に反射するよう設計される。このような選択反射膜3としては、例えばプロジェクター光の波長領域の光に対して高反射特性を有し、その他の可視波長領域の光に対して高透過特性を有する光学多層膜(例えば、特願2002−070799号)を用いることができる。この場合、光学多層膜は光吸収機能が付与された基材上に形成され、基材の裏面を内側にして粘着剤または接着剤を介してスクリーン基板2の凹面に貼り合わせられる。
【0032】
このような波長領域に応じて反射/透過特性を有する光学多層膜は、ポリカーボネイト(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材上に、蒸着やスパッタリング等の成膜法あるいは塗布法により高屈折率層と低屈折率層を交互に積層することによって形成される。蒸着やスパッタリング等の成膜法では、例えば高屈折率層にNb、TiO、Ta等の高屈折率材料、低屈折率層にSiO、MgF等の低屈折率材料が用いられる。塗布法では、例えば屈折率の異なる熱硬化性樹脂が用いられる。
【0033】
そして、上記光学多層膜を透過した光を吸収する光吸収機能は、基材上に黒色塗料を塗布する、又は黒色フィルムを貼着することによって、もしくは基材中に黒色粒子を分散させることによって付与される。この他にも、光吸収機能を基材ではなくスクリーン基板2に持たせてもよい。
【0034】
この他に、選択反射膜3としては、プロジェクター光の波長領域の光に対して高反射特性を有し、その他の可視波長領域の光に対して高吸収特性を有する光学多層膜(例えば、特願2002−259027号)を用いることができる。この場合は、基材に必ずしも光吸収機能を付与する必要がない。このような波長に応じて反射/吸収特性を有する光学多層膜は、基材上にAl、Nb、Ag等の金属膜とNb、TiO、Ta、Al、SiO等の誘電体膜をスパッタリング法等により交互に積層することによって得られる。
【0035】
また、選択反射膜3は、基材上に反射層を介して、プロジェクター光の波長領域の光に対して高透過特性を有し、その他の可視波長領域の光に対して高吸収特性を有する選択吸収層を設けた構成(例えば、特願2002−331993号)とすることもできる。このような選択吸収層は、所定の波長領域の光に対してのみ吸収特性を有し、それ以外の波長領域の光に対しては透過特性を有する選択吸収色素を組み合わせて含有させることにより形成される。
【0036】
拡散層4は、選択反射膜3によって反射された光を散乱させるもので、例えば微細凹凸の表面形状を有する拡散板を選択反射膜3の表面に透明な低屈折率の粘着剤あるいは接着剤を介して貼り合わせることによって形成される。この拡散層4は、散乱させる角度の大きいものほど広視野角となるが、光が広範囲に拡散されるため、スクリーンゲインすなわち輝度が低下する。スクリ−ンの場合、垂直方向の視野範囲は水平方向ほど広く必要とされないので、高輝度化のためには拡散層4の拡散特性は水平方向と垂直方向で異なるものが好ましい。拡散特性は通常、光の散乱に対して最大輝度の方向を角度0°として最大輝度の半値となる角度いわゆる拡散角で表されるが、本実施の形態では、拡散層4は、水平方向の拡散角が、垂直方向の拡散角が±5°〜20°程度が望ましい。また、この拡散層4は、プロジェクターの光源がレーザである場合にはスペックルパターン発生を防止する意味から、表面形状パターンはランダムであることが望ましい。
【0037】
上記のように構成されたスクリーン1の視野角特性を図3に示す。図3は、横軸にスクリーン中央の法線に対して水平方向又は垂直方向に傾いた測定角度をとって、スクリーン中央のスクリーンゲインを求めたものであり、水平方向のスクリーンゲインの変化を実線hで、垂直方向のスクリーンゲインの変化を破線vでそれぞれ示すとともに、比較のためにホワイトスクリーンのゲインの変化(水平方向、垂直方向ともに同じ)を点線wで示している。本実施の形態のスクリーン1は、水平方向で±30°以上の広視野角を確保しつつ、ホワイトスクリーンの略5倍のスクリーンゲインを実現している。
【0038】
次に、図5に基づいて本実施の形態の作用を説明する。
スクリーン1に対して図4に示すような位置関係にあるプロジェクターPから光が投射されると、投射光Lpはまずスクリーン表面の図1に示す拡散層4を透過する。このとき、所定の散乱角度範囲に拡散する。拡散層4を透過した光のうち投射光Lpは選択反射膜3により反射され、投射光Lpと波長領域の異なる外光成分はほとんど選択反射膜3に吸収される。反射した投射光Lpは拡散層4により拡散され、スクリーン表面から放出される。これにより、スクリーン1に入射した投射光Lpは、スクリーン表面の法線nに対して対称となる正反射方向rを中心に所定の散乱角度分布Cで反射される。この際、拡散層4の拡散角が小さいほど正反射方向rの輝度すなわち散乱角度分布Cの最大輝度は大きくなる。
