JP2005024564A - 電子ビームを用いた検査方法及び検査装置 - Google Patents

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弘義 森
Mitsugi Sato
貢 佐藤
Yasutsugu Usami
康継 宇佐美
Mikio Ichihashi
幹雄 市橋
Satoru Fukuhara
悟 福原
Hiroyuki Shinada
博之 品田
Yutaka Kaneko
豊 金子
Atsuko Takato
敦子 高藤
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博 遠山
Katsuya Sugiyama
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Abstract

【課題】
分解能を高めるとともに、高速化と信頼性の向上,小型化をはかった電子ビームを用いた検査方法及び検査装置を提供する。
【解決手段】
試料ステージを介して試料に電圧を印加し、電子ビームを試料に収束,走査し、走査の間試料ステージを連続的に移動し、試料から発生した荷電粒子を検出して試料の欠陥を検出するに際し、試料ステージとシールド枠との間に発生する放電の限界に基づいて試料ステージとシールド枠との間の寸法を決め、電子ビームの形状を補正する少なくとも6極のコイルを設け、試料の移動中に電子ビームのクロスオーバをブランキングの支点としてブランキング偏向し、試料に印加した電圧の大きさを試料の種類によって決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は電子ビームを用いた検査方法及び検査装置に係わり、特に、半導体装置の製造過程でウエハ上の回路等のパターンを検査するのに適した電子ビームを用いた検査方法及び検査装置に関する。
半導体装置やマスク,レチクル等の製造プロセスで使用される回路パターンの検査装置には、光を照射してその反射をCCD等で検出して欠陥を検出する光学式検査装置が知られている。パターンの幅寸法が微細になってくると、光学式検査装置の分解能には限界がある。そこで、分解能の高い電子ビームを用いた検査装置が注目されてきている。
電子ビームを用いて試料を観察する装置のひとつには、走査電子顕微鏡(scanning
electron microscope, 以下これをSEMという)がある。また、半導体装置を検査する装置のひとつには、測長用走査電子顕微鏡(critical dimension scanning electron
microscope, 以下これをCDSEMという)がある。しかし、上記SEMやCDSEMは、限られた視野を高倍率で観察するのには適しているものの、半導体ウエハの上のどこに欠陥があるかを探すのには不向きである。なぜならば、そのような欠陥探索のためには非常に広い領域、すなわち、直径200mmから300mmのウエハの全表面領域をくまなく検査する必要がある。しかし、そのような広い領域を、上記のSEMやCDSEMで検査する場合、非常に長い時間が必要である。その理由は、上記のSEMやCDSEMの電子ビームの電流が低いので走査速度が遅いからである。したがって、上記SEMやCDSEMを半導体装置の製造プロセスの途中で検査に使用する場合、とても実用にならない検査時間を要してしまう。半導体装置の製造プロセスの途中の検査に使用する検査装置には、スループットとよばれる検査時間の高速化を備えることが必要である。
このような問題を解決する装置が、例えば、特開平5−258703号公報(特許文献1)に記載されている。この装置は画像比較を用いてウエハ上の欠陥を検出する検査装置である。この装置の特徴は、(a)大電流の電子ビームが用いられること、(b)電子ビームを試料または基板に照射しながら試料ステージを連続的に移動させること、(c)電子源で発生した電子ビームを加速させる場合、高加速電圧が用いられること、(d)試料には電子ビームを減速させて試料の帯電を防ぐリターディング電圧が印加されること、
(e)電子ビームの照射によって試料で発生する荷電粒子が対物レンズを通過してから検出されること(TTL方式(Through The Lens type))、である。この検査装置を使用すると、マスクやウエハのパターンの欠陥検査を従来のSEMよりも効率的にかつ高速に行うことができる。
TTL方式では、試料から出てくる荷電粒子が対物レンズを通して検出される。この構造によって、対物レンズと試料との間の距離を短くすることができる。そして、対物レンズを短焦点とすることができ、電子ビームの収差が少なくなり、高分解能な画像の取得が可能になる。しかし、試料の高さが変化すると、これに伴って電子ビームの回転が大きく変化し、得られた画像が回転してしまうという無視できない問題を有している。そのため、試料の高さ精度を確保しなければならず、検査速度の向上には限りがある。
また、上記特開平5−258703号公報(特許文献1)に記載されている検査装置は、電子ビームの電子のクーロン相互反発作用による焦点のぼけを避けるため、平行ビームを採用している。平行ビームでは、試料ステージ上の試料の移動中にブランキングしたとき、ブランキングの最中に、電子ビームの軌道の途中にある絞りで遮断できない電子ビームが存在し、照射する領域に隣接した照射したくない領域をわずかながら照射してしまう。このように、ブランキングが始まってから完了までの間中、本来、電子ビームで照射されては好ましくない箇所が電子ビームで照射されることになる。その結果、得られた画像は実際のものとは異なった画像になるという問題がある。
