JP2005024678A - 偏波制御素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】偏波制御素子は、透明な一対の基板に挟持された液晶層と、液晶層への電圧印加用の透明電極1と、透明電極1に電位分布を生成するための同心円に配置された複数の給電電極11〜14とを備えており、透明電極1と複数の給電電極11〜14とは、液晶層を挟んで対向する二つの基板表面の相対応する位置に形成されている。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを用いた光通信システムにおいて光源からの光の偏波(電磁界方向と伝播方向とで決定される二つの直交した平面波)状態を制御するための偏波制御素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ファイバを用いた光通信システムにおいて、より多くの情報を伝送するために波長分割多重(WDM)技術や時間分割多重(TDM)技術などが開発され適用されている。
【0003】
このような光通信システムでは、光信号の変調速度を高めた10Gbps、40Gbpsなどの高速伝送方式の場合、光信号の変調スペクトル幅が広がるため、光ファイバ固有の波長分散(材料分散と構造分散)や、複屈折性に起因してマルチモード光ファイバに発生する偏波モード分散により、伝送品質が劣化することが問題となっており、このため様々な分散補償技術が研究されている。
【0004】
特に、光ファイバは、熱、張力、圧力といった様々な外部応力によりコア径が理想的真円形からくずれてコア内部に複屈折が形成されると、この複屈折が直交する2つの偏波モード間に群遅延をもたらし、前述した偏波モード分散を発生する。この偏波モード分散は、高速光通信において、前述したように伝送品質の劣化及び伝送容量制限の要因となるため、偏波モード分散をいかにして補償するかが重要な課題となっている。
【0005】
例えば具体的には、長尺な光ファイバを通過した光は、光ファイバ固有の複屈折性による偏波モード分散のため、伝送時間が偏波方向により異なり信号歪が発生している。またこの偏波モード分散に伴い、光ファイバから出射する光の偏波状態は時間的に変化している(これら偏波モード分散は、光ファイバの互いに直交した2つの固有偏波状態の伝送時間遅延差により定義できる。)。
【0006】
従来、偏波モード分散を補償するには、初めに、光ファイバの出射端に備えられた偏波制御手段により任意に偏波した光ファイバ出射光を特定の偏波に変換し、次に、偏波保持ファイバなどの偏波遅延手段を用いて偏波モード分散により生じた遅延時間を補償する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
前述した偏波制御手段を用いて偏波変換を行う方法としては、(1)電気光学効果や磁気光学効果、熱光学効果などにより複屈折量を変化させ、光に位相差を与えて偏波変換する方法や、(2)水晶などの位相板(phase plate)の光学異方軸を機械的に回転させて偏波変換する方法などが提案されている。
特に、液晶の電気光学効果を利用した偏波制御素子は、装置の小型化や低消費電力化、可動部品を使用しないために信頼性に優れるなどの点で有利であり、このため偏波制御素子を用いた偏波変換手段の研究開発が各種行われている。
【0008】
N.G.バルカン 他 著「コヒーレント通信のための偏光制御」 J.ライトウエーブ テクノロジー社 (1990年) 第8巻 第3号 438頁から458頁
(「Polarization Control for Coherent Communications」 J.Lightwave Technology vol.8 no.3 pp.438−458 1990 N.G.Valkan et al)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の液晶を用いた偏波制御素子は、一つの液晶層だけでは複屈折量または光学異方軸のどちらか一方しか制御できないために、任意の偏波状態を所望の偏波状態に変換するためには、少なくとも2つ以上の液晶層が必要であった。