【0039】
また、スクリーン1は垂直方向に湾曲しているため、図5(b)に示すようにプロジェクターPから投射された光Lpの正反射方向rがスクリーン垂直方向のどの位置においても視聴者Aの目の位置に向くようにすることができ、スクリーン1の垂直方向で均一な輝度の光を視聴者Aの目に届けることができる。すなわち、スクリーン垂直方向の湾曲の半径寸法や傾き等を、プロジェクター位置、視聴者位置、スクリーンサイズ等によって適切に設計することで、垂直方向の拡散角の大小にかかわらず、図5(a)に示すように視聴者Aから見たスクリーン1の垂直方向の輝度分布を均一にすることができる。このため、垂直方向に湾曲したスクリーンでは、輝度ムラを発生させることなく垂直方向の拡散角を絞ってスクリーンの高輝度化を図ることができる。
【0040】
一方、照明等の外光はスクリーン1の選択反射膜3によって大部分吸収されるため、反射する外光成分は少ないが、図5に示すように外光Loの大半は上方の角度から入射するため、反射する外光成分の中でも視聴者Aの方向に反射する割合は少なく、高コントラストを実現することができる。なお、垂直方向の拡散角を小さくした場合には、視聴者Aの方向に反射する外光の割合はさらに少なくなるため、よりいっそう高コントラストの映像が得られる。
【0041】
上記の説明からも明らかなように、本実施の形態においては、プロジェクターからの光はスクリーン面内で均一に視聴者方向に反射・拡散する一方、外光の多くはスクリーンに吸収され、反射してもプロジェクター光より入射角の大きい外光は視聴者以外の方向に拡散するため、外光レベルが高い状態でも鮮明で輝度ムラのない映像を表示することができ、高コントラスト、広視野角でかつゲインの高い(すなわち高輝度の)スクリーンを実現することができる。
【0042】
なお、本実施の形態のスクリーン1は、図5(b)においては、一定の視聴高さにおいて均一な反射輝度の映像を見ることができるように調整されているが、図6に示ように、一般的にスクリーンを視聴する人は着位であったり立位であったりと、上下方向の視聴位置が必ずしも一定とは限らず、映写環境に応じて所定の範囲の視聴高さにおいて均一な反射輝度の映像を見ることができるように調整することも可能である。同様に、図7に示すような映画館やイベント会場等の大型スクリーンで視聴席の位置が上下方向に幅のある場合、どの座席においても均一な反射輝度の映像を見ることができるように調整可能である。
【0043】
図8は、本発明のスクリーンの第2の実施の形態を示すもので、本実施の形態のスクリーン11は、垂直方向のみならず水平方向にも湾曲した形状となっている。垂直方向及び水平方向の湾曲は、それぞれ別々の半径寸法であり、視聴席レイアウトに応じて、拡散層の垂直方向及び水平方向の拡散角と合わせて設計される。
【0044】
このように、本実施の形態においては、水平方向にも湾曲させることで、プロジェクターPからの光の正反射方向をスクリーン左右両端にても、視聴席のあるスクリーン水平方向正面ないし内側に向けることができ、視聴席から見たスクリーン水平方向の輝度分布をより均一化することができる。このような水平方向の湾曲による輝度均一化は、スクリーン面内の水平方向の輝度差が大きくなるワイドなスクリーンほど効果が大きい。例えば、図9に示すように、複数台のプロジェクターPを使用する大型スクリーンの場合、水平方向の視聴する範囲が広がり、30°の拡散角ではスクリーン面内の水平方向に輝度ムラが発生してしまう。スクリーン水平方向の輝度ムラは、スクリーン水平方向の拡散角を大きくすることによってある程度解消することができるが、あまり大きくするとゲインが低下するため好ましくない。このような場合に、スクリーン水平方向に湾曲させることにより、ゲインを低下させることなくワイドなスクリーン全面において輝度差の少ない高コントラストの映像を表示することが可能となる。
【0045】
本実施の形態のスクリーン11は、図1に示す第1の実施の形態のスクリーン1と積層構成は同じであるが、垂直方向及び水平方向に湾曲した形状に形成されたスクリーン基板2上に、表面に拡散層4が形成された選択反射膜3のピースを多数貼り付けることによって製造することができる。その際、隣接するピース間に若干隙間ができるが、ピースのサイズがスクリーンサイズに比べて十分に小さい場合には、ピース間の隙間は無視できる大きさとすることができる。このような方法によれば、垂直方向及び水平方向に湾曲した形状のスクリーンを容易に製造することができる。
【0046】
【発明の効果】