図14に、ある半導体装置の製造プロセスにおける、ウエハを試料として、リターディング電圧と2次電子検出効率との関係の一例を示す。図14中の(2)のTTL方式の場合には、リターディング電圧が小さくなると2次電子の検出効率が無視できないほど低下するという問題がある。試料から発生する2次電子は、対物レンズの磁場を通って収束する。2次電子の検出効率が低下する主な原因は、リターディング電圧を変えると電子ビームによる試料への照射エネルギーが変わり、2次電子の軸方向の収束位置が変化するからである。
そこで、2次電子の検出効率を低下させないために、リターディング電圧を大きくすることが考えられる。しかし、リターディング電圧を大きくすると、試料ステージにリターディング電圧が印加され、試料ステージの端部を取り囲むシールド枠が接地されているので、試料ステージの端部とシールド枠との間で放電が発生する。その結果、リターディング電圧の印加の効果が低下したり、ノイズが発生し電子ビームを不安定にさせたりして好ましくない。
また、試料はその材料の違いによって帯電のしやすさが異なるので、リターディング電圧の大きさは、試料の帯電のしやすさに応じて変えなければならない。
電子ビームの照射位置は、試料を搭載した試料ステージの位置を正確に測定し、その位置に基づいて決定される。試料ステージの位置の測定にはレーザ光を用いた干渉計が用いられる。これは試料ステージに取付けられたミラーにレーザ光を当て、反射した光の干渉をみてその位置の微少な変化量を測定するものである。一方、上述したリターディング電圧は、試料を搭載した試料ステージを介して試料に印加される。したがって、ミラーは試料ステージの2辺の端部に取付けられており、ミラーにもリターディング電圧が印加されることになるが、ミラーはガラス質のため、その端部に電界が集中し、近接したシールド枠等の他の部材が接地されているので、これらとの間で放電を発生してしまう可能性がある。なお、端部が鋭利な場合には、ガラス質でなくても放電しやすいので、同様である。
したがって、上述した、リターディング電圧が印加された試料ステージの端部とそれを取り囲んだシールド枠との間の放電ばかりでなく、試料ステージの位置測定用のミラーへの電界集中も考慮しなければならない。
このような高いリターディング電圧が印加された試料ステージの放電現象は、試料ステージとその周囲との間の寸法を充分に広くすれば防止できるので、装置の大きさを大きくすれば解決できる。しかし、半導体装置の製造プロセスでは、製造装置や検査装置をクリーンルームの内部へ設置する必要があり、クリーンルームの床面積が広いほど設備投資の金額が高くなる。そのため、その中で使用される検査装置には、高速化ばかりでなく、小型化による省スペースが望まれている。
一方、上述したような電子ビームを用いた検査装置では、その分解能を向上させていくと、試料上に照射されている電子ビームの横断面形状が、円形ではなく、その角が丸みを帯びた三角形になる。
例えば円形の試料を三角形の電子ビームで走査した場合、円形ではなくて三角形の像が得られることになる。また、本来の正常な電子ビームのビーム径が1画素のサイズとほぼ同程度の場合で説明すると、ビームが三角形になることで、元の1画素サイズには収まらず、周辺の数画素に電子ビームの裾が広がってしまう。つまり、その分だけビーム径が大きくなってしまうのである。したがって、試料を電子ビームで走査して得られた像は本来の大きさよりも大きくなってしまい、像としてはぼけが生じることになる。
本発明の対象とする検査装置は、2つのパターンを比較してその違っている部分を異常、あるいは欠陥として検出する。微細構造の中の欠陥を検出する場合、像のぼけは致命的であり、検出感度の低下と同じく、検出できない欠陥が生じる可能性がある。
電子ビームの断面形状が三角形になってしまう要因として、電子源であるチップの形状や、あるいは電子光学システムの収束レンズ等が完全な軸対称でないことが考えられる。したがって、高分解能を得られる装置であっても、これらの不具合が発生すると、正しい検査結果を得ることができない。
特開平5−258703号公報
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決し、分解能を高めるとともに、高速化と信頼性の向上,小型化をはかった電子ビームを用いた検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、試料ステージを介して試料に電圧を印加し、電子ビームを試料に収束,走査し、走査の間試料ステージを連続的に移動し、試料から発生した荷電粒子を検出して試料の欠陥を検出するに際し、試料ステージとシールド枠との間に発生する放電の限界に基づいて試料ステージとシールド枠との間の寸法を決める構成としたことを特徴とする。
また、本発明は、電子ビームの形状を補正する少なくとも6極のコイルを設けることを特徴とする。
また、本発明は、試料の移動中に電子ビームのクロスオーバをブランキングの支点としてブランキング偏向することを特徴とする。
また、本発明は、試料に印加された電圧の大きさを試料の種類によって決定することを特徴とする。