【0010】
即ち、液晶を利用した偏波制御素子を分散補償として用いる場合、偏波制御素子には光ファイバ出射光の任意の偏波状態をこの固有偏波状態の一方の偏波状態に変換する機能を必要とするが、任意の偏波状態を所望の偏波状態に変換するためには、少なくとも2つの制御変数が必要である。これについて、以下に図面を参照しながら説明する。
【0011】
図6は、光ファイバから出射した光が有する任意の偏波Xを所望の偏波Pに変換する様子を、ポアンカレ球を用いて示した模式図である。従来の偏波制御素子を用いた場合、例えば、
(A)光学異方軸がP方向に一致した第1の複屈折制御素子を用いて偏波Xを偏波Bに変換(図中T11)した後、複屈折量がπである第2の光学異方軸制御素子を用いて偏波Bを偏波Pに変換(図中T12)する方法や、
(B)複屈折量がπ/2である第1の光学異方軸制御素子により偏波Xを偏波Cに変換(図中T13)した後、複屈折量がπである第2の光学異方軸制御素子を用いて偏波Cを偏波Pに変換(図中T14)する方法
などが提案されているが、何れの場合においても少なくとも2つの液晶層が必要となるものである。
【0012】
しかも、従来の液晶を用いた偏波制御素子では、液晶の応答速度を速めるために1つの液晶層を複数の液晶層に分割する場合や、連続的に変化する偏波状態を無限変換制御するために液晶層を複数必要とする場合などには、部品点数の増加や、それに伴う組立、位置調整などの工数増加などの不都合が生じている。そこで、1つの液晶層を用いた偏波制御素子であっても任意の偏波状態を所望の偏波状態に変換できる手段の開発が望まれている。
【0013】
本発明の目的は、1つの液晶層で偏波制御素子の複屈折量及び光学異方軸の方向の双方を任意に制御して入射した光を偏波変換でき、しかも、組立、調整を容易に行うことができる、簡易な構成の偏波制御素子を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、単一波長または波長多重された任意の偏波状態を有する入射光を所望の偏波状態に偏波変換を行う、液晶を用いた偏波制御素子であって、
透明な一対の基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層へ電圧を印加する透明電極と、この透明電極に電位分布を形成する複数の給電電極とを備え、
前記透明電極及び給電電極は、前記液晶層を挟んで対向する前記二つの基板表面の相対応する位置に形成されているとともに、
前記給電電極は、偏波変換すべき前記光の光軸を中心にして前記透明電極の周囲に放射状に配置されている
ことを特徴とする偏波制御素子を提供する。
【0015】
また、前記液晶層を挟んで対向する前記二つの基板表面に、前記液晶層の液晶分子を前記基板表面に対してほぼ垂直方向に配向させる配向手段を有することを特徴とする偏波制御素子を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の偏波制御素子の要部である電極形状の一例を模式的に示す。本発明の偏波制御素子は、大略構成として、1対の透明基板(図1では紙面の上下方向に一定間隔離間して互いに対向状態で設置してある)と、1対の透明基板間に挟持された液晶層(図1では紙面の上下方向に収容してある)とを備えている。各透明基板の互いに対向する表面には、液晶層への電圧印加用の透明電極1を設けてあるとともに、この透明電極1には、電位分布を形成するための複数(4個)の給電電極11〜14が光軸10を中心に透明電極1の周囲に同心円上で放射状に等角的に配置されている。なお、図中、Mは液晶分子、Rは光束有効範囲を示す。
【0018】
次に、本発明の偏波制御素子を構成する各部の材料について説明する。