上述したように、請求項1の発明によれば、波長に応じて選択反射特性を有するスクリーンを垂直方向に湾曲させることにより、明光下においても高コントラストで、かつ垂直方向に大型化してもゲインを犠牲にすることなく輝度の均一性を保持できるスクリーンを実現することができる。
【0047】
請求項2の発明によれば、スクリーンを垂直方向と水平方向に湾曲させることにより、明光下においても高コントラストで、かつ垂直方向及び水平方向に大型化してもゲインを犠牲にすることなく輝度の均一性を保持できるスクリーンを実現することができる。
【0048】
請求項3の発明によれば、拡散層の垂直方向の拡散角を小さくすることにより、輝度の均一性を保持しつつスクリーンゲインを上げることができ、明光下においても高コントラストで高輝度、広視野角のスクリーンを実現することができる。
【0049】
請求項4、5の発明によれば、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層することにより、選択反射膜として好適な、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有する光学多層膜を得ることができる。
【0050】
請求項6の発明によれば、上記光学多層膜を形成する基材に光吸収機能を持たせることにより、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有する選択反射膜を得ることができる。
【0051】
請求項7、8の発明によれば、金属膜と誘電体膜を交互に積層することにより、選択反射膜として好適な、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有する光学多層膜を得ることができる。
【0052】
請求項10の発明によれば、垂直方向に湾曲させたスクリーン基板に選択反射膜を貼り合わせることにより、特定波長領域の光を反射し、それ以外の領域の光を吸収する特性を有し、形状が垂直方向に湾曲したスクリーン、すなわち明光下においても輝度の均質な高コントラストの映像を表示するスクリーンを容易に製造することができる。
【0053】
請求項11、12の発明によれば、垂直方向及び水平方向に湾曲させたスクリーン基板に選択反射膜を貼り合わせることにより、特定波長領域の光を反射し、それ以外の領域の光を吸収する特性を有し、形状が垂直方向及び水平方向に湾曲したスクリーン、すなわち大型化しても明光下において輝度の均質な高コントラストの映像を表示できるスクリーンを容易に製造することができる。
【0054】
請求項13の発明によれば、垂直方向と水平方向で拡散角の異なる拡散板を用いることにより、明光下において高コントラストで、かつ輝度が高く均一で広視野角のスクリーンを容易に製造することができる。
【0055】
請求項14の発明によれば、基材上に高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層することにより、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性を有する光学多層膜を備えた選択反射膜を容易に作成することができる。
【0056】
請求項15の発明によれば、光吸収機能を有する基材上に高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層することにより、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有する選択反射膜を容易に作成することができる。
【0057】
請求項16の発明によれば、基材上に金属膜と誘電体膜を交互に積層することにより、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高吸収特性を有する選択反射膜を容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるスクリーンの積層構成例を示す断面図である。
【図2】本発明にかかるスクリーンの反射特性を概略的に示すスペクトル図である。
【図3】本発明の視野角特性を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態のスクリーンの外観を概略的に示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態のスクリーンの作用を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態のスクリーンの応用例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態のスクリーンの他の応用例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態のスクリーンの外観を概略的に示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態のスクリーンの応用例を示す図である。