本発明によれば、分解能を高めるとともに、高速化と信頼性の向上,小型化をはかった電子ビームを用いた検査方法及び検査装置を得ることができる。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。図2に、半導体装置の製造プロセスの手順のブロック図を示す。同図からわかるように、半導体装置の製造に当たっては、半導体装置のウエハ上への多数のパターン形成ステップ51から55が繰り返される。その各々のパターン形成ステップは、大まかに、成膜56,レジスト塗布57,感光58,現像59,エッチング60,レジスト除去61及び洗浄62のステップからなる。各ステップにおいて製造条件が最適化されていないと、半導体ウエハの回路パターンが正常に形成されない。
そこで、ステップ間に外観検査ステップ63または64を設け、回路パターンの検査が実行される。この外観検査ステップ63または64で検査した結果、欠陥が判明したときは、欠陥が発生する要因となるプロセスのステップへ検査結果を反映させ、同様な欠陥の発生を抑制する。反映の仕方は、図2に示す欠陥管理システム65によって、プロセスのステップ56,57,58,59の製造装置にデータを送信し、自動的に製造条件を変更させることも可能である。
図3に、製造過程における半導体ウエハ上の回路パターンを走査電子顕微鏡(SEM)で観察した像70の例を示す。図3(a)は正常に加工されたパターン、図3(b)は加工不良が発生したパターンを示す。たとえば図2の成膜56のステップで異常が発生すると、パーティクルが半導体ウエハ表面に付着し、図3(b)中の孤立欠陥Aとなる。また、レジスト塗布後感光時に焦点や露光時間等の条件が最適でないと、レジストを照射する光の量や強さが多すぎる箇所や足りない箇所が発生し、図3(b)中のショートCや断線E,パターン細りや欠けDを伴う。露光時のマスクやレチクル上に欠陥があると、同様のパターンの形状異常が発生しやすい。
また、エッチング量が最適化されていない場合及びエッチング途中に生成された薄膜やパーティクルが存在した場合、ショートCや突起B,孤立欠陥Aをはじめ、開口不良Gも発生する。洗浄時には、乾燥時の水切れ条件によりパターン角部その他の箇所に異常酸化を発生しやすい上、光学顕微鏡では観察しづらい薄膜残りFが発生する。
したがって、ウエハ製造プロセスでは、これらの不良が発生しないよう加工条件を最適化する必要があると共に、異常発生を早期発見し、当該ステップにフィードバックする必要がある。
以上のような欠陥を検出するために、たとえば図2中の現像59のステップの後、及び、レジスト除去61のステップの後に外観検査63,64が行われる。この検査に本発明による電子ビームを用いた検査装置が使用される。
図1は、本発明の実施例であり、電子ビームを用いた検査装置の構成の概略を示す縦断面図である。
図1において、電子銃1は電子源2,引出電極3及び加速電極4から構成される。電子源2と引出電極3の間には引出電圧V1が引出電源5によって印加され、これにより電子源2からは電子ビーム36が引出される。加速電極4はアース電位に維持され、そして加速電極4と電子源2との間には加速電圧Vacc が加速電源6によって印加され、したがって、電子ビーム36はこの加速電圧Vacc によって加速される。
加速された電子ビームはレンズ電源7に接続された第1収束レンズ8によって、該第1収束レンズ8とレンズ電源7に接続された第2収束レンズである対物レンズ9との間にクロスオーバ10が生じるように収束され、更に対物レンズ9によって、ステージ駆動装置(図示せず)及び位置モニタ用測長装置11により水平移動可能にされた試料ステージ
12上の半導体ウエハ等の試料13に収束される。すなわち、試料13は収束された電子ビームによって照射される。以上の構成は電子ビームを照射するのに適するように真空雰囲気を保った容器43中に収納される。
試料13には電子ビーム36を減速させるリターディング電圧として負の電圧が試料ステージ12を介して可変減速電源14によって印加され、更に、試料13と対物レンズ9との間に設けられた電極34に、試料13に対して正の方向の電圧が印加され、したがって、電子ビーム36はリターディング電圧によって減速される。通常、電極34はアース電位とされ、リターディング電圧は可変減速電源14を調整することによって任意に変えることができる。
第1収束レンズ8とクロスオーバ10との間には絞り15が、クロスオーバ10と電子ビーム走査用偏向器16との間には絞り41が配置されている。この絞り15,絞り41は余分な電子を遮断し、更に電子ビーム36の開口角を決めるのに役立つ。
クロスオーバ10と対物レンズ9との間には電子ビーム走査用偏向器16が配置され、これは収束された電子ビーム36で試料13を走査するように電子ビーム36を偏向させる機能をもつ。電子ビーム走査用偏向器16は対物レンズ9の中に設けられ、その偏向の支点と対物レンズ9の磁極ギャップの中心とが実質的に一致するようにしており、これにより、偏向歪を低減することができる。
絞り15と電子ビーム走査用偏向器16との間には、電子ビーム36をクロスオーバ
10が形成される位置において偏向してブランキングする、走査信号発生装置24に接続されたブランキング用偏向器17が配置されている。
収束レンズ8の内側には、6極またはそれ以上の極数を有する非点補正コイル81,非点補正コイル82を設けている。電子源2,引出電極3,収束レンズ等が軸対称でない場合、試料13に照射された電子ビームの横断面形状が円でなく三角形になってしまうことがある。そこで、収束レンズ8の部分に非点補正コイル81,非点補正コイル82を設け、電子ビームの三角形を円に補正する。これによって、高分解能な像が得られ、微細な欠陥を検出することが可能になる。