透明電極1は、酸化インジウムや酸化錫、酸化亜鉛など、光学的に吸収が少ない透明材料であればよく、抵抗値を調整するために、錫やガリウム、アンチモン、インジウムなどをドープしてもよい。一方、給電電極11〜14は、できるだけ抵抗値が小さい方が、透明電極1内で有効に電圧降下を発生できるため望ましい。従って、金やアルミニウム、クロムなど導電率の高い材料が望ましく、シート抵抗値が透明電極1の1000分の1以下になるよう、材料、膜厚の選択を行うことが望ましい。
【0019】
一般的に、液晶層を挟む透明基板の表面には、液晶分子Mの初期配向を与えるため、基板表面に塗布されたポリイミドなどの薄膜をラビング処理するなどの配向処理がなされる。本発明の偏波制御素子の場合、電圧印加時の空間電場に応じて液晶が配向しやすくするために、配向処理による液晶束縛力は弱い方がよい。
従って、電場無印加時にも一様な配向を得られること、電場無印加時は入射偏波に影響を及ぼさない方がシステム上望ましいこと、の理由により、透明基板界面に垂直配向処理を施すことが望ましい。垂直配向処理は、アルキル側鎖を有するポリイミドを塗布するか、SiOXを蒸着するなどの方法により得られる。
【0020】
液晶材料は、一般の液晶表示装置に用いられるようなネマティック液晶でよいが、屈折率異方性や誘電率異方性の大きい材料の方が低電圧化、高速化できて望ましい。また電圧応答の高速化のため強誘電性液晶を用いてもよく、配向安定化などのために液晶性、非液晶性重合高分子を一部混合してもよい。また、光照射による劣化や、温度、湿度など環境起因による劣化、電圧波形のDCオフセットなどによる電気的起因による劣化などを抑えるために、極性基にフッ素を含む液晶や、トラン結合など多重結合が少ない液晶を用いることが望ましい。
透明基板の表面に反射防止膜を形成して、反射損失を抑えてもよい。使用する透明基板の材料は、ガラス、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネートなどが使用できるが、耐久性などの点からガラスの基板が好ましい。
【0021】
次に、本発明の偏波制御素子に関する偏波制御の原理を説明し、1つの液晶層で、任意の偏波変換が達成できることを示す。
図1において、この偏波制御素子に紙面の上下方向から入射した光束の大部分は、光束範囲Rを通過し、液晶層の複屈折を利用した電気光学効果により位相差が与えられ出射光の偏波状態が変化する。ここで、液晶層を挟持する2枚の透明電極1の表面には、前述したように、給電電極11〜14が、各々透明基板の表面上の対応する位置に互いに対向して同心円上で放射状に形成されている。
なお、以下では、図1に記載してある透明基板1と対向する紙面の上下方向に対向配置してある図示外の相手方の透明基板(これを対向透明基板とよぶ)に形成された各電極に関しては、対向透明電極1B、対向給電電極11B〜14Bと定義して説明する。
【0022】
図2のポアンカレ球に示すように、偏波X、偏波Pを円周上の点とする円の中心をDとすれば、OD方向を光学異方軸とし∠XDPが複屈折量であるような単一の液晶層を有する偏波制御素子により、偏波Xを偏波Pに直接変換(図中T1)することが可能になる。言い換えると、任意の偏波変換に相当する、ポアンカレ球面上任意の2点(X,P)間の回転操作を実現するために、回転軸(光学異方軸に対応する)と回転角度(複屈折量に対応する)の両者を独立に変化させることができれば、1つの液晶層で任意の偏波を所望の偏波に変換することが可能になる。
【0023】
(I)そこで、本発明の偏波制御素子では、まず、光学異方軸の制御方法に関して、図1を用いて説明する。
給電電極11〜14には、それぞれ、下記に示すように、
透明電極11:V0cos(θ)
給電電極12:V0cos(θ+π/2)
給電電極13:V0cos(θ+π)
給電電極14:V0cos(θ+3π/2)・・・(a)
の電圧を印加する。
【0024】
ここで、V0は、周波数100Hz〜100KHz程度の矩形交流電圧であり、液晶分子を給電電極11と13の方向、または給電電極12と14の方向に配向するために必要な電圧である。一方、制御変数θは、電極面内の方位角であり、(a)式の「cos」の項により矩形交流電圧V0の実効値を変化させて給電電極11〜14を異なる電圧に制御する。