【図10】先行技術にかかるスクリーンの積層構成及び反射特性を示す図である。
【図11】先行技術にかかるスクリーンの作用を説明する図である。
【符号の説明】
1、11、100……スクリーン、2、101……スクリーン基板、3……選択反射膜、4、103……拡散層

Claims (17)

  1. スクリーン基板上に、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性又は高吸収特性を有する選択反射膜と、この選択反射膜によって反射した光を拡散する拡散層とを備え、前面形状が垂直方向に凹状に湾曲していることを特徴とするスクリーン。
  2. 前面形状が水平方向にも凹状に湾曲していることを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
  3. 前記拡散層は、垂直方向の拡散角が水平方向の拡散角より小さい拡散特性を有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
  4. 前記選択反射膜が、基材上に高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層してなることを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
  5. 前記高屈折率層が酸化ニオブ、酸化タンタル又は酸化チタンからなり、前記低屈折率層が酸化ケイ素又はフッ化マグネシウムからなることを特徴とする請求項4記載のスクリーン。
  6. 前記基材が光吸収機能を有することを特徴とする請求項4記載のスクリーン。
  7. 前記選択反射膜が、基材上に金属膜と誘電体膜を交互に積層してなることを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
  8. 前記金属膜がニオブ、アルミニウム又は銀からなり、前記誘電体膜が酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素からなることを特徴とする請求項7記載のスクリーン。
  9. 前記特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする請求項1記載のスクリーン。
  10. 前面が垂直方向に凹状に湾曲したスクリーン基板を作成する工程と、
    特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも前記特定波長領域を除く可視波長領域の光に対して高透過特性又は高吸収特性を有する光学膜を基材上に形成し選択反射膜を作成する工程と、
    前記選択反射膜の表面に所定の拡散特性を有する拡散板を低屈折率の粘着剤又は接着剤を介して貼着する工程と、
    前記スクリーン基板の前面に前記選択反射膜を貼着する工程と
    を有することを特徴とするスクリーンの製造方法。
  11. 前記スクリーン基板が水平方向にも凹状に湾曲したスクリーン基板であることを特徴とする請求項10記載のスクリーンの製造方法。
  12. 前記選択反射膜を貼着する工程が、前記スクリーン基板の前面にそれよりサイズの小さい選択反射膜を継ぎ目の間隙が最小となるように複数配列して貼着する工程を含むことを特徴とする請求項11記載のスクリーンの製造方法。
  13. 前記拡散板は、垂直方向の拡散角が水平方向の拡散角より小さい拡散特性を有することを特徴とする請求項10記載のスクリーンの製造方法。
  14. 前記選択反射膜を作成する工程が、基材上に高屈折率層とこれより屈折率の低い低屈折率層を交互に積層する工程を含むことを特徴とする請求項10記載のスクリーンの製造方法。
  15. 前記基材が光吸収機能を有することを特徴とする請求項14記載のスクリーンの製造方法。
  16. 前記選択反射膜を作成する工程が、基材上に金属膜と誘電体膜を交互に積層する工程を含むことを特徴とする請求項10記載のスクリーンの製造方法。
  17. 前記特定波長領域が、赤色光の波長領域、緑色光の波長領域及び青色光の波長領域を含むことを特徴とする請求項10記載のスクリーンの製造方法。
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