図4は、非点補正コイル81,非点補正コイル82の配置を示す平面図である。非点補正コイル81,非点補正コイル82が4極であると、例えば電子ビームにはX方向に延ばし、Y方向に縮める力が働く。電子ビームの形状が三角形の場合、X方向とY方向への形状修正では、三角形は円にならない。そこで、図4に示すように、非点補正コイル81,非点補正コイル82を6極にし、三角形の三つの辺に延ばす力、三つの頂点に縮める力が働くようにすれば、三角形を円に修正できる。非点補正コイル81,非点補正コイル82の極数は、多ければ多いほど精度よく円へ修正できるが、コイルで発生すべき力とコイルを収める空間の大きさのバランスで、極数が決定される。
本発明による検査装置を用いて半導体ウエハ上に形成された回路パターンの検査手順を示すフローチャートを図5に示す。
はじめに、試料ステージ12上へ試料13が搭載された後、容器41内へ試料ステージ12が移動し、容器41内の試料検査室が真空排気されるとともに、リターディング電圧が印加される。
試料13が収束された電子ビーム36で走査されると、試料13からは荷電粒子である2次電子33及び反射電子が発生する。そのうちの2次電子33は50eV以下のエネルギーをもったものとして定義される。
試料13を照射する電子ビーム36に対するリターディング電圧は、発生した2次電子に対しては正負の方向が逆になるため、加速電圧として作用する。したがって、発生した2次電子33はリターディング電圧によって加速されるため、方向がほぼそろい、ほぼ平行ビームとなって、試料13と対物レンズ9の間に配置されたE×B(イー・クロス・ビー)偏向器18に入射する。
E×B偏向器18はウィーン・フィルタとして知られた偏向器の一種であり、2次電子33を偏向する偏向電界を発生させる偏向電界発生器を含むと共に、試料13を照射する電子ビームの前記偏向電界による偏向を打ち消す、前記偏向電界と直交する偏向磁界を発生させる偏向磁界発生器を含んでいる。この偏向磁界は2次電子33に対しては前記偏向電界と同一方向への偏向作用をもつ。したがって、E×B偏向器18によって発生される偏向電界及び偏向磁界は、試料13を照射する電子ビームに悪影響を与えることなしに、加速された2次電子33を偏向する。
この偏向角をほぼ一定に維持するために、E×B偏向器18によって発生される偏向電界及び偏向磁界をリターディング電圧の変更に連動して変えることができる。E×B偏向器18は偏向電界及び偏向磁界を発生するものであるため、偏向電界及び偏向磁界発生器と呼ばれる場合もある。
E×B偏向器18の偏向電界及び偏向磁界によって偏向された2次電子33は導電性の2次電子発生体19を衝撃ないしは照射する。2次電子発生体19は対物レンズ9とE×B偏向器18の間において電子ビームの軸の周りに配置され、かつその軸に沿って電子銃1の方に向かうにしたがって末広がりの円錐形状にされている。この2次電子発生体19はCuBeOで作られていて、入射電子数の約5倍の2次電子発生能をもつ。2次電子発生体19から発生した第2の2次電子20(これは50eV以下のエネルギーをもつ)は荷電粒子検出器21によって検出され、電気信号に変換される。
試料13の高さは光学式試料高さ測定装置22によりリアルタイムで測定されて、その測定結果は補正制御回路23からレンズ電源7にフィードバックされ、それによって対物レンズ9の焦点距離がダイナミックに補正される。また、電子ビームの試料照射位置は位置モニタ用測長装置11によって検出されて、その結果が補正制御回路23から走査信号発生装置24にフィードバックされ、それによって電子ビームの試料照射位置が制御される。
図6は試料13の一例である半導体のウエハ44を上方から見た平面図、図7はその一部分の拡大図である。ウエハ44は図示しないステージ駆動装置によりx−y座標のy方向に矢印yで示されるように連続的に移動され、一方、ウエハ44の電子ビーム36による走査はx方向に、矢印xで示されるように走査とブランキング偏向とが、ウエハ44の移動中に交互に繰り返し行われる。
ウエハ44の電子ビーム36による照射を時間的,空間的に均一にするために、各走査の帰線期間中、電子ビーム36がウエハ44に向けられないように、電子ビーム36を図1中に示したブランキング用偏向器17を用いて偏向してブランキング偏向する。
電子ビーム36による走査は、図6中のA点を開始点としてB点まで行われる。この走査の間、試料ステージ12とともにウエハ44はy方向に移動する。B点とA′点との間は図7に破線でしめしたように電子ビーム36がブランキングされ、再び、A′点から
B′点へ走査が開始される。このように、走査とブランキングとがウエハ44の移動中に交互に繰り返し行われてC点からD点の間の走査まで行われる。
ウエハ44が始点位置A点から終点位置D点まで連続移動し終わると、ウエハ44が電子ビーム36による走査の幅wに相当する量だけx方向に移動され、続けてウエハ44の−y方向への連続移動が再開されて今回の開始点C点から終点F点まで移動され、そしてその連続移動の間中、ウエハ44の電子ビーム36によるx方向への走査とブランキングとが交互に繰り返される。
このような動作が繰り返されることによって、電子ビーム36によるウエハ44の全面の走査が完了する。
図8に、図1に示した電子ビーム36のブランキングの形態の概念図を示す。