【0025】
透明電極1は、給電電極11〜14と導通しているので、給電電極11〜14の電圧値が異なる場合、透明電極1内部の電圧降下により電位分布が形成される。
【0026】
次に、図3において、(a)式でθ=π/2とした場合の透明電極1の電位分布を示す。
図3の曲線群は等電位線であり、等電位線に直交する方向に電場が生成される。図3に示すように、破線で示した光束範囲R内部の電場は、(a)式の制御変数θ方向に、ほぼ均一に揃う。液晶が正の誘電率異方性を有するならば、液晶分子Mの長軸は電場方向に配向するため、制御変数θに対応した電場(E)方向に配向させることができる。
従って、本発明の偏波制御素子によれば、制御変数θにより光学異方軸を任意な方位角に制御することができる。
【0027】
(II)次に、本発明の偏波制御素子を用いて複屈折量を制御する原理を説明する。
液晶を用いた偏波制御素子の場合、複屈折量は光軸面に投影された液晶分子Mの長軸と短軸の比に関係するため、液晶分子Mのチルト角を液晶層間の電圧で制御すればよい。
【0028】
ここで、給電電極11〜14と対向する対向給電電極11B〜14B(図示しない)には、それぞれ、下記に示すように、
透明電極11B:V0[g+cos(θ)]
給電電極12B:V0[g+cos(θ+π/2)]
給電電極13B:V0[g+cos(θ+π)]
給電電極14B:V0[g+cos(θ+3π/2)]・・・(b)
の電圧を印加する。
【0029】
なお、ここで、(b)式のgは偏波制御素子の複屈折量を変化させるための制御変数であり、(a)式と電位差「g・V0」だけ異なる電圧を印加する。
【0030】
一方、(b)式のV0は、(a)式のV0と等しく、位相も等しい。(b)式の制御変数θが(a)式のθと同値であれば、透明電極1Bの面内電場は透明電極1の電場と平行になり、液晶層厚さ方向(紙面上下方向)においてもほぼ一様な方位角電場を形成できる。
【0031】
給電電極11〜14と対向給電電極11B〜14B及び、透明電極1と対向透明電極1Bが等しい位置に等しい形状で形成されているのであれば、互いに対向する透明電極1、1B間には場所によらず均一に、「g・V0」なる電位差が対向電極間で生じるはずである。従って、対向電極間には実効電圧「g・V0」の矩形交流電圧が印加されることになるため、制御変数gを可変にすれば、液晶分子Mのチルト角を変化させることができる。
【0032】
図4は空間電場の方向を模式的に示したものであり、液晶分子Mには、放射状に配置された給電電極による電極面内成分電場E1と、対向電極間電圧「g・V0」による電極垂直成分電場E2との合成電場E3が作用する。その結果、(a)式、(b)式に示した制御変数θとgを適宜変化させることにより、空間的に任意な方向へ液晶分子Mを配向させることができる。
従って、これら2つの制御変数により、偏波制御素子の光学異方軸方向(制御変数θで制御する)と複屈折量(制御変数gで制御する)の両者を1つの液晶層で制御できる。
【0033】
以上については、図1に示す偏波制御素子を例に挙げて、4つの給電電極11〜14を有する電極形状について説明を行ってきたが、本発明では給電電極が透明電極面に3つ以上あれば同様な効果を得ることができる。
その場合、給電電極に印加する電圧は、対向する電極面毎に、それぞれ
V0cos[θ+(n−1)π/m]と
V0〔g+cos[θ+(n−1)π/m]〕と
すればよい。ここで、符号mは面内に配された給電電極の数である。また、符号nは、給電電極の番号であり、反時計回りで順にn=1、2、3、…、mとする。
なお、給電電極の数を増やすことは、液晶層全体に亙って空間電場をより均一な方向にすることができるが、液晶を駆動するための信号数が増えるため装置構成が複雑になる課題が発生する。従って、給電電極の数は1つの電極面内で4〜8個程度に設定することが望ましい。
【0034】