本実施例では、図1に示す電子ビーム36のクロスオーバ10を支点としてブランキング偏向しており、これを図8の(a)に示す。電子ビーム36をブランキング偏向するために、クロスオーバ10以外の点を支点として偏向すると、その偏向時にウエハ44上の電子ビーム照射位置が移動してしまう。また、図8の(b)に示すように、電子ビーム
36が平行ビームである場合には、ブランキング偏向するとブランキングの最中に絞り
15,絞り41で遮断できない電子ビームが存在し、隣接した照射したくない領域をわずかながら照射してしまう。このように、ブランキング偏向が始まって完了までの間中、本来電子ビーム36で照射されては好ましくない箇所が電子ビーム36で照射されることになり、特に、分解能を高めたときに、このために誤った画像が得られることは問題である。
これに対して、本発明の実施例では、ブランキング偏向時には、電子ビーム36はクロスオーバ10を支点として偏向され、電子ビームが隣接領域を照射する事がなくなり、ウエハ44上の電子ビーム照射位置の変化が避けられ、高精度の欠陥検出が可能になる。
試料13またはウエハ44の電子ビーム36による走査は、ウエハ44をy方向に連続移動しながら電子ビーム36をx方向に偏向させるが、走査とブランキング偏向とを交互に繰り返すのでなく、走査を往復偏向させてもよい。この場合は、行きの偏向時の走査速度と帰りの偏向時の走査速度とが同じにされる。このようにすれば、ブランキング用偏向器17を省略することができ、ブランキング時間分の節約が可能となる。しかし、この場合、以下に注意する必要がある。
図9は図7と同様ウエハ44上の電子ビーム36の走査方向を示すウエハ44の一部分の拡大図である。ウエハ44の電子ビーム36の往復偏向の終わりの部分B点と始めの部分B′点とが電子ビーム36によって短時間に集中して照射される。すなわち、例えば、左から右へのx方向の走査の場合、照射領域の端部B点では電子ビームのx方向への移動が停止し、ウエハ44がy方向に走査幅だけ移動して始めの部分B′点へ来るのを待ってから、次の列を右から左へx方向へ移動して走査する。このB点−B′点間のy方向への移動を待っている間に、ウエハ44の端部B点を中心とする領域とB′点を中心とする領域の間がy方向に照射が続けられる。このため、帯電現象の時定数が非常に短い試料の場合は、その画像を取得したとき、その画像の明るさが不均一になってしまう。そこで、電子ビーム36による照射量をウエハ44の全面にわたってほぼ同じにするために、電子ビーム36の走査速度を図9中のA点−B点間よりもB点−B′点間の方が速くなるように、その走査速度を制御するとよい。
次に、図1に示した画像処理ユニット42で行われる画像処理について説明する。
画像処理ユニット42では、荷電粒子検出器21からの電気信号から試料13上の欠陥を検出する。荷電粒子検出器21によって検出された第2の2次電子20の量を変換した電気信号は、増幅器25により増幅され、A/D変換器26によりディジタル化される。そのディジタル化された信号は画像信号として記憶部27及び28に記憶される。具体的には、まず第1の検査領域の2次電子画像信号を記憶部27に記憶する。
次いで、隣接する同一回路パターンの第2の検査領域の2次電子画像信号を記憶部28に記憶しながら同時に記憶部27の第1の検査領域の2次電子画像信号と比較する。更に、第3の検査領域の2次電子画像信号は記憶部27に上書き記憶され、同時に記憶部28の第2の検査領域の画像と比較する。これを繰り返し、すべての検査領域について画像信号の記憶及び比較を実行する。なお、記憶部28に記憶された画像信号はモニタ32に表示される。
画像比較は、図1中に示した演算部29及び欠陥判定部30において行われる。すなわち、記憶部27及び28に記憶された2次電子画像信号については、すでに求めてある欠陥判定条件にもとづき、演算部29で各種統計量、具体的には画像濃度値の平均,分散等の統計量,周辺画素間の差分値等を算出する。これらの処理が実行された後、その処理が施された画像信号は欠陥判定部30に転送され、比較されて差分信号が抽出され、すでに求めて記憶してある欠陥判定条件を参照して欠陥信号とそれ以外の信号が分離される。
図10は画像比較の一例を像70を用いて説明するものであり、(a)は記憶部27に記憶された2次電子画像信号、(b)は記憶部28に記憶された2次電子画像信号である。(a)の画像1と(b)の画像2の信号の差をとると(c)に示されるような差画像が得られ、これが欠陥として表示される。
また、予め標準となる回路パターンの検査領域の2次電子画像信号を記憶部27に記憶しておき、試料13の回路パターンの検査領域の2次電子画像信号を記憶部28に記憶しながら、記憶部27の記憶画像信号と比較するようにしてもよい。すなわち、まず、予め制御部31より良品の半導体装置について検査領域及び検査条件を入力し、そのデータにもとづき良品の検査を実行し、所望の領域の2次電子画像信号を記憶部27に取り込んで記憶する。次に、検査対象である試料13について同様の方法で検査し、その2次電子画像を記憶部28に取り込み、記憶する。同時に、これと記憶部27に記憶された良品の2次電子画像とを位置合わせ後比較することにより欠陥のみを検出する。
このとき、良品の半導体装置としては、試料13における良品の部分あるいは試料13とは別の良品ウエハあるいはチップを用いる。たとえば、試料13において、回路パターンを形成する際に下層パターンと上層パターンが合わせずれを生じて形成したような不良を発生することがある。比較対象が同一ウエハあるいは同一チップ内の回路パターン同士であると、上記のようなウエハ全体に同様に発生した不良は見落としてしまうが、予め良品の画像信号を記憶し、それと試料13の画像信号を比較することにより上記のような全体に発生した不良も検出することができるようになる。
検査装置各部に対する動作命令及び条件設定は図1中の制御部31から行われる。したがって、制御部31には加速電圧,電子ビームの偏向幅(または走査幅)及び偏向速度
(または走査速度),試料ステージの移動速度,検出器の出力信号取り込みタイミング等々の条件が予め入力されている。
次に、本発明にもとづく電子ビームを用いた検査装置(以下本検査装置と略す)が従来の走査電子顕微鏡(以下SEMと略す)とどのような点が異なるのかを説明する。
SEMは非常に限られた領域、たとえば数十μm角の領域を高倍率で時間をかけて観察する装置である。半導体検査装置の一つである測長用走査電子顕微鏡(以下測長SEMと略す)でさえも、ウエハ上の限られた複数点のみの観察及び測定を高倍率で行うにすぎない。これに対して、本検査装置はウエハのような試料を対象とし、どこに欠陥があるかを探し出す装置である。したがって、非常に広い領域をくまなく検査しなければならないから、検査の高速性が極めて重要である。
図11に1cm2 当りの画像取得時間と1画素(1ピクセル)の測定時間との関係を示す。また、図12に1cm2 当りの画像取得時間と電子ビーム電流との関係を示す。
一般に電子ビーム画像におけるS/N比は、試料を照射する電子ビームの単位画素当たりの照射電子数の平方根の値と相関がある。試料上の検出されるべき欠陥は、画素比較による検査が望ましい程度の微小欠陥であり、検査対象のパターンの大きさから検査装置に要求される分解能を0.1μm 程度としたとき、画素サイズは0.1μm 程度とするが、この観点から、および、発明者らの経験から、荷電粒子検出器で検出された後で画像処理前の生画像のS/N比は10以上であることが望ましい。一方、一般にウエハの回路パターンの検査に要求される検査時間はおおよそ200sec/cm2程度であり、画像取得のみに要する時間を検査時間の約半分の100sec/cm2程度と仮定すると、図11に示すように、1画素当たりの所要時間は10nsec 以下となる。また、1画素当たりの必要電子数は約6000個となり、図12より、電子ビーム電流が100nA以上にする必要があることがわかる。なお、図12において、SEMや測長SEMでは、1cm2 当りの画像取得時間が遅くても実用上問題ないので、電子ビーム電流は数百pA以下の低い値が採用されている。
以上のような事項を考慮して、本発明の実施例では、試料を照射する電子ビーム電流を100nA,画素サイズを0.1μm,試料上での電子ビームのスポットサイズを0.01μm以下である0.08μm,試料ステージ12の連続移動速度を10mm/secにそれぞれ設定し、これらの条件下で、試料の同じ領域を複数回電子ビームで走査しなくても一回だけで200sec/cm2程度の高速度検査を可能にしている。
従来のSEMや測長SEMでは、試料を照射する電子ビーム電流は数pAから数百pA程度であるから、1cm2 当たりの検査時間は数百時間にもなり、したがってSEMや測長SEMをウエハ等の全面検査のために製造プロセスに用いることは実質的に実用にならない。
また、上記仕様の実施例では、大電流電子ビームが得られ、高速度検査ができるように電子銃1の電子源2としては拡散補給型の熱電界放出電子源やショットキータイプが用いられている。更に、1画素当たりの所要時間が10nsec であることは、画像のサンプリング時間が100MHzであることに相当し、したがって荷電粒子検出器21はそれに対応する高速応答速度をもつものであることが必要である。この条件を満たすため、荷電粒子検出器21には半導体検出器を採用するのが望ましい。
導電性が小さいか又は導電性がない試料の場合は、試料は電子ビームで照射されることによって帯電する。この帯電量は電子ビームの加速電圧に依存し、そのエネルギーを低くすることによって解決される。しかし、画像比較にもとづく電子ビーム検査装置では、
100nAという大電流電子ビームが用いられるため、加速電圧を低くすると、空間電荷効果により収差、すなわち、電子ビームの径方向への広がりが増大し、0.08μm という試料上での電子ビームスポットサイズを得ることが困難となり、したがって分解能の低下は避けがたい。
図13に、ビーム電流100nA,試料照射エネルギー0.5keV のときの電子ビーム径と加速電圧との関係を示す。本発明の実施例では、空間電荷効果による分解能の低下及び変化を防止するとともに、試料上での電子ビームスポットサイズ0.08μm を安定に得るために、図13に示すように、加速電圧Vaccは10kV一定に設定されている。
本検査装置によって得られる画像の質は、試料を照射する電子ビームのエネルギーによって大きく左右される。そのエネルギーは試料の種類によって変更される。帯電しにくい試料や、回路パターンのエッジ部を特に知りたい試料で画像のコントラストを強調する場合はエネルギーを大きくし、帯電しやすい試料の場合はエネルギーを小さくする。このため、検査されるべき試料の種類が変わるごとに、最適な電子ビーム照射エネルギーを見つけ出して設定する必要がある。
本発明の実施例では、試料を照射する電子ビームの最適照射エネルギーは、加速電圧