以上述べた本発明の偏波制御素子を用いれば、1つの液晶層で任意の偏波変換が達成されるものであるが、偏波制御素子の高速化や偏波変換の無限制御などを達成するために、さらに複数の液晶層及び透明基板を積層した偏波制御素子としてもよい。その他、水晶や液晶などの光学位相板、ルチル結晶、イットリウム・バナデート(YVO4)結晶、方解石、バリウム・ボレート(BBO)結晶、延伸銀微粒子含有ガラスなどを用いた偏光板、偏光分離素子、イットリウム鉄ガーネット(YIG)などのファラデー効果を発現する材料を用いた非相反素子などと併用してもよく、これら偏光素子を本発明の偏波制御素子に積層し一体化すれば、部品点数が減り装置組立調整に要する工数が減るため、さらに好ましい。
【0035】
【実施例】
(第1の実施例)
本実施例の偏波制御素子は、光通信システムにおいて光ファイバの複屈折により発生した偏波モード分散を補償するため、図示外の偏波モード分散補償モジュールに組み込むためのものであり、任意の偏波状態を有する光ファイバ出射光をTE偏波またはTM偏波の直線偏波に変換することが特徴である。
【0036】
図1は本発明の第1の実施例による電極形状を示す模式図であり、光軸10を中心に内接円の直径が70μmである8角形の透明電極1の周りに、4つの給電電極11〜14が0°、90°、180°、270°の等角位置に放射状に設置されている。
このうち、給電電極11〜14は、金で形成してあり、シート抵抗値は10Ω/□である。一方、透明電極1は、ITOで構成してあり、シート抵抗値は105Ω/□である。
【0037】
次に、本実施例の偏波制御素子の製造方法について説明する。
(1)初めに、図1の電極形状を厚さ0.5mmの2枚のガラス基板(透明基板を構成する)の表面に形成したのち、液晶垂直配向を誘起するポリイミド薄膜を成膜する。
(2)次に、直径13μmのガラスファイバスペーサを混入させたシール材によって、2つの電極形状が重なるように、ガラス基板を重ね合せて液晶セルを形成する。
(3)その後、液晶セル内部には屈折率異方性0.14、誘電率異方性10のネマティック液晶を真空注入し、注入口をUV接着剤で封止する。
(4)そして、各給電電極11〜14には、偏波制御素子内部および外部に施された配線を通じて外部の液晶駆動電源と接続する。
【0038】
次に、本実施例の偏波制御素子を実際に用いた偏波変換の実証実験について説明する。
(1)前述のようにして製造した偏波制御素子を用い、周波数1KHzの矩形交流電圧を(a)式及び(b)式のように印加した。
ここで、各交流波形のDCバイアスは0であり、全ての印加波形は同位相または位相反転している。本実施例では、V0=40Vrms(実効値)に設定し、制御する入射光の偏波状態に応じて制御変数(パラメータ)θを−π〜π、制御変数(パラメータ)gを0〜30Vrms変化させた。
【0039】
(2)ここで、本実施例の偏波制御素子に対して、波長1.55μmのコヒーレント光を集光レンズ及びコリメータレンズにより直径50μmの光束径に絞り込んで入射させた。
(3)次に、偏波制御素子の偏波変換性能を検証するため、偏波コントローラにより入射光の偏光状態を任意に変化させて、出射光の偏波状態を偏波アナライザにより測定した。
その結果、この偏波制御素子に入射する任意の偏波状態に対して、適切な制御電圧を印加することにより、出射光をTE偏波又はTM偏波に偏波変換できることが確認された。
【0040】
(第2の実施例)
図5は、第2の実施例に係る偏波制御素子の断面を示す模式図である。
本実施例では、偏波制御素子への光の入出射に光ファイバ4を用いたものであり、光通信システムにおいては、光ファイバ4との結合効率がより優れており、好適な構成のものである。
【0041】
本実施例の偏波制御素子では、厚さ0.5mmの2枚のガラス基板2(2A,2B)表面に光ファイバ挿入用穴21A、21Bが深さ0.4mm程度開けられている。
この光ファイバ挿入用穴21A、21Bの直径は150μm程度であり、直径130μm程度の先球光ファイバ4(4A,4B)を挿入した後、屈折率整合接着材5で固着するとともにこの光ファイバ挿入用穴21A、21Bの隙間を充填してある。
光ファイバ挿入用穴21A、21Bの中心は透明電極1(1A,1B)の中心と一致するよう開けられており、先球ファイバによって液晶層3での光束径が50μmとなるよう調整されている。
なお、本実施例の偏波制御素子において、電極構造、素子内部構造、これらに用いる材料は実施例1と同様である。
【0042】
本実施例では、出射光の一部を分岐してその偏波状態を偏波アナライザにて検出し、出射光の偏波状態が常にTE偏波になるように偏波制御素子の駆動パラメータである制御変数(パラメータ)g、θを最適化して制御する。
本実施例でも、実際に検証を行うため、V0=40Vrmsとし、θは−π〜π、gは0〜30Vrmsの範囲で制御してみた。その結果、偏波アナライザにより検出された出射光の偏波状態は、入射偏波状態が変わっても常にTE偏波になることが確認できた。同様に出射光がTM偏波となるよう制御変数(パラメータ)θとgを最適に制御したところ、出射光の偏波状態は常にTM偏波になることが確認できた。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、透明基板の面上に形成された一対の透明電極と同心円に放射状に配された透明電極への電圧印加用の複数の給電電極により、単一の液晶層であっても任意の偏波状態を有する入射光を所望の偏波状態に偏波変換することが可能であるため、偏波制御装置の構成や組立、調整を簡便にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態及び実施例1、2の偏波制御素子の電極形状の一例を示す模式図。
【図2】本発明の偏波制御素子による偏波変換の一例を示すポアンカレ球表示図。
【図3】本発明の実施形態及び実施例1及び2の偏波制御素子の透明電極電位分布の一例を示す図。
【図4】本発明の偏波制御素子の空間電場を示す概念図。
【図5】実施例2の偏波制御素子を示す断面図。
【図6】従来の偏波制御素子による偏波変換の一例を示すポアンカレ球表示図。
【符号の説明】
1:透明電極
10:光軸
11〜14:給電電極
21A、21B:光ファイバ挿入用穴
3:液晶層
4、4A、4B:先球光ファイバ
5:屈折率整合接着材
1、1A、1B:透明電極
E1:電極面内成分電場
E2:電極垂直成分電場
E3:合成電場
M:液晶分子
R:光束有効範囲
T1:偏波Xから偏波Pへの偏波変換
T11:偏波Xから偏波Bへの偏波変換
T12:偏波Bから偏波Pへの偏波変換
T13:偏波Xから偏波Cへの偏波変換
T14:偏波Cから偏波Pへの偏波変換
g、θ 制御変数(パラメータ)
Claims (2)
- 単一波長または波長多重された任意の偏波状態を有する入射光を所望の偏波状態に偏波変換を行う、液晶を用いた偏波制御素子であって、
透明な一対の基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層へ電圧を印加する透明電極と、この透明電極に電位分布を形成する複数の給電電極とを備え、
前記透明電極及び給電電極は、前記液晶層を挟んで対向する前記二つの基板表面の相対応する位置に形成されているとともに、
前記給電電極は、偏波変換すべき前記光の光軸を中心にして前記透明電極の周囲に放射状に配置されている
ことを特徴とする偏波制御素子。 - 前記液晶層を挟んで対向する前記二つの基板表面に、前記液晶層の液晶分子を前記基板表面に対してほぼ垂直方向に配向させる配向手段を有する請求項1記載の偏波制御素子。
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- 2003-06-30 JP JP2003187507A patent/JP4370829B2/ja not_active Expired - Lifetime
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