Vacc を変えずに試料13に印加される負の電圧、すなわち、リターディング電圧を変えることによって設定される。このリターディング電圧は可変減速電源14によって変えることができる。
図14に、2次電子検出効率(単位%)とリターディング電圧(単位kV)との関係を示す。同図中の曲線(1)は本発明の実施例の長焦点方式によるもの、曲線(2)はTTL方式によるものである。既述のように、リターディング電圧は試料の種類によって変えられるべきである。また、リターディング電圧は2次電子に対して加速させる作用がある。図14において、2次電子検出効率は、リターディング電圧を変えると、TTL方式の場合は大幅に変化してしまうのに対して、本発明の実施例の場合は、あまり変化しない。
TTL方式の場合は、リターディング電圧を5kV以上にする必要がある。TTL方式の場合は、試料から発生する2次電子が対物レンズの磁場を通り収束されるが、その軸方向の収束位置はリターディング電圧を変えることによって変化する。これが2次電子検出効率を大きく変えてしまう主たる原因である。これに対して、本発明の実施例のでは2次電子33が対物レンズ9の磁場を通らないので影響が小さい。したがって、本発明の実施例の長焦点方式では、画像の回転が少なく、2次電子検出効率の変動が小さいので、検査画像の安定化をもたらすという利点がある。
既述のように、試料13から発生する2次電子33はそのままでは広がってしまうが、リターディング電圧によって加速されてほぼ平行ビームとなるので、2次電子33の収集効率が向上する。その2次電子33は、更に、E×B偏向器18の偏向電界及び偏向磁界によって、電子ビーム36の中心軸に対してある角度、たとえば5°だけ偏向されて2次電子発生体19を衝撃し、それによって更に第2の2次電子20が大量に発生する。このように、2次電子の検出効率は、平行ビームと、2次電子発生体19の衝撃によって、大幅に向上する。
試料13から発生する荷電粒子が対物レンズ9を通過した後で検出される方式は、既述のように、TTL方式と呼ばれる。このTTL方式によれば、対物レンズを短焦点で働かせることによって電子ビームの収差を少なくし、分解能をあげることができる。これに対して、本発明の実施例では、図1に示すように、試料13から発生する荷電粒子33は、対物レンズ9の下で検出される。このため、対物レンズ9の焦点距離はTTL方式に比べて長く設定されている。すなわち、従来のTTL方式では対物レンズの焦点距離は5mm程度であるのに対して、本発明の実施例ではその値は40mm程度に設定されている。そして、電子ビームの収差を少なくするために、前述したように10kVの高加速電圧を採用している。
このため、本発明の実施例によれば、試料13の画像を取得するために行われる電子ビーム36の偏向幅、すなわち、電子ビーム36による走査幅を大きくすることができる。例えば、従来のTTL方式のビーム偏向幅は100μm程度であるのに対して、本発明の実施例では500μmまで設定可能である。
試料13の表面は完全な平面ではないため、検査する領域が移動すると試料の高さも変化する。したがって、対物レンズ9の励磁を変化させて、常に試料13の表面に焦点を合わせる動作が必要である。従来のTTL方式では、対物レンズを短焦点で働かせるように強励磁している。しかし、強励磁の対物レンズでは試料の高さの変化に伴い、電子ビームの流れが水平方向への回転を有しており、その結果、得られた画像の回転が生じるので、回転の補正が必要となる。これに対して本発明の実施例では、対物レンズ9は長焦点で作動されるように弱励磁される。例えば、Iを対物レンズの電流値(単位A),Nを対物レンズのコイルのターン数,Eを電子ビームのエネルギー(単位eV)とすると、IN/
√E=9程度に励磁される。このため、試料13の高さの変化に伴って焦点を微調整しても、電子ビーム36の回転や得られた画像の回転は、実質的に無視できる程度にしか生じないので、その補正は不要である。
なお、以上述べた本発明の実施例では、画像形成のために試料13から発生した2次電子33を用いているが、電子ビーム36の照射によって試料から後方散乱された反射電子を用いて画像を形成しても、同様の効果を得ることができる。
図13および図14の説明で述べたように、リターディング電圧は試料によって変えるべきであり、本発明の実施例の場合は、試料照射エネルギーが0.5keV ,加速電圧が10kVのとき、リターディング電圧は9.5 kVである。図1において、試料13には試料ステージ12を介して可変減速電源14よりこのリターディング電圧が印加される。図15に、図1に示した容器43の試料ステージ12の周辺の横断面図を示す。一点鎖線は試料ステージ12の移動範囲である。図15に示すように、リターディング電圧9.5 kVが印加された試料ステージ12は容器43の内部の接地されたシールド枠83の内側に収められているが、両者が接近しすぎると両者の間で放電し、リターディング電圧の効果が低下するばかりでなく、試料13の表面の電界の乱れやノイズを発生させる。
図16に、図15に示した試料ステージ12の一部分の放電限界を計算でシミュレーションした結果を示す。横軸はリターディング電圧、縦軸は試料ステージ12の端部12aと容器43の内部のシールド枠83の端部83aとの間の隙間寸法Hである。図16において、本発明の実施例の場合の条件であるリターディング電圧が9.5 kVのとき、試料ステージ12の端部12aと容器43の内部のシールド枠83の端部83aとの間に発生する放電は、図15に示す両者の隙間寸法Hが3.5mm 以上あれば防止できることがわかる。実際の装置の設計では、隙間寸法Hは放電発生限界の隙間寸法Hよりも大きくする。本発明の実施例の場合、試料ステージ12へ印加するリターディング電圧の設計上限を
12kVとしている。図16よりこの時の隙間寸法Hは4.5mm であり、実際の限界値
3.5mmに対して1mmの余裕をもたせている。
以上のシミュレーションの結果、図15において、隙間寸法Hを4.5mm とすると、直径300mmのウエハを搭載できる試料ステージ12の移動寸法Lは1141mm、シールド枠83の幅寸法Mはその強度上35mmであることから、試料ステージ12が組み込まれる容器43の幅寸法Wは1220mmとなる。実際には、シールド枠83がむき出しになるわけではなく、シールド枠83の外周に、例えば40mm程の外側に囲い84を設けるので、実際の装置の外側寸法は幅寸法Wの1220mmよりも大きくなり、1300mmとなる。
また、試料ステージ12の大きさは搭載するウエハの大きさによってかわり、その結果、移動寸法もかわる。直径200mmのウエハの場合は、例えば移動寸法Lは941mmとなるので、試料ステージ12が組み込まれる容器43の幅寸法Wは1020mmとなり、例えば、囲いを含んだ装置の外側寸法は1100mmとなる。
このように、試料ステージ12の端部12aと容器43の内部のシールド枠83の端部83aとの間に発生する放電を防止できる間隙寸法Hを見出したので、装置の寸法を限界まで小さくすることができた。本発明の実施例の場合、上述したように、放電の発生を防止できる装置の最小寸法は、ウエハの直径が300mmのときシールド枠83に囲まれた部分の寸法Wが1220mm,ウエハの直径が200mmのときシールド枠83に囲まれた部分の寸法Wが1020mmであった。
試料ステージ12は2次元方向に移動できるが、その移動量は図1に示したように位置モニタ用測長用装置11で測定される。これには、レーザ光を用いた干渉計が用いられる。この干渉計は試料ステージ12に設けられたミラーにレーザ光を当て、反射光を検出し、光の干渉を利用して微少な移動量を測定するものである。
図17にミラー85が取付けられた試料ステージ12の斜視図を、図18にミラー85の斜視図を示す。試料ステージ12にはリターディング電圧が印加されており、ミラー
85はガラス質のため、その端部85aに電界が集中し、シールド枠83等の接地された他の部材と放電を発生してしまうという問題がある。そこで、図18に示すように、端部を金属カバー86で覆い、端部に電界が集中しないようにした。これによって、その端部85aに電界が集中し、他の部材との放電の発生を防止できる。
以上述べたように、リターディング電圧を印加した試料ステージの放電やミラーの放電を防止して、装置寸法を最小限にすることができ、半導体製造プロセスの限られたクリーンルーム内に本装置を容易に設置できる。
本発明にもとづく実施例を示す電子ビームを用いた検査装置の構成の概略を示す縦断面図。 半導体装置の一般的な製造プロセスの手順を示すブロック図。 半導体ウエハの製造過程における半導体ウエハ上の回路パターンをSEMで観察した像の例を示す図。 非点補正コイルの配置を示す平面図。 半導体ウエハ上に形成された回路パターンの検査手順を示すフローチャート。 ウエハを上方から見た平面図。 図6のウエハの一部分の拡大図。 電子ビームのブランキングの形態を示す概念図。 図7と同様ウエハの一部分の拡大図。 画像比較の一例を示す像の図。 試料表面の1cm2 当りの画像取得時間と1画素の測定時間との関係図。 試料表面の1cm2 当りの画像取得時間と電子ビーム電流との関係図。 電子ビーム径と加速電圧との関係図。 2次電子検出効率とリターディング電圧との関係図。 容器の試料ステージの周辺の横断面図。 放電限界を計算でシミュレーションした結果を示す関係図。 試料ステージの斜視図。 ミラーの斜視図。
符号の説明
1…電子銃、2…電子源、4…加速電極、6…加速電源、8…第1収束レンズ、9…対物レンズ、10…クロスオーバ、11…位置モニタ用測長装置、12…試料ステージ、
13…試料、14…可変減速電源、15…絞り、16…電子ビーム走査用偏向器、17…ブランキング用偏向器、18…E×B偏向器、19…2次電子発生体、20…第2の2次電子、21…荷電粒子検出器、22…光学式試料高さ測定装置、23…補正制御回路、
24…走査信号発生装置、29…演算部、30…欠陥判定部、31…制御部、33…2次電子、36…電子ビーム、81,82…非点補正コイル、83…シールド枠、85…ミラー、86…金属カバー。

Claims (2)

  1. 電子ビームを試料に収束して走査し、該走査の間前記試料を連続的に移動し、前記試料から発生した荷電粒子を検出して前記試料の欠陥を検出する電子ビームを用いた検査方法において、前記電子ビームの断面形状を少なくとも6極のコイルによって補正することを特徴とする電子ビームを用いた検査方法。
  2. 電子ビームを発生する電子源と、前記電子源で発生した電子ビームを試料に収束する収束レンズと、その収束された電子ビームで前記試料を走査する間前記試料を連続的に移動させる試料ステージと、前記試料から発生した荷電粒子を検出して前記試料の欠陥を検出する検出器とからなる電子ビームを用いた検査装置において、前記電子ビームの断面形状を補正する少なくとも6極のコイルを有することを特徴とする電子ビームを用いた検査装置。
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